Coolier - 新生・東方創想話

東方夢物語 <幻想に願いを>

2005/11/02 10:46:45
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 ○がつ ×にち
  幻想郷中で大騒動。
  どこもかしこもメチャクチャ・・・。



幻想郷の空を一人の魔法使いが飛んでいた
魔法使いの名は 霧雨 魔理沙

「まったく、今日は散々だぜ」
神社にいけばケヒケヒ笑う霊夢に追い回され、家に帰ればアリスに焼き討ちされ
所々で追い回され、行く所も帰る所もなく、ただぽつんと空を飛んでいた
「私が何かしたのか・・・?」
呟きながら人気の無いところに着地し、腰を下ろす
そんな時、魔理沙の横に見慣れた姿の女性が現れた


『ヘイ、ヘイ、ヘーイ』

「何だ紫じゃないか、お前まで狂っちまったのか?」

『幻想郷の皆を、元に戻したいんでしょ?』

「戻すって・・・やっぱり何か起きてるのか!?」

『なら、隙間の果ての大人形、ノヴァ崎にお願いするのよ』

「聞けよ、それに何だよノヴァ崎って」

『おっと、タダで何とかなるほど甘くは無いわ?』

「私の話を聞け・・・」

『ノヴァ崎を呼ぶには、七つの帽子を結んで、パワーを集めるのよ』

「だから何なんだノヴァ崎って、しかも帽子でパワー・・・?」

『果てしない旅になるけど、せいぜい頑張るのね。』

「ちょっと待ってくれ、いきなり言われても何が何だかわからないぜ」

『皆が待っているんだから。頼んだわよ!』


「・・・・・・・・・・・・・・・私の音速が遅いだけか?」
隙間に消えた紫を見送り、立ち上がってぱんぱんと土を払う
「帽子を集めろって言われてもなぁ・・・」
帽子を被りなおして、すでに暗闇がかった空を見上げる
だが異変をこのまま放っては置くことはできない
腹をくくって箒にまたがると、ふと帽子に頭が引っ張られた
「こっちに行けって事なのか・・・?」

そして一人の魔法使いが、幻想郷を元通りにする為に夜空へと舞い上がった――。




  ~STAGE 1~  紅.美鈴はunknownなのか?



「相変わらずだだっ広い湖だぜ・・・」
不思議な力に導かれるように紅魔館へ近づいていく
「えーと、門番が帽子を被ってたな、中国は・・・お、いたいた」
紅魔館の門に相変わらずぽつりと門番は立って・・・座っていた、体育座りで

「どうした? 中国」
話しかけても返事がない、顔をうずめて何か呟いてるようだ
「・・・?」
真横まで近づいて耳を傾ける

「私は中国じゃない・・・私は中国じゃない・・・私は中国じゃない・・・ブツブツ」
「怖っ!!」
普段の彼女からは考えられないほどの落ち込みといじけっぷりに体が思いっきり後ずさる
「紅美鈴・・・私は紅美鈴・・・中国じゃない・・・中国じゃない・・・」
体育すわりのまま延々と呟き続ける、なにやら周辺が一層暗く見えた
「え、え~と・・・美鈴?」
いたたまれなくなって名前を呼ぶ

ビクッ・・・ガシッ!

「わぁっ!?」
その名前に反応したのか、十歩はあろうかという距離を一瞬で詰め、抱きついてくる美鈴
「名前で・・・呼んでくださぃ・・・」
抱きついたまま涙目で名前をせがんで来る
「め・・・美鈴、美鈴! 紅美鈴! 紅・美・鈴!」
いきなりの状況に慌てたのか、名前を大声で連呼し始める魔理沙

「紅・美・鈴! 紅・美・鈴!」
「紅・美・鈴! 紅・美・鈴!」
いつしか美鈴本人も一緒に名前を叫び始め、合唱する二人

「「紅・美・鈴! 紅・美・鈴! めーりん! めーりん! 頑張れめーりん!」」

名前を叫ぶと共に美鈴が光り始める、合唱が繰り返されるたびに強くなってゆく光、そして・・・
「美鈴!?」
「ありがとう・・・魔理沙さん」
その言葉と満面の笑みを最後に、美鈴の姿は消えていった
「め、美鈴・・・? メイリーーーーーン!!」
漆黒の夜空に叫び声が響く、その時、ぽすっと魔理沙の目の前に美鈴の帽子が落ちる
それを拾い上げると、美鈴の声が頭に響いた
「(安心してください、今の私は帽子に姿を変えただけですから!)」
「大丈夫・・・なのか?」
「(はい!)」
美鈴の元気な返事に安堵の表情を浮かべながら、美鈴の帽子を自分の帽子の中にしまう
「とりあえず、一つゲット・・・か?」

 <中国の帽子をゲットした 1/7>

「よし、次は誰の帽子を取りに行・・・」
後ろを振り返り、箒にまたがろうとした所で嫌な人影が目に入る
「うふふふふふ・・・」
「あはっ・・・あははっ・・・」
魔理沙の視点に飛び込んできたのは、狂ったように笑い続けるレミリアとパチュリーだった
「よ・・・よぉ、レミリア、パチュリー・・・いい夜だな」
頬を引きつかせながらゆっくりと後ずさる
「日符 ロイヤルフレア」
「スカーレットシュート!」
「いきなりすぎるぜっ!」
紅弾をかわし、炎の壁をすりぬけてゆく
「ええい、逃げるが勝ちだ!」
箒の角度を上げ、一気に上昇して離脱を図る
「逃がさない・・・」
パチュリーがすばやく詠唱を終えると、3人を囲むように結界のドームが出来上がっていた
「げっ、随分のどの調子がいいんだなパチュリー・・・」
結界に逃げ道を塞がれ、向き直る
「この二人を相手にするのは少々きついぜ」
結界に封じられた密室の中で相対するは、紅い悪魔と紫の魔女
冷や汗が頬を伝う、そして胸元にしまってあるアレを取り出そうとしたとき
「魔理沙ーーーーーー!」
どこかで聞いたような声が響いてきた
「この声は・・・フラン!?」
声の方向を振り向くと同時に、結界が紅い光によって分断される
そして吹き上がった爆炎の中から姿を現すは、悪魔の妹 フランドール
「(レミリア、パチュリーに加えてフランまで・・・こいつはいよいよ年貢の納め時か?)」
しかしフランは魔理沙の前に立ち、レミリアに対峙した
「お姉様もパチュリーも私が抑えるから、その間に逃げて!」
「へ?」
意外な言葉に呆気に取られる魔理沙
「はやく! この異変を解決できるのは魔理沙だけなんだから!」
「あ・・ああ、わかったぜ!」
フランの気迫におされ、破壊された結界の隙間から大空へと飛び立つ

