注意!
このSSは、作品集86内の『寒い日は炬燵に入って』の設定を受け継いでおります。
こちらだけでも大丈夫ですが、読んでおいた方が話に入りやすいかもしれません。
それではっ。
バレンタインデー。
本来、キリスト教のお祭りであるその日は、日本では一般的には恋する少女が勇気を出して、想い人に甘いチョコと気持ちを一緒に渡す日。
今回は、そんな勇気を持った幻想郷の少女たちのお話。
============================================================
-魔法の森の場合-
「魔理沙、はいこれ」
二月十四日の夜。
いつもよりちょっと豪華な夕食の後の、アリスから私への言葉。
「えっと、これ……」
「今日は、バレンタインでしょ」
私にプレゼントを渡してくるアリスは、照れているのかそっぽを向いたまま。
ことり、とテーブルの上におかれたプレゼントは、白い皿に盛られたクッキーだった。
「ああ、そうだったな。じゃあ貰うぜ」
そう言って、皿の中のクッキーを一枚手に取る。
それは星の形のクッキーだった。
白い生地にチョコチップが散りばめられているそれは、何をモチーフにしたのか、私には一目で分かった。
さくり、と一口食べてみる。
生地の甘みとチョコのほろ苦さが合さって、なんともいえない味を作り出す。
「おいしいぜ、アリス」
「そう、よかったわ」
「ああ、いつものクッキーよりもな」
へへっと笑って味に対する評価をしてみた。が、先ほどから緊張で味が分からないというのは秘密だ。
アリスは先ほどから、何やら困った様子でちらちらと窓の外を見たり、暖炉の方を見たりして、忙しない。
膝の上に組んだ手ももじもじさせていて、次に言う言葉を探しているような、そんな感じだった。
かくいう私も、たぶん傍から見れば同じような感じなんだろう。
さっきから壁に飾られてある人形や、皿に盛られたクッキーばかり目に入って、アリスの顔を見られない。
ほんの少し重い空気が流れた後、アリスがゆっくりと問いかけてきた。
「あのね、そのクッキーなんだけどね、実は……」
「私をイメージして作ったんだろ?」
「……やっぱり、わかった?」
「もちろん。白と黒で星っていったら、この魔理沙様以外にないだろ」
へへんと胸を張ってそう答える。
アリスはクスッとうれしそうに笑って、そして言葉を続ける。
「実は、それまだ完成じゃないの」
「うん? これでか?」
「うん。実はもう一つ、足りないものがあるの」
そう言ってアリスが取り出したのは小さな瓶だった。
きゅっきゅと蓋を開けて、なかから小さな粒を取り出す。
そしてそれを、とても優しくクッキーのそばにおいた。
黄色い小さなその粒は、部屋の明かりに照らされキラキラと輝いている。
「これで、完成」
満足そうにアリスはそう言って、私を見つめてきた。
正面に座っているアリスのその目は、この小さな粒と同じようにキラキラと綺麗に輝いていて、吸い込まれそうになってしまう。
「これね、金平糖なの。黄色くて星のお菓子って、私思いつかなくて。どうしようかなって思ったらたまたま見つけて、これしかないなって」
照れながら、それでいて嬉しそうに一つ一つ言葉をつないでいくアリス。
「これも、私をイメージして?」
「うん、そうよ」
白黒の星のクッキーに、寄り添うように置かれた黄色い金平糖。
「どうして、そこまでして私を表現したかったんだぜ?」
その言葉に、またもや手をもじもじさせるアリス。
「……それを、聞く?」
「ああ。当然の権利だろ?」
困ったように微笑んで、少し俯くアリス。少し息を吸い込んで、言葉を紡ぐ。
「えっとね、私の心に一番残った魔理沙を形にしたかったの」
蝋燭の明かりに浮かぶその顔は、まるで空に浮かぶ星のようにとても儚げで。
「私の心を奪った、そんな魔理沙を、作ってみたかったの」
歌うように紡がれるその声は、まるで天の川のように澄んでいて。
「大好きよ、魔理沙」
私が一番大好きな星空。そのすべてがアリスの中にある。そんな気がした。
