Coolier - 新生・東方創想話

比那名居剣法帖

2011/04/03 01:56:41
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強くなりたくて

強くなりたくて

煩わしいこと、思い通りにならないこと、全部切り裂いてしまいたくて












普通、青々とした空の下原っぱに寝転べば、それはそれは気分は良いだろう。
太陽は燦燦と輝いて温かく私を包んでくれるし、風はそよそよと髪をなでて通り過ぎていく。
良い気分な筈なのだ。

「ちぇ」

思わず舌打ちをしてしまう、こんなところを見られたらまた不良天人と呼ばれてしまうのだろうか。
見られなくても最初からそう呼ばれているのだけれど。
お気に入りの場所で寝ころんでいても気分は晴れない。

何をしても面白くない。
衣玖がいれば又別なのだけれど、彼女は暫く龍神の所に行っているらしい。半年近くは戻っては来ないという事だった。
ささくれる私の心を嘲笑うかのように、眼下を流れる川はただただ穏やかで。

「ちぇ」

もう一度舌打ち。
どうしたって心は晴れない。天人には特にしなくてはならない事はない。雑事はこの天界に住まう妖怪達が済ませてしまう。
他の天人達は酒を飲んでだらだら生きているだけだ。昔は立派に見えていた父も今では他の天人達と変わらない。そのくせ私が何かしようとするとあれは駄目、これは駄目と口うるさいのだ。それは私の事を考えてと言うより、家の体裁を考えてということが多かった。
自分も昔はそういう物だと思っていた、でも今は楽しめない。
そんな事はただつまらないだけだ。暇潰しにもならない。

この間の異変は楽しかった。自分の引き起こした事件で、地上の妖怪、只の人間などに敗北したのはプライドを傷つけられはしたが、それでも楽しかった。

思えば天界に上がってからあんな風に心が躍った事など一度もなかった。
名居の家と共に天界へと昇り、天人となってからは天人としての礼法だけを考えさせられて生きてきた。
それが誇りになるはずだった。けれど、私の心はずうっと何かを押し殺していた。
家に言われた事を大事にしていた、それしか、大事にしたい物がなかった。けれど、ある時、抑えていた物が溢れた、退屈が、我慢できなくなって異変を起こした。それが、たまらなく爽快だった。
地を這う者達と交わり、己の拠り所としていた天人であるということが、何とも皮相浅薄な物に感じてしまった。
礼など知らぬ、高貴でも何でもない地上のやつらは、みんな楽しそうだった。


「あーあ、また神社でも潰すかなあ」

嘆息と共にそんな事を言うと、どこからか声が聞こえた。

「聞き捨てなりませんわね」

蒼穹の空の下、その青を引き裂くようにして中空に亀裂が入る。
見覚えのある画だ。
引き裂かれた空間が広がり中に見えるのは無数の目。

「なによスキマ妖怪、覗きとは良い趣味じゃないの」
「あらあら、ご挨拶ですわねぇ」

スキマから現れた女は風にたなびく金髪を揺らし、その類い希と言っても良い程美しい顔を此方へ向けて艶然と微笑む。
まあ私にはかなわないけれど。
この八雲紫に私は砂を噛まされた。あの時の悔しさがこみ上げる。

「なにか、物騒な言の葉が耳に入ったので、つい顔を出してしまいましたわ」
「冗談よ、冗談」
「あら、そうでしたの、だったら良いのだけれど」

さっきまでの退屈な感覚が消えていた。
わくわくとした気持ち、それが止まらない。
雪辱という言葉が胸に浮かぶ。

「それにしても良い度胸じゃないの、わざわざこんな所まで来て、私の前に顔を出すだなんて、何の用?」

立ち上がり、片手に力を込めれば、赤い刀身を持った緋想の剣が現れる。
頬が思わず緩む。

「あらあら、相変わらずのお転婆さんですこと」
「ふん、ここで会ったが百年目よ」
「特に、なんてことはありませんのよ、私はどこにでもいてどこにもいない、ただ、己が終熄させるべきだと思った厄介事に首を突っ込んでいるだけ、言葉で済むならば、これでおさらばですわ」
「天人はね……いえ、比那名居天子は誇り高いのよ、敗北をそのままにしておくだなんて出来るもんですか、ましてや、仇敵がそちらから顔を出してくれたのならこれはもう天の配剤としか言いようがないじゃない」
「まあ、怖い」

屈辱等という物だけではない、誇りを傷つけられた、と言うのとも違う。
退屈な日常、努力や懸命になるという事を下賎と捉える天人達。そんな中に生きて与えられ続けられる不満。
目の前の女に、自分の力を全てぶつけたかった。何かに自分自身を受け止めて欲しかった。

