年の終わりも近づいてきた師走(12月)のある日__
突然、氷の妖精であるチルノが爆弾発言をしたのであった。
「霊夢を倒しに行くわ!」
❇︎
私はルーミア。宵闇の妖怪だ。
主食、肉。好物、人肉。...と言っても、ここ数年は人肉なんて喰っていない。食べると霊夢に叱られるし。それに人を食べるために努力するのもめんどくさい。食なんて結局食えればいいのだ。
霊夢は現 博麗の巫女だ。いや、そんくらいみんな知ってると思うけど、一応ね?
霊夢は割と見境なく妖怪を退治しにかかるので、私達のような弱い妖怪は彼女の事を恐れている。(人間と妖怪の関係ってなんだっけ)
前に本を読んでた朱鷺の妖怪が「私何も悪い事してないのに!」って泣き喚いてたっけ。あれも霊夢の仕業らしい。博麗の巫女、恐ろしや。(人間が妖怪を怖がらせるんだっけ)
そんな霊夢に喧嘩売りに行くとか馬鹿なことほざいてるのが、チルノだ。一応、友達。というか、悪友って奴かな?その他、ただ力が強い妖精の大妖精と、蟲(ホタル)の妖怪のリグル・ナイトバグ、夜雀のミスティア・ローレライの5人で今日も今日とて平和にイタズラとかしようと思ってたのに。
「え〜と、霊夢ってあの霊夢?」
突然の発言による動揺からか、意味わかんない事を聞くリグル。いや、他に霊夢なんて珍しい名前そうそういないだろ。
「そりゃぁあの霊夢よ!決まってるじゃない!」
うーんやっぱそうか。でもなんで急に?
「霊夢は冬は弱いのよ!」
え、そんだけ?まぁノースリーブじゃ寒いよな。いや、え、それだけ?もしかしてチルノってドMだったの?
「ま、待ってよ、それだけの理由じゃ返り討ちにあうに決まってるじゃない。」
正論を言うミスティア。そうだ。そんなのチルノ1人で勝てる訳無いじゃん。
「5vs1なら勝てるわよ!」
思わず頭がくらっとする。なんでウチら巻き込むん?1人で地獄に落ちてろよ。私達まで道連れにすんなよ。ヤダよ行きたくねぇよ死にたくねぇよ。
「いや、私パスで。」
今日は逃げよう。何が悲しくて巫女に嬲り殺しにされなきゃいけないんだ。
そうして背を向けた途端、
「氷符『アイシクルフォール』!」
「うぉあっぶね!」
チルノの出した氷柱が危うく背中に刺さる所だった。
「何すんのよ!」
「ふっふっふ〜。そう言うと思ったわ!だったらブリョクコーシよ!」
どこでそんな言葉覚えてきた。
まぁ、良いだろう。チルノとの弾幕ごっこの戦果は私の方が勝つ事が多い。最終的に勝てば良かろうなのだ!
❇︎
なんてこった。
これからの自分の運命が決まる大事な対決で私はチルノに負けてしまった。
「勝ったわ!さぁ、一緒に来て貰うわよ!」
...私は30分前の自分の浅慮を一生恨むだろう。安全第一。肝に銘じる。
❇︎
てか、大妖精やリグルは良いの?
私はふと気になって聞いた。まさか私以外皆霊夢に勝てると思ってるの?
