※みんな魔理沙大好きです、コレ前提
月一くらいの割合でほぼ確実に行われる幻想郷の大宴会、今夜は我がホーム・紅魔館で開かれていた。
博麗神社等で行われる時は、私は軽く料理担当になった後はレミリアお嬢様の傍で控えているのが常だけど、ウチが会場になった時は
メイド長として妖精メイドの仕事を事細かに指示する役割を担うため、お嬢様にずっと給仕することはできない。
仕事をこなしつつお嬢様を探してみれば、百鬼夜行の鬼と肩を組んでマイク片手に2人仲良く歌っていた。問題なさそうである。
『ターボスマッシャーパーンチ!!』とか『光子力ビーーーーム!!』とか時折叫んでいらっしゃるけど、あれも歌詞なのでしょうか?
どんな技? かは知らないけど、なんとなく2人ともやれそうだから怖い。
お嬢様方に一抹の不安を覚えながらも着実に仕事をこなしていった。
ようやく仕事も一段落ついたところで、ふとあの娘を見かけていないことに気付いた。私と同じ人間でありながら、妖怪と臆することなく付き合い、
私達紅魔館の者とは切れぬ縁とも言える仲である、白黒魔法使い。
普段の宴会であれば、相手が妖怪の大物だろうが自分から絡んでいき場を盛り上げている魔理沙を、仕事中には目にしていないのだ。
今回の宴会の幹事の1人である彼女が来ていないはずもないだろう、お嬢様はまだ楽しげに歌っていらっしゃったので、時間を止めて
魔理沙を探すことにした。
案外早く見つかったが、場所も意外で、各勢力の面々と離れたテーブルで1人で黙々と料理をつまんではワインで流し込んでいた。
表情も冴えているとはとても言えない。心配になり、声をかけることにした。
「どうしたのよ魔理沙、いつものあんたらしくもない」
「あー? …あぁ、咲夜かー…」
目も据わっていて返事も投げやりな感じだった。普段ならば「よおメイド長! 胸は何センチ縮んだ?」などと冗談の応酬になるのに。
「こんな辺鄙な場所で自棄酒なんて、何か嫌なことでもあったの?」
「…………うぅ~……」
私が問いかけると、目に涙を浮かべながら唸りだした。
「?」
「っあぁもう!! あんのクソ親父がぁぁぁ!!」
「ちょっ、どうしたのよ?」
いきなり叫んだので驚く。
理由を尋ねてみると、香霖堂に宴会の旨を知らせに行った時、店主さんから魔理沙の父親からの伝言を伝えられたらしい。
何でも、道具屋の実家と魔法使いの魔理沙の間にある縁を完全に切るために、『霧雨』の名を捨てろと言われたそうだ。
そのため、家族から完全に捨てられたと思っているらしい。
……私が思うに、それは彼女の父親が彼女の独り立ちを完全に認めてあげたということではないだろうか。
多分合ってると思う。魔理沙がそうと気付くのはもっと後になるでしょうけど。
「私はぁ~、生まれた時から『霧雨』魔理沙なんだよぉ~、それを今更変えられるかぁ~!」
涙をポロポロと零しながら、テーブルの上の料理を次々に口に運んでいく。あの様子では味もわかるまいに。せっかく私が作ったのだから
ちゃんと味わってほしいな。泣きながら食べるご飯は美味しくないのに。
「そんなにがっついて、戻しても知らないわよ? それに名字なら自分でいくらでも考えたらいいじゃないの。それか、私みたいにお嬢様に考えてもらう?」
我ながらいい提案だと思う。お嬢様なら魔術的な意味でも良い名を授けられるだろう、しかし魔理沙は若干引いた顔で却下してきた。
「あいつに名付けられるのは勘弁だぜー……ぁあ!! 誰か私に名字をくれぇぇ!!」
「何言ってんのあんたは……」
どうやら、魔理沙(に限らないほとんどの連中)はお嬢様のネーミングセンスがおかしいと思っているらしい。何故だ。お嬢様はネーミングセンス
