Coolier - 新生・東方創想話

地底に埋もれた恋の花

2009/01/14 23:45:51
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 紅魔館の誇る巨大図書館。そこで一人の魔法使いがある本を探していた。目当ての物は妖怪覚について。いつもは魔導書を見境なく持ち去る魔法使いにあって、ある妖怪に限定して探し物をするのは珍しい。ずいぶん昔の妖怪が出てきたな、と図書館の主は訝しがったが、口には出さずにははぁ例の地下異変で何かあったのかいなと勝手に結論した。幻想郷の地下には、忌み嫌われた妖怪たちが住まう。妖怪覚もそこにいて何ら不思議はない。きっと異変解決のついでに覚と弾幕勝負でもしてきたのだろう……と。やがて数刻が経ち、魔法使いは数冊の本を見繕っていた。それらに書かれているのは妖怪覚たちの末路。その能力が故に疎まれ、嫌われ、殺されていった血の歴史。







 

   表象「夢枕にご先祖総立ち」







 また今日も酷い夢を見てしまった。種族が、家族が、そして妹までもが追われる夢。その能力が故に疎まれ、嫌われ、殺されていった歴史の反芻。最初に見ず知らずの誰かさんが一人殺され。今度は顔見知りの何とかさんが三人殺され。次は友達、そして両親。最後に残ったたった一人の妹までも、凶気に満ちた生き物が襲う。そんなところで夢が醒める。



「これで5日連続。新記録だわ……」



 記録を更新した少女はさとり。姓を古明地といい、心を読むことができる妖怪・覚の末裔である。今でこそ地底の主然なりとしているが、地上に居た頃の迫害は酷いものであった。その少女の見たものであるから、実体験入り混じった悪の正夢、正に悪夢というに過言ではない。いまだ興奮冷めやらぬさとりが息を整えていると、扉が荒々しくノックされペットの猫が入ってきた。



「さとり様さとり様、なんだかこいし様の様子が!」

「おはよう、燐。こいしがどうかしたの」

「あ、おは、おはようございます。実はこいしさ……ってさとり様も大丈夫ですか!?」



 夢の所為で顔色を青くしている主人の姿を見、燐の混乱はより極まった。しかし主人は落ち着き払って燐をたしなめ、ついでに自身の無事も伝えた。お陰で燐もいくらかの平静を取り戻せたようである。



「で、何があったの燐」

「それがその、こいし様が…とにかく来てください!」



 燐に連れられ、さとりはこいしの部屋へと向かった。

部屋の中はほの暗いものの、こいしの眠るベッドにだけは薄っすらと外光が差し込んでいた。それも棒状の光が枕元にずらりと。

「夢枕に立つご先祖達ね」

 ポツリと漏らす傍ら、燐はこいしの元へ駆け寄りこいし様、こいし様としきりに肩を揺らしている。あんまり激しく揺らすので、見ているこっちも気持ち悪くなってきた。



「ちょっと燐、そんなに揺らしたら起きるじゃない」

「うう、それがいくらやっても目を覚まさないんですよう」



 怪訝に思いながらもこいしの元に近づいてみたが、なるほど確かにこいしは熟睡していた。しかしその表情は苦悶に歪み、額には汗も浮かんでいる。「どうしたんでしょう悪夢でしょうかああでもものすごく嗅いでみたい頭突っ込んで」心の中でも狼狽する燐に、さとりはタオルを濡らしてくるように言った。そしてそのまま妹の心に眼を向ける。だが、



「やっぱり、見えないわね…」



 覚の持つ第三の眼。それは人の無意識までをも見ることはできない。無意識の塊であるこいしとその夢は、いくら覚とて中身を知りようがない空洞であった。

「空洞の奥がしあわせだったらいいのに」

察するに、こいしが見ているのは、おそらく、悪夢。









   表象「弾幕パラノイア」







「しかし夜も歩きにくくなったもんじゃ」「元々歩いてないでしょうに」「いんやガキが夜を歩くんじゃ」「そうじゃそうじゃ」「子供はいつだって遊ぶものだろう」「夜は遊ぶなと言っているんだぞ」「どっこい、そうはいかないよ」「あコラ子供が大人の宴会に紛れ込むんじゃない」「大人気ない、そうカッカするもんじゃないよ」「だべ」「おうこっちゃ来い」「いてぇ!足踏みやがったな」「心配するな、ワザとじゃ」「どれボウズ酒をやろう」「わーいありがとう、キャッキャ」「これあんまり飲むなよ」「ごくごく」「ああかわいいのうワシの子供も生きてりゃこのくらいか」「大いに同情するべ、おーいおいおい」「ええいこっちは辛気臭いのう」「そう言いなさんな」「こっちのヒゲもそっちのハゲも、みんな子供をやられてもうた」「それくらい知っとるわい」「空しい話よのう」「妖怪相手じゃ打つ手もなか」「なんでも心を読んでは人を食うとか」「「おっそろしい」」「ヤツらの住処にゃ動物も寄り付かん」「動物も分かるんじゃなあ」「分かるって何を」「心を読んでくる気持ち悪さ」「いやそっちじゃないかもよ」「どういうこった」「吐き気を催す邪悪な外見なんだよ」「そりゃいいや」「確かに誰も近寄らねえ」「するってえとどんな姿かのう」「きっと醜いババァの面よ」「「あゝおっそろしい!」」「そしてさらに、おやボウズ。全部呑んじまったのか」「うん!でもおじちゃん、大人の宴会、飽きちゃった!外行ってもいい!?」



