Coolier - 新生・東方創想話

趣味仲間

2012/02/04 01:39:10
最終更新
サイズ
11.08KB
ページ数
1
閲覧数
1871
評価数
10/16
POINT
980
Rate
11.82

分類タグ


まえがき
これは以前私が書いた『お手紙ゲーム』の設定を引き継いでいます。
そちらを読んでからのほうが楽しんでいただけるかと。
上の方の『お手紙ゲーム』タグを押していただければ出てきます。










 先程から人里周辺を右往左往している傘を持った妖怪。
 人の恐怖の心を食べる妖怪であるこの妖怪の名前は多々良小傘。
 小傘は空腹感を沈めようと考えていた。
 真昼間から人を脅かすにはどうしたら良いかと
 人里周りをうろうろぶつぶつ。


「……どうしよう、うらめしやー、は最近マンネリだからなぁ。ていうかうらめしやーで怖がってもらったことないし…… ぶつぶつ……」


 うんうんと頭を抱え思い悩む小傘。
 その様子を先程から覗いているのは日月星の三妖精。


「なにしてるんだろうね、さっきからあの妖怪」
「見たところ唐傘お化けだろうけど……? って、なにしてるのスター」
「見ての通りよルナ。お茶を入れてるの」
「私たちは三人だよ。なんで四つ?」


 小傘は彼女たちに気づいていないようで、まだぶつぶつとなにかつぶやいている。
 

「だいたい私が出る二次創作ものは、驚かせるにはどうするかっていうものしかないじゃないの…… たまには違う方法で出たいわね…… ぶつぶつ……」
「あ、なんか独り言がまずい方向にいっているわ。さぁルナ、あの人をお茶に誘ってきて」
「う、うん」
「まぁ、この小説もそうなんだけど…… ぶつぶつ……」
「あ、あの…… 一緒にお茶しませんか」
「え? お茶? 私? いくいく」


 疑うことを知らない傘お化けは月の妖精についていく。
 やぁ、ありたがやありがたやと付いてくる妖怪の純粋さに月の妖精は少し戸惑っていた。
 

「あ、傘のおねえさん、こんにちはー」
「あら、妖精さんにはお友達がいたんだ。こんにちは、赤い妖精さん。うらめしやー驚けー」
「日本茶でいいですか?」
「はい、いただきます」
「何なのこの妖怪……」


 星の妖精スターサファイアはこの妖怪が恐怖心を食べる妖怪だと知っていた。
 なので人間を困らせるのが趣味の自分たちと力を合わせれば、
 いつもより大きなことが出来ると踏んだのである。
 

「ふーん、つまり小傘ちゃんは人を驚かせたいのね」
「そうよサニー。それ食べないならもらうわよ」
「あ、私のふ菓子っ」
「す、すごい馴染んでるねこの妖怪。スターは小傘さんのこと知ってたの?」
「えぇ。というか幻想郷縁起に書いてあったのよ」
「ふーん…… 便利だね、幻想郷縁起」
「ルナは新聞とか読んでいる割に学がないわねえ」
「私はお天気と運勢しか見ないから…… あと、今日の一行ニュースってやつ。スターも見てる?」
「もちろんよ。あれ面白いわよね。今日のは」
「白黒魔法使いが新種の菌類を見つけたんだよね。私も読んだよ。あとルナ、そのふ菓子食べないならちょうだい」
「ど、どうぞ…… ふ菓子好きなんですね」


 のんびりとお茶をしながら談話する三妖精と一妖怪。
 時刻は昼頃だろうか。
 お茶を飲み終えたスターサファイアは本題を小傘に持ちかける。


「どうですか、小傘さん。最近悩みとか」
「そうなのよー 聞いて聞いて。実は最近、皆驚いてくれなくて」
「ふふふ、小傘さん。実はなんと、私たち、人をびっくりさせるプロなのよ! ね、二人とも」
(ね、ねぇルナ。スターがこんなやる気あるなんて珍しいわね)
(わかんないけど…… 最近たまってんじゃないの?)
「ねぇ、聞いてるの二人とも」
「あ、あぁも、もちろん。私は日の光を操ることが出来る! 人間は私の日光ビームで眩しくなってびっくりするよ!」
「おお」
「えーと、私は音を消すことが出来る。急に音を消すと皆びっくりするよ」
「なんと」
「私はなんと生き物の気配を読み取れるわ!」
「す、すばらしい。弟子入りさせてください! お師匠様たち!」
「「「いいよー」」」