抜群なのに。私はあの方にいただいた『十六夜咲夜』という名に誇りを持っているし、お嬢様のスペルカードの技名だってカッコよくて大好きだ。
特に『全世界ナイトメア』などカリスマ溢れて素晴らしいじゃないか。
魔理沙が自棄食いを続けている最中、1人の女性が彼女に近づいてきた。見た目も雰囲気も母性に溢れている女性だった。
「あらあら、魔理沙。そのようなことで悩んでいるんですか?」
人を嘲笑う様子など微塵も感じられない母のような穏やかな笑顔でその女性は魔理沙に問いかけた。
そういえば、先の異変で大魔法使いの女性に出会ったと魔理沙が言っていた。この方だろうか? 名は確か、聖白蓮だったかしら。
「そんなことって、これでも真剣に悩んでるんだぜー」
魔理沙の答えに素直に謝罪し、
「そうでしたか、それはごめんなさいね? でしたら魔理沙、家の子になりませんか?」
その女性は聞き捨てならないことを魔理沙に申し出た。
「……はー? きゃふっ」
一瞬呆けた魔理沙を優しく抱きしめる聖さん。代われ。
「貴女はとてもいい子です。頑張り屋さんで真っ直ぐで、それでいてどこか放っておけない可愛い子です。1人暮らしでは何かと不便でしょう? 私の娘として命蓮寺で暮らしませんか?」
「う…うう……」
どこまでも穏やかで優しいその声に魔理沙もたじたじだ、マズイ。魔理沙はその生い立ち故かこういう抱擁には滅法弱いのに(確認済)
「どうでしょうか?」
「き、気持ちはありがたい…ありがたいけどさぁ、気持ちだけで十分だぜ……私は聖なんて大それた名は、似合わないからさ…」
そう言って離れようと聖さんを押し返そうとする魔理沙。それもそうだ、『聖』という尊称がこれほど似合わない者もいまい。
……私や霊夢が魔理沙のこと言えるかしら……
「そんなことありませんよ」
「う…」
さらに抱きしめようとする聖さん。ヤバい、魔理沙が堕とされる!
私がいよいよ魔理沙を引き剥がそうと動こうとした時、
「じゃあさじゃあさ! 魔理沙、私の妹にならないか!?」
「は!?」
意味のわからない提案が彼女に投げかけられた。
そこに立っていたのは妙な服を着たショートヘアの少女。帽子には♂のような♀のようなものを逆さにした妙なマーク。
♂+♀っぽいマーク……両性具有とでも言いたいのかしら? それとも両刀使いってこと?
そいつは呆ける2人をよそに、腰に両手を当て自信満々に喋り出した。酔ってるなコイツ。
「ふっふっふ! 封印が解けて、船の船長としての役目も終えて有り余った時間! 暇つぶしにと読み漁った本に書かれてたんだ! 何でも外の世界には銀河さえ渡る鋼の船があるそうじゃないか! しかもその船は巨大なレーザーを放つことが出来るらしいんだ! 元舟幽霊として、聖輦船船長として是非ともそんな船を造ってみたい、あわよくば飛ばしてみたい! そのためのレーザー係になってくれ! そしてゆくゆくは幻想郷制あ痛うぅっ!?」
「はーいムラサ大人しくしようねー? あ、魔理沙。コレの言うことは気にしないでいいからねー?」
いつのまにか現れた赤と青の奇妙な羽根をした真っ黒クロスケに手刀を首筋に入れられ、(多分)ロケット狂は気絶した。
真っ黒クロスケはそう言い残し、ロケット狂を引き摺りながら去っていった。
「……何だったのかしら、今の」
「……知らん。白蓮ー、もう離してくれー……」
魔理沙も落ち着いたようだ、結果オーライということにしておこう。
聖さんも笑みをたたえたままであるものの、素直に魔理沙を解放した。
「うふふ、ごめんなさいね? いつでも歓迎してあげるから、またいらっしゃいな」
最後に魔理沙の頭を撫でて、聖さんは自分達の仲間の元へと戻っていった。
