暗闇。うだるような熱さの中で目を覚ました私を包むのは、底を見通せぬ漆黒だった。思わず呻き声を上げる。今日は、ここ数年でも類を見ないほどの熱帯夜であった。きっと、この地に住むほとんどのものが眠れぬ夜を過ごしている事だろう。――そのせい、かもしれない。熱に浮かされたためかもしれない。酷く、懐かしい夢を見た。