はじめに。
・とある祭りに投稿した作品をブラッシュアップしたものです。
・咲アリ、つまりは百合です。
・涙もろさ、乙女度共に凄まじい咲夜さん。
・親バカ…もとい、娘想いなお嬢様。
・タイトルは…適当なものがどうしても思いつかなかったんだ。すまない。
それでは、どうぞ。
「た、大変です重大です危機的です一大事ですどうしましょうお嬢さまぁぁうわぁーん!!」
「ど、どうした咲夜!?」
最近面白いことが少ない…この際もう誰でもいいから運命弄って楽しもうか。
なんて下らないことを考えつつ図書館で親友とチェス勝負に講じていた所、我が最愛の使用人兼娘の少女が飛び込んできた。
「ちょ、ちょっとレミィ!?」
「お嬢さまぁ…うぅ…咲夜はもうだめです、うっく」
その勢いは凄まじく、鋼鉄製の扉を金具ごと蹴破る程のものだったから、驚きの余り手元に存在していたチェス盤をZ軸に向かって三回転させてしまった。仮にも人間で、誰よりも瀟洒で完璧であるはずの少女がそのような奇行を敢行してきたのだから、今の行動は致し方ないことだったのだとご理解頂きたい。いやぁ、これは惜しいことをした。もう少しで私の黒の軍勢が彼女の白の軍勢を屈服させるところだったというのに。
「…どうやったらポーン四個とビショップ一つだけでキングを守るつもりだったのかしら」
おお親友よ、どうか我が心中のささやかな誇張に突っ込まないで欲しい。
言い訳ではないが、どうもこのようなボードゲーム類はあまり得意になれない。
私はくどく卑怯に駆けずり回り勝利を奪い取るような駆け引き勝負よりも、正面から正々堂々とぶつかり合う直接勝負の方が得意なのだ。
「まぁなんだ咲夜、何があったのか落ち着いて話してごらん」
とにかく、そんなどうでもいい茶番劇が繰り広げられている最中に突如この少女…咲夜は飛び込んできた。
随分酷く荒れているのだろう。掻き毟られた銀の髪は乱れ切り、感情の収まり切らない頬は紅潮し、忙しなく動く瞳には煌く水晶が輝いている。
ああ、うん。いいな。何かこう、今のこいつは無性に私の吸血行動を掻き立ててくれる。妖怪を魅了する人間など、どのような僻地を駆け抜けたとしてもきっと彼女以外存在しないことだろう。只の惚け?違うなこの世の理即ち真理だ。
とにかく、今すべきことはさっきからぐずっているこの子を落ち着かせて話を聞くことだろう。
「ええ、ええ。是非とも聞いてくださいお嬢様っ!」
「…何があったのか知らないけど図書館では静かにして頂戴ね」
「あ、パチュリー様もついでに聞いてください…ぐすっ」
「図書館なのに私はついでか」
数分後。
私達は図書館の中央ブロック最下層…その中心に位置する円卓に陣取り紅茶を味わっていた。この子がこの有様では満足に紅茶を淹れさせることもできないので、とりあえず小悪魔に淹れさせた。司書が片手間に覚えたスキルと言うだけあって味、香り共々咲夜程とは行かない。だがその辺にある専門店とは一線を駕する彼女のそれは、混乱した我々の精神を落ち着けてくれるのに十分な効果があった。
いやでも片手間でこれは凄いな。
「何を言っているのか知らないけど、この図書館は下層も無ければ円卓もないから。小悪魔の腕は確かだけど」
「雰囲気作りくらい協力してくれても罰は当たらないさ。…さてと、落ち着いたか?」
「……はい。もう大丈夫です」
いつもは使用人らしく私たちの後ろに佇むだけの咲夜も、今回ばかりは一緒に座って紅茶を啜っている。
先程まで子供の様に泣き喚いていたためか軽い幼児退行を起こしているらしく、ティーカップを両手で包むように持ちちびちびと飲んでいる。その幼子のような様は私の吸血本能を再び騒がせるには十分な破壊力を有していた。自重?皆まで言うな。
「また変なことを考えて。レミィがまともに吸血しているところなんて見たこともないわね」
「うっさいな。気分だって言ってるだろ?」
ま、実際長いこと血を直接吸った覚えは無いがな。私は高貴な吸血鬼。血を飲むにしても文化のある飲み方をするのだ。
…失敬。さっきから話がまるで進まないな。
心の中だけで頬を抓り気を入れ直し、先程から無言でこちらを見上げてくる可愛い娘に目線だけで続きを促すことにした。
「あの…ですね、ついさっきまでアリスの家で過ごしてたんです」
そういえば今日はこいつら逢瀬の日だったか。
あ?いきなりそんなこと言われても意味が分からない?
