「永琳、私すごいことに気がついたわ。人類は――いや、生きとし生けるものは皆、ドMなのよ」
「……はぁ?」
夜の永遠亭。そこの主人である蓬莱山輝夜は永琳の仕事部屋を訪ねるや否や、重大そうな顔をして突然そんなことを言い出した。
あまりにも突拍子も無いことだったため、永琳は相づちの「はぁ」ではなく、『コイツ、何を言っているんだ』の「はぁ」を意図せず出してしまった。
まったく、この姫様は何を言っているのだろうか? 長い隠居生活の中で、精神が壊れてしまったのだろうか? もしそうならほっといても大丈夫だろう。蓬莱人なわけだし。
「永琳、今顔に『理屈が分からない』って出てるわよ」
「いえ、理屈が分からないどころか言っている意味が分からないわ。それもさっぱり」
「よく聴いて、永琳」
輝夜は呆れる永琳を無視して説明を始める。
永琳はじっと聴いて時間が潰れるのが馬鹿らしく思えたので、椅子に座りなおし、輝夜が来るまでやっていた調合の作業を再開することにした。
「人は生きているとたくさんの苦悩にぶつかり、たくさんの苦しみを味わう。それはその生が続く限り逃れられない。生きているうちは痛みを避けることはできない。にもかかわらず、生き物たちは生きる。ある人は苦悩を乗り越えた先の喜びのために生きていると言う。またある人は人生は喜びと苦しみが半分ずつ存在するという。しかし、私の生きてきた経験上、人生の苦悩はそれを乗り越えた喜びではとても埋め合わせることはできないし、人生が長くなればなるほど喜びよりも苦しみの方が多く、そして大きくなる」
「――はぁ……」
永琳は適当に相づちをうつ。
「にもかかわらず、なぜ生き物は生きるのか? こんなにも辛く、苦しい生をまっとうしようとするのか。そこで私は、一つの結論に至った」
「それが、さっき言っていた生物ドM論?」
「そうよ! まさにその通り!」
輝夜は鼻息荒く、自信満々に答える。
「もしかすると、その苦しみこそが一種の喜びなのではないだろうか? 苦悩しているように見えて、実は快楽を得ているのではないだろうか? というわけで私は、『人類皆ドM説』を唱えたい!」
「姫様」
永琳は立ち上がると、嬉々として声を張り上げる輝夜の肩に手を置き、
「今日はゆっくりおやすみください」
と、非常に穏やかに、かつ、哀れむような眼をして言った。
「……どうしたの?」
「今の姫様の言っていることは、思春期の人間や、精神に以上のある者、あるいはおかしな思想家の発想よ。とても今年でウン万歳の方の考えることではないわ」
「つまり、私が疲れてるとでも?」
「ええ、そうね」
永琳はきっぱりと頷いた。
「最早病気と言ってもいい程よ。どうしてこうなってしまったんでしょう?」
「普通、そこまで言うかしら……」
「とにかく、そういうことですから姫様、一刻も早く、ご自身のお部屋に戻って寝てくださいな。なんでもいいから」
「まあ、永琳も少し考えてみて。貴女は思わないかしら。今まで私たちがどんな辛い目にあってきたか」
「いや、どうでもいいのでお休みください」
「えい――」
「お休みください」
「……――」
「お休みください」
「まだ何も言っていないじゃないの」
「そんなことはどうだっていいの。さあ」
永琳はまだ何か言いたげな輝夜をさあさあと部屋から押し出し、すぐに戸を閉め鍵を掛けた。
そして一息。
「――まったく、姫様にも呆れたものね。永い竹林生活が精神に堪えたのかしら?」
永琳は椅子に腰掛けると、ぽつりと呟く。
こうしていられない。早く明日売りに出す薬を作らなくては。
永琳は一人夜な夜な薬を作るのであった。
一方、部屋から追い出されてしまった輝夜はというと、
「――まったく、永琳も困ったものね。私の話に耳を傾けることすらしてくれないなんて」
鍵の掛かった永琳の仕事部屋の前で、「従者としてどうかと思うわ」と不満そうに呟く。
「まあまあ、永琳様も忙しかったんですよ」
どこからともなく現れたてゐが笑いながら輝夜に言う。
「あら、イナバ、聴いてたの?」
「聴いてもいましたし見てもいましたよ。それも最初から」
「それなら話は早いわ」
輝夜は手を打って笑う。
「ねえ、イナバ。貴女は私たちほどではないけど随分永く生きているわね」