「お姉様が正気を失って、私が正気でいるなんてね、ふふ」
微笑みながらスペルカードを取り出す
「フラン・・・クスクス、あはははは、アハハハハハハハ!!」

狂い、笑い、飛び掛るは夜の王と七曜の魔女
迎え撃つは、闇をも切り裂く紅き魔剣

紅魔館から光が四方八方に散ってゆく
それを視界の片隅に捕らえながら、魔理沙は箒の向きを白玉楼へと向けた――。




  ~STAGE 2~  幽雅に食せ、紅染の海老 ~ Sparrow of Life



「相変わらず長い階段だぜ・・・」
白玉楼へ続く階段を飛んでゆく
「おお、ようやく見えてきたぜ」
階段の切れ目と一緒に門が見えはじめた、と同時に変なものが目に映る
「・・・・・・・・・餅?」
飛びながらも地面のそこら中に転がっている物を見る
白くて丸くて大きいものが沢山落ちているのだ
「何だこれは?」
ふと飛ぶのを止めて近くにあったのをひょいと持ち上げてみる
「助けてください~」
「うわぁぁっ!!」
いきなり喋り始めたそれに驚き、腰が抜ける
「あ、あー、びっくりした・・・」
深呼吸し、なんとか落ち着いて再度さっきの白い塊を持ち上げる
「助けてください~」
どうやらこの白い塊は魂魄のようだ
「魂魄って、こんなに大きくて丸かったか・・・?」
普通、魂魄といえばどんなに大きくても直径は40cmぐらいで、細長い形である
しかし今持ち上げている魂魄は直径が60cmを超えるどころか完璧に丸型であった
「一体何があったんだ?」
まるまるした魂魄に原因を尋ねる、見てておいしそうだと魔理沙は思った
「幽々子様がいきなりご乱心を起こされまして、グルメレースを行うとか何とかで・・・」
「・・・グルメレース?」
「はい、白玉楼の庭を使った競争のようなものなのですが、何故か途中においてある料理を
平らげていくレースでして・・・皆強制的に参加させられてこんな姿に・・・」
そういって、ほんの少し飛び出している尻尾?をぴこぴこ振る魂魄、つまり食いすぎで丸いのである
「は・・・ははは・・・おるぁぁぁー!!」
「な、何をするんですか、やめてくだされー!」
魂魄を空の彼方に放り投げ、キラーンと光ったのを見届けると、ゆっくりと白玉楼に向かった


『ニュゥゥゥゥ! チャレンジャー!! 霧雨ェェェ魔理沙ァァーー!!』
門をくぐると同時に、白玉楼に鳴り響く声
「うお、何だ何だ!?」
わけもわからず周りを見渡すと、サングラスを掛けてマイクを持ち、ノリノリの妖夢の姿があった
『そして迎え撃つは・・・500戦500勝の無敗のチャンピオン!西行寺・・・幽々子ォォォーーー!!』
幽々子の名前が叫ばれると同時に七色の光が白玉楼を覆った
そして障子が勢いよく開き、中から出てくるは・・・勿論、ノンカリスマの象徴、幽々子
「呆れてものも言えないぜ・・・」
「新しい挑戦者はあなた?」
庭に降り、魔理沙に近づいてゆく
「いや・・・別に挑戦とかじゃなくて・・・」
突然の展開にうろたえるしかない魔理沙、すると背後からこっそり近づいた妖夢が呟く
「ちなみに負けても、挑戦を放棄しても、罰ゲームですよ」
「罰ゲーム?」
みょんな顔をしながら振り返る
「ええ、幽々子様の胃袋の中へぽひゅーんと」
「それのどこが罰ゲームだぁ!」
叫びながら妖夢に向かって水平に箒をぶん回す
「甘いっ!」
マトリ○クス張りの反り返りで華麗に回避する妖夢
「ふふ・・・サングラスを装着した私は師匠をも超える!」
なんかやけに強気だ

「で、どうするのかしら、挑戦するの? それとも胃袋?」
魔理沙の両肩にぽんと手を置きながら問いかける幽々子
「うっ・・・」
「(これは非常にまずいぜ・・・足の速さならともかく、大食いで私に勝ち目はないしな・・・)」
手を組み、散々悩む・・・と、その時、帽子の中にしまっていた中国の帽子が光りだした
「な・・・何だ!?」
中国の帽子を手に取る、しかし何が起きたのかさっぱりわからない
すると帽子がいきなり宙に浮き、大量の光が帽子からあふれて、人の形になってゆく
「華人小娘、紅 美鈴参上! 魔理沙さん、大食いなら私の出番ですよ!」
「あ、中国」

ズザザザズベラッシャゴロゴロゴロゴロドガッ!!

爽快なほどに滑って転がって木に激突する美鈴
「・・・どうした?」
わけのわからない行動に思わず駆け寄る
「美鈴ですぅ・・・私の名前は紅美鈴ですぅぅ~・・・」
足にしがみつき、泣きながら自分の名前を主張する美鈴
「わかった、わかったから離せ、美鈴」

「というわけで、こっちは美鈴が挑戦するぜ」
「頑張りますっ!!」
右手を力強く振り上げ、やる気満々の美鈴
「ふふふ・・・これは面白い勝負になりそうね」
扇で顔を隠し、不気味に微笑む幽々子
にらみ合う二人のオーラが龍と虎を模った

『えー、ではルール説明に入ります、コースは白玉楼の庭を一直線に走るだけです
途中に料理が置かれているので、全て平らげてから先に進んでください、飛んじゃ駄目ですよ?』

「本当に大丈夫か? 美鈴」
「任せてください、伊達に紅魔館の財政を圧迫してませんから!」
心配そうな魔理沙に向かってドンと胸を張る
なんとなく館の住人にまで中国と呼ばれてる理由がわかった気がした

『以上でルール説明は終わりです、最後にそこのゴキブリは前に出ろ』
「・・・ゴキブリってのは私のことか?」
狂った妖夢にゴキブリ呼ばわりされ、しぶしぶ前に出る

ズドンッ!

