咲夜が風邪をひいたから、小悪魔に淹れてもらった紅茶を飲んでいるときだった。お願いがあるのですがと静かに困った声で言われて、膝に広げていた本から顔を上げる。
「うん? どうしたの?」
「咲夜さんに、風邪薬を飲むように言って欲しいのです」
あーそれかぁ、と呟く。
この館の中でわたしが一番適役だと思っていたことだ。
「いいよ、やるよ。咲夜のお薬嫌いは困っちゃうね」
「ええ、本当に困ったものです。人間は大人になるといけませんね。昔は飴玉ひとつで誤魔化されてくれたのに、今では何やらと言い訳をして薬どころか私からも逃げるのですよ。フランドール様がお頼みになれば、聞き入れてくれると思うのですが」
「うんうん、まかせて小悪魔。わたしなら大丈夫だと思うよ。お願いすればだいたいなんでもきいてくれるし」
「お願いします」
心配そうにしている小悪魔を励ますように、明るい声で引き受ける。
できればあんまり、会いたくなかったけど。
紫色に怪しく光る眼が薬棚を見据えていた。知識と思考を混ぜ巡らせている者が放つその空気を、わたしは黙って感じている。こんな真剣なパチュリーを久しぶりに見た。本と魔法以外に無関心に見えるけど、ちゃんと咲夜のこと好きなんだって、嬉しくなる。
ふいに顔が引き締まった次の瞬間、手が薬棚の中に潜っていった。白い指がつぎつぎと薬びんを掴み出し、机の上に並べていく。
こつ、こつ、こつり、こつり、こつん、
「や、そのへんで勘弁してあげてよ」
「ただ一重に治すため、必要なものを用意してるのよ」
「錠剤五つ、それにプラスして粉薬でしょ? お薬苦手なんだから、それ以上はかわいそう」
「ふむ」
パチュリーの眼が机の上と薬品棚の中を見やる。数回往復し、たくさんの薬びんの中から目当てのものを探しあてたらしい。左右に振られた顔は棚のほうでぴたりと止まり、手が伸ばされて、また一つ机の上に増えてしまった。
「錠剤六つに粉薬一つで、合計七つ。七は縁起の良い数字だからすぐに快くなるわ。食後に必ず飲むように。錠剤は食間でも可」
「伝えとくよ」
「お願いね」
パチュリーが奥に引っ込んで、さて、この薬をどうやって病人の部屋に持って行こうか悩む。
粉薬はポケットに突っ込む。紙袋の角が飛び出てるけど、落ちない程度に収まった。残るびんが問題だった。六つもあって、その一つ一つが大きくないが小さくもない。私の手だと二つは持てるけど、それ以上は無理、そんな大きさ。
困ったな。パチュリーに袋を貰えば良かった。薬類を一つにまとめて片手で持てれば、本の一、二冊くらいお土産に足せたのに。ワーカホリックなのにベッドに軟禁されてしまった咲夜に、料理本なりなんなりを持っていってやりたかった。
それにしても、パチュリーこわい。なにこの薬の量。生まれてこのかた薬のお世話になったことが無いわたしからすると、多量に過ぎると思った。噛まずに丸呑みするのだってとんでもない! 噛み砕いたちっちゃな飴だって飲み込んじゃったら異物感でもだえてしまうのに、爪の先くらいあるこれらを飲み込めば、どれほど気持ち悪いだろう。
パチュリーは魔女だからそういうのが好きなのだろうか。こう、いじめる感じ? サディスティックな行為で快感を得るとか。
うん、問題から眼を逸らしすぎた。しかし妙案が浮かんでいた。
薬びんは片手で二つずつ持つことが出来て、一度に四つしか運べない。けど、それでいい。往復すればいいんだ。一回目に粉薬と薬びん四つを運んで、二回目に薬びん二つと本を持って行けばいい。
なんて素晴らしい案だろう。今日はなんだか冴えている。
「妹様? どうなさいました?」
「あ、小悪魔。薬の量が多くてさ、どう持って行こうかって」
「あらま本当ですね。妹様の帽子を袋代わりに使ってはどうでしょう。きっと全部入ります。お急ぎじゃないなら、入れ物を持ってきますが」
なるほど帽子は布袋。盲点だった。
「……そうする。なんか本。咲夜が好きそうな本無い?」
「ありますよ。咲夜さんの好きなシリーズの最新刊をお持ちしました」
「ついでに持ってくよ」
「よろしいのですか?」
「いいよ、ついでついで。本ありがと」
「いえいえ。お大事に、安静にするようにとお伝えください」
「分かった」
図書館を出て、真っ直ぐに咲夜の部屋へ向かう。
一歩進むごとにびんの中の薬がざりざり鳴るのがあんまり耳障りで、舌打ちをした。
「あらはしたない」
「いたの」