その姿を見つめながら魔理沙が愚痴をこぼす。
「うー、子供扱いしやがって白蓮のやつぅー」
「子供みたいなもんでしょうあんたは。色んな意味で」
「うるせぇー!」
「はいはい…」
子供扱いされて不貞腐れてるようじゃ、まだまだ子供ね……だがそれがいい。
私がそう思った時、すぐ近くから声が聞こえた。
「子供扱いされて不貞腐れてるようではまだまだ子供ですよ、と、そのメイドさんが言ってますよ、魔理沙さん」
「何だとー! もごっ」
私に反射的に言い寄ってきた魔理沙の口を近くにあったケーキで塞ぐ。
現れたのは対照的なカラーリングをした幼い2人組の少女だった。1人は眠そうな目、もう片方は魔理沙を見て顔を綻ばせている。
「やっほー、魔理沙~♪」
「どうもこんばんは、確か地霊殿の主さん方の……えーと古明地…」
……誰だったっけ、新しい勢力の情報はきっちりAqupediaで調べているが、ちょっと思い出せない。
確か……『ことり』とか『さとし』とかそんな名前だったハズ。
考えていると、眠そうな目をしたピンクの髪の方の子が顔を引き攣らせながら話しかけてきた。
「……あの、私は『さとり』でこっちは妹の『こいし』です。決して『ことり』でも、ましてや『さとし』でもありませんよ?」
「じゃあ2人あわせて『古明地ふたり』でよろしいでしょうか?」
「ひょっとしてそれはギャグで言っているんですか?」
「え?」
「え?」
何を言っているんだろうこの人。
私達が問答している間、もう片方の子は魔理沙に抱きついて頬ずりしていた。羨まsじゃなくて妹様みたいだ。
「ねぇ魔理沙ー、私のペットになってよ~すりすり」
「すりよるな、死んでも嫌だぜ~。旦那なら考えてやらんでもないがな。ひっく」
「!!」
「!?」
何…だと…?
言われたこいしという子は目を輝かせていた。
「ほんとっ!? それでいいよむしろそれがいいようん今すぐ結婚しようそうしよう!」
「ちょ、こいし! 貴女何を考えてっ」
さとりという子が慌てて止めに入る。
「何よー、お姉ちゃんだって魔理沙のこと気に入ってるでしょー? 文句あるー?」
「え? い、いいえ? そんなことは…ありません…け、どぉ…」
逆に言い包められてる。こっちの姉妹は妹の方が強いのか…
顔を赤くしてもじもじしているさとりさん。彼女をよそにこいしさんが魔理沙に近づこうとした時、
「でしょ? 魔理沙ー、式はいつにしよっかー? …あ?」
緑色の光が2人の間をグレイズしながら飛んでいった。こいしさんの雰囲気が一気に冷めていく。
「な、何だ今の…弾幕?」
「ごきげんよう、魔理沙」
昼でもないのに日傘を差して現れた花の大妖怪。
「幽香じゃないか、驚いたぜ、何しやがるんだ」
「うん、ごめんなさいね? でも仕方なかったの」
「はぁ?」
魔理沙が呆ける横で、さとりさんが冷たい目で彼女を見据えていた。嫌な予感。
「……『魔理沙にくっつくガキ共を駆除しなきゃならなかったから』ですか……言ってくれますね」
「あら、気を悪くさせてしまったかしら? でも仕方なかったのよ。だって魔理沙は私の玩具なのだから。私が飽きるまでのね。だからあなた達にあげることはできないのよ」
おい待てどういうことだそれは。
「おい待て何の話だそれ!?」
「忘れたの? 何年か前、あなたが私に弟子入りしに来た時に言ったはずよ? 強大さ・優雅さ・派手さ・破壊力において最高峰の私の魔砲を習う代わりに、魔法使いとしての実力をつけた暁には私とずっと遊んでくれるって約束だったじゃない」
そう言えば、魔理沙の代名詞ともいえるマスタースパークは、元は別の奴が使っていたのを模倣した、と魔理沙が言っていたっけ。
