・霊夢×アリス な百合
・処女作
・展開が早い
以上のことが許せるという心が広い方のみどうぞ。
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
寒い季節のころだった。
「おはよ」
朝の境内で広がる声。
その声はきちんと彼女に届いていた。
当然のことだが、そう考えるだけでちょっと嬉しい。
「あんたか。素敵な賽銭箱はあちらよ」
ぶっきらぼうな返事。想定内。
「いきなりあんたとは失礼ね」
「あんたはあんたでしょ。それより、何の用?」
ぅぐ、いきなり一番聞かれたくない質問をされてしまった。
だって。
だって、言えないじゃないか。
あなたに会いたくて、なんて。
言い訳を考える。
そういえば何処ぞの天狗が持ってきた新聞に
里の店で安売りしてるって書いてあったような。
我ながらなかなかの記憶力。
よし、
「一緒に買い物に行かない?」
「買い物?なんでまた」
「里で安売りしてるらしいの。霊夢もどうかなぁって」
ちょっと不自然だったかしら?
まぁとっさの言い訳だ。仕方ない。
「安売り…か。悪い響きじゃないわね」
うんうん、と霊夢は頷く。
どうやら自然な会話と認められたようだ。
とりあえずほっとする。
「じゃ、行きましょう?」
「もちろんアリスが買ってくれるのよね?」
「え?」
どうしてそうなった。
「え?じゃないわよ。誘っておいて自分で払えってそれはないわ」
いや、そっちの言い分の方がねーよ!
とか言ってしまえば霊夢は行く気を無くすだろう。
霊夢に会いに来たのに買い物さえも行けないって何よ。
「しょうがないわねぇ…。お賽銭入れるから、それでいいでしょ?」
「使うお金を制限させようって気ね。ちょっとケチな考えだけど、まぁ許してあげる」
なんという上から目線。日頃全然入ってないお賽銭を入れてあげようというのに。
入れてもらえなくなるという考えはないのだろうか。
でも。
入れてあげるしかないじゃない。
そんな可愛らしい顔でこっちを見られたら。
…霊夢は、ずるい。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「霊夢、進んでも進んでも里が見えないわ」
「遠いもの」
「人間の里から遠い神社ってどうなのよ」
「知ってのとおりよ」
気力のない会話を繰り返す。
でも、それが楽しい。
霊夢がそばにいる。そう考えるだけで、楽しい。
進むたびに頬を伝って行く風が心地よい。
彼女も、そう思っているのだろうか。
彼女の横顔からは何も分からない。
私たちは里に向かって空を飛ぶ。
「…あ、ほらアリス、見えてきたわよ」
「ん」
人の声もまだ聞こえてこない。
人の形さえも分からない距離。
里の全体像しか見えないが、賑やかなのがとても伝わってくる。
魔法の森と同じぐらいの大きさなのに、雰囲気が全然違う。
と、思っていると突然、
「ねぇアリス。ここからは歩かない?」
と霊夢が言ってきた。
検討のつかない提案に少々驚きつつ、理由を聞いてみる。
「いや、ちょっと。飛んでると風が当たって寒いし」
なるほど、と思った。
心地よさを感じていた私だが、確かにこの季節の風は冷たい。
しかも、霊夢は意味もなく肩出しなんかしてるから尚更だろう。
霊夢の提案に同意し、私たちは地上へと下降していった。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
降りたところは何の変哲もない道だった。
ただ並んでいるだけの木には、葉さえも付いていなかった。
まだ昼にしては早い。よって、結局は寒い。
うーん。マフラーぐらいは持ってきた方が良かったか。
「アリス」
急に名前を呼ばれるとちょっとドキッとする。
「なに?」
上手く切り返せた。
「え、えっと、その…」
はっきりしない感じ。霊夢にしては珍しい。
「あーと、えと、」
「どしたの?」
顔が真っ赤だ。
どうしよう、という感じの表情がかわいらしい。
「その、あの、よければでいいんだけど、」
「ん?」
「えと、手、繋がない?」
「ほぇ?」
あんまりびっくりしたんで変な声を出してしまった。
それにしても手を繋ぐって、え、ええ、え?
