1月10日~1月18日『中小陣地の壊滅と西棟群集団の撤退』
正門陣地の失陥に相前後して、紅魔館本館以外の小規模施設では全滅・敗走が相次いだ。
これら中小施設の運命は、一つ一つを追っていくにはあまりに雑多であるため、いくつかの部隊の事例をもって代表したい。
第三特設メイド隊『ゴミトリードントコイ』が守るゴミ集積所は、配属後48時間に及ぶ激闘の末に隊は装備を放棄、後退し、K班が守る第二衣装庫は、その守備隊もろとも押しつぶされた。S班が守備するぬいぐるみ庫は突風により一瞬にして飛散し、雪中には巨大なゴキ着ぐるみをはじめとする各種ぬいぐるみや着ぐるみが舞った。L班が守る酒類庫は、ビール瓶の相次ぐ爆発によりその機能を喪失した。
しかし、それらの内で最も重大であったのは、第三木炭庫防衛の失敗であろう。
この貴重な燃料倉庫を守るのは、A・B・D・A各班混成の部隊であった。
尚、A班が二つあるのは、ポトフメイド集団の全滅以後、班の再編が急ピッチで進められた為、班の編制が混乱しているからである。
例えば、東棟には三つのC班が存在し、西棟にもN班が二つ存在していた。第一衣装庫を守る班などは二つともI班であったが、二つとも定数の半分も満たされてはいなかった。
指揮には混乱をきたしたが、再編成を行う余裕などなく、各班は指示を適宜解釈して館の防備に努めていた。
さて、ABDA部隊の指揮を執るのは、D班班長のカレン・ドールマンである。
前述の四班は、いずれも本館で大損害を受けた班の寄せ集めであり、統一された指揮は困難であったが、彼女は最善を尽くした。
木炭庫という重要な区域を守るのにこのような部隊を送らなければならなかったのは、この時期の紅魔館の苦境を示すものであるが、結局のところ、いくら木炭庫を守ってもそこからの輸送手段がないのではどうしようもなかったのだ。
本館側が放棄の意志を固める中、カレンは奮闘したが、屋根の雪落とし作業中に、メイド達に『青白い殺害者』と呼ばれているつららの直撃を受けてあえない最期を遂げた。
落下するつららの破壊力とは恐ろしいもので、その巨大な運動エネルギーは、堅固な本体を通じてあますところなく落下地点に伝わる。柔らかな人妖の身体は容易に貫かれるのだ。
カレンは、救助に近寄ったアルト、ウォーラの両名に、自身の救助にかまわず後退するよう伝えた後、落雪に呑まれ、白い波間に消えた。
一時後退したアルト、そしてウォーラらは、それでも後退せずに翌日もつらら落とし作業にあたったが、こちらも相次いでつららにつらぬかれ、雪の中へと消えていった。
上級指揮官を全て失ったABDA部隊は解隊されたが、結局本館に帰還することができたのは、A班の一部のみであった。
彼女らの行動は勇敢ではあったが、紅魔館全体の戦局にとっては決して好ましいものではなかった。戦力を温存すべき時に、無意味な行動の果てに自滅したのだ。
しかし、それでも皆の心には深く残った。彼女らの勇気を賞賛する者はいても、その非合理性を批判する者はいなかったのだ。紅魔館は勇者には寛容だった。
また、この時期は猛烈な風雪が吹き荒れており、紅魔館外でも数多くの被害が出ていた。
神聖な大蝦蟇の池はその歴史上初めて凍結し、大蝦蟇は深く静かに潜航した。
森の虫たちは皆土に潜り、不思議な雑貨屋は雪下ろしを怠った結果圧壊した。
稗田家では阿求がこたつの引力に囚われ、こたつと共に崩壊した我が家の下敷きになった。慧音に助け出された阿求は、こたつの下に潜り込んで難を逃れていたが、そこで同じく逃げ込んだ猫とキャットファイトを繰り広げていたとのことであった。
そして、以上のように、中小陣地が次々と玉砕、失陥する中で、紅魔館五棟列館と呼ばれる東西南北各棟と中央棟は辛うじて保持されていた。
しかし、予算の流用等により豊富な物資を持つ南棟(ヴワル魔法図書館)と、咲夜の必死の戦力集中で防備を固めることができた中央棟以外の三棟は、いずれも休まずやってくる雪によって苦境に立たされており、特に、ヴワル魔法図書館からの秘密裏の支援を得ていない北棟、そして東棟は極めて危険な状況になっていた。
しかし、その中で真っ先に放棄されたのは、意外なことに小悪魔が指揮を執る西棟である。
何故最も充実した支援を受けていたはずの西棟が真っ先に放棄されたのか…これにはパチュリーの遠大な計画がからんでいた。
「あ、その窓はしっかり閉じて下さいね!板は三枚まで使用可です。あ、そっちはダメです、風向きの関係でそこまで寒くはならないでしょうからカーテンでどうにか…装飾部品はとっちゃっていいですから、そりゃもういくらでもがばーっと…え?木炭がない?図書館の第八地下室に帳簿外のがありますからそこから…監視の人に、その壷はいいものですねと言うと開けてくれる仕組みになっています」
1月10日、西棟内を飛び回る小悪魔は、必死に各所の防備を固めていた。
軽挙妄動という言葉が似合いそうな小悪魔であったが、実は気が利き、周囲の状況についてもよく確認していた。
また、相次ぐ図書館の要塞化改装(対魔理沙用)により、陣地構築はお手のものだったのだ。
さらに、ヴワル魔法図書館指揮下の小悪魔は、本館からの補給以外にヴワル魔法図書館からの支援も期待できた。
その結果、フランの熱心ではあるが稚拙な指揮により、北棟群集団が大損害を受けつつ破局に向かい、精緻を極めた咲夜の計画により東棟群集団が限界に近づきつつある時、西棟群集団は未だに余裕をもって防御戦闘を行い得たのである。
「…パチュリーさまの言った通り、どうにかなってる♪さすがはパチュリーさま」
小悪魔は独語し、作業を続ける。
さて、ヴワル魔法図書館麾下の特徴的な戦法として、拠点防御主義と一枚コート制の採用があげられる。
前者は、拠点となる本館(例えば西棟や南棟)以外の小施設は思い切って放棄し、さらに本館の中でも付随施設等で本館の防御、維持に必要のない区画も防御を放棄し、残る区画に人員と資材を集中する戦術であった。
いわば、面として向かってくる大雪に対し、対抗して面で守るのではなく点で守ろうという発想である。
小施設の維持には、施設ばかりかその補給線の防備も必要であった為、多大な犠牲を払わざるを得ず、さらに本館に比べて脆弱な構造の小施設では燃料の消耗も激しく、結果として共倒れになる危険性が高かったのである。長大な補給線とは、致命的な弱点になりうるのである。
実際、北棟群、東棟群での状況が悪化した理由としては、小施設の防御に費やした犠牲と資材が大きなウェイトを占めていた。そして、その小施設はことごとくが失われたのである。
逆に、そういった施設を早めに放棄した西棟群集団では、本館の防備に十分な戦力と資材を割け、本館の強化に努めることができたのであった。
また、一枚コート制というのは、各区域で平常の防御作業に努めるメイド達に、その仕事場にコートを掛けさせておき、危急の事態が起きた時には直ちにそのコートを来てその場におもむかせるという手法である。
これは、一見普通の手法に見えるが、しかし今まで外出着と館内着が厳重に分けられていた紅魔館においては画期的だった。
これにより、西棟群集団や南棟群集団は、その動員力を飛躍的に向上させたのである。
そして、この二つの手法は、いずれも体面にこだわる総司令部ではなしえないものであった。
「あ、みなさんお疲れさまです、お茶を用意いたしました~あ、お菓子付きですよ?」
「ああっありがとうございます」
「いえいえ~」
「人心地つきますね」
「心も身体もぽっかぽかにして下さい♪」
「…美味しい!?」
「それはもうヴワル魔法図書館ご自慢の紅茶ですから~」
無理なく休憩をとり、お茶とお菓子に舌鼓をうつメイド達…
物資の欠乏により、お菓子どころか食料支給ですら途絶えだした他棟とは全く異なった光景がそこにはあった。
丁寧に世話を焼く小悪魔やその配下に、本館から派遣されているメイド達は皆感激する。ここ西棟と、そして南棟に限っていえば、ヴワル魔法図書館麾下の各部隊と総司令部直轄部隊との連携は極めてうまくいっていた。
口が上手い小悪魔が本気を出せば、人心掌握はかように容易であったのだ。
そして、それが以後の計画を容易にしたのである。
「あ、小悪魔様、パチュリー様から手紙が…」
小悪魔がメイド達と談笑していた時、南棟のパチュリーからの手紙が届いた。
「え…あ、はい。ふむふむ…パチュリーさまらしく、無駄に難解かつ無駄に長いお手紙で紙の無駄っぽいんですが、要は外気温が-50度を突破したし、気合い入れていけっていうことみたいです。みなさん頑張りましょう!」