…それもそうか。仕方がない、分からない奴の為に説明するが時間もあまり無いので簡潔に言うぞ?
ずばり、魔法の森の人形遣いアリス・マーガトロイドと我が最愛の娘十六夜咲夜は少し前から付き合っている。以上だ。
何?それだけかって?それ以外に言うことがあるというのか?贅沢な奴め。……いいや待て、一つだけあったな。あくまで咲夜は私のモノだ。アリスのモノではない。そう、アリスが咲夜のものなんだ。つまり間接的にアリスも私の娘だ。ふん、いいだろう?正に両手に花だな。
…なんだその意外そうな顔は。私がアリスのことを邪険に扱うとでも思ったのか?おいおい、アリスは私の大切な娘が好きになった相手だぞ?私が嫌いになる理由があるか?何も無いだろう。あいつはかわいいし、からかい甲斐もあるし、人手不足なときには助かるし、パチェとはまた違った魔法を使えるし、とにかく言うことないぞ?
…そうだな、強いて不満を挙げるとすれば…咲夜との関係に置いて常に左側なのはどうにかして欲しいな。意味が分からない?つまりは常にスタンドだってことだ。それ以上は自分で考えろ。二度は言わん。
とにかくだ。そんなこんなで付き合っている二人は一定の間隔で束の間の逢瀬を楽しんでいた。
と言っても、咲夜はこの館のメイド長。決して平坦ではない仕事がある。アリスにだって魔女としての研究がある。すると二人の時間は見事にすれ違ってばかりになってしまう訳だ。そんなことでは満足に愛を育む時間など極僅かに限られてしまうだろう。そんな悲しいこと私としてはさせたくない。だから私は、二人に対して一定間隔ではあるが逢瀬する時間を与えた。具体的には一ヶ月に十回程度、咲夜に完全な暇を与え一日館から追い出すのだ。無茶苦茶?違うな、愛だ。
ちなみに咲夜不在の際には美鈴がメイド長役になる。不思議ではあるまい。咲夜が来る前は誰がメイド長をしていたと思っているんだ。あの子に紅茶の淹れ方を教えたのは美鈴だよ。まぁそんなことはどうでもいい。
そんなこんなで今日はアリスとの逢瀬の日だったはずなのだが…。
「それで?」
「その日は玄関先で出会い頭に抱き締め合って、いっぱいキスして、おしゃべりして、ご飯を食べて、一緒のベッドで寝て、最後にさよならのキスをしてから帰る予定でした」
「何か思ったよりも健全…なのか?分からんが。それがどうした。まさかできなかったのか?」
「あ、いいえ順風満帆でした。抱き締められてキスを五回されるところまでは」
「完膚無きまでに受身だなお前…」
「それでですね、お昼時になってご飯を食べたりアリスに『あーん』されたりして…」
それからも咲夜による赤裸々な状況説明は続いた。
が、砂吐きそうなコテコテの内容だったので詳細は割愛させていただく。文句を言うな。口の中がジャリジャリとうるさいんだよ。
…それから大体何分経ったのだろう。我が友の奏でるページ捲りの音が十数回聞こえた辺りか。
「…その後、アリスに膝枕されつつ耳掃除してもらっていた辺りでしょうか。霊夢が来たんです。用件は簡単なことでした。来月開催する予定の神事に使う装束及び小道具の製作依頼だったと思います。私には聞き覚えの無い単語が一杯出てきて、深いんだなぁとだけ思いました」
霊夢も真面目にしていれば十分信仰が集まると思うのだがね。何せあの性分だ。無理もない。人間臭く親しみを持てるが神聖さに欠ける。やはり巫女らしくない。