「「「「外には出るな!!」」」」





 覚たちがまだ地上に居た頃の話です。里の人間たちは、夜な夜な人里に降りてきては人を食らう妖怪に怯えていました。ある者は見ず知らずの人を食われ、ある者は顔見知りの人を殺され、そして友達や親をも無惨に殺された人もいたそうです。残された人たちは怒りに怒り、そして泣き寝入りを決め込みました。心を読む気持ちの悪い生き物は、人間なんかが太刀打ちできる相手ではなかったのです。毎晩毎晩宴会に明け暮れ、お互いの傷を肴に呑めや駄弁れやの様相です。最初はごく数人でやっていた被害者の会も、あまりに人が殺されるのですぐに村中の人が出席するようになりました。





(どうして殺した人間がいるのかな)

(そっか、これは夢なんだ)





 恐ろしいのは群集の心理です。何十度目かの宴で、あるとき誰かが「あんなヤツらやっつけちまおう」と言いました。酔いに任せたデマカセだったのですが、これに別の誰かが「こんだけいりゃあ負けるこたぁねえ」とこれまたデマカセを吐きました。ノリに任せて「そうだそうだ」と意気込む男衆。中には「オレは一家全員殺された!」と我が子の前で叫ぶ親の姿までありました。デマカセがデマカセを呼ぶ珍妙な事態に、酔いと勢いも手伝って固められた悪意の渦が止まることはありませんでした。





(私たちそんなことしてないのに)

(そりゃちょっとは襲ったよ?)

(でも人間ってば被害妄想だなぁ)





 酒に酔った烏合の衆は、人里を離れ妖怪の住処を荒らして回ります。時折妖怪の住処じゃないところまで荒らしてしまいます。衆の誰かがちょっと待ておらは人間だ!などと叫びましたが、そんなことは誰も気に留めやしません。突然の襲撃に覚たちはろくに抵抗もできず、一匹ずつ引っ張り出されては叩かれ殴られ剥がされ蹴られ投げられ踏まれの暴行三昧を味わいました。





(人間にみんな殺されてる)

(これは被害妄想なんかじゃないよね)





 とても静かになりました。自分たち以外に動くものがいなくなったので、たくさんの人間が我に帰ったのです。あたりには血と肉片が撒き散らされ、死臭らしき嫌な臭いも漂っています。事態を飲み込めた人間たちが、今度は勝利の喜びで五月蝿く騒ぎ始めました。









   本能「イドの解放」





 人間たちの凶行があった夜、さとりとこいしの姉妹だけは唯一、覚たちの集落から離れていた。さとりがこいしを連れ、住処の山を駆け回っていたからである。二人で遊んでいるときに、さとりは隙を見て姿を隠してみた。それはいつもやっている姉妹だけのかくれんぼ。こいしはさっそく鬼になって走り出した。しかし日付を越えてもさとりは見つからない。第三の眼で妖怪の心を探してみたが、どこにも映ることはなかった。このときさとりは隠れ回る疲れから野宿を決め込んでいたので、眼に映らなかったのは当然である。それでもこいしがすやすや眠る姉の姿を見つけたとき、時間は既に丑三つ時になっていた。心地良い寝息を立てる姉を起こそうか、それとももう少し寝顔を見ていようか、ちょうど迷っているときに住処の方から大きな騒ぎ声が聞こえてきた。酔った人間たちがそのイドに従い、同胞を殺す絶叫である。



 こいしは今でも、この時に姉を起こしていなくて良かったと思っている。第三の瞼は見事に固まり、閉じたくても閉じられなかった。人間たちの狂喜と狂気の素敵なイドが瞳を潤し、かと思えば覚たちの断末魔がひっきりなしに映りこむ。恨みでもなく、悲しみでもなく、本能によって殺される同胞たち。見ているこっちまで本能が疼いていた。この世のものとは思えない宴を、自分の眼だけが独占できたから。そのあと自分だけが殺戮できたから。

















