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こちらの作品は「現代世界へホームステイ」の続きとなります。
もしよろしければそちらもご覧下さい。
見ないでそのまま見る方はあらすじをどうぞ
前回のあらすじ
・スベルカード誤字(新しいPCにまだ慣れてないからしょうがないよね!)
・匠
・現代入り
・フランお持ち帰り
・紅魔館組なのに、美鈴出てなくてごめんなさい
┌―――┐
|キ純パ|, ,
|ャ情チ|ハハ
|ラ乙ェ○=ω=)
| 女は○ //
└―――┘ (⌒)
し⌒""
~~~↓この先本編↓~~~
「…ん、あれ?」
意識がはっきりとしない中、軽く目を擦って、机に体を預けて寝ていた事に気付く。口からは涎が少し出ていた。
確か━━…女の子が全然目覚めず、暇を持て余した蓮子がコンビニに行って何か買ってくるという話になって、私は女の子が目覚めた時を考えて部屋に残る事にしたのだ。
その後蓮子が着替えていた所までは覚えているのだが……その後に寝てしまったらしい。背中には親友が掛けてくれたであろう毛布があった。何だかんだで気が聞く親友である。
軽く苦笑した後に起き上がろうとしたが…体が随分ダルい。蓮子には軽い風邪だと嘘を言ったが来る前に計った時には38.4°程あった。体感的に悪化している気がしてならず、やはり蓮子の家に来たのは無謀だったのかもしれない。
熱く重い吐息をこぼして女の子に目を向けた。相変わらず女の子はベッドで寝ている。私もふかふかのベッドで寝たいわね。
台所を借りて水でも飲もうかと考えて、玄関から音がした。
「おかえり~…」
「ただいま。いい子にして寝てたかしら?」
予想通り蓮子だった。
両手には大きな袋。コンビニで買ってきたのではなかったのだろうか? と、疑問を思えるぐらいには本当に大きな袋なのだ。
一体何を買ってきたのやら…。
「そりゃもう…ぐっすりいい子にしてたわよ。」
力無く手を振って微笑む。ちらっと時計を見たが、蓮子が出かけてから30分は経っているみたいだ。随分寝た気でいたが意外と短かかった。
「ふふ~ん。そんないい子には、これを差し上げましょう~♪」
上機嫌に袋からがさごそと缶コーヒーと、肉まん、おでんの詰め合わせ3割引きと書かれた入れ物を取り出した。
ほのかに香るいい匂いを感じて、僅かながら食欲が出てきたようだ。
「いつの時代でも寒い時期にはありがたい三種の神器ね」
「冬の神器って、床暖房と炬燵にみかん、ストーブや暖房と神器も随分あるでしょ?」
数が増えて七種の神器になった。
「ん~やっぱり女の子は目覚めてないのね。寝る子は育つとかいうけど…。」
「寝てるというより気絶じゃないのかしら? 蓮子の話を聞く限りだとね。」
言った途端に蓮子の顔が少し赤くなった。
女の子の詳しい経緯は蓮子が出かける前に聞いた。雨の中帰ってきた理由も含めてである。
あの時の恥ずかしそうな顔は実に可愛かった。思い出の中でベスト2位に入れてもいいぐらい。思わず因みに抱きしめたくなる衝動が出たのと、頭を撫でたかったのは内緒である。
「そ、それにしてもメリー…随分顔が赤いわね。本当に大丈夫なの?」
話しを逸らすように訪ねてきた。あまり弄り回すと拗ねてしまうので乗ってあげる事にする。
「ん~…そうね、駄目そうだわ。変な格好で寝てしまったから苦しいの。咳も酷くて随分と悪化してしまったわ。蓮子がキスしてくれれば治るかもしれないけどね。」
けど、どっちにしろ弄るのは変わらない。風邪の時にはこうして楽しんでれば病気の事も忘れられるだろう。病は気からという話もある。
わざと唇を指でなぞって挑発してみるが、予想通り蓮子は顔を赤くしている。困惑してるのかモジモジしていて実に可愛い。これは思い出の中でベスト1位に位置づけしていいぐらい。
暫く反応を楽しんでたが、蓮子が何かを思いついたが近付いてきた。中途半端な事なら更に弄れるかも……
「…本当にしてあげよっか?」
……What?
「だから…しても良いって言ってるの。」
今の私は顔を真っ赤にして凄い目がきょとんとしてると思う。呼吸も忘れて蓮子の言った言葉を頭の中で繰り返してやっと理解するが……////
「えっと…蓮子…しゃん!?」
真意を聞こうとしたら、蓮子の両手ががが私の頬に触れたたあたった。え?なななに???なんなののの?
「えっと…あの……じょじょ、じょ冗談よ!? ほほ本気に、本気にしなくて…ッ~~~~~~~~~~~~~!!!????」
答える事が出来なかった。もう目の前に蓮子の顔が来て……恥ずかしさのあまり目を瞑ってしまった。意気地なしと言われても無理だっ……あだっ!?
「やっぱり軽い風邪って嘘でしょ?おでこが凄い熱いもの♪」
にっこり笑う顔を前にして数秒、一本取られた事に気付く。後にはおでこ同士だけがくっ付いていた。私の純情を返して欲しい。
蓮子が顔を離してから重い溜息を吐く。やはり風邪を引いてるせいか頭が回らず攻守が逆転してしまったらしい。
前に蓮子の家に行った時、偶然会った親戚の御姉さんから色々と蓮子の弄り方のノウハウをきっちり叩き込んでもらって以来、ずっと攻める側に転じる事が出来たのだが……今日は不覚。実に悔しい
少し離れた所からしてやったりと笑顔を向けてくるのが憎たらしくも可愛かったりする。
「ったく、無理して来なくても良かったのに…。悪化したら大変じゃないのよ。」
和気藹々に言ってくる分説得力がない。余程攻めに転じられた事が嬉しいのだろう。
頬を膨らます私に蓮子は薬を渡してきた。記憶によると随分飲みにくく苦いタイプの物だった気がする。
「熱で家に帰る所の話じゃないんでしょ?泊まってきなって。今敷布団を引いてあげるからさ。」
話を強引に持って行く辺り、反論の余地は無さそうだ。諦めておでんをつまむ事にする。
肉まんに手が届いた所で布団一式の準備は出来たようで、直ぐにでも寝れる準備は出来た。
「所で、この子ってなんだと思う?」
一仕事を終えて、隣に座って肉まんにかぶり付く親友が訪ねてきた。実に豪快だったりする。
「唐突ね、というと?」
「ほらっ、狼男とかキメラとかそういう種族。外にいる間色々と考えていたんだけど、いの一番に気になってね。
個人的には天使と人間の間に生まれたハーフの子、っていうのが希望なんだけどな~。」
「……天使って、こんな宝石を身に纏ってるものかしらね?ちょっとキザっぽいと思うけど?」
「形見の品を肌身離さず付けているとか。ロマンチックだと思わない?」
少しズレたような意見だが乙女ロード全開にして語ってくる。心なしか瞳は3割増しで輝いているように見えた。
「次に気になるのは境界の向こう側の住人かどうか? って、事かな。
そうだったらそうで、色々聞きたいけど…もし違ったら、まだ幻想の住人がこの世界にいるかもしれない。って事でしょ?」
その話は確かに魅力的かもしれない。
「そうね、もしまだいるのなら……どこかの御姫様みたいに一緒に遊ぶ~ なんて感じも良いかもしれないわ。」
……なんてね。昔読んだ本が少し懐かしくて台詞を真似てみた。言ってて少し悪くないとも思える。
蓮子の笑う顔を見て何だかんだで落ち着く事が出来た。体調が戻ったらうんと蓮子を苛め…もとい、可愛がってあるから覚悟しておいて欲しいものだ。
不意にベッドから軋む音が聞こえて…女の子が何も着てない事を思い出す。
「そういえば蓮子、あの子の服はどうするの?」
「……明日になったら買ってこよっか♪」
目が泳いでる。どうやら三種の神器の事で、忘れてたらしい。
食い意地の張った親友である。
「い、いやだって、サイズが分からないでしょ?だから買うに買えなくてね…」
「それじゃあ今のうちにサイズを計ってみたら? 今度は買いに行けるんじゃない?」
「うぐっ…笑わないでよもぅ…。まぁ、この子には悪いけど計っちゃいますか…。」
女の子の布団を捲ろうとした所で事が起こった。
「ひゃう!?」
「え?」
起きていたらしい女の子が抵抗して布団を死守したのだが…と蓮子の目が会ったようだ。
「あの……これって夜這い?」
「……オハヨウゴザイマス」
なんか気まずい空気になった。
変に体勢が危ないせいでお互いに脂汗が出てるし。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
(魔理沙)
「で、この状況はなんなんだ……」
溜息混じりにつぶやいた。さっきまで小悪魔と話してた場所から少し離れた所に降り立ってみるが、見事なまでに辺り一帯が消し飛んでいる。
何事かと気になるのか妖精メイドも集まってきてるが、正直どうでもいい。大して役に立たないのは知っているからだ。
「盛大な爆発音が気になって戻ってみれば、部屋所か廊下まで無くなってる……と。たいまつをもっと置いた方が良いんじゃないか?後で咲夜に助言しとくか…。まぁ、それは置いといてだ……。小悪魔が居なくて、代わりに小悪魔の靴がかたっぽ落ちてるのは良いとしてだ。
龍宮の使いが寝てるこの状況……誰か簡潔活迅速に魔理沙さんに教えてくれ。ていうか何でコイツは満足そうな顔して寝てるんだ?」
一応妖精メイドに呟いたつもりだが敢え無く無視された。私ってそんな嫌われてるのか?