「そこまではよかったんです。…ええそこまではよかったんですよ!そこまでは!!」
途端に咲夜の眉間に痛々しい皺が寄る。大事なことだから三回も言ったのか。それ程に大事なことなのか。
咲夜は大きくため息を漏らして紅茶のお代わりを小悪魔に催促し、喉元を小さく震わせた後もう一度深い息を吐き…重苦しく口を開いた。
「霊夢が帰った後、彼女から受け取った装束の型紙を眺めながらアリスは唸っていました。何事かと聞くと、『日本の衣装はどれもこれも凝っていて綺麗だ、西洋風な自分からは羨ましく見える』と」
ああ、機能性はともかく私もあれは美しいと思う。十二単とか特に。こう一枚一枚脱がしたくなるな。
「そんな服じゃないからねレミィ」
「それから何を思ったのか、アリスは私をじーっと見つめて来ました。見つめられることに漸く慣れてきた私は、それでも少し恥ずかしいのを我慢してしばらく岩のように固まっていたのです」
「いやそれ全く慣れてないから」
「そしたらですよ!?」
テーブルを割らん程の音を立てて拳を叩きつける咲夜。ああ、絶対痛いだろう。ほら見ろ。拳を擦りながら涙目になっているではないか。かわいい。
だが、涙を浮かべるその瞳の奥には確かな怒りと悲しみのオーラが見える。なるほどそれ程までに気に障ることを言われたのだろうか?娘の不手際は親の不手際。確りと聞いてやらねば。
「『咲夜って日本人の名前してるけど全然日本人らしくないよね』って!そう言ったんですよ!?」
「…いやぁまぁ、確かに日本人っぽい名前してるけどさ…」
そうは言われてもな…。その名前はあくまで私が与えたものであって、それが日本名だからといって咲夜自身も日本人であるとは限らない訳なんだが。
まぁアリスはそのことを詳しく知らないのだから、彼女がそういう感想を抱いたところで仕方のないことではある。全く、そのようなことで怒るなどまだまだ甘いな我が娘よ。
「そして!『その点霊夢は…うん。当たり前ではあるんだけど何かこう、すっごい純和風って感じしない?お人形みたいでかわいいよね』と言ったんですよ!?」
「何だと…それは許せんな…!アリスめ、椅子に縛り付けて小一時間咲夜のかわいさについて語ってやろうか」
「アリスも案外天然なのかしらね。…とりあえず二人とも落ち着きなさい」
いや失敬失敬。私としたことがつい取り乱してしまった。…何?下らない?そんなこと気にするなんてかわいい?…ふざけているのか貴様…我らが怒っているのはそのような小さき事ことではないわ。かわいいのは事実だがな。
私が怒っているのはそう、アリスが全く無知極まりない局地的な意見に囚われ、咲夜の持つ世を絶する程素晴らしいかわいさについて理解を怠っている…ということに対してだっ!
「…それこそ下らないわ。咲夜は純粋ね。たったあれだけの言葉でアリスが自分に愛想を尽かしてしまったのではないかと心配するなんて。…そしてそんなことにも気が付かず変なベクトルで怒りを燃やすレミィはもう保護者失格、かしら」
あ、気になったけど、逢瀬の日にも関わらず咲夜がここにいるということは、アリスは今どうなっているのだろうか。…まぁいいや。今は目の前の問題からだ。
アリスよ、精々顔でも洗って首を長くしながら待っているといいわ…!
