「はたして、どうしたものかしらね……」
私は霧の湖を正面に向けて悩み事をしていた。
紅魔館につかえて十何年、休みというものを初めて貰って消化に困っていたのだ。
事の発端は昨日のティータイムのことだ。
――――
私はお嬢様にいつも通り血液入りの紅茶を用意して
テラスにいるお嬢様のもとへと運んでいると、お嬢様と美鈴がテラスで口論をしている声をトラスの部屋のドア越しに聞こえてきた。
私は、ドアを開けるのを躊躇し銀色のトレイに紅茶を載せたままドアの前で歩を進むこともなくドアを開けることもなく静止していた。
「ですからお嬢様!咲夜さんに休日が必要だと思うんです!」
「だけど、美鈴さぁ、咲夜が休めと言われて休むタチならいいけど絶対あいつは休まないって」
「だからですよ!お嬢様私は咲夜さんに一人の女の子としての日をたまには送ってほしいんです!」
「まぁ、美鈴の言い分もわからんでもないけどその分私の世話周りは誰がするの?妖精メイドでは絶対無理よ?
あの子らは自分のことで精いっぱいなんだから」
「ならば私がやります!私だって咲夜さんがくるまでは元メイド長でした!今から不眠不休で24時間二人分働きます!」
「うぅん……分かったよ。そこまで言われたら仕方ない明日は咲夜に休みを命じるよ」
そういうと美鈴は「やったー!」と声を嬉しそうにあげ、有頂天になっていた。
とりあえず私は、何も聞かなかったことにして紅茶が冷める前にドアをノックした。
「咲夜です。紅茶を持ってまいりました」
「え?あ、あぁ。はいっていいよ」
ドアを開けると美鈴の姿はなく、お嬢様が困った顔で頬杖をついてテラスの外を見ていた。
紅魔館のテラスには屋根を設けてあり日光はできるだけ、はいらない様にしている。
しかし、最近だが屋根のあるテラスは本当にテラスと呼んでいいものかと思い始めた。
私は、丸テーブルの上に紅茶のはいった紅いポットとティーカップをおいて深紅色の紅茶を注いでテーブルをはさんで、
目の前にいるお嬢様の前に置いた。
お嬢様は深紅色の紅茶を口に運び、満足げな笑顔をした。
「うん、おいしい。さすが咲夜ね」
「ありがとうございます。ところお嬢様、さっき美鈴の声が聞こえたのですが……」
「え、あぁ。いたのはいたけどテンションがみなぎったのかここからテラスの下へと飛び降りた」
「なんか、美鈴らしいですね」
「そうね。テンションあがるとここから飛び降りることはもう癖だから仕方ないわね」
私はくすりと笑い、レミリアは「困ったものね」と肩をすくめた。
「ところで咲夜。明日あなたに休みを与えるわ」
「えっとそれはどういう意味で?」
「言葉どおりの意味文字どおりの意味よ。ほりでぇい、ヴぁけーしょんよ。あ、おかわり」
「あ、はい。でもなんで急に?」
私は、お嬢様に紅茶のおかわりを催促されたので紅茶を注ぎながら、怪訝そうに質問をした。
「ん、なぁに私の気まぐれさ。明日は十分に休むといいさ」
お嬢様の目が天井を向いている。ああ、お嬢様はうそをつくときはいつもこうだ。
もうちょっとうまく嘘をつけないのであろうか。
私は、紅茶を注ぎ終えるとティーポットをゆっくりとテーブルに置いた。
「そうですか。しかし私には日々の勤務があるのでお休みなど貰ってよいのでしょうか?」
「ん、ああそれなら今日はどこぞの誰かさんが、明日の分も働くと張り切っていたから大丈夫じゃないかなぁ」
お嬢様はテラスの外を見ながらクックックッと笑っていた。
「はぁ、では私はこれにて失礼します」
「あぁ、待ちなさい咲夜」
「はい、何でしょうかお嬢様?」
私はトレイを腋に挟んで、食堂に戻ろうとしたところお嬢様に呼び止められた。
お嬢様は私に、便箋とペンをとってくるように命じ、私は時間を止めて持ってきて
それからお嬢様は上機嫌で鼻歌交じりに筆を走らせていた。
もちろん曲は亡き王女の為のセプテット。すこし音を外しているのが可愛らしい。
「明日博麗神社にいってきて霊夢にこの手紙を渡してちょうだい」
お嬢様は手紙を書き終えると、私にずいっと差し出してきた。
その時のお嬢様はにやりと八重歯を出して妖しげに笑っていた。
――――――
その日の屋敷の内部はすごかった。
突然美鈴が箒をすごい勢いで掃きながら、彩光乱舞をしつつ「レレレレのレ」と言いながら
長い廊下を目を光らせて、台風のように駆けていく姿が三分に一度のペースで見られた。
