壁……壁……四方八方、壁に囲まれた薄暗い部屋の中……
その狂気じみた笑い声だけがけたたましく響き渡る。
紅い館、その禁断の地下室に、今日も彼女は存在している。
・
・
・
「……あなたも物好きね、魔理沙」
そう言って紫色の服を着た魔法使いは地下への扉を開く。
「ま、酔狂なのは分かってるぜ、ところでお前が案内なんて珍しいな」
彼女に案内されるのは、黒と白の服を着た人間の魔法使い――霧雨 魔理沙だ。
「仕方ないじゃない、館のほとんどが出払っちゃってて、門番と私ぐらいしか残っていないんだから」
そう言って紫の魔女――パチュリー ノーレッジはため息をつく。
彼女の言葉を聞いて魔理沙は無用心な館だなと心の中で呟く。
「……それにしてもなんで妹様なんかの所に?」
「あぁ、それはだな……まぁ、いわゆるひとつの…波長が合っちまったというか、なんか妙に懐かれちゃってさ」
パチュリーの問いに魔理沙は思わず苦笑いを浮かべて答える。
彼女は以前、その妹様とひょんなことから弾幕遊びを興じた事があった。
どうやらその時に気に入られてしまったらしい。
とは言っても魔理沙自身も、その事自体そんなに嫌とは感じていなかった。
事実、その後も彼女はこうやってちょくちょく会いに来ているわけなのだから。
「……さ、この先にいるわ、ここからは自分で進みなさい」
そう言ってパチュリーは来た道を引き返す。
「道案内、ご苦労さん! 今度そっちにも遊びに行くぜ!」
「別に来なくていいわよ。むしろ部屋が散らかるから来ないで」
パチュリーは振り返って一言告げると、姿を消した。
「ちっ……相変わらずつれないな……」
魔理沙は一言ぼやくと独りで進み始める。と言っても目的地はもう目と鼻の先だった。
その狂気じみた笑い声が、もうはっきりと聞き取れるほど大きくなってる。
同時に何かを叩きつけるような打撃音も、彼女の耳に届いていた。
気にはなったがとりあえず壁越しに声をかけてみる。
「おーい、遊びに来たぜ」
声に反応するように、その笑い声の主――フランドール スカーレットが姿を現す。
「あはははっ! 待ってたよ魔理沙ぁー! 気配感じてたんだよ。もうすぐ魔理沙が来るって気配をさ!」
いつになくテンションが高い。いや、これはいつも通りか。
それよりも魔理沙が気になったのは、彼女が片手に持ってる物体。
見た目、自分にそっくりなその物体。
「ところで おまえさんが手に持ってるのはなんだ?」
見ればわかるのだが、とりあえず魔理沙は尋ねてみた。
「あぁ、これはね。お姉様がくれたの……素敵でしょ?」
そう言いながらフランドールはそれを振り回す。
床に当たってその人型の破片が飛び散る。既に左腕にあたる部分は影も形もなくなっていた。
「あぁ、素敵だぜ。でもそれは、多分そうやって使うもんじゃないと思うぞ?」
「いいのよ、これで。私に使われてこいつはきっと幸せよ」
フランドールは魔理沙の忠告も聞かずに依然それを振り回している。
言ってるそばから頭にあたる部分が床に当たって無残に砕け散っていく。
流石に自分そっくりな人形が壊されるのを見ているのは気分が悪い。さっき彼女は、この人形は姉がくれた物と言っていた。
ということはレミリアが、この魔理沙人形を彼女に渡した事になる。
どこで手に入れたのかなど、色々気にはなったのだが、魔理沙は敢えて触れない事にした。
下手すりゃ自分が人形のようになりかねないと思ったからだ。
「まぁ、いいが……ところで時に妹君殿よ、今日はあなたにお土産があるわけなんだが……」
「あら、何かしら、お土産なんて嬉しいわ。でも前に持ってきたようなものだったらいらないよ?」
魔理沙は、そういえば前に来たときも、彼女にお土産と言って本を渡していた事を思い出す。
「あぁ…アレか。アレはお気に召さなかったかい?」
「うん、字読むの好きじゃないのよ、だからね…」
「だから…?」
魔理沙の問いに彼女は笑みを浮かべて答える。