・・・
「え、えーっと、パチュリー?」
「ごめんなさいね。一応私は止めたのだけど、レミィは一度言い出すと聞かないから」
恐らく、魔女として生きてきた中で始めて罪悪感というものを抱いたと思う。
目の前には私の友人であり咲夜の恋人であるアリス・マーガトロイド…が椅子に縛り付けられていた。
いやまぁ私が縛り付けたと言った方が正しいのだけど。
何故そのようなことを?簡単なこと。弾幕ごっこに負けたからよ…不本意ながらね。
…あの後、二人は図書館の主をそっちのけにして作戦会議なるものをやり始めた。相変わらず図書館のど真ん中で。耳を傾けてみると咲夜の可愛さをあいつの骨の髄まで染み込ませてやるだとか、咲夜の可愛さに死角はないだとか、これでアリスは一生私に釘付けだとか、二人とも目的のベクトルが組み合わさっていないままに一致団結していた。何が何だか頭が痛い。
途中からパチェの魔法でアリスを拘束とか小悪魔を捕縛役にとか不穏な言葉まで聞こえてきたので逃げようとしたのだが、主従二人の弾幕の前に脆くも敗れ去り強制的に作戦に参加させられてしまったという訳。スペルカードルールって偶に理不尽よね。
ちなみに小悪魔はいつの間にか図書館から居なくなっていた。今度頭の羽を片方だけ燃やしてやる。
結果、私はレミィの考案した咲夜によるアリスメロメロ作戦、通称「オペレーション・咲アリ~和風偏~」の内容に従わされ、アリスに睡眠魔法を掛け捕縛、図書館内の椅子に魔法鎖で固定するという倒錯した行為を強いられてしまった。…非常に頭の悪い作戦だ。あ、鎖と言っても特別製のふんわり柔らかな鎖を使用しているので肌に傷が付く心配は皆無だ。安心して欲しい。
…眠っているアリスを椅子に縛り付けている最中、彼女の傷一つない滑らかな白肌と金属質の黒い鎖のコントラストに軽く興奮してしまったのは内緒よ。
「とりあえず、状況を説明して欲しいのと…この鎖も解いて欲しいんだけど、だめ?」
「ごめんなさい、私にはどうすることも許されないの…。アリス、あなたはもう『オペレーション・咲アリ~和風偏~』に巻き込まれてしまったのよ…!」
「…咲アリって…」
引き攣った笑みを浮かべ固まる彼女。そんな如何わしいオペ名を聞かされれば当然よね。どことなくメタ臭いし。
いきなり眠らされて、気が付いたら椅子に縛られていた、なんて状況なんですもの。混乱する以外に何があるだろうか。まだ錯乱しないだけましな方だろう。
「じゃあアリス。暇つぶしに…絹」
「え、え?あ、しりとり?えっと…糠」
「カンヌ」
「……縫い目」
「メス犬」
「え、そんなのあり?またぬ…ぬー……あ、ぬりかべっ」
「ベルベーヌ」
「えぇぇ…」
仕方が無いので咲夜に怒られない範囲でアリスの遊び相手になってあげていると、どこから戻ってきたのか面白そうな表情をした小悪魔が颯爽と現れた。何故か執事服で。こいつ面白そうな匂い嗅ぎ付けて戻ってきやがったか。意外と似合っているのが余計癪に障る。
「ようこそアリスさん。今宵は我が主の開催する宴にご来場いただき誠にありがとうございます」
「今まだ日が出てるけど…まぁいっか」
「さぁ拍手!」
「あ、縛られてるからできない」
「じゃあ口で」
やはりアリスは天然だ。というかこの子逞しいわね。早くもこの環境に適応し始めている。
促されるままに「ぱちぱち」と擬音を発する彼女を見て私はしみじみと思うのだった。…いや適応というか只単に流されているだけねこれ。止めなくていいのかって?止められるならとっくに止めてるわ…。
「では、宴の主催者、我らがお嬢様にご登場いただきましょう。ハイ拍手!」
「ぱちぱち」
「無理に合わせなくていいのよ…」