曲がり角でお姉様と鉢合わせた。行儀が悪い行為をしたことがバレてて焦るけど、咎める気はなさそう。
わたしの顔をじっと覗き込んでくる、その顔を見つめ返す。いつも薄っすら笑ってるのに、今日は真顔。紅い眼の奥に炎みたいにぎらついた光がある。機嫌が良くなさそうだ。
「どうしたのフランドール? 苛立ってるみたい。顔が良くない」
「まぁ、お姉様とよく似た顔なのね。悲しいわ」
尖った声で発たれた言葉に、思わず皮肉で返してしまった。互いの間の空気が凍りつく。
けど、お姉様がため息を吐いて、溶けた。
「それは咲夜への薬ね」
帽子の中に飴を放り込まれた。
「見舞いよ。美鈴の特製喉飴。渡しておいて頂戴。それと、行く前に眉間の力を抜きなさいね」
笑いもせず言われ、眉間を揉まれる。遠慮無い力で押してくるのがうざったいのに、両手が塞がっているせいで払いのけられない。
「気持ちは分かるけれど。貴方がそんな表情をしていたら、休まるものも休まらなくなるわ」
「お姉様こそ人のことを言えない顔をしているわ」
「だから私は行かないのよ。こんな顔を見たら、余計に風邪を悪くしそうでしょう」
「そうだけどさ」
「それだけよ。よろしく」
偉そうにお使いを頼んで、お姉様は図書館の方へと向かっていった。
「……勝手なやつ」
小さな声で悪態を吐く。
けど、言われて良かった。お姉様より気を使われてないわたしだけれど、お姉様に比べて、というだけだ。咲夜が気疲れするようなことは避けたい。部屋に向かいながら、深呼吸を繰り返す。
目的地に到着。今は病人の彼女が日々しているノックを思い出し、真似してみる。こんこんと軽く、でもしっかり音が立つように二度叩いて、はい、という小さな返事を聞いた。入るよと告げ、どうぞと了承を得る。二秒待ち、ドアを開けて中に入ると、咲夜はベッドに座っていた
「どう?」
「少し、熱っぽい気がします」
「そっか。パチュリー特製のお薬を持ってきたよ。ご飯のときに飲むものと後に飲むもの。んでこれはお見舞いの本。信頼の小悪魔チョイス」
「まあ、わざわざ。有り難うございます」
まず本をベッドの脇のサイドテーブルに置く。それから帽子の中の薬びんを見て、この量はテーブルの上に置けないなぁと気づく。
どうしよっか? と訊こうとして咲夜を見たら、口もとが引きつっていた。
「咲夜、薬どこに置いたらいい?」
「……引き出しの一番上にお願いします」
「分かった。見えないからって飲み忘れないでね」
「はい。あの、多くはありませんか。六種類って」
「あ、そういえば」
ポケットに突っ込んでいた粉薬を忘れるところだった。出して、サイドテーブルの上に置く。
「な、七」
「全部飲めばすぐ治るって言ってたよ」
薬を見せられる前よりも調子の悪そうな顔色になった。涙が落ちそうなほど眼が潤んでいる。
薬嫌いの人に七つも飲ませるのは可哀想だけど、仕方ないこと。風邪を治すためだし、我慢してもらおう。っていうかさせる。
「まぁ、ちっちゃい子どもじゃないんだし? 大丈夫だよね」
「全力を、尽くします」
いいこいいこと頭を撫でてあげると、強張っていた顔が少し緩んだ。
「トランプだ。練習してたの?」
「はい。今度お見せする新作が成功したところです」
「わぁ」
咲夜は最近、時止め無しの手品を始めた。人形遣いのお姉さんが宴会のときに披露しているのをお姉様が面白がって、お前も出来るようになれと命令してきたらしい。とは言うけれど、もともと奇術の技である『ミスディレクション』をスペルカードにしているくらいだ。お遊びでする『騙し』を、それなりに楽しんでいるらしい。始めて間もないのにぐんぐん上達して、もう何度かティータイムに披露してくれているほど。
「じゃあ、みんなより先に見せてもらおうかな。いい?」
「次のお茶会までタネ明かしはしませんが、それでもよければ」
「いいよ。おねがい」
細い体がすいと立ち上がった次の瞬間に、目の前に丸テーブルと椅子が置かれていた。
……むかっときた。
「病人なのに、なにしてるのさ。運ぶのに」
「そのようなことは。恐れ多いです」
「駄目だよ、安静にしてよ。戻すときにはわたしがやるから。やらせてくれないと怒るからね」
「はい。すみませんでした。お言葉に甘えます」
悪いと思ってなさそうな顔で涼しく謝られる。なんか、なんだかなぁ。ちゃんと反省してる? って、問いただしたい。でも、もう謝られてるから、やりにくい。
何か言おうかとちょっとまごついて、結局、