 バラは紅い花です。辺り一面咲き誇ればそれはそれは綺麗な紅い絨毯に見えるでしょう。

 この地上でも、一人の妖怪が血をバラに見立てた絨毯の上で踊っていました。BGMは賑やかな喧騒です。















 おや、静かになりました。









   抑制「スーパーエゴ」





 さとりは起きるとすぐ、三つある目を全部疑った。そのうち顔についている二つは、あたり一面撒き散らされた血と肉片を。体に巻きついている一つは、遠くにぼんやりと浮かぶ、見たこともない本能を。

 散らかっているのは誰だろう。人か覚か、そのどっちにも取れる。向こうに転がっているのもそうだ。いろいろ混ざっているので、幼い私には分からない。じゃああの壊れかけた心は誰のものだろう。人ではない、強い本能しか見出せない。強いのは分かるけど、強すぎるのかな、ジッと見てると……



「………ぇうっ!」



 さとりは腹の底からくる嫌悪感に耐えられなかった。見るだけでこっちまで狂ってしまいそうな、ドス黒い本能。ああ、きっとこいつが犯人なんだ。みんなを殺して回ったんだ。みんなの血を浴びて、それで出来上がった血染めの黒。

 自己保存の本能が、それ以上視るなと訴えかける。





『……えちゃん!』



 それでもなお、心の持ち主が近づいてくる。やめて、来ないで。来ると「何か」が何なのか分かってしまう。来ないで、来ないで心の持ち主さん。私はあなたを覚りたくない!



 さとりの願いも空しく、ドス黒い何かは歩みを止めない。ついにさとりは瘴気に当てられ気を失ってしまった。後になってからさとりがこの時のことを懸命に思い出そうとしても、自我が拒んでしまう。思い出したら取り返しがつかなくなりそうだった。











   反応「妖怪ポリグラフ」





 起きたと思って近づいたら、また気絶しちゃった。こんな場所にいるんだから、それも当然だと思う。でもちょっと、妖怪にしちゃあ弱すぎるんじゃないかな。まぁ、それは大丈夫。だって、私こんなに強かったんだから。本能のまま暴れられるなんて、とっても素敵。だから大丈夫、お姉ちゃんは私が守れるもの。これなら人間がまた襲いに来ても安心ね。それにしても、これからどうしよう。もう皆いなくなっちゃったし、ここにいてもどうしようもない。もっと殺したいのにな。もっと殺したいな。





 人の狂気や断末魔、すべての強烈な感情をこいしは見すぎた。なおかつそれらを全て受け止めるには、果たして彼女は幼すぎた。そして最後に自らの感情までもが暴れ出した。もはやこいしの心は元の模様を保つことはできなかった。心はたとえようのない程黒ずみ、そして暗闇の霧の中へと溶け込んだのである。

 心の機微に敏感な覚として、自身がどういう状況かを分からないはずがない。このまま毒霧の中に留まれば、自我はやがて跡形もなく霧散してしまうだろう。そうなったこいしが生物としての理を取り戻せるのか、保証できるものは誰もいない。しかし、こいしはその事実を受け容れてもいい、とすら感じていた。さっき人間にしたように、一途なまでの殺戮に勤しむ日々。自我からも他人からも抑圧されない、甘い誘惑。そのときは、まず一番手っ取り早く殺せるヤツから殺してしまえばいい。それはとっても楽しいことだと思われた。



 ……私は、私の心は何を考えているの? 一番手っ取り早く殺せるのって、誰? 仲間もいない、友人もいない。これから私の傍にいるのはお姉ちゃんじゃない。私がこのまま壊れたら、お姉ちゃんを殺すつもりなの? 喜んで殺すつもりだったの?



 こいしは心を捨てる手前で、さとりの存在を思い出した。ついさっきまで守ろうとすら思っていた存在。その大切な存在を「喜んで殺す」気にさえなっていた己を知り、

 黒く塗られた絵は、もうどうすることもできない。上から何色を塗って修復しようとも、全てが暗い渦に飲まれてしまう。こいしはその修復し得ない己を知り、そして自身を恥じるように殻となって閉じこめた。この心は治らない。外に出してしまえば、きっといつかお姉ちゃんを殺すだろう。暗く堅い殻の下には、強烈な感情が押さえ込まれている。だがしかし姉であっても、この感情の正体を知ることはできない。





