「無名の丘をさらに奥へ行ったところには鬼も逃げ出す恐ろしい妖怪がいるらしい」
私はちょっとした気まぐれで、幻想郷にやってきた。
今日はどんな奴を虐めようかな~なんて考えながら人間の里でお茶を飲んでいると、そんな話が聞こえてきた。
くわしい話を聞いた私は、早速その『恐ろしい妖怪』を虐めに行く事にした。
南側の幻想郷の外れにその妖怪はいるという。
土地が南に向かったすり鉢状になっていて遠くからは見つけづらい形状になっていた。
――コンコン
「はい、どなたでしょうか?」
その妖怪が住むと言う小屋のような家。
そこの戸をノックをすると、でてきたのはクセの強い髪の毛とジト目が特徴的な少女だった。
「私は……」
「風見幽香さん」
「え?」
いくら私が力の強い大妖怪と言っても、幻想郷まで名前が広まっているとは思えない。
なぜ目の前の妖怪は私の名前を知っているのだろうか?
「『なぜ名前を知っているの?』ですか。申し遅れました、私は古明地さとりと申します」
彼女はそう言うとさらに言葉を続けた。
「『恐ろしい妖怪がいると聞いて戦いにきた』ですか。それはそれは、遠いところからわざわざご苦労様です」
彼女は私が考えていることを口にしていた。
「……あなた心を読むのね?」
「ええ、私は覚りですから」
さとりはニヤリと笑った。
「なら話が早いわ、早速始めましょう!」
私もニヤリと口を歪める。
そして……。
「嫌ですよ。私は戦いは得意ではありませんし」
「なんでよ! 今明らかに戦いが始まる感じじゃない!?」
「そう言われても戦いが得意では無いのは本当の事です。もし戦ったとしてもあなたを満足させることはできないと思います」
そう言われては仕方が無い気もする。
その気のない奴と戦っても、面白くないし。
でもわざわざ幻想郷の外れにまできてすぐに帰るのはなんか癪にさわるのでこんな提案をした。
「だったらお話でもしましょうよ。中に入ってもいいかしら?」
さとりは少し考えたあと
「いいわよ、いまお茶をいれますね」と答えた。
実際にさとりと話をしてみると、意外と面白い奴だった。
能力を使って悪いことしすぎたせいで、こんなところに追いやられたのかと思ったがそんなことはなさそうだ。
だったら何故こんな誰も来ないところに住んでいたのだろうか?
私は軽い気持ちで聞いてみることにした。
「『あなたはなぜこんなところに住んでいるのかしら?』ですか」
「先に言わないでくれる?」
さとりはすみませんと謝ったあと
「ここは人間はおろか妖怪も近づかない場所にありますので私も妹も気が楽なんですよ。みんな心を読む能力を嫌いますし、自分を嫌う感情を読んでも楽しくありません」
「あなたは嫌われるようなことをしたのかしら?」
「覚りの能力を持つだけで嫌われるのですよ。嫌われると分かっているのに仲良くなろうというのは愚かなだけでしょう?」
それを聞いた私は何故か腹がたってきてつい反論してしまった。
「そうかしら? 私は無駄だと分かっていても、努力をするべきだとおもうわ。私はね『能力のせいで』って考えが大嫌いなの」
私がそう言うとさとりの胸にある第三の目が私をジロリと睨んだ。
「でもあなたは自分の『花を操る程度の能力』にコンプレックスを持っているわね……」
「そんなわけないでしょ?私は自分の能力に誇りを持っているわ!」
「わたしの前では嘘も強がりも通じませんよ。」
さとりの第三の目はさらにジロジロと私を睨む。
「あなたは誰よりも強い妖怪でありたいとおもっている、でも冥界の姫のように能力に恵まれているわけでもないしスキマ妖怪のように種族に恵まれているわけでもない」
さとりはさらに続ける。
「だからあなたは努力をした。 誰よりも努力をしてそこらへんの妖怪なんか簡単に倒せる程度の妖怪になった、でもどんなに努力してもかなわない妖怪がいる。そいつらはみんな能力や種族に優れた奴ら……だからあなたは自分の能力にコンプレックスをもっている」
たしかにその通りかも知れない、心の底では自分の能力に対するコンプレックスがあったのかもしれない。
でもおかげで自分が何に腹をたてたのかわかった気がした。
「その通りよ! だからあなたの逃げ腰が苛々するの。そんな能力があれば妖怪の頂点に立つことだって難しくないはずよ!」
「私は別に妖怪の頂点に立つつもりはありません、それに覚りの能力が優れていると本気で思っているのですか? 相手の心を丸裸にして相手が知られたくないことも私が知りたくないことも見えてしまう呪われた能力が!?」
私にはさとりの能力が良いものなのかそうでないのかわからなかった。
でもそのとき私は初めてさとりの感情的な表情を見た気がする……。
答えに迷っているとさとりは
「ごめんなさい、取り乱したわ。 今日は帰ってくれますか?」
「ええ……邪魔したわね」
「さよなら、その気があるのならまた会いましょう」
私が家を出る寸前にさとりはどこか寂しそうに笑ってそう言った。
夢幻館に帰ってきた私はずっとさとりについて考えていた。
別れ際のあの表情が忘れられなかったのだ。
心を読む能力故に嫌われる妖怪
しかしあんな場所にいたら理解してくれる友人もできず、ただ嫌われて続けるだけではないか?
