ーあおがえるさんの「ことばのない雪の日」のパロディ的な作品です
『山積みの言の葉』
あなたとわたしの出会いは一期一会
みつけてくれてありがとう
€.
「おうい、パチュリー!お邪魔するのぜー!」
「…あら、魔理沙だったの。お久しぶり。」
「今日はいい天気だぜ。たまには大図書館から出たらどうだ?」
「いやよ。夏の真っ昼間に外出なんて、人のすることじゃないでしょ?」
「ごもっともだぜ。ところでパチュリー、頼みたいことがあるんだが…」
「魔理沙の手をにぎっているその子が関係しているのかしら?」
「ご明察だぜ。さ、セミちゃん、挨拶して。」
(セミちゃん…ひどい名前ね。センス0。あだ名かしら)
「こんにちは、ぱちゅりーさん。わたし、セミちゃんっていいます!」
(ガチネームかよ)
「こちらこそ。紅魔館へよく来たわね。それで、ご用件は何かしら?」
「はい。じつはー、」
€.
一日目
「それにしても、今日は暑いぜ。パチュリーは平気なのか?」
「動かないからね。それより魔理沙、あの子はいったい何者なのかしら。そろそろ教えてくれてもいいんじゃない?」
「その名の通り、あの子はセミの妖精だ。寿命も七日間しかない。今朝、博麗神社の裏の山でクワガタ狩りをしていた時に出会ってさ…。『本が読みたい』って頼まれたから連れてきたんだぜ。」
「そうだったの…。」
€.
二日目
「あら、おはよう魔理沙。今日も来たのね。」
「ああ。パチュリー、セミちゃんはどこなんだぜ?」
「たぶん、8D2F区画よ。食事とか、身の回りのことは小悪魔に頼んでおいてあるわ。」
「そうか。
…あらためて見ると、ここの蔵書の量は常識はずれだな。いったい何冊くらい保管されているんだ?」
「引きこもり系魔法少女100年分は優に超すわね。」
「その中からとびきりの、自分好みの一冊を見つけ出すとなると、気が遠くなりそうだな。」
「まあね。選ぶ時、参考になるのは題名くらいよ。題名がいまいちな物語は、永遠に埃をかぶったまま、誰の手に取られることもないでしょうね。」
「そうなのか?この前、霖之助が『作品に貼られたラベルで評価を下すのは愚かな行為だ』みたいなことを言っていたんだけど」
「でも、そのラベルがぱっとしなかったら、読む気も起きないでしょ?それじゃ本末転倒じゃない。」
「まあ、あいつがしてたのは絵の話だったしなぁ…。
あ、パチュリー。わたし明日は来れないから、セミちゃんのことよろしく頼むぜ。」
「わかったわ。…ねぇ、魔理沙」
「なんだ?」
「あの子の名前ってー、」
「もちろんわたしがつけたぜ!」
(あなたが犬飼ったら名前が『スーパーカー』とかになりそうね)
€.
三日目
「パチュリーさん」
「どうしたの?小悪魔」
「私、これから少しばかり出かけてきますので、セミちゃんのお世話をお願いしていいですか?」
「もちろん、構わないわよ。」
「ありがとうございます。では…」
(さて、セミちゃんはどこかしら…)
(ずいぶん遠くにいたわね。)
「おはよう、セミちゃん。大図書館の古本はお気に召したかしら?」
「うん。すごくおいしい」
「食べんなッ!!」
€.
その日の夜、セミちゃんは消えて無くなった。どうやら、魔理沙と出会った時点で既に四日が経過していたらしい。
何日か後、あの子の読んでいた本に目をとおしてみたが、なかなかいいものを選んでいた。
また会えたら、ちょっとうれしい。
『山積みの言の葉』
あなたとわたしの出会いは一期一会
みつけてくれてありがとう
€.
「おうい、パチュリー!お邪魔するのぜー!」
「…あら、魔理沙だったの。お久しぶり。」
「今日はいい天気だぜ。たまには大図書館から出たらどうだ?」
「いやよ。夏の真っ昼間に外出なんて、人のすることじゃないでしょ?」
「ごもっともだぜ。ところでパチュリー、頼みたいことがあるんだが…」
「魔理沙の手をにぎっているその子が関係しているのかしら?」
「ご明察だぜ。さ、セミちゃん、挨拶して。」
(セミちゃん…ひどい名前ね。センス0。あだ名かしら)
「こんにちは、ぱちゅりーさん。わたし、セミちゃんっていいます!」
(ガチネームかよ)
「こちらこそ。紅魔館へよく来たわね。それで、ご用件は何かしら?」
「はい。じつはー、」
€.
一日目
「それにしても、今日は暑いぜ。パチュリーは平気なのか?」
「動かないからね。それより魔理沙、あの子はいったい何者なのかしら。そろそろ教えてくれてもいいんじゃない?」
「その名の通り、あの子はセミの妖精だ。寿命も七日間しかない。今朝、博麗神社の裏の山でクワガタ狩りをしていた時に出会ってさ…。『本が読みたい』って頼まれたから連れてきたんだぜ。」
「そうだったの…。」
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二日目
「あら、おはよう魔理沙。今日も来たのね。」
「ああ。パチュリー、セミちゃんはどこなんだぜ?」
「たぶん、8D2F区画よ。食事とか、身の回りのことは小悪魔に頼んでおいてあるわ。」
「そうか。
…あらためて見ると、ここの蔵書の量は常識はずれだな。いったい何冊くらい保管されているんだ?」
「引きこもり系魔法少女100年分は優に超すわね。」
「その中からとびきりの、自分好みの一冊を見つけ出すとなると、気が遠くなりそうだな。」
「まあね。選ぶ時、参考になるのは題名くらいよ。題名がいまいちな物語は、永遠に埃をかぶったまま、誰の手に取られることもないでしょうね。」
「そうなのか?この前、霖之助が『作品に貼られたラベルで評価を下すのは愚かな行為だ』みたいなことを言っていたんだけど」
「でも、そのラベルがぱっとしなかったら、読む気も起きないでしょ?それじゃ本末転倒じゃない。」
「まあ、あいつがしてたのは絵の話だったしなぁ…。
あ、パチュリー。わたし明日は来れないから、セミちゃんのことよろしく頼むぜ。」
「わかったわ。…ねぇ、魔理沙」
「なんだ?」
「あの子の名前ってー、」
「もちろんわたしがつけたぜ!」
(あなたが犬飼ったら名前が『スーパーカー』とかになりそうね)
€.
三日目
「パチュリーさん」
「どうしたの?小悪魔」
「私、これから少しばかり出かけてきますので、セミちゃんのお世話をお願いしていいですか?」
「もちろん、構わないわよ。」
「ありがとうございます。では…」
(さて、セミちゃんはどこかしら…)
(ずいぶん遠くにいたわね。)
「おはよう、セミちゃん。大図書館の古本はお気に召したかしら?」
「うん。すごくおいしい」
「食べんなッ!!」
€.
その日の夜、セミちゃんは消えて無くなった。どうやら、魔理沙と出会った時点で既に四日が経過していたらしい。
何日か後、あの子の読んでいた本に目をとおしてみたが、なかなかいいものを選んでいた。
また会えたら、ちょっとうれしい。