「「「「「おー!!」」」」」
小悪魔は、パチュリーからの手紙を振りかざしつつ陽気に言ったのだが、果たしてその表情が一瞬緊張したのに気がついた者はいたのだろうか…
これ以後、西棟群集団ではいくつかの偶発的と思える出来事が起こり、それが数日後に一つにつながることになる。
一つ目の事件は1月13日に起きた。北棟と西棟を結ぶ通路が、屋根に積もった雪の影響により倒壊したのである。
この通路は、風上である北側に面しており、これについては総司令部も西棟群集団司令部も可能性として考慮していた為、比較的冷静に受け止められた。
しかし、さらに数日が経ち、今度は西棟と中央棟との通路が同じ理由により遮断されると、西棟群集団は南棟群集団としか物理的連絡がとれなくなった。
慌てた総司令部では原因を調査したが、これは西棟群集団司令部が『重要度が増した中央棟~西棟連絡路の暖房能力向上の為』と、温存していた新型ストーブを投入したのがきっかけとわかった。
在来型の木炭・薪ストーブの倍の火力…と銘打たれた新型灯油ストーブであるが、これはパチュリーが書物を元に開発したはいいものの、燃料が精製できずに倉庫に眠っていたものである。
それを誤って配置し、しかも同時に在来型ストーブを転配してしまったことにより暖房の空白が生じ、一気に通路が倒壊したというのである。
総司令部は憤慨したが、死傷者はなく、南棟~西棟館の連絡通路は健在である為、それ以上の追求は控えたのだった。
また、この通路の遮断により、今まで形式上は中央棟集団からの派遣部隊とされていた西棟派遣メイド隊は、完全に西棟群集団の直轄となることになった。
この頃から、西棟では不要な可燃物のはぎ取りが活発に行われ、はぎ取られたそれらは『一時保管の為』と称して南棟に送られていった。
その一方で、南棟からの補充物資は減少し、徐々に西棟では物資が不足しだした。
さらに、16日には司令部施設と連絡網の合理化と称し、西棟群集団司令部は南棟群集団司令部があるヴワル魔法図書館に移転した。
これは総司令部に許可をとらずに行われた為、彼女らを激高させたが、この非常時に処罰するわけにもいかず、補給物資の削減を盾に司令部の再移転を要求した。
しかし、このことが実は小悪魔とパチュリーが望んでいたものだったのである。
「遺憾ながらこの西棟の守備は困難となりました。私たちは紅魔館令1386…自衛の為の退避行動は此を妨げず…に基づき、西棟を放棄し南棟に移動します!」
小悪魔が言ったとき、ある程度予測していたヴワル魔法図書館直属部隊は驚かなかったが、旧派遣部隊の面々は慌てた。独立した小施設ならばともかく、まさか紅魔館本館の一つである西棟を放棄するなどとは思わなかったのである。
また、退避の根拠である紅魔館令1386は、本来そのような小規模施設の放棄に関するもののはずであったのだが、厳密な規定がないのをいいことに、小悪魔とパチュリーは拡大解釈したのである。
無茶な解釈は承知の上であるが、論戦に持ち込んだ挙げ句に、決着がつかずにうやむやにする自信はあった。口八丁の小悪魔と、難解な話には定評があるパチュリーで編成された魔法図書館組である、論戦では紅魔館どころか幻想郷でも最強クラスであった。
「もし撤退後中央棟集団の麾下に入るのでしたら止めません。ですが、我が南棟群集団への所属を希望するのでしたら、一日三食とお菓子を保証します!もちろん最上級の」
次の瞬間、見守る西棟派遣部隊にざわめきがおき、たちまちそれが伝染する。本館所属時には、一日最大で二食、基本は一食でお菓子などは年に一度食べられればいい方だったのである。
そんな皆の動揺を見透かしたかのように、小悪魔は一息おき、続けた。
「さらには一日最大16時間労働、月休二日制!」
「「「「「おおおおー!!!!」」」」」
劇場効果を狙った小悪魔の発言は、その意図を十二分に果たしたといってよい。館内に歓喜の叫びがこだまし、室内をゆるがした。
それは、今まで一日二十時間労働…年休二日制で働かされていたメイド達には夢のような状況であった、西棟にメイド達の魂の叫びが何度もこだまする。西棟派遣部隊が完全にヴワル魔法図書館直属部隊となった瞬間である。
西棟群集団の吸収による南棟への戦力集中。これが以前パチュリーが小悪魔に伝えていた事であった。
もはや全体の防衛が不可能であると判断したパチュリーは、自らが指揮する南棟にできるかぎりの戦力集中を行い、そこでこの冬を越えるという作戦を立てたのである。
無論、これは紅魔館全体を保持するという総司令部の意向を無視するものであった為、その情報は厳重に秘匿されていた。
ヴワル魔法図書館直属の各部隊により、南棟直下は秘密裏に巨大な地下陣地となっており、多数の食料がそこに貯められていた。パチュリーは、南棟以外の全ての棟が崩壊した時、レミリアらをそこに収容するつもりだったのである。
「可燃物は全てはぎ取って下さい!強度に影響がないのなら板壁とかも持っていっちゃって大丈夫です!」
小悪魔の指揮に、メイド達は勇戦する。
「三階!全てのカーテンの撤去完了!」
「あ、次は二階でお願いします!」
「二階、壁材の撤去開始」
「どんどんやっちゃって下さい!ただし柱は残しておいて下さいね」
「誰よ!階段の板はぎ取ったのは!?降りられないじゃない!!」
「あああ~誰かはしごをっ!皆さん、通路の板をはぎ取るのは最後に…」
「いっせーのっはいっ!」
「してくだ…わーっ!?ストップ!私まだいますから!!絨毯と一緒にまきとらないで~!!!」
この作業では、紅魔館防火活動の主力である『アブラフキン』隊の活躍が凄まじく、普段の防火(破壊)訓練の成果を見せるべく、各所の可燃物をはぎ取っていった。
場所によっては、あまりにはぎ取りすぎ、最低限の強度ぎりぎりになったり、階段の板がはぎ取られ、孤立した班を発生させたりしていたが、おおむね作業は順調であった。
さらに、再編成をすませた旧正門方面集団…門衛隊の支援により、それらの木材等は燃料として南棟に送られていった。
これらの作業は予想以上に順調に進み、作業開始から二日も経たない内に、西棟は最低限の強度を保つ壁材、柱等と、不要な物品を除き丸裸となった。
尚、この作業中に小悪魔が一時行方不明となり、なぜか南棟、燃料一時保管庫の絨毯の中で発見されるというハプニングがあったが、大勢に影響はなかった。
「ううっ危うく若い身空を絨毯に散らすところでした…と、それはさておき総員退館に移って下さい。資器材の移送は完了しました。点呼を終えた班から南棟に移動してください、暖かい紅茶とパンがあなた達を待っています!」
小悪魔の声に、各班は次々と後退を開始する。事前に西棟崩壊まで二時間以上はかかると伝えられていた為、特に大きな混乱はなく、各班は逐次後退していった。
西棟放棄にあたり、小悪魔は旧型ストーブ8基を最後まで焚き、撤退作戦に万全を期した。一面対峙一面後退の基本的な後退戦術であった。
ストーブは貴重であったが、小悪魔はそれ以上にメイド達の撤退を優先したのである。
尚、それらの班の内、先述した『アブラフキン』隊のみは、志願して後衛の任に当たると共に、床板や階段等の板をはぎ取って南棟へと輸送し続けた。燃料はいくらあっても足りないと知っていたのだ。
彼女らは、本来西棟と共に放棄される予定であった8基の旧型ストーブまで回収し、その功により紅色勲章を授けられたが、全てのストーブを回収した時点で、以後の出撃は禁止された。
西棟は総員退館発令後十時間、アブラフキン隊の後退後六時間経った18日夜も健在であり、紅魔館建築技術の意地を見せたが、翌朝、一瞬の晴れ間に西棟方面を見たメイドは、西棟が跡形もなく消え去っているのを確認した。
総司令部がこの事件を把握したのは、この翌日の事であったが、全ては遅く、ヴワル魔法図書館へと抗議文を送ることしかできなかった。
1月19日~1月23日『北棟群集団の破局』
この時期になると、紅魔館では南棟を除く各所で燃料の不足が表面化しており、各棟とも残燃料とにらみ合いながらの防戦を余儀なくされていた。
その南棟ですら飛来物による建物の破損が続出し、一時はヴワル魔法図書館にまで雪が吹き込むといった事態に陥った。
この時、一人の飛行可能なメイドが命綱をつけ、外部からその穴を塞ぐことに成功したが、彼女は直後に「ヴワル魔法図書館万歳!」の声を残して雪の中へと飛ばされていった。暴風が命綱ごと彼女を吹き飛ばしたのである。
これは紅魔館外でも同様で、魔法の森に住む人形遣いの家は燃料が尽きるとひっそり雪に埋没し、誰に知られる事もなく消え去った。