「貴方では私に勝てなくてよ」
「ふん、たった一度の勝利で偉そうにしないでよ」
「ふぅん……」

日傘をくるりと回した八雲紫が此方を見て首をかしげた。

「なによ?」
「ああ、ごめんなさい、いえ、この際貴方のような迷惑な娘は殺してしまった方が良いのか、なんて考えていましたの」
「上等よ!!」

微笑む八雲紫から禍々しい程の妖気が立ち上る。
ぞくりとした感覚が背中をはいのぼる。それと共に闘志、とでも言うのだろうか、体中を駆けめぐる。
ああ、心が躍る、この卑しくも強大な妖怪とまたやり合える。
勝ちたい、この女に。

「その大口!黙らせてやるわ!!」

駆ける、目の前の妖怪に向かって。既に剣は抜いている。
右手に持った緋想の剣で斬りかかる、それこそ渾身の力を込めて。
相手の肩口に刃、深く食い込む。そのまま胸元まで。

「まあ、乱暴」

肩口から胸元辺りまで、ばっさりと剣が食い込んでいる、しかし流血した様子も、狼狽えた様子も全くない。
その、八雲紫の胸に空いた傷口であろう部分から二本の腕が這うようにして現れた。

「隙間!?」
「お痛をする子には、お仕置きが必要ですわね」

傷口から現れた腕の掌がそっと私の胸に触れ、光が放たれる。
弾幕、至近距離で全弾。幕と言うよりは一個の巨大な塊が胸を撃つ。

「げほ………っ!!」

吹き飛ばされた、常人ならば体が貫かれていたであろう衝撃に口元から血が零れる。体の頑丈な天人であるが故に耐えられた。
考えながらも宙を舞いながら左手を操る。
念じて欲すれば現れるは大地を支える要の石。
敵の頭上、そのまま落下させようと。

「要石の使い方、間違ってますわねえ」
「潰れなさい!スキマ妖怪!」

八雲紫は石を見つめたまま動かない。
要石が落下する。
同時に自分の体も地面に叩きつけられた。
もうもうと砂埃が舞い、大きく地面を抉っている。

「やった!」

素早く立ち上がり口元から流れ出ている血を拭う。
鉄の味がした、生きている味だと思った。

「やられたぁ、なんちゃって」

背後から聞こえた声、やっていない。

「ふっ!!」

振り向きながら刃を振るう、響いた、キィンという金属音。
緋想の剣は八雲紫の持つ傘に阻まれ、鍔迫り合いの形になる。
この剣で切り裂けない、一体どういう傘だ。

「ちぃ!」
「うふふ、惜しい、惜しい」

触れそうになる程近づいた顔、その余裕の顔がたまらない。どういう風にたまらないのかは自分でも分からない。

「こ……の……!!」
「あらあら、お顔真っ赤にしてしまって」
「るっさい!」
「頭に血が上ると……」

会話に気を取られた所で、急に力を逸らされた、前につんのめるようにして転んでしまう。

「危ないですわよ」

ころがり、仰向けに倒れ立ち上がろうとする、が。

「チェック・メ~イト」

首筋にひんやりとした感触。突きつけられた八雲の傘。
ゾッとするようなほほえみを浮かべた八雲紫が口を開いた。

「さあ、常世とお別れする準備は出来ていて?」

死ぬ、のだろうか。殺されるのだろうか、こんなにあっさりと、こんなに簡単に。
生きていたいのだろうか。今さっきまでの平穏な時間を思い出す。生は半ば苦痛になっていた。死ねばその苦痛から解放されるのだろうか。考えてみればもう数百年も生きているのだ。人間であれば、天人にならなかったならばとうの昔に死んでいる。地子と呼ばれていたあの頃は見る者聞く物が全て新鮮で楽しかった。
その方が幸福な人生を送れたのだろうか。想っても詮のない事だった。

「いいわ」
「あら?」
「おやんなさいよ、少し悔しいけどどうしても生きていなくちゃならない訳じゃないし」
「随分似合わない事、おっしゃいますのね……」

初めて八雲紫が眉をひそめる所を見て少し驚いた。
一太刀浴びせられたかな、なんて考えた。意図せず、力ではなく言葉でというのは残念だけれど。
心残りは一つだけ、衣玖が、泣くだろうか。

「早くやんなさい」
「死にたがりなんて貴方の性格には似合わないのだけれど?」
「いいじゃないの、どうだって」
「可哀そうな子」

可哀想、その言葉になにか悔しさに似たような物がこみ上げる。

「……うるさい」
「哀れな娘」
「……うるさい!!」

叫んだ、何か大きな敗北感に包まれながら。力でねじ伏せられたのとは又違う感覚だった。それは、身を引き裂かれるよりも深く突き刺さったような気がした。だから、なお叫んだ。

「アンタみたいに強くて!何でも思い通りになる奴に何が分かるのよ!人生が、私の全てが間違っていたかも知れないなんて考えさせないでよ!殺すのならただ殺してよ!」
「弱い子ね、うちの橙の方がまだ道理をわかっている」