……よしっ、独り言独り言。
一応こっちに降りたのは足場がないからではなく、コイツがいたからだ。紅魔館には明らかに場違いなイレギュラー。時々電気を帯びてるあたり漏電でもしてるのだろうか?
「あややや、それについては私が説明して差し上げましょうか、独り言さん?」
廊下だった方から声が響いた。
「あ~…文屋か?」
聞かれてたらしい。近付いてみるが、見当たらない。上を見て左右を見て、下を見て…居た。
「これはこれは魔理沙さん。”偶然”ですね」
「ああ、“偶然”だな。ついでに下からドロワーズの写真を撮るのは止めてくれ。」
「分かりました、だから顔面踏見つけるのをやめてください」
△▼△▼△▼△
「小悪魔、良いやつだったのに、残念だったぜ…」
「早計に殺してあげないで下さい。後泣いてもいないのに目を擦るのは関心致しませんよ?」
軽くボケて見たが、普通に流された。このセンスを分からないとは関心出来ないな。
「ほっとけ。……━━それで、小悪魔はスキマモドキ改め、変なひずみに消えてしまったと。」
文から受け取った写真を見るが、殆どピンボケして分からない…けど、かろうじて”小悪魔の足だけが”中央”に写ってた。
「はい、そうなりますね。わざわざ嘘泣きしてボケたのは要りませんでしたが、しかっりとカメラで現場を押さえました。
さっきまで小悪魔さんと若干呂律の回っていない衣玖さんが話している所も”偶然”聞きましたので。
あ~それと蛇足ですが、藍さんが言うには紫さんはまだ冬眠時期だそうです。取材したかったんですけどね~」
聞いてもいない事を伝えてくる。さながら新しい玩具を与えられた子供のように、随分とテンションが高いようだ。
まぁ、記事になりそうなのが転がってるからなのだろうけど、私個人としては記事になるとかならないとかの興味はない。正直これから直ぐ起こる先の事でいっぱいいっぱいなのだ。
「あ~……パチュリーが聞いたら激怒しそうだな。」
いつも見てる限りでは、事ある事に無抵抗の小悪魔にスペルカードをぶつけてるパチュリーだが、長年付き合ってきたお陰で何だかんだでお互いを大事にしているのは分かってきた。
故にこの事を伝えるのは少し気が重くなる。写真を無造作に返して、再び溜息をついた。文が乱暴に返さないでと怒っていたような気がしたが無視する事にする。
「…まぁ、自分の使い魔が危険な目に遭ったのだからそうなりますよね~、本人は否定してますが何だかんだで凄く仲が良いですし。」
「あんま掘り返さないでくれ。軽くは責任感じてるんだから…。」
聞いた時には軽くボケてみたものの、本当は小悪魔の安否は気になって心配してるのだ。
それに世間話をするぐらいには仲が良いのだ。友人としても心配ではある。
「あ~、それともう一つ蛇足ですが……」
「…まだあるのか?」
箒に跨ってる途中で文が言ってきた。随分フランクに言ってくるから、どうでも良いような軽い話であって欲しいと切に願う所だが、いや~な予感は何故か拭えない。
きっと大雨のせいで風邪でも引いたんだろうと思い込んで、思い込んで……
「半刻ほど前ですが、悪魔の妹君…フランドールさんも同じように、変なひずみに消えました。同じくこの寝ている方のせいですけど。」
「……」
全力で願った思いは空振りに終わった。今日は案外霊夢並みに感が冴えているのかもしれない。
というか蛇足レベルじゃないだろ…。ミレリアにも言わなきゃいけない分、余計に胃が重く感じられた。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
「……つまり助けてもらったのね。誤解して悪かったわ。ん~と、こういう場合他に何かお礼でもした方が良いのかしら?」
「いやまぁ、こっちも悪かった訳だし…。」
メリーの仲介が無かったら、勘違いのスパイラルで悲惨な事になってたと思う。
メリーが居てくれて心から良かったと思えた。因みに女の子は毛布に包まっている。
「まぁ、お互いタイミングが悪かったという事で。
それより自己紹介しましょ。名前が分からなかったら呼び合う事も出来ないし、ね?」
△▼△▼△▼△
「飾りじゃなくて吸血鬼だったのね。ちょっと残念……」
「まぁ、随分変なのだとは思ったけど、羽だったとはね~…」
「変で悪かったわね、私だって吸血鬼らしからぬ羽だってのはそれなりに気にしてるけど。」
ちょっと怒らせてしまったらしい。でも、拗ねてるのがちょっと可愛い。
一応愛称を呼ぶ程度にはお互いを自己紹介をした。
「ごめんごめん。」
食べる?と聞いて肉まんを渡した。肉まんひとつで機嫌が治った辺りとまだ見た目通り子供のようだ。
食べる所をのんびり見て和んでいたが、遠くで雷の落ちる音が聞こえ直ぐに光が消えた。
「あれ?」
「わ、急に暗くなった…。」
「停電…みたいね。」
急に暗くなったからか、全く何も見えない。
「何度か雷の落ちた音も聞こえたし、こうなるとは思ってたけど。」
「ちょっと待ってて、今懐中電灯かろうそくでも持ってくるから。」
立ち上がってから、携帯の明りで、足元を照らしてみる。
多少心許ないが、光源は確保できた。
引き出しに懐中電灯でもあったかしら…
「明かりですね、こんなもので良ければ」
知らない声の主の元、急に辺りが明るくなった。
「ん、ありが……」
急に現れた火の玉によって。
「ぎゃああぁぁ!?」
それに加えて知らない人の度アップの顔。まさか懐中電灯を顎から照らして、「わ~」みたいな事をされて驚く羽目になるとは思わなかった。
でもでも、多分誰もこんな反応すると思う。
△▼△▼△▼△
「申し遅れました、私はフランドールお嬢様の姉君、レミリア・スカーレットお嬢様の御友人のパチュリー・ノーレッジ様の使い魔で秘書をしている者です。小悪魔と御呼び下さい♪」
盛大に叫んでしまって、少し恥ずかしい///。これじゃ三流ホラー映画もバカにできない。
しかし、回りくどい説明の上、半分以上理解できないわ、知らない名前ばっかで分からないし。
「そりゃその為に言ったんですもん、口に出てますよ?」
口に出る癖はどうにかした方がいいかもしれない。
しかし見た目とは裏腹に性格が悪いらしい。悪魔だなんて紹介からして軽く歪んでるんだと思う。
「いや~寂しかったんですよ本当に!ふざけてみてもボケてみても突っ込みを入れてくれる方もいませんから、一人でやりとりしてるのが本当に寂しくて寂しくて…。ここを発見するまで何度挫けそうになったか!フランドール様の力を感じ取ったときは何度歓喜したか!もう独りってのは勘弁ですよ!
そもそもこっちに来た時雷に討たれて凄く痛かったですし、頭がボンバーヘッドになった時は本気で焦りましたよ。良く漫画とかでパーマになるシーンとかありますけど、実際になると笑えないものですねぇ。今だったら軽く笑えるような思い出だったりもするのですが。
あ、それとですね!本当は妹様ことフランドール様とメリーさんの御二方が寝てる時に私は来たんですけど、そこで起こしてもつまらな……もとい、可哀想ですし躊躇したので一度隠……じゃなくて出直してタイミングを伺っていたんですよ~。そしたら蓮子さんが帰って来たので急いでステンバ~イ。突撃となりの晩御は~ん!と入ってこようかと思ったんですが、御二方がにゃんにゃんうふふと新婚カップルのように甘いあまぁ~い空気を魅せつけてくるせいで出るに出れずこうして後手後手に回ってしまったんですぅ…。まぁ、敢えてそこに出て御二方の慌てふためく姿も見たかったんですけどぉ~我慢しました。たまにはのんびり驚かせてみるのも楽しいかな~と踏んだ結果がこれです♪ あそこまで驚いてくれて感謝です!