ひまわり畑や鈴蘭畑もただの雪原となり、そこに棲んでいた者達はどこへともなく消えていった。雪山ではレティが巨大化し、体重を気にしていたが、それに気付く者は誰一人としていなかった。
もはや幻想郷は魔女の大鍋であり、誰も他人を気にする余裕などなかったのである。
そして、防戦を続けていた北棟群集団に、ついに破局が訪れたのはこの時期であった。
北棟群集団の指揮を執るのはフランドール・スカーレットであるが、いかんせん大人数を指揮したことがない事と、精神の不安定さが問題視されていた。
そんな彼女が北棟群集団の指揮官となったのは、咲夜とパチュリーが彼女の指揮官就任に難色を示すのを、レミリアが無理に押し通したのである。
しかも、フランの守備する北棟は、北北東から吹き付ける風を最も多く受ける陣地であり、口の悪いパチェなどは「戦闘開始後一日ももたず『味方撃ち』で跡形もなく消し飛ぶわ」などと言っていた。
正直なところ、北棟にはこれといった重要施設は配置されておらず、最悪、放棄しても戦局全体には問題はないであろうと判断されたのである。
実際、北棟群集団に所属する小施設は、次々と全滅、もしくは放棄され、その防御網の崩壊は五棟列館の中で最も早く、1月2日、Y班が守る第五衣料庫が『木炭多数あれどもストーブ溶解、至急救援乞う』との通信を発した後、通信不能となったのを最後に管轄する小施設は全て失われた。
しかし、その後も北棟は持ちこたえていたのだ。
「よーしっ!いっくよっ!!」
「おー!!」
フランの声と、メイド達の声が交差し、館内を明るく染める。
苦境の中にあっても、常に陽気さを失わないのがこの北棟群集団の特徴であった。
地下室に入れられていた事でメイド達との接触が皆無に等しく、怖れられていたフランだったが、その実は恐怖の対象などにはなり得なかった。
彼女が着任する時、新しい指揮官を迎えるべく整列していたメイド達は、時間を過ぎても彼女が現れないことに困惑し、それでもなお立ち続けていたが、やがて彼女らの最後尾ににこにこ笑いながら並んでいる少女を発見して驚愕した。
彼女こそがフランだったのである。
「ねーねー何で並んでるの?」
無邪気に微笑みかける少女に、メイド達の緊張感は霧散し、館内に笑いがこだました。それを微笑みながら首を傾げて見ている少女に、ますます館内は和む。
彼女が指揮官であると判ったとき、メイド達は不安に思う以上に安心した。狂気の吸血鬼と陰で言われていたフランであったが、幾人かの人間との交流を経て、心の安定を保つ術を身につけていた。
そして、狂気に囚われない彼女は、明るく無邪気な少女であったのだ。
確かに、フランの指揮は稚拙であった。気の向くままに指示を出し、その指示がすぐに変わるのも一度や二度ではなかった。
しかし、指揮官の資質が部下を掌握し、そしてその士気を高めることだとしたら、彼女は有能な指揮官であった。作戦は参謀が立てればよいのである。
常に最前線にあって明るく皆を励ますフランの姿に、皆は勇気を得て戦い続けた。幸いにして、メイド達は今までの経験を元にある程度の戦いを継続することができたし、フランの命令も言ったはいいが本人すら忘れるようなものも多く、危険だと感じて無視した場合にも制裁はなかった。
かくて、北棟群集団は長期に渡り戦いを続けることができたのだった。
しかし、一月も半ばを過ぎる頃からそれも限界に達しつつあった。
確かに部隊の行動は下級指揮官に任され、相変わらず士気は高かったものの、いかんせん部隊が部隊としての行動をとることが出来ないのは問題が大きかった。
集団は、様々な役割を持つ者同士が互いに連携してこそ、その真価を発揮する。いくら『個』が優秀であっても、その集まりである全体が優秀であるとは言えないのである。
この頃になると、各所で飛来物による窓や壁面の破損、一部の屋根の崩壊等が発生しだしたが、そのような,緊急に他の応援が必要な時、フランの不慣れさがあらわれてしまうのであった。
対応は後手にまわり、間違っている事もたびたびだった。各所で被害は拡大していた。
独立している中小施設が全滅して以後、北棟集団の人的被害はほぼ皆無であったのだが、北棟自体が徐々にその抵抗力を失っていったのである。
館内各所で応急修理の跡が目立ちはじめ、暖房効率が低下していく。それにつれて、屋根の雪はその重さを増していった。館は歪みはじめ、それを支えるための補強材で、優美であった館内は、今やその原型を留めていなかった。
フランはそれを見て物珍しそうにはしゃいでいたのだが、事態は深刻だった。そして、まもなくその深刻な事態にとどめがさされることになったのだ。
「う~ん困ったわね」
「そうね、なかなか壊れないわね」
「ねぇねぇ、どうしたの?」
「あ…フランドール様…いえ、この補強材がなかなか割れなくて…」
「そう?じゃあ私がやってあげるね!」
そう言うなりフランドールが放った弾幕は、補強材を『消滅』させ、さらに後方の壁面を粉々に粉砕した。
悲鳴が室内に響き渡り、それが終わるまもなく雪が吹き込んできた。ついに北棟は崩壊への道を進み始めた。
それは全くの善意だった。1月23日、補強材の加工にあたっていたメイドの元に、フランがあらわれその作業を『手伝った』のだ。
しかしフランの火力は板を割るには強すぎ、吹雪を打ち払うには弱すぎた。そして壁を粉砕するには丁度よかったのである。
フランが粉砕した壁は、北棟の中心部からやや東側にあたる。
この壁にあいた穴を塞ぐためにメイド達は奮闘したが、それはあまりに巨大すぎた。たちまち流入する雪にメイド達は苦戦を余儀なくされ、やがて力尽きた。見かねたフランの指示で部隊が後退した時に、北棟の命運は尽きたと言っても過言ではない。
そして、その悲劇は連鎖していくのである。
「待って!待って!!」
「急いで!」
館内の隔壁に一人のメイドが駆け込む。彼女を支えながら、別なメイドが尋ねた。
「後続は?」
「吹雪よ」
荒い呼吸の中からの言葉を聞いたメイドは、隔壁扉を閉じた。重い音が響き、扉が閉じる。この瞬間に北棟は真っ二つに分断された。
まもなく、扉の向こうから不気味な音が響きその崩壊を告げる。メイド達は黙って破滅の音を聞いていた。
幸いにして、分断された区画はそれぞれ中央棟、そして東棟と連絡をとることが可能だったが、如何せんただでさえ傷んでいるところに館の一部が崩壊したのである。建物の強度は限界に達していた。
「補強材はっ!?」
「さっきので最後です!!」
「第八区画で寒気流入!」
「寒気強力!後退する!!」
「こちら第七区画!もう持ちません!!」
「この区画はもう駄目だ!総員退去!!」
北棟群集団司令部には、悲鳴のような連絡が飛び込んでくる。
正規の壁に対し、やはり耐寒隔壁(耐火隔壁の流用)程度ではその強度は大きく劣っていた。資材の欠乏もあり、各方面で部隊は後退を余儀なくされ、そしてその勢いは増していた。中央棟集団との連絡が絶たれるのは時間の問題だった。
誰もが後退を望んだが、それを指示すべき指揮官は自らの世界の中にいた。
「ぐすっ…ごめんなさい…お姉様…ごめんなさい…みんな…」
司令部の中央で、フランはまるまって泣いていた。精神が幼く不安定な彼女にとって、自分の行動がこんな事態につながった事を受け止めるには、その事態は重大すぎた。
誰もがフランに声をかけることができず、司令部はなすところなく北棟戦線崩壊という未来を見つめていた。
そして、司令部に一人の少女があらわれたのはそんな頃だった。
「フラン」
「お…姉様?」
自分を呼ぶ声に、フランは顔をあげる。目の前には見慣れた姉の顔があった。
「フラン、あなたはよくやったわ。多少の失敗はあれども、スカーレット家の者たる気概を見せた。北棟が今まで持ちこたえた事に、皆が驚いているわ。だからね…」
叱責されるかと…大好きな姉に嫌われるかと目をつぶったフランに、レミリアは優しく声をかける。
そう言うとレミリアはフランに近寄り、その耳元に顔を寄せた。
「最後の最後まで義務を果たしなさい、あなたはスカーレット家の娘であり、そして北棟群集団の指揮官よ。…そして私の誇るべき妹。もはや北棟が失われる事が確実になった時、そんなあなたが一番優先すべき事はなにかしら?」
レミリアの言葉に、フランの泣き声はやんだ…
一瞬の沈黙の後、フランは立ち上がった。目には力が戻っていた。
「…総員退館!みんなっ急いで!!」
「りょ…了解!」