「ページの一枚一枚をこうやって破って…燃やしたの。そしたらチカチカと火花が浮かび上がって、それはそれは綺麗だったよぉ…」
彼女は手でページを破る仕草をしながら、嬉しそうと言うよりは、恍惚の表情を浮かべる。
「へぇ、そりゃ、私も見てみたかったな。その花火大会」
「残念だったわね。来るのが遅いのよ。……で、今日は何を持ってきてくれたの?」
「あぁ、これだ」
魔理沙は懐から箱のようなものを取り出す。
「なーに、これ?」
フランドールは興味津々と言った様子で、その箱を見つめている。
彼女はずっと一人ぼっちで地下に閉じ込められているせいか、大抵の事には、とりあえず興味を示してくれる。
もっとも問題はその後なのだが。
「こいつはこうやって蓋を開けるとだな…」
彼女が箱の蓋を開けたとたんに、部屋に綺麗な音色の旋律が流れ始める。
「……こいつはこんな感じに蓋を開けると、こんな感じで音が流れ始めるのさ」
「ようするにオルゴールって奴ね。気に入ったわ」
「おぉ、そいつは良かったぜ」
その言葉を聞いて魔理沙はホッとする。どうやら今日は弾幕ごっこをせずに済みそうだ。
二人は暫くの間、そのメロディに聞き惚れていた。やがて魔理沙が口を開く。
「なんでもこの曲は…どこぞの戦中に流行った曲で、こいつを歌って兵隊さんが故郷を偲んだらしいぜ。ま、参考程度に」
「へぇ、そうなんだ、戦争なんて疲れるだけなのにね」
「なんにしろ、この曲がいいってモノだってのは間違いないけどな」
「うん、それには異論無いわ」
そのオルゴールが奏でる旋律は優しくて、どこか物悲しかった。
フランドールはそのメロディを黙って聞いていたが、次第にその口を緩ませ始める。
そして、やがてクスクスクスと笑い声さえ放ち始めた。
「おい、どうしたんだ? ここは笑うところじゃないぜ?」
魔理沙が問うとフランドールは、らんらんと目を輝かせて言い放つ。
「……ねぇねぇ、魔理沙、知ってる? 音楽にはさ。人を狂わせる力があるんだよ……!」
「あぁ……よく言われてるな。で、どうした? 狂わされちゃったのか? こいつの魔力に」
「違うわ……狂ったのは、こいつの方よ」
「はぁ……?」
魔理沙には彼女の言ってる意味がよくわからなかった。
「魔理沙、耳を澄ませてごらんよ、ほら聞こえるでしょ……?」
フランドールの言うとおり魔理沙は耳をよく澄ませてみる。すると、ようやく彼女の言ってる意味がわかった。
今まで綺麗な音を出していたオルゴールが、いつのまにか調音の外れた歪な音を紡ぎ出していたのだ。
その音色は、あたかも錆びた金属同士が犇めき合うような、極めて不気味で不快な、まさに不協和音だった。
「うはっ……こりゃ、すごいな、お前さんは音までをも破壊しちまうんだな……」
思わず苦笑いを浮かべる魔理沙にフランドールは、何故か顔を俯けて告げる。
「違う……この音はね……」
「ん?」
「魔理沙……この音はね。私の音……私の中の音……この不協和音は私の音なんだよ」
フランドールはそう言って顔を上げる。その顔はいつに無く寂しそうな表情だった。
「だからさ、魔理沙……」
「ん、なんだ?」
いつもと違うフランドールの様子に思わず動揺してしまう。
いつの間にか彼女は魔理沙のすぐそばにまで来ていた。
「……もっともっと聞いてよ。じっくり聞いてよ。私の音をさ……」
フランドールは魔理沙の顔をまっすぐに見つめている。それは、まるで懇願するかのように。
「……あぁ、わかった。聞いててやるさ。じっくりゆっくりな。だからそんなに近づかなくてもいいぜ」
魔理沙は、そう言って思わず顔を背けると目を閉じて歪なメロディに耳を傾けた。
常人が聞いたら、それこそ気が触れてしまいそうなメロディ。しかし魔理沙は平気だった。
元々狂うのには慣れていたからなのだろうか。それとも……。
やがて彼女の耳が慣れてしまったのか、不思議な事に、その不協和音もそれほど不快と感じなくなってくる。