さすがに見よう見まねで使えるような魔法じゃなかったってことか。魔理沙はあれでいて人に教えを請う素直な姿勢も持っている。
しかし玩具ってどういうことだ。
「……そんなこと言ったっけかー?」
普段の半分も回っていないだろう頭で記憶を掘り出そうとしている魔理沙に、さっきとは打って変わって冷たい声でこいしさんが話しかけた。
「魔理沙、そんな頭に花が咲いてるようなのとの約束なんてどうでもいいよ」
「ほう、言ってくれるじゃない。この私にそんな口が利けるということは、この世から消える覚悟と私と殺り合える実力があるということかしら?」
「妹を消すつもりですか? そんな人を目の前に黙っているわけにはいきませんね」
姉も参戦する。
「好きなだけ喚いてくれて結構よ。2人とも幻想郷の塵にしてあげるわ」
「あはははははっ!! 戦いだね戦いだね! ちゃんと気を付けてね? 私に気を付けてないと危ないよ? 『気が付いたら死んでました』ってなっちゃうよ?」
「寝言は寝てから言って頂戴。旧地獄の管理人を本当の地獄に堕とすなんて最高のショーだと思わない?」
「言ってなさい。この世の花畑からあの世の花畑に昇らせてあげましょう、そんなものがあるかどうかなんて知りませんが」
そして3人は飛び上がり館から離れていった。流石にいきなり暴れて宴会を台無しにするようなことはなかったようだ。
間もなく轟音とともに弾幕ごっこが始まった。飛び火は野次馬が何とかするだろう。
「……行っちゃった」
「おーい、大丈夫かー? 幽香もそうだしこいしだって発狂したらフランにも劣らないほどヤバいぞぉ?」
「こいしって子はどうか知らないけど、あの花の大妖や地霊殿の主がそんな簡単に力を全開にはしないでしょう。殺し合うなんて言っても所詮口だけよ。それよりあなたの顔色の方がヤバいわよ? そろそろ飲むのやめたら? 泊めたげるから、お開きになさい」
「いーやーだー! まだのーむー! 飲まなきゃやってらんない!」
私の申し出も子供っぽく腕を振り回して拒否する魔理沙。可愛らしいのだけれど、倒れられても困る。
「ねー、魔理沙ー? 魔理沙は名字が欲しいの?」
「あ、妹様。楽しんでおられますか?」
そんな折、珍しく大人しくフランドールお嬢様がやってきた。
「そうだぜフランー! 一緒に飲もうか!?」
「お酒いらない、美味しくないし。咲夜、オレンジジュースおかわり持ってきてー」
「ここに」
時を止め、一瞬でご所望の飲み物を持ってくる。世界を動かして妹様のグラスにジュースを注ぐ。
こくこくと可愛らしい音を立てながら妹様はジュースを飲み干した。そしてグラスを受け取る。
「ぅん、ありがと。……あのね、魔理沙、魔理沙がよかったらだけど…ホントは私が『霧雨』が欲しいんだけど…スカーレットじゃダメかな?」
やはり珍しく遠慮がちにそんなことを申し出る妹様。可愛らしくもあるがしかし…
「おいおいー、気持ちは嬉しいけどよぉ、レミリアが黙っちゃいないだろー」
困ったように笑いながら妹様に答える魔理沙。私もそう思う。
しかしお嬢様の名前を出した途端不機嫌になった。
「アレの言うことは無効票でいいのよ。マリサ・スカーレットなんてカッコよくてお洒落で素敵じゃない?」
妹様が得意気にそう仰られた時、
「…厨二病か」
近くにいたアリスが何か呟いた。私や魔理沙には聞こえなかったが、何と言ったのだろう。
しかし妹様には聞こえていたようだ。
「どっかん☆」
あ、蓬莱ちゃんが爆発した。
「ほ、蓬らーーーーーーーーーーーーーーーーーい!!!? ち、畜生ぉぉぉぉぉぉ!!!」
泣きながら走り去っていくアリス。というか今まで聞き耳立てていたのだろうか?
爆発した人形…直せるのかしら?