突然のフランの変化に、メイドは驚きつつも機敏に敬礼を返す。今まではその動作も緩やかであったが、この瞬間のフランにはしっかりとした威厳が備わっていたのだ。
「…」
そんなフランを見たレミリアは満足げに微笑む。誇り高きスカーレット家の当主、レミリアと、そしてその妹『フランドール・スカーレット』の姿がそこにあった。
「急げ急げ!後がつかえてるわよ!!」
「大広間とかで雪突破!暴風を止める手だてなし!至急救援乞う!!」
「了解これより急行す」
「重装備は置いていきなさい!ストーブの火力は落とさないで!!」
「第五区画に火力を集中!紅魔館メイドの意地にかけて、ここは突破させるな!!」
「第一~第三区画までは退去完了し次第逐次放棄、資器材を第五区画にまわしなさい!」
「我が方大広間とかをいまだ保持」
「退去作業を急がせて!長くはもたないわ!!」
北棟群集団(二個班欠)は、その日初めて統一された指揮の下に優れた連携を発揮し、作戦の実行にあたった。
初期の混乱から回復した北棟群集団司令部は、中央棟との連絡通路がある第五区画に戦力を集中し、そこで吹雪の侵攻を食い止める事に成功した。各班は次々と中央棟へと脱出する、時間が最大の敵だった。
「いけないっ!?補強材がっ!!!」
「大丈夫!」
「ありが…フランドール様!」
「うん、様はいいよ。大変だと思うけど頑張ってね、ここが突破されたらみんなコンテニューできなくなっちゃうから!」
強風により吹き飛ばされた補強材を、フランが支える。助けられたメイドは戸惑いつつも、すぐに自らの任務に戻った。フランは、もはや愛でる対象ではなく、頼りになる…尊敬すべき上官であったのだ。
彼女は常に最前線にあって指揮をとり続けた。皆が撤退を勧めたが、フランは首を横に振る、自分はスカーレット家の娘であり、そして北棟群集団の指揮官であるというのが理由だった。
「あなたが最後?うん、よしみんな逃げるよっ!!」
23日、崩壊しつつある北棟から最後の一人が脱出した。彼女の名はフランドール・スカーレット、北棟群集団指揮官としての任務を最後まで全うした上での、名誉ある後退だった。
彼女が脱出した直後、北棟は雪煙の中に消えた。間一髪であった。
フランの奮闘により、分断された北棟の内、西側にいた者達はその全てが脱出に成功した。重器材は大半が失われたが、あの状況下でメイドを全て脱出させたフランドールは賞賛されるに十分であった。
また、北棟群集団が予想以上に長く持ちこたえた結果、中央棟集団は北方の防備を固める時間を得た。その為、北棟崩壊により中央棟が最前線となって以後も、長期にわたる戦闘の継続が可能となったのである。
ちなみに、この頃中央棟集団では以下のようなジョークが流行っていた。
「最近は楽になりましたね」
「何が?」
「戦線の方からこっちに近づいてきています」
「最近ではそれを敗北主義と言うのよ」
このようなジョークが言えるのは、まだ比較的余裕がある証拠だった。しかし、まもなくそのような事も言えなくなるかのような事件が伝わった。
東棟群集団の崩壊である。
1月24日~1月28日『東棟群集団の壊滅』
この時期、もはや紅魔館は破滅への道を転がり落ちていたと言っても過言ではなかった。
北棟にあいた穴からはじまった破滅への序曲は、その音量を上げて紅魔館全体を覆い尽くそうとしていたのだ。
また、幻想郷各所でも末期的な状況が続いており、例えば三途の川は完全に凍結し、航路は運休となったが、その翌日から橇による代行輸送が行われた。
卒塔婆により叩かれ、きゃんきゃん言いながら橇を引く死神の姿は哀れを誘ったが、いつもがいつもなだけにあまり同情する者はいなかった。唯一の難点としては、あまりの重労働に、ここが地獄かと誤解する者が多数出た事位であろう。
また、騒霊三姉妹の館では葬送行進曲が演奏され、その音がやむと同時に館は圧壊した。
さて、東棟群集団が壊滅するきっかけとなったのは、隣接する北棟だった。分断され、孤立した北棟の東側部分(風上にあることから『上棟』と呼ばれる)は、未だに連絡がとれる東棟群集団への編入を求め、許可された。
この時、東棟群集団司令部では上棟の放棄を求める声が強く上がったのだが、あくまで紅魔館全体の保持を考える…といっても西棟は失われていたが…咲夜の一声によりその維持が決まった。
東棟からは最大限の人員と資材が割かれ、上棟へと送られた。あくまで『完全』を求める咲夜の判断に疑問を持つ者もいたが、普段の信頼から表立って異論を差し挟む者はいなかった。
上棟には、燃料を主とする大量の資器材が送り込まれ、一時的に戦線は安定した…かに見えた。
しかし、それは表面上の事であった。咲夜の知らぬ間に、事態は危険な状況へと向かっていたのである。
「物資搬入を急がせなさい!後がつかえているわ!!」
「こんな後方でこの寒さ?」
「昨日の夕食で出たキャベツは…」
「こらっ!轢くな!痛いストップ!!」
「一昨日もその前もずっとキャベツじゃない」
「腰入れて運びなさい!」
「V班では特配の紅茶が出たらしいわよ」
「こんな所で本当に家事ができるのですか?」
「その内身体が緑色になるわね」
「紅茶かぁ…ここの所飲んでないなぁ」
「なんてこったい」
「ここではモップも凍るわ。気をつけなさい」
メイド達でごったがえする北棟と東棟を結ぶ連絡通路、通称北東連絡線に、占星術部門から情報が入ったのはこの頃であった。
「…天候の悪化?」
不機嫌そうに顔をあげた輸送部門長…ここ三日ばかり寝ていなかった…に、たじろぎながらもメイドは続けた。
「はい、占星術部門からそのような情報が…一時輸送部隊を退避させて、暖房を強化すべき…と」
そう、ヴワル魔法図書館の占星術部門が、さらなる天候の悪化を予想したのである。しかしそれは一時的であり、その間暖房を強化する事で乗り切れる…との言葉を添えて。
「状況はもう悪化しようも無いほど悪化しているわ。ここは上棟と東棟を結ぶ大動脈、一時間たりとも止めるわけにはいかない。それにこの通路の暖房は万全の構えよ、寒気なんかにはやられないわ」
しかし部門長の態度は突き放すかのようで、その意志は固かった。狭い通路でこれ以上暖房を強化するには、一時輸送を止めるしかなかったのだ。そしてそれは、輸送を完全に行おうとする部門長にとって決して認められないものだった。
情報を伝えに来ていたメイドは、諦めて敬礼すると持ち場に戻った。
上棟と…そして東棟の命運が尽きた瞬間である。
「北側第七窓被弾!」
「第六もやられたわ!」
「応急修理を急がせなさい!!」
「壁面倒壊!」
「なんだって鳥居が…」
「箒も飛んできたわ」
「それは普通よ」
「補強材は!」
「駄目です!使い果たしました!!」
「そこらの板を引っぺがしなさい!!」
「きゃあっ!?何この不気味な人形!!」
「五寸釘が足に~」
一時間後、猛烈な暴風が通路を襲い、飛来物により各所が破損した。まず窓が…そして壁に穴があき、通路中を吹雪がかけめぐる。
通路内は1m先も見えないような状況に陥り、各所で衝突事故が多発した。輸送隊は逃げまどい、そして凍り付いた。
最初の穴が空いてから三十分もたたない内に、通路内は上述したような状況に陥り、建物は不気味な音を立てはじめた。もはや通路の崩壊を阻止できる者は誰もいないが、しかし後退する者もまたいなかった。
メイド長直轄部隊たる矜持が、皮肉な事に現実を見る目を失わせていたのだ。
「ともかく穴を塞ぎなさい!決死隊を組織して屋根の雪下ろしを…」
部門長が必死に指示を出す中、激しい衝撃と共に壁面に巨大な穴が空いた。
「屋台!?どこの世界に押し売り…いや押し入り販売をする屋台なんて…」
壁から顔を出した屋台に、彼女は文句をつけたが事態は深刻だった。屋台の突入自爆により重要な柱が何本か折れ、さらに穴を塞ごうにも巨大な屋台を押し出すのは困難だった。
建物は大きく歪み、柱が折れる音が周囲に響く、ついに終焉が訪れたのだ。
「部門長…」
「そんな…ここが寸断されたら…」
絶望し、膝をついた彼女の頭上から、屋根が降ってきて言葉を止める。
上棟は東棟の資材人員を飲み込んだまま孤立した。
「上棟が孤立!?通路が崩壊ですって!?」
東棟内で指示を出していた咲夜は、あまりの事にしばし言葉を失った。
続けて魔法水晶を通じた通報が入り、上棟でストーブが多数溶解していると伝える。中央部分が倒壊し、断熱能力が低下している北棟の一部…つまり上棟では、暖房を強化しなければならず、ストーブに過剰な負担がかかったのである。
