Coolier - 新生・東方創想話

B.Y.O.B.

2014/05/18 07:15:06
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「いいこと、おっぱいは正義! おっぱいこそ至高!」
「おっぱいは正義! おっぱいこそ至高!」
「おっぱいは正義! おっぱいこそ至高!」
「おっぱいは正義! おっぱいこそ至高!」
 そこがどこだかは分からない、ただ女性達の力強い声が聞こえてくるばかりだった。

 ○ ○ ○

 ある日、博麗神社のど真ん中に立て札が立てられた。
 そこには、

 『B.Y.O.B』

 とアルファベット四文字が記されていた。
 
 まだ日の色が変わらない夕方、初めに博麗神社にやって来たのは、伊吹萃香だった。まだ宴の時間には早いが、暇つぶしに人里を逍遥するにも時間が足りない。それなら神社で適当に時間をつぶそう博麗神社の階段をのぼると、鳥居よりも先にその異様な物体が鎮座しているのに目がいった。
「なんだ、これ」
 伊吹萃香はアルファベットを解さぬ。それはなにかの暗号かと思い、なにか隠された意味があるに違いないと察し、しばし考え、すぐに考えるのをやめた。
「無理無理無理ー」
 萃香は諦めが早かった。頭が悪いのではない。ただ少し自分の理解が追いつかないことがあれば、自分以上の知者に頼れば良い、という合理的な思考ができる鬼であった。
「アイツにたよろーっと」
 萃香は「アイツ」のもとに飛んで行った。
 次に博麗神社の境内に現れたのは、博麗霊夢だった。立て札の内容をみて、頷いている。
(うーん、こじゃれてるわね)
 紫に教えてもらったのだ、このアルファベットの意味を。
(Bring Your Own Bottles……酒は持ち込みで。)
 この幻想郷で、英語の意味など誰にもわかるまいと、霊夢は悪戯っぽく笑った。同時に、馬鹿に出来ない酒代が大幅に浮くことになり、霊夢の心も浮き浮きしていた。
 そこへ、無聊をかこって耐えきれなくなった為か、或いはただのサボタージュなのか、死神が鳥居をくぐってやって来た。
「死神が何の御用かしら」
 小野塚小町はにへら笑いを浮かべながら、
「いやあ、今日宴があるって聞いたもんでさ、飛んできたわけさ」
「仕事、クビにならないの」
「心配することはない」
 小町は胸を張って(たゆん、と揺れ動いた)、
「映姫様はこの時間には、私の仕事場の見回りにはこないからね」
「この時間、と言ってもそろそろ退勤時間じゃないかしら」
「退勤前に一度会おうと思うだろう? 実は、映姫様はそうじゃないんだ。逆に、すこしくらい終わりを早くしたって文句は言われない」
「呆れられてるのだと思うわよ」
「え?」
「まあいいわ」
 霊夢は首を振って、指で立て札をさした。
「あれを読んで、出直してくることね」
「B.Y.O.B.……。ちょうど良かった」
 小町にはそのアルファベット意味が理解できた。最近は死亡者が増えており、外の世界の人間を裁くことも多くなった。外の世界の勉強もした方がいいと言いつけられていたのだ。
 小町は袋をさげていた。それをゆすぶって見せる。
「あら、わかるの」
「無縁塚で拾った酒、いっぱい持って来たんだ」
「それは準備がいいわね」
 霊夢は笑顔で、小町を宴の間まで招き入れた。
「準備にまだ時間がかかると思うから、ちょっとくつろいでて」
「勝手に始めてるよ」
 小町は袋から瓶を取り出した。
「これはバドワイザーっていう、まあビールの一種だな」
「ビール……。みんな、珍しがると思うわ」
 霊夢は再び境内に戻った。
 それと、魂魄妖夢が急いで神社への階段を駆け上がって来たのは同じタイミングだった。
「はあ、はあ……」
 妖夢は肩で息をしている、というよりほとんど上半身を全部使って、呼吸を整えている。その割に胸は揺れない。
「ゆ、幽々子様……見ませんでしたか」
「幽々子? 見てないわよ」
「そうですか……神社で宴会でもしているのかと思いましたが」
 妖夢は霊夢に背を向けると、また走り出そうとした。
「ちょっと待ちなさい」
「え?」
「幽々子がどこへ行ったか、全く見当もつかないの?」
「はい」
「じゃあうちでゆっくりしていきなさい」
「それはできません。従者たるもの、常に主人の動向に気を配り、おそばにいなくてはならないのです……。こうしている暇などありません」
「待ちなさいって」
 そこへ、東風谷早苗がやって来た。山の方角からこちらへ一直線に飛んできて、風圧で境内の落ち葉が散り散りになった。
「掃除が大変なのよ」
「ああ、すみません」
 早苗は翻ったスカートを払って元に戻すと、
「神奈子様が宴会へ行かれると聞いて……博麗神社におられるのではと思って」
「うちには来てないわよ」
「あらそうですか、残念」
「どこかで宴会でもやってるんじゃないかしら」
 霊夢はそういうと、妖夢に、
「幽々子もそこへ行ってるのかも知れないわよ」
「うーん……」
「それにあなた、考え硬過ぎ。たまには羽根を伸ばしたらどう?」
「……そうですね、では」
 妖夢は案外素直にうなずいた。
「じゃあ、あれを見てもらおうかしら」
 霊夢は二人に立て札を示した。
「B.Y.O.B.……聞いたことあります。お酒は持ち込むんですよね?」
「それなら、冥界の銘酒を持ってくるわ」
 霊夢はまたも歯噛みをして悔しがった。