「いや、勝てるとは思ってないけど、もう、いいかなって。」
...諦めんなよぉ。
結局、博麗神社まで着いてしまった。
と思ったら、チルノが博麗神社とは別方向に歩き始めた。
「え?どこ向かうの?」
思わず聞いた。今の行動が理解出来なかったからだ。
「どこにも。とりあえず時間潰さないと。」
「え...と?」
私が、いや、他の3人も理解出来ないでいると、チルノが自信たっぷりって感じでふんぞり返りながら言った。
「襲撃するのは夜よ。」
❇︎
数時間の間、鬼ごっこでもして時間を潰した。なんやかんや楽しかった。
そして夜になった。
「なんで夜なの?」
私は聞いた。まだ分からなかったからだ。
「ふふん。今日は神社で宴会があるのよ。」
ふむふむ。
「当然、霊夢はお酒を飲むわ!そして酔い潰れる!」
「ちょ、まさか、」
ここでようやくチルノの作戦が見えた私が一旦制止をかけようとした。
「その後襲撃するのよ!」
お前には生物としての誇りが無いのかよ。
チラッと隣を見るとリグルや大妖精も その手があったか と言いたそうな顔で驚いていた。いやなんで思いついても無いんだよ。後狡いとは思わねぇのかよ。
寝込みを襲撃とはなんとも汚い事を実行しようとしている。
まぁ、妖精に誇りとかそんな事訴えても無意味かぁ...。
「お前たち、こんな所で何してるんだ?」
そうしてぼうっと考えてると、突然声をかけられた。
霧雨魔理沙だ。捻くれ者で狂人に限りなく近いと言われる魔法使いだが、意外に常識人だ。それに私達みたいな者にも普通に接してくれる。いや、それ自体は霊夢と変わらないんだけど...霊夢は全体的にキツイってかドライだ。それと比べると魔理沙はホットだ。うん、暖かい。冬だし、暖かい方が良いに決まってる。
「お前たちも宴会に誘われたのか?」
いや、そういう訳では無い。
多分、魔理沙は霊夢に教える真似はしないと思うからあえて教えることにした。魔理沙は自分が巻き込まれなければ進んで厄介事を観察したがるようなタイプだ。味方につけられれば心強いし。
かくかくしかじか。
「ほーう、霊夢を襲撃ねぇ...お前さんたちも恐ろしい事考えるな。」
霊夢に言わない?
「いや、言わんよ。...別に殺すわけじゃ無いんだろ?」
全員で千切れんばかりに首を振る。間違っても肯定したらゼロ距離マスタースパークだろう。まだ死にたくは無い。死にに行くような事するけど。
「なら良いさ。寧ろ慌てる霊夢の顔も見てみたいぜ。」
興味を持ってくれたみたいだ。これは嬉しい誤算...なのかな?
❇︎
更に一時間後、宴会が始まった。
様々な種族の人妖が集まって騒いでいる。こんな事してるから妖怪神社とか言われるんだと思う。
え?そう思うなら霊夢に助言してやれって? 私は鬼に喧嘩を売る度胸は無いよ。
私たちの話を聞いた後、魔理沙は自分のお酒だけアルコール濃度が薄い物にすり替えた。自分だけ酔いを弱くして、霊夢の慌てっぷりを観察する気だろう。
幸いにも今日の宴会は魔理沙が幹事だったらしく、その程度の仕込みは簡単に出来たらしい。
しばらくすると、霊夢も酔いが回ってきて、ふらふらしてくるようになった。
夜も遅く、宴会も終わりが近づいてきた。それから更に30分後、遂に霊夢が寝始めた。
「よし、行くわよ!」
「まだだよ。」
チルノが霊夢を襲い掛かろうとしたが、魔理沙が止めた。
「酔いの絶頂の霊夢なんか驚かしても碌な反応しないぜ。朝7時位に襲いかかると良い。」
確かに、酔っ払ってたら呂律も回らないし、何言ってるか分からなくて脅かす側もつまらないかもしれない。そもそも、襲撃って成功するのだろうか?
その考えには賛成だけど、なんて言うか、私たち霊夢を襲う為だけに半日以上無駄に過ごしてるのよね。今更気にしないし、普段から惰性で生活してるから問題無いけど。
ふと、ミスチーが疑問に思った事を聞く。
「あれ、魔理沙さん、なんで酔っぱらって無いんですか?」
「あぁ、私が飲んでたのはノンアルだからな。」
いや、流石にノンアルは狡くない?ってか宴会なのにそんな冷めるような事するなよ。そんなに驚く霊夢を見たいか!ってか私たちで驚かせられると思ってるの!?