「な、何だこれは!?」
どこからか降ってきた鉄の牢に魔理沙が閉じ込められる
「レース中に罰ゲームが嫌で逃げる方が多いので」
「・・・・・・・・・美鈴、負けたら一生中国だぜ?」
「ひぃぃ!?」
わけのわからない脅しに、本気で怯えて涙目で魔理沙を見つめる、相当嫌なようだ


『ただいま、両選手がスタートラインにつきました』

「魔理沙さんのためにも、名前のためにも、いや、名前のためにっ! 私は負けない・・・!」
「ご飯ご飯~♪ 今日の晩御飯は黒白~♪」
どうもはりきる主旨が二人ともずれている

『それでは・・・よーい』
美鈴と幽々子が足に力を込め、見届ける魔理沙と魂魄達に緊張が走る

『ドンといったらスタートですよ?』

だぁぁぁぁぁっ

虚をつかれて地面に頭から突き刺さる
幽々子が妖夢にヘッドロックを掛けていたが、全員見て見ぬふりをした

『えー、それでは、よーい・・・ドン!』

合図と共に一気に美鈴が飛び出す
「・・・あれ?」
美鈴が後ろを振り向くと幽々子との距離はかなり離れていた
「足はあまり速くない・・・これならいける!」
さらにスピードを上げて引き離す、そして第一の料理が見えてきた
「よし、どんな料理でも私の胃袋にかかれば・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
第一ポイントに到着するや否や、目の前の料理を見て絶句する美鈴
「何ですか、この巨大な物は・・・」
机の上には、とにかく大きなご飯の塊があった
『おにぎりです、勿論手作りですよ?』
「こんなでかいおにぎりがあるかぁー!!」
叫び、泣きながら直径1mはあろうかというおにぎりをかぶりつく
おにぎりを食べているのか、むしろおにぎりに食べられているのか
「うう・・・あと5分の1・・・」
それでも常人とは比べ物にならないぐらい驚異的なペースで食べてゆく
と、ようやく幽々子が追いついてきた
「あ~、走ったらお腹がすいたわ~」
そのまま口をあけ、おにぎりをがっしりと掴んで持ち上げる

バクンッ

たった一口でおにぎりは幽々子の口の中に消えていった
「・・・・・・・・・は?」
何が起きたのか、理解に時間がかかる美鈴
一部始終を見ていた魔理沙は後にこう語った、ありえねぇ、と
「くっ・・・化け物め!」
美鈴もおにぎりを平らげ、次のポイントに向かってダッシュする
「(私からすりゃ、どっちも化け物だぜ・・・)」

その後も美鈴が先行し、食べている最中に幽々子が追いつく展開が続いていった

『さー、いよいよ最後のポイントが近づいてまいりました!』
「く・・・あと一食、あと一回だけ頑張れば・・・!」
美鈴の胃袋もすでに限界に近い、それでも名前のため、魔理沙のために最後の力を振り絞る
『今、美鈴選手が最終ポイントに到着、そして料理の中身は!』
料理を覆っている布を取り払う、そしてそこにあったのは

「お願い・・・食べないでぇ・・・・・・」
縛られたまま、所々焦げ焦げのミスティアこと、ミスチー

「食えない・・・私にはこの娘を食べるなんて出来ないっ・・・!」
がくりと崩れ落ちる美鈴、そう、最後の料理は互いの手作り料理だったのだ
「食べろ!食べるんだ美鈴!中国と呼ばれてもいいのか!」
「駄目です魔理沙さん・・・私には、私には出来ません!」
大粒の涙を流し、地面に突っ伏する
「あー、ようやく着いたわ~」
その時、幽々子がついに追いついてしまった
「え~と、料理は~っと、わぁ、エビチリ~♪」
その様子を見て魔理沙も膝を落とした
「は・・・ははは、こんな所でゲームオーバーか・・・」
半ば諦め、呆然とした目でレースを見つめる
「いっただっきま~す」
幽々子は丁寧に手を合わせ、エビチリを口へとかき込んだ

途端、幽々子の動きが止まる
「・・・・・・?」
いきなり止まった幽々子を眺め続ける観客達
美鈴がひっそりと不気味な笑みを浮かべたが、気づいた者はいなかった

硬直した幽々子の顔中に汗が噴き出し、プルプルと震えだす
ガチャン! と皿が地に落ちて砕けた音が白玉楼に鳴り響いた
遂には幽々子の両手まで震えだし、目から涙が溢れてゆく
そして震えは足に到達し、目がどこか遠いところを見つめはじめ、そして・・・

「・・・エビは・・・紅かっ・・・た・・・ゴフッ!」

謎のセリフを残しながら、華胥の亡霊 西行寺幽々子は倒れた
妖夢はその優雅に倒れゆく様を最後まで見届けると

『ウィナー・・・紅美鈴!』

高らかに勝利宣告を白玉楼中に響かせたのであった

「一体何を食べたんだか・・・うっ」
牢から開放され、ぶちまけられたエビチリにそっと近づく、それだけで目が辛くなった
「・・・私特製の豆板醤を少しだけ」
中国と呼ばれる理由がさらによく分かった気がした
「ま、これで幽々子の帽子もゲットだぜ」
ぴくりとも動かない冥界の主から帽子をもぎ取る
幽々子の体が光りだし、帽子へと吸い込まれていった
「ん?」
頭がさらに帽子に引っ張られる、その先には焦げ焦げのミスチーがいた
「あー、こいつの帽子もか・・・」

 <暴食魔人と非常食の帽子をゲットした 3/7>

「それじゃ、私も少し休みますね」
いい終えると、美鈴の姿が消え、また帽子だけが残る
「お疲れさん」
ねぎらいの声をかけ、拾い上げて帽子にしまう
「じゃ、幽々子はしばらく借りてくぜ」
「あー、勝手にどうぞー」
妖夢も疲れたのか、やけに無気力に返答する、忠誠心も無くなってるようだ
そして返答を聞き終える前に箒が一気に空に跳ね上がり、砂埃とともに闇夜へ消えていった