「うん。そうして」
と、もごもご言うだけになってしまった。咲夜がほんのり赤い顔で笑って、テーブルに向かう。
背を向けられている間に、眉間と顔をむにむにと揉みほぐした。
何度も練習したのだろう。流れるような、という言葉がぴったりな所作でトランプが扱われる。上の束から下の束へと一枚一枚すべり落としていくようなシャッフルは、滑らかに。二つに分けた束を左右の手に持ち弓のようにたわめ、交互に重ねてまとめるシャッフルは、音を立てて派手に。手品を始める前のこの動作には、観客を盛り上げる効果があるそうだ。
わたしは見慣れてしまっているから、のんびり眺めていられるけど。
爪は形良く整えられて淡い桃色に光っている。色白のせいで血管の青が目立つ手の甲。そこから伸びる細い指の関節は尖り骨ばっているけれど、もちろん痛くなんかない。風邪をひいている今日だって、きっと優しくって。
……その手を毎日感じているから、言い切れること。咲夜の心は、すべて手によって明確に表されるから。
毎日毎日わたしの髪を結い、清潔な服を用意し、温かい食事を作って、わたしの冷たい手をそっと握って。
「わたし、咲夜無しには生きられないよ」
ばさんと音を立てて、トランプが机のうえに散らばった。
「……失礼しました、すみません」
「ううん」
床に落ちてしまった分を拾い、手渡す。指先にかすかに触れた肌が、思った以上に熱い。
「大丈夫? 熱、結構でちゃってるんじゃない?」
「微熱です、元気です」
「そう? ならいいけれど。お薬ちゃんと飲まなきゃね」
「はい」
お薬、のところで動きが一瞬止まったけれど、集めなおしたカードはきちんとシャッフル出来たらしい。束を差し出されて、
「好きなカードを思い浮かべてから、一番上のカードに触れてください」
「……ん。はい」
言われたとおり、触れる。
「そうしましたら、このカードを一番下に入れますね」
「うん」
「そして、シャッフルします」
細い指が束全体を一瞬包み、わたしが触れたカードを束の底に潜り込ませ、交互に重ねるシャッフルを、一回。
落としたり、動きを止めたりなんておかしなことはしていなかった。
「……出来ました。フランドール様が思ったカードを、一番上にいたしました」
「ふぅん、じゃ、ひくよ」
「はい」
顔を見上げると、得意げで。今日も綺麗に騙してくれるんだって、期待して引く。
出てきたカードは、ハートのキングだった。
……あれ?
「咲夜、これ、違うよ?」
「えっ」
手の中のトランプを見る。
ひっくり返してみてもスペードのジャックじゃなくて、黒字に赤の唐草模様。
「私が選んだのは、スペードのジャックだよ」
「本当、ですか」
「嘘なんてつかないよ。えっと、どういうこと」
「……失敗しました」
「へ、ぇ?」
咲夜が言ったことを理解できない。
これはこういう手品じゃなくて、失敗したの?
「申し訳、ありませんでした」
顔を上げると、とっても落ち込んでいるような顔があった。
初めて見る表情に戸惑う。そんなに真剣に謝らないで欲しかった。天然ボケをしたときみたいに、しれっとした顔で『仕様です』とか言えばいいのに。抜けてる部分を小気味良く誤魔化す咲夜を、わたしは何度も何度も許してきたというのに。
「どう、したの? そんな顔……気分が悪いのかな? 風邪が悪化しちゃったのかも」
「いいえ、本当に大丈夫ですから」
どうして、そんなに必死になるんだろう。怒りたくなる。咲夜が気を使うことと、咲夜に気を使わせるわたしにいらいらする。
やっぱり今日は会うべきじゃなかった。さっきのお姉様の眼の奥にあった炎が、わたしの頭の中にも有るのを感じていた。まずい気がする。怒った顔をしていたら駄目なのに。
俯いている顔の耳元に両手をそえると、汗で湿った髪が纏わりついてきた。いつもみたいなさらさらじゃない。いやな感触だ。
「だめだめ、けっこう熱いし、寝なよ。ごめんね長居しちゃって、もう行くよ」
「待ってください!」
「わっ」
立ち上がろうとテーブルについた腕が、ひしと掴まれた。体勢をすこし崩して咲夜に寄ってしまい、もう片腕も取られる。なんだか、しがみつかれてるみたいだ。
「な、なに」
「行かないでくれませんか」
「でも」
「一人だとすることが無くって、辛いのです」
「紅茶でも飲みながら、ゆっくり読書しなよ」
「一人で飲むよりも、誰かと一緒のほうが美味しいのです。お分かりになるでしょう?」