この広大な紅魔館を3分で一周するという驚異の速さで床を掃いているので埃が美鈴の前には常に舞っていた。
美鈴が通った後は埃ひとつなく、清潔な空間になっていた。
途中で、魔理沙がいつもどおり本を盗みに侵入してきても、埃と一緒に掃かれていた。
それに起こった魔理沙がマスタースパークを美鈴に向かって打ち込んできたが美鈴は箒でマスタースパークを軽々と
霧の湖を超えたのはるか彼方へと野球のボールを打つように打ち飛ばした。
魔理沙は、その後埃と一緒に再び掃かれて紅魔館の外へダストシュートされた。
チルノが「ばーかばーか」と指をさして魔理沙を腹を抱えてへらへら笑っていたらスターダストレヴァリエを喰らって液体になっていた。
「あたいったら液体ね!」とかいって喜んでいたけどそこから先はどうでもよくなって気にしないことにしてた。
そして翌日。
買い出しは完全。屋敷内部は埃一つ落ちていない。洗濯物も済まされていた。
食事もなぜか食堂に中華料理のフルコースが、タッパーにいれられて保存されていた。
よって私が仕事をしなくてもいい環境がそろってしまった。
「はたして、どうしたものかしらね……」
私は腕を組んで、霧の湖を目の前にして何をしようか迷っていた。
特に行くあてもない。知り合いもそこまでいないし。
私はこの時点で10分間この場にとどまっていた。
「ほらお嬢様!咲夜さん行く当てないんですよ!こんなんじゃあ一生仕事の為だけに生きる人になりますよ!」
「いや、美鈴お前が咲夜を溺愛するのは分かったけど、お前は自分の仕事しなさいよ」
美鈴とレミリアは、ひそひそと話しながら門の柱の陰に隠れて覗き見していた。
ちなみにレミリアは日傘を持っていては、咲夜にばれると美鈴に注意されたので
パチュリーに日除けの魔法をかけてもらっている。
「いつもの侵入者なら今頃風邪ひいて大人しく家で安静にしてますよ。昨日私が地底の土蜘蛛に会いに行って頼みましたから」
「お前、咲夜のことになると見境ないな……」
なんか、後ろから声が聞こえてくるけど気にしないでおこう。
とりあえず人里まで行こうかしら、少しは時間をつぶせるでしょうし。博麗神社に行くのは帰り道になるし最後でよさそうね。
私は人里のほうへとゆっくりと飛行を始めた。そよ風が吹いていて暖かい気候だったため私はのんびりしながら人里へと向かった。
「あ、お嬢様咲夜さんどこかへいってしまいした!
ああぁ、大丈夫でしょうか……途中で氷精に「PAD長!」とか言われてからかわれたりしないでしょうか……」
「美鈴、額」
「へっ?」
レミリアは美鈴の額を指さし、そしてため息をついた。
「ナイフ刺さってる」
「いったぁああああ!!!いや、むしろこの痛み咲夜さんからのならば恍惚!!!」
なんかとりあえずむかついたから門の柱に隠れていた美鈴に向かってナイフを一本投げておいた。
―――――――――――
人里は人で賑わっており、商人たちが行ったり来たりしたりしている。
また、畑には農業にいそしんでいる人々たちがいて活気のあふれている場所であった。
太陽はまだ、頂点には登っておらず後少ししたら真上にくると言った時間帯だ。
「うーん、お昼を取るには少し早いしどうしようかしら」
私はそう思って歩いて行ると人里の繁華街で人だかりができていた。
何かと思い覗いてみると、どうやら何かもめごとらしい。
もめごとの内容は、人里内で妖怪のミスティアが商売しているのをいいと思わない連中がミスティアに向かって喧嘩を売っているとのことだった。
人々は輪になって、そのもめごとを見物していた。その中心にいるのは強面の中年の人間と、どう対応していいかわからずにおどおどとしているミススティアだった。
私は見ていて気分がいいと思うものではないので、人の輪の中にいるいちゃもんをつけている連中を少し注意をしてやろうと思い呼びかけた。
「ちょっとあなたたち」
「あ?」
「彼女が何か悪いことをしているのかしら?理由があるならば述べてほしいのだけれども」
「理由なんかはない。ただ人里に妖怪がいるだけでどれだけ人里の人間が恐怖しなけりゃいけないかがこいつは分かっていない」
「確かにあなたの言い分も、最もだけどもここには、人里の守護者がいるでしょう?下級の妖怪、質の悪い妖怪なら追い払ってくれるでしょう?