それとも誰とも関わりたくないと思うくらいに裏切られてきたのか……
いろんな事を考えているうちに、私はある決意をしたのだった。
「らしくないわね・・・・・・」
次の日も私はさとりに会いに来た。
――コンコン
「あら、幽香……まさか本当に会いに来るとは思わなかったわ。今日はどんな用事で?」
言われた私は昨日決意したことを考えた。
さとりの能力はやはり便利である。
考えるだけで意思がが伝わるから恥ずかしい事を口にしなくてすむのだから
……だが、さとり自体が意外とひねくれていた。
心を読んださとりは顔を真っ赤にしながらもニヤリと笑った。
そしてもう一度同じ質問をした。
「今日はどんな用事で?」
こいつが嫌われているのは能力だけじゃなくて性格にもある気がした。
「あなたの友達になりに来たわ!」
こうなったら自棄だ、考えた時点で私の負けなのだから。
多分私の顔も真っ赤になっているのだろう。
「多分後悔することになるわよ?」
「私には読まれて困る事なんてないわ」
「『だから私はあなたを嫌わない』ですか。でもそれがいつまで続くか分からない」
「自分で言ったことを曲げるのは嫌いなのよ」
「『それに私もそんなに友達いないし』ですか。なら仕方ないわね、私が友達になってあげるわ」
昨日とキャラが違う気がするが、多分こっちが素だろう。
私はそれを友愛の印と受け取ることにした。
「よろしくね、さとり」
そう言って彼女にキキョウの花を一輪。
さとりはそれを受け取ると可愛い笑顔をうかべた。
「ありがとう、そしてよろしくね幽香」
(まったく・・・・・・らしくないわ)
私は心の中でつぶやいた。
私はちょっとした気まぐれで、幻想郷にやってきた。
今日はどんな奴を虐めようかな~なんて考えながら人間の里でお茶を飲んでいると、そんな話が聞こえてきた。
くわしい話を聞いた私は、早速その『恐ろしい妖怪』を虐めに行く事にした。
南側の幻想郷の外れにその妖怪はいるという。
土地が南に向かったすり鉢状になっていて遠くからは見つけづらい形状になっていた。
――コンコン
「はい、どなたでしょうか?」
その妖怪が住むと言う小屋のような家。
そこの戸をノックをすると、でてきたのはクセの強い髪の毛とジト目が特徴的な少女だった。
「私は……」
「風見幽香さん」
「え?」
いくら私が力の強い大妖怪と言っても、幻想郷まで名前が広まっているとは思えない。
なぜ目の前の妖怪は私の名前を知っているのだろうか?
「『なぜ名前を知っているの?』ですか。申し遅れました、私は古明地さとりと申します」
彼女はそう言うとさらに言葉を続けた。
「『恐ろしい妖怪がいると聞いて戦いにきた』ですか。それはそれは、遠いところからわざわざご苦労様です」
彼女は私が考えていることを口にしていた。
「……あなた心を読むのね?」
「ええ、私は覚りですから」
さとりはニヤリと笑った。
「なら話が早いわ、早速始めましょう!」
私もニヤリと口を歪める。
そして……。
「嫌ですよ。私は戦いは得意ではありませんし」
「なんでよ! 今明らかに戦いが始まる感じじゃない!?」
「そう言われても戦いが得意では無いのは本当の事です。もし戦ったとしてもあなたを満足させることはできないと思います」
そう言われては仕方が無い気もする。
その気のない奴と戦っても、面白くないし。
でもわざわざ幻想郷の外れにまできてすぐに帰るのはなんか癪にさわるのでこんな提案をした。
「だったらお話でもしましょうよ。中に入ってもいいかしら?」
さとりは少し考えたあと
「いいわよ、いまお茶をいれますね」と答えた。
実際にさとりと話をしてみると、意外と面白い奴だった。
能力を使って悪いことしすぎたせいで、こんなところに追いやられたのかと思ったがそんなことはなさそうだ。
だったら何故こんな誰も来ないところに住んでいたのだろうか?
