霧雨煙る、紅葉に染まった幻想郷。
人を堕落させる液体が蔓延し、今日も夜な夜な和風の宴会が開かれている。
そんな幻想郷の端にある博麗神社に一つの灯り
霊夢は慣れない手つきでお裁縫をしていた。
きっかけは幻想郷が赤い霧に包まれた異変の後のことである
霊夢は巫女服がボロボロになると決まって香霖堂で直してもらっていた。
ある時、霖之助から巫女服を受け取った霊夢は
「今度はもっとフリルを増やして欲しい」と要求してきた。
ふむ、噂の異変でどういった心境の変化が
霊夢に起こったのかは知る由ないが、この際だ。
お裁縫へ興味を誘導してやろう。僕の仕事も減る。
霖之助から言葉巧みに古い裁縫道具を押し付けられた霊夢は
新調した巫女服と様々な生地を抱えて香霖堂前で佇んでいた。
ここは魔理沙に相談するしかないだろう......
魔理沙はいつも着てる洋服のほぼ全てを自分で作っていると
霖之助さんから初めて聞いた時は、正直驚いた。
だから魔理沙に教えてもらえばいいと
あいつもついこの間まで霖之助さんに作って貰ってたはずだったのに......
霊夢「な、何よ!私にだってできるもんっ!」
その日から霊夢は魔理沙のことを観察するようになった
霊夢「ふむふむ裏地はこうなってるのねー」
魔理沙「乙女のスカートをめくるな」
霊夢「紅魔館はフリル天国ね♡」
咲夜「何しに来たの?」
霊夢「見よう見真似だけどコツが掴めて来たわ!お裁縫って楽しいかも〜」
暦上はもう春だというのに咲かない桜、降り続ける雪に閉ざされる幻想郷。
そこで異変解決に乗り出した博麗霊夢
霊夢は箪笥からこの日の為に用意していた巫女服を取り出す
霊夢「かわいい〜」
姿見の前で自画自賛する霊夢
袖やリボンにもフリルを縫って一段華やかになった
これなら魔理沙や咲夜と並んでも負けない気がした
これを着て異変解決に向かうのだ
もしかしたら途中で魔理沙にも会うかもしれない。
そう思うと胸がドキドキしてくる
これを自分で縫ったと言ったらあいつはどう思うだろう。
もしかしたら褒めてくれるかもしれない......
そんな思いを振り切り境内を出たその先に、魔理沙がいた。
魔理沙「今回も異変を調査に行くんだろ。残念だが異変解決をするのは私だ、お前は大人しくコタツでみかんでも食べてればいい」
相手を煽るような言い回し
こうやって私たちは競うように異変を解決する遊びをしている
いつものやり取りだ、でも今回は言葉が出ない。
魔理沙も異変に向けて新たに衣装を準備してきたのだろう。
感心するほど綺麗なフリル
とても女の子らしくて素敵だった。
それに比べて私はどうだろう?と自分の手作りというのが余計に心を抉る。
数分前まではあんなに自画自賛してたのに
一気に自分の格好が恥ずかしくなってきた。
視界がぼやける
やっぱりいつもの巫女服で行こう!
魔理沙「ま、待てよ霊夢!」
慌てたように玄関へ踵を返す霊夢
魔理沙「裾の布地が切れかけてるぞ!」
ビリビリと糸切れ音を立てながらずっこける霊夢
魔理沙「.......霊夢これ初めて縫ったのか?」
巫女服のほつれを直して行く魔理沙
その手つきは感心するほど手馴れていた。
霊夢「うん...あんたのに比べたら余りにも雑に縫われてるけど」
それを聞くと深めに被っていた帽子を脱いでひっくり返す魔理沙
魔理沙「帽子の裏地のここ、意味不明な縫い方してるだろ!まあ、見えないからずっとそのままにしてるんだが......」
霊夢「あらほんと」
魔理沙「私が裁縫を始めた時は霊夢みたいに形として出せる物じゃないんだよ。むぅ、裁縫でも霊夢に負けたー悔しいぜーっ!」
すごいのは魔理沙だ
私に出来ない事をたくさんできるのは昔から分かってたことなのに
なぜ言えなかったんだろう。
霊夢「直してくれてありがとう.......その、魔理沙。私に裁縫を教えて欲しいの」
おわり
〜小ネタ〜
妖々夢後の話
霊夢「どう?自分で縫ったのよ」
アリス「どれどれ」
霊夢「ちょっと」
背後から黒髪を持ち上げ襟のフリルを凝視するアリス
霊夢「いやーんえっち」
アリス「あら、初めてにしては......」
霊夢「まあ、その...ちょっとだけ魔理沙に手伝って貰ったんだけどね。魔理沙の服飾の腕はかなりのものよ」
アリス「へえ、今度人形の服作ってもらおうかしら」
アリス「昔のよしみよ、霊夢に一着服を作ってあげるわ」
霊夢「あら、小さい頃から可愛がってあげた甲斐があったわ♡」
アリス「ただし...」
霊夢「やっぱり」
アリス「まずは身体のサイズを測らせて」
霊夢「正確な情報を知られるのは、ちょっと嫌だなぁ」
アリス「上海は口が固いから安心して」シャンハーイ
アリス「箸って使いにくいのよね」
霊夢「箸を使わないとこのご馳走を堪能できないわよ♡」
アリス「折角のごちそうだものナイフとフォークで美味しくいただきたいわ♡上海もそう言ってる」ハシイャーン
霊夢「腹話術でしょそれ」
アリス「何を言ってるの」
人を堕落させる液体が蔓延し、今日も夜な夜な和風の宴会が開かれている。
そんな幻想郷の端にある博麗神社に一つの灯り
霊夢は慣れない手つきでお裁縫をしていた。
きっかけは幻想郷が赤い霧に包まれた異変の後のことである
霊夢は巫女服がボロボロになると決まって香霖堂で直してもらっていた。
ある時、霖之助から巫女服を受け取った霊夢は
「今度はもっとフリルを増やして欲しい」と要求してきた。
ふむ、噂の異変でどういった心境の変化が
霊夢に起こったのかは知る由ないが、この際だ。
お裁縫へ興味を誘導してやろう。僕の仕事も減る。
霖之助から言葉巧みに古い裁縫道具を押し付けられた霊夢は
新調した巫女服と様々な生地を抱えて香霖堂前で佇んでいた。
ここは魔理沙に相談するしかないだろう......
