Coolier - 新生・東方創想話

意地悪な師匠

2014/06/19 11:48:50
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魔理沙には師匠がいた。

その師匠とは日記の中で文字を通してだけ会話が出来た。

魔理沙が聞きたいことを日記に書きこむと、ミミズがのたくったような字が現れるのだ。

「相変わらず、字だけは下手なんだな師匠は」

魔理沙は一人ごちた。

しかし、師匠は未来のことを何でも当てることが出来たし、魔法のこと以外でも魔理沙に適切な助言を与えてくれた。

「あやうく、やばい事になりそうだったな。師匠に相談しておいてよかった。」

魔理沙は魔法薬の実験をしようと思っていたが師匠にやめるよう言われていた。

後日、同じ実験をしたパチュリーが手に大けがを負ったらしい。生粋の魔法使いである彼女がこれである。人間である魔理沙がやっていたらどうなっていたことやら。


月日がたち、魔理沙はメキメキと魔法の腕を上達させていった。

そのころから魔理沙は師匠の助言に盲信的ではなくなっていた。

「こんなこと、魔法とは関係ないね」

魔理沙は日記を閉じると言った。

日記には健康や私生活についての助言が勝手に多く書かれるようになっていた。

『お酒を飲むことは控えなさい』

宴会帰りの魔理沙が日記を開くと勝手にこのような文字が現れていた。

「酒も飲めずに、幻想卿の女が出来ますかって話さ師匠」

そう酔いのまわった口調で一人呟くと日記を閉じて寝てしまった。


思春期にはいった魔理沙にとってあれこれとお節介を焼く師匠の存在は邪魔な存在になっていた。

魔理沙は恋をした。相手はアリスである。

彼女とは春雪異変を通じて知り合い、それからは共に異変を解決したり、魔法の研究をしたりもした。

魔理沙は変わった。彼女に良く見てもらいたいがために、盗みはやめたし、今まで盗んだものも返した。紅魔館の人々は魔理沙の心変わりを喜んだ。

でも、魔理沙はもっと彼女と近づきたかった。

魔理沙はどうすればもっとアリスに近づけるか久々に日記に書いて師匠の助言を待った。師匠なら恋の助言も的確なものをくれるだろうと魔理沙は期待した。しかし、そこに書かれた言葉を魔理沙は信じることが出来なかった。

『この恋は叶いません。あなたにとってもアリスにとっても悲しい結末しか待っていません。身を引きなさい。』

魔理沙は激怒した。師匠は自分が最近言うことを聞かないから意地悪をしているに違いないそう思うとバンッと日記を閉じて本棚の奥にしまいこんでしまった。


「ごめんなさい、私はあなたの気持には答えられない」

アリスの一言によって魔理沙は目の前が真っ暗になった。

なんと、魔理沙の告白の前日に霊夢とアリスは付き合っていたのだ。

「これじゃ、まるでピエロじゃないか。」

そう言い残し、魔理沙は意気消沈して家に帰った。

魔理沙は本棚の奥から師匠である日記を取り出してみる。

そこには傷心した魔理沙にさらに追い打ちをかけることが記してあった。

『明日、霊夢とアリスが事故に遭って亡くなります。二人を助けられるのは魔理沙あなただけです。後悔したくないのなら私の言うことを聞きなさい。』

「さすがに現実感がないよ師匠…冗談にしてもたちが悪い」

魔理沙はその晩、涙を流し続けた。初めての恋は失恋に終わり、愛する人は前日に親友とくっついていた。さらに師匠の悪ふざけじみている預言である。

魔理沙の頭の中は悲しみと混乱で満たされていて師匠の予言など頭から欠落していた。


次の日、師匠の予言は現実になってしまった。霊夢とアリスは落石に巻き込まれて死んでしまったのである。最強の博麗の巫女のあっけない最期であった。

魔理沙は親友と初恋の人両方を失ってしまった。

葬儀の後、魔理沙は師匠の日記を開きどうにか二人を助けたいと書いた。

涙で滲んだページに文字が浮かんできた。

『二人を過去に行って助けるのです。そのためには時空転移魔法を習得するしかありません』

時空転移魔法とは魔法の中でも最高位のものであった。不老不死の魔法使いでも習得は難しいとされている。

魔理沙は二人を過去に行って救うために生涯を懸けて時空転移魔法習得を誓った。


長い月日がたった。

博麗の巫女や紅魔館のメイドが代替わりする中、魔理沙は時空転移魔法の習得に残り少ない命を燃やしていた。

「後少し、後少しだ。持ってくれ私の体。」

魔理沙の体は今までの不摂生、特に酒のせいで病魔に侵されていた。このままでは持って二、三日である。これでは魔法が完成しても二人を助けに行くことが出来ない。

「こんなことなら師匠の言うことを聞いておけば良かった。」

その瞬間魔理沙は全てを理解した。

この日記の師匠は自分だったということに、こうなることを予期しての助言だったのかと。

「今度は馬鹿な私にも分かるように日記を創らなければ。」

今の時空転移魔法は無機物しか過去に送れない。魔理沙は今までの全経験と魔法の知識を震える手で新しい日記に込めた。

「さあ、今度は上手くやってくれよ。」

魔理沙は日記を転送し終わるとゆっくりと息を引き取った。


霧雨魔理沙には師匠がいた。

その師匠とは日記の中で文字を通してだけ会話が出来た。

魔理沙が聞きたいことを日記に書きこむと、ミミズがのたくったような字が現れるのだ。

師匠は未来のことを何でも当てることが出来たし、魔法のこと以外でも魔理沙に適切な助言を与えてくれた。

そして、師匠は必ず発言の最期に魔理沙に言うのだった。

『偉大な魔法使いになりたければ酒は飲むな』と書かれていた。

魔理沙はその助言に従い宴会でも一滴の酒も飲まなかった。

「あら、魔理沙お酒はいらないの?」

「偉大な魔法使いは酒を飲まない。師匠が言っていた」

霊夢の酒への誘惑をきっぱりと断った魔理沙を見た。紫は今回こそ運命が変えられるかもしれないときたいした。

しかし同時に、忠告するべきはそこではないだろうと今は亡き魔理沙に問わずにはいられなかった。
頭の中のイメージを文章に書き起こすのは難しいですね

KAGAMIMOTI
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コメント



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2.10名前が無い程度の能力削除
全く推敲したように見えない。文句より先にちゃんと読み返せ。
12.90名前が無い程度の能力削除
未来の自分が師であってもかくも鬱陶しいと感じるあたり
経験というものの重さを感じる
いやはや結構面白かった
しかしアルコールを飲まない魔理沙ってどんなんだろうか気になる