それに彼女がここで商売をしているのは今に始まったことじゃないでしょ。永夜異変からもう何年たったと思っているのよ」
「うるせぇ!妖怪に肩入れするやつのことなんか信じられるか!」
中年の男は、眉間にしわを寄せ、拳をつくり私に向かって殴りにかかろうとした。
「ハイヤー!!」
「げふっ!」
突如人ごみから駆け抜けてきた、正体不明の人物のとび蹴りが中年の男の横腹に命中し、中年の男は目を見開いたまま泡を吹いて、気絶をしてしまった。
その後人混みは次第に散っていって、中年の男性は慧音が連れて行ってしまった。
慧音曰く、昔から人里で評判の悪い人間だったらしく厳重注意をしておくと言われその場は再び
いつもの日常を取り戻した。ミスティアからはお礼としてヤツメウナギをいっぱい貰ってしまった。
しかし問題はまだ残っている。あの争いの場に現れた謎の闖入者だ。
「美鈴何をしているのよ!」
「アイヤー、私メイリンジャナイ。私トオリスガリノモノネ。サスライノチャイニーズゲートガーディアンアル」
「日本語を話しなさい。ここは幻想郷よ」
今の自称通りすがりの門番は顔にぐるぐる眼鏡をかけて付けひげという、こてこての変装をしていた。
ちなみに服装は美鈴の時からビフォーアフターしても全く変わっていない。なんということでしょう。
「ちょ……美鈴早すぎるわよ……!」
なんとお嬢様が息を切らしてふらふらと飛んできた。
飛んで火に居るお嬢様とはまさにこのこと。
「あ……」
「えっとお嬢様ですよね?」
「えーと……!フ、フハハハハ!!私は謎の悪の組織「エターナル・デビル・スカーレット」の総帥、緋色のれみりゃだ!!」
お嬢様そんな決まったという顔をしないでください。全然決まっていません。お嬢様のカリスマがスターボウブレイクしています。
しかも、周りの人間から微妙に笑われています。ああ、もうなんか微かに「エターナル・デビル・スカーレット(笑)」って聞こえてきますもの。
「我が優秀な部下、ドラゴンみりんよ!今日はこの辺にしてさるぞ!」
「はっ!緋色のれみりゃ様!十六夜咲夜よ!今度会うときは覚えてろ!後、今日のおゆはんは、和食がいいです咲夜さん!」
美鈴は敬礼をして高笑いをしているお嬢様の後ろについて人里の建物の角に逃げ込んでいった。
私は、少し呆れて人里の甘味処でお茶をすすり、精神を落ち着かせようと思って足をそこから一秒でも離れたいと思い速めた。
「ふふふふ、咲夜さんまさか今のが私たちとは思わないでしょうね。変装は完ぺきでしたし」
「なぁ、美鈴これ無理があると思うんだけど。ってか最後お前、何気に咲夜に今日の夕食リクエストしたよな」
「あ、お嬢様!咲夜さんがどこかいっちゃいますよ!早くしないとまた柄の悪い人に襲われたら大変です!」
「なぁ、人の話聞きなさいよ」
「お嬢様は吸血鬼なのでお嬢様の話は聞きません」
美鈴はレミリアの手を引き、息を荒立てて咲夜の50メートル後をつけていった。
そして咲夜が甘味処について一息ついていた時には時には、美鈴は息絶えそうな顔で額には50本のナイフが刺さっていた。
―――――――――――――――
「あんなの全然乙女の一日じゃないです!」
美鈴は甘味処で湯呑を傾けて一息ついて「ふぅ」と息をついて空を見上げている咲夜を指をさして涙目でレミリアに訴えかけた。
ちなみに美鈴とレミリアは、今は偶然前に止まっていたミスティアの屋台の後ろにかがみ、体勢を低くして隠れている。つもりである。
ちなみにミスティアはいきなり、後ろにこんな二人が来たもんだから戸惑いを隠せない表情になっている。
「いや、そんなの人それぞれだろ………」
「違いますよ!乙女というものは日々、キャキャウフフフといって画面上に華を咲き乱せるような生活を送っているんです!」
