『人形遣いと花の妖怪のクリスマス』
ソファに腰掛けて、人形の服作りしていたアリスは手を止めて、窓辺に飾った花と小さなクリスマスツリーを見る。それは、先日のクリスマスのこと。
二人が恋人同士になって、初めてのクリスマス。アリスは気合を入れていた。プレゼントをありきたりとはいえ自分の得意分野でもある手編みのマフラーと手袋にしようと決めてからは、幽香にばれないようせっせと編み棒を動かしていたし、ケーキや料理についても咲夜に聞いたりパチュリーに関連文献を借りたりもして、出来うる限りの準備をしていた。香霖堂で売られていた小さいクリスマスツリーも買った。飾りは自分で作ったり咲夜に紅魔館のツリーのものをもらったりした。
正直幽香には期待していなかった。なにせ「あの」幽香である。ただ、一緒に過ごしてくれるのであれば、それだけでアリスにとっては嬉しかった。なにせ恋人と過ごす初めてのクリスマスなのだ。それなりに思うところがあるのが年頃の娘だろう。
しかし、幽香はこういうの、嫌いかもしれない。ただのアリスの自己満足であるかもしれなかった。そもそもクリスマスってなんなのよ?誰かさんの誕生日で、その人のお祝いをみんなでする意味もわからない。何がめでたいというのだろう。パチュリーに借りた本を読んだから、ぼんやりとではあるがクリスマスの由来というか始まりみたいなものは頭に入ってはいるが、なぜこのようにキリスト教と関係のない人たちまでがパーティーをするようになったのかはわからない。もはや一人歩きしているイベントであるとしか思えないのだ。アリスでさえそう思うのに、幽香にそれをつっこまれたらどうしよう、という思いが準備中幾度も浮かんでは消え、浮かんでは消えた。
怖かったのは『こんなことする意味あるのかしら』という言葉。クリスマスを否定するのは別にどうでもいいけれど、クリスマスにかこつけてせっせと準備したアリスのここ一、二ヶ月を否定されてしまうというのは想像だけでもつらかった。
ぐるぐると同じところを浮かんだり沈んだりしながらそれでも準備を続け、やっと、幽香に何を言われようとも、せっかくのイベントごとなのだ、楽しまなくては損ではないか。と思えるようになった頃、ようやく幽香にクリスマスのお誘いを言うことが出来た。ぐるぐるしてた時間が長く、クリスマスまであと2週間という時期だった。いつものようにお茶とお菓子をお供にそれぞれが好きなことをしていた時だった。切り出すのに勇気が必要だったせいか、どもった上に声が震えた。
「じゅ、12月25日は空いてるかしら?」
幽香がすぐに答えなかったので、まさかどこかのパーティー(またの名を宴会)にでも誘われたのかと一瞬血の気が引いたが、それは杞憂に終わった。空いているわという答えに安堵しつつ、その日の夜一緒に食事をしないかと誘った。なんとなく、クリスマスパーティーだということは伏せた。開き直ってはいたものの、やはりすこしこわかった。
幽香からはいいわよ、という返事と、何か手伝うことはあるのかしら、という言葉。あまりにも思いがけなくて、少し固まってしまった。気を取り直し、いえ大丈夫よ、夕方にきてくれれば、と返し、わかったわという幽香の返事でその話は終わった。終わってしまった。終わらせてしまった。手伝うということは、もしかしたら、幽香と一緒にクリスマスの準備が出来たのかもしれなかったのに。
いやでも、幽香は準備なんてするとは思えない。ちまちましたことがあまり好きでないのだ。一度簡単な刺繍を教えてみたが、プライドの高い幽香は自分の出来栄えに満足できず、それきりだ。慣れてないのだから仕方がないのに。こういう時や手の込んだ料理などに対した時よく幽香はめんどくさいだの、ここまでする意味がないなど、アリスの凝り性を揶揄するように言うのだ。準備などさせてはアリスの恐れている『こんなことする意味あるのかしら』が出てきてしまうことになりかねない。
と、思っていたのだが。・・・少しは考えていてくれたのかしら。考えていてくれたのよね。じゃなきゃあんなことにはならないはずだもの。ふたを開けてみれば、恐れていたことなど嘘のように素敵なクリスマスだったのだ。