「…アリス、どうしたんだあいつ?」
「ねぇ魔理沙……どうかな…?」
妹様はなかったことにしたようだ。
「うーんーでもなー」
「……てよ」
はいともいいえとも言わない魔理沙に、妹様の言葉が震えだし、
「んー?」
「いいって言ってよ!! 言ってくれないと――きゅぅ」
さぁ爆発だ、という直前崩れ落ちた。慌てて支えた妹様の頭にはお札。って!
「い、妹様! 霊夢何するのよ!」
不機嫌そうな腋巫女がそこにいた。
「うるさい。ちょっと眠らせただけよ」
「よーぉ霊夢ぅー飲んでるかー?」
「あんたほどは飲んじゃいないわよ、それよりあんたの周りが騒がしかったみたいだけど、何かあったの?」
「それがよー、聞いてくれよ霊夢ー!! 親父の奴が『霧雨の姓を捨てろ』なんて言いやがったんだぜー!? そうなったら私は『名無しの魔理沙さん』になっちゃうじゃないか! そんなの嫌なんだよぉ!」
そう叫んで霊夢に抱きつこうとする魔理沙。しかしすぐに振り払う。
「うわ、酒臭っ! ひっついてくんな!」
「なんだよぉ、霊夢まで私を捨てるのかよぉ…ぐすっ」
再び涙を浮かべた魔理沙。とりあえず時を止めて妹様を部屋に運んでおく。
帰ってきたところで時を動かした。
「泣くな、そんなこと言ってないでしょう。そもそもあんたを拾った覚えもない!」
「だってよぉ…」
「あのね! あんたが霧雨魔理沙からただの魔理沙に変ったって、付き合い方を変えるようなやつはいないでしょ? というか別に何も変わらないでしょうに、そんな小さなことで悩むな!」
そう言えば、魔理沙の交友範囲は中々に広いはずだけど、魔理沙のことを『霧雨』と呼ぶ人はほとんどいなかったように思う。
たいてい『魔理沙』と呼び捨てかさん付けで、他も『白黒』だの『鼠』だのとしか呼ばれてなかったっけ。
「でもさぁ…」
「ええいうるさい! そんなに名字が欲しいならっ……」
叫ぼうとして、急に黙る霊夢。……もしや。
「……霊夢ぅ??」
「欲しいなら……わ、私のをあげるわよ…」
私には聞こえたが、魔理沙には聞こえなかったようだ。
「え? 何て?」
「う、うるさい! 私の『博麗』をあげるって言ったのよ、バカっ!!」
「いだっ!?」
魔理沙の問いかけに、顔を真っ赤に染めた霊夢が告白する。しかし最後に照れ隠しからか思いっきり殴ってしまい、魔理沙が尻もちをついた。
そのまま霊夢は飛び去り、弾幕ごっこをしていた3人の元へ乱入し一緒に暴れまわっていった。
……あ、4人とも湖に落ちた。
それにしても今の霊夢も…
「か~わいいわー♪」
「何なんだよ霊夢のやつ~…おろ…?」
殴られた頭をさすりながら立ち上がろうとした魔理沙だったが、足がもつれたようでよろけていた。支えてやる。
「ほら、もう立てなくなっちゃってるじゃない。これ以上は流石に体に毒よ? ほら、部屋まで運んであげるから」
そう言って魔理沙に背を向けて屈む。俗に言うおんぶの体勢だ。
しかし彼女はまた困ったように断ろうとする。
「え……でも悪いし…」
「何を今さら。私は気にしないから、来なさい」
出来る限り優しい声でそう告げる。
「……うん」
遠慮がちながら了承してくれたようだ、背中に重みが加わり、腕を回される。しかしなかなか心地よい重みだ。暖かいし。
「……咲夜、ありがと……」
そう呟いた後、規則正しいリズムで呼吸が行われるようになる。どうやら泣いて食べて疲れて眠ってしまったようだ。
そんな彼女を愛おしく思い、私も息をつく。そして私は……
『霧雨魔理沙』を『十六夜魔理沙』にするために彼女を自分の部屋へと運んでいった。
おまけ1・逃げ出したアリスは~
「ちくしょ~~~あの頭が七色吸血鬼ぃ……よくも蓬莱をぉ~…」
「……アリス」
「誰…ああパチュリーどうしたの? 魔理沙に言いたいことも言い出せないまま逃げ出してきた私を笑いにでも来た?」
「そんなこと…あるはずないじゃない。私も同じよ……」
「……そっか、貴女も魔理沙のこと……」
「ええ……」
「……でも……」
「……やっぱり……」
「「魔理沙に……」」
「「……『マーガトロイド/ノーレッジ』なんて名字、似合わないわよねぇ……」」
こうして2人でお互い慰め合い、逆に2人の親密度が上がっていくのだが、それはまた別のお話である。
ここで突然だが、語りを入れさせてもらいたい。
パチュリーは魔理沙に『ノーレッジ』という名字が似合わないと考えたが、それは本当だろうか?
