Coolier - 新生・東方創想話

孤独の世界 上

2010/08/29 14:43:30
最終更新
サイズ
10.55KB
ページ数
1
閲覧数
1250
評価数
0/21
POINT
690
Rate
6.50

分類タグ


『大きくなったら香霖のお嫁さんになってやるぜ!』

『ははは、そうなったら君が死んだ時とても哀しんじゃうな。』

そんな愉快な話があってから、もう15年が過ぎた








ちょうど15年後、そんな話なんてもう聞かない。

大人になった、または自我に目覚めたと言う事だろう。

もう誰も、僕の店にやってこなくなった。

もうどれくらい孤独だろうか。まぁ、

本がゆっくり読み放題だから文句は何も無い。

ただ、やはり何か寂しいと感じた。

うるさい奴と迷惑な奴が居ないからか。

まぁ、兎じゃあるまいし独りぼっちでも死なないのだが。

紫も、灯油を何かの代償に取引するために来なくなった。

その為、冬はストーブではなく、火鉢で暖を取っている。

来て欲しくない奴が来なくなると、大体不便な物もあるのだと実感はした。

だが、そんなものはもう1年前に慣れた。

とりあえず、今の僕は平和の平和に過ごしている。

最近、事件なども見かけなくなった。

睡眠をとるようになってからは、新聞は窓の隙間に挟まる事が多くなった。

僕が文に指摘したからか。ありがたい事だ

そのおかげで、最近は店の中で自分以外の人の形を見ない。

『生涯孤独で過ごすのも、まぁ悪くは無いか。』

僕はそうつぶやきながら、再び読書を始めた。

最近は、無縁塚に行く事が一番の楽しみになっている。

だが、毎日行ってもそんなに面白い事はないので、週一のペースで行っている。

今日はその無縁塚に行く日では無いので、まだ読み終わっていない本を読んでいる。

本を読み終わってからは、なぜか他の本を読む気には感じられなかったので、

外に出て見ようと思った。

店の扉の札の『開店』を『閉店』に変え、散歩に出かける。

久しぶりに霧雨の親父さんに会ってみようと街に出かける。

街に着くと、そこは結構殺伐としていた。

前の賑やかな街はどこに行ったのだろうか、そんな事は触れずに霧雨店に向かう事にした。

霧雨店についた僕は、親父さんの名前を呼んだ。

だが、出てきたのは親父さんではなく霧雨の母だった。

『あの』

僕が何かを言おうとした直後、扉は閉められた。

その後、沈黙が続いた。

もう一度親父さんの名前を呼んでも誰も出てこなかった。

僕はショックを受けた。僕の知り合いの中では親父さんが一番仲が良い存在だと思っていたからだ

僕は嫌われたのだろうか?前に訪れた時は元気に対応してくれたのだが、

僕はもう帰ろうと足を香霖堂に向けると、目の前には魔理沙が居た

『魔理沙』

久しぶりに見る彼女は、所々変わっていた。

前のような明るいイメージは見受けられない。

彼女は、僕の言う事に何も返事をせず通り過ぎた。

そして、霧雨店の中に入って行った。

その直後大きな音が鳴り、魔理沙は何かペンダントを持って店から出てきた

『おい魔理沙!?』

僕が大声を上げても何も答えず、振り向きもしなかった。

その後、店の中から縄が伸び、その縄が魔理沙の足に絡み、魔理沙は転んで動けなくなった

『実の親の宝物を奪うほどお前は落ちぶれたか』

親父さんが縄を握りしめながら魔理沙に近づく、

魔理沙は顔を上げ、実の親を睨み、ペンダントを握りしめていた

『返せ、それだけは渡せねえ』

『うるせ――――!!!』

魔理沙は泣きだした。

一体、彼女の身に何があったのだろうか。

『酷えよ…………親父酷えよぉ…………………』

大粒の涙を流しながら、ペンダントを握りしめていたが、

一瞬拳の力が緩んだ時、霧雨の親父さんはそのペンダントを引き抜いた

『お前とはもう勘当しているんだ。今度来たら裁判だぞ』

親父さんはそう言って、ペンダントを握りしめながら店の方に向かって行った。

魔理沙は、泣きべそをかきながら子供のように家に帰って行った。

『親父さん、』

僕は親父さんに聞きたい事が多くあったのだが、

親父さんは何も言わずに店の中に入って行った。

僕は呆然となった.