「ええ、そうですね」
「貴女はなぜ生きているのかしら?」
「……あの、姫様。質問の意味がよく分からないんですけど」
てゐは苦笑しながら答える。
別に聴いていたと嘘をついたというわけではない。あまりにも質問が無茶苦茶すぎてよく分からなかったのだ。
輝夜は「質問が悪かったみたいね」と笑う。
「貴女はなぜそんな長生きしようと思ったのかしら? 生きていればたくさんの苦痛や苦悩、悲しみと対面することになるのに、貴女はなぜ生きようと思ったのかしら? 例え貴女が幸運の素兎と言われているとしても、貴女自身が幸運というわけではないでしょう?」
この姫様は何を呆けたことを言っているんだと、てゐは内心呟く。
「姫様、実はですね、私は貴女の言うところの苦痛や苦悩を感じないのですよ」
「それは、どういうことなのかしら?」
「いつ何時でも幸せ、ということですよ」
そりゃあもう苦しくも悲しくも無いくらいにと、てゐは笑いながら付け加える。
「もしかして、貴女が身につけた健康術って――」
「ええ、姫様が思っている通り、幸せ術です。ストレス無く健康に生きることで、いくらでも長生きすることができるのです」
衝撃の事実に驚く輝夜に、てゐは言う。
もちろん全部嘘であるが。
「とにかく姫様。私は姫様の言う『人類皆ドM説』には当てはまりませんので」
「そうみたいね。まさか世の中には貴女みたいな兎がいるとは思わなかったわ」
「と、言うわけでそろそろ部屋にお戻りください」
「ええ、そうさせてもらうわ! おやすみイナバ」
「はい、おやすみなさい」
てゐにまんまと説得された輝夜は、満足そうな顔をして足取り軽く自分の部屋へと戻っていった。
「……………」
てゐはそんな輝夜の後姿を、呆れながら見送る。
まさか姫様があんなに馬鹿だとは思わなかった。意外というよりはショックに近い。
「まあ、私には関係ないか」
決して無関係とは言い切れないが、私が気にするようなことではないと自分に言い聞かせ、てゐはその場から立ち去ることにした。
*
その翌日、永遠亭に一人の泥棒が入った。
泥棒の名は霧雨魔理沙。例のごとく魔理沙である。
その魔理沙は現在、輝夜の部屋で、輝夜の目の前で正座させられている。
永琳の所有する薬を盗みに入った魔理沙は、上手く兎たちの警備を突破して薬を手に取ることに成功した。しかし、屋敷を出ようとしたそのとき、輝夜の弾幕にうっかり当たり墜落。そして今に至る。
うっかり焦っちまったぜと、魔理沙は墜ちた時にぶつけた左肩をさする。外傷はほとんどない。身体よりもハートに傷を受けたなとため息をついた。
「あのさー」魔理沙は笑顔を作りながら、正座で目の前で自分を見つめている永遠亭の主に声をかける。「はじめに一応謝っておくよ。うん、悪かった」
「ん? 何を言っているのかしら?」
「へ?」
「別に私は貴方に説教しようと思っているわけじゃないわよ。私にとって薬なんてどうでもいいものだし」
「じゃあ、なんだよ? 捕って喰おうってつもりか?」
「まさか。ちょっとお話をしようと思っているだけよ」
「お話?」
輝夜は咳払いをする。
「霧雨魔理沙。貴方は捨虫の魔法を習得して、不老長寿になろうとしているそうね」
「……ああ、そうだけど」
魔理沙は慎重に答える。
「それがどうかしたか? お前には関係ないだろう?」
「ねえ――」
輝夜は魔理沙の問いかけを無視し、訊く。
「なぜ、そんな長生きしようとするの?」
「はあ?」
魔理沙はなぜそんなことを訊かれているのか、さっぱり分からなかった。
「なぜ、って、そりゃあ魔法の研究をするためだよ。あと、幻想郷がどうなってくのかも、この目で確かめたいしな」
「なるほど。でも、貴方は考えたことがあるのかしら?」
「何をだよ」
「これから先、長く生きていけば、貴方はたくさんの困難や苦悩、苦しみと対面することになる」
輝夜は、にっこりと笑う。
「例えば、死別。貴方が長く生きれば長く生きるほど、貴方の周りの者は貴方を置いて死んでゆく。それは長く生きてきた私が保証するわ」
魔理沙はその笑顔に、言葉に、恐怖を抱く。
なぜこの女はこんな笑顔でそんな恐ろしいことを言うのだろう?