「むぅ」
「どうか」
熱い手と潤む眼から、咲夜がじわじわ染みる。
そうして馴染まされれば、
「うん、じゃあ、もうちょっと」
「ありがとうございます」
このひとが好きなわたしは、頷くしかなくなっちゃうんだ。
「どうしてこうなった」
「冷たくて気持ちいいです」
「そうかそうかわたしは暑苦しいよ」
「どうか」
「こんちくしょう」
一緒に軽食をとって、お薬を飲むところを見たから、部屋を出ようと思っていたのに。爽やかな笑顔で、ではこちらへ、とさらっと言われた次の瞬間にはベッドの中、咲夜の隣に寝かされていた。
うん、なにが起こったか理解出来たけれど、納得は無理。
「ときどき咲夜は、メイドらしかぬことをするよね」
「私がされて嬉しいことを、フランドール様にもさせていただいているのです。体温と香りの交換です」
「望んでないし変態じゃないし」
「なんと優しいお言葉を。嬉しいです」
「ねぇ熱でおかしくなってるでしょ? 会話になってない……もう、いいや」
少し身じろぎをするだけでも、しなやかな腕の締め付けが強くなる。放すつもりがないらしい。どうにも苦しい。
いや、窮屈なのはまだいいんだけれど。熱い体と、ばくんばくん聞こえてくる心臓の音と、体調が悪いときのひとの臭いが、正直辛い。いつもの咲夜を知っている体が、いつもより高い体温に違和感を覚えている。
おかしい、どうしてこんなに息苦しいんだろう? 人間の風邪が吸血鬼のわたしにうつるわけが無いのに、気分が悪い。視界が揺れてる。息をするたびに胸が痛い。
咲夜に触れられているのに、居心地が悪くて。そんなことを思うわたしを、理解出来ない。疑問が暴れて、頭の中を派手に散らかしていく。
腕を体の前に持ってきて、距離をとった。
「……いつから、調子が悪いの」
「昨日でしたか、一昨日でしたか。何分軽い症状でしたので、覚えがございませんわ」
「軽い風邪をこじらせたせいで、いま寝込んでるってことを分かってるかな? 鈍感もすぎると笑えないよ?」
「すみません」
「簡単に謝ってるけどさぁ」
常々思っているんだ。咲夜は変だって。じゃなかったら今だって、わたしみたいなやつと昼からベッドにはいったりしない。絶対に、人間として大切な部分が壊れてるんだ。
なんでも破壊できる手がびりびり痛いくらいに痺れて、汗ばむ。べとべとして気持ち悪い。ハンカチを取りに行くために起き上がろうとしたら、腕を掴まれた。そのまま咲夜の腰に持っていかれる。
「いかないでください」
「そこのテーブルに行くだけだよ」
「嫌です。離れたくないんです」
「なんか気弱になってる? ほんとうに体調が悪そうだよ、美鈴とか小悪魔とか、看病できそうなのを呼ぼっか?」
「フランドール様がいいです」
「そっか。ああもう」
あきれる。こんなになっても、わたしがいいのか。こんなに何にも出来ない、苦笑とため息しかあげられない吸血鬼に、そばに居て欲しいだなんて。頭がおかしいとしか思えない。
向こう見ずな咲夜に、普通の人間の在るべきようになって欲しかった。朝に目覚めて、日の下で笑って、夜には暖かくして寝たいって、思って欲しい。そんな生活で日焼けとかしたらいい。魔理沙みたいな肌が、きっと健康的な人間の色じゃないかな。
「もっと自分を大切にしなよ」
「そうですね」
「適当に聞いてるでしょ」
文句のかわりに、浮き出た鎖骨に頭突きをいれたのに、くすぐったそうな小さい笑い声が聴こえて。おざなりな返事に不愉快になる。
こんな風に自分のことを考えない咲夜だから、壊して正してやりたくって仕方なくなるんだ。
わたしには簡単に出来る。強すぎる忠誠心の一部を握りつぶしてしまうだけでいい。きゅっとして、それでおしまい。そうして、わがまま放題なわたしとお姉様に少しは嫌気を感じるようになればいい。
いつもいつも思ってたこと。
咲夜は毎日毎日こんなに綺麗に掃除しなくていいし、料理だってちょっと手を抜けばいいんだ。
一緒に居る時間が少なくなったら寂しいけれど、仕方ない。我慢する。
布団の中で触れた手の微かな荒れが、悲しいほど愛しいから。
不自然に熱い体を、きつく強くぎゅっと抱きしめた。
あとは手に、力を込めれば――
「まぁ、痛いくらいの抱擁、嬉しいですわ。生きている心地がいたします」
「……うう」
うめいてしまう。ほんとうに、きみってやつは。
人間として、完全な不良品。
どうしてそんなに、わたしが好きかな?