弱いのだろうか、自分は強いと思っていた。だから思い通りにならない事を諦めたり出来なかった。でも、本当は脆弱な存在なのならば、自分の自信の源は何だったのか。
八雲紫は嘆息を一つ吐き、どこか哀れむような目で私を見つめた。こんな目で見つめられてしまう存在なのだ。
この場で死ぬのならば、それは解放なのだと思いたい。
ただ、できるなら

「……なりたかったなあ」
「なんですの?」
「強く、なりたかった」

今更だろうか、もう、死ぬというのに。

「興がそがれましたわ」

傘が首下から引かれた。

「でも、お仕置きはお仕置き」

顎を何かが掠めた、と思った。
そうして、私の思考は真っ黒な闇に遮断された。








目が覚めると辺りは暗くなっていた。
辺りを見回しても誰もいない。
誰も。
あるのは、地面に突き刺さった私の剣。

不思議と、死なずに済んだという感慨はなかった。
生き残ってしまったという思いも。
ただ、悔しかった。

「くそ……」

哀れむようなあの目。
一太刀も入れられず、心を見透かされたように。
あの女に哀れと言われた。悔しいのは彼女に対してではない。自分自身に対してだ。

「強くなりたいなあ……」

何もかも、切り裂けるように。不満も退屈も迷いも、弱い自分自身も。

「強く……」

膝、抱えた。誰もいない事は分かっていたけれど顔を隠したくて。

「ほうほう、こりゃ珍しいの」

突然聞き慣れない声が聞こえた。
少し驚いたが、顔を上げるのも億劫だ。

「赤い刀身とはのう、こりゃ珍しい、お嬢さんの剣かね」
「……だったら何よ、うるさいわよ、どっかいきなさい」
「まあ、そう言うなて、それにしても良い刀だのう、いや、剣か」

どうやらかなり薹の立った男のようだ。天人であるならばかなりの高齢だろうが、しゃべり方が天人らしくない。妖怪か何かだろう。
顔を上げて、声のする方を見ると豊かな白髪と髭を蓄えた老人がしげしげと地面に突き刺さった緋想の剣を見つめていた。

「……誰よ……アンタ……」
「まあまあ、誰でも良いではないか、それにしてもお嬢ちゃん、何故泣いとった」

問うと、その老人は刀を見つめたままこちらも見ずに言った。

「泣いてなんか、ないわよ」
「そうかそうか、それなら儂の勘違いか」
「そうよ、勘違い」
「おんや、この剣手入れがなっとらんのう」

突き刺さった剣を引き抜き、老人が言う。
緋想の剣は天界の秘宝だ、争いなどに縁のなくなってしまった天人達はそれ程気にもしていない宝だが。
なので、自分の物のように扱っていた。今まで刃こぼれなどした事はなかった。

「何を斬ったのかの、まあ良いわ、ちとこの剣預かるぞお嬢ちゃん」
「ちょ!?何言ってるのよ!?」
「手入れしてやろうと言うんじゃ、なに、明日には何とかしておくわい、剣はその頃に取りに来るがよかろうて、儂の家はの、そこの川を下って行けば見つかろうて」
「ちょっと、まちなさ……」
「ふむふむ、何を使っておるのか……隕鉄か、神珍鉄か……」

ごう、と風が吹いた、目に砂埃が入りそうになり顔を覆う。
再び目を開けると、老人の姿はそこにはなく。

「ど!?どこいったの!?」

私が止めるのも聞かずに、その老人はふっとまるで霞か何かのように消えてしまった。
あの老人は何者だったのか、いかにも好々爺然としていたが。
なんだか落ち込んでいた自分のことを見透かされていたような気もする。気づくと、突然の驚きに押し流されたのか、ささくれていた気持ちから毒気が抜かれたようになっていた。
もう、どうにでもなれというような気分になり立ち上がった。
取り敢えず明日は先ほどの老人の家を探す事になるだろう。雑事だとしても、翌日だけは考え事はしなくて済みそうだった。



翌日
日が中天にさしかかる頃。

川に沿って歩いていくと、一軒の家を見つけた。
大きくはないが、天人の村から離れたこんな所に何故、と思うような立派な家だった。

「ここ、かしら……?」

昨夜出会った老人は川沿いに進めば見つかるといっていた。
ここまで他の家は一軒もなかった。
表札は出ていない。

「ん?」

家の中から良い香りが漂って来ている。
そういえば、昼食を取っていなかった事を思いだした。
すると、戸が開いた。

「おお、来たかお嬢ちゃん」
「その、お嬢ちゃんってのやめてくれる?私にはちゃんと天子って名前があるのだから」
「天子、天子のう、何処かで聞いた事が……おお。思いだした思いだした、あの比那名居の家の娘さんか」