それなのに、どうしてアリスはそんな不安げな顔をするのだろう。
言葉の無い時間が、私とアリスの間に流れる。
バクバクという心音が私の世界を支配して、前を向くことしか許されない。
目にうつるアリスは、とても心配そうな顔をして、私を見つめている。
「ま、魔理沙。返事は、もらえないの?」
震えるアリスの声で、それが現実だと理解する。
私は、アリスの声と同じように震える手を伸ばし、皿に置かれた黄色い金平糖を手に取る。
「アリス、あーん」
おそらく、私の声も震えていただろう。でも、精一杯の笑顔はしたつもりだ。
戸惑いながら、ゆっくりと口をこっちに持ってくるアリス。その小さい口に、黄色い星を優しく入れる。
そして、大きく息を吸い込んで、私なりの返事をした。
「これが答えじゃ、だめかな」
今度は震えていない、まっすぐな声を出せたと思う。
その証拠に、アリスは笑顔になったから。
「もう。こういうときぐらい、言葉でくれたっていいじゃない」
「言葉より、態度で表わすのが魔理沙様だぜ」
「……そうだったわね」
そう言って二人で笑い合う。
「あ、紅茶のおかわり淹れてくるわ」
「おお、頼むぜ」
パタパタと台所に入っていくアリスの背中を見送ったあと、持ってきた自分の袋から瓶をひとつ取り出す。
今日アリスに渡すはずだったそれは、私が選んだとっておき。
「さあて、どうやって渡そうかなぁ」
振るとカランと音のするビンの中には、光り輝く七色の金平糖が詰められていた。
============================================================
-妖怪の山の場合-
顔を真っ赤にさせて、しどろもどろな言葉とともに椛が手渡してきたのは、その顔と同じくらい真っ赤なマフラー。
「今年の冬は寒いですから」
と手渡すその手には、あちこちに傷が目立っている。
「ありがと。貰っておくわね」
そう言ってマフラーを受け取り、取材のためと言って外に出ようとすると、椛に服の裾を掴まれた。
私を見る顔はとても不安げで、警備をしている時の、凛とした顔つきとは大違い。
そんな椛を見ていると、もっと意地悪をしたくなっちゃうわけで。
「どうしたの?」
本当はわかっている。今日はバレンタインで、このマフラーが手編みだってことも、椛が私を引き止めた訳も。
でも私はそれに気付かないふりをして、椛をもっと困らせたいと思ってしまっている。
それもこれも、この娘が愛しいから。
「あの、そのですね……」
耳がへにょりと垂れているのは困っている証拠。不安な気持ちが出ているんです、と教えてもらったのは三か月前。
声が小さくなっているのは緊張している証拠。昔から治らない癖なんです、と教えてもらったのは一か月前。
ごくりと息をのんで、何かを決めたように見上げてくる目は、今日初めてみる目。新しく知った椛。
「私、文さんのことが好きです!」
その言葉を聞くために、私はあなたのほとんどを知った。
でも、あなたの事で知らないことはないんだと、言えない自分にその言葉で気づいた。
「……このマフラー。そういう意味で、受けとって貰えますか?」
じっと私を見つめる、初めてみる椛の目は今まで見たどの椛よりも綺麗で、それでいて力強かった。
椛から受け取った真っ赤なマフラーを、椛の首に巻く。
「あ……」
その瞬間、哀しそうな顔になるあなた。でも大丈夫、そんな意味じゃないから。
椛の首に回したマフラーの、もう一方を私の首に巻く。
くるくると、マフラーでつながれた私と椛の距離は限りなく零に近くなる。
唇と唇が触れてしまいそうな、そんな距離で、
「せっかくだから、こっちの方が暖かいでしょ」
できるだけの笑顔をいま、あなたに届けられただろうか。
「あ、あやさん……」
「これからも、よろしくね。椛」
「は、はい!」
そう言って、私の胸の中に抱きついてくる椛。
マフラーからだけじゃなくなった暖かさは、もう手放したくないくらいやさしくて。