美鈴はぐっとガッツポーズを作り小さな声で叫びながらレミリアに対して演説する。
「あのさ、もしかしてお前のスペルカードの名前ってそういう意味で付けてるの?」
「ええ、もちろん。しかもちゃんと有言実行です。私はいつも画面上に鮮やかな弾幕を描いていますから」
「お前さ、いつも弾幕戦の時キャキャウフフいってんの?」
「もちろん有言実行です!あ、知ってましたお嬢様?私が移動するときしゃらんしゃらんって音するじゃないですか。あれ私が全部口でいっているんですよ」
「それ今すぐ辞めろ。紅魔館の信用を失う。天狗の新聞に記事にされたら言い訳が聞かない」
「そういえば、この間の文々。新聞にお嬢様が密かに竹馬を練習していたところ乗っていましたよ」
「……ま、まぁ確かに咲夜のあの過ごし方は乙女の一日じゃないな!う、うん!よ、よし美鈴二人で咲夜に乙女の一日を体験させてやろうじゃないか!」
「いえっさ!緋色のれみりゃ様!」
美鈴は小声で、叫び敬礼をした。その敬礼には「やったぜうひょおお!!これで咲夜さんとデートができるかも!ああ、今日はなんて素敵な日なんだ!
ああ、咲夜さんにあーんってしてあげたり、膝枕してあげたりいろいろしてあげたい!」という念が込められていた。
「あの、ところでお二方とも、そろそろ次の場所に移りたいんで屋台移動してもいいですか?」
「あ、はい」
屋台のタイヤはがらがらと音を立てながら、人里の出口のほうへと向かっていった。
屋台の向こう側にある甘味処の咲夜がいるはず席には姿が、なく空席になっていた。
「ああ、お嬢様なんかと雑談していたせいで咲夜さんを見失ってしまったじゃないですか!どうしてくれるんですかお嬢様!」
「ちょ!いや、私は絶対悪くないだろ!あと主人に向かって『なんか』呼ばわりするのはいかがな物かと思うんだが」
美鈴はレミリアの両肩を掴むとぶんぶんと前後に揺らし、レミリアに責任を促した。
「あ!咲夜さんいました!お嬢様早く先回りしますよ!」
美鈴は、人里の出口のほうへと歩いていく咲夜を美鈴は発見した。
レミリアはあまりにも速い速度で前後に体を揺らされため、美鈴から解放された後千鳥足で、高速すり足で移動する美鈴の後を追った。
――――――――
私は、特に何をするでもなく特に目立った物も『なかった』、人里をただぶらぶらと歩き回っていた。
ここで重要なのは過去形であったことね。
「はーいいらっしゃいーダーツやってるよー、一回10円だよー外れてもおかしあげるよー」
人里の寺子屋前で聞きなれた声が何か客寄せをやっていた。
その声の周りは寺子屋の子供たちがわいわいと声をあげ囲んでいた。
私はその子供たちの円の中の人物は大体予想できたがやっぱりだった。
「美鈴、あなたこんなところで何やってんの?」
「ワタシメイリンチガウ。ワタシホンミリンアル」
美鈴は首からダーツの的をさげて子供たちから的にされていた。
「そうじゃあホンミリンさん今日の夕食は貴女が苦手なピーマン尽くしね」
「ちょっと待ってください!!!それだけは…!」
美鈴は、子供たちに囲まれているにも関わらず即土下座で私に慈悲を乞う。
「とにかく、こんなことはやめなさい。そして今日は大人しく紅魔館に戻って大人しく過ごしてなさい」
「そ、そんなぁ」
美鈴はがっくりと肩を落として、地面に膝を突き四つん這いになった。
たまにはいい薬だろうと思い私はやれやれと息をついてその場を離れようとした。
「咲夜。紅魔館のメイド長ならばダーツの一つや二つぐらい瀟洒にこなす物じゃないか?」
「お、お嬢様…?」
「何よ」
「何故竹馬に乗っておられるのですか?」
「いや、身長高いほうがカリスマ出るかなと思って。あと練習の成果を咲夜に見せたくて」
ああ、私のお嬢様がこんな⑨なはずない!
