注
百合含みます。特に『妊娠』など。
そういったものが苦手な方はプラウザバックお願いします。
「第1124回紅魔首脳会議。始めるわよ」
紅魔館の一室。広く造られた部屋の中央にある円卓を囲んで、紅魔の顔とも言うべき面子が集う。
当主レミリア=スカーレット。その妹フランドール=スカーレット。メイド長十六夜咲夜。門番紅美鈴。友人兼参謀パチュリー=ノーレッジ。それぞれ上座から順に着席していた。
そして会議はレミリアの口から重々しく始まったのだ。
ちなみに会議とは名ばかり。体面を気にするレミリアによって紅魔首脳会議と重厚な名が付けられているが、実際は仲の良い紅魔の面々による家族会議。例えば、前回の議題は美鈴の不眠症について、という身内内の悩み事などであった。
円卓に肘をつき、顔の前で手を組んだレミリアが口を開く。
「小悪魔。今日の議題を説明しなさい」
「はーい」
ここで待機していた、小悪魔が入室。
ガラガラと大きなホワイトボードを引いて、レミリアの後ろに設置した。
キュポっとペンの蓋を外し、ホワイトボードにつらつらと字を書き始めた。
『妹様の懐妊について』
「はい。今日の議題は妹様の懐妊について、です。事の発端は妹様が自分の体型に違和感を覚えて体重計で計ってみた所、日を追う事に増えている。太る心当たりがないため、試しに妊娠検査薬を使用した所、反応ありでした、と。お腹の様子からみると3~4カ月は経っているかと思われます」
原稿を読むように小悪魔は、はっきりした声で告げた。
重かった。恐らく紅魔首脳会議始まって以来の重い空気だった。フランドールを除くメンバーは黙祷するかの如く黙り込んでしまった。
普段、てきとうに話し合い、少し時間が経てばいつの間にか談笑に変わり終わってしまうような会議が今日はまるで葬式のような重々しさだ。
「と、言う訳よ。これは看過できない問題。フランは外に出ない。つまり、我が妹に手を出した不届き者が身近にいるという事よ。よって今日はこの部屋にいる者から洗うわ」
そう言ったレミリアの瞳には涙が溢れていた。
普段から妹を溺愛しているレミリア。それは他のメンバーも知っていたし、妖精メイド達にも周知の事実。そんな妹が妊娠。妹を強く想うレミリアの顔は辛く見えたし、事実辛いのであろう。
「この中に心当たりがある者。正直に手を挙げなさい。今なら無罪放免よ」
威圧を含んだレミリアの声が静かに部屋に響く。
最後の無罪放免という言葉に疑念を抱きつつも、メンバー達は素直に自分の胸に手を当て考える。
……果たして自分はフランドールと間違いを犯してしまっただろうか。まだ幼いフランドールと身体を交えてしまうという、過ちをしてしまっただろうか。
ほんの数秒が何時間にも感じられる。まるで熱いヤカンに手を触れて我慢するように時が長く感じられた。
そして、レミリアが言葉を発し、それから数分経ったのち、ふらふらと手が挙げられた。
まさか本当に犯人が居たとは。互いに互いを信用していたメンバーには衝撃的な事実であった。
「……」
言った本人、レミリアだった。
咲夜は涙を流し、美鈴は天を仰ぎ、パチュリーは溜め息を吐き、小悪魔は苦笑し、フランドールはもそもそとミカンを食べていた。
「……無罪放免、よね? 私が決めたんだもの。当然よね?」
□ □ □
「はい、仕切り直し。今回はこの私、パチュリーが進行を務めるわ。こあ、議題を説明しなさい」
「はーい」
小悪魔は再びペンの蓋を外し、ホワイトボードにつらつらと字を書き始めた。
『レミリア様の処遇』
「はい。今日の議題はレミリア様の処遇について、です。事の発端は妹様の妊娠が発覚し、その原因がレミリア様でありました。妹様はまだ幼く、赤子を産める準備が整っていないのに関わらず孕ませてしまったレミリア様の処罰について取り決めします」
原稿を読むように小悪魔は、はっきりした声で告げた。
「と、言う訳よ。これは看過できない問題。妹様の身体は幼く、出産するには早すぎる。それを知りながら過ちを犯したレミィには然るべき処置をあたえないと。……で、レミィ。言い訳はある?」
「いえ……」
僅か数分で上座から下座に座らせられるレミリア。心なしかその声にも覇気がない。
ここぞとばかりに咲夜が尋ねる。
「そもそもどういった経緯でそうなってしまったんですか」
「いや、秘蔵のワイン開けたら、その……ね?」
「…………」