 ○ ○ ○

「われわれは! 断固として! おっぱい講を開催することを誓う!」
「おお!」
「よし!」
「任せておきなさい!」
 四人は既に酩酊していた。

 ○ ○ ○

 霊夢たちは宴会を始めた。あれから魔理沙がやってきて、キノコ酒というのを振る舞っていた。それが意外に好評だった。しっかり酔えてうまい、と。
「毒キノコじゃないでしょうね」
「毒キノコだぜ」
「そうなんですか!?」
 早苗は傾けかけた杯を元通り机に置いた。
「ベニテングタケを漬け込んである……まあ、ちょっとだけだから、死ぬことはないさ。それに美味いだろう?」
 魔理沙がそういうも、座は白けてしまった。妖夢がその場を何とかしようと、持ってきた冥界の地酒の瓶を持つ。霊夢が杯を差し出した。これもなかなか美味しい。
 酒の肴に鍋の準備は万端だった。鍋に目刺し、イカの燻製などなど。どれも売れ行きがいい。特に小町がたくさん食べて行くので、霊夢は普段ろくに食べていないんじゃないかと心配になった。
 それにしても。
 ふと、霊夢は呟いた。
「平和ね」
 このように、宴会が開けると言うことはいいことだ。霊夢はバドワイザーを一気に喉へ運んだ。すっきりとしたのど越し。
 突如、スキマが開いた。四妖怪。八雲紫が血相を変えて唸り声をしきりにあげ、八意永琳はそれに応じた。八坂神奈子がとっくりから直接酒を飲み、口角から溢れ出る酒が畳に染みていった。幽々子はそれら三人を追いかけて、胸を揉みたそうに手をわきわきとさせている。彼女らは口々にこう言った。おっぱい講、おっぱい講。霊夢、あなた胸が小さいのね、黙って私に従いなさい! 紫は霊夢を抱き寄せた、必死にもがく霊夢。抵抗空しく、霊夢の頬にはキスマークができた。魔理沙は幽々子に絡まれている。おっぱい講、おっぱい講よ。なおも叫び続ける永琳。神奈子は徳利を床にたたきつけた。破片が辺りに四散した、それをなめろ、と妖夢に命じた。おっぱい講よ。に、苦いです。そりゃそうね、あんたみたいな乳臭い奴には分からない、そもそも乳はなかったわね、失礼。それを早苗と小町は茫然と見ている事しか出来なかった。幽々子が酒臭い息で言う、あなたたちも好きにしていいのよ、この子たちを。小町は何が何だか分からなくなって、やはり酒も入っていたので、ついうっかり紫と組んづ組まれつの霊夢の唇を奪ってしまった。おっぱい講だ。紫が霊夢を解放し、大きな声で叫んだ。いいか、今宵はおっぱいを持ってくる約束であったのだ。それを、こいつらは……これは当然の折檻である! 霊夢は酒に蝕まれた頭で考える。どういうことだ。
 紫は答えた。
「B.Y.O.B.と書かれた立て札、読んだでしょう?」
「酒は自分で持ち込め」
 紫は指を数回振って、
「Bring Your Own Boobsって、しっかり書いてあったでしょう」
 そこへ萃香がやって来た。
「遅れてごめん……でも、立て札の意味が分からなくって、それで意味を聞こうと思って紫を探してたんだけど見つからなくて」
「あなたも、忘れものね」
「え? ……キャッ」
 横からやって来た幽々子はは萃香のペタンコな胸に手を当てる。ああ、なんて哀れな子! そう思いながら、服の隙間から直接胸に手を忍ばせていく。鬼は強靭な力でもって抵抗した。ただし焦っていたので力の制御がきかず、あまりに力を込め過ぎた。縁側の床の木が折れた。永琳がふらふらと歩き、なにもしていない早苗と小町を呼んで酒を飲ませた。とびきりアルコール度数の高いものを。ふらふらとした早苗と小町、永琳に促されるまま、妖夢に覆いかぶさった。妖夢は抵抗できず、全身をくすぐられた。あはははは、あはははは、おっぱい講よ! 紫は机の上にあったイカの燻製の足をちぎり、口にくわえた。そのまま、霊夢に顔を近づける。なすすべもなく霊夢はもう一端をくわえた。突然、なんの脈絡もなく紫はイカの燻製を吐き出し、霊夢の唇を奪った。これが霊夢の唇か、やわらかいわ、いいわ。うふふふふふふふふ、おっぱい講よ。それを聞いた神奈子、永琳、幽々子の三人も、一斉に霊夢の唇を奪いに行く。わたしぃ、ずっと前からぁ、霊夢のことが好きだったの。ね? いいでしょ? 返答を待たずに神奈子は霊夢の唇を奪う。ずるい、ずるい。その後の永琳のキスは長かった。幽々子はそれがあまりに長過ぎたので、他の標的に対象を移した。笑いすぎてくたくたになっている妖夢にディープキスをした。妖夢の目の焦点は定まっておらず、誰にキスされたかはっきりとは分からなかった。魔理沙は得意の逃げ足を使ってその場を後にしようとしたが、すでに早苗が足にすがりついていた。魔理沙さん、永琳さんのお酒ホントに美味しいですよ。ほら、口移しに飲んでください。嫌がらないで。恐ろしい力が魔理沙の足にかかる。もう片方の足で蹴飛ばそうとしたが、そちらはいつの間にか小町に手をかけられていた。魔理沙はほとんど声にならない悲鳴を上げた。ダメですよぉ。貴方は大切なものを忘れたんですから……おっぱい。おっぱいを持ってくればよかったですねえ。小町は言った。あたいすごい肩こるんだよね、肩揉んでくんないかな? いやみだ、と魔理沙は思った。そうそう私も、と早苗が続く。早苗は少し悩んだ結果、萃香の許へ行くことにした。自分の力の制御ができなかったことに、驚きを隠しえなかった。萃香はいきなり早苗に口づけをされた。液体が流し込まれる。こちらを酔わすためだ。萃香はそう思った。意識したのがまずかったのか、その通り酔っぱらってしまった。どうしてだろう、この程度の酒、いくらでも飲めるし、飲んできた。甘い甘い味がした。萃香は早苗の肩を揉んだ。いやああああ、助けてええええ、これは当然の権利である! 阿鼻叫喚のなかで霊夢はぐつぐつと煮立つ鍋に顔を突っ込んだ。これは現実だ。