当日の夕方訪れた幽香を緊張の面持ちで迎えた。ドアを開けて、互いの顔を認めるなり、幽香が口にしたのは、メリークリスマス、と言うのでいいのかしら、という言葉。それで一気に緊張が解けたアリスは嬉しくなって、思わず玄関先で幽香に抱きついた。
アリスの居間はすっかりクリスマス一色だ。きらびやかなモールが室内をところどころ装飾し、小ぶりなクリスマスツリーに飾りきれなかった飾りはカーテンにもぶら下がっている。ところどころにサンタもぶら下がっている。幽香に赤いサンタ帽子をかぶらせて、椅子に座らせ聞く。
「幽香、ケーキもあるのだけれど、食事の前にする?後にする?」
「そうねぇ。せっかくのケーキは満腹状態で食べるよりは食事の前の方がいいかしらね。全部今食べないで、少し食べてまた食後にも食べれば。・・・食べられれば、だけど」
「わかったわ、今持ってくる!」
ケーキをテーブルにセットして、使わないでおこうと思っていたクラッカーを人形たちに渡して、自分も手にする。幽香はきょとんとした顔で見ている。
「なあに、それ。私にはくれないの?」
「幽香にはあとであげるわ。ふふ、いくわよ、みんな!」
緊張がほぐれすぎて、自分でもはっちゃけすぎたと、過ぎた今は思う……思い出すだに目を覆いたくなるくらいのはしゃぎ過ぎだがクラッカーが鳴った瞬間の幽香の顔といったらなかった。思い出しても笑ってしまう。香霖堂でクラッカーを見た時、幻想郷にはない、レアなものだと聞いたから、知らないだろうと思っていたが、やはり知らなかった。
目をまん丸にして固まっていた。数秒だけど。そして数十秒後、クラッカーを渡したら容赦なく撃たれた。顔ではなく身体だったが。思いっきり笑われたのがお気に召さなかったらしい。それでも本気で機嫌が悪くなったわけではなく、ケーキをおいしいと言って食べ、続く料理も喜んでくれた。部屋の飾りつけもかわいいと言ってくれた。サンタやトナカイに扮した人形たちもかわいいと愛でてくれた。
クリスマスについてよくわからないだの、サンタの存在だの色々話もしたが、なぜこういうパーティーをするのか、という点についての言及はなかった。そして食後にケーキを再び食べ、頃合かとアリスが手編みのマフラーとセーターを渡した。どちらも薄いベージュの色にした。落ち着いた色で、そのまま着けてくれた幽香の髪の色や服の色と合っていた。幽香も気に入ってくれたようだった。
ありがとう、嬉しいわ、と言った幽香が紙袋を引き寄せる。それには幽香が持ってきたワインボトルが入っていた。ワインだけだと思っていたがまだ何か入っていたようだ。最初に花束が出てきた。七色でまとめられた花束だった。グラデーションになっていて、とても綺麗だ。
幽香=花は当たり前の図式だが、幽香はあまり花束は好きでない。というか許さない。幽香にとって切花は、花の命を短くさせる最大の悪行だからだ。その昔、花を手折って幽香にかけられたアームロックは忘れられない。時たま、花の寿命等幽香が仕方ないと思える時に切花が許される。花の妖怪である風見幽香だからこその決断である。
この花束はどうなんだろう・・・?時期より早かった?それとも。どちらにしても幽香の分身ともいえる花をもらえるのは嬉しかった。ありがとう、とても綺麗だわ、と言って、目をつぶり花のにおいをかぐように顔に花を近づけて、目を開けると幽香がいなかった。不思議に思うと間もなく後ろから抱きしめられた。いきなりだったので多少慌てて後ろを振り返る。
「ゆう・・「もう一つのプレゼントはこれよ」
言われて一瞬この抱擁がプレゼントかと思ったが違った。自分にまわされているのは幽香の腕だが、自分の身体と幽香の間にはさまれているものがある。ブランケットだ。落ち着いた色合いの赤いチェックだ。幽香が今着てるベストとスカートの柄に似ている。驚きのまま、幽香を見上げてると、最近ぐんと寒くなってきたから、と少し照れたように言った。