そういえば妹様も大変でしたね~。起きていたにもかかわらず、甘い空気の中出るに出れず寝たふりをしていたりと。やはり二人の燃えるぅような愛の空間はなかなか楽し…じゃなくて、見ている分には居心地が良かったのでついついと~……恥ずかしながらも全部見てしまう!妹様もまた一つ大人の階段を登ってしまいましたね♪
いやしかし、あのキスするかしないかのテンパったメリーさん…きゃああぁぁぁ。思い出すだけで痺れる悶える憧れるううう!」
マシンガントークに反論する事も出来ず……多分メリーと二人で顔を赤くしたと思う。
新手の拷問なのだろうか?メリーも風邪があってか、本格的にやばそう。
それでも終わらないトーク━━…は、フランが小悪魔の顔面を(片手で)力いっぱい掴む事で終わった。ちょっと小悪魔の体が浮いてたりするが突っ込まない。
暫く抵抗するように両手でフランの手を相手に暴れていたが、こっちでも聞こえるぐらいに骨が軋む(むしろ砕けてる?)音が聞こえてからは、手が力無くぶら下がっていた。
「ごめんね、パチェ…じゃなくてパチュリーが居なくて寂しかった分、必要以上にスイッチが入って暴走したみたい。困ったときは全力で本の角でもあげれば喜ぶと思うよ。」
「ちょっと妹様!私は別にMじゃないですよ?あれはパチュリー様とのコミュニケーションであるので勘違いは良くな……」
再び酷く鈍い音が聞こえた。今の私は凄い顔が引き攣ってると思う。
後何故か小悪魔が事切れても火の明りは消えなかった。
「少し力加減が悪かったかな?仕留め切れなかったのは失敗だったわ。
…ん、あ~大丈夫。5分もすれば勝手に復活するから。嫌になるほど…ね。」
随分うんざりする顔で答えた。慣れた手つきで小悪魔をその辺に投げ捨てる。
きっと私の事を気にしてくれ言ってくれたのだろうが今の所その言葉に馴染めそうになかった。
△▼△▼△▼△
訂正。すぐにでも慣れた。きっかり5分で小悪魔は復活していた。
フランとお喋りを楽しんでいたが、ドヤ顔の小悪魔を見て早々にうんざりする辺り間違いなく適応したのだと思う。
因みにメリーは流石に辛かったのか、フランに場所を交代してもらい既にベッドで寝ている。
かくいうフランは毛布だけは渡さなかった。
「いや~…申し訳無いです。本当に寂しかったのでついつい舞い上がってしまいまして。」
「あ、いえ……」
あれ?また何か怪しい事でもするのかと身構えはしたのだが、このギャップの差を見せられると困惑する。スイッチ一つでここまで変わられるとね。
「あの~…質問があるんですが、小悪魔って名称ですよね?低級悪魔とかそういう部類の。ちゃんとした名前はないんですか?」
「でも、蓮子さんとメリーさん御二人も無事で幸いでしたね。」
スルーされた。触れてはいけない部分だったらしい。
「吸血鬼の食事といえば基本的に何だと思います?ましてや妹様は直接人の血を吸った事がないので、下手したら……まぁ、そういう食事前に無事会えてセーフ、という事で。」
軽い口調で言ってるのに、ぞっと背中が冷えた気がした。
言わなかった所が少し気になる言い方だが、聞きたくない。怖くなったからだ。
「あ~そういえば、忘れてたね。」
フランも思い出すように手を叩いた。あれ?下手したらご飯にされてたのだろうか?
九死に一生得たような気分である。
「そういえば小悪魔は何でこっちにいるの?紅魔館でパチュリー相手にまたふざけてるのかと思ったけど。」
「そりゃもうフランドール様との愛のちk……はい、ごめんなさい。だからその物騒なのを閉まって下さい。
匠モドキにフィーバーされて、気付いたらこっちに来てたんですよ。」
フィーバーって何?何故かフランも納得してるし…。
その言葉にどれだけの意味があるのか理解不能だ。でも聞きたくも無かったりする。
「そうそう蓮子さん、申し訳ないのですが、シャワーと服を御貸しいただけませんか? まぁ、見ての通り汚れてるし、着続けるにはちょっと……」
実はさっきからきになってた。肩やお腹に腕etc…と、焦げた跡が酷かったりする。けれども外傷は無い。回復能力って便利で羨ましいわ。
胸はちょっと危なっかしい程度には見えるが、見た感じ…うん、勝ってる気がする。内心ガッツポーズ。
「あぁ、うん、良いよ。シャワーはそこね。服は脱衣所に用意しとくから。」
小悪魔が脱衣所に入ってから数分、歌声が聞こえてきたのを確認して洋服を脱衣所まで届けた。
それなりに使う服だが、まぁ別に着られても良い。
暫くすると蛇口の捻る音が聞こえた。そろそろ上がって来る頃だろう。ほらっ、予想通り……顎が外れかけた。
「ん~胸の辺りはちょっと苦しいですね。どうしても最後のボタンまで付けられませんし。
あ、でもお腹辺りとヒップは少し緩いかな~、拳一個入りますしw」
何故か私の服を私よりも着こなしていた。着やせするタイプなのかしらないけど、さっきまで胸が縮んでるように見えるのは絶対反則!
それに「w」って何?明らか喧嘩売ってるよね?
ていうかまずまず、スタイルどうこう以前に人間と悪魔を比べる方がおかしいでしょ…?基準とか絶対違うに決まってる!比べる事自体がおかしいのだ!断じて悔しいからではない。
後何故か小悪魔が頭撫でてくるのが無性に腹立つ。
「大丈夫ですよ、蓮子さんは十分基準だと思いますから~」
勝者の余裕と言う奴なのだろが、フォローになってない!
本気で睨みつけたが、今日は枕を濡らすことになりそうだ。
「そういえば、妹様も裸でしたね。御洋服はどうなされたんですか?」
「えっと……小悪魔と、同じでデス……」
あ、恥ずかしがってる。毛布に顔を半分埋めてモジモジしてる。
メリーもこういう感じなのかな?ちょっと虐めたくなる気持ちも分かるきがする。
「あ~…やっぱりですか…。まぁ、雷に討たれたんですし当然ですよね……
ここは一つ、私が縫い直してあげましょうか?」
「…小悪魔って、そういうの出来るの!?」
本気で驚いていた。小悪魔が誇らしげに胸を張るが強調されて実に腹立たしい限りである。なんかもう自信が無くなってばかりだ。
「ふふん、ボムを落とすだけの中ボスだと思わないで頂きたい。
その気になれば御洋服を着て頂いてる上からでも簡単な物なら仕立て直す事から修復ぐらい朝飯前です。
まぁ、ある程度は体に触れるので~♪ パチュリー様からはその度に断固拒否されてたり……。」
ボムって何?
「妹様も当然着てかr「当然着ない! さっさと直して!」 ……。」
拒絶されてそりゃもう分かりやすいぐらいに落ち込んでる。手も地面についてるし…。
それともうフランの顔が赤いのは言わずとも。こういう話題に滅法弱いのは十分理解できた。
落ち込み切ったのか、ささっと脱衣所まで向かっていった……が、うなりながら帰って来た。
「これはちょっと……駄目ですね。ごっそり焦げているので新しい記事で縫い直さないと…。
うん、だからしょうがないですよね、サイズが分からないと作業できないんですからねぇ~♪」
「……え”!?」
「と、いう事でぇ~…妹様の体を計らせてください。そりゃもう隅々まで~♪」
不意に『よいではないか~』で始まるお決まりの時代劇が頭によぎった。まさに御代官様と襲われる芸子さん、ぴったりだと心から思う。
というか、一方的に攻める側になれたのが楽しそうに見えた。
「……うん、私蓮子の服を借りるから良いや。」
「それじゃあ外に出掛ける事なんて出来ませんよ?サイズが違いますからね。
せっかく妹様にとっての邪魔者が居ないのに、出掛けないで何をするんですか?」
フランの眉が少し動いた。
興味はあるけど、意地を張って拒否する思春期特有の反抗期を思わせる感じがする。
「で、でででも服は濡れてるしまだ無理でしょ?」
「魔法一つでちょちょいのちょいで直ぐ乾きますよ?
