葉月の十五夜、今年の名月もあいにくの雨模様となり、多くの人間や妖怪は家中から見上げる想像上の月の姿に想いを馳せていた。そんな中、黒い球体が空を飛んでいる。もちろん、宵闇の妖怪、ルーミアである。彼女は退屈を是とせずに、中秋の名月を盃に一杯ひっかけようと雲の上を目指していた。なぜルーミアは月を目指すのか。それは、気まぐれに始めた壁との対話が原因であった。今回のお話は、その会話(?)の模様を描写したものだ。暇つぶしにでも読んでいただければ幸いです。