感極まって、突然アリスは頭が真っ白になった。
家に来てくれたこと。
ケーキや料理をおいしいと言ってくれたこと。
人形たちや飾り付けをかわいいと言ってくれたこと。
プレゼントを喜んでくれたこと。
プレゼントをくれたこと。しかも花束で、花束以外もくれたこと。
なにより、クリスマスを一緒に過ごしてくれたこと。
嬉しいうれしいウレシイ。
今日を心配していた自分が愚かしいほど、嬉しいことづくめだ。もらったばかりのブランケットを落とすかもしれなかったが身体の向きを変えて幽香に抱きつき口付けた。勢い込んだので、歯がカチリとぶつかる音がする。一瞬驚いたようだった幽香だがすぐに応えてくれた。ブランケットは落とすことなく、椅子の背にかけられるのをアリスは横目で見た。
・・・それを最後に思い出すのはやめることにした。ここまで思い出しているだけですでに顔が赤い。熱に浮かされたように幽香を求めて、求められたことは覚えているものの、ワインの酔いのせいもあって、ぼんやりとした記憶になっている。いや、これ以上は思い出さなくていい。恥ずかしすぎる。
さて、もらったブランケットは今どこにあるかと思えば、自分の膝に乗っている。ただし、アリスの膝の上に幽香の頭、幽香の上に件のブランケット、というところか。今日はクリスマスの翌日である。夜を共に過ごして、朝昼兼用のご飯を食べ、部屋を片付け今に至る。部屋の片付けも落ち着いて、アリスはソファで人形の服作りを、幽香はテーブルで本を読んでいたが、なんだか眠いわと呟いてアリスの隣に座るとそのまま横になった。
幽香が横になって30分も過ぎただろうか。そろそろ体勢を変えたいのだけれど。ああ、でも眠いのは自分のせいでもあるのかしらとまた少し顔を赤くしながら昨日のことを反芻する。ああ、来年は準備も二人で出来るかしら。
そんな二人のクリスマス。と次の日。
ソファに腰掛けて、人形の服作りしていたアリスは手を止めて、窓辺に飾った花と小さなクリスマスツリーを見る。それは、先日のクリスマスのこと。
二人が恋人同士になって、初めてのクリスマス。アリスは気合を入れていた。プレゼントをありきたりとはいえ自分の得意分野でもある手編みのマフラーと手袋にしようと決めてからは、幽香にばれないようせっせと編み棒を動かしていたし、ケーキや料理についても咲夜に聞いたりパチュリーに関連文献を借りたりもして、出来うる限りの準備をしていた。香霖堂で売られていた小さいクリスマスツリーも買った。飾りは自分で作ったり咲夜に紅魔館のツリーのものをもらったりした。
正直幽香には期待していなかった。なにせ「あの」幽香である。ただ、一緒に過ごしてくれるのであれば、それだけでアリスにとっては嬉しかった。なにせ恋人と過ごす初めてのクリスマスなのだ。それなりに思うところがあるのが年頃の娘だろう。
しかし、幽香はこういうの、嫌いかもしれない。ただのアリスの自己満足であるかもしれなかった。そもそもクリスマスってなんなのよ?誰かさんの誕生日で、その人のお祝いをみんなでする意味もわからない。何がめでたいというのだろう。パチュリーに借りた本を読んだから、ぼんやりとではあるがクリスマスの由来というか始まりみたいなものは頭に入ってはいるが、なぜこのようにキリスト教と関係のない人たちまでがパーティーをするようになったのかはわからない。もはや一人歩きしているイベントであるとしか思えないのだ。アリスでさえそう思うのに、幽香にそれをつっこまれたらどうしよう、という思いが準備中幾度も浮かんでは消え、浮かんでは消えた。
怖かったのは『こんなことする意味あるのかしら』という言葉。クリスマスを否定するのは別にどうでもいいけれど、クリスマスにかこつけてせっせと準備したアリスのここ一、二ヶ月を否定されてしまうというのは想像だけでもつらかった。