  ~STAGE 3~  暴風少女 (Twin Version)



「残りは4つか・・・」
すでに美鈴、幽々子、ミスチーの帽子は手に入れた
「えーと、次はあっちかな?」
帽子が頭を次の目的地の方向へと引っ張る、ふとその時頭が軽くなった
「あれ?・・・って、あ!」
「帽子はいただきますねー!」
魔理沙の帽子を奪い、遠ざかっていく黒い影
「返せコラーー!!」

「ふふーん、これで残り3つともゲットと」
帽子を盗んだ犯人は射命丸 文、幻想郷のガセネタ記者だ
「これを持ち帰れば、輝夜と妹紅についてのリーク情報が・・・」
「まーちーやーがーれー!!」
「え、嘘!? 私に追いついてきた!?」
後ろを振り返れば、すでにだいぶ近い位置まで魔理沙が迫っていた
「私の帽子を返せー!」
「あなたのぼろいとんがり帽子なら今すぐ返しますー!」
そう言って中の帽子を取り出し、魔理沙の帽子を放り捨てる
「あ、私の帽子!」
急ブレーキをかけて帽子をキャッチし、丁寧に被りなおす
そして下を向いたまま、魔理沙がブツブツ呟き始めた
「あいつ・・・私の帽子をぼろいって言ったよな・・・言った、絶対に言った・・・」
そう呟きながら八卦炉を箒の先端に差し込む
「許さねぇぜ・・・・・・ブースターオン!」
箒の穂から大量の魔力が溢れ、次の瞬間、魔理沙は荒れ狂う暴風と化した

「どうなるかと思ったけど、これでミッションコンプリー・・・」
気楽に飛んでいた文の背中に寒気が走った
「(・・・何かが近づいてきてる!)」
嫌な予感がし、速度を上げる、そしてその予感は勿論的中した
「このクソ鴉があーー!!」
「ひゃあああああ!!」
鴉が逃げる、黒白が追う、二つの暴風が幻想郷を駆け巡る
「(ピーーー)して(放送禁止用語)にして(事情により伏字)にしてやる!!」
「ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさああい!!」


「はぁ・・・はぁ・・・」
その頃紅魔館には、全身がボロボロのフランの姿があった
「フラン、どうしたの? もう限界・・・? アハハハ」
「悪い子にはお仕置きね、水か火か、どっちがいいかしら?」
「(私はもうここまで・・・後はお願い・・・魔理沙!)」
目を瞑り、必ずこの幻想郷を魔理沙が救ってくれると祈る

「パチェ、お仕置きは私の仕「どいてぇ!!」
ズドンッ!
「きゃっ! 何が「邪魔だ!!」
ドガンッ!!

「・・・・・・・・・・・・?」
二度の衝突音の後、恐る恐る目を開けると、そこには誰もいなかった
「今の・・・魔理沙?」


「待ちやがれー!」
「待ちませーーーん!!」
湖を割り、森の木々を薙ぎ倒し、民家の屋根を吹き飛ばす
彼女たちの通った後には何も残らない
「許してくださいーー!」
「許さーーん!!」
文も全速力で逃げているが、少しずつその差は縮まっていた、そしてついに・・・

ガシッ!

「あうあぅ・・・・・・」
右足に走る感触に体が硬直し、ゆっくりと、ゆっくりと振り返る
「つ・か・ま・え・た(はぁと」
悪魔の、いや、鬼神の微笑がそこにあった――。

 ~少女絶叫中~

 <ガセネタ記者の帽子をゲットした 4/7>




  ~REST POINT~  狂色ファイナルスパーク



「早くこの異変を朝までに解決しないと・・・」
「文を帽子の回収にあたらせたとはいえ、さすがに一人ではな」
「そうね、私たちも出ないと恐らく間に合わないでしょう」
「肝心の紫様も姿をくらましてすっかり行方が知れない」
竹林の奥では、異変から逃れた者達が密かに集まっていた

「今回の異変、紫が原因でまず間違いない」
月の頭脳 八意 永琳

「一体紫様はどうしてしまわれたのか」
スキマ妖怪の式 八雲 藍

「だが、少なくとも今は帽子をそろえることが先決」
知識と歴史の半獣 上白沢 慧音

「大人形、ノヴァ崎・・・幻想郷中が危ない今、それに頼るしかないわね」
永遠と須臾の罪人 蓬莱山 輝夜

「で、何で私の家に集まるんだ・・・」
蓬莱の人の形 藤原 妹紅

「そしてお前らが文を差し向けたんだな」
普通の黒魔術師 霧雨 魔理沙

「わっ! いつの間に出てきたのよ・・・」
真後ろに現れた魔理沙に一瞬心臓が止まりかけた妹紅
「人をゴキブリみたいに言うな・・・」
嫌そうな顔をしながら文の帽子を取り出す
「その帽子は・・・!」
「文を実体化させて色々聞き出させてもらったぜ」
驚いた慧音に対し、ゆっくりと返答を返す
「実体化・・・! ならあなたがノヴァ崎を呼べる者、帽子の中の王、帽子マスター!」
「・・・なんだそりゃ?」
永琳から飛び出した謎の単語にわけのわからない顔をする魔理沙
「帽子マスター、それは幻想郷にある帽子の中で、特に形の強い、7つの帽子を統べる者」
「幻想郷に危機が訪れた時、7つの帽子を集めてノヴァ崎を召喚し、幻想郷を救うと言われている」
「喋るのはどっちか一人でいいんじゃないか?」
淡々と語る二人に厳しく突っ込みをいれる

「すでにこの場に7つの帽子は揃った、後は全てをあなたに委ねるだけ」
そう言い残し、永琳が帽子の中へと消えてゆく
「必ず、幻想郷を救うんだ魔理沙」
「そして紫様がなぜああなってしまったのか、突き止めてくれ」
慧音と藍も帽子へと姿を変えた
「人の話を聞かない奴らばかりだぜ・・・」
呆れながらも3人の帽子を拾い上げる、これで7つの帽子が揃った
「これで幻想郷は救われる・・・のかしら?」
ずっと横から眺めていた輝夜が口を開く
「なんとかなるさ、それより一つ聞きたいことがあるんだが」
ここで魔理沙はずっと思っていた疑問を口にする
「何でお前たちはいつも通りなんだ?」