 こうして人間を驚かせるべく、四人は力をあわせることになった。
 スターサファイアは再度お茶を入れ、第一回会議を始めるための準備をする。
 サニーミルクは小傘と乳繰り合っている。
 一方ルナチャイルドはすることがないので何も無いところで転んでいた。


「さ、皆お茶を入れなおしたわ。会議しましょう」
「あいよー って何でルナ転んでるの?」
「なんか自分のアイデンティティを確立しないといけない気がして……」
「ふーん……」
「はい! 私はおなかがすいているのでとりあえず音と姿を消して急に現れてびっくりさせる作戦がいいです! 名づけて『とりあえず音と姿を消して』……」
「小傘ちゃんそれあれだよね。作戦名と内容が一緒って言う古典的ギャグだよね。ほんと時代遅れだよね」
「ぐっ…… サニーさん鋭いっすね……」
「それに小傘さん、それじゃあ四人集まった意味が無いわ。せっかくだから四人集まってできることをやりましょう?」
「さ、流石スターさん、的確な判断です……」
「小傘さんそんなかませっぽいキャラだっけ……」
「うん、ルナちゃん。私はずっとこうよ」
「あれ、何で私だけちゃん付けで敬語じゃないの? かませっていって怒っちゃった?」
「まぁいいわ。ところで聞きたいのだけれど、小傘さん文字は書ける?」
「文字ですか? えぇ、まぁ普通に」
「ならいいわ。これを見て、皆」


 スターサファイアが皆に見せたのは以前の文々。新聞の号外。
 見出しには大きく『騒霊長女と鰻屋女将の甘い関係!!』と記述されている。
 

「これがどうしたんですか?」
「『お手紙ゲーム』って知ってます? この新聞によると二人がくっついた理由は最近流行っているそれのおかげなのよ」
「ふふふ、スター。私はもうわかったわ。つまり、
『お手紙ゲームで人間に難しいお手紙を送りつけてしかも差出人不明にしてうわー、わかんないよー 差出人もわからないよー 怖いよー作戦』ね!」
「さすがサニー、一を聞いたら二がわかる。天才ね」
「サニーさんすごい!」
「えっへん!」
(やばい、私空気になりそう。とりあえずそこらへんで転んでおこう)
「ふむ、お手紙ゲーム……」
「それを貴方に書いてもらうわ」
「でも、スターさん」
「はい、小傘さん。どうぞ」
「それなら三人でもできたんじゃないでしょうか」
「私たちは文字が書けないのよ」
「な、なるほどー」


 そう、スターサファイアが計画したのは今流行の『お手紙ゲーム』によるイタズラ。
 名付けるなら恐怖お手紙といったところか。


「文章は適当でいいのよ。それっぽいことを書けば。答えがあるようでないお手紙ね」
「スターさん極悪非道……」
「わー面白そう。私も考える! いいよねスター」
「えぇ、もちろんよサニー。皆で考えましょう」
「ねぇスタ」
「あ、スターさん」
「はい、小傘さん」
「誰に送るんですか? 博麗の巫女でしょうか」
「それはダメよ。あの巫女は勘が鋭すぎるから。それに正体不明の恐怖は以前『紙舞』でやったから別の人間にしましょう」
「じゃあスター、たまに博麗神社にいる緑の巫女は?」
「流石サニー、いいところをつくわね。でもあの巫女の家は妖怪の山のどまんなかよ。私たちでは危険すぎて入れないわ」
「そっか…… じゃあ残る人間は……」
「紅魔」
「紅魔館のメイドか魔理沙さんね」
「サニーさん…… こ、紅魔館というと、あの吸血鬼が住んでいる紅魔館ですか…… あそこに行くのはちょっと……」
「よね。それなら残るはあの人。早速お手紙を書きましょう!」
「「「おー!」」」
「おー!」