それに寸法が分かっていればいつでも作業に入れますし~♪」
必死の言い訳をするが、ことごとく切り捨てられる。
小悪魔の口は達者でのようだ。
「ぇ…ぁ……そ、そう!布生地!これがないと縫う事も出来ないでしょ!?」
「備えあればと言う奴です。元々趣味でやっているので持ち歩いていますの♪」
「いやいや!どこから取り出したのそれ!?」
私も一瞬で良く分からなかったが、フランが着ていた服と同じような布きれを取り出した。
というか、何で解説に回ってるんだろう私。
「さぁ~これで問題無いですよね~♪」
何故か手をわきわき動かしながら近づいてきた。
うん、エロ親父にしか見えない。
「ま……待って、ね?ね? ほらっほらっ…え~と、服…そう!服とか売ってたりしないの?」
「……(ニッコリ♪)」
無言の圧力って奴?
「……………………………………………わ、分かったよ。言う通りに……グズン…すれば、良いんでしょ…。だからせめて…せめて、脱衣所で。」
我慢できなかったのか、妥協してしまった自分が悔しいのか、はたまた言い返す事が出来なかったからなのか……。
泣きながら脱衣所へと向かうフラン。裸を見られたくないのだろうけど、既にメリーに見られてるのを伝えるのは少しばかり酷に思えた。
しかし危なっかしいぐらいにふらついてて倒れそうである。
「まぁ、蓮子さんはここで待っていて下さい、後は音声だけお楽しみ。という事で~♪」
スキップでもするように、脱衣所へと向かう小悪魔。
うん、アーメン。
「それじゃあ失礼しますね~」
「うぅ、恥ずかし…ひゃん!? ちょ、ちょちょっとどこ触って…るんっ!?」
「フランドール様はここが弱いんですね~ 了解です。心得ました♪」
「な、何が心得たなのよ!計るとか言っておいて全然関係無いとこ触ってるじゃない!」
「ここも関係あるんですってばぁ~♪」
「絶対うそでしょ!?絶対関係無い所でしょ?後撫でるの今すぐ止めて!」
「……おっと手が♪」
「にゃああああああああああ!??ど、どど、どどこ触ってんの! てか、さりげなく『おっと手が』とか何よそれ!!?」
「手が滑ってしまったのはしょうがないのですよ。事故です事・故♪」
「絶対わざとでしょ!?やっぱ止める!今すぐ止める!計るの中・止!!!」
「まぁまぁ、そんな事言いなさらず……ぴたり♪」
「ひゃうっ!? ちょっ…と!やめぇ……そこは…ぁ…///」
「こ・こ・が・分からないとどうしようもないんですぅ~」
「ん…や、ぅ……まっ…まってぇ…。」
「あ、思ってたより大きいですね。ふむふむ。」
「や…らめぇえ……ぇぇ…ぇ……」
………………………………え、何これ?
………………………………何ナノデスカ?
「後はここを…と、はい。お疲れ様でした~♪後はお任せ下さい♪」
「………………………もうお嫁にいけない…汚された…。」
満足そうに出てくる小悪魔と、本気で泣いてるフランが出てきた。
これはもう同情しかなかった。明日になったら美味しいものでも食べさせてあげようと思った日でもあった。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
「で、このひらひらしてる馬鹿に吹き飛ばされてフランと、ついでに小悪魔が消えたと……?」
こめかみに青い血管が浮かんでるのが自分でも良く分かる。今すぐロイヤルフレアをぶつけてやりたくなった。
「そうなりますね。ほらっ、証拠の写真も見ます?」
「お、おい文。…煽るのは止めとけって。」
魔理沙が珍しくオドオドする顔を見て少しは落ち着けた。
それでもマグマのように煮え切ってる怒りは収まらない訳だが…。
「まぁ、小悪魔が居なくても別に!何とも!全ッ然!これっぽっちぽ!どうでも……………………………どうでも良いけど、妹様は本当にマズイのよ!」
「あの~話の腰を折ってしまい真に恐縮なのですが、小悪魔さんをもう一度こう~召喚術とかで呼び出せないのですか?」
今まで蚊帳の外だった門番が訪ねてきた。ああ、そういえばいたわね。さっき魔理沙と一緒に来てた気がする。
「さっきから色々試してるけど、反応が無いのよ。けれでも契約は切れてないから生きてる事は確実。
だから小悪魔の安否は気にしなくていいの。けれども、妹様とは契約何てしてないから呼び出す所か安否の確認さえもってのほか。確認する術がないでしょ?だから必死になってるの。
レミィは変な結界術まで使っていつまでも引き籠ってるし…。」
結局頼りになるのは自分と魔理沙と魔理沙と魔理沙と自分だけのようだ。
ストレスでもう頭痛が酷い。
「小悪魔さんとやらがいなくてさびしいんですね。」
今まで会話に参加して来なかった龍宮が話題に入ってきた。
うん、これは……
「ケンカ売ってるわよね?ふふっ…良いわよ。今なら20%引きで買うわよ?」
「また誤差1つですか……空気を読めない方にはお仕置きが必要ですね♪」
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.iiノi.i- _-ノi < 干物にしてやるわ
(i.ij 木.iijつ \_________
〈/_|.i.i.i.|_〉
し'ノ
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/=‐- 、 __ ─
,. / - == _,!<}==-._l;_ ==─‐
.| / /彡 ―== 三 ((ハヽ丶 i =
i / __,. ,彡、-, へ,./\.,, しハハヽヾ == ‐ ─
‐=ニ二'、.べ, ゙i, ゙i, '\ \ソヽ .::〉.]b =─‐ =
! ゙i\ ミ_ ̄ ゛''`^゛'ヾ‐┘"\ッY::::i;:::::ヾ:.ヾ = __
.| ゙i \ ミ_  ̄ 二三 _ ヽ_ノ~`ヽ_)  ̄
\  ̄
「お前ら……AAで会話すんな!PCじゃなきゃ見れないだろ!?
恋符『マスタースパーク』!」
△▼△▼△▼△
「私としたことが、悪かったわね。感情的になって。」
「こちらとしてもすいませんでした。酔っぱらってしまい殆ど覚えてなくて……」
魔理沙の前で見っとも無い事をしてしまった……。
これじゃあ……これじゃあどうなのだろうか?
頭が回らない。小悪魔にお茶と御菓子でも頼もうとして……いないという事を忘れていた。なんだかんだでやっぱり必要なのかと思わされる。
はぁ、と溜息。本ッッッッッッッッ当に癪だけど、私にとって小悪魔は必要らしい。
「取り敢えず、現状打破。
妹様を!ついでに小悪魔を探し出して迎えに行く必要があるわ。」
机を強くたたいたが、実はちょっと痛かった。慣れないことはする物じゃない。
「あの~…パチュリー様。その作戦には多いに賛同出来るのですが、帰りはどうなさるんですか?行きはまぁ分かりましたけど…。
それに頼みの綱の紫さんは冬眠中との事ですし、霊夢さんだって幻想郷に連れ戻す事なんて出来ないでしょうし。」
「帰りの事は私がいるから安心なさい。魔女に限界は無いのよ!」
「もう何かお考えの事なのですね!流石です、パチュリー様。」
実は大して考えてなかったりする。美鈴の声しかしないのが寂しかった。
「という訳で、龍宮。今すぐ準備なさい。さっきと同じ事をするのよ」
「すいません、今日はもう疲れてて無理なんです…明日の美容体操、ナズーと・ブートキャンプの予約も入ってるので…」
「や・れ!」
「あややや、そんな美容体操初耳ですが…(汗」
「知らなくて当然ですよ、今勝手に作った話なので」
煮え切ってるマグマというのはちょっとした刺激で噴火するのを知っているかしら?
「あ、あの!取り敢えず迎えに行くにあたって誰が行くのかを決めましょうよ! ね?ね?パチュリー様。」
「おぅ! それだったら魔理沙さんが行くぜ」
「密着取材させて頂きます♪」
「それじゃあ私はレティと・ブートキャンプがありますので……。」
うん、もう無理!
「…………うがっーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!」
「パ、パチュリー様落ち着いて下さい!暴れないで~!!!」
「あややや、壊れてしまいましたね。」
「さて、冗談はさておき準備をしてきますね。
パチュリーさんが落ち着いたら正門にいらして下さい。
たっぷりと雷を集めておきますので。」
怒りに身を任せ暴れたが、その時の記憶は私にはなかった。
余談だが、図書館から本が5冊無くなっていたという。
こちらの作品は「現代世界へホームステイ」の続きとなります。
もしよろしければそちらもご覧下さい。
見ないでそのまま見る方はあらすじをどうぞ
前回のあらすじ
・スベルカード誤字(新しいPCにまだ慣れてないからしょうがないよね!)