どうせ、ろくでもない話なのだろう。

「しかしまあ天人様だったとはのう、こんな家に招待したのは悪かったか」
「良いわよ、別に」

天人である事に誇りを持つことが正しい事なのか分からなくなっていた。

「まあまあ、とにかくお入り、ちょうど昼餉を作っておったとこでな、お前さんの口に合うかどうかは分からんが、もし良ければ食うて行くと良い」
「あのね、私は剣を取り返しに来ただけなの、そんなこと……」

断ろうとした所でぐううう、とお腹が鳴った。
ちょっと頬が熱くなる。
老人の顔を見るとにやにやと笑っていた。

「ほれ、体は正直という奴じゃな」
「お爺さんさあ、乙女のこういうのは聞きながせって言われない?」
「なに、もう女性に気を使う年でものうなってしまったのでな、ほれ、とにかくお入り」

中にはいるとこざっぱりとした部屋の中に結構な数の刀剣と鋏が掛けてあった。
刀鍛冶か何かなのだろうか。
座らされ、部屋を見回していると老人が鍋を持ってやってきた。
美味しそうな香りが部屋の中を満たす。なりそうになるお腹を手で押さえた。

「ほれ、おまちどうさん」

鍋は何か色々と煮込まれている様だった。
なんだか、臭いと違って色はあまり美味しそうではなく。

「これ……なに?」
「ふむ、まあ川魚の鍋じゃよ、見てくれは悪いが食うてみい」
「うう、匂いは良いんだけれど色が……」
「好き嫌いすると大きくなれんぞ」

私の意見など無いもののように木の椀に鍋の中身が盛られた。
実際お腹は減っているので、香りにやられて恐る恐る箸をつけ、口に運んだ。

「……美味しい……」
「そうじゃろうそうじゃろう、肝が入っておるでな、見てくれは悪いがなに、臭みは香料で消してあるし、旨みだけが出ておるはずだろうて、まあ、天人様の口に合うかはちと不安だったがの、椀もこれこの通り粗末なもんだしのう」

魚の肝など食べた事はなかった、いつもそんな物は捨てられてしまっていた。思えば、木の椀などを使うのも人であった頃以来だ。

「綺麗な器に入っていれば、料理が美味しくなる訳じゃないわ……」
「ほうほう、なかなかにわかっておるようだのう」

まるで、自分の事を言っているようだった。
天人であるということが器だとするならば、中身の自分はどれ程の物なのか。少なくともこの魚の鍋のように美味くはない。

「まあ食え、どんな時でも美味い物を食うているときは幸せな気分になるもんよ」
「そんなもんかな……」
「そんなもんよ」

美味しい料理だった。分からないのは、何故最初から二人分作ってあったのかという事。いつ来ても良いようにそうしていたのだろうか、見知らぬ自分のために。お人好しなのか、なんなのか。
熱い鍋を食べて、涙が出た。鍋が熱いだけだと思った。

食事を終え、お茶を出された。
目の前の老人は美味そうに煙管を一服つけている。

「あのさぁ……」
「なにかの?」
「私剣を受け取りに来たのだけれど」
「おお、おお、然様であったの、ちと待っておれ」

そう言うと老人は立ち上がり、奥から布に包まれた緋想の剣を持ってきた。

「良い剣だのう」
「まあ、一応宝剣だしね……」
「いやいや、良い物を見せてもろうたよ」
「あの……これ、開けて良い?」
「もちろん」

巻いてある布を解くと、それは鮮やかな緋色の刀身が輝いていた。
まるで昨日までとは別物のように。

「きれい……」
「じゃろうて、まあこんな別嬪にはなかなかお目にかかれんよ、ちぃと研いでやったらまあ機嫌よさそうにわらっとった」
「私、緋想の剣がこんなにきれいだなんて知らなかった」
「ふむ、それはいかんな、剣は大事にせねばならんよ、なにせ大事な物を守ってくれるものじゃからの」

大事な物、と言う言葉を聞いて胸が詰まった。
この剣の様に大事な物を自分は今までどれだけ見過ごしてしまっていたのか。

老人がお茶をすすった。

「お嬢ちゃん、負けたんじゃのう」
「……うん」

何故だか素直に返事をしていた。

「ちぃと、外に出てみい」
「え?」
「なに、儂も剣については一家言あってな、ちょいと立ち会いのまねごとでもしてみよう」
「いいけど……」
「よしよし、最初よりは大分素直になったの、ほれ、庭先で待っていておくれ」