「……何が言いたいんだよ?」魔理沙は声を振り絞って訊ねる。「言いたいことがあるならはっきり言えよ。そんな遠まわしに言われたら分からないだろ?」
「ねえ、魔理沙」
輝夜は眼を輝かせながら魔理沙に語り始める。
「人はなぜ、苦しみを味わうと分かっていながら長寿を求めるのかしら? 考えたことはない? ――私は、人は苦しみを喜びに変えることができるのだと考える。つまり――」
輝夜はそこで魔理沙に顔を近づける。
「人類は、皆ドM」
「………………は?」
魔理沙から恐怖が引き、変わりに混乱が訪れる。
正直、言っている意味が分からなかった。いや、意味は分かるのだが、どうしてそういう結論にたどり着けるのか、魔理沙は理解に苦しんだ。
しかし、一ついえることはある。
「輝夜」
「何かしら?」
「お前、馬鹿だろ」
魔理沙はきっぱりと言った。
相手が永遠亭の姫様だとかそんなことも気にせず、しっかりとそう言った。
「どこをどうしたらそういう結論に至るんだよ? 本当、わけが分からないぜ。お前、長く生き過ぎて頭がおかしくなったんじゃないか?」
「なっ……!」
輝夜はむっとする。
しかし、魔理沙は眉間にしわを寄せる輝夜を気にすることなく、立ち上がり、愛用の箒を手に取った。
「どこへ行くの? まだ話は終わっていないわよ」
その言葉に耳を傾けることなく、魔理沙は部屋の出入り口を開け、
「あ、そうだ」
と、何かを思い出し、スカートから何かを取り出して輝夜に投げ渡した。
「永琳のところから持ち出した薬だ。返しといてくれ」
「私に返されてもねぇ……」
魔理沙はその言葉も無視して部屋の外に出る。
そして最後に、
「これなら永琳の説教や鈴仙の愚痴の方がいくらか為になるぜ」
と言い捨てて立ち去っていった。
部屋に取り残された輝夜は、
「まあ、あの子もまだ若いからね。この話は少し早かったかもしれないわね」
などと、一人で勝手に納得していた。
*
輝夜がトンデモ説を掲げてから数日後のある日のこと、薬の配達から戻って一息ついていた鈴仙は輝夜に呼び止められ、部屋に招き入れられた。
(もしかすると、あのとんでもない説を私に話して聞かせようってつもりなのかしら?)
鈴仙は輝夜の掲げる説のことを永琳やてゐから聞いていた。特に永琳は「姫様がとんでもなく馬鹿げたことを言っているからなるべく相手にしないように」とも釘を刺している。
本来なら誰も相手にしないような説なのだが、何せ鈴仙はこの性格だ。永琳は真面目な鈴仙が相手にしないようにと、わざわざ釘を刺しておいたのだ。
(生き物が皆ドMって、人類の祖先がバッタって言うくらいとんでもないわね……)
呆れながら、鈴仙は輝夜の前の座布団の上に正座した。
「……あの、姫様。何でしょうか?」
「ねえ、イナバ」輝夜は笑いながら鈴仙に語りかける。「もし生き物が苦しみを喜びに帰ることができると言ったら、貴女は信じるかしら?」
やはりこの話かと、鈴仙は思わず顔を引きつらせる。
「姫様、私は忙しいのですが――」
「ねえ、イナバ。信じる?」
輝夜はさらに詰め寄る。
「……………」
どうしたものかと、鈴仙は考える。
師匠はああ言っていたが、従者としてここで主の質問を適当に返すのはどうかと思う。
「――正直、信じがたいです」
師匠、すみませんと心の中で謝りながら、鈴仙は答える。
「そう……」
輝夜は「なるほど」と呟きながら少し考え、
「なら、貴女は今幸せかしら?」
と、質問を変えた。
「幸せ……」
鈴仙は輝夜の言葉をオウム返しのように呟き、考える。
私は――幸せなのだろうか?
いや、そんなの考える必要も無い。間違いなく幸せだ。
「幸せ、です」
輝夜に向けて、強く答える。
「幸せ、ねえ……」
輝夜は鈴仙の答えを聞くと、さらに問いかける。
「ねえ、イナバ。それじゃあ、なんで貴女は時折あんな悲しそうな眼をするの?」
「え?」
その言葉に、鈴仙は自分の身体のどこか分からない場所に痛みを感じた。
「貴女は、なんで時々月を見て、涙を流すの?」
輝夜の顔はどこか悲しそうだ。まるで訊きたくも無いことを訊いているかのような顔をしている。
いや、輝夜は本当はそんなことを訊きたくなかった。
訊きたくなかったのだが、自分の論理の証明のために、訊かざる得なかったのだ。
「なぜ、そんなに辛いのに幸せだって言うの? それはつまり、辛さも幸せの一部だって事じゃないのかしら?」
「――姫様」
言わなければならない。鈴仙はそう思った。
従者だからとか、そういうことは今は関係ない。共に暮らしているものとして、言わなければ。
「私は、何一つ辛いことなんてありませんよ。あなたや師匠、そしてみんなと暮らせて、とても幸せです。それに――」満面の笑みを浮かべる。「辛いのと幸せなのは、全然違う問題ですよ」
「全然違う問題、ねえ……」
「姫様は、幸せですか?」
「私?」
鈴仙からの問いかけに、輝夜は考える。
「そうね。幸せ、かしらね」
幸せ、だと思う。
幸せだと思わなければ恐らく私は考えることを止めていただろうと、輝夜は心の中で自分に語りかけた。
月での処刑の数々。
生まれ育った土地からの永久追放。
地上で育ててくれた二人との別離。