・匠
・現代入り
・フランお持ち帰り
・紅魔館組なのに、美鈴出てなくてごめんなさい
┌―――┐
|キ純パ|, ,
|ャ情チ|ハハ
|ラ乙ェ○=ω=)
| 女は○ //
└―――┘ (⌒)
し⌒""
~~~↓この先本編↓~~~
「…ん、あれ?」
意識がはっきりとしない中、軽く目を擦って、机に体を預けて寝ていた事に気付く。口からは涎が少し出ていた。
確か━━…女の子が全然目覚めず、暇を持て余した蓮子がコンビニに行って何か買ってくるという話になって、私は女の子が目覚めた時を考えて部屋に残る事にしたのだ。
その後蓮子が着替えていた所までは覚えているのだが……その後に寝てしまったらしい。背中には親友が掛けてくれたであろう毛布があった。何だかんだで気が聞く親友である。
軽く苦笑した後に起き上がろうとしたが…体が随分ダルい。蓮子には軽い風邪だと嘘を言ったが来る前に計った時には38.4°程あった。体感的に悪化している気がしてならず、やはり蓮子の家に来たのは無謀だったのかもしれない。
熱く重い吐息をこぼして女の子に目を向けた。相変わらず女の子はベッドで寝ている。私もふかふかのベッドで寝たいわね。
台所を借りて水でも飲もうかと考えて、玄関から音がした。
「おかえり~…」
「ただいま。いい子にして寝てたかしら?」
予想通り蓮子だった。
両手には大きな袋。コンビニで買ってきたのではなかったのだろうか? と、疑問を思えるぐらいには本当に大きな袋なのだ。
一体何を買ってきたのやら…。
「そりゃもう…ぐっすりいい子にしてたわよ。」
力無く手を振って微笑む。ちらっと時計を見たが、蓮子が出かけてから30分は経っているみたいだ。随分寝た気でいたが意外と短かかった。
「ふふ~ん。そんないい子には、これを差し上げましょう~♪」
上機嫌に袋からがさごそと缶コーヒーと、肉まん、おでんの詰め合わせ3割引きと書かれた入れ物を取り出した。
ほのかに香るいい匂いを感じて、僅かながら食欲が出てきたようだ。
「いつの時代でも寒い時期にはありがたい三種の神器ね」
「冬の神器って、床暖房と炬燵にみかん、ストーブや暖房と神器も随分あるでしょ?」
数が増えて七種の神器になった。
「ん~やっぱり女の子は目覚めてないのね。寝る子は育つとかいうけど…。」
「寝てるというより気絶じゃないのかしら? 蓮子の話を聞く限りだとね。」
言った途端に蓮子の顔が少し赤くなった。
女の子の詳しい経緯は蓮子が出かける前に聞いた。雨の中帰ってきた理由も含めてである。
あの時の恥ずかしそうな顔は実に可愛かった。思い出の中でベスト2位に入れてもいいぐらい。思わず因みに抱きしめたくなる衝動が出たのと、頭を撫でたかったのは内緒である。
「そ、それにしてもメリー…随分顔が赤いわね。本当に大丈夫なの?」
話しを逸らすように訪ねてきた。あまり弄り回すと拗ねてしまうので乗ってあげる事にする。
「ん~…そうね、駄目そうだわ。変な格好で寝てしまったから苦しいの。咳も酷くて随分と悪化してしまったわ。蓮子がキスしてくれれば治るかもしれないけどね。」
けど、どっちにしろ弄るのは変わらない。風邪の時にはこうして楽しんでれば病気の事も忘れられるだろう。病は気からという話もある。
わざと唇を指でなぞって挑発してみるが、予想通り蓮子は顔を赤くしている。困惑してるのかモジモジしていて実に可愛い。これは思い出の中でベスト1位に位置づけしていいぐらい。
暫く反応を楽しんでたが、蓮子が何かを思いついたが近付いてきた。中途半端な事なら更に弄れるかも……
「…本当にしてあげよっか?」
……What?
「だから…しても良いって言ってるの。」
今の私は顔を真っ赤にして凄い目がきょとんとしてると思う。呼吸も忘れて蓮子の言った言葉を頭の中で繰り返してやっと理解するが……////
「えっと…蓮子…しゃん!?」
真意を聞こうとしたら、蓮子の両手ががが私の頬に触れたたあたった。え?なななに???なんなののの?
「えっと…あの……じょじょ、じょ冗談よ!? ほほ本気に、本気にしなくて…ッ~~~~~~~~~~~~~!!!????」
答える事が出来なかった。もう目の前に蓮子の顔が来て……恥ずかしさのあまり目を瞑ってしまった。意気地なしと言われても無理だっ……あだっ!?
「やっぱり軽い風邪って嘘でしょ?おでこが凄い熱いもの♪」
にっこり笑う顔を前にして数秒、一本取られた事に気付く。後にはおでこ同士だけがくっ付いていた。私の純情を返して欲しい。
蓮子が顔を離してから重い溜息を吐く。やはり風邪を引いてるせいか頭が回らず攻守が逆転してしまったらしい。
前に蓮子の家に行った時、偶然会った親戚の御姉さんから色々と蓮子の弄り方のノウハウをきっちり叩き込んでもらって以来、ずっと攻める側に転じる事が出来たのだが……今日は不覚。実に悔しい
少し離れた所からしてやったりと笑顔を向けてくるのが憎たらしくも可愛かったりする。
「ったく、無理して来なくても良かったのに…。悪化したら大変じゃないのよ。」
和気藹々に言ってくる分説得力がない。余程攻めに転じられた事が嬉しいのだろう。
頬を膨らます私に蓮子は薬を渡してきた。記憶によると随分飲みにくく苦いタイプの物だった気がする。
「熱で家に帰る所の話じゃないんでしょ?泊まってきなって。今敷布団を引いてあげるからさ。」
話を強引に持って行く辺り、反論の余地は無さそうだ。諦めておでんをつまむ事にする。
肉まんに手が届いた所で布団一式の準備は出来たようで、直ぐにでも寝れる準備は出来た。
「所で、この子ってなんだと思う?」
一仕事を終えて、隣に座って肉まんにかぶり付く親友が訪ねてきた。実に豪快だったりする。
「唐突ね、というと?」
「ほらっ、狼男とかキメラとかそういう種族。外にいる間色々と考えていたんだけど、いの一番に気になってね。
個人的には天使と人間の間に生まれたハーフの子、っていうのが希望なんだけどな~。」
「……天使って、こんな宝石を身に纏ってるものかしらね?ちょっとキザっぽいと思うけど?」
「形見の品を肌身離さず付けているとか。ロマンチックだと思わない?」
少しズレたような意見だが乙女ロード全開にして語ってくる。心なしか瞳は3割増しで輝いているように見えた。
「次に気になるのは境界の向こう側の住人かどうか? って、事かな。
そうだったらそうで、色々聞きたいけど…もし違ったら、まだ幻想の住人がこの世界にいるかもしれない。って事でしょ?」
その話は確かに魅力的かもしれない。
「そうね、もしまだいるのなら……どこかの御姫様みたいに一緒に遊ぶ~ なんて感じも良いかもしれないわ。」
……なんてね。昔読んだ本が少し懐かしくて台詞を真似てみた。言ってて少し悪くないとも思える。
蓮子の笑う顔を見て何だかんだで落ち着く事が出来た。体調が戻ったらうんと蓮子を苛め…もとい、可愛がってあるから覚悟しておいて欲しいものだ。
不意にベッドから軋む音が聞こえて…女の子が何も着てない事を思い出す。
「そういえば蓮子、あの子の服はどうするの?」
「……明日になったら買ってこよっか♪」
目が泳いでる。どうやら三種の神器の事で、忘れてたらしい。
食い意地の張った親友である。
「い、いやだって、サイズが分からないでしょ?だから買うに買えなくてね…」
「それじゃあ今のうちにサイズを計ってみたら? 今度は買いに行けるんじゃない?」
「うぐっ…笑わないでよもぅ…。まぁ、この子には悪いけど計っちゃいますか…。」
女の子の布団を捲ろうとした所で事が起こった。
「ひゃう!?」
「え?」
起きていたらしい女の子が抵抗して布団を死守したのだが…と蓮子の目が会ったようだ。
「あの……これって夜這い?」
「……オハヨウゴザイマス」
なんか気まずい空気になった。
変に体勢が危ないせいでお互いに脂汗が出てるし。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
(魔理沙)
「で、この状況はなんなんだ……」
溜息混じりにつぶやいた。さっきまで小悪魔と話してた場所から少し離れた所に降り立ってみるが、見事なまでに辺り一帯が消し飛んでいる。
何事かと気になるのか妖精メイドも集まってきてるが、正直どうでもいい。大して役に立たないのは知っているからだ。
「盛大な爆発音が気になって戻ってみれば、部屋所か廊下まで無くなってる……と。たいまつをもっと置いた方が良いんじゃないか?後で咲夜に助言しとくか…。まぁ、それは置いといてだ……。小悪魔が居なくて、代わりに小悪魔の靴がかたっぽ落ちてるのは良いとしてだ。
龍宮の使いが寝てるこの状況……誰か簡潔活迅速に魔理沙さんに教えてくれ。ていうか何でコイツは満足そうな顔して寝てるんだ?」
一応妖精メイドに呟いたつもりだが敢え無く無視された。私ってそんな嫌われてるのか?