 気持ちの悪そうな吐息と共に、ようやくさとりが復帰した。



「お姉ちゃん、今度こそ起きたのね! 大丈夫?」

「ええ、まだふらふらするけど」



 そう言ってさとりの背中を撫でながらも、こいしは顔の横から屈託のない笑顔を覗かせる。今までにない程無垢な笑顔に、さとりは少なからず違和感を覚えた。



「……ねぇこいし、これは誰?」



 紅いバラの絨毯を指差し、さとりが尋ねる。この質問には困ってしまった。はて、自分が犯人ですと名乗り出たものか、それともこれが何かを答えたものか。



「うーんとね、分かんない」

「…そう」



 結局、お茶を濁してしまった。覚相手に嘘など意味がないというのに。もっとも、お姉ちゃんなら心を読んで理解してくれるだろう。そんな気概もあった。

 対するさとりは今すぐにでも、状況を整理しておきたかった。ここが覚たちの住処なら、死体もやはり覚のものだろう。友人や親の安否が気にかかったが、今は自分と妹の安全だ。もしさっきの殺戮犯がまだ近くにいるなら、こいしの身は私が守らなくちゃならない。さっきまであんなに怯えていたのに、心は驚くほど冷静だった。得体の知れないものが心を抑え付けている、そこから動じようにも動じなくなっていた。

 とは言ったものの、手がかりのこいしは何も教えてくれない。こうなったら……。

 さとりはすぐに第三の眼を妹に向けた。



 さっきまでのさとりなら、その光景を見ただけでもう一度失神していただろう。覗き込めば吸い込まれそうなほど暗い心は、これまで見たことがなかった。しかし今は動じない。失神することで現実から逃げられないかしら、とも祈ったが心に芽生えたものが邪心を抑えている。

 仕方なく、それでも妹の機微を見逃さないように努めながらさとりは聞いてみた。

「こいし、あなた……何があったの」

「うーん……分からない!」







 嘘をつけば心が揺れる。覚たちはそうして吐かれる幾千の揺らぎを見てきた。殻を被ったこいしの心はしかし、何の反応も返さなかった。



 抑え込まれた心と、閉ざされた心。姉妹の心は繋がっているように装えても、決して隣り合うことはないだろう。











   無意識「弾幕のロールシャッハ」





 さとりが二枚目のタオルを濡らしていると、こいしがようやく目を覚ました。額に乗ったタオルをはらりと落として、こいしは姉の姿をまじまじと見つめる。いつの間にか体を起こしていた妹に気づき、さとりは声をかける。



「まだ寝ていた方がいいわ」

「やだなー、大丈夫だよお姉ちゃん」

「あんなにうなされてたじゃない」



 そう言って再び自分が持つタオルに目をやる。と、目を離した隙にこいしは部屋を出て行ってしまった。仲間が襲われて以来、妹が持ってしまった放浪癖。今日もさとりはそれに振り回されそうだ。実際のところ、追いかけるつもりはないが。ため息をつきながら、手持ち無沙汰に濡れタオルを絞ってやる。燐はリンゴを切るといって出て行ったきりなので、部屋に響くのは自分の水音だけだ。

 ふと、悪夢について考えを巡らす。自分も妹も、おそらく同じ悪夢にうなされている。いくら心が読めないとしても、最愛の妹のことぐらいは分かっているつもりだった。あの悪夢が見せる事件で、姉妹は何もかも変わってしまっている。

 タオルを絞りきり、思考をいったん中断したさとり。だが水音は止まない。どうやら外から聞こえてくる音があるようだった。窓の外に目をやると、果たしてそこではこいしが水を撒いていた。



 彼女はバラに水をやっていた。このバラ達はいつだったか、こいしのペットが種を持って帰ってきた。捨てるのももったいないので家の側で育てていたら、気づけばそこは立派なバラ畑になっていたというわけである。もうずっと何年もこいしが世話をし続け、バラもそれに応えるようにむちゃくちゃに紅く染まっていた。

 こいしがこんなにも根気強くバラを育てるのには、少々訳がある。その昔、家にあった花辞典には、バラの花言葉が「恋」だと書かれていた。他にも「愛」とか「無邪気」もあった気がするが、印象強いのは「恋」の一文字だけだ。それは一途で、どこまでも凶暴な感情の暴走。そして自分の中に眠る本能。バラはそれらの象徴なのだ。こいしはこれを知ってからいっそう気に入り、自分を愛しむように、あるいは慰めるようにこのバラを育て続けていた。



 さとりは一心不乱に水を撒き続ける妹の姿に気をとられ、器に入っていたタオルを中の水ごとひっくり返してしまった。床に広がった水は、部屋の主を象徴するバラの花びらに見えた。









   復燃「恋の埋火」

   深層「無意識の遺伝子」





 覚の仲間が殺されてから、さとりとこいしはふたりぼっちになってしまった。元々姉妹でいることが多かったが、これから二人でいることは少々別の意味合いを持つことになる。さとりは仲間を殺した影に怯えながら、こいしは姉を殺そうとする自分の影に怯えながら、相手のことを守ろうと決めていた。

 しかし現実はかくも非情である。地方を転々としながら山や里に移り住んだが、自分たちが覚であると分かった途端に迫害を受けた。理由は様々であったが、どれも能力が故に忌み嫌われることが多かったようだ。