「え、て、手を繋ぐの?な、何で?」
やばい、たぶん今の私の顔は霊夢に負けないぐらい顔が赤い。
「いやその、寒いから、さ。手、繋いだら、温かいかな、って」
すっごい噛み噛みだ。かわいすぎる。
もちろん嫌な気などしない。
「えと、うん、いいわよ?」
「あ、ありがと」
そっと手を近付けてくる。
あと5センチ。
4センチ。
あと・・・ちょっと。
1センチ・・・!
ぎゅっ
繋がった。
その手はとっても冷たかった。
氷のような冷たさ。感覚を失ってしまうぐらい。
でも、握っているところから熱くなっていく。
今、私と霊夢の距離は、ゼロ。
「アリスの手、温かい」
さっきよりも少し強く、ぎゅっと握ってきた。
「それはどうも」
霊夢に向かって微笑んだ…つもり。うまくできただろうか。
すると霊夢も微笑み返してくれた。
こういう瞬間を幸せっていうんだろうな。
でもなんか
いつもの霊夢とは違うような…?
幼さ10%うpみたいな。
そんなことを考えていると、あっという間に里に着いた。
前に魔理沙と来たことがあるが、やっぱり賑やかだ。
さて何を買おう、と思ったら
「あ!お米!アリス、お米!米米米!!」
うぉ、霊夢のテンションが急にハイに!
もしかして、またろくなもの食べて無かったんじゃないでしょうね。
「ほらアリス、行くわよ!」
手がグッと引っ張られる。
少しよろけそうになったが持ち直して霊夢とダッシュ。
「お米が欲しいのは分かった。分かったからお米お米と叫びながら走るのはやめましょう!
周りの人見てるから!恥ずかしいから!」
「えぇ!?何!?聞こえないっ! お米ぇ!」
ああ、もう駄目だ。
私はおとなしく引っ張られることにした。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「疲れたわ、霊夢」
「ほんと悪かったって。許してー」
霊夢は大きめのお米袋を抱えている。
ちょっとむすっとした感じで言ってみたら、予想通りな感じで謝ってきた。
正確には「悪かったって(汗」みたいな感じで。
予想通りすぎてつまんない。
「やだ」
「アーリースーごめんってばー」
私の周りを手を合わせながらちょこまかしてくる。
…本当に謝っているのだろうか。
そのまま歩いていると、団子屋発見。
朝ごはんを食べずに来たから、お昼ではないとはいえお腹がすいた。
私は団子屋を指差す。
「おごってくれたら、許してあげる」
「ぅえ、せっかくのお賽銭が・・・」
私が出したんだから、私が払っているようなものなのだが。
「ま、元はアリスのだし、いいか。うん、おごる。」
分かってるんかい。
と、口には出さず目で訴えつつ、中に入った。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
今日初めての食事。普通に食べるより、美味しい。
さらにテーブルの正面には霊夢がいる。こうなればより美味しい。
沈黙の中で食べるのもあれなので、今日の疑問を霊夢にぶつけてみた。
「ねぇ、霊夢ー」
「んー?」
「今日の霊夢さ、なんか変じゃない?」
「げほっ」
あ、むせた。そんな変な質問をしたつもりは無かったんだけど。
「ちょ、大丈夫?私変なこと言った?」
むせつつも手を横に振る。
霊夢は落ち着いたところで、
「…別に、いつも通りよ」
「じゃあなんでむせたのよ」
「偶然」
「嘘」
「本当」
「嘘」
「嘘です」
「やっぱり」
テンポ良く話が進んでいく。
「何でむせたの?」
ちょっと期待した感じの目で言ってみる。
「いやそれは…」
「それは?」
……………。
「なんでもない」
「おい」
ああもう、こうなったらどうしても言わないな。
気になるけど、
「……じゃあもういいわ、聞かないことにしてあげる」
と言っといた。
「そりゃあどうも」
にっこり笑ってこちらを見てくる。
……やめてほしい。顔が真っ赤になってしまう。
そんな笑顔をこっちに向けられてしまったら。
………………………………………………………………………………………………………
