「あ、レイムッチ、おはよう」
いつものように博麗神社に現れる少女、宇佐見菫子。だが、今日はなんだか態度がよそよそしい。
「菫子、なんでそんなに離れてるのよ。それにマスクなんて付けちゃって」
「レイムッチ知らないの!?ソーシャルディスタンスよ?」
「はぁ……?」
困惑する霊夢を余所に、菫子は矢継ぎ早に語り始める。
「外の世界では今、恐ろしい病気が流行ってるの!症状は風邪に似てるんだけど、とても感染しやすい上に急に重症化することもあって、少しでも感染を食い止めようと外の世界は厳戒態勢で……」
「ふーん、外の世界がそんな有様だなんてねぇ……」
あまり興味を示さない霊夢に対し、菫子は焦りを顕にする。
「だから、もし幻想郷であの病気が流行ってしまったら大変だと思って、こうやってマスクをして距離をとって話してるのよ!私以外にも外の世界から物や人が来ることもあるみたいだし、私はもう心配で心配で……」
「あら、その心配は不要よ」
菫子の話を遮ったのはスキマ妖怪、八雲紫である。
紫は菫子の背後に突然現れ、菫子の両肩にポンと手をおいた。流石に驚いたのか、菫子は「ひゃっ!」と声を上げていた。
「げっ、菫子よりも頻繁に外の世界へ行ったり来たりしてるヤツが来ちゃったじゃないの。大丈夫なのこいつは」
怪訝な表情で紫を見つめる霊夢に対し、紫は薄ら笑いを浮かべながら話し始める。
「霊夢、前に言わなかったかしら?私は『毎回消毒している』のよ。
それに、以前のタンポポの一件があってから、幻想郷に来るものは全て消毒することにしたの。得体のしれない病原菌が入り込むスキマなんてありませんわ」
そして紫は一息ついてから菫子を指差し、言った。
「もちろん、貴方も消毒済みよ」
「ええっ!いつの間に!?」
驚く菫子をからかうかの様に紫が手を伸ばし……
「それに、そんなに心配ならもっと徹底的に消毒してあげるわよ?」
「きゃっ!ちょ、ちょっと紫さんどこ触って……の、濃厚接触ですよ!?」
「あら、外の世界ではそんな言い回しが流行ってるの?濃厚な接触っていうのはもっとこう……ね?」
「ゆ、紫さん手付きがいやらし……いやーっ!レイムッチ助けてー!!」
「全く何やってるんだか……
そもそもこっちに来てる菫子の正体は……ま、心配が要らないというのは確かね」
(おしまい)
いつものように博麗神社に現れる少女、宇佐見菫子。だが、今日はなんだか態度がよそよそしい。
「菫子、なんでそんなに離れてるのよ。それにマスクなんて付けちゃって」
「レイムッチ知らないの!?ソーシャルディスタンスよ?」
「はぁ……?」
困惑する霊夢を余所に、菫子は矢継ぎ早に語り始める。
「外の世界では今、恐ろしい病気が流行ってるの!症状は風邪に似てるんだけど、とても感染しやすい上に急に重症化することもあって、少しでも感染を食い止めようと外の世界は厳戒態勢で……」
「ふーん、外の世界がそんな有様だなんてねぇ……」
あまり興味を示さない霊夢に対し、菫子は焦りを顕にする。
「だから、もし幻想郷であの病気が流行ってしまったら大変だと思って、こうやってマスクをして距離をとって話してるのよ!私以外にも外の世界から物や人が来ることもあるみたいだし、私はもう心配で心配で……」
「あら、その心配は不要よ」
菫子の話を遮ったのはスキマ妖怪、八雲紫である。
紫は菫子の背後に突然現れ、菫子の両肩にポンと手をおいた。流石に驚いたのか、菫子は「ひゃっ!」と声を上げていた。
「げっ、菫子よりも頻繁に外の世界へ行ったり来たりしてるヤツが来ちゃったじゃないの。大丈夫なのこいつは」
怪訝な表情で紫を見つめる霊夢に対し、紫は薄ら笑いを浮かべながら話し始める。
「霊夢、前に言わなかったかしら?私は『毎回消毒している』のよ。
それに、以前のタンポポの一件があってから、幻想郷に来るものは全て消毒することにしたの。得体のしれない病原菌が入り込むスキマなんてありませんわ」
そして紫は一息ついてから菫子を指差し、言った。
「もちろん、貴方も消毒済みよ」
「ええっ!いつの間に!?」
驚く菫子をからかうかの様に紫が手を伸ばし……
「それに、そんなに心配ならもっと徹底的に消毒してあげるわよ?」
「きゃっ!ちょ、ちょっと紫さんどこ触って……の、濃厚接触ですよ!?」
「あら、外の世界ではそんな言い回しが流行ってるの?濃厚な接触っていうのはもっとこう……ね?」
「ゆ、紫さん手付きがいやらし……いやーっ!レイムッチ助けてー!!」
「全く何やってるんだか……
そもそもこっちに来てる菫子の正体は……ま、心配が要らないというのは確かね」
(おしまい)
面白かったです。