ぐるぐると同じところを浮かんだり沈んだりしながらそれでも準備を続け、やっと、幽香に何を言われようとも、せっかくのイベントごとなのだ、楽しまなくては損ではないか。と思えるようになった頃、ようやく幽香にクリスマスのお誘いを言うことが出来た。ぐるぐるしてた時間が長く、クリスマスまであと2週間という時期だった。いつものようにお茶とお菓子をお供にそれぞれが好きなことをしていた時だった。切り出すのに勇気が必要だったせいか、どもった上に声が震えた。
「じゅ、12月25日は空いてるかしら?」
幽香がすぐに答えなかったので、まさかどこかのパーティー(またの名を宴会)にでも誘われたのかと一瞬血の気が引いたが、それは杞憂に終わった。空いているわという答えに安堵しつつ、その日の夜一緒に食事をしないかと誘った。なんとなく、クリスマスパーティーだということは伏せた。開き直ってはいたものの、やはりすこしこわかった。
幽香からはいいわよ、という返事と、何か手伝うことはあるのかしら、という言葉。あまりにも思いがけなくて、少し固まってしまった。気を取り直し、いえ大丈夫よ、夕方にきてくれれば、と返し、わかったわという幽香の返事でその話は終わった。終わってしまった。終わらせてしまった。手伝うということは、もしかしたら、幽香と一緒にクリスマスの準備が出来たのかもしれなかったのに。
いやでも、幽香は準備なんてするとは思えない。ちまちましたことがあまり好きでないのだ。一度簡単な刺繍を教えてみたが、プライドの高い幽香は自分の出来栄えに満足できず、それきりだ。慣れてないのだから仕方がないのに。こういう時や手の込んだ料理などに対した時よく幽香はめんどくさいだの、ここまでする意味がないなど、アリスの凝り性を揶揄するように言うのだ。準備などさせてはアリスの恐れている『こんなことする意味あるのかしら』が出てきてしまうことになりかねない。
と、思っていたのだが。・・・少しは考えていてくれたのかしら。考えていてくれたのよね。じゃなきゃあんなことにはならないはずだもの。ふたを開けてみれば、恐れていたことなど嘘のように素敵なクリスマスだったのだ。
当日の夕方訪れた幽香を緊張の面持ちで迎えた。ドアを開けて、互いの顔を認めるなり、幽香が口にしたのは、メリークリスマス、と言うのでいいのかしら、という言葉。それで一気に緊張が解けたアリスは嬉しくなって、思わず玄関先で幽香に抱きついた。
アリスの居間はすっかりクリスマス一色だ。きらびやかなモールが室内をところどころ装飾し、小ぶりなクリスマスツリーに飾りきれなかった飾りはカーテンにもぶら下がっている。ところどころにサンタもぶら下がっている。幽香に赤いサンタ帽子をかぶらせて、椅子に座らせ聞く。
「幽香、ケーキもあるのだけれど、食事の前にする?後にする?」
「そうねぇ。せっかくのケーキは満腹状態で食べるよりは食事の前の方がいいかしらね。全部今食べないで、少し食べてまた食後にも食べれば。・・・食べられれば、だけど」
「わかったわ、今持ってくる!」
ケーキをテーブルにセットして、使わないでおこうと思っていたクラッカーを人形たちに渡して、自分も手にする。幽香はきょとんとした顔で見ている。
「なあに、それ。私にはくれないの?」
「幽香にはあとであげるわ。ふふ、いくわよ、みんな!」
緊張がほぐれすぎて、自分でもはっちゃけすぎたと、過ぎた今は思う……思い出すだに目を覆いたくなるくらいのはしゃぎ過ぎだがクラッカーが鳴った瞬間の幽香の顔といったらなかった。思い出しても笑ってしまう。香霖堂でクラッカーを見た時、幻想郷にはない、レアなものだと聞いたから、知らないだろうと思っていたが、やはり知らなかった。
目をまん丸にして固まっていた。数秒だけど。そして数十秒後、クラッカーを渡したら容赦なく撃たれた。顔ではなく身体だったが。思いっきり笑われたのがお気に召さなかったらしい。それでも本気で機嫌が悪くなったわけではなく、ケーキをおいしいと言って食べ、続く料理も喜んでくれた。部屋の飾りつけもかわいいと言ってくれた。サンタやトナカイに扮した人形たちもかわいいと愛でてくれた。