……よしっ、独り言独り言。
一応こっちに降りたのは足場がないからではなく、コイツがいたからだ。紅魔館には明らかに場違いなイレギュラー。時々電気を帯びてるあたり漏電でもしてるのだろうか?
「あややや、それについては私が説明して差し上げましょうか、独り言さん?」
廊下だった方から声が響いた。
「あ~…文屋か?」
聞かれてたらしい。近付いてみるが、見当たらない。上を見て左右を見て、下を見て…居た。
「これはこれは魔理沙さん。”偶然”ですね」
「ああ、“偶然”だな。ついでに下からドロワーズの写真を撮るのは止めてくれ。」
「分かりました、だから顔面踏見つけるのをやめてください」
△▼△▼△▼△
「小悪魔、良いやつだったのに、残念だったぜ…」
「早計に殺してあげないで下さい。後泣いてもいないのに目を擦るのは関心致しませんよ?」
軽くボケて見たが、普通に流された。このセンスを分からないとは関心出来ないな。
「ほっとけ。……━━それで、小悪魔はスキマモドキ改め、変なひずみに消えてしまったと。」
文から受け取った写真を見るが、殆どピンボケして分からない…けど、かろうじて”小悪魔の足だけが”中央”に写ってた。
「はい、そうなりますね。わざわざ嘘泣きしてボケたのは要りませんでしたが、しかっりとカメラで現場を押さえました。
さっきまで小悪魔さんと若干呂律の回っていない衣玖さんが話している所も”偶然”聞きましたので。
あ~それと蛇足ですが、藍さんが言うには紫さんはまだ冬眠時期だそうです。取材したかったんですけどね~」
聞いてもいない事を伝えてくる。さながら新しい玩具を与えられた子供のように、随分とテンションが高いようだ。
まぁ、記事になりそうなのが転がってるからなのだろうけど、私個人としては記事になるとかならないとかの興味はない。正直これから直ぐ起こる先の事でいっぱいいっぱいなのだ。
「あ~……パチュリーが聞いたら激怒しそうだな。」
いつも見てる限りでは、事ある事に無抵抗の小悪魔にスペルカードをぶつけてるパチュリーだが、長年付き合ってきたお陰で何だかんだでお互いを大事にしているのは分かってきた。
故にこの事を伝えるのは少し気が重くなる。写真を無造作に返して、再び溜息をついた。文が乱暴に返さないでと怒っていたような気がしたが無視する事にする。
「…まぁ、自分の使い魔が危険な目に遭ったのだからそうなりますよね~、本人は否定してますが何だかんだで凄く仲が良いですし。」
「あんま掘り返さないでくれ。軽くは責任感じてるんだから…。」
聞いた時には軽くボケてみたものの、本当は小悪魔の安否は気になって心配してるのだ。
それに世間話をするぐらいには仲が良いのだ。友人としても心配ではある。
「あ~、それともう一つ蛇足ですが……」
「…まだあるのか?」
箒に跨ってる途中で文が言ってきた。随分フランクに言ってくるから、どうでも良いような軽い話であって欲しいと切に願う所だが、いや~な予感は何故か拭えない。
きっと大雨のせいで風邪でも引いたんだろうと思い込んで、思い込んで……
「半刻ほど前ですが、悪魔の妹君…フランドールさんも同じように、変なひずみに消えました。同じくこの寝ている方のせいですけど。」
「……」
全力で願った思いは空振りに終わった。今日は案外霊夢並みに感が冴えているのかもしれない。
というか蛇足レベルじゃないだろ…。ミレリアにも言わなきゃいけない分、余計に胃が重く感じられた。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
「……つまり助けてもらったのね。誤解して悪かったわ。ん~と、こういう場合他に何かお礼でもした方が良いのかしら?」
「いやまぁ、こっちも悪かった訳だし…。」
メリーの仲介が無かったら、勘違いのスパイラルで悲惨な事になってたと思う。
メリーが居てくれて心から良かったと思えた。因みに女の子は毛布に包まっている。
「まぁ、お互いタイミングが悪かったという事で。
それより自己紹介しましょ。名前が分からなかったら呼び合う事も出来ないし、ね?」
△▼△▼△▼△
「飾りじゃなくて吸血鬼だったのね。ちょっと残念……」
「まぁ、随分変なのだとは思ったけど、羽だったとはね~…」
「変で悪かったわね、私だって吸血鬼らしからぬ羽だってのはそれなりに気にしてるけど。」
ちょっと怒らせてしまったらしい。でも、拗ねてるのがちょっと可愛い。
一応愛称を呼ぶ程度にはお互いを自己紹介をした。
「ごめんごめん。」
食べる?と聞いて肉まんを渡した。肉まんひとつで機嫌が治った辺りとまだ見た目通り子供のようだ。
食べる所をのんびり見て和んでいたが、遠くで雷の落ちる音が聞こえ直ぐに光が消えた。
「あれ?」
「わ、急に暗くなった…。」
「停電…みたいね。」
急に暗くなったからか、全く何も見えない。
「何度か雷の落ちた音も聞こえたし、こうなるとは思ってたけど。」
「ちょっと待ってて、今懐中電灯かろうそくでも持ってくるから。」
立ち上がってから、携帯の明りで、足元を照らしてみる。
多少心許ないが、光源は確保できた。
引き出しに懐中電灯でもあったかしら…
「明かりですね、こんなもので良ければ」
知らない声の主の元、急に辺りが明るくなった。
「ん、ありが……」
急に現れた火の玉によって。
「ぎゃああぁぁ!?」
それに加えて知らない人の度アップの顔。まさか懐中電灯を顎から照らして、「わ~」みたいな事をされて驚く羽目になるとは思わなかった。
でもでも、多分誰もこんな反応すると思う。
△▼△▼△▼△
「申し遅れました、私はフランドールお嬢様の姉君、レミリア・スカーレットお嬢様の御友人のパチュリー・ノーレッジ様の使い魔で秘書をしている者です。小悪魔と御呼び下さい♪」
盛大に叫んでしまって、少し恥ずかしい///。これじゃ三流ホラー映画もバカにできない。
しかし、回りくどい説明の上、半分以上理解できないわ、知らない名前ばっかで分からないし。
「そりゃその為に言ったんですもん、口に出てますよ?」
口に出る癖はどうにかした方がいいかもしれない。
しかし見た目とは裏腹に性格が悪いらしい。悪魔だなんて紹介からして軽く歪んでるんだと思う。
「いや~寂しかったんですよ本当に!ふざけてみてもボケてみても突っ込みを入れてくれる方もいませんから、一人でやりとりしてるのが本当に寂しくて寂しくて…。ここを発見するまで何度挫けそうになったか!フランドール様の力を感じ取ったときは何度歓喜したか!もう独りってのは勘弁ですよ!
そもそもこっちに来た時雷に討たれて凄く痛かったですし、頭がボンバーヘッドになった時は本気で焦りましたよ。良く漫画とかでパーマになるシーンとかありますけど、実際になると笑えないものですねぇ。今だったら軽く笑えるような思い出だったりもするのですが。
あ、それとですね!本当は妹様ことフランドール様とメリーさんの御二方が寝てる時に私は来たんですけど、そこで起こしてもつまらな……もとい、可哀想ですし躊躇したので一度隠……じゃなくて出直してタイミングを伺っていたんですよ~。そしたら蓮子さんが帰って来たので急いでステンバ~イ。突撃となりの晩御は~ん!と入ってこようかと思ったんですが、御二方がにゃんにゃんうふふと新婚カップルのように甘いあまぁ~い空気を魅せつけてくるせいで出るに出れずこうして後手後手に回ってしまったんですぅ…。まぁ、敢えてそこに出て御二方の慌てふためく姿も見たかったんですけどぉ~我慢しました。たまにはのんびり驚かせてみるのも楽しいかな~と踏んだ結果がこれです♪ あそこまで驚いてくれて感謝です!