後ろを振り向くと、もう魔理沙はどこにも居なかった。









一度、店に戻ってきたわけだが、

魔理沙の事が気になってしょうがなかった。

さすがに、この状態では読書もままならないと感じたので、

僕は霊夢の所に向かった。






相変わらず、人気の無い神社だ。

久しぶりに来たのだが、第一印象はやはりこれだった。

『霊夢、どこに居る?』

僕は彼女を探す為に神社の周りをまず探した、

さすがに不法侵入すると、彼女も不愉快を感じるだろうからだ。

神社の裏を回ると、墓が数個くらいかあった。

だが、ほとんどが草木や茎や泥などで汚れており、何も供養されていないように思われる。

さすがにこれは酷いだろう。

だが、一つだけ

一つだけ、綺麗で周りの草も刈られていてちゃんと洗われている墓があった。

その墓だけ存在感が圧倒されていた為、僕は無意識にその墓に近づいた。

その墓には、名前が彫られていた

【森近霖之助、ここに眠る】

瞬間、後ろに人影が見えた。

僕は横にずれると、その人影は赤いリボンに腋の見える巫女服を着ていた。

その巫女は、その綺麗な墓のみに水をかけ、ブラシでこすっていた。

だが、目は虚ろだった。

洗い終わると、墓の上には酒とするめが置かれていた。

その後は、ずっと墓を眺めていた。

ただずっと、ずっと墓を眺めているだけで5分が経過した。

さすがに僕も退屈になり、自分の店に帰ることにした

『霖之助さん』

後ろで霊夢の声が聞こえた。

振り向いてみたが、霊夢はこちらを向いてなかった

それどころか、墓の前で屈んで、背中を震わせていた

『ごめんなさい……ごめんなさい…………』

ぶつぶつと、同じ言葉を繰り返して泣いていた。







僕は、自分の店に戻った。

状況を確認すれば、僕はもう死んでいるようだ。

僕は誰からも認識されない様になっているようだ。

『なんだ。つまらないな』

僕はそう言って、本を読み返そうと机の上に置いてある本を読んだ。










夜、11時59分

本がまだ読み終わっていないその時、異変が起こった。

本が砂となり、消えたのだ。

壁も窓もほとんど崩れ、バラバラと瓦礫が崩れていった。



商品が、砂となり、地面になっていく

触れても、全て透き通るだけだった。

そして、時間が経った時

そこは、店を建てる前の廃墟になっていた。

正しく言えば、店が無くなり、廃墟になってしまった。

『なんだこれは…………。』

僕はこの異変を霊夢に伝えようと、博霊の神社に向かった。

誰も僕の存在に気付かないだろうが、そこは行ってから考えよう。

神社に着いた時、僕はまた異変を感じた。

墓場が綺麗になくなっていたのだ。多く並んでいたあの多くの墓が

『霊夢!!』

僕は大きな声で彼女の名前を呼んだ、

聞こえないだろうと思っていたが、僕は彼女の名前を叫んだ。

だが、意外な事に霊夢は僕の声に気がついたのだ。

襖が開けられ、そこから赤い巫女の姿が確認できた。

『霊夢……。』

霊夢がこちらの存在に気付いた時、彼女はバツが悪そうな顔をした。

『おのれ!!』

霊夢がそう叫んだとき、霊夢の弾幕が僕に襲いかかった。

『うわっ!!』

かろうじて避けられたが、逃さぬように弾幕が襲いかかって来る

『どうした霊夢!?』

『魔理沙。妖怪よ!!妖怪が居るわ!!』

霊夢が僕の方に指を指して敵意をむき出しにしていた

その瞬間、魔理沙も弾幕を多く出してきた。

さすがに状況を把握し、僕はその場から逃げだした

『待ちなさい!!!』

霊夢と魔理沙が低空飛行で僕を追って来て弾幕を放っている。

『魔理沙!!霊夢!!止めろ!!』

『なんでてめぇが私の名前を知ってるんだ!!』

魔理沙は叫びながら弾幕をさらに多く出しながら怒りを露わにしていた。

『くそっ!!』

僕はやむを得ないと感じ、草薙の剣を取り出した

刀が持ち主を選んだとき、抜ける事ができるその刀。

その刀は、今回はなぜか抜けて、勢いの余り、振りまわしてしまった。

その瞬間、魔理沙の箒は真っ二つになり、霊夢の武器も綺麗に割れた

『うわっ!!』

二人が地面に落ちると、好都合だと感じ、僕はそのまま走り去った。

『霊夢………あいつって………。』

『ええ。相当のやり手ね。』














街に辿り着く、そして霧雨店へ僕は向かった。

『親父さん!!親父さん開けてください!!』

扉を叩きながら僕は叫ぶと、

『うるせぇぇぇぇ!!今日はもう店たたんでんぞ!!!』

と親父さんが怒りながら店を開けた。

『あ?なんだお前、その刀は』

僕は慌てて刀をしまい、さっきの魔理沙と霊夢の事を語ろうとした

