Coolier - 新生・東方創想話

唐傘+少女

2014/08/25 22:48:24
最終更新
サイズ
2.12KB
ページ数
1
閲覧数
1167
評価数
2/5
POINT
230
Rate
8.50

分類タグ

その唐傘はずっと待っていたのです。

自分を置いていった人をずっと待っていたのです。

始めはそんな思考はなかったのでしょう。

しかし雨風に吹かれさらされ、だんだんと色は変わり、美しかった赤色は不気味な紫へと変わっていきました。

唐傘は思うようになったのです。

自分はいらない傘だったんだと。



ずっと雨風にさらされて、転がって、

思考は持ったがただの唐傘。

自ら動くこともできず、しゃべることもできず。

表情なんてありはしない。

そんな唐傘の前に一人の女の子が自分と同じように転がっていました。

その服はぼろぼろで、やせ細って、肌の色も変わりかけていたのです。

ああ、この人間の子も私と一緒じゃないか

この子もいらない人間だったんだ。

唐傘はそう思いました。

一緒に転がっているその女の子はもう虫の息でした。

唐傘はその女の子に対して親近感を覚えました。

わずかな惨めさとともに。

捨てられた悲しさとともに



不意に女の子が唐傘をつかんだのです。

彼女は何も考えていなかったのでしょうか。

ただ、何かをつかみたかったのでしょうか。

彼女の手を誰かが握ることは無かったのでしょう。

それは唐傘も一緒でした。

唐傘の柄を誰かが握るなんてこと、もう何年、何十年なかったのでしょう。

唐傘は、何とも言い難い気持ちになったのです。

泣きたかったのでしょうか。

笑いたかったのでしょうか。

ただの唐傘が。

泣くことも笑うこともできないただの唐傘が。

そして、この時思ったのです。

そして、強く願ったのです。

もっと必要とされたい

もっとこの柄を握ってほしい。

何かとつながっていたい。



そんな時でした。

女の子も一緒のことを考えたのでしょうか。

そうではないのでしょうか。

でも、そんなことはどうでもいいのです。

唐傘は確かに彼女とつながったような気がしたのです。

そこから先、何が起こったのかは唐傘は知りません。

『唐傘』にとって、それがすべてだったのです。



見知らぬところに『彼女』はいました。

唐傘の付喪神、多々良小傘がそこにいました。

彼女に有ったのは

捨てられたという思いと長い間一人ぼっちのさみしさ。

それに反するわずかな安心感。

「ああ、お腹すいたな・・・。」

そして、空腹感。

彼女はふらふらと歩きだしました。

手に持った唐傘は決して離すことなく。

色違いの目を携えて。

右目にあの女の子と同じ青い目をもって。

左目にかつての唐傘と同じ赤い目をもって。
そして、彼女はつながりを得たのです。退治されるという代償を負いながら。
健気に頑張る多々良小傘に幸あらんことを。

こんにちは月津です。ここ最近はジェネリックに作品をあげてました(宣伝)
そしてネタは浮かんでも展開が書けなくて困っています。だれかたすけて。
もともとこのショートショートも先がある予定だったんですけどね。
書いてる途中に終わっちゃったんですよ。おかしいなあ。
とにかくいつも道理に短い&なげっぱあな展開でしたが、感想いただければ至福の限りです。
厳しい指摘も次につなげる糧としたい(願望)なのでバシバシお願いします。
月津 明日
簡易評価

点数のボタンをクリックしコメントなしで評価します。

コメント



0.110簡易評価
2.40名前が無い程度の能力削除
女の子の青い目は排斥の対象だったんでしょうか
小傘爆誕からの先が読みたくなります
4.80絶望を司る程度の能力削除
良かったです。