場がしん、と静まり返る、そして輝夜がその答えを口にした
「永琳が言うには、普段狂ってる人はそのまま一回転してまともになるらしいの・・・」
説明しながら落ち込み始める輝夜、他人に狂っているといわれれば笑い飛ばすことが出来るだろう
ただし自分で自分が狂っていると気づいた時の衝撃は計り知れない
「・・・・・・んなあほな」
衝撃の告白に弱いツッコミしかいれれない魔理沙
「中途半端に狂ってる人は中途半端に狂ったままだとか・・・・・・グスン」
「確かに永琳や輝夜は普段から狂ってそうだ・・・フランもそうなるのか」
他にも時々スッパになる天狐とか、caved!なワーハクタク
ネタの為ならどんなことでもしかねないブン屋も後者に当てはまるだろう
「あれ? 私は?」
「妹紅は極端に鈍いだけよ」
「なんだとー!」
普段から輝夜と殺し合いをしている妹紅も一応は後者に入るようだ
「・・・・・・あ」
ここで魔理沙があることに気づく
「もしかして私も狂っているの・・・か?」
そう言い放ち、恐る恐る二人の方向を見る

「・・・まぁ、勝手に不法侵入するわ、人の物を持っていくわ、間違いなく普通じゃないわね」
「言葉使い変だし、いつも黒白だし、どっちかっていうと変人?」

数秒後、巨大な閃光が跡形も無く妹紅の家を消し飛ばしたのだった




  ~STAGE 4~  ノヴァが降りてくる ~ Doll Comet



「ひっく・・・ひっく・・・狂ってなんかいないやい・・・」
泣きながら竹林を後にする魔理沙
「ぐすん・・・(ごしごし」
涙を拭き、気を取り直して前を向く、とその時、7つの帽子が光りだした
「わっ!?」
魔理沙の帽子から飛び出し、光の輪を作りながら星空へと飛び上がっていく
「あー、また追いかけっこか?」
帽子の後を追い、自分も星空へと舞い上がる

そのままどれだけ飛び上がったのか、横を見れば地の果てまで見渡せそうな高さだった
「さすがに寒いぜ・・・」
口から出る息が白い、だいぶ酸素も薄くなってきたようだ
そして帽子がいきなり止まり、円状に回転し始め、強い光を放つ
「いよいよ、ノヴァ崎とやらのお出ましか?」
光がさらに強くなり、回転の速度が上がる、そして次の瞬間、目もくらむほどの閃光が走った
「くっ!」
腕で目を覆い、何とか光をさえぎる
「光るなら光るって先に言・・・・・・・・・・・・」
目の前のものが視界に飛び込んでくると同時に言葉が詰まった

「・・・・・・でかい・・・・・・ぜ」
魔理沙の前に現れたのは、もはや大きさを測ることができないほど巨大な人形だった
そしてその人形の目がゆっくりと・・・開いた


『READY・>』

「お、おお・・・喋ったぜ」

『アナタの・ねがいを・ひとつだけ・カナえて・さしあげマス・・・>』

「あ、そうか・・・えっと、幻――ドンッ!
願いを言おうとした寸前、いきなり現れた何者かに弾き飛ばされる

「じゃ、幻想郷を私のものにしたいの!」

『OK>3・2・1・GO!>』

「な!?」
突然の出来事に慌てながらも、なんとか態勢を立て直す
「やったぁ!うまくいったわ!!」
「紫・・・!」
喜ぶ紫、驚愕する魔理沙
「皆が狂ったのも、あなたがこうしてここにいるのも、全ては、私の完璧な計画なのよ!」
「やっぱりお前が・・・お前が異変の原因なんだな!」
全速力で飛び、紫へと迫る
「とにかく、幻想郷は私のもの! これで何でもし放題よ! ま、許してちょーよ(はぁと」
そう言い残しつつ、紫の体が隙間へと沈んでゆく
「な、待て!」
「ほっほっほっほっほ、おっほっほっほっほっほ」
高らかな笑い声を響かせながら紫は姿を消した

「・・・・・・ちっくしょーー!!」
魔理沙の怒声が空に消えてゆく
それと同時にノヴァが幻想郷に向かって降下し始めた
「ぶっ壊してでも止めてやる!!」
後を追い、急降下する魔理沙

ノヴァが止まるのが先か、それとも――。




  ~STAGE 5~  ヴォヤージュ0079



「なんて・・・頑丈なんだ」
マジックミサイルでも、レーザーでも
マスタースパークですら傷一つつかず、止まる様子の無いノヴァ
「一体どうすれば止められる・・・?」
すでに地表はかなり近くなってきていた
「まずいぜ・・・」
魔理沙の表情に焦りの色が出始める
その時、夜空へと消えていた7つの帽子が魔理沙の元へと再度集う

「(魔理沙、外からでは駄目、首もとの隙間から入って中から破壊するのよ!)」
「(ノヴァの胴体、その中心部に奴のコアがある、それを破壊すればノヴァは止まる!)」
永琳と慧音の声が響く
「わかったぜ・・・間に合ってくれよ!」
不安になりながらも箒をノヴァの方向へと向け、一気に全速力で駆けぬける

「(大丈夫です、下を見てくださいよ!)」
文の声で下を見る、その先にはノヴァに真正面から立ち向かう幻想郷の住人達の姿があった
「(お嬢様方に、霊夢さんや妖夢さん、アリスさんもチルノちゃんも・・・皆が頑張ってます!)」
「(幻想郷を思う心は皆一緒、例え狂わされても、それだけは変わらないわ)」
幻想郷の住人達がノヴァに立ち向かい、弾幕の壁を作る、押され、押し返し、幻想郷を守る

「(ララァ~♪ 何をかけるのか~♪ 何を残すのか~♪)」
「(ノヴァを止めるのはお前の仕事だ! 魔理沙!)」
「ああ・・・・・・いくぜ!」


緊急警報! 緊急警報!
機内C-12ブロックニ侵入者 機内C-12ブロックニ侵入者
防衛システム発動! タダチニ排除セヨ!

