ある日のげんそうきょうで、魔理沙がほのぼの族に出会った。
今回こそ魔理沙はほのぼのできるのだろうか。
ほのぼの族の朝は無い、昼すぎから寝床の神社からけだるそうに族長の少女は起きて出てくる。これがまた、第三者が見ると何だかすごいほのぼのしている。ちなみに朝が無いのは昨日から泊まっている魔理沙をもてなす宴会をしたせいかもしれない。
族長の少女は、独特の腋が出た巫女服を着ている。遅い一日の始まりは、置いておくと何だか知らないうちにお金の入る箱を調べることだ。
でも、いつも見ているので入っているとは限らない。悔しそうな表情もなんだかほのぼのしている。
「魔理沙、魔理沙」
「なんだ?」
族長の少女が、先に起きていて持参したルーペで小さなほのぼのを探していた魔理沙に話かけてきた。ほのぼの族は、主に日本語を話すので魔理沙と通訳無しで話すことが出来る。
「今日は、お賽銭が無かったから外食できないわ」
「なあ、霊夢は別に普段どおりにしてくれていていいんだぜ」
族長の少女は、昨日から泊まっている魔理沙をもてなすために、奮発して外食しようとしていたが今日はちょっと駄目だった。
「いちおう、お客さんだから、もてなそうと思ってたのに、ごめんね」
族長の少女は、ちろりと舌を出して謝った。
「なんだ? 今のは何だ? なあ、霊夢! 今のもう一回やってくれ」
なんだか、今の行動にほのぼのを感じた魔理沙はルーペ越しに族長の少女を見ながら言った。
「な、何?」
魔理沙の行動と言動の意味が分からなくて、族長の少女はまるであるゲームに出てくるような特大の汗を流した。
「それも良いな!」
「うーん、何だか良く分からない。まあ、良いなら良いわ」
魔理沙はなんだか、満足してまたルーペでほのぼのを探す作業を再開した。
族長の少女は、これから特にやることも無いので朝食兼昼食のお茶を作りに神社の近くにある母屋に入っていった。本当は族長の少女は昨日、飲みすぎて少し頭が痛かった。だから、食欲が余り今は無いようだ。
それを、見た魔理沙も後を付いていくことにした。でも、ほのぼの族はなんとなく一人で居るときが一番ほのぼのしているような気がするので、族長の少女にばれないように後をつける事にした。
魔理沙が後ろで見ていることに気付いて居ないのか族長の少女は、急須といわれるこの辺りでは広く使われる道具を使ってお茶をいれていた。緑茶といわれるこの辺りでは広く飲まれているお茶だ。
「……魔理沙も飲む?」
族長の少女は気付いていた。初めから付いて来ていることに気付いていた。普段修行とかはしていないが、族長の少女はすごかった。
「ああ、頼むぜ」
何とか、魔理沙は平静を装い返事する事ができた。内心、気付かれているとは思わずびっくりした。
湯飲みと言われるやはりこの辺りで広く使われる道具に、お茶は注がれて魔理沙に出された。
今日は、天気が良いので二人は縁側で飲むことにした。
「座布団使う?」
「ああ、使うぜ、ありがとう。……いや、やっぱりお前だけ使え」
族長の少女は、少し怪訝そうな顔をしたがそれ以上は何も言わず一人座布団に座ってお茶を飲み始めた。
「おおおお! それだ! なんとなくそれだ!」
魔理沙は、お茶を一気に飲み干して靴下履きなのにも関わらず、庭に出て喜んだ。なんとなく、ほのぼのしている気になったのである。
「……何なの?」
「これだぜ! 私はこれを探してたんだぜ」
族長の少女は、魔理沙が突然喜びだしたので少し困惑しているようだ。
それからなんだか、魔理沙がとても幸せそうな顔をするので、少し族長の少女も幸せな気分になった。
それから、一時間ぐらい二人は話した。赤道って言う道が本当にあるのか無いのか今げんそうきょうでは、物議かもしていることとか、長城の延長線がげんそうきょうにも存在するとかたわいも無い話だった。
それなのに、いちいちほのぼのしたのか 魔理沙はうれしそうだった。
頭の痛かった族長の少女は、お茶を飲んで暫くたったことにより回復した。
そして、おやつの時間になった。いわゆる、ほのぼのが一番活発になる時間である。
「今日のおやつは私が作ってきたんだぜ!」
魔理沙はそういって、昨日、もりにある魔理沙の家で焼いてきたという。高級和菓子の和三盆を差し出した。
それを見た族長の少女は、笑顔で眼を輝かせた。甘いものが大好きだったのである。
「ありがとう」
「早く! お礼はいいから早く食え」
魔理沙は族長の少女の笑顔に抑えきれない、衝動的なほのぼのに思わず興奮してしまった。もう、何だか意味の分からない興奮だったのである。
そんな、魔理沙に少し引きながらも族長の少女は和三盆を食べてみた。
「……なんかすごく美味しい」
「当たり前だろ! ほのぼのの為には私は労を厭わないんだ」
それは、魔理沙にとっても非常に美味しいことだった。喜ぶ霊夢の表情は、何者にもかえられないなんとなくほのぼのだった。
魔理沙はこの日のために半年間和菓子の修行をしてきたのである。
ただ、ほのぼのしたい魔理沙の慾は和菓子職人にも負けない、和菓子を作り出したのである。
楽しい、ほのぼのの時間は、ゆっくり流れているようで実は早く過ぎてしまう。
太陽が西に傾き、お別れの時間が来てしまったのである。
「もう帰る時間だぜ! お別れの時間だぜ! 次の宴会までお別れだぜ!」
大げさに、魔理沙は言った。とても、悲しい感情がこみ上げて来たがそれに堪えた。ほのぼのに涙は似合わない、だから、笑顔で言った。
「そうね、また今度遊びに来てね」
族長の少女は、まるで普通の友人を送り出すように普通に見送ったのであった。
そして、何だか魔理沙は満足して帰って行ったのであった。
「……ところで、次の宴会って今日じゃない」
一人残った族長の少女はつぶやいた。
そして、今夜の宴会の準備をするために、酒の置いてある倉に向かったのだった。
面白かったです
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