❇︎
時は来た。珍しくチルノにしては作戦まで考えてあった。しかも割とまとも。
「そーいや、なんでチルノは私達を巻き込んでまで霊夢を襲撃しようとか考えたの?」
頭の中の疑問が口をついて出てくる。無意識に操られてるみたいだ。 何か考えがある訳だし、そこにデリカシーは必要なんじゃないか、とか考えたけどもういいや。
「やっぱり、霊夢を倒してこそのサイキョーだと思うの!」
瞬間的にチルノの襟元を掴む。
「私達の手柄を独り占めしようって訳じゃ無いよな?」
「信じてくれたまえ、ルミヌンティウス。」
「...確か、その後メロスは『私を力いっぱい殴ってくれ』って言ったよね。」
「そんなの覚えてないわ。」
この野郎。もし手柄を独り占めしたら一回休みより恐ろしい目に合わせてやる。私達だって命賭けてんだぞ?
ここで7時ぴったし!
私達は急いで、しかし音を立てずに霊夢が寝ている所へ近づく。
「あっ!」
ガチャン!
...すぅ〜...z z z...
セーフ。リグルが地面に散乱してた皿を割ってしまったようだ。バレたらタダでは済まないだろう。現に既に泣きそうな顔になってる。
「行くわよ!」
チルノが小声で合図をかける。
ゴゴゴゴ.......
まず、チルノが寝ている霊夢の周りを逆さ氷柱で囲む。 中に入ったらとんでもなく寒いだろう。
その後、私が闇の弾を生成して、霊夢の真上に設置する。 これで霊夢は何も見えなくなるだろう。
更に、リグルがム○デやゲジ○ジやゴ○ブリを逆さ氷柱の枠の中に投げ入れる。 これはまさしく悪魔の所業。 リグル。お前もう、立派な悪魔だよ。
振り返ると魔理沙も引きつった顔で待っている。異変解決のプロが想像しただけでこの顔だ。実際にやられたらたまったもんじゃ無いだろう。
更にミスティアが___って思った所で異変発生。 あ、そっち(幻想郷)の異変じゃ無い。
「ん〜...何よくすぐったいわね...」
霊夢が起きかけてる! 逃走準備!でも霊夢の反応を見ないのは勿体無いのでまだ逃げない。
「んっ、冷た!何これ、何も見えない!」
狭い空間で(上は空洞になってるにも関わらず)ドタバタと音がする。 流石の霊夢でもこういうレベルの不足の事態には対応出来ないんだなって。
更に__
ブチッ
「何?今の気持ち悪い音と感触。何がいるのよ。」
今の音が何かを説明するのはあまりに恐ろしいので、読者にお任せしよう。
「ちょ、この感触、まさかゲジゲ○!?」
怒ったゲ○ゲジが霊夢に登ったようだ。音からしてさっき潰されたのは○カデかゴキ○リ___
その時ふいに、闇の弾の中から○ジゲジが出てきた。霊夢が放り投げたのだろう。
そいつは真っ直ぐ__ミスチーの額にダイブした。
「ギャーーー!」
ミスティアが思わず絶叫する。
「あ?ミスティアの声?さてはあの馬鹿どもの仕業ね!」
霊夢が叫ぶ。
あ、バレた。私の命運ここに尽きたり。
「に、逃げるわよ〜...!」
チルノが一目散に逃げる。お前っ、ズルすぎだろ。
とりあえず、まだ死にたくは無いので私達も逃げる。なんやかんや、仕掛ける分には楽しかった。後ろを見ると、魔理沙が転げ回って笑ってる。普段一緒にいる事が多い分、珍しい慌てぶりの霊夢が面白いんだろう。
やっぱり、寝ていれば霊夢も人間だ。
❇︎
あのちょっとした騒ぎの次の日、私たち5人は「博麗の巫女の出張退治」と称した霊夢にコテンパテンにやっつけられた。 それは私怨じゃん。酷いや。
突然、氷の妖精であるチルノが爆弾発言をしたのであった。
「霊夢を倒しに行くわ!」
❇︎
私はルーミア。宵闇の妖怪だ。
主食、肉。好物、人肉。...と言っても、ここ数年は人肉なんて喰っていない。食べると霊夢に叱られるし。それに人を食べるために努力するのもめんどくさい。食なんて結局食えればいいのだ。
霊夢は現 博麗の巫女だ。いや、そんくらいみんな知ってると思うけど、一応ね?