クリスマスについてよくわからないだの、サンタの存在だの色々話もしたが、なぜこういうパーティーをするのか、という点についての言及はなかった。そして食後にケーキを再び食べ、頃合かとアリスが手編みのマフラーとセーターを渡した。どちらも薄いベージュの色にした。落ち着いた色で、そのまま着けてくれた幽香の髪の色や服の色と合っていた。幽香も気に入ってくれたようだった。
ありがとう、嬉しいわ、と言った幽香が紙袋を引き寄せる。それには幽香が持ってきたワインボトルが入っていた。ワインだけだと思っていたがまだ何か入っていたようだ。最初に花束が出てきた。七色でまとめられた花束だった。グラデーションになっていて、とても綺麗だ。
幽香=花は当たり前の図式だが、幽香はあまり花束は好きでない。というか許さない。幽香にとって切花は、花の命を短くさせる最大の悪行だからだ。その昔、花を手折って幽香にかけられたアームロックは忘れられない。時たま、花の寿命等幽香が仕方ないと思える時に切花が許される。花の妖怪である風見幽香だからこその決断である。
この花束はどうなんだろう・・・?時期より早かった?それとも。どちらにしても幽香の分身ともいえる花をもらえるのは嬉しかった。ありがとう、とても綺麗だわ、と言って、目をつぶり花のにおいをかぐように顔に花を近づけて、目を開けると幽香がいなかった。不思議に思うと間もなく後ろから抱きしめられた。いきなりだったので多少慌てて後ろを振り返る。
「ゆう・・「もう一つのプレゼントはこれよ」
言われて一瞬この抱擁がプレゼントかと思ったが違った。自分にまわされているのは幽香の腕だが、自分の身体と幽香の間にはさまれているものがある。ブランケットだ。落ち着いた色合いの赤いチェックだ。幽香が今着てるベストとスカートの柄に似ている。驚きのまま、幽香を見上げてると、最近ぐんと寒くなってきたから、と少し照れたように言った。
感極まって、突然アリスは頭が真っ白になった。
家に来てくれたこと。
ケーキや料理をおいしいと言ってくれたこと。
人形たちや飾り付けをかわいいと言ってくれたこと。
プレゼントを喜んでくれたこと。
プレゼントをくれたこと。しかも花束で、花束以外もくれたこと。
なにより、クリスマスを一緒に過ごしてくれたこと。
嬉しいうれしいウレシイ。
今日を心配していた自分が愚かしいほど、嬉しいことづくめだ。もらったばかりのブランケットを落とすかもしれなかったが身体の向きを変えて幽香に抱きつき口付けた。勢い込んだので、歯がカチリとぶつかる音がする。一瞬驚いたようだった幽香だがすぐに応えてくれた。ブランケットは落とすことなく、椅子の背にかけられるのをアリスは横目で見た。
・・・それを最後に思い出すのはやめることにした。ここまで思い出しているだけですでに顔が赤い。熱に浮かされたように幽香を求めて、求められたことは覚えているものの、ワインの酔いのせいもあって、ぼんやりとした記憶になっている。いや、これ以上は思い出さなくていい。恥ずかしすぎる。
さて、もらったブランケットは今どこにあるかと思えば、自分の膝に乗っている。ただし、アリスの膝の上に幽香の頭、幽香の上に件のブランケット、というところか。今日はクリスマスの翌日である。夜を共に過ごして、朝昼兼用のご飯を食べ、部屋を片付け今に至る。部屋の片付けも落ち着いて、アリスはソファで人形の服作りを、幽香はテーブルで本を読んでいたが、なんだか眠いわと呟いてアリスの隣に座るとそのまま横になった。
幽香が横になって30分も過ぎただろうか。そろそろ体勢を変えたいのだけれど。ああ、でも眠いのは自分のせいでもあるのかしらとまた少し顔を赤くしながら昨日のことを反芻する。ああ、来年は準備も二人で出来るかしら。
そんな二人のクリスマス。と次の日。
そして次があるなら紅魔館を…w
二人とも可愛すぎる
良いクリスマスプレゼントになりました。
ただ、改行の場所が変だと思います。
後書き読んで、アリスのために慌てて東奔西走するゆうかりん想像して和みました
恋人になって初のクリスマスかぁ。
初々しさもあって、二人とも可愛いし、最高でした。