Coolier - 新生・東方創想話

私と彼女の出会い

2010/10/25 22:04:14
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皆さんこんばんは…いえ、こんにちはの方もいるかもしれませんね。
私は紅 美鈴と申します。
誰に話しかけてるかは、禁則事項ということで。






今日は‘彼女’についてお話したいと思います。
そうですね、ではまず最初に彼女が紅魔館に来た時のお話からしましょうか。










あの時の彼女は来たばかりというのもあってか、人に懐くことはありませんでした。
まるで他人を信用していないという瞳をしていました。
私が近づいただけでも殺気を放って、近づいてくるな、と言っているようでした。
でも小さかったのでそこまで怖いとは思いませんでしたが…。








彼女は館ではひとりでいること多かったです。
妖精メイドたちが彼女に話しかけようとしたら殺されかけた…。
なんて話はしょっちゅうでした。
それでもこの館の者たちは彼女を追い出すようなことはありませんでした。
なにしろレミリアお嬢様のお気に入りでしたから。
そんなに簡単に追い出すなんてことは誰も出来なかったんです。






それからしばらくすると、館の皆さんに少しづつですが懐くようになっていきました。
その中でも特に私に一番懐いてくれて…。
何も言わずにちょこんと私の隣に座ってくる彼女はどこか可愛らしくて。
思わず頭を撫でてあげましたよ、ええ。
その時の彼女の慌てっぷりはなかなかでした。
そんな姿は私にしか見せることがないというのを知ったときは、涙が出るほどうれしかったです。







私が仕事の合間に彼女に会いに行くと、すごくうれしそうな表情をしてくれるんです。
そこまで私は懐かれているんだと思うと正直口元が緩みます。
強く抱きしめると壊れそうな気がするので、やさしく、そっと抱きしめるんです。
そうすると気持ちいいのか、彼女はすぐに寝ちゃうんです。
まだまだ子供だな、って思いました。






彼女はとても綺麗で、優雅で、優しくて。
銀色がとてもよく似合う子でした。
そして彼女はとてもすばしっこくて、いつも私にイタズラをしてきました。
いつの間にか私の隣にいたり、私が目を離した瞬間にはもうそこにはいなかったり。
とにかく彼女はまるで瞬間移動でもしているかのようにすばっしこいんです。






どんどん成長していく彼女を見るとすごく喜ばしいです。
やはり種族が違うと成長が早いですね。
私は何も変わっていないのに、彼女は変わるんですよ。
不思議、ですよね。







彼女が紅魔館に来てから10年の時が流れました。
10年とは早いもので、本当にあっという間でした。
私はいつも通りの朝を迎えて仕事に行こうとしたのですが、彼女を見ることがありませんでした。
いつもなら私が起きる時間にはもう起きているはずの彼女がいなかったんです。
私は慌てて館を探しましたが、……どこにもいませんでした。
レミリアお嬢様に相談したところ、忘れなさい、との一言だけでした。
そんな簡単に忘れるなんてこと出来るわけもなく、私は毎日彼女のことを思い出しては、泣きました。
まるで、恋する乙女のように、彼女を想い続けたのです。











それから5年後のことです。
レミリアお嬢様がひとりの人間の女の子を連れてきました。

綺麗で、優雅で、優しくて。
銀色がとてもよく似合う子でした。




……嘘です。
その頃はまだ綺麗で、優雅で、優しくはありませんでした。
ただ銀色が似合うだけの女の子でした。



その子はすぐに私に懐いてくれました。
まるで昔から一緒にいるかのように傍にいてくれました。
彼女と同じように頭を撫でるとものすごく慌てたり。
話していたら急にいなくなったりと。
見れば見るほど彼女に似ていました。



実は彼女なんじゃないかと内心思いましたが、まさかそんなわけないだろうと自分に言い聞かせました。
だって、…ありえないじゃないですか。


















猫が人間になるなんて…。






















でももし、本当に彼女だったとしたら。
彼女が私に会うために人間になったんだとしたら。

私はどうしても彼女に伝えたいことがある。



それは…
















「こら美鈴! なにサボってるのよ!」

「えっ? サボってませんよ。ちょっと考え事をしていたんです」

「…む? なにを考えてたのよ? くだらないことだったらナイフで刺すわよ」

「あはは…、勘弁してくださいよ。大丈夫です。ちゃんと意味のあることですから」

「ふぅん。で、なにを考えてたの?」

「…えっとですね」

















「私と、出会ってくれてありがとうございます。咲夜さん」
 
前に投稿した過去作品を見ていたら作品を消してしまったので再投稿しました。
まあ、寝ぼけていたとはいえ「何してるんだよ自分…」という気持ちです。

一部修正しました。
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コメント



0.1790簡易評価
4.100コチドリ削除
けしからんなぁ、作者様。
自分の記憶が確かならば私はこの作品に100点を入れたはず。
再読しましたが物語の性質上、やっぱりあの驚きを味わえないのは致し方の無い所。

初見の読者さん達が羨ましいぜ。
8.100名前が無い程度の能力削除
初見だけどいいお話でした。ちょこっと咲夜さんっていうのはそういう意味だったのね。
何気にメイド妖精を殺しかけるほどの力を持つ猫ってすげえな…
9.無評価トマトチップス削除
>コチドリ様
申し訳ないです。
いろいろ修正を加えようかと思って馬鹿なことをしてしまいました。
今度からは完全に目が覚めた状態で作業したいと思います。
11.100砥石削除
どこかで……と思ったら案の定でした。
初見の驚きこそ味わえませんでしたが、やはりそれでも素敵なお話です。
12.100奇声を発する程度の能力削除
巡りめぐって。
とても素晴らしかったです。
17.100名前が無い程度の能力削除
点数も入れ直すしかないだろう常考
作業データの取り扱いはホント気をつけないとポカやっちまいますよね
19.100名前が無い程度の能力削除
素直にだまされてしまいました。
読後感に驚きが残ったまま、ほのぼのとさせていただき、独特の雰囲気も良かったです。
21.100爆撃削除
まんまとやられたー。
いい叙述トリックでした。
でもでも確かに、咲夜さんってどこかねこの要素ありますよね
22.100名前が無い程度の能力削除
100点を付けざるを得ない
32.100名前が無い程度の能力削除
面白かったです
38.90名前が無い程度の能力削除
美鈴は咲夜に恋をしてしまったのか。
誰でも飼い猫が人間になったらって考えますね。