思わずむせてしまった。
ストレートな質問をされたものだ。
「なんか変じゃない?」だなんて。
誰にでも平等に接する、クールな巫女を演じている私だが、
それでもやっぱり人間。
愛おしい。
そう思っている人と一緒にいれば、
いつもとは変わってきてしまうに違いない。
さらに、神社で話している時はまだ大丈夫であるが、
今日は2人で買物だ。テンションも少しは変わってくる。
し か も
私は今日よほど気が狂ったのか、
アリスと、て、て、手を繋ごうなんて言ってしまった。
手が冷たいとか言って。
手が冷たいなら息でも吐いて手に当てとけばいいものを
手を繋ごうとか言っちゃって……
しかも本当に繋いでしまったのだから赤面ものだ。
でも、アリスはとても優しい笑顔を見せてくれた。
とても幸せだった。
このまま時が止まってしまえばいいと思った。
………………………………………………………………………………………………………
帰り道。
「やっぱり今日の霊夢は変よ!」
「まだ言うか!」
そう、まだいう。
団子屋で残りの団子を食べたり、霊夢に支払って貰ってる間考えていたのだが、
霊夢は今日、妙に笑う回数が多い。
あのクールな霊夢ともあろうことが、こんなにも笑うなんて。
楽しい呑み会でさえ、今日ほど笑う時は無かった。
「いつもよりよく笑う」
「そうかしら?きっと気のせいね」
「違うわ。吞み会での平均の笑う回数は2回。
今日は微笑みも含めて6回も笑ってるわ!」
「何故数えたしっ!何故数えたしっ!」
大事なことなので2回言ったらしい。
「あれ、もしかして本気にした?」
「え」
「テキトーに言ったこと本気にしちゃった?」
今、私はとても2828しています。
「ぇ、ぅ」
「ねぇねぇー冗談本気にしちゃった?」
2828。
「あ、あ、あ、アリスの馬鹿ー!!」
「へぶっ」
ちょ、目に御札が!
突然のことに超動揺しつつ、
ようやく御札を取ってみたらそこに霊夢の姿は無かった。
「あり?」
思わず自分の名前の2文字を言ったところで、足元に無数の針が飛んできた。
「うひゃお!?」
飛んできた方向を見るとそこには紅白の物体が。
逃 げ た な
急いで追いかける。
もしかしたらマジで怒ってるかもしれん。
ていうか針投げながら逃げるのやめてくださいませんか!
………………………………………………………………………………………………………
うわぁぁぁぁぁぁぁぁんアリスの馬鹿ぁああぁぁあああああ!!!!
あんな2828しながら私の事からかってぇぇぇぇえええ!!!
……………。
……………………。
…………………………………。
ハズい…///
だって、だってさ。
回数数えてるってことはさ、それだけ私が…その…
見られてるってことだと思ったら…
その…………超ハズい……///
うわぁああああああ!!!!
私は全速力で神社に帰った。
………………………………………………………………………………………………………
私が神社に着いた時、そこに霊夢の姿は無かった。
「中に入っちゃったのかしら…」
戸は全部閉まっていて、中の様子は見えない。
「れーいーむーさーん あーそびーましょ」
………。
「れーいーむーさーん」
…………。
「れーいーむーさーん!」
…………………。
「冗談を本気にして逃げだしたれーいーむーs「そこまでよ!」
ダァン!と音を立てながら障子を開けて霊夢が出てきた。
「何ハズい事言ってんのよ!!」
「だって出てこないんだもん」
「出てこないんだもんじゃないわよ!アリスのばか!」
そんな顔を真っ赤にして言われてもムラムラしてくるだけなんですが。
……………。
「あ、そ。じゃね」
そういってまわれ右。スタスタと自宅方向へ向かう。
「え」
裏から声が聞こえてきた。
見なくても動揺してるのが分かる。
思わず吹き出しそうなのを必死にこらえ、歩く。
「ま、待って!」
立ち止まろうかと思ったが、展開の面白さを考えてスルーしてみる。
さて、何が起こるかな?