だから私は、無意識の内にその背中に、ぎゅっと手をまわしちゃったりするんだろうな。
はてさて、私の懐にしまった、椛に送る予定のこの手帖。
どのタイミングで取り出したら、この娘は一番喜んでくれるのだろうか。
===================================================
-博麗神社の場合-
「紫、何これ?」
「なんでもないわよ。ただ、おまんじゅうが手に入ったから霊夢におすそ分けしようと思って」
「ふうん。じゃあ、食べてもいいのね」
「もちろん。どうぞ召し上がれ」
「あら。紅白まんじゅうだなんて、いいことでもあったの?」
「さあ、それはどうでしょう。これから良いことがあるのか、それともないのか。といったところですわね」
「何それ?」
「気にしないで」
「じゃあ気にしないけど。いただきます」
「ええ、どうぞどうぞ」
「あむあむ。あら、むらさきのあんこなんて、珍しいわね」
「そうでしょう。だから霊夢に持ってきたの」
「うん。おいしいわよこれ」
「そう。それは良かった」
「あむあむ」
「あ、あのね。霊夢」
「あむ。何?」
「あのね、えっとね……」
「なによ。さっさと言いなさいよ」
「――――――――っなんでもないわ! じゃあ私はこれで!」
「ちょっと、もう帰るの!? お茶入れるわよ!」
「いえ、用事を思い出したの! そ、それじゃあね」
「あ、ちょっと紫! 待ちなさ……」
「……スキマで逃げやがった」
「なんなのよ、もう……」
「……バレンタインなら、……そう言って渡しなさいよ」
「何が貰ってきたよ。手づくりなのがバレバレじゃない。まんじゅう自体も、この箱の包み紙も」
「……ゆかりのばか」
「はぁ。……このリボン、どうやって渡そうかなぁ」
このSSは、作品集86内の『寒い日は炬燵に入って』の設定を受け継いでおります。
こちらだけでも大丈夫ですが、読んでおいた方が話に入りやすいかもしれません。
それではっ。
バレンタインデー。
本来、キリスト教のお祭りであるその日は、日本では一般的には恋する少女が勇気を出して、想い人に甘いチョコと気持ちを一緒に渡す日。
今回は、そんな勇気を持った幻想郷の少女たちのお話。
============================================================
-魔法の森の場合-
「魔理沙、はいこれ」
二月十四日の夜。
いつもよりちょっと豪華な夕食の後の、アリスから私への言葉。
「えっと、これ……」
「今日は、バレンタインでしょ」
私にプレゼントを渡してくるアリスは、照れているのかそっぽを向いたまま。
ことり、とテーブルの上におかれたプレゼントは、白い皿に盛られたクッキーだった。
「ああ、そうだったな。じゃあ貰うぜ」
そう言って、皿の中のクッキーを一枚手に取る。
それは星の形のクッキーだった。
白い生地にチョコチップが散りばめられているそれは、何をモチーフにしたのか、私には一目で分かった。
さくり、と一口食べてみる。
生地の甘みとチョコのほろ苦さが合さって、なんともいえない味を作り出す。
「おいしいぜ、アリス」
「そう、よかったわ」
「ああ、いつものクッキーよりもな」
へへっと笑って味に対する評価をしてみた。が、先ほどから緊張で味が分からないというのは秘密だ。
アリスは先ほどから、何やら困った様子でちらちらと窓の外を見たり、暖炉の方を見たりして、忙しない。
膝の上に組んだ手ももじもじさせていて、次に言う言葉を探しているような、そんな感じだった。
かくいう私も、たぶん傍から見れば同じような感じなんだろう。
さっきから壁に飾られてある人形や、皿に盛られたクッキーばかり目に入って、アリスの顔を見られない。
ほんの少し重い空気が流れた後、アリスがゆっくりと問いかけてきた。
「あのね、そのクッキーなんだけどね、実は……」
「私をイメージして作ったんだろ?」
「……やっぱり、わかった?」
「もちろん。白と黒で星っていったら、この魔理沙様以外にないだろ」