「な、なによその目は! しょ、しょうがないじゃない。身体が温まって酩酊状態だったんだもの。そんな時にこの愛らしい我が妹が部屋に訪ねて来たのよ!? 耐えられると思う!? そりゃまあ、ちょっとは強引だったかもしれないけど……」
もそもそとオレンジを食べていたフランドールを指差し、レミリアは必死に言い訳を始めた。
「いい歳して強姦とは……レミィ……とりあえず、しばらくは地下室に謹慎ね」
「殺生な! フランのお腹が大きくなっていくのを見届けたいのに!」
「命を取らないだけマシでしょ?」
パチュリーのゾッとする言葉に対しても、レミリアには反省の色が見えなかった。目を見開き、立ち上がる。
ちなみに美鈴が「近親だけに謹慎……ぷぷっ」と笑っていたが華麗にスルーされた。
「問題は妹様ね。幼いから発達不十分の骨盤が出産時に危険を催すわ。通常出産は無理よ。…………中絶する?」
「それだけは絶対駄目!!」
レミリアが力を込めた瞳でパチュリーを睨みつけた。
同時に常識人、小悪魔も同意する。
「パチュリー様。それはあまりにも、なんといいますか……安易では?」
「そうね。……まぁ、私もそれはあまりやりたくないんだけど。だとしたら別の方法を考えないと駄目よ。スキマみたいな便利な能力はないんだから」
スキマとは、八雲紫の能力を示す。つまり、スキマ出産である。
母体の子宮にスキマを開き、へその尾を切る。これで終了。
母体にも胎児にも負担はなく、短時間で済む。ただし感動はない。
咲夜が意見する。
「帝王切開でしょうか」
「まぁ、産むと仮定するならそれがベストでしょう。となると心配なのは母体への負担なんだけど……その辺りはどうなの? レミィ」
「吸血鬼を舐めない事ね、パチェ。蝙蝠一匹の肉塊が残れば、それで再生できるわよ」
「でも、痛いでしょ?」
「痛いわよ」
「……」
「……」
「お腹をパカッと開いて、胎児を取り出すのよ?」
「……う、聞いただけで痛いわ」
「まぁ、低体温法なりマンドレイク使うなりして少しは和らげられるけども」
ちなみに美鈴が「帝王切開ってなんだか桃太郎みたい……パカッとして誕生……ぷぷっ」と笑っていたが華麗にスルーされた。
「それ以前に私は産むか産まないかもう少し慎重に考えないといけないと思うのだけど」
「何を言ってるの! 産むに決まっているでしょう! 後継者もできるし、私とフランの子供うふふ、もできて一石二鳥じゃない!」
「あのー」
「でもねぇ。出産するにも開腹しなきゃあならないし、妹様の事を考えたら一概に『産む』が最良の選択とは限らないのよ?」
「あのー」
「う……で、でも吸血鬼は出産なんかで命を焼くような種族じゃないわよ。精神力だって並の妖怪の比じゃないんだから」
「あのー」
「でもそれは一般論でしょう? 地下で育ち、経験が圧倒的に少ない妹様が精神力に優れているとは思えないのだけど」
「あのー」
「なに? 美鈴」
「なに? 美鈴」
先ほどから口を挟みこむ、美鈴に返事する2人。
口論がヒートアップしていたので放置する形になっていたが、ちゃんと2人の耳まで届いていたのだ。
美鈴はシリアスな瞳で意見する。
「私は産む、産まないにしろ妹様の意見を取り入れた方がいいと思うのですがー」
「美鈴……」
「貴女……」
まともな事も言えたのか。
その場に居た全員がそう思ったが誰も口にはしない。紅魔館は皆仲良しなのだ。
「ご、ごほん。確かに美鈴の言う事に一理あるわ。私とした事がその所を見落としていたわね」
パチュリーは改めて、ペロペロとレモンを舐めているフランドールに向き合う。
「で、そのあたり妹様はどう考えているの? レミィの子を堕胎する? それとも痛い思いしてでも産む?」
だがフランドールはパチュリーには目もくれず、姉のレミリアを睨みつけた。
「……お姉様」
殺気を含む低く暗い声で呟くフランドール。今日初めて口を開く。
お姉様。その一言の威圧感だけでその場に居た全員が身を強張らせ、萎縮してしまった。
鋭く輝く紅い瞳は姉を真っ直ぐ見据え、まるで獲物を狙うハンターのようだ。その瞳に揺らめく炎は憎悪か。
その様子にパチュリーらは姉妹の激しい殺し合いの火蓋が切って落とされるかもしれないと考え、とっさに身構える。
「私……私は……」
フランドールが膨らみ始めたお腹を支えながらゆっくりと立ち上がる。
そして右手を姉に向け、花が咲くようにように五指を開く。
(能力を行使するつもりか!?)