「咲夜今なんか私に悪態つかなかったか?」
「いえ?そんなこと私には、とても出来そうにありませんわ」
お嬢様は竹馬に乗って絶妙なバランスを保って私を上から見下していた。
お嬢様にはあとでシークレットブーツというものを教えてあげよう。
「とにかく、紅魔館のメイド長ならばどんなことも瀟洒に済ませてこそ完璧で瀟洒なメイドを名乗るんじゃないか?」
「むぅ、確かにお嬢様の言うことも一理ありますね。いいでしょう。瀟洒なメイドのダーツをご覧下さい」
「いやほおぉおおおおおぉおう!!」
その前に美鈴がウザイから、ナイフを一本投げておいた。
美鈴は、ナイフを上段蹴りで吹き飛ばしてワクワクテカテカした顔でこっちを見ている。
「とりあえず、賞品か何かあるのかしら?」
「はいはい!ありますよ!」
「何かしら?」
「一日私とデートですイッヤホォホゥオオオオオオウウウウ!!!」
美鈴は右手を天に突き上げ、叫んでいたところ慧音が来て子供たちに「見てはいけないと」いって寺子屋へと連れ戻していった。
「お嬢様?」
「何?」
「やめていいですか?」
「だめよ」
「いやですよ」
「いやよいやよも好きのうちよ」
「じゃあ言い方変えます。うざいです」
「そんなの解りきったことじゃない」
私は、取る行動は一つだろうと考えそれを実行した。
しょうしゃなメイドはにげだした!
「あ!咲夜さんが時を止めて逃げましたよ!お嬢様!」
「美鈴、落ち着きなさい咲夜が最終的に行く場所は決まっているわ。そうこれは既に決まっている運命」
―――――――――
私は、時を止め人里から一気に離れた博麗神社へときた。時刻はもう夕焼けが美しい時間帯だった。
ここまで来ればすぐにお嬢様たちも追ってこれないだろうし、何より霊夢にお嬢様からの手紙を渡して早く紅魔館に帰って休みたい。
赤く大きな鳥居へと続く石階段を上っていき、鳥居の下を跨ぐといつもどおりにお茶を啜る霊夢と、一緒にお茶を啜る紫が居た。
ああ、美鈴もこうやってくれれば助かるんだけどなぁ。
「あら、あんたがここに来るなんて珍しいわね」
「ええ、お嬢様から手紙を預かってきているから。はいこれ」
「ふぅん。どれどれ。あー、次の宴の場所を紅魔館にしたいってことね。一々手紙を寄越さずに直接言いに来ればいいのに」
霊夢は手紙を読み終えると、紙をくしゃくしゃと丸めて後に、適当に放るとその落下地点にスキマが現れて、そのスキマの中に入り込んで
ゴミ箱の上にもう一つスキマが開き、そのスキマから紙はゴミ箱へと放り込まれた。どんだけ過保護なのかしら。
「まぁ、ゆっくりしていきなさい。今お茶出すから」
「いや、いいわ。もたもたしているとお嬢様たちが着ちゃうから」
「?それってどういうことなのかしら?」
紫は首をひねり、事情を聞くと、「なるほどね」と頷いた。
「あなたとても愛されているわねぇ」
「そんな事ないですわ。それならあんなに付きまとってこないですわ」
私は今日何度目かわからないやれやれとため息をついた。
「解ってないわねぇ。あの子は貴女と遊びたいのよ。あなたはいつも仕事熱心で感心するけどその分、娯楽という物を知らない。
あの子が美鈴が、なんでがんばってあなたの分も働いたかわかる?貴女とただただ遊びたかったのよ。
あなたは人間、そして美鈴は妖怪。あなたは先に行ってしまうほうだけど、美鈴は残されるほうなのよ。だから美鈴は今あなたと一秒でも長く過ごしたいのよ。
あなたはどう思っているかは知らないけど、少なくとも美鈴は紅魔館の連中は家族と思っているはずよ。今日の行動はあの子なりのスキンシップよ。
それに貴女、今まで休みを貰ったことがなくて時間の消費法を思いつかなかったんじゃない?」
確かに今日始めて休暇という物を貰って時間の使い道に迷ったのは確かだ。
ただ考えなしに人里をうろつきまわってただけだし。
しかし、美鈴がそんなことを思っているのかしら。いや、でも美鈴のことだからねぇ、いやでも、あーもう!