「あれ? なんで私だけカギカッコ別なの? ていうか皆私のセリフにかぶりすぎでしょ」


 そして始まったお手紙の作成。
 計画は、霧雨魔理沙の家に手紙を置く、手紙に気づいた魔理沙がそれ読む、悩んでいるところにもう一通、そしてもう一通と言う形で正体不明の差出人に恐怖するというものだ。
 そのためには多くの手紙が必要になる。
 案を出し合い、小傘が手紙をかく。それが終わる頃には日は既に落ちて、辺りは暗くなり始めていた。


「あー疲れたー 私こんなに文字書いたの初めてよー スターさん、もういいんじゃないでしょうかー」
「そうね、こんなにあれば十分よ。さ、ご飯出来てるわよ。私たちが案を出しあって手紙を書いている間にルナが一人で作ってくれたわ」
「流石ルナね」
「本当に? わーい、私も頂いてっていいの?!」
「もちろん。小傘さんが一番頑張ってくれたものね」
「じゃあ、ご飯を食べたらすぐに向かいましょう!」






――――――――――





「よし…… じゃあ行ってくるわ」
「気をつけてねサニー」
「ちょっとルナ、私と一緒に来てよ。姿は隠せるけど音でバレちゃうかもしれないでしょ」
「やだよ…… なんかスター私に今日冷たいし…… ふんっ……」
「る、ルナはじっこでいじけてますよ。スターさん」
「大丈夫よ。さっきふうきみそを作って冷蔵庫にいれといたし、機嫌は後で治るわ」
「い、今直したほうがいいんじゃないんですか……」
「いいのよ、後で」
「……?」


 サニーは音がしないようにゆっくり魔理沙の家に近づいていく。
 扉の前に手紙を置き、ノックをして急いで戻る。


「んー、こんな時間に誰だ? アリスか? っと。なんだ、お手紙じゃないか」

「よし、部屋に戻ったわ。ねぇスター、最初はどの手紙?」 
「あれよ、サニーが考えたたぬきのやつ」





『霧雨魔理沙様へ

 制限時間は五分です。
 正解できたら素晴らしい魔導書をプレゼントします

   わそしこふぃにおけすしかんらい

       ヒント たぬき         』





「『たぬき』なのに暗号文の中に『た』が入っていないなんて…… すばらしい暗号だわ」
「ふふん、やるでしょ」
「さっすがサニーさん!」
「別にすごくもなんともないじゃない…… ふんっ……」

 因みに感嘆符はついているがひそひそ話である。
 五分後、サニーはまた手紙を置いてノックして戻ってくる。


「くっそう、わかんないぜ。なんなんだこの暗号。お、っと新しいお手紙か。 なになに……」


『霧雨魔理沙様へ

 制限時間が過ぎたため私の勝ちです。次の問題へいきます。
 制限時間は五分です。正解できたらもちろん素晴らしい魔導書をプレゼントです


 1267863698130155687684』


「……誰だかわからないが私もなめられたものじゃないか。絶対に解いてやる!」

「ちなみに、次の問題は何をおいたの?」
「私が適当に思いついた数字を書いた紙よ。意味があったほうがすごいわ」
「スターさんマジルール無用の残虐ファイト……」


 そうしてこのやりとり続く…… もう10回はやっただろうか。
 霧雨魔理沙は見事に罠にはまり、見るからに焦っていた。


「くっそー、次だ。次こそは!」

「うふふ、魔理沙さんが焦ってるなんて初めて見た」
「そうっすねサニーさん。私も精神が満たされてきましたよー」
「二人とも、攻撃はやめちゃいけないわ。とことん怒らせるのよ」