へへんと胸を張ってそう答える。
アリスはクスッとうれしそうに笑って、そして言葉を続ける。
「実は、それまだ完成じゃないの」
「うん? これでか?」
「うん。実はもう一つ、足りないものがあるの」
そう言ってアリスが取り出したのは小さな瓶だった。
きゅっきゅと蓋を開けて、なかから小さな粒を取り出す。
そしてそれを、とても優しくクッキーのそばにおいた。
黄色い小さなその粒は、部屋の明かりに照らされキラキラと輝いている。
「これで、完成」
満足そうにアリスはそう言って、私を見つめてきた。
正面に座っているアリスのその目は、この小さな粒と同じようにキラキラと綺麗に輝いていて、吸い込まれそうになってしまう。
「これね、金平糖なの。黄色くて星のお菓子って、私思いつかなくて。どうしようかなって思ったらたまたま見つけて、これしかないなって」
照れながら、それでいて嬉しそうに一つ一つ言葉をつないでいくアリス。
「これも、私をイメージして?」
「うん、そうよ」
白黒の星のクッキーに、寄り添うように置かれた黄色い金平糖。
「どうして、そこまでして私を表現したかったんだぜ?」
その言葉に、またもや手をもじもじさせるアリス。
「……それを、聞く?」
「ああ。当然の権利だろ?」
困ったように微笑んで、少し俯くアリス。少し息を吸い込んで、言葉を紡ぐ。
「えっとね、私の心に一番残った魔理沙を形にしたかったの」
蝋燭の明かりに浮かぶその顔は、まるで空に浮かぶ星のようにとても儚げで。
「私の心を奪った、そんな魔理沙を、作ってみたかったの」
歌うように紡がれるその声は、まるで天の川のように澄んでいて。
「大好きよ、魔理沙」
私が一番大好きな星空。そのすべてがアリスの中にある。そんな気がした。
それなのに、どうしてアリスはそんな不安げな顔をするのだろう。
言葉の無い時間が、私とアリスの間に流れる。
バクバクという心音が私の世界を支配して、前を向くことしか許されない。
目にうつるアリスは、とても心配そうな顔をして、私を見つめている。
「ま、魔理沙。返事は、もらえないの?」
震えるアリスの声で、それが現実だと理解する。
私は、アリスの声と同じように震える手を伸ばし、皿に置かれた黄色い金平糖を手に取る。
「アリス、あーん」
おそらく、私の声も震えていただろう。でも、精一杯の笑顔はしたつもりだ。
戸惑いながら、ゆっくりと口をこっちに持ってくるアリス。その小さい口に、黄色い星を優しく入れる。
そして、大きく息を吸い込んで、私なりの返事をした。
「これが答えじゃ、だめかな」
今度は震えていない、まっすぐな声を出せたと思う。
その証拠に、アリスは笑顔になったから。
「もう。こういうときぐらい、言葉でくれたっていいじゃない」
「言葉より、態度で表わすのが魔理沙様だぜ」
「……そうだったわね」
そう言って二人で笑い合う。
「あ、紅茶のおかわり淹れてくるわ」
「おお、頼むぜ」
パタパタと台所に入っていくアリスの背中を見送ったあと、持ってきた自分の袋から瓶をひとつ取り出す。
今日アリスに渡すはずだったそれは、私が選んだとっておき。
「さあて、どうやって渡そうかなぁ」
振るとカランと音のするビンの中には、光り輝く七色の金平糖が詰められていた。
============================================================
-妖怪の山の場合-
顔を真っ赤にさせて、しどろもどろな言葉とともに椛が手渡してきたのは、その顔と同じくらい真っ赤なマフラー。
「今年の冬は寒いですから」
と手渡すその手には、あちこちに傷が目立っている。
「ありがと。貰っておくわね」
そう言ってマフラーを受け取り、取材のためと言って外に出ようとすると、椛に服の裾を掴まれた。
私を見る顔はとても不安げで、警備をしている時の、凛とした顔つきとは大違い。
そんな椛を見ていると、もっと意地悪をしたくなっちゃうわけで。