庭で待っていると、中から一振の刀を持って老人が出てきた。黒い鞘に入った長刀だ。

「ほおれ、構えてみい」

言われて、緋想の剣を構えた。すると老人が一礼をした後剣を抜き、蹲踞し立ち上がった。

「打ち込めたら、打ち込んでこい」

刀を持って老人が構えた瞬間。身動きが取れなくなった。殺気という物ではない。ただ、相手が大きく見えた。
動いたら、その動いた場所に刃が飛んできそうだった。汗がしたたり落ち、呼吸が荒くなる。動けない。
苦しい、頭の中が白くなってゆく。打ち込んでしまおうか。そうすれば楽になれる、でも、斬られてしまう。老人の涼しげな顔。目に汗。もうどのくらいこうしているのか。視界が、白く染まる。何故斬られてはいけないのか、どうしてこんな苦しい思いをしているのか。生きているからだ。川魚の鍋、美味しかった。緋想の剣が輝いて、とても美しい。

「どうした」

老人の声、ひどく遠い。
何故自分はこんな思いをしているのか、何故踏み込む事が出来ないのか。弱いからだろうか。弱いのならば、強くなりたい。
風、髪を撫でる、白い風だ。色など無いはずなのに。
なにか、理不尽な物に立ちはだかられている気がした。
そんな物、切り裂く、この剣で。

乾いた音が響いた。

気がつくと剣を取り落としていた。どうやら移動していたらしい。手首が痛い。そう思って腕を見ると少し赤くなっていた。

「あれ……?私……?」
「ふむ、良い根性しとるのう、ウチの孫にも見習わせたいもんじゃて」
「は……はは」

地に膝を突いた、立っていられなかった。

「私、どうなったの?」
「ふむ、気をやってしまうかと思っとたのだがの、中々よい剣閃であった、思わず手首を打ってしもうたよ、もちろん峰で軽くじゃがの」
「覚えてないや……」

要は、気絶寸前まで追い込まれ、意識を失うギリギリの所で勝手に身体が動いたという事なのだろう。

「は、ははは」

自分の弱さが笑えた。昨日も負け、今日も負けた。名も知らぬ老人にすら自分は勝つ事が出来ない。笑ってしまう程自分は弱かった。

「強く……なりたいよ……」

自分で信じられる物が欲しい。与えられた物じゃなく、あやふやな物じゃなく、確かな物が。ただ、一つだけで良い。何でも良かった、それこそ料理や、生け花、釣りでも良い。けれど、自分を哀れと言ったあの女に、勝てなくても良い、認められたい。だから強さが欲しい。

「ほう、強くなりたいか、何故」
「私が、私であるために」
「ふむ……」

老人は頭をボリボリと掻いて、言った。

「もしそうしたければ、相手をしてやろうさ、毎日二刻、気が向いたらここにおいでお嬢ちゃん」
「お稽古、してくれるの?」
「まあ、お前さんの気が向けばの、何せ良い物を見せてもろうたからのう」

老人は緋想の剣を見つめていた。

「そう言えば……名前聞いてない……」

問うと、老人は困ったように笑い口を開いた。

「儂か、儂はの、妖忌という」

名を告げた老人は何処か寂しそうに苦笑していた。








4ヵ月程、通い詰めた。
毎日二刻、妖忌と対峙した。始めてすぐの頃はやはり打ち込む事が出来なかった。
ただ稽古だけでなく、料理も教えて貰った。どうやら女性は料理の一つも覚えねばならないという持論があるようで、妖忌はどこかで従者のような事をしていたらしく、出来ない事は何もないという風だった。
今は、天人の家の庭師としてあっちこっち出入りしているらしい。

「せ、せ、先生お鍋!お鍋が吹きこぼれて!」
「うむ、焦らず差し水を一杯」

いつしか、妖忌のことを先生と呼ぶようになっていた。強制された訳じゃない、気づけば自分からそう言っていた。

「あいた!指切った!」
「お嬢ちゃんは剣はそこそこ使えるが包丁は下手じゃの」

通うのが楽しくなっていた。何かのために努力するのが楽しい事だと忘れていた。

三月目に入った頃、対峙の中で初めて意識を持ったまま打ち込めた。
躱されてしまったが、自分の意思を保ったまま動けたのは今まで無かった。

「ふむ、見事」
「見事って、思いっきり躱されてるじゃない」
「いんや、今のでお嬢ちゃんは確実に一段強くなった」
「本当なのかしら、まあ先生が嘘吐いたりはしないと思うけど」
「うむうむ、これでお前さんに教える事はもう無いかのう」
「え!?だ、だってただ動けただけじゃない、まだこう、必殺剣とかそういうのは?」
「必殺剣てのう……まあ、あるにはあるがお前さんに必要なのはそういう物ではないよ、儂の剣はもともと二刀を使うでの、基本は出来た、と言う所じゃが下手に技を教えるとお前さんの剣が鈍ってしまう」
「そうなの……?でも……何か一個くらい……」
「ふむ、そうだのう、それじゃあ一つ」

そう言うと先生は刀を握る、顔の横に剣を構え刀身は天を向いている。
大きな岩が目の前にあった。
動いた、と思った時既に刀は振り下ろされており、少し遅れて岩が二つに割れた。