そして日々訪れるイナバたちの死。
何度苦しみ、何度涙を流したか分からない。
その苦しみを、自分はどうやって乗り越えてきたのか。
「だからこそ、私はこの理論を思いついたのね」
輝夜は呟く。
「苦しみを喜びにでも変えなければ、乗り切れるとは思えなかったから」
「……姫様?」
「独り言よ」輝夜は心配そうに顔を覗く鈴仙に言う。「さあ、イナバ。もういいわよ。永琳のところに戻っても。そろそろ休憩も終わりでしょう?」
「あ、はい」
頷くや否や、鈴仙はすぐに部屋から飛び出していった。
「……こんなことを考える私は、やっぱりおかしいのかしらね」
それどころか、もしかすると自分は、『幸せ』というものを理解していないのかもしれない。
*
鈴仙の様子がおかしくなり始めたのはそれから約一ヶ月経ったころからだ。
いつもなら寄り道せず、すぐに配達から戻ってくる鈴仙が、やけに配達に時間を掛けるようになったのだ。
永琳はそのことについて、「何かに興味がわいたのなら、それはそれでいいと思うわ」と、鈴仙のことを咎める様子はない。
輝夜も、初めのうちは気に留めることはなかった。
しかし、日が経つにつれ、配達の時間はどんどん長くなってき、半年後には初めは三時間程度だったものがついに半日になった。
それだけではない。時々、夕方外出し、早朝に帰るということもあった。
流石の輝夜も、これはおかしいと思った。
しかし、永琳は相変わらず気に留めない。
輝夜は永琳に「鈴仙を問い詰めましょう」と何度か提案した。しかし、永琳はまるで鈴仙を完全に理解しているかのように「その必要はありませんよ」といつも首を振る。
仕方なく、輝夜も鈴仙のことを見守ることにした。
永琳がそこまで言うのだ。きっと問題はないはずだ。
しかし、輝夜の期待もむなしく、異変は起こった。
ある日の昼下がり、輝夜の部屋を訪れた鈴仙は、部屋に入るや否や、
「申し訳ございません、姫様。私、鈴仙・優曇華院・イナバは、永遠亭から離れて暮らそうと思っております」
と、土下座して言った。
輝夜は思いっきり混乱した。あまりに突然すぎて鈴仙が一体何を言っているのか理解できなかった。
「イナバ」
「はい」
「え? 近所の質屋がつけ耳を欲しがっていたから数十億で譲ってあげた、ですって?」
「いえいえいえ! 姫様、落ち着いてください! 私の耳はちゃんとここにあるじゃないですか! っていうかどこをどう聞いたらそんな風になるんですか!?」
「いや、あまりにも唐突過ぎて肝臓がパニックだわ」
「頭じゃなくて!? 姫様、本当に落ち着いてください! ギャグを言っても現実からは逃げれませんよ! っていうかあれギャグですか!? あんまりにもむちゃくちゃで理解した自分に驚きですよ、私!」
律儀に突っ込みを入れる鈴仙。
「ええと、イナバ。つまり、貴女は永遠亭から出て行きたいと?」
「ええ、そうです」
「……ごめんなさいちょっと永琳呼んでくる」
輝夜はこの問題を一人でどうにかする気にはなれなかった。……というか、無理だと思った。
*
「なるほど、ウドンゲがねえ……」
輝夜に呼び出され、鈴仙が出て行きたいということを聞かされた永琳は、少し考えると、
「ウドンゲ、こんなことを訊くのは悪いと思っているし、貴女も答え辛いと思うけど、訊いてもいいかしら?」
そう鈴仙に訊いた。
「え、ええっと、なんでしょう」
「ウドンゲ。……ええっと、その……」
永琳は訊き辛そうにしながらも何とか口を開く。
「もしかして貴女、妊娠しているんじゃないの?」
「……っ!?」
輝夜は自分の耳を疑う。
永琳は何を言っているのだろう。そんなわけがあるはずがない。
一方、鈴仙は、
「…………もしかして、ご存知だったんですか?」
思いっきり肯定した。
輝夜はもう何がなんだか分からなくなった。
鈴仙が妊娠だって? そんな馬鹿な。
「最近貴女おなかが大きくなり始めてきたから、もしかしてと思ったのよ」
永琳の言葉に、思わず輝夜は鈴仙の腹を見る。
……確かに、いわれて見れば若干大きくなっている気がする。
しかし、鈴仙に子供を作る暇どころか、恋愛をする暇があったとは思えない。というか、もし仮にそんな暇があったとしてもこの兎のたくさんいる永遠亭だ。噂にならないはずがない。
「ねえ、ウドンゲ。相手が誰だとかそんな野暮なことは訊かない。でもこれは教えて欲しい。最近貴女の帰りが遅いのは、その相手と会っていることが理由なのかしら?」
鈴仙は頷く。
ああそうか、と輝夜は理解した。
なるほど、永遠亭の外でのことなのか。それなら自分の耳に入らないわけだ。
「相手は、もしかして人間だったりするの?」
話がそこそこ見えてきた輝夜は鈴仙に訊ねる。
その問いに対し、鈴仙は、
「……はい」
と、どこか恥ずかしそうに、かつ、困ったように頷いた。
「なるほどね」
それなら強引に乱暴されたわけではないなと、輝夜は納得する。
鈴仙を陵辱できそうな人間なんて、巫女か普通の魔法使いくらいだ。流石にありえない。
愛があって子供ができたというのなら少し安心だ。
しかし、当初の問題である鈴仙の出家はまだ解決していない。
輝夜は永琳を見た。
永琳はどうするつもりなのだろうか?