咲夜は主の身に危険を感じ、慌てて懐中時計に手を伸ばす。
だが時すでに遅し。フランドールは指を勢いよく握り締めてしまった。
全員は、あっ、として瞳を閉じるが、いつまで経ってもレミリアの身体が砕け散る音はしなかった。
咲夜が恐る恐る目蓋を開くと、まず、フランドールの手先に違和感を感じた。
……五指全ての指が閉じられてはいないのだ。
人差し指、中指以外の三指を閉じ、ピースサイン。つまり示した指の数は2本。
「私は女の子2人がいいな!!」
「解散!! 撤収!! ゲホッゴホッ」
パチュリーが今までにない大きな声で号令を出す。レミリアとフランドールを除いたメンバー全員は甘過ぎる物を口にした時のような顔でさっさと引き上げていってしまう。
今日もスカーレット姉妹はバカップルであった。
うーえーあー。何かツッコミたかったけどもうどうでもいいやww
1124って何か考えてたら『いい妊娠』か!
この時点でおかしい
え?違うんですか?
これ、もっていきな。
あとがきのフランドールの台詞に激しく同意せざるをえません。
ところで誤字?報告ですが以下の台詞は改行が変ではないでしょうか?
>「それ以前に私は産むか産まないかもう少し慎重に考えないといけないと思うの
>だけど」
結婚式には是非。
結婚おめでとう
常識が通用しねえ…!
バカップル姉妹に祝福を
氏の作品がこちらでも見れて嬉しいです。
御祝儀いくらがいい?
「幻想郷では常識に囚われてはいけないのですね!!」
と、早苗さんが言っていたwww
笑わせていただきましたw 天晴れ
吸血鬼は確かチューで妊娠するのではなかったでしたっけ?
最初にレミリアが犯人だと直ぐわかったのでなんかねぇ
でも「そそわでの性描写に関するチキンレース」という時点でアウトじゃないでしょうか
よそでやってください
悪ノリし過ぎないようにね。
それとこれに性描写はないしアウトの要素なんてないと思いますよ
中盤までシリアス期待してたんで肩透かしだったけど面白かった。
他になかったのかもしれませんが、単語は不適切かなと。
人のジャスティスは否定せんが
みんな幸せなんだから問題ないさー
中絶、ダメ、絶対。
注意書きをもうちょっと強く書けば良かったのかな?
とりあえずおめでとう!
なにそれこわい
どういうことだ 何が起こった
何をされたのかさっぱり分からないけど
とりあえず80点
そして、さいごパッチェ頑張った!
最後の最後でフランちゃんが全部持って行きましたねw
なんか、過敏に反応してる方がいるようですが、
自分はごくごく普通の不条理系ギャグだと思いました。
この作品で真に自重すべきはレミリア。
あと、氏名を=で繋いでいますが、正しくは・で区切ります。
例えば、「ジャン=ポール・サルトル」とした場合、「サルトル」が名字で、「ジャン=ポール」が名前になります。「ジャン=ポール」はジャンとポールで区切られておらず、「ジャン=ポール」で一つの名前になります。
姉妹は仲良く。
この注意書きがすべてだった
おそろしあ