そういえば妹様も大変でしたね~。起きていたにもかかわらず、甘い空気の中出るに出れず寝たふりをしていたりと。やはり二人の燃えるぅような愛の空間はなかなか楽し…じゃなくて、見ている分には居心地が良かったのでついついと~……恥ずかしながらも全部見てしまう!妹様もまた一つ大人の階段を登ってしまいましたね♪
いやしかし、あのキスするかしないかのテンパったメリーさん…きゃああぁぁぁ。思い出すだけで痺れる悶える憧れるううう!」
マシンガントークに反論する事も出来ず……多分メリーと二人で顔を赤くしたと思う。
新手の拷問なのだろうか?メリーも風邪があってか、本格的にやばそう。
それでも終わらないトーク━━…は、フランが小悪魔の顔面を(片手で)力いっぱい掴む事で終わった。ちょっと小悪魔の体が浮いてたりするが突っ込まない。
暫く抵抗するように両手でフランの手を相手に暴れていたが、こっちでも聞こえるぐらいに骨が軋む(むしろ砕けてる?)音が聞こえてからは、手が力無くぶら下がっていた。
「ごめんね、パチェ…じゃなくてパチュリーが居なくて寂しかった分、必要以上にスイッチが入って暴走したみたい。困ったときは全力で本の角でもあげれば喜ぶと思うよ。」
「ちょっと妹様!私は別にMじゃないですよ?あれはパチュリー様とのコミュニケーションであるので勘違いは良くな……」
再び酷く鈍い音が聞こえた。今の私は凄い顔が引き攣ってると思う。
後何故か小悪魔が事切れても火の明りは消えなかった。
「少し力加減が悪かったかな?仕留め切れなかったのは失敗だったわ。
…ん、あ~大丈夫。5分もすれば勝手に復活するから。嫌になるほど…ね。」
随分うんざりする顔で答えた。慣れた手つきで小悪魔をその辺に投げ捨てる。
きっと私の事を気にしてくれ言ってくれたのだろうが今の所その言葉に馴染めそうになかった。
△▼△▼△▼△
訂正。すぐにでも慣れた。きっかり5分で小悪魔は復活していた。
フランとお喋りを楽しんでいたが、ドヤ顔の小悪魔を見て早々にうんざりする辺り間違いなく適応したのだと思う。
因みにメリーは流石に辛かったのか、フランに場所を交代してもらい既にベッドで寝ている。
かくいうフランは毛布だけは渡さなかった。
「いや~…申し訳無いです。本当に寂しかったのでついつい舞い上がってしまいまして。」
「あ、いえ……」
あれ?また何か怪しい事でもするのかと身構えはしたのだが、このギャップの差を見せられると困惑する。スイッチ一つでここまで変わられるとね。
「あの~…質問があるんですが、小悪魔って名称ですよね?低級悪魔とかそういう部類の。ちゃんとした名前はないんですか?」
「でも、蓮子さんとメリーさん御二人も無事で幸いでしたね。」
スルーされた。触れてはいけない部分だったらしい。
「吸血鬼の食事といえば基本的に何だと思います?ましてや妹様は直接人の血を吸った事がないので、下手したら……まぁ、そういう食事前に無事会えてセーフ、という事で。」
軽い口調で言ってるのに、ぞっと背中が冷えた気がした。
言わなかった所が少し気になる言い方だが、聞きたくない。怖くなったからだ。
「あ~そういえば、忘れてたね。」
フランも思い出すように手を叩いた。あれ?下手したらご飯にされてたのだろうか?
九死に一生得たような気分である。
「そういえば小悪魔は何でこっちにいるの?紅魔館でパチュリー相手にまたふざけてるのかと思ったけど。」
「そりゃもうフランドール様との愛のちk……はい、ごめんなさい。だからその物騒なのを閉まって下さい。
匠モドキにフィーバーされて、気付いたらこっちに来てたんですよ。」
フィーバーって何?何故かフランも納得してるし…。
その言葉にどれだけの意味があるのか理解不能だ。でも聞きたくも無かったりする。
「そうそう蓮子さん、申し訳ないのですが、シャワーと服を御貸しいただけませんか? まぁ、見ての通り汚れてるし、着続けるにはちょっと……」
実はさっきからきになってた。肩やお腹に腕etc…と、焦げた跡が酷かったりする。けれども外傷は無い。回復能力って便利で羨ましいわ。
胸はちょっと危なっかしい程度には見えるが、見た感じ…うん、勝ってる気がする。内心ガッツポーズ。
「あぁ、うん、良いよ。シャワーはそこね。服は脱衣所に用意しとくから。」
小悪魔が脱衣所に入ってから数分、歌声が聞こえてきたのを確認して洋服を脱衣所まで届けた。
それなりに使う服だが、まぁ別に着られても良い。
暫くすると蛇口の捻る音が聞こえた。そろそろ上がって来る頃だろう。ほらっ、予想通り……顎が外れかけた。
「ん~胸の辺りはちょっと苦しいですね。どうしても最後のボタンまで付けられませんし。
あ、でもお腹辺りとヒップは少し緩いかな~、拳一個入りますしw」
何故か私の服を私よりも着こなしていた。着やせするタイプなのかしらないけど、さっきまで胸が縮んでるように見えるのは絶対反則!
それに「w」って何?明らか喧嘩売ってるよね?
ていうかまずまず、スタイルどうこう以前に人間と悪魔を比べる方がおかしいでしょ…?基準とか絶対違うに決まってる!比べる事自体がおかしいのだ!断じて悔しいからではない。
後何故か小悪魔が頭撫でてくるのが無性に腹立つ。
「大丈夫ですよ、蓮子さんは十分基準だと思いますから~」
勝者の余裕と言う奴なのだろが、フォローになってない!
本気で睨みつけたが、今日は枕を濡らすことになりそうだ。
「そういえば、妹様も裸でしたね。御洋服はどうなされたんですか?」
「えっと……小悪魔と、同じでデス……」
あ、恥ずかしがってる。毛布に顔を半分埋めてモジモジしてる。
メリーもこういう感じなのかな?ちょっと虐めたくなる気持ちも分かるきがする。
「あ~…やっぱりですか…。まぁ、雷に討たれたんですし当然ですよね……
ここは一つ、私が縫い直してあげましょうか?」
「…小悪魔って、そういうの出来るの!?」
本気で驚いていた。小悪魔が誇らしげに胸を張るが強調されて実に腹立たしい限りである。なんかもう自信が無くなってばかりだ。
「ふふん、ボムを落とすだけの中ボスだと思わないで頂きたい。
その気になれば御洋服を着て頂いてる上からでも簡単な物なら仕立て直す事から修復ぐらい朝飯前です。
まぁ、ある程度は体に触れるので~♪ パチュリー様からはその度に断固拒否されてたり……。」
ボムって何?
「妹様も当然着てかr「当然着ない! さっさと直して!」 ……。」
拒絶されてそりゃもう分かりやすいぐらいに落ち込んでる。手も地面についてるし…。
それともうフランの顔が赤いのは言わずとも。こういう話題に滅法弱いのは十分理解できた。
落ち込み切ったのか、ささっと脱衣所まで向かっていった……が、うなりながら帰って来た。
「これはちょっと……駄目ですね。ごっそり焦げているので新しい記事で縫い直さないと…。
うん、だからしょうがないですよね、サイズが分からないと作業できないんですからねぇ~♪」
「……え”!?」
「と、いう事でぇ~…妹様の体を計らせてください。そりゃもう隅々まで~♪」
不意に『よいではないか~』で始まるお決まりの時代劇が頭によぎった。まさに御代官様と襲われる芸子さん、ぴったりだと心から思う。
というか、一方的に攻める側になれたのが楽しそうに見えた。
「……うん、私蓮子の服を借りるから良いや。」
「それじゃあ外に出掛ける事なんて出来ませんよ?サイズが違いますからね。
せっかく妹様にとっての邪魔者が居ないのに、出掛けないで何をするんですか?」
フランの眉が少し動いた。
興味はあるけど、意地を張って拒否する思春期特有の反抗期を思わせる感じがする。
「で、でででも服は濡れてるしまだ無理でしょ?」
「魔法一つでちょちょいのちょいで直ぐ乾きますよ?
それに寸法が分かっていればいつでも作業に入れますし~♪」
必死の言い訳をするが、ことごとく切り捨てられる。
小悪魔の口は達者でのようだ。
「ぇ…ぁ……そ、そう!布生地!これがないと縫う事も出来ないでしょ!?」
「備えあればと言う奴です。元々趣味でやっているので持ち歩いていますの♪」
「いやいや!どこから取り出したのそれ!?」
私も一瞬で良く分からなかったが、フランが着ていた服と同じような布きれを取り出した。
というか、何で解説に回ってるんだろう私。
「さぁ~これで問題無いですよね~♪」
何故か手をわきわき動かしながら近づいてきた。
うん、エロ親父にしか見えない。
「ま……待って、ね?ね? ほらっほらっ…え~と、服…そう!服とか売ってたりしないの?」
「……(ニッコリ♪)」
無言の圧力って奴?