 最早地上に留まる道理はない。どこにいっても遭ってしまう悪意の前に、さとりは段々と鬱蒼とした性格になり、こいしも自分の行動を制御できなくなってきた。

 故に、覚は地上から姿を消す。







 床のバラを拭き取りながら、さとりはまだ過去のことを思い出していた。いつもはすぐにでも頭から振り払おうとするのに、何故だか今はそんな気持ちにはならなかった。







 地下に潜って数年が経った。安心と思われた地下ですら、心を読む能力は疎ましがられた。さとりは決断の末、誰彼構わず心を読みまくることにした。そのうち畏怖の念でも抱かれれば、地底で大きい顔ぐらいはできるかもしれない。そこには夢にまで見た、迫害のない生活が待っている。こいしを守るためにも、これだけはやらなくてはいけない、と。

 皮肉にもその計画はこいしの暗躍で成功した。暴力による統治と言えなくもない、すなわち地霊殿の完成である。かくして、殺戮に恋焦がれる少女の埋火は今に至る。



 「埋火は、掘り起こして煽ぐだけでまた燃え盛る、か……」

 水をたっぷり浴びて、満足げにゆれる目下のバラを見ながらさとりはまた呟く。地霊殿は完成したが、鬱蒼とした少女も、無意識で動く少女も、病はどちらも治ってはいなかった。地底に潜った二人の心は、今も埋火のように燃え出しそうだ。



「そう、どちらも治ってはいない……」



 さとりはさっき拾ったカードを裏返す。それは「無意識の遺伝子」と銘打たれたスペルカードだった。正しく現状で持つこいしのラストスペル。さとりは過去に一度だけ見た妹の戦闘を想起し、思わず目を伏せる。



「覚が一番恐れるもの、それは無意識。こいし……あなたが無意識に飲み込まれたら、一体どうなってしまうの」



 さとりはカードを机の上にそっと戻して、部屋を後にしたかった。窓の外を未確認な飛行物体が飛んでいたので、未遂に終わったのである。思わず窓から身体を乗り出し、世にも間抜けな呆れ顔をその物体に晒していた。



「おおっと、神奈子。妖怪だ、さっきの館に妖怪がいるよ」

「本当だ。ちょいと挨拶していこうか」



 未確認な飛行物体がこちらへ旋回してきたので、いよいよもってさとりは恐怖した。神だからだろうか、第三の眼には何も映らず、そして身は竦むばかりである。



「やあ、裏の庭の持ち主かい? まずは勝手に立ち入った無礼を許してくれないか」



 立ち入った無礼も何も、正体を明かさないことが無礼千万だ。さとりの唇はそう動き、怯える口からは息だけが漏れた。結果としてできた沈黙を肯定と受け取ったのか、小さい方が語り出す。



「ちょっとあそこの地獄鴉に用があってね」

「なあに危害は加えちゃいないさ」

「そうそう。じゃあ早苗が待ってるから、またね」



 さとりが質問する間もなく、怪しすぎる二人組はあっという間に地上へ向かって飛び去っていった。





 ともかくも、庭にいる鴉たちが何かされたのは間違いないらしい。さとりは急いで部屋を出ようとした。窓から見知った地獄鴉が飛び込んできたので、これもまた未遂に終わったのである。呆れた様子を顕にしながら、さとりはその鴉の名前を呼ぶ。



「私も窓を使えば部屋から出られるのかしら。ねぇ空?」









   「嫌われ者のフィロソフィ」





 失敗すれば、皆から徹底的に嫌われる。それが何だって言うの。

 あの後、私は逃げるように地底へと逃げた。敵意の視線からじゃない、妹から逃げ出したのだ。何にもできないことを責められ、いつ捨てられるかを恐れていた。地底に逃げ延び、館の主になることで使命を果たしたつもりになっていた。その使命だって、守ってあげるという途方もなく自分勝手な思い上がり。本当は守れる力すらないのに、使命だといって責任感に浸っていた。ペットを与えたのも、そのペットにバラの種を持たせたのも、全ては保護者を気取っていたから。私が何かを与えるたびに、妹は笑顔になっていく。心を閉ざし、いつも笑っていることなど知らないで、私はその笑顔がただ自分だけに向けられていると思っていた。

 だがもう逃げることはない。彼女に嫌われたって構わない。それでもし彼女が救われれば、「嫌い」に何の価値があったものか。これは私の哲学。嫌われ者の、フィロソフィ。







 空が部屋に飛び込んできたあと、事情をいち早く(空よりも)理解したさとりは、すぐに行動に移った。悪夢を見るたびに味わってきた自分の無力感。それらをすべてチャラにしてくれる出来事が、とんだ神の気まぐれで起きたらしい。

 いや、実際にはこれから出来事を起こす。ペットたちを広間に集め、これからする行動について淡々と語った。そして最後に一言、「私はこいしを救いたい」と頭を下げた。それだけを聞くと、ペットたちは三々五々に散っていった。