私は頭をばりばりと掻くと今日何度目かすら数得るのが面倒になったため息を付くが、
今までのため息とは違い、何か心がスッキリしたため息だった。
「いくら考えても埒が明かないし、紫の言うとおりに、少し肩の力を抜いてみようかしら?」
私は少し微笑んで正座で微笑みながらお茶を飲んでいる紫に感謝の気持ちをひっそりと寄せた。
「そうそう。私に比べてあなたは短い人生なんだから楽しまなきゃ難しいことを考える暇があるなら前を見なさい。将来のことを思っちゃだめよ。今を生きなさい」
「それ誰の受け売り?」
「外のえらーいひとよ」
「ふぅん。ま、興味ないわね」
「まぁ、興味があるのは人それぞれですわ。あと、こんな会話している間にお迎え来ましたわよ?」
紫が私の後にある草むらを指をさしてくすりと笑ったので、そろりそろりとその草むらに近づいてみると、
ぬかるんでいた地面を泥まみれの美鈴とお嬢様が第四匍匐前進をしていた。
「あ…!あの、これはですね咲夜さん!!お嬢様がどうしても第四匍匐前進したいっていうものですから!」
「ちょ!私は何もいってないだろ!」
私は思わず口元がくすりと歪んでしまった。
ああ、こんなばかだらけな家族をもっている私は幸せじゃないんだろうか。
普段我儘ばかりいって私を困らせるお嬢様、常日頃サボタージュマックスで私の悩みの種の美鈴。
この2人には呆れを通りこして愛着さえわいてくる。
「いいですよ。私を迎えにきてくれたんでしょう?あとお二人とも体がすっかり泥まみれになっていますので、
紅魔館に帰ったらすぐにお風呂にはいってくださいよ。洗濯する身にもなってほしいですわ。」
私はやれやれと思い、二人を見てると自然と笑みがこぼれた。
「じゃあ咲夜さんも一緒に入りますよね!!」
「ちょ!なんで私も一緒に入らなきゃいけないのよ!?」
「咲夜一緒に入りなさい。私だけじゃ美鈴の相手をするのは無理だわ」
「ちょっとお二人とも泥まみれでこっちに近づかないで下さいよ!メイド服が汚れるじゃないですか!」
二人ともゾンビのようにのそりのそりと私に徐々に歩み寄ってくる。私は時を止めて逃げようとしたが、そこは妖怪と吸血鬼。
明らかに種族の身体能力の差で私はすっかり美鈴とお嬢様に押し倒されメイド服は泥まみれになってしまった。
「あははは!!咲夜さんもこれで入らざるを得なくなりましたね」
「美鈴、あなただけ今日ピーマン尽くしね」
「ちょ!咲夜さんそれだけは勘弁!」
私とお嬢様と美鈴はしばらくの間泥まみれの姿で笑い会っていた。
霊夢はその光景を、お茶を啜りながら遠めで見ていて
「いいわね。あんな関係。私は独り身だからもてないけど」
と呟いた。
それに紫が反応し
「あら?八雲にくれば藍、橙がいるからきゃきゃうふふできるわよ?」
霊夢は、はぁとため息をつきだるそうに紫へと答えた。
「いきなり私が行ってもあんな感じにはならないでしょうが。あいつらは何年、何十年もああやって過ごしてきているのよ。
私が何百年八雲で過ごそうがあいつらみたいには行かないわよ。あいつらは幻想郷に入る前から一緒に居るんだから。仲を深めるのに
必要なのは時間じゃないわ。必要なのは思い出。私はあいつらみたいに毎日バカ騒ぎやってないから無理よ。あいつらにとっては毎日が思い出なんだから」
紫はくすりと笑うと霊夢の頭をなで
「よくできました」
とだけいった。
「じゃあ、帰りましょうか。パチュリー様も心配しているでしょうし」
私が、泥だらけの美鈴の手と、泥だらけのお嬢様の手を握り
夕焼けの向こうにある我が家へと帰っていった。そのとき握った美鈴の手とお嬢様の手の温かみはしばらく忘れられなかった。
私はそれをきっかけに、できるだけ仕事を早く済ませ、この二人と雑談をして2人の温かみを堪能することを覚えたのだった。
あと、誤字らしきものが『選択』ではなく『洗濯』ではないでしょうか?