「すごい……」

岩くらいならば自分でも割れる。
でも今のは確実に岩を切った。その速度は目に映らぬ程で、荒いコマ送りを見ているようだった。

「こんなもんかのう技と言えるかは怪しいもんじゃが」
「やりたい!私もそれやりたい!!なんて言う技なの?それ!」
「強いて言うならば雲曜かの、よいか、この技はの修得する事は決してない技なのじゃ」
「修得できないって?」
「まあ、髪一本分でも速く振り下ろす事を旨としておる技なのでな、永遠に終わりが来ぬのよ、今日よりも明日の方が速く、明日よりも明後日の方が速く振れるように」
「ふうん、気に入ったわ、永遠に成長し続ける技って事ね」
「ほ、何やら気に入ったのならば何よりよな、さて、この技は一人でも練り上げられるの」
「え……で、でも……」

まだ、一緒にいたかった。と、言うより衣玖のいない今、先生だけが私の理解者だった。

「のう、お嬢ちゃん、いや、天子よ」

初めて、名前を呼ばれた。

「なに?」
「儂はの、来月から旅に出る」
「え!?」
「これ以上いたらの、ここを離れられなくなってしまいそうでの」
「ど、どうして?」
「なに、そうして生きてきた、だから、そうすると言うだけの事よ」
「でも……」

俯いた私に、先生は優しく声を掛けてくれた。
まるで、孫に対するように。

「天子よ、人は所詮は一人よ、どこまで行っても、寄り添う事は出来ても、誰かのために生きても、只一人で生きておるのだ、そう思えばこそ、お前さんは力を求めたのではなかったか」

分かりすぎるくらい、分かる話だった。
自分だけで信じられる物を求めたが故に、稽古をつけて貰った。
そして、先生には認められた。

「……わかった」
「然様か」
「じゃあ、最後に見てて欲しい物があるの」
「なんぞ?」
「果たし合い、八雲紫と、知ってるでしょう?名前くらいは」
「ふむ、名前くらいは……の、しかしまた、大それた事を考えとったもんじゃのう」
「良いの、大それていたとしても、身の程にあわない事だとしても、それをやらなきゃあ私が私でなくなってしまうんだから」
「ふむ、良かろう」
「それじゃあ、一月後ね」

私は家路につく。
泣くまい、決して。






先生に雲曜と呼ばれる技を見せてもらってから私は一人で稽古をするようになった。

森の中、岩と向き合い、心気を統一する。
剣は顔の横、天に向け真っ直ぐに。

「やぁ!」

叫びながら岩に斬りかかる。
刃が岩に食い込む、そこまでは良い、しかし、その後先生の様に切る事は出来ず、岩はびしり、と言う音を立てて割れてしまう。

「だめだ、こうじゃない」

どうしても、岩は斬れずに割れてしまう。
足りないのは、速さなのか、重さなのか。考えても、どうしたらいいのかは分からなかった。

時がない、一月後にはここを去ってしまう師のことを思えば、焦るばかりだった。
自分はなんと非力なのだろうか、果たしたい事はあってもどうしても出来ない。
今までの自分の我が儘が通っていたのは、自分に力があったからではない、天人としての権威があったからなのだ。
認めざるをえなかった。なんと愚かだったのだろうか。

己が強いと思っていた。だから、自分は何をしても良いのだと思っていた。

「馬鹿だったなあ」

勝ちたい、そう思っていた。八雲紫というあの女に。
自分が劣っているとは思いたくなかったのだ。けれど、この世界には自分程度の者などゴロゴロいる。
今まで、自分より弱い者としか会わなかっただけなのだ。只の人間の巫女にすら敗北したのだ。
そして、圧倒的な強者と出会った。

もう一度、今度は別の岩と向かい合い剣を構えた。

長い事、そうしていた。

岩を斬れる事にどれ程の意味があるのか。
岩を斬れれば、あの女に勝てるのだろうか。
いや、自分はあの女に勝ちたいのか。己よりも強いあの女に。

勝ちたいのではない、認められたいのだ、と思った。

自分の力で、只一度で良い、認められたいと思った。
全てを出す、不様でも良い、見栄を張らずに己の全てを見せて。
己の全てとは何だろうか、緋想の剣、そして要石。

「そうか」

気がついた。己の力とは何なのか。何故私は剣を手に持ち、石を抱いてここにあるのか。

言葉すら発せず、身体を動かした。

岩は、二つに両断されていた。



その夜、果たし状を書いた。

渡す方法は、博麗神社に持って行けば八雲紫の手に届くだろう。
何故、自分はあの女と闘おうとしているのか、自分が自分であるためにだ、勝ち負けではない、このまま八雲紫に哀れだと思われていたくない。
自分が強いと思ったあの女に、哀れだと思われていたくはない。
その気持ちは恋慕の情にすら、似ていた。