足取りが軽くなってきたところで急に手を掴まれた。
「ふぇ?」
霊夢と触れているところからどんどん熱くなっていく。
自分の顔が真っ赤になっていることに気づいた。
手を掴まれた程度で真っ赤になるとは我ながらまだまだだ。
だが、都合のいいことに霊夢は顔を伏せたまま動かない。
「あの、霊夢さん?」
「明日も」
「え?」
明日も、何?
「明日も来なかったら、殺すから」
「へ?」
霊夢の手が、若干熱くなったような気がした。
こちらも、意味を理解したところでさらに顔が熱くなる。
……………………………。
ようやく落ち着いてきた。
「………望むところよ」
そういって、優しく霊夢の頭を、撫でてみた。
end
・処女作
・展開が早い
以上のことが許せるという心が広い方のみどうぞ。
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
寒い季節のころだった。
「おはよ」
朝の境内で広がる声。
その声はきちんと彼女に届いていた。
当然のことだが、そう考えるだけでちょっと嬉しい。
「あんたか。素敵な賽銭箱はあちらよ」
ぶっきらぼうな返事。想定内。
「いきなりあんたとは失礼ね」
「あんたはあんたでしょ。それより、何の用?」
ぅぐ、いきなり一番聞かれたくない質問をされてしまった。
だって。
だって、言えないじゃないか。
あなたに会いたくて、なんて。
言い訳を考える。
そういえば何処ぞの天狗が持ってきた新聞に
里の店で安売りしてるって書いてあったような。
我ながらなかなかの記憶力。
よし、
「一緒に買い物に行かない?」
「買い物?なんでまた」
「里で安売りしてるらしいの。霊夢もどうかなぁって」
ちょっと不自然だったかしら?
まぁとっさの言い訳だ。仕方ない。
「安売り…か。悪い響きじゃないわね」
うんうん、と霊夢は頷く。
どうやら自然な会話と認められたようだ。
とりあえずほっとする。
「じゃ、行きましょう?」
「もちろんアリスが買ってくれるのよね?」
「え?」
どうしてそうなった。
「え?じゃないわよ。誘っておいて自分で払えってそれはないわ」
いや、そっちの言い分の方がねーよ!
とか言ってしまえば霊夢は行く気を無くすだろう。
霊夢に会いに来たのに買い物さえも行けないって何よ。
「しょうがないわねぇ…。お賽銭入れるから、それでいいでしょ?」
「使うお金を制限させようって気ね。ちょっとケチな考えだけど、まぁ許してあげる」
なんという上から目線。日頃全然入ってないお賽銭を入れてあげようというのに。
入れてもらえなくなるという考えはないのだろうか。
でも。
入れてあげるしかないじゃない。
そんな可愛らしい顔でこっちを見られたら。
…霊夢は、ずるい。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「霊夢、進んでも進んでも里が見えないわ」
「遠いもの」
「人間の里から遠い神社ってどうなのよ」
「知ってのとおりよ」
気力のない会話を繰り返す。
でも、それが楽しい。
霊夢がそばにいる。そう考えるだけで、楽しい。
進むたびに頬を伝って行く風が心地よい。
彼女も、そう思っているのだろうか。
