「アリス、今日も来たぜ」
「いらっしゃい、今日はどんな紅茶が良い?」
霧雨魔理沙は前からほぼ毎日私の家に来ていた
「今日はストレートでもらおうかな」
「たまにはあなたも紅茶の葉を持ってきなさいよ」
「はは、考えておくぜ」
只単にお茶を飲み本を読みに来る毎日
そんな毎日ではなく私はつい違う毎日を求めてしまった
(「ねぇ魔理沙、あなた毎日来るならいっそ私の家に住まない?」
「じゃあそうさせてもらおうかな」なんてことにならないかしら...)
私は勇気を振り絞って言うことにしてみた
「ね、ねぇ魔理沙、あなた私の家に住まない?」
「いや、駄目だ」
即答だった
いや、分かっていたけども...
なんで?と私は聞いた
「アリスと私は寿命が違うだろ?」
その言葉に私は頷く
「私も今は若くない、だからこの若い姿を保つにも限界があるのさ」
と彼女は言った、そんなこと私は気にしないのに
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あれから相当の年月が経った
「アリス~今日も来たぜ~」
「いらっしゃい」
彼女がこの家に居る時間は段々と短くなっていく
前は殆ど一日中居たんだけど...
「今日はジャムを持ってきたぜ、紅茶に頼む」
「あら、気がきくのね。ありがとう」
私はカップに紅茶を注ぎながら言った
「ねぇ魔理沙、今日は泊まっていかない?無理なら良いけど」
「あぁ良いぜ。」
私は嬉しかった
夜通しで話しあって...紅茶を飲んでいたかったのに気づいた時には眠ってしまったらしい
そして朝になり私はとなりで寝ているはず居るはずの彼女の姿を探した
「...魔理沙?」
返事は無い
だけど私はテーブルの上の書置きを見つけた
『私のこの姿を見られるわけに行かないからな、先に帰らせてもらう』
私はその手紙を読みながら考えたくもないことを考えてしまった
魔理沙はあとどのくらい生きていられるのだろうか
魔理沙はいつまで私の家に来られるのだろうか
そんなことを考えていたら涙が出てきて止まらなかった
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それからまた数年が経った
「魔理沙今日来るの遅いな...」
もう夜の8時を回っている
外から箒のカサカサという音が聞こえてきた
ガチャ
ドアノブが回る音がして魔理沙が入ってくる
そしていつもどうり私は紅茶を出し、本を広げる
私は本を目で見ている。見ているだけだった
―――沈黙が部屋に広がる
でも私は何も言わない。いや、言えなかった
なんとなく分かるのだ。彼女の寿命が近いのを
その沈黙を破ったのは魔理沙だった
「アリス、私は明日からは来ない。賢いお前のことだから何でだなんて聞かないだろ?」
とうとう来るべきあの時が来てしまったらしい
「あなたのことだから地獄に行きそうね。さようなら」
私は微笑ながら言った
「そうかもな、でも地獄から動物にでもなんにでもなって帰ってきてやる...またな」
私は別れの言葉を言った...だが確かに彼女はそう言った
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魔理沙がそういって家を出てから私は三日三晩泣き通し、何も喉を通らなかった
そして出る涙も無くなり、私の生活は元に戻り始めた
でも―――家の紅茶は減らない
「それはそうよね、殆ど魔理沙が飲んでいたようなものだもの」
誰が聞いている訳でもない独り言を呟やき、淹れ方を忘れかけていた紅茶を久しぶりに淹れることにした
それを庭で飲んでいると
「シャンハーイ」
「どうかした?上海。あら...」
足元に黒猫が居た
「どうかしたの?黒猫さん」
黒猫は何も言わずに紅茶を見ていた
「あら、何か食べる?」
その猫がなんとなく頷いたような気がする
そして私は家から食べ物を出して黒猫にあげた
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そんな毎日が一ヶ月ほど続いた
今日も猫は来ている
私はあるはずもないことを期待して猫に聞いてみた
「実はあなたが魔理沙なんじゃないかしらね、どう?」
猫はニャーと答え、今度は別の方向から声が聞こえた
「バカ、そんな訳ないだろ?」
どこからか声が聞こえてきた。
その声を聞いた瞬間涙が出てくる
「私はここに居るんだからその猫は私なわけがない」
あぁ、いつもの魔理沙だ
「ただいま」
「おかえりなさい」
ただ、魔理沙は転生して戻って来たのでしょうか?それが気になります。
お幸せに。
マジすか、よければタイトル教えてくれると嬉しいです。
てかそうなると俺がパクリになるのか…?
作品については個人的にもっと長めに書いてほしかったなぁ
という感じですね
アリスの悲しみが伝わってきて思わず涙目になってしまいました。
これからも頑張ってください!
同人誌の作品名とか出していいのかわからないので、儚月抄の作者さんの本とだけ