それどころか元々の曲よりも綺麗で物悲しくていい旋律にさえ思えてきていた。
不協和音の中に隠されていたその旋律は、あまりにも繊細で抒情的だった。
「……そうか……ずっと孤独だったんだよな」
不意に魔理沙がぽつりと呟く。フランドールは俯いて黙ったままだった。
「……本当は誰かに甘えたかったんだよな」
魔理沙が言葉を言い終える間もなく、フランドールは彼女の胸に飛び込んでいた。
そして魔理沙の方も僅かに戸惑いつつも、彼女を優しく両腕で包み込んであげていた。
彼女の体は人間より幾分か冷たく、その体が小刻みに震えている。そして、微かに漏れる嗚咽。
いつもなら、こちらが壊されてしまいそうなくらい危険な存在なのに、
今の彼女は、まるで少しでも強く力を入れたら粉々に砕けてしまいそうなほど危うい存在にすら思えた。
それこそ、床に転がっている自分の形した蝋人形よりも遥かに脆い硝子細工のように。
……いや、本当はずっとそうだったのかもしれない。ただ、誰もそれに気づいてあげられなかっただけで
実際は始めから、とっても繊細で脆い存在だったのかもしれない。
「……ねぇ、魔理沙……」
「ん? どうした」
「これからも来てくれる?私に会いに来てくれる?」
彼女の問いに魔理沙は即答する。
「もちろんさ」
「よかった……」
魔理沙の言葉に安心したのか、フランドールはそのまま彼女の胸の中で眠り込んでしまう。
(まぁ、たまにはいいよな。こういうのも……)
魔理沙は思わず照れくさそうに頬を染める。彼女は、まだ気づいていなかった。
自分がフランドールの495年間に亘る孤独の時間を打ち破ったと言う事に。
気が付くと歪なメロディはいつの間にか、鳴り止んでいた。
その狂気じみた笑い声だけがけたたましく響き渡る。
紅い館、その禁断の地下室に、今日も彼女は存在している。
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「……あなたも物好きね、魔理沙」
そう言って紫色の服を着た魔法使いは地下への扉を開く。
「ま、酔狂なのは分かってるぜ、ところでお前が案内なんて珍しいな」
彼女に案内されるのは、黒と白の服を着た人間の魔法使い――霧雨 魔理沙だ。
「仕方ないじゃない、館のほとんどが出払っちゃってて、門番と私ぐらいしか残っていないんだから」
そう言って紫の魔女――パチュリー ノーレッジはため息をつく。
彼女の言葉を聞いて魔理沙は無用心な館だなと心の中で呟く。
「……それにしてもなんで妹様なんかの所に?」
「あぁ、それはだな……まぁ、いわゆるひとつの…波長が合っちまったというか、なんか妙に懐かれちゃってさ」
パチュリーの問いに魔理沙は思わず苦笑いを浮かべて答える。
彼女は以前、その妹様とひょんなことから弾幕遊びを興じた事があった。
どうやらその時に気に入られてしまったらしい。
とは言っても魔理沙自身も、その事自体そんなに嫌とは感じていなかった。
事実、その後も彼女はこうやってちょくちょく会いに来ているわけなのだから。
「……さ、この先にいるわ、ここからは自分で進みなさい」
そう言ってパチュリーは来た道を引き返す。
「道案内、ご苦労さん! 今度そっちにも遊びに行くぜ!」
「別に来なくていいわよ。むしろ部屋が散らかるから来ないで」
パチュリーは振り返って一言告げると、姿を消した。
「ちっ……相変わらずつれないな……」
魔理沙は一言ぼやくと独りで進み始める。と言っても目的地はもう目と鼻の先だった。
その狂気じみた笑い声が、もうはっきりと聞き取れるほど大きくなってる。
同時に何かを叩きつけるような打撃音も、彼女の耳に届いていた。
気にはなったがとりあえず壁越しに声をかけてみる。
「おーい、遊びに来たぜ」
声に反応するように、その笑い声の主――フランドール スカーレットが姿を現す。
「あはははっ! 待ってたよ魔理沙ぁー! 気配感じてたんだよ。もうすぐ魔理沙が来るって気配をさ!」