彼女の横顔からは何も分からない。
私たちは里に向かって空を飛ぶ。
「…あ、ほらアリス、見えてきたわよ」
「ん」
人の声もまだ聞こえてこない。
人の形さえも分からない距離。
里の全体像しか見えないが、賑やかなのがとても伝わってくる。
魔法の森と同じぐらいの大きさなのに、雰囲気が全然違う。
と、思っていると突然、
「ねぇアリス。ここからは歩かない?」
と霊夢が言ってきた。
検討のつかない提案に少々驚きつつ、理由を聞いてみる。
「いや、ちょっと。飛んでると風が当たって寒いし」
なるほど、と思った。
心地よさを感じていた私だが、確かにこの季節の風は冷たい。
しかも、霊夢は意味もなく肩出しなんかしてるから尚更だろう。
霊夢の提案に同意し、私たちは地上へと下降していった。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
降りたところは何の変哲もない道だった。
ただ並んでいるだけの木には、葉さえも付いていなかった。
まだ昼にしては早い。よって、結局は寒い。
うーん。マフラーぐらいは持ってきた方が良かったか。
「アリス」
急に名前を呼ばれるとちょっとドキッとする。
「なに?」
上手く切り返せた。
「え、えっと、その…」
はっきりしない感じ。霊夢にしては珍しい。
「あーと、えと、」
「どしたの?」
顔が真っ赤だ。
どうしよう、という感じの表情がかわいらしい。
「その、あの、よければでいいんだけど、」
「ん?」
「えと、手、繋がない?」
「ほぇ?」
あんまりびっくりしたんで変な声を出してしまった。
それにしても手を繋ぐって、え、ええ、え?
「え、て、手を繋ぐの?な、何で?」
やばい、たぶん今の私の顔は霊夢に負けないぐらい顔が赤い。
「いやその、寒いから、さ。手、繋いだら、温かいかな、って」
すっごい噛み噛みだ。かわいすぎる。
もちろん嫌な気などしない。
「えと、うん、いいわよ?」
「あ、ありがと」
そっと手を近付けてくる。
あと5センチ。
4センチ。
あと・・・ちょっと。
1センチ・・・!
ぎゅっ
繋がった。
その手はとっても冷たかった。
氷のような冷たさ。感覚を失ってしまうぐらい。
でも、握っているところから熱くなっていく。
今、私と霊夢の距離は、ゼロ。
「アリスの手、温かい」
さっきよりも少し強く、ぎゅっと握ってきた。
「それはどうも」
霊夢に向かって微笑んだ…つもり。うまくできただろうか。
すると霊夢も微笑み返してくれた。
こういう瞬間を幸せっていうんだろうな。
でもなんか
いつもの霊夢とは違うような…?
幼さ10%うpみたいな。
そんなことを考えていると、あっという間に里に着いた。
前に魔理沙と来たことがあるが、やっぱり賑やかだ。
さて何を買おう、と思ったら
「あ!お米!アリス、お米!米米米!!」
うぉ、霊夢のテンションが急にハイに!
もしかして、またろくなもの食べて無かったんじゃないでしょうね。
「ほらアリス、行くわよ!」
手がグッと引っ張られる。
少しよろけそうになったが持ち直して霊夢とダッシュ。
「お米が欲しいのは分かった。分かったからお米お米と叫びながら走るのはやめましょう!