さらに、丁度現地へ輸送中だった木炭ストーブ12基の内、8基までが通路の崩壊に巻き込まれて失われたのが痛かった。残る4基の内、2基は掘り出すことに成功したが修理は不可能で、2基も使用可能になるまで相当の時間が必要とされた。
室温の低下を防ぐため、少数のストーブに負担がかかり、溶解する。そしてさらに少なくなったストーブが…まさに悪循環であった。
「上棟からの撤退を…撤退を指示しなさい!」
咲夜は言ったが、それは天候が回復しない限り不可能だった。
幾度かの無意味な交信が繰り返され、無駄に時間が過ぎた…
「救出部隊の編成は?」
咲夜の言葉にメイドは首を振った。
「もはや不可能です。橇、人員、全てが足りません」
「上棟に指示を、なんとか自力で脱出を…と」
咲夜の言葉に、メイドは感情の全てを失ったかのような言葉で応じた。
「メイド長…上棟との通信不能です」
「っ…」
孤立した上棟では、絶望的ともいえる生存への努力が続けられていた。
「室温低下!」
「火力をもっと上げて!」
「駄目です!これ以上の燃料の投入はストーブが溶けます!!」
「天井が歪んで…」
「音が…音が聞こえる、橇の音が…救出部隊が来るのよ」
「諦めなさい、あれは柱が折れた音よ」
「脱出の準備を急がせて!」
「外は猛吹雪です、もう少し待った方が…」
「待つ時間がどこにあるというの?」
しかし、通路が寸断された後の上棟は、指揮系統が混乱し、ひたすらに目の前の事態に振り回されるばかりであった。
その間にも天井は歪み、壁に穴が空く。それに対し、混乱し、疲弊しきったメイド達には何もできることなどない。
いくつかの小集団が脱出を試みたが、暴風雪がその破壊力を最大限発揮している中においては、その行動は自殺行為だった。ろくな準備もなく外に飛び出たメイド達は、そのほとんどが吹雪に呑まれ、還らなかった。
そして、白い悪魔と称される頭上の雪は、徐々にその重さを増していった。館全体が歪み、あちこちで柱がはじける音がしはじめる。
皆が絶望し覚悟を決める中で、何人かが最後の抵抗を試み、補強材を立てるが、それは恐怖の時間を長引かせただけだった。
まもなく、上棟は白い悪魔が起こした崩壊に呑み込まれ、中の者は生き埋めとなった。これは、幻想郷史上最悪の生き埋め被害と言われる。
そして、この地獄から脱出できた者はごくわずかだった。
上棟の崩壊以後、東棟群集団は、押し寄せる寒波に対しなすところなく翻弄されるばかりになった。
限界まで抽出された人員と資器材を失ったことで、東棟を守る手だては失われた。人員も資材も、ありとあらゆる物が不足していた。そこに残っているのは彼女達の意地だけであった。
メイド長の直轄部隊であるという意地と誇りが、彼女達に最後まで持ち場を離れさせなかったが、それも限界に近づいていた。
予備の燃料、ストーブは全て持ち出され、そして失われており代わりはなかった。メイドの交代要員もおらず、疲労し、倒れたメイドが各所に屍をさらしていた。
他の棟への支援要請は、それらを道連れにしかねず、とてもできるものではなかった。東棟の崩壊は、もう皆が見える所まで迫っていたのだ。
「メイド長、北側壁面が限界です…」
雪を被り、疲れ切った表情でやってきたメイドに、咲夜は言った。
「ありがとう、そしてご苦労様。皆中央棟と南棟に避難しなさい、私が援護します」
「え…」
北側壁面が突破されれば、もはや東棟が長く持たないことなど判りきっていた。重厚な外壁を破壊した暴風雪は、薄弱な内壁など瞬く間に突破し、館内を蹂躙するだろう。その猛威の前には、東棟の耐寒縦深などないに等しかった。
完全で瀟洒なメイド長が守るこの東棟は、例え中央棟が崩壊しても残るだろう…東棟群集団の皆はそう信じていた。事実、東棟の一室は咲夜によって厳重に秘匿され、そこにレミリアを呼び寄せるのだという噂は、半ば公然と囁かれており、咲夜もそれを否定しなかった。
実はここは、咲夜のぬいぐるみを納めた見事なまでに乙女ちっくな部屋だったのだが、それはレミリアですら知らない紅魔館の最高機密であった。メイド長は、寝る前に人形を一時間かけて並べたり、お気に入りのぬいぐるみを抱いて寝てはいけないのであった。
無論、出勤の際に「行ってくるね、ぴょこちゃん」などと言って兎の人形にほおずりをするのも御法度だった。
「ですが…」
戸惑うメイドに、咲夜は厳然と言った。
「メイド長命令よ。各員は速やかに中央棟もしくは南棟に退避、以後現地部隊の指揮下に入れ、復唱!」
「各員は速やかに中央棟もしくは南棟に退避、以後現地部隊の指揮下に入れ。了解!」
反射的に敬礼で応えたメイドに、咲夜は続ける。
「急ぎなさい、長くは持たないわ」
さすがは咲夜の直轄部隊だった。皆が速やかに動き出し、残り少なくなった資器材を運び出す。倒れた者達もみな助けられた。
そして、北側では咲夜の命令を無視したメイド長直属部隊…通称咲夜親衛隊…が、最後の防戦を続けていた。
咲夜の意志を感じていた彼女らは、咲夜に殉ずる覚悟だったのだ。
「残存燃料零、第三ストーブ停止します!」
「第二も限界です!!」
「そこいらの可燃物をはぎ取って入れなさい、皆の脱出する時間を稼ぐのよ」
「しかし周囲にはもはや…」
メイドが言った時、その目の前に突如として大量の木材が現れた。
「え…」
「メイド長!?」
戸惑う彼女らに、呆れたように咲夜は言った。
「仕方がないわね、命令が伝わらなかったの?」
「魔法水晶が壊れ、受信できませんでした!」
目の前には、床に叩きつけられ、粉々になった魔法水晶があった。
「…」
「…」
黙って咲夜を見つめる彼女達の額には『滅私奉紅』や『七生報紅』と書かれた鉢巻きがあった。彼女らの視線はまっすぐ咲夜へと向かい、固い決意を示していた。
「はぁ、わかったわ。でも残った以上覚悟は決めているわね」
「「「はい!」」」
しばしの沈黙の後に、根負けしたように言った咲夜に、メイド達は全力で答えた。
そして、咲夜は表情を引き締め、続ける。
「それじゃあ東棟群集団最後の任務を伝えるわ、それは…」
中央棟
「咲夜が残った!?何で!誰か止めなかったの!!」
泣き出し、今にも東棟へ駆け出そうとするレミリアを押しとどめつつ、メイドは叫ぶ。彼女の目にも涙が溢れていた。
「言いました、ですが…ですが…メイド長は、皆お嬢様を頼むわね、と言ったっきり時を止めてどこかへ…」
「咲…夜…」
呆然と膝をつくレミリアの向こうで、ぽっと赤い火が見えた。
東棟
「北側点火完了!火勢は勢いを増しています」
「残存燃料をどんどん入れなさい!じわじわ燃えても仕方がないの、一気に燃やしなさい!!」
咲夜の指示に、東棟は炎に包まれていく。それは彼女の頬を照らし、美しく染めていた。
そんな彼女の側に、小さな影が寄り添う。小柄なその姿は、メイド長直属部隊の隊長、カナである。
初めて咲夜がメイド長になった月から、隊長として咲夜の側にあったメイドであった。
「メイド長…不思議なものですね。まさか私たちが紅魔館に火を放つことになるなんて…」
燃えゆく東棟を眺めながら呟くように言ったカナに、咲夜は答えた。
「ええ、そうね…でも、これが中央棟を救う唯一の手段よ」
漂ってくる煙を瀟洒に振り払いつつ、咲夜は中央棟を見る。
「お嬢様…ご無事で」
風向きは北北東からやや東よりに変わっていた。屋上の風見鶏は全て凍り付くか吹き飛ばされていたが、壁を突き破ってきた飛来物の侵入角度からその風向きは予測できた。
咲夜は、東棟を燃やすことで、中央棟と、そして南棟の屋根に積もった雪を溶かしてしまおうと考えたのである。
場合によっては両棟をも燃やしてしまいかねない危険な賭であったが、しかしそれ以外に中央棟と南棟を助ける手だてはないと考えたのだ。
そしてまた、自らの指揮で死地に追い込んでしまったメイド達の元に逝く…完全で瀟洒なメイドの、最期を飾るに相応しい作戦だった。
「けほっ!…そろそろでしょうか?」
煙が館内に漂い、視界が悪くなっていた。今までの寒気は嘘のように消え去り、代わりに所々から熱風が吹き付けていた。
「そうね、でもあなたまで付き合うことなかったのに」
むせるカナを見て、咲夜は呟くように言った。それに合わせるかのように梁が落下し、床を叩く。東棟はその最後の役目を果たそうとしていた。
しかし、二人のメイドは全く動じずに話を続ける。
「ご無体な、私たちは紅魔館のメイドであり、そしてメイド長の指揮下で働く事に誇りを持っているのです。最期までお供いたします」
明るさと、優しさと、責任感と、そして敬意…様々なものを詰めて届けられた彼女の言葉は、果たして咲夜にどう受け取られたのだろうか。