 自分には異変を起こすだけの力がない。しかし空が地上に向かって温泉を沸かせ、燐がそこに怨霊を乗せればそれは立派な異変になるだろう。地底と地上の妖怪に結ばれた契約のせいで、あのバケモノ達は手を出せまい。だから解決しに来るのは非常識な人間か、あるいはとても非常識な人間だ。その人間の心を読み、非常識な人間ならこいしに会わせる。非常識なそいつのことだから、こいしの狂おしいまでの恋心を受け止めてくれるだろう。私のいた地上にも、私のいる地底にもそれができる者はいない。頼みの綱は私の知らない地上だけというわけだ。

 地上から追い出された者が、結局は地上の者に頼る。そんな滑稽な計画を練り上げ、さとりは一人苦笑する。いや、策士の笑みと表現すべきか。



「ねぇお燐、結局私は温泉に入ってればいいの?」

「だからおくうは温泉を沸かすんだって」

「うにゅ?」





 ペットたちは、三々五々に散っていく。みな一様に飼い主への忠義心を躍らせながら。

 放棄と放任主義は違う。私がやることはやった。後はみんなに任せるだけだ――















「あ、さっきの街で買い物すれば良かったな」



物陰からそっと声を伺う。異変を起こして数週間、どうやらついに非常識な人間が来たようだ。



(でも、何か住人が見あたらないわ。・・・猫はいたけど)

声は二人するけど、見える人影は一人だけ。これなら大丈夫ね。



「大丈夫だ。誰もいない家の家捜しをするのは基本中の基本だ」



 訂正。とても非常識な人間だった。でもそっちの方が好都合かもしれない。とりあえず、ずっと隠れていると家を荒らされそうだったので姿を晒すことにする。そっちの方が心も確かめやすい。



「・・・誰かしら?」

 声をかけられ、ようやく白黒をした人間がこっちに気づく。のんきなものだ。

「人間・・・?まさかね、こんな所まで来られる筈がない」

「大丈夫だ。人がいる家の家捜しをするのは基本中の基本」

(話を聞いた方が良くない?)



 こっちの嘘を気にも留めずに、白黒は腹話術に興じている。どうやら人形は地上にいる誰かさんに繋がっているようだ。そっちの心は遠すぎて読めなかったが、お陰で人間の心を読むことに集中できる。



「ああ、もっと温泉を湧くようにして欲しいんだがどうすればいいんだ?」



 呆れた、のうのうと嘘を吐いてくる。どうやら私の正体を知らないようだ。いまさらだが自分が忘れ去られた存在なのだと思い知らされた。今度図書館で調べておきなさい。



「・・・貴方は考えている事と正反対の事を言っているのね」

「あん?」

「貴方は今湧いている温泉に疑問を持ち始めている」

「どういう事だ・・・?」

「私はさとり、この地霊殿の主です。私には一切隠し事は出来ません。私には貴方の心が丸見えなのです」



 挑発が決まった。妖怪覚の能力に恐怖を覚えない相手はいない。相手はたちまち私を攻撃するか、恐れをなして逃げるかの二者択一を迫られるだろう。逃げるような人間じゃこいしを救えないから、また振り出しに戻るだけ。そしてもし攻撃してきたら……

痛い目を見るのは嫌だけど、それはまぁ仕方ない。



「・・・え?なんだって?」(・・・さとり!地上から追放された妖怪よ。心が読める危険極まりない能力の持ち主。勝ち目はないわ)「うへぇ、それは嫌だな」(間欠泉の調査でこんな所に来させられるなんてもしかして、さっきの鬼に騙されたのかなぁ)「鬼は嘘吐かないと思ったが・・・多分、こいつが何かを知っているんだろ?」



予想の斜め上を行かれた。目の前の白黒は、攻撃するでもなく、逃げるでもなく、長々とイチャイチャしていた。



「・・・『心が読めるなんて嘘っぽいな』」

「およよ」

「・・・『どうせ倒せば解決するんだろ?』ですか。・・・『面倒だ、戦っちゃおうぜ』ですか、好戦的ね」



 再度挑発を試みる。実際のところ、好戦的になっているのは私なのだが……。いや、負けることが前提だから好戦的とは言えないか。



(魔理沙・・・あんたねぇ)

「いいじゃねえか。心が読めるのは本当みたいだな。今はもう戦う事しか考えてないぜ!」



 やっとですか。





 白黒の放つ光弾をかわしながら、私はもやもやとした疑問を抱えていた。かわした緑色のミサイルが壁で爆ぜつつ、魔法使いの心を見ていたからだ。魔法使いの心の中には、時折物騒な弾幕が浮かんでいた。それはどこまでも一途で、凶暴な感情の暴走。こいしの言葉を借りるなら、「恋」だ。心象は確かに恋と呼べる代物だったが、決定的にこいしのそれとは違う。もしかすると、この人間なら……