周りの人見てるから!恥ずかしいから!」
「えぇ!?何!?聞こえないっ! お米ぇ!」
ああ、もう駄目だ。
私はおとなしく引っ張られることにした。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「疲れたわ、霊夢」
「ほんと悪かったって。許してー」
霊夢は大きめのお米袋を抱えている。
ちょっとむすっとした感じで言ってみたら、予想通りな感じで謝ってきた。
正確には「悪かったって(汗」みたいな感じで。
予想通りすぎてつまんない。
「やだ」
「アーリースーごめんってばー」
私の周りを手を合わせながらちょこまかしてくる。
…本当に謝っているのだろうか。
そのまま歩いていると、団子屋発見。
朝ごはんを食べずに来たから、お昼ではないとはいえお腹がすいた。
私は団子屋を指差す。
「おごってくれたら、許してあげる」
「ぅえ、せっかくのお賽銭が・・・」
私が出したんだから、私が払っているようなものなのだが。
「ま、元はアリスのだし、いいか。うん、おごる。」
分かってるんかい。
と、口には出さず目で訴えつつ、中に入った。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
今日初めての食事。普通に食べるより、美味しい。
さらにテーブルの正面には霊夢がいる。こうなればより美味しい。
沈黙の中で食べるのもあれなので、今日の疑問を霊夢にぶつけてみた。
「ねぇ、霊夢ー」
「んー?」
「今日の霊夢さ、なんか変じゃない?」
「げほっ」
あ、むせた。そんな変な質問をしたつもりは無かったんだけど。
「ちょ、大丈夫?私変なこと言った?」
むせつつも手を横に振る。
霊夢は落ち着いたところで、
「…別に、いつも通りよ」
「じゃあなんでむせたのよ」
「偶然」
「嘘」
「本当」
「嘘」
「嘘です」
「やっぱり」
テンポ良く話が進んでいく。
「何でむせたの?」
ちょっと期待した感じの目で言ってみる。
「いやそれは…」
「それは?」
……………。
「なんでもない」
「おい」
ああもう、こうなったらどうしても言わないな。
気になるけど、
「……じゃあもういいわ、聞かないことにしてあげる」
と言っといた。
「そりゃあどうも」
にっこり笑ってこちらを見てくる。
……やめてほしい。顔が真っ赤になってしまう。
そんな笑顔をこっちに向けられてしまったら。
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思わずむせてしまった。
ストレートな質問をされたものだ。
「なんか変じゃない?」だなんて。
誰にでも平等に接する、クールな巫女を演じている私だが、
それでもやっぱり人間。
愛おしい。
そう思っている人と一緒にいれば、
いつもとは変わってきてしまうに違いない。
さらに、神社で話している時はまだ大丈夫であるが、
今日は2人で買物だ。テンションも少しは変わってくる。
し か も
私は今日よほど気が狂ったのか、
アリスと、て、て、手を繋ごうなんて言ってしまった。
手が冷たいとか言って。
手が冷たいなら息でも吐いて手に当てとけばいいものを
手を繋ごうとか言っちゃって……
しかも本当に繋いでしまったのだから赤面ものだ。
でも、アリスはとても優しい笑顔を見せてくれた。
とても幸せだった。
このまま時が止まってしまえばいいと思った。
………………………………………………………………………………………………………
帰り道。
「やっぱり今日の霊夢は変よ!」
「まだ言うか!」
そう、まだいう。
団子屋で残りの団子を食べたり、霊夢に支払って貰ってる間考えていたのだが、
霊夢は今日、妙に笑う回数が多い。
あのクールな霊夢ともあろうことが、こんなにも笑うなんて。
楽しい呑み会でさえ、今日ほど笑う時は無かった。
「いつもよりよく笑う」
「そうかしら?きっと気のせいね」
「違うわ。吞み会での平均の笑う回数は2回。
今日は微笑みも含めて6回も笑ってるわ!」
「何故数えたしっ!何故数えたしっ!」
大事なことなので2回言ったらしい。
「あれ、もしかして本気にした?」
「え」
「テキトーに言ったこと本気にしちゃった?」
今、私はとても2828しています。
「ぇ、ぅ」
「ねぇねぇー冗談本気にしちゃった?」
2828。
「あ、あ、あ、アリスの馬鹿ー!!」
「へぶっ」
ちょ、目に御札が!
突然のことに超動揺しつつ、
ようやく御札を取ってみたらそこに霊夢の姿は無かった。
「あり?」
思わず自分の名前の2文字を言ったところで、足元に無数の針が飛んできた。
「うひゃお!?」
飛んできた方向を見るとそこには紅白の物体が。
逃 げ た な
急いで追いかける。
もしかしたらマジで怒ってるかもしれん。
ていうか針投げながら逃げるのやめてくださいませんか!