きこうと、顔を見る。
言葉を声にする前に、奪われる。
眼をつぶって微笑するきみは、どう見ても幸せそうだった。
「うん? どうしたの?」
「咲夜さんに、風邪薬を飲むように言って欲しいのです」
あーそれかぁ、と呟く。
この館の中でわたしが一番適役だと思っていたことだ。
「いいよ、やるよ。咲夜のお薬嫌いは困っちゃうね」
「ええ、本当に困ったものです。人間は大人になるといけませんね。昔は飴玉ひとつで誤魔化されてくれたのに、今では何やらと言い訳をして薬どころか私からも逃げるのですよ。フランドール様がお頼みになれば、聞き入れてくれると思うのですが」
「うんうん、まかせて小悪魔。わたしなら大丈夫だと思うよ。お願いすればだいたいなんでもきいてくれるし」
「お願いします」
心配そうにしている小悪魔を励ますように、明るい声で引き受ける。
できればあんまり、会いたくなかったけど。
紫色に怪しく光る眼が薬棚を見据えていた。知識と思考を混ぜ巡らせている者が放つその空気を、わたしは黙って感じている。こんな真剣なパチュリーを久しぶりに見た。本と魔法以外に無関心に見えるけど、ちゃんと咲夜のこと好きなんだって、嬉しくなる。
ふいに顔が引き締まった次の瞬間、手が薬棚の中に潜っていった。白い指がつぎつぎと薬びんを掴み出し、机の上に並べていく。
こつ、こつ、こつり、こつり、こつん、
「や、そのへんで勘弁してあげてよ」
「ただ一重に治すため、必要なものを用意してるのよ」
「錠剤五つ、それにプラスして粉薬でしょ? お薬苦手なんだから、それ以上はかわいそう」
「ふむ」
パチュリーの眼が机の上と薬品棚の中を見やる。数回往復し、たくさんの薬びんの中から目当てのものを探しあてたらしい。左右に振られた顔は棚のほうでぴたりと止まり、手が伸ばされて、また一つ机の上に増えてしまった。
「錠剤六つに粉薬一つで、合計七つ。七は縁起の良い数字だからすぐに快くなるわ。食後に必ず飲むように。錠剤は食間でも可」
「伝えとくよ」
「お願いね」
パチュリーが奥に引っ込んで、さて、この薬をどうやって病人の部屋に持って行こうか悩む。
粉薬はポケットに突っ込む。紙袋の角が飛び出てるけど、落ちない程度に収まった。残るびんが問題だった。六つもあって、その一つ一つが大きくないが小さくもない。私の手だと二つは持てるけど、それ以上は無理、そんな大きさ。
困ったな。パチュリーに袋を貰えば良かった。薬類を一つにまとめて片手で持てれば、本の一、二冊くらいお土産に足せたのに。ワーカホリックなのにベッドに軟禁されてしまった咲夜に、料理本なりなんなりを持っていってやりたかった。
それにしても、パチュリーこわい。なにこの薬の量。生まれてこのかた薬のお世話になったことが無いわたしからすると、多量に過ぎると思った。噛まずに丸呑みするのだってとんでもない! 噛み砕いたちっちゃな飴だって飲み込んじゃったら異物感でもだえてしまうのに、爪の先くらいあるこれらを飲み込めば、どれほど気持ち悪いだろう。
パチュリーは魔女だからそういうのが好きなのだろうか。こう、いじめる感じ? サディスティックな行為で快感を得るとか。
うん、問題から眼を逸らしすぎた。しかし妙案が浮かんでいた。
薬びんは片手で二つずつ持つことが出来て、一度に四つしか運べない。けど、それでいい。往復すればいいんだ。一回目に粉薬と薬びん四つを運んで、二回目に薬びん二つと本を持って行けばいい。
なんて素晴らしい案だろう。今日はなんだか冴えている。
「妹様? どうなさいました?」
「あ、小悪魔。薬の量が多くてさ、どう持って行こうかって」
「あらま本当ですね。妹様の帽子を袋代わりに使ってはどうでしょう。きっと全部入ります。お急ぎじゃないなら、入れ物を持ってきますが」
なるほど帽子は布袋。盲点だった。
「……そうする。なんか本。咲夜が好きそうな本無い?」
「ありますよ。咲夜さんの好きなシリーズの最新刊をお持ちしました」
「ついでに持ってくよ」
「よろしいのですか?」
「いいよ、ついでついで。本ありがと」
「いえいえ。お大事に、安静にするようにとお伝えください」
「分かった」
図書館を出て、真っ直ぐに咲夜の部屋へ向かう。
一歩進むごとにびんの中の薬がざりざり鳴るのがあんまり耳障りで、舌打ちをした。
「あらはしたない」
「いたの」
曲がり角でお姉様と鉢合わせた。行儀が悪い行為をしたことがバレてて焦るけど、咎める気はなさそう。
わたしの顔をじっと覗き込んでくる、その顔を見つめ返す。いつも薄っすら笑ってるのに、今日は真顔。紅い眼の奥に炎みたいにぎらついた光がある。機嫌が良くなさそうだ。
「どうしたのフランドール? 苛立ってるみたい。顔が良くない」
「まぁ、お姉様とよく似た顔なのね。悲しいわ」
尖った声で発たれた言葉に、思わず皮肉で返してしまった。互いの間の空気が凍りつく。
けど、お姉様がため息を吐いて、溶けた。
「それは咲夜への薬ね」
帽子の中に飴を放り込まれた。
「見舞いよ。美鈴の特製喉飴。渡しておいて頂戴。それと、行く前に眉間の力を抜きなさいね」
笑いもせず言われ、眉間を揉まれる。遠慮無い力で押してくるのがうざったいのに、両手が塞がっているせいで払いのけられない。
「気持ちは分かるけれど。貴方がそんな表情をしていたら、休まるものも休まらなくなるわ」
「お姉様こそ人のことを言えない顔をしているわ」
「だから私は行かないのよ。こんな顔を見たら、余計に風邪を悪くしそうでしょう」
「そうだけどさ」
「それだけよ。よろしく」
偉そうにお使いを頼んで、お姉様は図書館の方へと向かっていった。