「く、くそー! 一体誰なんだこんな難しい問題を置いてくのは! もういい、ここで五分待ってそいつの姿を確認してやる!」
「ど、どうしようスター、魔理沙さんあそこで待つって言ってるわよ」
「うーん、とりあえず待ちましょう。ルナ、そんな所でなにしてるのよ。こっちに来なさい」
「す、スターが急に優しくなった……」
「ごめんね、ほら、こっちに来て。みんなでイタズラを楽しみましょ?」
「うわああん、スターありがとう! 私もそっちに行くよ!」


 そして五分が経過する。
 魔理沙は足をせわしなくぱたつかせ、手紙の差出人を待っている。
 

「おい、なんだ、私がここにいたら怖くて出られないってか!」

「どうするのよスター、魔理沙あんな事言ってるわよ。……スター?」
「へ、へ……」
「えへへ、スターが優しくなった。えへへ」
「ふぇっ、ふぇっ……」
「す、スターさんまさか…」

「ふぇっくしょい!」


 一瞬、沈黙が起きる。
 だが事の重大さに気づき、慌てて最初に動いたのはサニーミルク。


「す、スターばか! ていうかルナ、何してんのよ、音消しときなさいよ! に、逃げるわよ!」
「ほう…… 今の声…… おい! バカ妖精ども! そこにいるなぁぁああああ」
「きゃあああ、白黒が来る! ルナ! 何してんのよ逃げるわよおおおお ってサニーさん逃げるのはやっ!」
「わ、私何もしてないのにいいいいいいいいい」
「まぁてええええええええええ」


 スターのくしゃみによって魔理沙にバレてしまった四人。
 距離はあったとはいえ、やはり魔理沙には追いつかれてしまう。


「うふふ、捕まえた。懲らしめてやる……」
「魔理沙さん、うふふとか言うキャラじゃないでしょー うわーんごめんなさーい」
「て、ていうか私なんにもやってないんですよっ。本当にっ」
「あわわわわわわちきは悪い妖怪じゃないよっ。だから襟首掴まないでおくれー」
「ん、変わったやつが居るな。まぁいい。三妖精が二妖精一妖怪でも一妖精二妖怪でも私をこけにした罪は重い!」
「「「ひー!」」」















 二妖精一妖怪が懲らしめられている頃、場面は変わって霧雨魔法店。
 そこからにこにこしながら出てくる、残った一妖精。


「やっぱり夜を選んでよかったわ。逃げる影が三つなら私が隠れててもバレにくいし」


 恍惚の表情で持ち出した獲物を眺める。
 それを大事そうに抱え、帰路につく。


「やっぱり同じ趣味の人がいるといいわね。新種のきのこの盆栽、気に入ったわ!」


 
造語:あしをぱたつかせる 意味:足をパタパタしてイライラ待っているさま。

お手紙ゲームの設定でギャグをやりたかったのです。
でも次からは前作知らない人お断り感があまり好きじゃないのでやめます。

あと、ちょっとルナチャがいじめられていますけどルナチャは好きです。
敬語小傘とか誰得。
読んでいただいてありがとうございました。
ばかのひ
簡易評価

点数のボタンをクリックしコメントなしで評価します。

コメント



0.210簡易評価
2.80奇声を発する程度の能力削除
ちょっとオチが弱く感じましたが面白かったです
3.100名前が無い程度の能力削除
タイトルそういう意味か
4.70名前が無い程度の能力削除
うーん、ちょっと表現が視覚的に走りすぎてるような
でも話の筋は面白かったし、ルナチャがかわいかったのでこの点数で
6.100名前が正体不明である程度の能力削除
タグ理解。
7.80名前が無い程度の能力削除
途中で台詞が誰のものか分からなくなるのが難点でしたが、内容は面白かったです
スターさんマジ残虐
8.70名前が無い程度の能力削除
おkwww把握www

でも、最後のオチはよくわからなかった。盆栽を手に入れたのはスターでいいんですよね?
9.10名前が無い程度の能力削除
○●がいじめられてるけど(扱いが悪いけど)好きです。的な言い訳は嫌だな。
それさえ言っておけば許されるわけじゃないわな。
10.100名前が無い程度の能力削除
Good
11.80名前が無い程度の能力削除
このクイズは騙されそうだわー。
15.80名前が無い程度の能力削除
わかりづらい