「ち、派手なお出迎えだぜ」
巨大な通路に出るとともに、その通路を覆い尽くすほどの弾幕が出迎える
「止められるものなら止めてみやがれ!」

・・・・・・第8防壁全壊! 第8防壁全壊!
侵入者ハD-6ブロックヲ通過 防衛システムレベル7ニ移行セヨ!

「全部纏めてぶっ飛ばしてやるぜ!マスタースパーク!!」
放たれた巨大な閃光が防壁を貫き、その余波がガードロボを粉々に破壊してゆく

・・・・・・第37.42.51防壁全壊! 第39.40.45.46.53.55防壁破損! 侵入者ハ直モ中心部ニ進行中!
D-Eブロック ガードロボ全滅! 全滅! 全滅!

「ははっ、段々慌しくなってきたぜ」
さらに速度を上げ、中心部に突き進む

・・・・・・防衛機構停止 防衛機構停止 
侵入者ニ警告スル コレ以上ノ接近ハ 危険 危険 危険

「なんだ?もう終わりか?」
警告を意にも介さず、真っ直ぐに飛び続ける

侵入者ハ警告ヲ無視 侵入者ハ警告ヲ無視
コアシステム 始動 侵入者ヲ・・・抹消スル!

「おいおい、やけに物騒だな・・・」
真っ直ぐに飛び続け、通路を抜けると、とてつもなく広大な部屋に出た
「ここが・・・中心部か?」

『ソノトオリ・・・ダゼ』

「なっ!?」
突如中心部の巨大な塊が声と共に動き出した
コアが変形し、人の上半身を模した姿へと変わってゆく
水兵帽にセーラー服、そして金髪のツインテール っぽいメカ

『最終防衛システム チユリ マークⅡ 発動・・・ダゼ』

「う・・・うわぁぁぁ!!」
その姿を見た途端、魔理沙の顔が恐怖にゆがみ、悲鳴を上げた
『侵入者ヲ確認、抹消スル・・・ゼ』
チユリマークⅡの腕が変形し、巨大な砲身の形を作る

――ちゃ駄目だ
絶体絶命の状況の中、心の中にある言葉が響いた

逃げちゃ駄目だ、逃げちゃ駄目だ、逃げちゃ駄目だ

「逃げちゃ駄目だああ!!」
絶叫しながら八卦炉を構え、特大の閃光がチユリマークⅡに向かって放たれる
『超高出力エネルギーヲ確認、A.T.フィールド展開・・・ダゼ!』
フィールドによって弾かれた光が、広大な空間を縦横無尽に破壊してゆく
「私は・・・私は・・・霧雨魔理沙だぁぁ!」
魔理沙に呼応するように、さらに爆発的に出力を上げる八卦炉
『・・・ターゲット、出力増大・・・A.T.フィールド、限界突破・・・ダゼ』
轟音と共にフィールドが弾けとび、閃光がチユリマークⅡを包む
閃光の中で機体がバラバラに弾けとび、そしてコアは砕けた――。




  ~FINAL STAGE~  少女幻想 ~ Dream Fantasia



コアが破壊され、各所で誘爆が巻き起こる
「私は・・・ここにいていいんだ・・・って、うおおお!?」
我に返り、ようやく非常事態に気づく
「何だ、何で壊れてるんだ!?」
自分が壊したことすら気づかずに、必死に脱出してゆく


「ふへー、ようやく外だぜ」
活動を停止したノヴァの上空へ飛び出る
「・・・やってくれたわね」
下から氷のような声が響く
「紫・・・」
ノヴァの背中へと着地し、相対する
「折角うまくいっていたのに・・・」
「へっ、この私を利用しようなんざ、100万年早いぜ」
互いに睨み合う二人、そこに二つの帽子が飛び出した

「紫様・・・何故こんなことを・・・」、
「一体あなたに何があったというの? 答えて、紫」
藍と幽々子が姿を現し、問いかける

「・・・私は幻想郷を愛している」
扇を取り出し、口元を隠す

「だけど何をしても、幻想郷は私のものにならなかった」
ゆっくりと、ただゆっくりと魔理沙達へと近づく

「だからもういい・・・手に入らないのなら、私の手で全てを壊すだけ・・・」
言い終えると同時に扇を前に向ける

『異弾幕結界 -集束砲-』

巨大な隙間が開き、その奥からまるで魔砲のように
一切の隙無く埋め尽くされた弾幕が放たれた

『死符 ギャストリドリーム』
幽々子からも高密度の弾幕が相殺せんと放たれる
しかし、一切の勢いを弱めることなく、迫りくる弾幕の壁
「本気なのね・・・紫」
逃げ場も無く、相殺することも不可能と知ると、幽々子は静かに目を閉じる
「くっ・・・魔理沙だけでもっ!」
「藍!?」
魔理沙に覆いかぶさり、力の全てを結界へと回す
着弾音が鳴り響き、轟音へと変わり、静寂が残る・・・

「・・・・・・幽々子・・・・・・藍・・・・・・」
魔理沙が目を開けると、幽々子の服の切れ端と
覆いかぶさったまま、ピクリとも動かぬ藍の姿があった

「これで貴方達は永久に私の物・・・誰にも渡らない、誰にも渡さない」
紫が歪んだ笑みを浮かべる
「紫ィィィ!!」
箒にまたがり突進する
「イリュージョンレーザー!」
白光のレーザーが放たれる、しかし紫の姿はそこにはなかった
「なっ!?一体どこへ・・・」
「ここよ」
声のする方向へ振り返る、しかしそこにも姿は無い
「こっちこっち」
「ふふふ、あははははは」
笑い声を響かせながら高速で空間を移動する
「ちょろちょろと・・・スターダストレヴァリエ!」
大量の星型の魔力弾がばら撒かれる
「ふふ、どうしたの? その程度の攻撃では私は倒せないわよ?」
避ける気もないのか、魔力弾が何発も直撃する、しかし紫の服に傷をつけることすらかなわない
「いいんだよ、只の目くらましだ」