「……勝手なやつ」
小さな声で悪態を吐く。
けど、言われて良かった。お姉様より気を使われてないわたしだけれど、お姉様に比べて、というだけだ。咲夜が気疲れするようなことは避けたい。部屋に向かいながら、深呼吸を繰り返す。
目的地に到着。今は病人の彼女が日々しているノックを思い出し、真似してみる。こんこんと軽く、でもしっかり音が立つように二度叩いて、はい、という小さな返事を聞いた。入るよと告げ、どうぞと了承を得る。二秒待ち、ドアを開けて中に入ると、咲夜はベッドに座っていた
「どう?」
「少し、熱っぽい気がします」
「そっか。パチュリー特製のお薬を持ってきたよ。ご飯のときに飲むものと後に飲むもの。んでこれはお見舞いの本。信頼の小悪魔チョイス」
「まあ、わざわざ。有り難うございます」
まず本をベッドの脇のサイドテーブルに置く。それから帽子の中の薬びんを見て、この量はテーブルの上に置けないなぁと気づく。
どうしよっか? と訊こうとして咲夜を見たら、口もとが引きつっていた。
「咲夜、薬どこに置いたらいい?」
「……引き出しの一番上にお願いします」
「分かった。見えないからって飲み忘れないでね」
「はい。あの、多くはありませんか。六種類って」
「あ、そういえば」
ポケットに突っ込んでいた粉薬を忘れるところだった。出して、サイドテーブルの上に置く。
「な、七」
「全部飲めばすぐ治るって言ってたよ」
薬を見せられる前よりも調子の悪そうな顔色になった。涙が落ちそうなほど眼が潤んでいる。
薬嫌いの人に七つも飲ませるのは可哀想だけど、仕方ないこと。風邪を治すためだし、我慢してもらおう。っていうかさせる。
「まぁ、ちっちゃい子どもじゃないんだし? 大丈夫だよね」
「全力を、尽くします」
いいこいいこと頭を撫でてあげると、強張っていた顔が少し緩んだ。
「トランプだ。練習してたの?」
「はい。今度お見せする新作が成功したところです」
「わぁ」
咲夜は最近、時止め無しの手品を始めた。人形遣いのお姉さんが宴会のときに披露しているのをお姉様が面白がって、お前も出来るようになれと命令してきたらしい。とは言うけれど、もともと奇術の技である『ミスディレクション』をスペルカードにしているくらいだ。お遊びでする『騙し』を、それなりに楽しんでいるらしい。始めて間もないのにぐんぐん上達して、もう何度かティータイムに披露してくれているほど。
「じゃあ、みんなより先に見せてもらおうかな。いい?」
「次のお茶会までタネ明かしはしませんが、それでもよければ」
「いいよ。おねがい」
細い体がすいと立ち上がった次の瞬間に、目の前に丸テーブルと椅子が置かれていた。
……むかっときた。
「病人なのに、なにしてるのさ。運ぶのに」
「そのようなことは。恐れ多いです」
「駄目だよ、安静にしてよ。戻すときにはわたしがやるから。やらせてくれないと怒るからね」
「はい。すみませんでした。お言葉に甘えます」
悪いと思ってなさそうな顔で涼しく謝られる。なんか、なんだかなぁ。ちゃんと反省してる? って、問いただしたい。でも、もう謝られてるから、やりにくい。
何か言おうかとちょっとまごついて、結局、
「うん。そうして」
と、もごもご言うだけになってしまった。咲夜がほんのり赤い顔で笑って、テーブルに向かう。
背を向けられている間に、眉間と顔をむにむにと揉みほぐした。
何度も練習したのだろう。流れるような、という言葉がぴったりな所作でトランプが扱われる。上の束から下の束へと一枚一枚すべり落としていくようなシャッフルは、滑らかに。二つに分けた束を左右の手に持ち弓のようにたわめ、交互に重ねてまとめるシャッフルは、音を立てて派手に。手品を始める前のこの動作には、観客を盛り上げる効果があるそうだ。
わたしは見慣れてしまっているから、のんびり眺めていられるけど。
爪は形良く整えられて淡い桃色に光っている。色白のせいで血管の青が目立つ手の甲。そこから伸びる細い指の関節は尖り骨ばっているけれど、もちろん痛くなんかない。風邪をひいている今日だって、きっと優しくって。
……その手を毎日感じているから、言い切れること。咲夜の心は、すべて手によって明確に表されるから。
毎日毎日わたしの髪を結い、清潔な服を用意し、温かい食事を作って、わたしの冷たい手をそっと握って。
「わたし、咲夜無しには生きられないよ」
ばさんと音を立てて、トランプが机のうえに散らばった。
「……失礼しました、すみません」
「ううん」
床に落ちてしまった分を拾い、手渡す。指先にかすかに触れた肌が、思った以上に熱い。
「大丈夫? 熱、結構でちゃってるんじゃない?」
「微熱です、元気です」
「そう? ならいいけれど。お薬ちゃんと飲まなきゃね」
「はい」
お薬、のところで動きが一瞬止まったけれど、集めなおしたカードはきちんとシャッフル出来たらしい。束を差し出されて、
「好きなカードを思い浮かべてから、一番上のカードに触れてください」
「……ん。はい」
言われたとおり、触れる。
「そうしましたら、このカードを一番下に入れますね」
「うん」
「そして、シャッフルします」
細い指が束全体を一瞬包み、わたしが触れたカードを束の底に潜り込ませ、交互に重ねるシャッフルを、一回。
落としたり、動きを止めたりなんておかしなことはしていなかった。
「……出来ました。フランドール様が思ったカードを、一番上にいたしました」
「ふぅん、じゃ、ひくよ」
「はい」
顔を見上げると、得意げで。今日も綺麗に騙してくれるんだって、期待して引く。
出てきたカードは、ハートのキングだった。
……あれ?