私は軽い気持ちで聞いてみることにした。
「『あなたはなぜこんなところに住んでいるのかしら?』ですか」
「先に言わないでくれる?」
さとりはすみませんと謝ったあと
「ここは人間はおろか妖怪も近づかない場所にありますので私も妹も気が楽なんですよ。みんな心を読む能力を嫌いますし、自分を嫌う感情を読んでも楽しくありません」
「あなたは嫌われるようなことをしたのかしら?」
「覚りの能力を持つだけで嫌われるのですよ。嫌われると分かっているのに仲良くなろうというのは愚かなだけでしょう?」
それを聞いた私は何故か腹がたってきてつい反論してしまった。
「そうかしら? 私は無駄だと分かっていても、努力をするべきだとおもうわ。私はね『能力のせいで』って考えが大嫌いなの」
私がそう言うとさとりの胸にある第三の目が私をジロリと睨んだ。
「でもあなたは自分の『花を操る程度の能力』にコンプレックスを持っているわね……」
「そんなわけないでしょ?私は自分の能力に誇りを持っているわ!」
「わたしの前では嘘も強がりも通じませんよ。」
さとりの第三の目はさらにジロジロと私を睨む。
「あなたは誰よりも強い妖怪でありたいとおもっている、でも冥界の姫のように能力に恵まれているわけでもないしスキマ妖怪のように種族に恵まれているわけでもない」
さとりはさらに続ける。
「だからあなたは努力をした。 誰よりも努力をしてそこらへんの妖怪なんか簡単に倒せる程度の妖怪になった、でもどんなに努力してもかなわない妖怪がいる。そいつらはみんな能力や種族に優れた奴ら……だからあなたは自分の能力にコンプレックスをもっている」
たしかにその通りかも知れない、心の底では自分の能力に対するコンプレックスがあったのかもしれない。
でもおかげで自分が何に腹をたてたのかわかった気がした。
「その通りよ! だからあなたの逃げ腰が苛々するの。そんな能力があれば妖怪の頂点に立つことだって難しくないはずよ!」
「私は別に妖怪の頂点に立つつもりはありません、それに覚りの能力が優れていると本気で思っているのですか? 相手の心を丸裸にして相手が知られたくないことも私が知りたくないことも見えてしまう呪われた能力が!?」
私にはさとりの能力が良いものなのかそうでないのかわからなかった。
でもそのとき私は初めてさとりの感情的な表情を見た気がする……。
答えに迷っているとさとりは
「ごめんなさい、取り乱したわ。 今日は帰ってくれますか?」
「ええ……邪魔したわね」
「さよなら、その気があるのならまた会いましょう」
私が家を出る寸前にさとりはどこか寂しそうに笑ってそう言った。
夢幻館に帰ってきた私はずっとさとりについて考えていた。
別れ際のあの表情が忘れられなかったのだ。
心を読む能力故に嫌われる妖怪
しかしあんな場所にいたら理解してくれる友人もできず、ただ嫌われて続けるだけではないか?
それとも誰とも関わりたくないと思うくらいに裏切られてきたのか……
いろんな事を考えているうちに、私はある決意をしたのだった。
「らしくないわね・・・・・・」
次の日も私はさとりに会いに来た。
――コンコン
「あら、幽香……まさか本当に会いに来るとは思わなかったわ。今日はどんな用事で?」
言われた私は昨日決意したことを考えた。
さとりの能力はやはり便利である。
考えるだけで意思がが伝わるから恥ずかしい事を口にしなくてすむのだから
……だが、さとり自体が意外とひねくれていた。
心を読んださとりは顔を真っ赤にしながらもニヤリと笑った。
そしてもう一度同じ質問をした。
「今日はどんな用事で?」
こいつが嫌われているのは能力だけじゃなくて性格にもある気がした。
「あなたの友達になりに来たわ!」
こうなったら自棄だ、考えた時点で私の負けなのだから。
多分私の顔も真っ赤になっているのだろう。
「多分後悔することになるわよ?」
「私には読まれて困る事なんてないわ」
「『だから私はあなたを嫌わない』ですか。でもそれがいつまで続くか分からない」
「自分で言ったことを曲げるのは嫌いなのよ」
「『それに私もそんなに友達いないし』ですか。なら仕方ないわね、私が友達になってあげるわ」
昨日とキャラが違う気がするが、多分こっちが素だろう。
私はそれを友愛の印と受け取ることにした。
「よろしくね、さとり」
そう言って彼女にキキョウの花を一輪。
さとりはそれを受け取ると可愛い笑顔をうかべた。
「ありがとう、そしてよろしくね幽香」
(まったく・・・・・・らしくないわ)
私は心の中でつぶやいた。
ということも書かれていたほうが良かったのではないでしょうか?
今の状態も悪くはないのですけど、面白いとまでは……。
でも、書いていけば面白くなるでしょうし
次回などに期待しています。
いまだと説明不足