霊夢は割と見境なく妖怪を退治しにかかるので、私達のような弱い妖怪は彼女の事を恐れている。(人間と妖怪の関係ってなんだっけ)
前に本を読んでた朱鷺の妖怪が「私何も悪い事してないのに!」って泣き喚いてたっけ。あれも霊夢の仕業らしい。博麗の巫女、恐ろしや。(人間が妖怪を怖がらせるんだっけ)
そんな霊夢に喧嘩売りに行くとか馬鹿なことほざいてるのが、チルノだ。一応、友達。というか、悪友って奴かな?その他、ただ力が強い妖精の大妖精と、蟲(ホタル)の妖怪のリグル・ナイトバグ、夜雀のミスティア・ローレライの5人で今日も今日とて平和にイタズラとかしようと思ってたのに。
「え〜と、霊夢ってあの霊夢?」
突然の発言による動揺からか、意味わかんない事を聞くリグル。いや、他に霊夢なんて珍しい名前そうそういないだろ。
「そりゃぁあの霊夢よ!決まってるじゃない!」
うーんやっぱそうか。でもなんで急に?
「霊夢は冬は弱いのよ!」
え、そんだけ?まぁノースリーブじゃ寒いよな。いや、え、それだけ?もしかしてチルノってドMだったの?
「ま、待ってよ、それだけの理由じゃ返り討ちにあうに決まってるじゃない。」
正論を言うミスティア。そうだ。そんなのチルノ1人で勝てる訳無いじゃん。
「5vs1なら勝てるわよ!」
思わず頭がくらっとする。なんでウチら巻き込むん?1人で地獄に落ちてろよ。私達まで道連れにすんなよ。ヤダよ行きたくねぇよ死にたくねぇよ。
「いや、私パスで。」
今日は逃げよう。何が悲しくて巫女に嬲り殺しにされなきゃいけないんだ。
そうして背を向けた途端、
「氷符『アイシクルフォール』!」
「うぉあっぶね!」
チルノの出した氷柱が危うく背中に刺さる所だった。
「何すんのよ!」
「ふっふっふ〜。そう言うと思ったわ!だったらブリョクコーシよ!」
どこでそんな言葉覚えてきた。
まぁ、良いだろう。チルノとの弾幕ごっこの戦果は私の方が勝つ事が多い。最終的に勝てば良かろうなのだ!
❇︎
なんてこった。
これからの自分の運命が決まる大事な対決で私はチルノに負けてしまった。
「勝ったわ!さぁ、一緒に来て貰うわよ!」
...私は30分前の自分の浅慮を一生恨むだろう。安全第一。肝に銘じる。
❇︎
てか、大妖精やリグルは良いの?
私はふと気になって聞いた。まさか私以外皆霊夢に勝てると思ってるの?