「ウドンゲ、これはもしもの話だけど」永琳が鈴仙に訊く。「もし、永遠亭から出て行くことができたら、貴女はどうやって生活していくつもりなのかしら?」
「それは――」少し言葉を止め、決心したような表情に顔を変えてから、鈴仙は答える。「人里の外れで、小さな診療所を開いて、生計を立てていこうかと思います。人里の外れに、誰にも使われていない少し大きめの小屋があるんです。そこを改築して、診療所にしようかと」
「もうそこまで考えているのね」
永琳は少し考えると、
「姫様、いかかなさいましょうか?」
と、輝夜に訊ねた。
「貴女に任せるわ。貴女の弟子だし」
輝夜はすぐにそう返す。
「ウドンゲ、貴女の出家を私たちは認めるわ」
永琳は悩むことなく鈴仙にそう告げた。
「え?」鈴仙は目を丸くして驚く。「良いんですか?」
「ええ。今の貴女なら一人でもやっていけると思う。それだけの技術を与えたつもりよ。それより、もしかして貴女、その小屋の改築を一人で行うつもり?」
「ええ、そうですけど」
「それは流石に止めておきなさい。お腹の子供の為にもね。改築作業は兎たちに任せて、貴女はそれに指示を出せばいい」
鈴仙は永琳の言葉を聞くと、目に涙を浮かべ、「ありがとうございます」と頭を下げた。
*
その翌日からの永遠亭は非常に忙しかった。
妖怪兎たちは鈴仙の新しい棲家となる小屋の改築工事に勤しみ、鈴仙は妖怪兎たちに指示を出す片手間自分の荷物をまとめる。永琳は鈴仙のために医療器具を準備し、輝夜とてゐは相変わらず自由に行動していた。
やがて小屋の工事が終わると、鈴仙の荷物や、永琳の用意した医療器具が運び込まれ、鈴仙の新たな生活が始まり、同時に鈴仙の診療所も永遠亭の分院として開院した。
一方、鈴仙のお腹の子供は、鈴仙の希望によって人里の産婆によって取り上げられることになった。
輝夜は鈴仙の出産に立ち会おうかと考えたが、永琳が「あの子はわざわざ外で産むと言ったのに、それに立ち会おうっていうのは野暮でしょう?」と言うので止めた。
分院が開院してしばらくすると、永遠亭に訪れる患者が徐々に減り始めた。
時折、鈴仙が分院の設備では治療の難しい患者を永遠亭に連れて来ることもあり、永琳は「うまく分院らしく機能してるみたいね」と、安心した様子でそう言った。
鈴仙は、時々永遠亭を訪れるものの、輝夜に顔を見せることはほとんどなかった。
輝夜も、仕事が忙しいのだろうと思い、鈴仙に会おうとも考えなかった。
輝夜はというと、相変わらずの調子であった。
月の都博覧会に訪れた人に自分の定説を語ったりもしたが、誰もその定説を真に受けることはなかった。
中にはほんの数人だが、そうかもしれないと信じてしまう人もいた。しかし、そういった者たちは永琳に精神安定剤を処方され、カウンセリングを受けると、そんな話など聴かなかったかの如く『人類皆ドM』説を忘れていった。
輝夜は、次第に自分でも言っていることがよく分からなくなってきた。
そして、しばらく経ったある日のこと。
いつものように分院から永遠亭に重病人が連れられてきた。
しかし、珍しく鈴仙の顔を見ようかと思った輝夜は、ある異変に気づく。
重病人を連れてきたのが、鈴仙ではなく、違う女性だったのだ。
輝夜は驚きを隠せない。彼女は一体誰なのだろう?
よく見ると、女性の眼は紅く、どこか鈴仙の面影があった。
「貴女は、鈴仙の?」
輝夜は思わず女性に訊ねる。
「はい」女性は答える。「鈴仙・優曇華院・イナバの、孫娘になります」
いつもお世話になっていますと、鈴仙の孫娘は頭を下げた。
「あの、鈴仙は、どうしたのかしら?」
輝夜は少し怖くなった。鈴仙の身に何かあったのだろうか?