いつになくテンションが高い。いや、これはいつも通りか。
それよりも魔理沙が気になったのは、彼女が片手に持ってる物体。
見た目、自分にそっくりなその物体。
「ところで おまえさんが手に持ってるのはなんだ?」
見ればわかるのだが、とりあえず魔理沙は尋ねてみた。
「あぁ、これはね。お姉様がくれたの……素敵でしょ?」
そう言いながらフランドールはそれを振り回す。
床に当たってその人型の破片が飛び散る。既に左腕にあたる部分は影も形もなくなっていた。
「あぁ、素敵だぜ。でもそれは、多分そうやって使うもんじゃないと思うぞ?」
「いいのよ、これで。私に使われてこいつはきっと幸せよ」
フランドールは魔理沙の忠告も聞かずに依然それを振り回している。
言ってるそばから頭にあたる部分が床に当たって無残に砕け散っていく。
流石に自分そっくりな人形が壊されるのを見ているのは気分が悪い。さっき彼女は、この人形は姉がくれた物と言っていた。
ということはレミリアが、この魔理沙人形を彼女に渡した事になる。
どこで手に入れたのかなど、色々気にはなったのだが、魔理沙は敢えて触れない事にした。
下手すりゃ自分が人形のようになりかねないと思ったからだ。
「まぁ、いいが……ところで時に妹君殿よ、今日はあなたにお土産があるわけなんだが……」
「あら、何かしら、お土産なんて嬉しいわ。でも前に持ってきたようなものだったらいらないよ?」
魔理沙は、そういえば前に来たときも、彼女にお土産と言って本を渡していた事を思い出す。
「あぁ…アレか。アレはお気に召さなかったかい?」
「うん、字読むの好きじゃないのよ、だからね…」
「だから…?」
魔理沙の問いに彼女は笑みを浮かべて答える。
「ページの一枚一枚をこうやって破って…燃やしたの。そしたらチカチカと火花が浮かび上がって、それはそれは綺麗だったよぉ…」
彼女は手でページを破る仕草をしながら、嬉しそうと言うよりは、恍惚の表情を浮かべる。
「へぇ、そりゃ、私も見てみたかったな。その花火大会」
「残念だったわね。来るのが遅いのよ。……で、今日は何を持ってきてくれたの?」
「あぁ、これだ」
魔理沙は懐から箱のようなものを取り出す。
「なーに、これ?」
フランドールは興味津々と言った様子で、その箱を見つめている。
彼女はずっと一人ぼっちで地下に閉じ込められているせいか、大抵の事には、とりあえず興味を示してくれる。
もっとも問題はその後なのだが。
「こいつはこうやって蓋を開けるとだな…」
彼女が箱の蓋を開けたとたんに、部屋に綺麗な音色の旋律が流れ始める。
「……こいつはこんな感じに蓋を開けると、こんな感じで音が流れ始めるのさ」
「ようするにオルゴールって奴ね。気に入ったわ」
「おぉ、そいつは良かったぜ」
その言葉を聞いて魔理沙はホッとする。どうやら今日は弾幕ごっこをせずに済みそうだ。
二人は暫くの間、そのメロディに聞き惚れていた。やがて魔理沙が口を開く。
「なんでもこの曲は…どこぞの戦中に流行った曲で、こいつを歌って兵隊さんが故郷を偲んだらしいぜ。ま、参考程度に」
「へぇ、そうなんだ、戦争なんて疲れるだけなのにね」
「なんにしろ、この曲がいいってモノだってのは間違いないけどな」
「うん、それには異論無いわ」
そのオルゴールが奏でる旋律は優しくて、どこか物悲しかった。
フランドールはそのメロディを黙って聞いていたが、次第にその口を緩ませ始める。
そして、やがてクスクスクスと笑い声さえ放ち始めた。
「おい、どうしたんだ? ここは笑うところじゃないぜ?」
魔理沙が問うとフランドールは、らんらんと目を輝かせて言い放つ。
「……ねぇねぇ、魔理沙、知ってる? 音楽にはさ。人を狂わせる力があるんだよ……!」
「あぁ……よく言われてるな。で、どうした? 狂わされちゃったのか? こいつの魔力に」
「違うわ……狂ったのは、こいつの方よ」