そうする間にも、炎は勢いを増し、義務から解放された梁や柱が次々と倒れだす。東棟の最期である。それはある種荘厳で、例えようもなく美しく見えた。
「…そう」
ゆっくりと呟き、目を閉じた咲夜は、直後に激しい衝撃を感じて昏倒した。
闇に消えていく意識の途上、咲夜は部屋からぴょこちゃんを助け出せなかったことを思い出していた。
そして、火勢はますます強く、やがて東棟全体をその中に包み込んでいった。
~数日後~
「パチュリーさま!青空です!青空が見えましたよ!!」
ですよですよと踊り回る小悪魔に、パチュリーも微笑みながら言葉を返す。
「…予想通り…ね、もうこれで大丈夫なはずよ」
数週間ぶりに外に出たパチュリーと小悪魔は、紅魔館の頭上が晴れ渡っているのを見た。そして、二人が立つベランダからは、毅然とその存在を示す中央棟が確認できた。
ついに彼女らは寒波に打ち勝ったのである。
東棟炎上の際に発生した熱気は、破滅に足を踏み出していた中央棟屋根の雪を完全に溶かし、南棟の雪もその過半が溶け去った。
パチュリーが企図した中央棟集団の撤退作戦は結局不発に終わったが、彼女は別段気にすることなく中央棟集団への支援を行っていた。
彼女が考えていた収容作戦は、あくまで中央棟と南棟両者が守りきれない場合を考えた時の策だった。
貴重な犠牲を対価とし、両棟の屋根から雪が消えた時、彼女は現状に即したものへと計画を変えた。占星術部門は一週間以内の天候回復を予測していたのだ。
あと一週間…もし中央棟が守りきれるようならその方がいい。中央棟の屋根から雪が消え、その間に防備もある程度整えられたと聞いたパチュリーは、直ちに中央棟集団の受け入れ準備を中止し、逆に大車輪で中央棟への支援を開始したのだ。
地下貯蔵庫から運び出される大量の食料…燃料…ストーブ…それらは、パチュリーが書籍代と称して受け取っていた予算の大部分を流用していた証だった。
図書館がなければ本は読めない、そして、本を読んでもその感想を(一方的に)話す相手がいないとつまらない。その事をよく知っているパチュリーであった。
それらの中で決戦用ストーブと命名されたストーブは、魔法で精製された灯油を燃料にしてしたもので『温風を吹き付ける』事が可能だった。
周辺しか暖めることが出来ない旧型ストーブに比べ、その威力は絶大だった。ちなみに、西棟~中央棟の通路防衛戦で失われた灯油ストーブはダミーだった。
あの事件には、西棟群集団を独立させる以外に、灯油ストーブの存在を公にし、無意味な暖房で貴重な燃料を浪費するのを避ける為、新型ストーブ開発計画が失敗したと見せかける意図もあったのである。
灯油ストーブ部隊は、ストーブも精製された燃料も少なかったが、危険な状態な区画を転々と移動し、その速やかな行動で各所の窮地を救っていた。尚、指揮するのは旧門衛隊のリンナである。
彼女と新型ストーブが征く所はみな難攻不落の城塞となり、寒気の侵入を頑としてはねのけた。彼女は後に鉄壁リンナと呼ばれたが、それは、門衛隊生き残りの彼女にとって最高の誉め言葉であった。
ヴワル魔法図書館からの支援を受けて、たちまち中央棟集団は息を吹き返した。
北棟群集団と東棟群集団の人員、そして南棟群集団からの支援物資を合わせた中央棟集団は、今までの耐寒耐雪戦闘を通じて得た経験を元に、東棟炎上後、さらに強まる風雪に対しても優位に戦闘を続け、中央棟を守り抜いたのだ。
また、前線を飛び回るフランに士気は上がり、泰然と状況を把握するレミリアに皆は安心して戦い得た。
そして…
「第七区画へストーブ三移送!第六はもう大丈夫ね、そこから引き抜きなさい!!」
適切な指示で皆を動かす咲夜は、まさに完全で瀟洒なメイドだった。
東棟が炎上する最中、呆然と立ちすくむレミリアの前に現れたのは、真っ黒に煤けながら咲夜を背負ってやってきたカナの姿だった。
なぜか手に棍棒を持っていた彼女は、それを投げ捨てると、「取り残された者がいないか確認してきます。メイド長が起きたらこう伝えて下さい、あなたは『いつまでも私たちが尊敬するメイド長です』…と」と言って、皆が止める間もなく東棟に向かい、戻らなかった。
その後、目を覚ました咲夜は、それを聞いて長い長いため息をついた後、すぐに総司令部へと向かった。
メイド長生還に湧く総司令部を静めた咲夜は、すぐさま指揮をとり、東棟群集団の受け入れに混乱する中央棟集団の機能を、一時間もしない内に回復させ、さらに北棟群集団と東棟群集団の人員を各所にふりわけ(この時点で北棟群集団の人員はほとんどが予備とされていた)、状況を安定させた。
この咲夜の指揮はいい意味で凄まじく、レミリアをして「…私の出番は?」と言わしめるほどであった。
また、いつも以上に冷静で、適切な指揮をとる咲夜を見て、メイド達の中には「メイド長は私たちの犠牲など気にもかけないのよ」と言う者がいたが、彼女たちは知らなかった。
咲夜が、毎晩凍り付いていったメイド達への懺悔の手紙を書いていることを…そして、焼けこげたぬいぐるみの耳を胸に抱いて、泣きながら眠っていることを…
しかし、批判する者を含めた誰もが、少なくとも咲夜の指揮によって中央棟が守り抜かれたという事はだけ認めていた。
メイド長は、完全かつ瀟洒に中央棟を守り抜いたのである。
「パチュリーさま、これで今年の冬はもう大丈夫なんでしょうか?」
首を傾げ、そう問う小悪魔に、パチュリーは答えた。
「わからないわ…これほどの寒波が何故起きたのかも、そしてこれからも続くのかも…それこそ今以上の寒波が来るかもしれない」
「え…」
不吉なパチュリーの言葉に、小悪魔は言葉を失った。
「でもね…」
みる間に青ざめる小悪魔を見ながら、パチュリーは続ける。
「…皆がいればなんとかなるわ」
彼女の眼下では、メイド達が忙しく働いていた。雪を掘り起こし、使えるものを回収する。
春はまだ遠く、各館の再建はまだ始まっていないが、パチュリーの目には既に壮麗な紅魔館の姿が見えていた。
「あはは、パチュリーさまらしくない非論理的なお言葉ですね…でも」
手すりにもたれながら外を見るパチュリーに、小悪魔も同じようにして近づき、言った。
「…私もそう思います」
「その柱は倉庫へ!まだ使えるわ!!それは無理ね、燃料庫へ」
「了解!」
「ストーブ発見!」
「補修班へ!」
「駄目です!重くて…」
「わかったわ、ストーブ回収班を呼びなさ…傘?」
「みんなーっ!お昼ごはんだよっ!!」
「フランドール様!?」
「すごいっ!具だくさん」
「はぁ…仕方ないわねみんな、一時休憩、昼食よ」
「メイド長話せる~」
「マルレーン、あなたは立ち番ね」
「ひどっ!?」
「あははっ!!」
「フラン~私の日傘は?ねぇ?ちょっと聞いてる?」
「そういえばメイド長ったら実はこの前里に人形を買…もがもがっ!?」
「あら、ドーラ、猿ぐつわをするなんて変な趣味してるのね。次は鼻かしら?」
「ひょーはくはんたいっ!」
「あら、漂白はしないとだめじゃない」
「ひがうー!!」
「ねぇフラン!ちょっと咲夜も!!聞こえないのっ!!」
「あははっ!ほらほら冷めちゃうよっ!せっかく私が作ったシチューなのに」
「え、フランドール様がっ!?」
「ひゃひぇひぇひゃい…」
「私一番のりっ!!」
「ずるい私も!!」
「もぐもぐ…」
「あっ!メイド長時間を止めるのは反則ですっ」
「フランのシチュー!?私も私も!ちょっと…ねぇっ!!」
「美味しいっ!?」
「でしょー」
「凄い!!」
「えへへ」
「意外な才能っ!?」
「…もうっ!」
「ちょっと!私も混ぜなさいよー!!」
陽気に騒ぐ皆の姿を見ながら、ベランダの二人は久しぶりにゆっくりと紅茶を飲んでいた。そう、気持ちも身体もゆっくりと…
咲夜が笑いながらレミリアの所へ歩いていく様は、実にのどかだった。
春の目覚めはまだ遠く、それまでに幾多の困難を乗り越えなければならないだろう。しかし、その間の休息を皆は心から楽しんでいた。
犠牲は大きかったが、得たものも大きかった。形として残ったものは何もなかったが、皆の心には記憶と、そして経験として様々なものが残ったのだ。
紅魔館は尚も丘の上にその偉容を保ち、そしてこれからもそうであるに違いなかった。
そう…そこに住む皆がいる限り、紅魔館は永遠に存在し続けるのである。
『完』
美鈴に黙祷
これはまさに中間管理職……! 最後のレミリアの次に哀れでした。
個人的には前半の勢いに比べ後半若干勢いが失速したようにも。
しかしながら前後編通して十分に楽しめましたw
博麗神社や魔理沙、アリスの家とかはどうなっているのやら。
哀れな・・・。
黙祷!!