 幻想郷は今日も平和である。
いろんなカップリングが書けて僕は満足です。
5月30日 誤記修正
治部
http://twitter.com/sskatoh39
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コメント



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1.80名前が無い程度の能力削除
ちっぱいもおっぱいだから責められる謂われはない
2.80名前が無い程度の能力削除
びょーぶ
3.100名前が無い程度の能力削除
あえて言おう「おっぱい」
4.90奇声を発する程度の能力削除
勢い好き
5.80名前が無い程度の能力削除
なんだこれ



なんだこれ
7.60名前が無い程度の能力削除
B.Y.O.B.と言われても浅学なものですのでSystem Of A Downの曲名としか知りませんで、タイトルでホイホイされたわけですが
ググりながら読んで、ああおっぱいかと納得いたしました
私的にはおっぱいは慎ましやかなほうが好みですね
8.80非現実世界に棲む者削除
このノリこそまさにドリフ
10.90名前が無い程度の能力削除
この勢い嫌いじゃないぜ
14.90名前が無い程度の能力削除
おっぱい!おっぱい!
21.90名前が無い程度の能力削除
中盤からのペースアップの凄さが筒井康隆ぽくて大好きです
おっぱい
23.100名前が無い程度の能力削除
おっぱいは正義!おっぱいこそ至高!
女の子がくんずほぐれつって素敵やん?
25.80名前が無い程度の能力削除
勢いがものすごいです。これぞ酒池桃林。
26.90名前が無い程度の能力削除
わっけわかんないだー!
でもおっぱいは好きだし、どうしたもんかにゃー