『お前、こんな時間に買い物なんかするんじゃねぇぞ。お前が身内や知り合いだったら殴ってんぞ』

この言葉で、僕は語る事を止めた

『で、なんのようですか?』

親父さんも、僕の事を覚えていないのだ。

その事を知って、僕は絶望をした。

『いえ、なんでもございません。』

親父さんは舌打ちをしながら、店を再びたたんだ。

僕は、そのままその場で固まっていた。

『居たぞ!!妖怪だ!!!』

後ろで、また魔理沙の声がした。

その他、また誰か増えていた。

吸血鬼に仕えてるメイドやら

うさぎやら

新聞を送って来る烏天狗やら

幽霊使いやら

『妖怪!!覚悟―――――!!!』

多くの弾幕が僕に向かってきていた。

僕は、弾幕を全て草薙の剣で弾き飛ばした。

『くっ…………!!』

皆は悔しそうに睨みつけていた。

だが、弾幕の一つが霧雨店にぶつかり、爆発が起こった

『ちっ外した!!』

家を壊した事に全く関心を持たず、ただ僕が全て弾いたのを悔しがっている。

『だったら、全員で全力の弾幕を出してやる!!!』

皆が僕を目的にして構えた。

『てめぇら!!おいコラァ!!!喧嘩売ってんだろうがぁぁぁぁぁぁぁ!!!』

『キャァァァァァァァァァァァァァァ!!!』

親父さんの怒鳴りで、多くの少女が叫んでいた。

『おっ親父ぃぃぃ!!』

魔理沙がとんだ事をしたように慌てていた。

『無関係の一般人は離れていてください!!』

『俺の家に攻撃して奴が何をほざいとんじゃこのボケェェ!!!!!』

幽霊使いが忠告したものを、親父さんは一発で打ち消し、

幽霊使いは小さな悲鳴を出して屈みだした。

『てめぇら……殺しあいするっつうならかかってこいや。マジで殺してやる………』

親父さんは迫力のある声で脅しとも言えるような言葉で言った。

ほとんどの人が迫力に圧倒されてガタガタ震えていた。

壊れた扉の前に、何かが光っていた。

僕はそれを疑問に思い、その光る物を拾いに行った。

その光る物は、昨日見た、魔理沙が泥棒していたネックレスだった。

『親父!!その男が妖怪なんだよ!!だから倒すべきの奴はこいつなんだよ!!!!』

『こいつが妖怪だってことくらいは分かってるわ!!!』

親父さんが自分の娘に喝を入れた。

『俺は家を元通りに直せって言いてぇんだよ!!!』

僕はこの隙に逃げた。全力で逃げだした。

『あっ!!待て!!』

『待つのはてめぇじゃ!!』

親父さんは全員を一つの手で握り、逃がさない様にしていた。

『離せ!!親父!!』

後ろの少女たちの声がだんだん遠くなっていくのが分かっていった。

完全に聞こえなくなるまで、僕はできるまで遠くまで走って行った。




















いつのまにか、僕は森の真ん中に佇んでいた。

この状況を確認すると、僕は今少女たちにとったら敵のようだ。

店が崩れた時、その時何か世界が変わったのだ。

『昨日といい、一体、どういう事になってるんだ?』

親父さんの家から持ってきたこのネックレスを、一体どうしようか。

昨日の限りでは、このネックレスは僕に何か関係があるらしいのだが、

このネックレスを首にかけた瞬間、どこからか声がした

『あら、こんな所で何をやってるんですか?妖怪さん』

紫の声だった。

『紫さん、これは一体どういう事か、僕に説明してもらえないか?』

『嫌ですわ。私達初対面なのにどうして私の名前を?』

紫も僕の事を忘れているようだ。

いや、最初から会った事が無いかのようだ。

『どういう事も何も、あなたは妖怪でしょう?とっても悪い妖怪』

『僕が何をしたと言うんだ』

『何もしていない、でもとっても悪い妖怪。』

僕は、紫の言っている意味が全く分からない。

でも、紫は何もしてくる気配が無い。ただ不気味に笑うだけだった。

『あの妖怪はこの中に居るはずだ!!探せ!!』

後ろで魔理沙の声がした。ついにここまで来てしまったのか。

『それじゃぁ私はただ見物をしましょうかしらね。』

紫はそう言い残して消えた。
後編を見ないと分かりませんね。すみません。
評価は後編の方で、近日上げます。
ND
簡易評価

点数のボタンをクリックしコメントなしで評価します。

コメント



0.690簡易評価
7.無評価名前が無い程度の能力削除
とりあえず後編を待つ。
14.無評価名前が無い程度の能力削除
気になった所が多少なりとありますが、とりあえず続編を待ちます
17.無評価名前が無い程度の能力削除
これからどうなるか気になるので、とりあえず後編がを待ちます
24.無評価名前が無い程度の能力削除
続きがー。
待ってます。
26.無評価ナナシン削除
やっぱり、後編なんてなかったんだね