一月後

あの時の原野に立っている。


後方には旅支度を調えた妖忌。
私は腕を組み、瞑目していた。

「きた」

呟くように言葉が口を衝いた。
目を開けると空間にひびが入ってる。中から現れたのは妖怪の賢者。

「ごきげんよう、非想非非想天の娘」
「ごきげんよう、妖怪の賢者」

あの時は、こんな風に挨拶なんて出来なかった。

「随分と、雰囲気が変わりましたのね」
「そう簡単に変わるものではないわ、ただ、積み重ねただけよ」

八雲紫が少し離れた所に立っている老人を見つめ微笑んだ。どこか、意味ありげに。

「素敵な恋文、どうも有り難う」
「果たし状よ、茶化さないでくれる?」
「あら、思いが募って書かれた書状だという事はよくわかりましたわ、これでも感心していますのよ、そうでなくばここに現れたりしなかった」
「そう、それならば」

私は剣を顕現させる。赤い赤い刀身、炎のように。
握り、顔の横で構える。切っ先が刺すは中天。

「ええ、あの時とは違う事を見せて下さいな」

何処か楽しげに八雲紫が笑う。
空気、張り詰めて。

「まあ」

驚いたような声。
意に介さず、じりじりと、足の指先だけの動きで相手に近づく。
それは蝸牛よりも遅い歩みで。
今ならば分かる、この妖怪に挑む事がなんと馬鹿げて、なんと大それた事か。
八雲紫は明らかに自分よりも強い。
対峙しているだけで圧倒的な圧力を感じる。以前は分からなかった。殺気が頬を撫でる。汗が噴き出してくる。それでも、挑むと決めた。

八雲紫は相変わらずの余裕の表情、しかし、どこか硬いと思った。自分がそうさせているのだ。

徐々に近づき、間合いに入った。息は乱れていない。鼓動も平静のままだ。
見ろ、相手だけを。
潮合いを待つ、いつ来るのか、やってこないのではないか。
そんな事はない、自分の時が必ずやってくる。

八雲紫の目、視線は動かない。涼やかなその目。見開かせてみせる。
間合いに入ってからどれ程の時が経ったのだろう。とても長い間こうしているように思えた。この長い対峙の中でも揺れる事のないこの女は、やはり見事な相手だった。

動いた時には、半ば意識していなかった。
研ぎ続けた剣。練り続けた技。すべてを込めて。振り下ろしていた。
同時に要石が落下してきて剣を押し付ける。
技量が足らない、重さが足らない、速さが足らない、だからその分を石の重さで補う。一撃で終わらなければ勝てない、だから考えた。

すべてがゆっくりと見えた。
八雲紫の傘。
あの時、私の首下に当てられていた。
緋想の剣が傘にぶつかり、まるで、何もなかったかのようにそのまま振り下ろされた。
音もなく、切り裂いた刃は、その役目を果たして。

「っ!」

八雲紫の声にならない声が漏れた。
剣は地面に突き刺さっている。しかし、八雲紫の姿はそこにはない。

気がついた時、横合いから衝撃を喰らった。折れた傘が視界の端に入った。

「うがっ!」

転がり、大の字で倒れ込んだ。
躱され、殴られたのか。そんな事を考えた。

見下ろしている八雲紫が見える。
イヤミなくらい綺麗な顔が、砂埃で汚れていた。
己の全てを尽くして、顔を汚した程度だ。その程度の確かな進歩。

「私の、負けね」
「ええ、貴方の負けですわ」

やはり、勝てはしなかった、それでも、私は。

「少しは、貴方の肝を冷やせたかしら」
「驚きましたわ、少しでも傘を諦めるのを逡巡したら、私が斬られていたでしょうね」
「その言葉を聞いて安心した、でも負けは負けだわ」
「やはり、貴方変わりましたわね」

目を閉じた。今度こそ止めだろうか、果たし合いだったのだから仕方がない。
認められたかった、この強い女に、その肝を冷やせたのだ。
先生は見ていてくれただろうか。

「ありがとう、楽しかったわ妖怪の賢者、本当に」
「ええ、私も楽しかったわ」
「私は哀れなんかじゃない、まだ弱いけれど、あの時よりも少しだけ強くなれた」
「ええ、だからまたやりましょう」
「また?」
「ええ、また」

目を開くとそこに八雲紫はいなかった。起き上がり辺りに目をやると先生も居なかった。
一人だった。

あの時と同じ一人。違うのは私の心の中そして、輝く緋想の剣。

決して泣くまいと思った。
師と過ごした昔日の思い出がどれ程美しかろうと。
きっと、憧れた相手に想い伝わろうと。
強くなると決めたのだから。これから強くなるのだから。