かれらの戦いに敬意を評す!
それはそうと紅魔館は湖の中心にあったような・・・?
それだけ美鈴が見事に書かれていたという事かと思います。
前後編通して、楽しませていただきました。
個人的にはアリスと騒霊3姉妹の辺りを掘り下げて見たいでありますよ。
ところで前編ではフランの陣地は東棟だったのが、後編では北棟になってましたが、指摘よりも先にどっちの方が戦略的に有効なのかを小一時間悩む……
次々に負けて絶望的情況になっていくのが次はなにが起こるのかドキドキものでした。
お腹いっぱいです、ごちそうさま~♪
様々なネタが前回同様上手く東方と融合してて最高でした!!
ブラボー!!ヒューバー!!ウラー!!
これからも良い作品を書き続けてくださいw
勇猛で悲壮な戦士達の活躍に最敬礼です。
しかし、元ネタ知らなくても面白かったです。
パチュリーのなんとカッコイイことか!
ここまでの評価を頂けるとは思っておらず、ただただ感謝の言葉だけです。
>名前が無い程度の能力様
ありがとうございます。黙祷!
>翔菜様
なるほど…ふむむ、技量不足だったようです。精進ですねorz
そしてそりゃあ三日も寝なければ不機嫌になりますねww
>二人目の名前が無い程度の能力様
おまけで書こうかとも思ったのですが、如何せんネタがうまくまとまらずに断念されました。アリスはどうにかまとまりそうだったんですが…
簡単なあらすじでよろしければ、サイトに数日以内に上げておきますのでorz
>三人目の名前が無い程度の能力様
本当は最後で全部ひっくりかえす誘惑にかられていました、というか当初はその案だったのですが、ここまでやっておいてそれでは…とorz
>ルドルフとトラ猫様
戦士諸君に敬礼!
>四人目の名前が無い程度の能力様
言っては駄目だ!彼女らはもう…
いえ、調子乗ってごめんなさい。簡単なあらすじでよろしければ、サイトに数日以内に上げておきますのでorz
>五人目の名前が無い程度の能力様
ナポレオンもヒトラーもかなわない位ですしww
紅魔館については、文花帖(求聞史紀でも)湖の畔にあるとの記述があったので、その設定を採用いたしましたorzイメージにぴったりだったので。
>六人目の名前が無い程度の能力様
最初はギャグのつもりで書いていたのが、丁度、資料に八甲田山死の彷徨を読んだあたりから…
>七人目の名前が無い程度の能力様
冬は死闘です…本当に。
>名など捨てた様
敬礼!
>八人目の名前が無い程度の能力様
そんな過分な誉め言葉を…こちらこそ恐縮です。
えっと…(うまいお礼の言葉がみつからず)…光栄ですww
>名前が無い程度の名前様
美鈴は…自分の技量以上のものを書いてしまったのかもしれないです。でも、個人的に、美鈴とポポフ…ごほごほポトフの所に一番力を入れていたのでそう言っていただけますとww
そしてフランのご指摘…いや、申し訳ありません、最初は逆だったのが、物語の進行途上で配置転換したのです…
騒霊三姉妹とアリスに関しては、先述の通り簡単にサイトに上げる予定なのですが、それとは別に少し話を膨らませて、プチにでも投稿しようかと考え中なのです。他は無理っぽいのですが、彼女たちならどうにかできるかも…と。あくまで計画段階ですがorz
>九人目の名前が無い程度の能力様
なんか見事にまとめられましたww
イメージとしてはまさにそんな感じなのです、楽しんで頂けましたのなら~ww
>CODEX様
パチェって勝てない戦いはしなさそうな気がするのですww命の差し入れをしてくれるのは小悪魔なんでしょうねぇ(笑)
>十人目の名前が無い程度の能力様
いえ、八人目の方かと思うのですが念のためorz
レミリアはいることに意義があるのですよ…多分(あれ?)
>翼様
ありがとうございます!(敬礼!)
>都様
対馬沖海戦と書かれるあたりこぁですね(笑)
ヤボール、微力ながら全力を尽くします!
>十一人目の名前が無い程度の能力様
そう言って頂けますと…調子に乗りすぎたかなと思っておりましたのでorz
>十二人目の名前が無い程度の能力様
あ…私が脳内で考えていた免罪符を(笑)
>ご指摘ご感想ありがとうございましたww
ここまでの評価を頂けるとは思っておらず、ただただ感謝の言葉だけです。
>名前が無い程度の能力様
ありがとうございます。黙祷!
>翔菜様
なるほど…ふむむ、技量不足だったようです。精進ですねorz
そしてそりゃあ三日も寝なければ不機嫌になりますねww
>二人目の名前が無い程度の能力様
おまけで書こうかとも思ったのですが、如何せんネタがうまくまとまらずに断念されました。アリスはどうにかまとまりそうだったんですが…
簡単なあらすじでよろしければ、サイトに数日以内に上げておきますのでorz
>三人目の名前が無い程度の能力様
本当は最後で全部ひっくりかえす誘惑にかられていました、というか当初はその案だったのですが、ここまでやっておいてそれでは…とorz
>ルドルフとトラ猫様
戦士諸君に敬礼!
>四人目の名前が無い程度の能力様
言っては駄目だ!彼女らはもう…
いえ、調子乗ってごめんなさい。簡単なあらすじでよろしければ、サイトに数日以内に上げておきますのでorz
>五人目の名前が無い程度の能力様
ナポレオンもヒトラーもかなわない位ですしww
紅魔館については、文花帖(求聞史紀でも)湖の畔にあるとの記述があったので、その設定を採用いたしましたorzイメージにぴったりだったので。
>六人目の名前が無い程度の能力様
最初はギャグのつもりで書いていたのが、丁度、資料に八甲田山死の彷徨を読んだあたりから…
>七人目の名前が無い程度の能力様
冬は死闘です…本当に。
>名など捨てた様
敬礼!