「咲夜、これ、違うよ?」
「えっ」
手の中のトランプを見る。
ひっくり返してみてもスペードのジャックじゃなくて、黒字に赤の唐草模様。
「私が選んだのは、スペードのジャックだよ」
「本当、ですか」
「嘘なんてつかないよ。えっと、どういうこと」
「……失敗しました」
「へ、ぇ?」
咲夜が言ったことを理解できない。
これはこういう手品じゃなくて、失敗したの?
「申し訳、ありませんでした」
顔を上げると、とっても落ち込んでいるような顔があった。
初めて見る表情に戸惑う。そんなに真剣に謝らないで欲しかった。天然ボケをしたときみたいに、しれっとした顔で『仕様です』とか言えばいいのに。抜けてる部分を小気味良く誤魔化す咲夜を、わたしは何度も何度も許してきたというのに。
「どう、したの? そんな顔……気分が悪いのかな? 風邪が悪化しちゃったのかも」
「いいえ、本当に大丈夫ですから」
どうして、そんなに必死になるんだろう。怒りたくなる。咲夜が気を使うことと、咲夜に気を使わせるわたしにいらいらする。
やっぱり今日は会うべきじゃなかった。さっきのお姉様の眼の奥にあった炎が、わたしの頭の中にも有るのを感じていた。まずい気がする。怒った顔をしていたら駄目なのに。
俯いている顔の耳元に両手をそえると、汗で湿った髪が纏わりついてきた。いつもみたいなさらさらじゃない。いやな感触だ。
「だめだめ、けっこう熱いし、寝なよ。ごめんね長居しちゃって、もう行くよ」
「待ってください!」
「わっ」
立ち上がろうとテーブルについた腕が、ひしと掴まれた。体勢をすこし崩して咲夜に寄ってしまい、もう片腕も取られる。なんだか、しがみつかれてるみたいだ。
「な、なに」
「行かないでくれませんか」
「でも」
「一人だとすることが無くって、辛いのです」
「紅茶でも飲みながら、ゆっくり読書しなよ」
「一人で飲むよりも、誰かと一緒のほうが美味しいのです。お分かりになるでしょう?」
「むぅ」
「どうか」
熱い手と潤む眼から、咲夜がじわじわ染みる。
そうして馴染まされれば、
「うん、じゃあ、もうちょっと」
「ありがとうございます」
このひとが好きなわたしは、頷くしかなくなっちゃうんだ。
「どうしてこうなった」
「冷たくて気持ちいいです」
「そうかそうかわたしは暑苦しいよ」
「どうか」
「こんちくしょう」
一緒に軽食をとって、お薬を飲むところを見たから、部屋を出ようと思っていたのに。爽やかな笑顔で、ではこちらへ、とさらっと言われた次の瞬間にはベッドの中、咲夜の隣に寝かされていた。
うん、なにが起こったか理解出来たけれど、納得は無理。
「ときどき咲夜は、メイドらしかぬことをするよね」
「私がされて嬉しいことを、フランドール様にもさせていただいているのです。体温と香りの交換です」
「望んでないし変態じゃないし」
「なんと優しいお言葉を。嬉しいです」
「ねぇ熱でおかしくなってるでしょ? 会話になってない……もう、いいや」
少し身じろぎをするだけでも、しなやかな腕の締め付けが強くなる。放すつもりがないらしい。どうにも苦しい。
いや、窮屈なのはまだいいんだけれど。熱い体と、ばくんばくん聞こえてくる心臓の音と、体調が悪いときのひとの臭いが、正直辛い。いつもの咲夜を知っている体が、いつもより高い体温に違和感を覚えている。
おかしい、どうしてこんなに息苦しいんだろう? 人間の風邪が吸血鬼のわたしにうつるわけが無いのに、気分が悪い。視界が揺れてる。息をするたびに胸が痛い。
咲夜に触れられているのに、居心地が悪くて。そんなことを思うわたしを、理解出来ない。疑問が暴れて、頭の中を派手に散らかしていく。
腕を体の前に持ってきて、距離をとった。
「……いつから、調子が悪いの」
「昨日でしたか、一昨日でしたか。何分軽い症状でしたので、覚えがございませんわ」
「軽い風邪をこじらせたせいで、いま寝込んでるってことを分かってるかな? 鈍感もすぎると笑えないよ?」
「すみません」
「簡単に謝ってるけどさぁ」
常々思っているんだ。咲夜は変だって。じゃなかったら今だって、わたしみたいなやつと昼からベッドにはいったりしない。絶対に、人間として大切な部分が壊れてるんだ。