「大丈夫ですよ」
鈴仙の孫娘は心配する輝夜を落ち着かせるように言う。
「祖母は、今年の初めに引退したんです」
「引退?」
「ええ、もう九百歳を超えてますし、おまけに最近は身体が言うことを利かなくなって、飛ぶこともできなくなりましたから」
九百歳――それは玉兎の平均寿命を少し超えている。
鈴仙が永遠亭を出たのは約百歳の頃。
もう八百年も経ったのかと、輝夜は気づく。
時間の感覚が麻痺していた。もう随分と年月が経っている。
「ねえ、貴女。鈴仙は大丈夫と言ったわよね?」
「ええ、そうですけど?」
「それは、『鈴仙は生きている』と言う意味であって、『鈴仙は元気』という意味ではないんじゃないの?」
輝夜がそう訊ねると、鈴仙の孫娘は顔を曇らせると、
「……御察しの通りです」
と答えた。
「祖母は引退してすぐに体調を崩し始めました。祖母は『姫様や師匠には心配をかけないように』と言っていたのですが……」
鈴仙らしいと輝夜は思った。人に心配をかけまいと、いつも無理をする。それが鈴仙だった。
「ねえ、ちょっと頼まれごとをしてくれないかしら?」
「はい、なんでしょうか?」
「永琳に、私が外出することを伝えておいてくれないかしら?」
「え!?」鈴仙の孫娘は思わず驚く。「それは、どういうことですか?」
「貴女はこれから永琳と一緒に貴女が運んできた患者の治療をするんでしょう? それなら丁度いいじゃない」
「いえ、そういう意味じゃなくて、何をするつもりなんですか!?」
「ちょっとね、鈴仙に会いに行こうかと思うの」輝夜は笑いながら言う。「あの子、きっと最期の最期まで私に顔を出さないだろうからね」
*
輝夜が最後に竹林の外に出たのはもう十年も前になる。
近頃は考えるのが忙しく、屋敷の中で四六時中思考に明け暮れていた。
久しぶりに見た人里は、ほとんど変化がない。やはり幻想郷というべきか。
輝夜は人里を外れ、分院の方を目指す。
ちなみに分院を最後に見たのは約は八百年前。分院が完成したとき以来である。
分院は――随分と変わっていた。あの小屋の面影はほとんどなく、随分と大きくなっていた。
改築どころか立て直したようだ。流石に八百年も経てば変わるだろう。
この八百年のうちに、何度立て直したのだろうか? 思わずそう考える。
輝夜は分院の扉を開け、中に入る。
「こんにちは――って、姫様!?」
受付や看護士に総出で迎えられたかと思いきや、総出で驚かれる。突然会ったことも無い永遠亭の姫が訪ねてきたのだから無理も無いだろうと、輝夜は思わず苦笑いした。
「突然訪ねてごめんなさい。今、鈴仙はいるかしら?」
輝夜は受付の若い娘に訊ねる。この娘も眼が紅い。恐らく鈴仙の曾孫か曾々孫か、もしくはさらにその下だろう。
「大婆様ですか?」鈴仙が『大婆様』と呼ばれたことが、輝夜は何だか面白かった。「少しお待ちください。今案内します」
受付の娘はカウンターから出ると、輝夜を連れて、恐らく居住スペースであろう場所へと向かった。
病室とは違う、たくさんの部屋がある。確かにこれだけ家族が増えればあの小屋ほどの大きさの建物では生活できないだろうなと、輝夜は納得した。
受付の娘は一番奥の部屋の扉をノックする。
「大婆様」
「はーい、何?」
と、部屋の中から声がした。
紛れも無く鈴仙の声だ。年を取っていても分かる。
「お客様です」
「誰かしら?」
「姫様です」
「へ?」
「蓬莱山輝夜様です」受付の娘は一度輝夜を見ると、強い口調で言い直した。
「……ええええ!?」
鈴仙の驚く声がした。
輝夜の脳裏には、八百年前の鈴仙が驚く姿が浮かんだ。
「ちょ、ちょっと待って! 今座布団を! あっ、お茶も!」
「お茶はいらないわよ」
「ひ、姫様!?」
慌てふためく鈴仙の声を聞いて、輝夜から思わず笑がこぼれる。
「それでは、私は仕事がありますので」
「ええ、ありがとう」
輝夜に一礼すると、受付の娘は自分の持ち場へと戻っていった。
「――這入ってもいいかしら?」
「あっ、はい」
扉を開けて中に這入る。
机と箪笥と化粧棚の置かれた簡単な畳間に、鈴仙はいた。
昔のブレザー姿ではなく、セーターとロングスカートを着て、長い髪を永琳の影響か編み込んでいる。もうつけ耳はつけていない。顔は流石妖怪いうべきか、あまり老けたようには見えない。しかし、その顔からは幼さは完全に失われ、長く生きてきた貫禄が出てきている。
「久しぶりね、イナバ」
輝夜は鈴仙に笑いかける。
「あ、その呼び方、すごく久しぶりですね」鈴仙もつられて笑顔になる。「久しぶりですね、姫様。確か最後に会ったのは五百年くらい前ですかね? 相変わらず、お変わりないようで」