『三種の神器 剣』
『イルスタードダイブ!』

星の影から慧音とミスティアの攻撃が紫を襲う
確実に虚を突き、それは紫の体を貫いたはずだった

「馬鹿な・・・」
「え・・・ええ~!」
そこには、両者の攻撃を素手で受け止める紫がいた
「もう一度言うわ、この程度の攻撃では私は倒せない」
再度紫の姿が隙間に消える
「くっ・・・また消えたか」
紫の姿を見つけようと、すぐに周りを見渡す慧音
「一体どこに・・・?」
ふと、妙な違和感が体を支配する
「あ、あれ?隙間が開いたまま・・・あわわ」
ミスティアが閉じられていない隙間に気づいたが、すでに遅かった
「くっ・・・な、なんだ、引っ張られる!」
強烈な吸引力で隙間が二人を引き込み始めたのだ
「今行く!」
魔理沙が二人を助けようと近づく
「来るな!もう間に合わ・・・」
「助けっ・・・」
「慧音!ミスチーー!」
二人の姿が隙間に消え、そして魔理沙の手は届くことなく・・・閉じた

『弾幕世界 -黒穴-』

上空から紫の声が響く
「これで4人、ふふふ」
隙間に座り、見下ろしながら不気味に微笑む
「くそっ・・・」
紫を睨みつける、隙間が開き、何かが落ちてくる
それは無残な姿に変わり果てた、慧音とミスティアだった
「さぁ、残りの3人も出しなさい、貴方から全てを奪った上で、貴方を壊してあげるわ・・・」
紫の足が地に付く、そしてじっと魔理沙を見つめる
「言われなくとも出すさ」
帽子が光り、美鈴、文、永琳が姿をあらわす

「どうします?このままじゃ勝ち目なんて・・・」
「大妖 八雲紫・・・これほどの強さ・・・」
その圧倒的な強さの前に、怯む美鈴と文
「永琳、何かあいつをぶっ飛ばす方法はないのか?」
「・・・そうね」
永琳はゆっくりと紫の方を見、口を開く
「正面からいっても勝てる相手じゃない・・・でも一つだけ方法がある」


「あら、もう相談は終わり?」
余裕の表れか、何もせずに只眺めていた紫
「ああ、もう終わりさ、何もかも・・・な」
魔理沙が呟く、そして一気に大空へと飛び上がった
「ふふ、一体何を企んでいるのかしら・・・?」
飛び上がった魔理沙に、扇を向ける
「余所見とは余裕ですね!」
その一瞬を突き、一気に美鈴が間合いを詰める
『破山砲!』
ズドン! と轟音が鳴り響く
「中々の威力・・・ね」
苦痛の表情を浮かべながらも、美鈴の突き上げを左手で受け止める
「私も忘れてもらっては困りますね!」
文が紫の後ろに回り、扇を振り下ろす
『風神一扇!』
「っ!」
右手を後ろに回し、自らの扇で文の攻撃を薙ぎ払う
連続して繰り出される二人の攻撃をかわし続ける紫
「ふふ・・・中々楽しませてくれるわね」
そして紫が反撃に転じようとした瞬間、二人が一気に距離を離した

『天文密葬法』

一瞬で紫の周囲を光が覆い、膨大な弾幕が紫を襲う
しかし、紫はこの状況に追い込まれても微動だにしなかった

「ふふふ、中々良かったわ、でも、もうお終いよ?」
余裕の笑みを崩さず、扇を閉じ、ゆっくりと眼前に隙間を開く
「宇宙を切り裂く究極の破壊の光・・・貴方達に耐えられる?」


『機砲 ソーラ・レイ』



「この高さまでくれば十分だな」
ノヴァが全て視界に入るほどの高さまで上昇し、魔力を練り始める

「(紫を倒すには、あなたの強烈な魔砲でノヴァの奥深くまで叩き込む
そうすれば魔砲による衝撃で、すでに半壊状態のノヴァが大爆発を引き起こし――)」
永琳が出した最後の手段、それを実行に移す為、ただ一人空中に飛び上がった魔理沙
「(私達3人で紫を回避することの出来ない状況に追い込む、だから――)」
一言一言をゆっくりと思い出しながら、魔力をさらに練る

「だけど、このままじゃ駄目だぜ」
魔理沙はこの作戦の一つの穴に気づいていた
ノヴァの装甲には、恐らくファイナルマスタースパークでも穴をあけられないということ

「だから、私の本当に・・・本当に取っておきの技、見せてやるぜっ!!」

箒がぐるりと下を向く、そして膨大な魔力が魔理沙を覆い、流星となる
だが、紫の姿が視界に入ったとき、破壊の光が永琳達へと放たれた


「ふふ、結局何も残らなかったわね・・・ねぇ魔理沙?」
全てが消し飛んだのを確認すると、空を見上げ、流星となった魔理沙を見つめる

「相棒、お前とはずっと一緒に空を飛んできたな・・・雨の日も、雪の日も・・・弾幕の中もな」
ぽつりぽつりと箒に語りかける、そして自らを包む魔力がさらに膨大なものになる

「あれは・・・ブレイジングスター? ・・・・・・でもそれでは、この光からは逃れられない」
紫は余裕の表情を崩さない、そして再度、破壊の光を放つ為の隙間を作る

「この技を使う日が来るなんて思ってもいなかった・・・だから名前も付けてなかったぜ」
そして魔力の膨張が止まったかと思うと一気に収縮し、その全てが箒へと込められた

「・・・・・・? あれは・・・違う、ブレイジングスターじゃない!」
空から迫るとてつもない魔力に、紫の余裕の表情が消える

「これでお別れだな相棒・・・・・・さよなら・・・だ」
躊躇いながら箒から手を離す、魔理沙の体が宙へ投げ出され、ゆっくりと離れていく

「まだあんな奥の手を・・・!」
隙間から破壊の光が放たれ、箒を飲み込む
しかし箒は全てを貫く魔弾に姿を変え、その中を突き進んだ




放たれた最後の魔弾は、全ての光を切り裂き、隙間を消し飛ばし、そして――。











一人の魔法使いが、重力に引かれて落ちてゆく

その目が最後に見届けたのは、夜空を真っ白に染める巨大な花火だった。































魔法の森に一軒の小さな家がたたずんでいる

「・・・・・・想郷は・・・・・・ムニャ・・・・・・救った・・・ぜ・・・・・・zzz」

木漏れ日の注ぐ中、幸せそうな顔で眠る少女、彼女の見た夢はどんな夢だったのか――。






























  ~EXTRA STAGE~  Happy Dream ~ 東方夢時空



一夜の夢の世界が幕を閉じ、今日も幻想郷に平和な日がやってくる



「ねぇフラン、何かほしいものは無いかしら?」
「・・・どうしたのお姉様? いつもはそんなこと言わないのに」
「あ、フラン・・・えーと、何か欲しい本とかない?」
「パ、パチュリーまでどうしたの!? 今日は二人ともなんか変よ・・・?」
「別になんでもないわよ、ねえパチェ?」
「ええ、なにもないわレミィ」