>八人目の名前が無い程度の能力様
そんな過分な誉め言葉を…こちらこそ恐縮です。
えっと…(うまいお礼の言葉がみつからず)…光栄ですww
>名前が無い程度の名前様
美鈴は…自分の技量以上のものを書いてしまったのかもしれないです。でも、個人的に、美鈴とポポフ…ごほごほポトフの所に一番力を入れていたのでそう言っていただけますとww
そしてフランのご指摘…いや、申し訳ありません、最初は逆だったのが、物語の進行途上で配置転換したのです…
騒霊三姉妹とアリスに関しては、先述の通り簡単にサイトに上げる予定なのですが、それとは別に少し話を膨らませて、プチにでも投稿しようかと考え中なのです。他は無理っぽいのですが、彼女たちならどうにかできるかも…と。あくまで計画段階ですがorz
>九人目の名前が無い程度の能力様
なんか見事にまとめられましたww
イメージとしてはまさにそんな感じなのです、楽しんで頂けましたのなら~ww
>CODEX様
パチェって勝てない戦いはしなさそうな気がするのですww命の差し入れをしてくれるのは小悪魔なんでしょうねぇ(笑)
>十人目の名前が無い程度の能力様
いえ、八人目の方かと思うのですが念のためorz
レミリアはいることに意義があるのですよ…多分(あれ?)
>翼様
ありがとうございます!(敬礼!)
>都様
対馬沖海戦と書かれるあたりこぁですね(笑)
ヤボール、微力ながら全力を尽くします!
>十一人目の名前が無い程度の能力様
そう言って頂けますと…調子に乗りすぎたかなと思っておりましたのでorz
>十二人目の名前が無い程度の能力様
それ…実は私も考えていましたorz
自己犠牲の精神に溢れる戦士諸君に最敬礼!
ご指摘ご感想ありがとうございましたww
ここまでの評価を頂けるとは思っておらず、ただただ感謝の言葉だけです。
>名前が無い程度の能力様
ありがとうございます。黙祷!
>翔菜様
なるほど…ふむむ、技量不足だったようです。精進ですねorz
そしてそりゃあ三日も寝なければ不機嫌になりますねww
>二人目の名前が無い程度の能力様
おまけで書こうかとも思ったのですが、如何せんネタがうまくまとまらずに断念されました。アリスはどうにかまとまりそうだったんですが…
簡単なあらすじでよろしければ、サイトに数日以内に上げておきますのでorz
>三人目の名前が無い程度の能力様
本当は最後で全部ひっくりかえす誘惑にかられていました、というか当初はその案だったのですが、ここまでやっておいてそれでは…とorz
>ルドルフとトラ猫様
戦士諸君に敬礼!
>四人目の名前が無い程度の能力様
言っては駄目だ!彼女らはもう…
いえ、調子乗ってごめんなさい。簡単なあらすじでよろしければ、サイトに数日以内に上げておきますのでorz
>五人目の名前が無い程度の能力様
ナポレオンもヒトラーもかなわない位ですしww
紅魔館については、文花帖(求聞史紀でも)湖の畔にあるとの記述があったので、その設定を採用いたしましたorzイメージにぴったりだったので。
>六人目の名前が無い程度の能力様
最初はギャグのつもりで書いていたのが、丁度、資料に八甲田山死の彷徨を読んだあたりから…
>七人目の名前が無い程度の能力様
冬は死闘です…本当に。
>名など捨てた様
敬礼!
>八人目の名前が無い程度の能力様
そんな過分な誉め言葉を…こちらこそ恐縮です。
えっと…(うまいお礼の言葉がみつからず)…光栄ですww
>名前が無い程度の名前様
美鈴は…自分の技量以上のものを書いてしまったのかもしれないです。でも、個人的に、美鈴とポポフ…ごほごほポトフの所に一番力を入れていたのでそう言っていただけますとww
そしてフランのご指摘…いや、申し訳ありません、最初は逆だったのが、物語の進行途上で配置転換したのです…
騒霊三姉妹とアリスに関しては、先述の通り簡単にサイトに上げる予定なのですが、それとは別に少し話を膨らませて、プチにでも投稿しようかと考え中なのです。他は無理っぽいのですが、彼女たちならどうにかできるかも…と。あくまで計画段階ですがorz
>九人目の名前が無い程度の能力様
なんか見事にまとめられましたww
イメージとしてはまさにそんな感じなのです、楽しんで頂けましたのなら~ww
>CODEX様
パチェって勝てない戦いはしなさそうな気がするのですww命の差し入れをしてくれるのは小悪魔なんでしょうねぇ(笑)
>十人目の名前が無い程度の能力様
いえ、八人目の方かと思うのですが念のためorz
レミリアはいることに意義があるのですよ…多分(あれ?)
>翼様
ありがとうございます!(敬礼!)
>都様
対馬沖海戦と書かれるあたりこぁですね(笑)
ヤボール、微力ながら全力を尽くします!
>十一人目の名前が無い程度の能力様
そう言って頂けますと…調子に乗りすぎたかなと思っておりましたのでorz
コメント欄があふれた!?続きますorz
ここまでの評価を頂けるとは思っておらず、ただただ感謝の言葉だけです。
>名前が無い程度の能力様
ありがとうございます。黙祷!
>翔菜様
なるほど…ふむむ、技量不足だったようです。精進ですねorz
そしてそりゃあ三日も寝なければ不機嫌になりますねww
>二人目の名前が無い程度の能力様
おまけで書こうかとも思ったのですが、如何せんネタがうまくまとまらずに断念されました。アリスはどうにかまとまりそうだったんですが…
簡単なあらすじでよろしければ、サイトに数日以内に上げておきますのでorz
>三人目の名前が無い程度の能力様
本当は最後で全部ひっくりかえす誘惑にかられていました、というか当初はその案だったのですが、ここまでやっておいてそれでは…とorz
>ルドルフとトラ猫様
戦士諸君に敬礼!
>四人目の名前が無い程度の能力様
言っては駄目だ!彼女らはもう…
いえ、調子乗ってごめんなさい。簡単なあらすじでよろしければ、サイトに数日以内に上げておきますのでorz
>五人目の名前が無い程度の能力様
ナポレオンもヒトラーもかなわない位ですしww
紅魔館については、文花帖(求聞史紀でも)湖の畔にあるとの記述があったので、その設定を採用いたしましたorzイメージにぴったりだったので。
>六人目の名前が無い程度の能力様
最初はギャグのつもりで書いていたのが、丁度、資料に八甲田山死の彷徨を読んだあたりから…
>七人目の名前が無い程度の能力様
冬は死闘です…本当に。
>名など捨てた様
敬礼!
>八人目の名前が無い程度の能力様
そんな過分な誉め言葉を…こちらこそ恐縮です。
えっと…(うまいお礼の言葉がみつからず)…光栄ですww
>名前が無い程度の名前様
美鈴は…自分の技量以上のものを書いてしまったのかもしれないです。でも、個人的に、美鈴とポポフ…ごほごほポトフの所に一番力を入れていたのでそう言っていただけますとww
そしてフランのご指摘…いや、申し訳ありません、最初は逆だったのが、物語の進行途上で配置転換したのです…
騒霊三姉妹とアリスに関しては、先述の通り簡単にサイトに上げる予定なのですが、それとは別に少し話を膨らませて、プチにでも投稿しようかと考え中なのです。他は無理っぽいのですが、彼女たちならどうにかできるかも…と。あくまで計画段階ですがorz
>九人目の名前が無い程度の能力様
なんか見事にまとめられましたww
イメージとしてはまさにそんな感じなのです、楽しんで頂けましたのなら~ww
>CODEX様
パチェって勝てない戦いはしなさそうな気がするのですww命の差し入れをしてくれるのは小悪魔なんでしょうねぇ(笑)
>十人目の名前が無い程度の能力様
いえ、八人目の方かと思うのですが念のためorz
レミリアはいることに意義があるのですよ…多分(あれ?)
>翼様
ありがとうございます!(敬礼!)
>都様
対馬沖海戦と書かれるあたりこぁですね(笑)
ヤボール、微力ながら全力を尽くします!
>十一人目の名前が無い程度の能力様
そう言って頂けますと…調子に乗りすぎたかなと思っておりましたのでorz
>十二人目の名前が無い程度の能力様
それ…実は私も考えていましたorz
自己犠牲の精神に溢れる戦士諸君に最敬礼!
>十三人目の名前が無い程度の能力様
そう言って頂けますとww
>deso様
ああ、ネタの詰め込みすぎ申し訳ないですorz
あと、パチェってあんな役が似合うと個人的に思っておりましたのでww
最後にもう一度、このネタだらけのSSに対し、多くのご指摘、ご感想ありがとうございました。今回はこれにて失礼いたします。
或るSS大尉ことアッザム・de・ロイヤル。
追記、投稿ミス申し訳ないです…下はどうかなかったことに…orz
ご感想ありがとうございました。
黙祷。
紅魔館の皆さんの頑張りには脱帽。
次回作も期待しております。
一月以上も返信遅れてしまいましたorz
ご感想ありがとうございますww
頑張ることはいいことです♪…いえ、そんなレベルじゃない気がしますがorz