載って、怒った、どう思って、
他にも数ヵ所ありますので減点方式で評価します
ただ文章がいろいろと残念です。
>トラスの部屋
トラス (Truss) は、構造形式のひとつで、部材の節点をピン接合(自由に回転する支点)とし、三角形を基本にして組んだ構造である。材質としては木材や鋼鉄が使われることが多い。(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)
→『テラス』?
>中年の男性
→『中年の』は最初の1回だけで充分では?
>私は、少し呆れて人里の甘味処でお茶をすすり、精神を落ち着かせようと思って足をそこから一秒でも離れたいと思い速めた。
(中略)
>美鈴はレミリアの手を引き、息を荒立てて咲夜の50メートル後をつけていった。
>そして咲夜が甘味処について一息ついていた時には時には、美鈴は息絶えそうな顔で額には50本のナイフが刺さっていた。
→甘味処でお茶をすすったあと歩き出して、また甘味処に入ったの?
>美鈴は、子供たちに囲まれているにも関わらず即土下座で私に慈悲を乞う。
(中略)
>美鈴はがっくりと肩を落として、地面に膝を突き四つん這いになった。
→膝は既に地に着いてますが?
それ以外は文句なしです!
しかし、文章が回りくどい所や誤字が多々ありました。
投稿する前に推敲をすればもっと良い作品になると思いますよ。
次回作を期待してます!
次回作期待してます
でもその行動は全部咲夜さんのことを思ってのことなんです……よね?;ww
笑いあり感動ありのいい話でした!
まだ誤字や不自然な表現がありますので指摘させていただきます。後で消しますので。
>八重歯→吸血鬼の牙のことと思いますが…可愛いけど何となく違和感
>それに起こった魔理沙→怒った
>霧の湖を超えたのはるか彼方へ→「の」が余計?あと「越えた」の方がいいような
>腹を抱えてへらへら笑っていたら→大爆笑の時は、「へらへら」より「げらげら」等の方が自然のように思います
>はたして、どうしたものかしらね……→こういう時は、「はたして」ではなく「はてさて」でしょうかね。違ってたらすみません
>博麗神社に行くのは帰り道になるし最後でよさそうね。→話の流れに違和感が。最後でいいから帰り道にするのでは?「回り道」とか「遠回り」になるということでしょうか。
>ミスティアが商売しているのをいいと思わない連中→「良しとしない」とか「良く思わない」のほうが自然ですね
>ミススティア→「ス」が多い
>確かにあなたの言い分も、最もだけども→「最も」ではなく「尤も」
>ちょ……美鈴早すぎるわよ……!→速度ですから「速すぎる」ですね
>飛んで火に居るお嬢様→「火に入る」
>足をそこから一秒でも離れたいと思い速めた。→主語と述語が離れすぎて不自然なので「そこから一秒でも離れたいと思い足を速めた」の方がよいかと
>咲夜がいるはず席には姿が、なく空席になっていた。→「咲夜がいるはずの席には姿がなく、空席になっていた」でしょうか
>もたもたしているとお嬢様たちが着ちゃうから→「着いちゃう」か「来ちゃう」でしょうね
>数得る→数える
大笑いしました。面白かったです。