「咲夜さん・・・あまり食べ過ぎない方が・・・」
「うるさい!食べないとやってられないのよ!エビチリおかわり!」
「は、はい、ただいま~」
「まったく・・・・・・うっ!?・・・・・・・・・・・・バタッ」
「あれ? 咲夜さん? ・・・あ、豆板醤が」




















「よし、皆集まったわね」
「幽々子様、わしらを全員集めて何をするんですかいのう?」
「ふふ・・・構想3年、準備に1日、その名も! 白玉楼チキチキグルメ『逃げろぉーー!!』

「・・・・・・・・・・・え? 皆待ってー!?」



「サングラス・・・かい?」
「はい、香霖さんの店になら置いてあると思いまして」
「一応あることはあるが・・・妖夢、君がかけるのかい?」
「え、ええ・・・」
「(確か前にも、老人が同じ物を尋ねに来た事があったような・・・)」
「・・・・・・どうしました?」
「あ、いや、何でもないよ」





















「輝夜ーーーーーー!!!」
「ちょ、朝からどうしたのよもこたん!」
「どうしたもこうしたも、これを読め! あともこたん言うな!」
「えー? ああ、あの天狗の新聞じゃ・・・・・・・・・・・・HELPMEEEEE!!ERIIIIIN!!」
「(姫、ごめんなさい・・・永遠亭の財政が苦しいのです・・・)」

「号外、号外ー、蓬莱人同士の秘密の関係が遂に明らかになったよー!」



「ま~るかいて~♪ お~まめ~がふ~たつ~♪」
「ミスチー、人里で歌うなといつも言ってるだろう」
「ララ~♪ 慧音はドケチ~♪」
「・・・・・・caved!」



















「藍様、起きてください」
「ん~・・・橙? やけに早起・・・紫様ぁっ!?」
「朝食が出来てますわよ、早く起きてくださいな」
「はい!ただいま!・・・って何で紫様がこんな朝早くに起きてるんですかー!」
「ふふ、ちょっとあっちで張り切ったものだから、さ、着替えて着替えて」
「一人で出来ますって! ったくもう、一体何を張り切ればこんな朝から・・・」
「・・・・・・ふふふ(はぁと」



「学会から追放されて幾千日・・・ついに、ついに設計図が完成したわ!」
「ご主人様・・・何の設計図ですか?」
「よくぞ聞いてくれたわ、この岡崎 夢美の生涯最高傑作!その名も・・・」
「ノヴァ崎とか?」
「・・・・・・・・・ちょっと、何でわかったのよちゆり」
「あー、なんとなく」

















幻想郷の空を一人の魔法使いが飛んでいた
魔法使いの名は 霧雨 魔理沙

「今日も一日平和だぜっと、おーい、霊夢ー」
「・・・・・・・・・・・・」
「お茶をー・・・・・・霊夢?」


「・・・・・・ケヒ?」










        <THE END>




原作がピンクボールのあれ 第二段
書けて良かった:○ャインスパーク うわぁぁぁ:シナリオ補完(原作がOPとED前しか無くて辛)
というわけで初期構想から内容が180%ぐらい変わってようやく完成にこじつけました
紫のスペルは全部○クがモデルです、色々古いネタや某ネタとか・・・命だけは勘弁してくださいorz
ギブミーワンモアチャンス!ピンクボール第三弾でもう一度チャンスを!

没シーン:紅魔館の大戦争 グラサン妖夢対妖忌 ゼンコーテンコー合戦
ヘルプ魅魔&ダークミマー 帽子が集まって変なものに 千兎永遠郷
幻想と空想の混ぜ人
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コメント



0.2570簡易評価
3.100名前はまだ無い削除
うわー!本当にやりやがったーっww!
7.90名前を消された程度の能力削除
とても面白かったです。ピンクボール最高!!
それにしても、咲夜さんが自棄食いしているのは
やっぱ出番が無かったからですかねw
 
第三弾も楽しみに待っています。
12.90名前が無い程度の能力削除
も、もう一段階だと!?まだギアを隠していたのか!!??
15.80てーる削除
第二段キターw
次は?次は!?w
第三弾といわずに フルコンプリートを希望しm(ドブッ!【杵で0.1秒】
21.80sayuki削除
星黴「○ープスター」
紫、役ハマってますね、攻撃スタイルそっくりです。


29.100奈々氏削除
す、すごいです!特に最後にしびれました!
あと終わり方もうまくまとめていて、十分楽しめました。

次は・・・なんでしょう?楽しみに待ってます。
30.90名前が無い程度の能力削除
やりたい放題だなー。
最高ですb
40.100ちょこ削除
すごいなぁ;
カー○ィと東方;;;;
59.100名前が無い程度の能力削除
作者のくろ歴史タグに吊られて。
63.80名前が無い程度の能力削除
読むまでマルク役は七色の羽根、根底が狂気、異質な魔法の3繋がりでフランかと思ってたぜ!
64.70名前が無い程度の能力削除
とても面白かったのですが、無類のカービィ好きとして、あれを夢落ちにしたこの作品に100点はあたえられませんでした。
70.90名前が無い程度の能力削除
個人的には最後の紫戦でカッターとか茨が生えて来る種とかもやって欲しかったけど、とりあえずGJ。

>64
「銀河に願いを」は元々夢落ちだよ
73.100名前が無い程度の能力削除
なんだこのフリーダムww
超おもしろかったです。