 痛いっ。だから戦いは苦手だ。





「なかなか強かったわ。でも、貴方の目的は私を倒す事ではない」

「心が読めるのなら嘘を吐く必要もあるまい。そうだ!間欠泉の秘密を探りに来たんだ!そうしたら鬼がこの屋敷に行けと・・・」

「初めからそういえば良かったのに。私は貴方と戦う必要なんて・・・・・・間欠泉が問題なら確かに私のペットの仕業かも知れません。調べたいのなら中庭を開けてあげましょう」



 私は彼女達を中庭へと誘導する。彼女の実力なら空に負けることはないだろう。全てこちらの期待通りに進んでいる。



「『その前に家捜しを・・・』ですって。それは許可しません。さっさと中庭へ向かってくださいね」

「ちえっ」



まったくもって期待通りだ。





 白黒が中庭へ潜っていったのを見届け、急いで猫の姿の燐を呼ぶ。



「燐、こいしはどう」

「ちゃんと部屋の中にいますよ」

「そう。じゃあこのまま魔法使いの道案内を続けて頂戴」



 時間がないので、聞きたいことだけを聞いて燐を送り出す。あとは家で大人しくしているこいしを連れ、これこれこういうわけだから友人になってください、と頼み込む。あの魔法使いがこいしにとっての救いの光になれば、計画完了だ。

 そういえば光る眩しい魔法を使っていたわね、とひとりごちて私はこいしの部屋をノックする。返事を待たずにドアを開け、そして、目を疑った。部屋の中には誰もいない。さっきまで確かに燐に見張らせていたのに。そんなまさか。



 自分が助けようとしている病にまたしても打ちのめされたが、さとりの心は不思議と折れることはなかった。頭はこの計画を修正するため、かつてないほど回転していた。もし家の外へ出ていたらアウト、砂漠に落ちたゴマを探すようなものだ。だから家の中を徹底的に探す必要がある。万年引きこもっていたお陰で、体はほとんど言うことを聞かなかった。今彼女の燃料となっているのは心のほかあるまい。











 こっちの部屋を開けては撃ち落されたペットに睨まれ、そっちの部屋に入ればもぬけの殻だった。いったい誰がこんな広い館にしたのか。大きい家を造れば、そこはかとなく地底の主っぽくなる! と考えた若い自分を叱ってやりたかった。既に体は悲鳴を上げ、足は棒になっていた。空を飛ぶこともできない。執念一つでようやく地霊殿の全ての部屋を見て回ったが、どこにもこいしはいなかった。万策尽きたさとりは最後にこいしの部屋へと戻ろうとしていた。その姿たるや、死期を悟ったゾウの如し。

 倒れこむようにしてこいしの部屋に闖入したさとりは、虚空に向かって「なんだこいしそこにいたのね」と遺言のように吐いてダウンしてしまった。ついに部屋の中に動くものはいなくなった。外からは、水音だけが聞こえてくる。















 どーんと表すべきか、それともどかーんか。どっちにしてもやかましい轟音が部屋中に響く。中庭から出てきた魔法使いに向かって、誰かが威嚇射撃をした音だった。あれからどれほど経ったのだろう。衝撃でくらくらする頭をもたげ、さとりは黙考した。今の音は何だ? 空は地底奥深いところにいるから、彼女とやり合う弾幕音ではない。すると空以外の妖怪か。でも地底にこんな力を持った妖怪なんて……

 嫌な予感が頭をよぎった。体を襲う憎き疲労共の一瞬のスキをつき、さとりは窓へと飛び起きる。



「異変を解決したと思ったらすぐこれか、地底は怖いな」

(魔理沙!今の爆発音は何?無事なの!)

「さっきは太陽が爆発しても平気だったぜ」



 見ればこいしが育てたバラの畑の上で、白黒の魔法使いが忙しなく身を翻していた。違う、私が探しているのはこっちじゃない。



「その太陽っておくうのこと? あんなになったおくうを倒すなんてすごいわ。貴方を倒してお姉ちゃん達を呼べば、話の種になるに違いないわ!」



 ああやっぱり。こいしがバラ畑のど真ん中に居座っている。

 思いもしない形でファーストコンタクトが為されてしまった。でもこの魔法使いは目論見通りとても非常識な人間だったし、このまま友達になればこいしを救うことになるやもしれない。でも奇襲してきた妖怪と友達になれるのかしら。