「はぁ……?」
魔理沙には彼女の言ってる意味がよくわからなかった。
「魔理沙、耳を澄ませてごらんよ、ほら聞こえるでしょ……?」
フランドールの言うとおり魔理沙は耳をよく澄ませてみる。すると、ようやく彼女の言ってる意味がわかった。
今まで綺麗な音を出していたオルゴールが、いつのまにか調音の外れた歪な音を紡ぎ出していたのだ。
その音色は、あたかも錆びた金属同士が犇めき合うような、極めて不気味で不快な、まさに不協和音だった。
「うはっ……こりゃ、すごいな、お前さんは音までをも破壊しちまうんだな……」
思わず苦笑いを浮かべる魔理沙にフランドールは、何故か顔を俯けて告げる。
「違う……この音はね……」
「ん?」
「魔理沙……この音はね。私の音……私の中の音……この不協和音は私の音なんだよ」
フランドールはそう言って顔を上げる。その顔はいつに無く寂しそうな表情だった。
「だからさ、魔理沙……」
「ん、なんだ?」
いつもと違うフランドールの様子に思わず動揺してしまう。
いつの間にか彼女は魔理沙のすぐそばにまで来ていた。
「……もっともっと聞いてよ。じっくり聞いてよ。私の音をさ……」
フランドールは魔理沙の顔をまっすぐに見つめている。それは、まるで懇願するかのように。
「……あぁ、わかった。聞いててやるさ。じっくりゆっくりな。だからそんなに近づかなくてもいいぜ」
魔理沙は、そう言って思わず顔を背けると目を閉じて歪なメロディに耳を傾けた。
常人が聞いたら、それこそ気が触れてしまいそうなメロディ。しかし魔理沙は平気だった。
元々狂うのには慣れていたからなのだろうか。それとも……。
やがて彼女の耳が慣れてしまったのか、不思議な事に、その不協和音もそれほど不快と感じなくなってくる。
それどころか元々の曲よりも綺麗で物悲しくていい旋律にさえ思えてきていた。
不協和音の中に隠されていたその旋律は、あまりにも繊細で抒情的だった。
「……そうか……ずっと孤独だったんだよな」
不意に魔理沙がぽつりと呟く。フランドールは俯いて黙ったままだった。
「……本当は誰かに甘えたかったんだよな」
魔理沙が言葉を言い終える間もなく、フランドールは彼女の胸に飛び込んでいた。
そして魔理沙の方も僅かに戸惑いつつも、彼女を優しく両腕で包み込んであげていた。
彼女の体は人間より幾分か冷たく、その体が小刻みに震えている。そして、微かに漏れる嗚咽。
いつもなら、こちらが壊されてしまいそうなくらい危険な存在なのに、
今の彼女は、まるで少しでも強く力を入れたら粉々に砕けてしまいそうなほど危うい存在にすら思えた。
それこそ、床に転がっている自分の形した蝋人形よりも遥かに脆い硝子細工のように。
……いや、本当はずっとそうだったのかもしれない。ただ、誰もそれに気づいてあげられなかっただけで
実際は始めから、とっても繊細で脆い存在だったのかもしれない。
「……ねぇ、魔理沙……」
「ん? どうした」
「これからも来てくれる?私に会いに来てくれる?」
彼女の問いに魔理沙は即答する。
「もちろんさ」
「よかった……」
魔理沙の言葉に安心したのか、フランドールはそのまま彼女の胸の中で眠り込んでしまう。
(まぁ、たまにはいいよな。こういうのも……)
魔理沙は思わず照れくさそうに頬を染める。彼女は、まだ気づいていなかった。
自分がフランドールの495年間に亘る孤独の時間を打ち破ったと言う事に。
気が付くと歪なメロディはいつの間にか、鳴り止んでいた。
是非紅Exや文Ex1、2で妹様を撃破してみて下さい。プレイ時に感じた事を小説にして頂けたらと思います。
そうですね。終わりが唐突になってしまったのは
仕様のつもりだったんですけど
やっぱりイマイチ良く無かったみたいですね…。
って妹様撃破ですか(苦笑
紅魔郷はノーマル美鈴で爆死しまくってます;;
文に至っては持ってない始末…。
申し訳ありません;;