でも、今はまだ弱いから。

「泣いて良いよねえ……」

原野に谺する程、吼えるように叫びながら泣いた。
喜びなのか、寂しさなのか。
私はここにある。自分を信じて生きている。

誰に届かなくとも良い、ただあの二人には届け、そう思った。













こんにちわ
まず、つっこみ所が満載だとは思います。緋想の剣はこうビームサーベル的な……とか妖忌とゆかりんは知り合いだろうJKとか要石の大きさとか
多分紫と妖忌はグルだと思います
その辺はスルーしていただけますと非情にありがたく思います
最近魔界転生を読んで剣豪物が書きたくなったので、あ、いやちゃんと書けているかは別として文体も真似てはいませんし、いや、真似られたらすごいのだろうけれども

ともあれ、ここまでお読み下さりまことにありがとうございました
コメント、感想など頂けるととても嬉しく思います

取り急ぎ誤字など修正……増えてる……ご指摘感謝しておりますですはい

4/4文章追加してみました、良くなってたらいいなあ

お返し
>奇声を発する程度の能力様
天子は頑張ってくれる!

>2様
それぞれその様に思ってくれたのならばとても嬉しく思います

>コチドリ様
いつも誤字の指摘すいません、気をつけているつもりなのですが
今回どうなるものかと思って文章追加してみました、良くなっていたようで幸い
ゆっくり衣玖さんによろしく言っておいて下さい
北方先生が大好きなのはバレバレですよね、いろいろと。

>13様
なにか要石活かそうと思ったらあれしか思い浮かばなかったのです
紫なら軽く避けてしまいそうな気もしたのですが、そこはまあご都合主義という事で

>20様
ありがとうございます、一言だけでもとても嬉しい
ナイスパー安達
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コメント



0.1050簡易評価
1.100奇声を発する程度の能力削除
頑張れ天子!!
2.100名前が無い程度の能力削除
真面目な爺は毎度かっこいいですね。そしてゆかりんは美しいです。
天子もこれからどんどん強くなっていくんでしょうねぇ
5.80コチドリ削除
山風の奇想天外というか変態的なアイデアは確かに幻想郷には似合うかもしれませんね。
まあ、エロティカ方面を真似すれば発禁処分は免れないでしょうが。

比那名居天子の成長譚、楽しく読ませて頂きました。
私も時代物は大好きです。剣戟は漢の浪漫やで! たとえ主人公が少女だとしてもだ。
たった一つでも胸を張れる何かがあるのって素晴らしいと思う。良かったね、天子ちゃん。

欲を言えば天子の内面における葛藤とその変化にもう少し筆を割いてもらえたら嬉しかったかも。
妖忌師匠との立合いも、後の紫様戦くらいの密度があればな、と。
気に入った作者様に対して際限なく難しい要求をしてしまうのは自分の悪い癖。
もちろん今すぐになんて無茶は言いません。ゆっくり成長していってね! と心から願う次第です。
13.100名前が無い程度の能力削除
要石は割とどころじゃなくサイズが自由自在だから大丈夫。
要石で太刀筋を重く、速くなんて、どんな発想だ。素敵。
普通ならゆかりん相手じゃ、落ちてくる要石に反応されて隙間で止められちゃうだろうけど、そこはプレッシャーでカバーしていたり。
20.100名前が無い程度の能力削除
美しいです
21.100tukai削除
チェックメイト喰らっても、開闢or天道がっ
などとアホなことを考えつつ、成長譚がよく似合う子です。
紫に立ち向かっていく動機がなかなか可愛らしくて良かったです。
23.無評価コチドリ削除
「ゆっ!?」

おいおい作者様、俺の隣にいるゆっくり衣玖さんが怯えているじゃないか。
そんなに急いで成長しなくてもよかったのに、ってさ。

物語を再読した今、これだけは断言できる。

「天子ちゃんの緋想剣に斬れぬものなど、あんまりない!」ってね。


そうそう、蛇足ではありますがふと気になったので。
もしかして作者様って北方先生とかお好き? もしそうならとても親近感。

更に蛇足。あまり気付きたくはなかったのですが

>退屈な日常、努力や懸命になるという事を下浅と捉える天人達 →下賎と捉える
>その方が幸福な人生を送れたのだろうか。想っても栓のない事だった →詮のない事だった
>「本当なのかしら、まあ先生が嘘付いたりはしないと思うけど」 →嘘吐いたりは
>今まで、自分より弱い物としか会わなかっただけなのだ →弱い者
28.100名前が無い程度の能力削除
バガボンドの胤舜に挑む武蔵を彷彿とさせる天子ですね。

何かを必死に頑張っている人はそれだけで尊敬してしまいます。

私の中の天子のイメージが変わりました。

天子の成長が頭で簡単に創造出来ます。

ありがとうございました。
31.100名前が無い程度の能力削除
天子がなんだか美しい