………………………………………………………………………………………………………
うわぁぁぁぁぁぁぁぁんアリスの馬鹿ぁああぁぁあああああ!!!!
あんな2828しながら私の事からかってぇぇぇぇえええ!!!
……………。
……………………。
…………………………………。
ハズい…///
だって、だってさ。
回数数えてるってことはさ、それだけ私が…その…
見られてるってことだと思ったら…
その…………超ハズい……///
うわぁああああああ!!!!
私は全速力で神社に帰った。
………………………………………………………………………………………………………
私が神社に着いた時、そこに霊夢の姿は無かった。
「中に入っちゃったのかしら…」
戸は全部閉まっていて、中の様子は見えない。
「れーいーむーさーん あーそびーましょ」
………。
「れーいーむーさーん」
…………。
「れーいーむーさーん!」
…………………。
「冗談を本気にして逃げだしたれーいーむーs「そこまでよ!」
ダァン!と音を立てながら障子を開けて霊夢が出てきた。
「何ハズい事言ってんのよ!!」
「だって出てこないんだもん」
「出てこないんだもんじゃないわよ!アリスのばか!」
そんな顔を真っ赤にして言われてもムラムラしてくるだけなんですが。
……………。
「あ、そ。じゃね」
そういってまわれ右。スタスタと自宅方向へ向かう。
「え」
裏から声が聞こえてきた。
見なくても動揺してるのが分かる。
思わず吹き出しそうなのを必死にこらえ、歩く。
「ま、待って!」
立ち止まろうかと思ったが、展開の面白さを考えてスルーしてみる。
さて、何が起こるかな?
足取りが軽くなってきたところで急に手を掴まれた。
「ふぇ?」
霊夢と触れているところからどんどん熱くなっていく。
自分の顔が真っ赤になっていることに気づいた。
手を掴まれた程度で真っ赤になるとは我ながらまだまだだ。
だが、都合のいいことに霊夢は顔を伏せたまま動かない。
「あの、霊夢さん?」
「明日も」
「え?」
明日も、何?
「明日も来なかったら、殺すから」
「へ?」
霊夢の手が、若干熱くなったような気がした。
こちらも、意味を理解したところでさらに顔が熱くなる。
……………………………。
ようやく落ち着いてきた。
「………望むところよ」
そういって、優しく霊夢の頭を、撫でてみた。
end
し・・・死ぬ…砂糖水海に溺れて死ぬ・・・ッ!
素晴しい作品でした。
レイアリいいよいいよー
普通にうpとか言っちゃうアリスさんに萌えた
とはいえ逆にそのお陰でサクサク読めるので一概に欠点とは言えませんが。
ネットで良く使われる単語・記号等ではありますが、作品によっては悪いとは言えません。
が、些か興ざめに繋がるかと思います。
ありきたりな批評になりましたが、レイアリというだけで私は満足です。
甘く可愛らしいレイアリを有難う御座います。
一人称で心情描写が少ないって「ハァ?」と思われるかも知れませんが、
もう少し深い部分まで描写が欲しかったという意味です。
レイアリ?大好物ですが?
今後も期待しています。
指摘された部分は編集はしないつもりです。
ありのままの作品(?)を見ていただきたいので。
レイアリ好きな人が意外と多くて嬉しさのあまり吐血しそうでs…!
小ネタの方も違和感なく思いっきり笑えました。
鈍感いじめっこアリスにデレイムと言う組み合わせも秀逸です
霊夢かわいいよ、霊夢
今後も期待しております
レイアリ良いよねぇ~って事で、この点数で。
次回作にも期待!
今後に期待してます。
つかアリス何円お賽銭いれたんだろ
甘くておいしい話見せてくれたから点数入れちゃう
もっと広まれレイアリの輪!
もっと広まれレイアリの輪!