「……………………………………………わ、分かったよ。言う通りに……グズン…すれば、良いんでしょ…。だからせめて…せめて、脱衣所で。」
我慢できなかったのか、妥協してしまった自分が悔しいのか、はたまた言い返す事が出来なかったからなのか……。
泣きながら脱衣所へと向かうフラン。裸を見られたくないのだろうけど、既にメリーに見られてるのを伝えるのは少しばかり酷に思えた。
しかし危なっかしいぐらいにふらついてて倒れそうである。
「まぁ、蓮子さんはここで待っていて下さい、後は音声だけお楽しみ。という事で~♪」
スキップでもするように、脱衣所へと向かう小悪魔。
うん、アーメン。
「それじゃあ失礼しますね~」
「うぅ、恥ずかし…ひゃん!? ちょ、ちょちょっとどこ触って…るんっ!?」
「フランドール様はここが弱いんですね~ 了解です。心得ました♪」
「な、何が心得たなのよ!計るとか言っておいて全然関係無いとこ触ってるじゃない!」
「ここも関係あるんですってばぁ~♪」
「絶対うそでしょ!?絶対関係無い所でしょ?後撫でるの今すぐ止めて!」
「……おっと手が♪」
「にゃああああああああああ!??ど、どど、どどこ触ってんの! てか、さりげなく『おっと手が』とか何よそれ!!?」
「手が滑ってしまったのはしょうがないのですよ。事故です事・故♪」
「絶対わざとでしょ!?やっぱ止める!今すぐ止める!計るの中・止!!!」
「まぁまぁ、そんな事言いなさらず……ぴたり♪」
「ひゃうっ!? ちょっ…と!やめぇ……そこは…ぁ…///」
「こ・こ・が・分からないとどうしようもないんですぅ~」
「ん…や、ぅ……まっ…まってぇ…。」
「あ、思ってたより大きいですね。ふむふむ。」
「や…らめぇえ……ぇぇ…ぇ……」
………………………………え、何これ?
………………………………何ナノデスカ?
「後はここを…と、はい。お疲れ様でした~♪後はお任せ下さい♪」
「………………………もうお嫁にいけない…汚された…。」
満足そうに出てくる小悪魔と、本気で泣いてるフランが出てきた。
これはもう同情しかなかった。明日になったら美味しいものでも食べさせてあげようと思った日でもあった。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
「で、このひらひらしてる馬鹿に吹き飛ばされてフランと、ついでに小悪魔が消えたと……?」
こめかみに青い血管が浮かんでるのが自分でも良く分かる。今すぐロイヤルフレアをぶつけてやりたくなった。
「そうなりますね。ほらっ、証拠の写真も見ます?」
「お、おい文。…煽るのは止めとけって。」
魔理沙が珍しくオドオドする顔を見て少しは落ち着けた。
それでもマグマのように煮え切ってる怒りは収まらない訳だが…。
「まぁ、小悪魔が居なくても別に!何とも!全ッ然!これっぽっちぽ!どうでも……………………………どうでも良いけど、妹様は本当にマズイのよ!」
「あの~話の腰を折ってしまい真に恐縮なのですが、小悪魔さんをもう一度こう~召喚術とかで呼び出せないのですか?」
今まで蚊帳の外だった門番が訪ねてきた。ああ、そういえばいたわね。さっき魔理沙と一緒に来てた気がする。
「さっきから色々試してるけど、反応が無いのよ。けれでも契約は切れてないから生きてる事は確実。
だから小悪魔の安否は気にしなくていいの。けれども、妹様とは契約何てしてないから呼び出す所か安否の確認さえもってのほか。確認する術がないでしょ?だから必死になってるの。
レミィは変な結界術まで使っていつまでも引き籠ってるし…。」
結局頼りになるのは自分と魔理沙と魔理沙と魔理沙と自分だけのようだ。
ストレスでもう頭痛が酷い。
「小悪魔さんとやらがいなくてさびしいんですね。」
今まで会話に参加して来なかった龍宮が話題に入ってきた。
うん、これは……
「ケンカ売ってるわよね?ふふっ…良いわよ。今なら20%引きで買うわよ?」
「また誤差1つですか……空気を読めない方にはお仕置きが必要ですね♪」
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》>〈/ノノノ)))〉 / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
.iiノi.i- _-ノi < 干物にしてやるわ
(i.ij 木.iijつ \_________
〈/_|.i.i.i.|_〉
し'ノ
__.,
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/=‐- 、 __ ─
,. / - == _,!<}==-._l;_ ==─‐
.| / /彡 ―== 三 ((ハヽ丶 i =
i / __,. ,彡、-, へ,./\.,, しハハヽヾ == ‐ ─
‐=ニ二'、.べ, ゙i, ゙i, '\ \ソヽ .::〉.]b =─‐ =
! ゙i\ ミ_ ̄ ゛''`^゛'ヾ‐┘"\ッY::::i;:::::ヾ:.ヾ = __
.| ゙i \ ミ_  ̄ 二三 _ ヽ_ノ~`ヽ_)  ̄
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「お前ら……AAで会話すんな!PCじゃなきゃ見れないだろ!?
恋符『マスタースパーク』!」
△▼△▼△▼△
「私としたことが、悪かったわね。感情的になって。」
「こちらとしてもすいませんでした。酔っぱらってしまい殆ど覚えてなくて……」
魔理沙の前で見っとも無い事をしてしまった……。
これじゃあ……これじゃあどうなのだろうか?
頭が回らない。小悪魔にお茶と御菓子でも頼もうとして……いないという事を忘れていた。なんだかんだでやっぱり必要なのかと思わされる。
はぁ、と溜息。本ッッッッッッッッ当に癪だけど、私にとって小悪魔は必要らしい。
「取り敢えず、現状打破。
妹様を!ついでに小悪魔を探し出して迎えに行く必要があるわ。」
机を強くたたいたが、実はちょっと痛かった。慣れないことはする物じゃない。
「あの~…パチュリー様。その作戦には多いに賛同出来るのですが、帰りはどうなさるんですか?行きはまぁ分かりましたけど…。
それに頼みの綱の紫さんは冬眠中との事ですし、霊夢さんだって幻想郷に連れ戻す事なんて出来ないでしょうし。」
「帰りの事は私がいるから安心なさい。魔女に限界は無いのよ!」
「もう何かお考えの事なのですね!流石です、パチュリー様。」
実は大して考えてなかったりする。美鈴の声しかしないのが寂しかった。
「という訳で、龍宮。今すぐ準備なさい。さっきと同じ事をするのよ」
「すいません、今日はもう疲れてて無理なんです…明日の美容体操、ナズーと・ブートキャンプの予約も入ってるので…」
「や・れ!」
「あややや、そんな美容体操初耳ですが…(汗」
「知らなくて当然ですよ、今勝手に作った話なので」
煮え切ってるマグマというのはちょっとした刺激で噴火するのを知っているかしら?
「あ、あの!取り敢えず迎えに行くにあたって誰が行くのかを決めましょうよ! ね?ね?パチュリー様。」
「おぅ! それだったら魔理沙さんが行くぜ」
「密着取材させて頂きます♪」
「それじゃあ私はレティと・ブートキャンプがありますので……。」
うん、もう無理!
「…………うがっーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!」
「パ、パチュリー様落ち着いて下さい!暴れないで~!!!」
「あややや、壊れてしまいましたね。」
「さて、冗談はさておき準備をしてきますね。
パチュリーさんが落ち着いたら正門にいらして下さい。
たっぷりと雷を集めておきますので。」
怒りに身を任せ暴れたが、その時の記憶は私にはなかった。
余談だが、図書館から本が5冊無くなっていたという。
このような表現はssには使わないほうがいいと思います。
あと個人的にAAは受け付けませんでした。
現代入りは他にあまりなく、自分が好きなので続き期待してます
うん、色々勉強になります…。
フランちゃんに合掌。
誤字指摘をー。
>しかっり→しっかり
>感が冴えている→勘が冴えている
>ミレリア→レミリア
>多分誰もこんな反応→多分誰でもこんな反応
>閉まって→仕舞って
>同じでデス→同じデス
>記事で縫い直さないと→生地で縫い直さないと
>達者でのようだ→達者のようだ
>これっぽっちぽ!→これっぽっちも!
不覚にもミレリアとこれっぽっちぽ!は吹きました。
タグは現代入りまでのがシンプルで良いかなと。
続きも楽しみにしています。
しかし多い……
打たれて 同じ表現の箇所にも
AAってSSにはどうなんでしょう・・・?