「いや、勝てるとは思ってないけど、もう、いいかなって。」
...諦めんなよぉ。
結局、博麗神社まで着いてしまった。
と思ったら、チルノが博麗神社とは別方向に歩き始めた。
「え?どこ向かうの?」
思わず聞いた。今の行動が理解出来なかったからだ。
「どこにも。とりあえず時間潰さないと。」
「え...と?」
私が、いや、他の3人も理解出来ないでいると、チルノが自信たっぷりって感じでふんぞり返りながら言った。
「襲撃するのは夜よ。」
❇︎
数時間の間、鬼ごっこでもして時間を潰した。なんやかんや楽しかった。
そして夜になった。
「なんで夜なの?」
私は聞いた。まだ分からなかったからだ。
「ふふん。今日は神社で宴会があるのよ。」
ふむふむ。
「当然、霊夢はお酒を飲むわ!そして酔い潰れる!」
「ちょ、まさか、」
ここでようやくチルノの作戦が見えた私が一旦制止をかけようとした。
「その後襲撃するのよ!」
お前には生物としての誇りが無いのかよ。
チラッと隣を見るとリグルや大妖精も その手があったか と言いたそうな顔で驚いていた。いやなんで思いついても無いんだよ。後狡いとは思わねぇのかよ。
寝込みを襲撃とはなんとも汚い事を実行しようとしている。
まぁ、妖精に誇りとかそんな事訴えても無意味かぁ...。
「お前たち、こんな所で何してるんだ?」
そうしてぼうっと考えてると、突然声をかけられた。
霧雨魔理沙だ。捻くれ者で狂人に限りなく近いと言われる魔法使いだが、意外に常識人だ。それに私達みたいな者にも普通に接してくれる。いや、それ自体は霊夢と変わらないんだけど...霊夢は全体的にキツイってかドライだ。それと比べると魔理沙はホットだ。うん、暖かい。冬だし、暖かい方が良いに決まってる。
「お前たちも宴会に誘われたのか?」
いや、そういう訳では無い。
多分、魔理沙は霊夢に教える真似はしないと思うからあえて教えることにした。魔理沙は自分が巻き込まれなければ進んで厄介事を観察したがるようなタイプだ。味方につけられれば心強いし。
かくかくしかじか。
「ほーう、霊夢を襲撃ねぇ...お前さんたちも恐ろしい事考えるな。」
霊夢に言わない?
「いや、言わんよ。...別に殺すわけじゃ無いんだろ?」
全員で千切れんばかりに首を振る。間違っても肯定したらゼロ距離マスタースパークだろう。まだ死にたくは無い。死にに行くような事するけど。
「なら良いさ。寧ろ慌てる霊夢の顔も見てみたいぜ。」
興味を持ってくれたみたいだ。これは嬉しい誤算...なのかな?
❇︎
更に一時間後、宴会が始まった。
様々な種族の人妖が集まって騒いでいる。こんな事してるから妖怪神社とか言われるんだと思う。
え?そう思うなら霊夢に助言してやれって? 私は鬼に喧嘩を売る度胸は無いよ。
私たちの話を聞いた後、魔理沙は自分のお酒だけアルコール濃度が薄い物にすり替えた。自分だけ酔いを弱くして、霊夢の慌てっぷりを観察する気だろう。
幸いにも今日の宴会は魔理沙が幹事だったらしく、その程度の仕込みは簡単に出来たらしい。
しばらくすると、霊夢も酔いが回ってきて、ふらふらしてくるようになった。
夜も遅く、宴会も終わりが近づいてきた。それから更に30分後、遂に霊夢が寝始めた。
「よし、行くわよ!」
「まだだよ。」
チルノが霊夢を襲い掛かろうとしたが、魔理沙が止めた。
「酔いの絶頂の霊夢なんか驚かしても碌な反応しないぜ。朝7時位に襲いかかると良い。」
確かに、酔っ払ってたら呂律も回らないし、何言ってるか分からなくて脅かす側もつまらないかもしれない。そもそも、襲撃って成功するのだろうか?
その考えには賛成だけど、なんて言うか、私たち霊夢を襲う為だけに半日以上無駄に過ごしてるのよね。今更気にしないし、普段から惰性で生活してるから問題無いけど。
ふと、ミスチーが疑問に思った事を聞く。
「あれ、魔理沙さん、なんで酔っぱらって無いんですか?」
「あぁ、私が飲んでたのはノンアルだからな。」
いや、流石にノンアルは狡くない?ってか宴会なのにそんな冷めるような事するなよ。そんなに驚く霊夢を見たいか!ってか私たちで驚かせられると思ってるの!?