「貴女は随分と老けたわね」
「あ、酷い。これでもまだ容姿には自信があるんですよ?」
鈴仙は冗談っぽく言うと、笑った。
「とりあえず、狭い部屋ですがお座りください」
鈴仙に促され、輝夜は机の脇に置いてあった座布団に座る。
鈴仙も机を挟んで輝夜の正面に座る。
「それで、突然訪ねてきてどうしたんですか? 用があるのなら言ってくれれば私の方から足を運びますよ?」
「いや、別に用ってわけじゃないのよ。ただ、貴女が引退したって聞いて、ね」
「それで、心配になって来た、ってことですか?」
「ええ。――それで、身体の具合はどうかしら? 聞いた話だと、もう飛ぶことができないほど衰えているんだとか」
「……そこまで伝わっているなら、ごまかす必要もありませんね」
鈴仙は苦笑する。
輝夜はその鈴仙の表情が痛々しく見えた。
「ごまかすも何も、もうそういう歳じゃないの」輝夜は目を細める。「九百歳。普通の玉兎ならもう老衰もありえる。いつ死んだっておかしくは無い歳よ。――それで、今はどんな状態なのかしら?」
「……もう、長くないですね」鈴仙は少し間を空けてから答える。「身体は全然言うことを利きませんし、五臓六腑もぼろぼろです。治癒能力もほとんど人間以下まで落ちてますし、大怪我したらそのまま逝ってしまいそうです」
まあ、今すぐ死んでしまうようなことは無いでしょうけどねと、鈴仙は付け加えた。
「貴女のことだから、私たちに何も言わずに逝ってしまうつもりなんじゃないかと思ったわ」
「まさか」
鈴仙は少し笑う。
「ギリギリまでは黙っていようかと思っていましたけど、ちゃんと死ぬ前に挨拶するつもりでしたよ。姫様には伝えたいこともありましたし」
「伝えたいこと?」
輝夜は鸚鵡返しに訊ねる。
「ええ」
本当は最後に伝えるつもりでしたけど、せっかくだから今伝えますねと言って、鈴仙は咳払いする。
「姫様。昔、姫様は私に『幸せかしら』と訊ねましたよね?」
「……ええ」
ああそんなこともあったなと、輝夜は思い出す。
八百年前のこと。鈴仙が出て行く少し前のことだ。
「私、永遠亭を出てから、もう一度考えてみたんです。私は本当に幸せなのかな? って」
鈴仙はあの時、『幸せか?』と訊かれて悩んでしまった。自分が幸せであるかどうか、一瞬疑ってしまった。
「ちゃんと考えて、私は思ったんです。やっぱり、私は幸せだって」
鈴仙は、八百年前にはできなかった屈託も無い笑顔を浮かべて、無邪気に笑った。
「私は、姫様や、師匠や、てゐや、他の兎たちと生活できて、とっても幸せでした」
鈴仙の笑顔が眩しかった。
「結婚して、出産して、診察を通じてたくさんの人と交流して、孫ができて、またさらにその孫が子供を産んだりして、私はずっと幸せでした」
幸せを語る鈴仙は、輝いている。生命に満ちている。
「この幸せは全部、貴女と師匠のおかげです。私は、いつになっても、何度転生しても、何に生まれ変わっても、貴女たちへのご恩を忘れることは無いでしょう。本当に、ありがとうございました」
輝夜は一瞬、鈴仙が八百年前の姿に戻ったかと思った。
「――これが、姫様の問いに対する私の答えで、メッセージです。貴女の定説の参考になれれば、光栄です」
鈴仙は再び、にっこりと笑った。
*
それから半年後のある日、永遠亭に魔理沙が訪ねてきた。
魔理沙はその辺で遊んでいた妖怪兎を捕まえると、
「永琳と輝夜に会わせてくれ」
と、言った。
「重大な話があるんだ」
数分後、魔理沙、永琳、輝夜の三人は、永琳の仕事部屋に集まった。
魔理沙がいつもとは違う真剣な顔をしているため、永琳と輝夜は何事かと思った。
「それで、重大な話ってなんなのかしら?」
永琳が魔理沙を促す。
「鈴仙が死んだ」
その瞬間、二人の時間が少し止まった。
「…………貴方、言い方を少しは考えなさいよ」
永琳がようやく口を開く。
「悪いな。私はちょっと今気が立ってるんだ」
魔理沙が苛立ったように言う。
魔理沙の眼が若干充血していることに、二人は気がついた。
「昨日の夜、鈴仙は子供たちに看取られて静かに息を引き取ったそうだ。それで、明日葬式があるからお前らも出席して欲しい、だとさ」
魔理沙はそう言うと、不機嫌そうに「まったく、あいつも人が悪いぜ。私がいないうちに勝手に逝っちまうなんて……」と呟いた。
「魔理沙」輝夜は魔理沙に訊ねる。「なぜ、貴方がそれを伝えに?」
「ああ、私個人がお前に言いたいことがあったから引き受けたんだ」
「私に?」
魔理沙は輝夜に向き合うと、「お前、昔私に、『長く生きているとたくさんの苦しみと対面する』みたいなこと言ったよな」