「どうしたの?」
本当はわかっている。今日はバレンタインで、このマフラーが手編みだってことも、椛が私を引き止めた訳も。
でも私はそれに気付かないふりをして、椛をもっと困らせたいと思ってしまっている。
それもこれも、この娘が愛しいから。
「あの、そのですね……」
耳がへにょりと垂れているのは困っている証拠。不安な気持ちが出ているんです、と教えてもらったのは三か月前。
声が小さくなっているのは緊張している証拠。昔から治らない癖なんです、と教えてもらったのは一か月前。
ごくりと息をのんで、何かを決めたように見上げてくる目は、今日初めてみる目。新しく知った椛。
「私、文さんのことが好きです!」
その言葉を聞くために、私はあなたのほとんどを知った。
でも、あなたの事で知らないことはないんだと、言えない自分にその言葉で気づいた。
「……このマフラー。そういう意味で、受けとって貰えますか?」
じっと私を見つめる、初めてみる椛の目は今まで見たどの椛よりも綺麗で、それでいて力強かった。
椛から受け取った真っ赤なマフラーを、椛の首に巻く。
「あ……」
その瞬間、哀しそうな顔になるあなた。でも大丈夫、そんな意味じゃないから。
椛の首に回したマフラーの、もう一方を私の首に巻く。
くるくると、マフラーでつながれた私と椛の距離は限りなく零に近くなる。
唇と唇が触れてしまいそうな、そんな距離で、
「せっかくだから、こっちの方が暖かいでしょ」
できるだけの笑顔をいま、あなたに届けられただろうか。
「あ、あやさん……」
「これからも、よろしくね。椛」
「は、はい!」
そう言って、私の胸の中に抱きついてくる椛。
マフラーからだけじゃなくなった暖かさは、もう手放したくないくらいやさしくて。
だから私は、無意識の内にその背中に、ぎゅっと手をまわしちゃったりするんだろうな。
はてさて、私の懐にしまった、椛に送る予定のこの手帖。
どのタイミングで取り出したら、この娘は一番喜んでくれるのだろうか。
===================================================
-博麗神社の場合-
「紫、何これ?」
「なんでもないわよ。ただ、おまんじゅうが手に入ったから霊夢におすそ分けしようと思って」
「ふうん。じゃあ、食べてもいいのね」
「もちろん。どうぞ召し上がれ」
「あら。紅白まんじゅうだなんて、いいことでもあったの?」
「さあ、それはどうでしょう。これから良いことがあるのか、それともないのか。といったところですわね」
「何それ?」
「気にしないで」
「じゃあ気にしないけど。いただきます」
「ええ、どうぞどうぞ」
「あむあむ。あら、むらさきのあんこなんて、珍しいわね」
「そうでしょう。だから霊夢に持ってきたの」
「うん。おいしいわよこれ」
「そう。それは良かった」
「あむあむ」
「あ、あのね。霊夢」
「あむ。何?」
「あのね、えっとね……」
「なによ。さっさと言いなさいよ」
「――――――――っなんでもないわ! じゃあ私はこれで!」
「ちょっと、もう帰るの!? お茶入れるわよ!」
「いえ、用事を思い出したの! そ、それじゃあね」
「あ、ちょっと紫! 待ちなさ……」
「……スキマで逃げやがった」
「なんなのよ、もう……」
「……バレンタインなら、……そう言って渡しなさいよ」
「何が貰ってきたよ。手づくりなのがバレバレじゃない。まんじゅう自体も、この箱の包み紙も」
「……ゆかりのばか」
「はぁ。……このリボン、どうやって渡そうかなぁ」
他にもツボがいっぱいでした。
っていうか、貴女のおかげで今まで好きになれなかった
マリアリとかゆかれいむが(なんか王道がいやだった)が
好きになってしまったじゃないか!
王道いいよ王道!
でも個人的にもう少し長さが欲しかったかなぁと。
でもこれはこれでGJ!ごちそうさまでした。
何だか最近甘いお話を読むと手が震える…。
節子、それ糖尿病や。治療薬に作者まりまりさで検索して全て読めば治るよ!