❇︎
時は来た。珍しくチルノにしては作戦まで考えてあった。しかも割とまとも。
「そーいや、なんでチルノは私達を巻き込んでまで霊夢を襲撃しようとか考えたの?」
頭の中の疑問が口をついて出てくる。無意識に操られてるみたいだ。 何か考えがある訳だし、そこにデリカシーは必要なんじゃないか、とか考えたけどもういいや。
「やっぱり、霊夢を倒してこそのサイキョーだと思うの!」
瞬間的にチルノの襟元を掴む。
「私達の手柄を独り占めしようって訳じゃ無いよな?」
「信じてくれたまえ、ルミヌンティウス。」
「...確か、その後メロスは『私を力いっぱい殴ってくれ』って言ったよね。」
「そんなの覚えてないわ。」
この野郎。もし手柄を独り占めしたら一回休みより恐ろしい目に合わせてやる。私達だって命賭けてんだぞ?
ここで7時ぴったし!
私達は急いで、しかし音を立てずに霊夢が寝ている所へ近づく。
「あっ!」
ガチャン!
...すぅ〜...z z z...
セーフ。リグルが地面に散乱してた皿を割ってしまったようだ。バレたらタダでは済まないだろう。現に既に泣きそうな顔になってる。
「行くわよ!」
チルノが小声で合図をかける。
ゴゴゴゴ.......
まず、チルノが寝ている霊夢の周りを逆さ氷柱で囲む。 中に入ったらとんでもなく寒いだろう。
その後、私が闇の弾を生成して、霊夢の真上に設置する。 これで霊夢は何も見えなくなるだろう。
更に、リグルがム○デやゲジ○ジやゴ○ブリを逆さ氷柱の枠の中に投げ入れる。 これはまさしく悪魔の所業。 リグル。お前もう、立派な悪魔だよ。
振り返ると魔理沙も引きつった顔で待っている。異変解決のプロが想像しただけでこの顔だ。実際にやられたらたまったもんじゃ無いだろう。
更にミスティアが___って思った所で異変発生。 あ、そっち(幻想郷)の異変じゃ無い。
「ん〜...何よくすぐったいわね...」
霊夢が起きかけてる! 逃走準備!でも霊夢の反応を見ないのは勿体無いのでまだ逃げない。
「んっ、冷た!何これ、何も見えない!」
狭い空間で(上は空洞になってるにも関わらず)ドタバタと音がする。 流石の霊夢でもこういうレベルの不足の事態には対応出来ないんだなって。
更に__
ブチッ
「何?今の気持ち悪い音と感触。何がいるのよ。」
今の音が何かを説明するのはあまりに恐ろしいので、読者にお任せしよう。
「ちょ、この感触、まさかゲジゲ○!?」
怒ったゲ○ゲジが霊夢に登ったようだ。音からしてさっき潰されたのは○カデかゴキ○リ___
その時ふいに、闇の弾の中から○ジゲジが出てきた。霊夢が放り投げたのだろう。
そいつは真っ直ぐ__ミスチーの額にダイブした。
「ギャーーー!」
ミスティアが思わず絶叫する。
「あ?ミスティアの声?さてはあの馬鹿どもの仕業ね!」
霊夢が叫ぶ。
あ、バレた。私の命運ここに尽きたり。
「に、逃げるわよ〜...!」
チルノが一目散に逃げる。お前っ、ズルすぎだろ。
とりあえず、まだ死にたくは無いので私達も逃げる。なんやかんや、仕掛ける分には楽しかった。後ろを見ると、魔理沙が転げ回って笑ってる。普段一緒にいる事が多い分、珍しい慌てぶりの霊夢が面白いんだろう。
やっぱり、寝ていれば霊夢も人間だ。
❇︎
あのちょっとした騒ぎの次の日、私たち5人は「博麗の巫女の出張退治」と称した霊夢にコテンパテンにやっつけられた。 それは私怨じゃん。酷いや。
寝てる時に闇の中で蟲攻撃はガチで怖いな……
虫でギャーギャー言っちゃう子たちがとてもかわいらしかったです
とてもよかったです