 さとりが計画について成功か失敗かを決めかねる中、バラ畑の二人は口上を続ける。





「わくわくするのよ、強い人間って」

「ラストダンジョンに潜ってこっちはへとへとだぜ、人形もいっこしかない」

「そうやって潜ってきた貴方を殺せるかと思うと、心が恋焦がれるように熱くなるわ!」



 あんなに見たくないと思っていたのに、ついにさとりは生涯で二度目のこいしの戦闘を見ることになった。目は本能を曝け出し狂気に走っている。だから心もそうだろう。「眼」には映らないが、彼女の心は足元にある紅いバラのように咲き乱れている。







 大弾と小弾、時折収束されるレーザー。どちらも紙一重のところで避け続け、二人は反撃と回避を器用に繰り返す。それでもなかなか決しない勝負に、ついにこいしは奥の手……現状のラストスペル、「深層『無意識の遺伝子』」を取り出した。周囲の弾幕を意識に入れず相手へと一直線に襲い掛かる様は、確かに殺戮に恋焦がれる少女のものだった。



「あ、危ないだろ! 当たったらどうするんだ」

「もちろん殺すのよ! 一途でどこまでも凶暴な感情の暴走、私の恋で!」



 魔法使いはいったん弾幕を撃ち止め、無理な体勢から強引に回避に移ろうとする。しかしこいしはその防衛本能すら踏み躙り、纏った巨大な妖気ごと身を叩き込んだ。これがさとりならひとたまりもないだろう。衝撃の瞬間、それも一瞬だが、強烈な光が生まれた。



「うーむ、最後の人形が……だから当たったらどうするのかって言ったんだ」



 反射的に瞼を閉じたさとりが慌てて目を見開くと、どうやら魔法使いは一緒にいた人形を犠牲にすることでなんとか回避したらしい。あのまま直撃を受けていたら、無事では済まされなかっただろうと少し胸を撫で下ろす。



「それで身代わりも最後ね。次で殺すわ」

「さっきから殺す殺すって物騒だな」



 ラストスペルの消費が大きいのか、こいしも攻撃を中断する。小康状態に入った戦闘で、再開のタイミングを示し合わせるように言葉を紡ぎあっていた。



「それが恋だからよ」

「一途でどこまでも凶暴な感情の暴走、だっけか。そりゃ殺されても文句は言えないな」



 魔法使いがにやりと笑い、優雅な動きでポケットに手を入れる。できた隙を見逃さず、こいしは頭上に浮かぶ敵に突っ込んでいった。戦いに疎い私でも分かる、魔法使いは誘っているのだ。こいしの恋心を。





「でもそれは違うぜ。恋ってのは“どこまでも一途で、凶暴な感情の暴走”だ」





 どこまでも一途で凶暴な光が、こいしを優しく包み込んだ。凶暴な光が優しく包み込むというのは、我ながら可笑しな表現だったが。魔法使いの心を読んで納得した。



(恋符『マスタースパーク』)

(恋ってのはこういうもんだ)



 ただ恋焦がれた少女が、恋の魔法使いに勝てるわけがない。

 撃ち出された一途な光は、こいしをバラ畑ごと新しい色に塗り替えていった。









   「サブタレイニアンローズ」







 次の日こいしの部屋を訪れてみると、ちょうど出かける時分だったらしい。邪魔をするのも悪いので、昨日マスターにスパークされたバラの畑は世話しなくていいの、とだけ聞いた。ところが妹はいつもと違う笑顔と、いつもと違う言葉だけを残してさっさと出て行ってしまった。地底のバラも、バラの心も変わり始める。

 その次の日もこいしの部屋を訪れたが、やっぱり出かけるところだった。もちろんその日も邪魔をする気にはならなかった。バラの畑があと一撃で更地になるわよ、とだけ伝えておいたが、やっぱりさっさと出て行ってしまった。地底のバラも、バラの心も変わっていく。

 今となっては、バラ畑は見る影もない。こいしが育てた恋の花は、果たして誰かに摘まれたようだ。そしてそろそろ次の花を植えてもいいと思う頃合。件の魔法使いから面白い植物の種でももらってこようか。







 それから、こいしが新しくラストスペルを二つ作った。ラストなのに二つあるというのは不条理だが、こいし曰く「私たちは二人一緒、隣にいたのを思い出した」とかなんとか。私とこいしが一つずつラストスペルを模しているのだろうか。名前を教えてもらってないので、私には知りようがない。
こんにちは。



薔薇は色によって、たくさんの花言葉があります。

中でも紅い薔薇の花言葉はこいしそのものではないでしょうか。



薔薇を敷き詰めた庭とかで戦うのがいかにも似合う少女。

今回はそのファーストコンタクトを捏造させてもらいました。





それでは、ここまで読んで下さりありがとうございました。
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コメント



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9.100煉獄削除
やはり二人の過去にはかなり厳しいものがあるのでしょうかねぇ……。
でも、そんな話だからこそ引き込まれる何かがあり、
面白い話だったのだと思います。
さとりとこいしのこれからは、どのようなモノになるのでしょうね。
面白いお話でした。