なんでも破壊できる手がびりびり痛いくらいに痺れて、汗ばむ。べとべとして気持ち悪い。ハンカチを取りに行くために起き上がろうとしたら、腕を掴まれた。そのまま咲夜の腰に持っていかれる。
「いかないでください」
「そこのテーブルに行くだけだよ」
「嫌です。離れたくないんです」
「なんか気弱になってる? ほんとうに体調が悪そうだよ、美鈴とか小悪魔とか、看病できそうなのを呼ぼっか?」
「フランドール様がいいです」
「そっか。ああもう」
あきれる。こんなになっても、わたしがいいのか。こんなに何にも出来ない、苦笑とため息しかあげられない吸血鬼に、そばに居て欲しいだなんて。頭がおかしいとしか思えない。
向こう見ずな咲夜に、普通の人間の在るべきようになって欲しかった。朝に目覚めて、日の下で笑って、夜には暖かくして寝たいって、思って欲しい。そんな生活で日焼けとかしたらいい。魔理沙みたいな肌が、きっと健康的な人間の色じゃないかな。
「もっと自分を大切にしなよ」
「そうですね」
「適当に聞いてるでしょ」
文句のかわりに、浮き出た鎖骨に頭突きをいれたのに、くすぐったそうな小さい笑い声が聴こえて。おざなりな返事に不愉快になる。
こんな風に自分のことを考えない咲夜だから、壊して正してやりたくって仕方なくなるんだ。
わたしには簡単に出来る。強すぎる忠誠心の一部を握りつぶしてしまうだけでいい。きゅっとして、それでおしまい。そうして、わがまま放題なわたしとお姉様に少しは嫌気を感じるようになればいい。
いつもいつも思ってたこと。
咲夜は毎日毎日こんなに綺麗に掃除しなくていいし、料理だってちょっと手を抜けばいいんだ。
一緒に居る時間が少なくなったら寂しいけれど、仕方ない。我慢する。
布団の中で触れた手の微かな荒れが、悲しいほど愛しいから。
不自然に熱い体を、きつく強くぎゅっと抱きしめた。
あとは手に、力を込めれば――
「まぁ、痛いくらいの抱擁、嬉しいですわ。生きている心地がいたします」
「……うう」
うめいてしまう。ほんとうに、きみってやつは。
人間として、完全な不良品。
どうしてそんなに、わたしが好きかな?
きこうと、顔を見る。
言葉を声にする前に、奪われる。
眼をつぶって微笑するきみは、どう見ても幸せそうだった。
柔らかくてどこか温かい、きめ細かな感性の光る文章がすばらしいです。
絵本のようなかわいい挿絵も好印象でした。
素敵な作品ありがとうございます。
個人的にはタグが結構好みだったり……!
絵もあったかくて可愛いのに表情が胸を打ちました。
素敵な作品をありがとうございます。
小説に合った絵柄で作品を引き立てていて。
フランがいいなぁ、すごくいい。
もっと貴方の紡ぐフランと咲夜さんの話が読みたいです。
微笑ましく思うのにフランドール視点でのわずかなやるせなさに共感させられます……。
全体的に穏やかなのに緩急があって素晴らしい作品としか言えません。ありがとうございました!
あたたかくてほんのちょっぴり苦い話だと思いました
内容も然り。
あまり気のきいたことがいえないのでこの点数を以って感想とさせて下さい。
とても良かったです。
とってもキュート☆
この挿絵はGJすぐるwww
一行一行読むごとに残る余韻がとても素敵。自分が微熱気味の風邪を引いてるみたいな不思議な感触に襲われました。
フランと咲夜の想いの形……匂いや肌触り、何よりも伝わる温度がとても優しくて、ゆらゆらと心地良いです。
フランドールと言う名前のクスリ、咲夜にはよく効くんでしょうね。今頃どんな夢を見ているのだろう……。
裏切られました。
この薬があれば風邪ひいても即治りそうです。
それはそうと、最近元気があまりないのでこのお薬欲しいです。
ありがとうございました。
絶対数が少ない(多分)咲フラ、しかもフランの視点から咲夜を思いやる構図というのは新鮮でした。
この二人の関係は素敵ですね。切なさと悲しさを、ふわふわしたオブラートで優しく覆い隠したような。
風邪は寝て治すので、薬を飲む人たちの感覚はわかんないですが。
これは優しそうな薬ですね。
素敵でした。
咲夜さん、フランたち紅魔館メンバーにはいつまでも笑っていて欲しいです。
挿絵にもほのぼのさせてもらいました。
タグが今まで読んだ作品の中でいちばんに面白くて好き。