確かに日本人である魔理沙に英語の名字は合わないかもしれないし、『知識』を意味するノーレッジという大それた名は
まだ未熟な魔法使いである魔理沙には相応しくないかもしれない。
しかしここで1つの疑問が浮かぶ。はたしてパチュリー・ノーレッジのノーレッジは本当に『knowledge』なのだろうか?
『know』は発音としては『no』と変わらない。つまりノーレッジは『noledge』と綴る可能性もあるわけだ。
では、ここで新たな疑問が浮かぶ。『ledge』とは何か。
辞書で調べてみると『ledge』は、壁面における棚状の出っ張りや海底にある岩山などのような意味を持つらしい。
つまり『noledge』とは『出っ張りがない』『山が存在しない』のような意味にも捉える事ができるはずだ。
何が言いたいかもうおわかりだろう、女性を指すのに『出っ張りがない』『山が存在しない』ということが何を意味するか。
そう、それは体型的な意味で女性の胸を指すのであるッ!!
そして!! 魔理沙の体型には『ノーレッジ』という言葉が相応しいのだ! つまり、魔理沙はパチュリーと結ばれてしかるべきなのだ!
以上、小悪魔でしt(ロイヤルマスターフレアスパーク!!
おまけ2・2日後、博麗神社にて
「はぁ……こないだの宴会から魔理沙に会ってない……あの言葉に引かれちゃったのかな……ダメだ、掃除に集中できない……」
「どーも霊夢さーーーん!」
「……文か……あんたじゃない方の白黒に会いたいのに……」
「? 何か言いました?」
「い、いいえ? それより何の用? 新聞はいらないわよ?」
「あ、今は違います。先ほど紅魔館に定期購読の新聞を届けてきたのですが、メイド長からあなたに手紙を渡してきてほしいと頼まれまして」
「咲夜から? 何て内容?」
「さぁ、そこまでは。見せてもらってもかまいませんか?」
「別にいいけど。えー…………と……?」
「どうしまし……た……?」
手紙の封の中には写真が1枚。写っていたのは……
絶望的な表情をしたパチュリーと、
彼女を励まそうと必死な小悪魔と、
今にも暴れ出しそうなフランドールと、
彼女を必死の形相で押さえこんでいるレミリアと美鈴と、
タキシードを着た凛とした表情の咲夜にエスコートされ、照れつつも微笑んでいるウェディングドレスに身を包んだ魔理沙。
そしてメッセージカードが1枚…………
『私達、結婚しました』
でも魔理沙のためならしかたない
愛のためならしかたないよね
聖魔理沙は実質的にも文字的にもおかしいww
♂+♀っぽいマークで某手書き劇場の村紗が思い出されたw
これだけは譲れない
あと自分も魔理沙にはノーレッジが(ピチューン
こいマリ、さとマリはいいね、あまり見ないけど。
一番はレイマリだけどな!!
抜け目ないぜ!
愛され魔理沙はいいよね。
かなり作者とジャスティスがかぶった
個人的には作者のジャスティスに文マリとかなマリも付けたいところ
欲を言えばもう少し嫉妬が見たかったですが充分可愛いですね
とにかく魔理沙が愛されていれば満足です><