「……言ったかしら?」
「言ったぜ。私はちゃんと律儀に憶えてる」魔理沙は帽子を脱ぐと頭をかいた。「それで、確かにお前の言ったとおりだった。捨虫の魔法で不老長寿になってから、今回の鈴仙のことも含めて、私の周りの奴はたくさん死んだ。正直、かなり悲しかった。私より後に生まれた奴らが、私よりも先に死んでゆく。はっきり言って苦痛以外の何物でもなかった。……だけどな――」
魔理沙は帽子を被りなおし、真っ直ぐに輝夜を見据えた。その眼は輝いている。とても知人の死に文句を言っていた者とは思えない。
「あいつらと共に過ごした日々を思ったら、そんなのちっぽけなものだって思えてきたんだ。どんなに悲しくても、辛くても、幸せだったことを思ったら、そんなの霞んで見えたぜ。――輝夜、お前は私に『なぜ人は長寿を求めるのか』って訊いてきたよな? 私は、幸せを手に入れるためだと思う。その幸せはどんな小さいものでもいい。どんなに小さくったって、悲しみも苦しみも帳消しにしてくれるんだ。――これが、不老長寿を手に入れた人間、霧雨魔理沙の答えだ」
言い切ると、魔理沙は二人に背を向け部屋から出た。
「魔理沙」
輝夜は魔理沙を呼び止める。
「貴方は、いつまで生きるつもりなのかしら?」
その問いに対し、魔理沙は、
「気が済むまで」
と答え、立ち去っていった。
「――身体の成長は止まってしまったみたいだけど、精神は随分と成長したみたいね」
その魔理沙の姿を見て、永琳は呟いた。
*
それから、たくさんの時が流れた。
――千年。
――一万年。
――十万年。
たくさんの時が流れても、幻想郷は――永遠亭はそこに在り続けた。
しかし、永遠に在り続けるものなど存在しない。やがて、永遠亭が、幻想郷が、地球が、太陽系が、宇宙が、世界が滅んだ。
だが、蓬莱人たちは生者必滅の理を無視して、何も無い――なんでも無い場所に存在し続けた。
輝夜は待ち続けた。音も光も時間も無い空間で、身一つで丸くうずくまりながら、新しい世界が生まれるのを待ち続けた。
輝夜は思い続けた。永琳を、鈴仙を、てゐを、イナバたちを。新しい世界で、皆と共にどう生きるか考え続けた。
もう、あんなくだらない定説なんてしたりしない。幸せに、ただ幸せに、どんなに辛く苦しくても幸せに生きるんだ。
輝夜は新たな世界を強く強く願った。
願って、願って、願い続けた。
思い、願い続けた輝夜はやがて――月の姫になった。
*
幻想郷のとある竹林に、月から逃げ出した兎がいた。
彼女は月の部隊のエースだったが、月面戦争で仲間の死に直面し、戦争と死から逃れるために地球の幻想郷へと降り立ったのだ。
彼女は仲間を捨てた自分の行動を深く呪った。何度も自らの命を絶とうと考えたが、死ぬのが怖くて自害することができなかった。
彼女は自分の運命を恨んだ。どうして自分はこんな苦しい思いをしなければならないのか。なぜこんなにも人生は不公平なのか。彼女は疑問に思いながらひたすら恨んだ。
そんな彼女に、一人の少女が手を差し伸べた。
「貴女は、月の兎ね」
「……貴女は?」
「私は――蓬莱山輝夜」
少女は――輝夜は答えた。
「さあ、イナバ。いきましょう。幸せになるために」
姫様が幸せになれますように。
壮大で淡々としていて、
まさに私が夢想する、永遠亭の姿。
蓬莱人の行く末。
良いものを読めました。
ラストの輝夜は、ジョジョみたいに一巡した後また同じ位置に収まった。
と言う認識で良いんでしょうか?
結構勘違いされてる方もいるようですがそんな設定はありません。
ネタならネタで楽しめるんですが、どうもそういう感じではなかったので……。
まあ、そんな感情超越しているんでしょうけど。
何故かエヴァとドラゴンボールを思い出したり、
しみじみとユーモアは人生に必要だと感じたりしました。
それにしても永い時間は反則だ。ありきたりだって、そう思ってるのに、いつだって強く私の胸を打つ。
それではいま一度、苦悩と喜びに満ちた生を始めましょう。素晴らしいお話でした。
ただ最後のほう、ちょっと端折りすぎかな?でも面白かった
ただ、
>貴女の出家を
出家:世俗を離れ、家庭生活を捨てて仏門に入ること
とありますので、この場合はそぐわないかと
また、
>這入っても
>這入る
ですが、
間違いではないらしいのですが、
入っても・入る のほうが一般的なようです
鈴仙…いや涙腺がぁ…
姫様、幸せになってくれ!
いい意味でな!
実は裏設定とかで鈴仙を孕ましたのは魔理沙だったりとかいやなんでもない
実に面白かった。