魔理沙はいつも着てる洋服のほぼ全てを自分で作っていると
霖之助さんから初めて聞いた時は、正直驚いた。
だから魔理沙に教えてもらえばいいと
あいつもついこの間まで霖之助さんに作って貰ってたはずだったのに......
霊夢「な、何よ!私にだってできるもんっ!」
その日から霊夢は魔理沙のことを観察するようになった
霊夢「ふむふむ裏地はこうなってるのねー」
魔理沙「乙女のスカートをめくるな」
霊夢「紅魔館はフリル天国ね♡」
咲夜「何しに来たの?」
霊夢「見よう見真似だけどコツが掴めて来たわ!お裁縫って楽しいかも〜」
暦上はもう春だというのに咲かない桜、降り続ける雪に閉ざされる幻想郷。
そこで異変解決に乗り出した博麗霊夢
霊夢は箪笥からこの日の為に用意していた巫女服を取り出す
霊夢「かわいい〜」
姿見の前で自画自賛する霊夢
袖やリボンにもフリルを縫って一段華やかになった
これなら魔理沙や咲夜と並んでも負けない気がした
これを着て異変解決に向かうのだ
もしかしたら途中で魔理沙にも会うかもしれない。
そう思うと胸がドキドキしてくる
これを自分で縫ったと言ったらあいつはどう思うだろう。
もしかしたら褒めてくれるかもしれない......
そんな思いを振り切り境内を出たその先に、魔理沙がいた。
魔理沙「今回も異変を調査に行くんだろ。残念だが異変解決をするのは私だ、お前は大人しくコタツでみかんでも食べてればいい」
相手を煽るような言い回し
こうやって私たちは競うように異変を解決する遊びをしている
いつものやり取りだ、でも今回は言葉が出ない。
魔理沙も異変に向けて新たに衣装を準備してきたのだろう。
感心するほど綺麗なフリル
とても女の子らしくて素敵だった。
それに比べて私はどうだろう?と自分の手作りというのが余計に心を抉る。
数分前まではあんなに自画自賛してたのに
一気に自分の格好が恥ずかしくなってきた。
視界がぼやける
やっぱりいつもの巫女服で行こう!
魔理沙「ま、待てよ霊夢!」
慌てたように玄関へ踵を返す霊夢
魔理沙「裾の布地が切れかけてるぞ!」
ビリビリと糸切れ音を立てながらずっこける霊夢
魔理沙「.......霊夢これ初めて縫ったのか?」
巫女服のほつれを直して行く魔理沙
その手つきは感心するほど手馴れていた。
霊夢「うん...あんたのに比べたら余りにも雑に縫われてるけど」
それを聞くと深めに被っていた帽子を脱いでひっくり返す魔理沙
魔理沙「帽子の裏地のここ、意味不明な縫い方してるだろ!まあ、見えないからずっとそのままにしてるんだが......」
霊夢「あらほんと」
魔理沙「私が裁縫を始めた時は霊夢みたいに形として出せる物じゃないんだよ。むぅ、裁縫でも霊夢に負けたー悔しいぜーっ!」
すごいのは魔理沙だ
私に出来ない事をたくさんできるのは昔から分かってたことなのに
なぜ言えなかったんだろう。
霊夢「直してくれてありがとう.......その、魔理沙。私に裁縫を教えて欲しいの」
おわり
〜小ネタ〜
妖々夢後の話
霊夢「どう?自分で縫ったのよ」
アリス「どれどれ」
霊夢「ちょっと」
背後から黒髪を持ち上げ襟のフリルを凝視するアリス
霊夢「いやーんえっち」
アリス「あら、初めてにしては......」
霊夢「まあ、その...ちょっとだけ魔理沙に手伝って貰ったんだけどね。魔理沙の服飾の腕はかなりのものよ」
アリス「へえ、今度人形の服作ってもらおうかしら」
アリス「昔のよしみよ、霊夢に一着服を作ってあげるわ」
霊夢「あら、小さい頃から可愛がってあげた甲斐があったわ♡」
アリス「ただし...」
霊夢「やっぱり」
アリス「まずは身体のサイズを測らせて」
霊夢「正確な情報を知られるのは、ちょっと嫌だなぁ」
アリス「上海は口が固いから安心して」シャンハーイ
アリス「箸って使いにくいのよね」
霊夢「箸を使わないとこのご馳走を堪能できないわよ♡」
アリス「折角のごちそうだものナイフとフォークで美味しくいただきたいわ♡上海もそう言ってる」ハシイャーン
霊夢「腹話術でしょそれ」
アリス「何を言ってるの」
いい
序盤、三人称と一人称の間をふらふらしたりしてちょっぴり読みづらさはありましたが、霊夢さんが可愛くて素敵なお話でした。
小ネタが好き
転んでもただでは起きない霊夢がよかったです
魔理沙が本当に良い子でした