大丈夫かなこの子。…本当に咲夜との関係においてスタンドポジションなんだろうか?いまいち信じられない。
「やぁやぁアリス君!一週間ぶりだな」
「あ、レミリア。お邪魔して…いやさせられてる、のかな?」
「まぁまぁそこは気にするな。私たちの仲じゃあないか。さておき、今宵は我の開催する『咲アリフェスティバル~流石のアリスもタッジタジ?咲夜のドキドキ大作戦!~』にご来場いただき誠に感謝する」
「え?ええ…たじたじ…どきどき?」
「更に頭悪い名前になってる…」
とりあえず威厳のある喋り方を意識しているのは分かるがそのタイトルのせいで全く締まっていない。全てが全てミスマッチ。え、なんでそこでこっちを向くのかしら。いや私に向かってドヤァ…って顔されても反応に困るのだけど。激しい頭痛がするのはきっと気のせいではないはず。
というかなんだその相変わらず出来の悪い企画番組のような名前は。あれか。内容に自信が持てないからタイトルでごまかそうって魂胆か。私はそんな見え透いた手に引っ掛かりはしないわ。
…しかし一体彼女らは何をするつもりなのだろうか。さっきから咲夜の姿が見えないのも気に掛かるが…。色々と混乱する頭をどうにか落ち着けつつアリスの表情を確認する。私ですらこんな状態になるのだ。彼女はさぞ意味の分からない常態になっているだろう。
「えっと、とりあえず咲夜がドキドキしてくれるってことでいいの?」
「いいや違うぞアリス君。君がドキドキするんだ」
もしかして話に着いていけてないの私だけ?
「して、アリスよ」
「うん?」
「今日は二人の逢瀬の日だったな」
「うん。なのに咲夜ったらいきなり飛び出していっちゃうんだもの。びっくりし―「そこだ!」ふぇ!?」
レミィの突然の大声に流石のアリスも驚き後ずさってしまう。といっても椅子に縛られている状態なのだから精々首を逸らす程度だけども。…いい加減辛そうだし解いてあげようかしら。でもレミィが何て言うか…。え?言っとくけど別に残念とか思ってないから。少々目に焼き付けておく程度だから何ら問題はないわ。
「あ?駄目だぞパチェ。まだ解くな」
「えー。いい加減お尻痛くなってきたのに…」
「まぁ、レミィがそう言うなら」
「パチュリーまでー」
「大丈夫よアリス。私たちは妖怪なんだしエコノミー症候群とは無縁だから」
さっきと言っていることが違う?理屈に生きる魔法使いなんてそんなものよ。気にしてはいけないわ。
「…ではアリス、本題だ。咲夜が飛び出すその手前。お前たちは何を話していた?」
「何って…ああ、私たちの恋人生活が気になるの?えっとね。今日は出会ってからまずぎゅって抱き締めて…」
「その次、ああ違うもっと次だ。もっともっと次」
何だろうかアリスがちょっと不満げだ。もしかして語りたかったのかしら。そういえばアリスは結構独占欲がある方だし、ああ見えて子供っぽいところもあるからそうだと見て間違いないだろう。レミィも分かっているのかアリスに語らせないようにしている。私としても二回も砂を吐くなんて御免なので構わないが。
「もっと次?ええっと、膝枕して、耳掃除してあげたあとぐらいで…ああ、霊夢が来たっけ」
「そうそれ。そして霊夢が帰った後、アリス。お前は咲夜に対して何をした?」
「それは―」
勿論、覚えているよな?と無言の圧力を掛けるレミィ。全く大人気ない。今のアリスは縛られて身動きが取れない状態だというのにそんなプレッシャーを与えるだなんて。ほら、アリスの目が段々不安げに揺れてきたじゃないの。
レミィの瞳が細く尖っていく。しばらく黙り込んでいたアリスもそれを見て観念したのかようやく口を開いた。
「もしかして、私が原因で咲夜が飛び出しちゃった…とか?」
「流石アリス分かってるじゃな―」
「ああ、やっぱり最近肉付きがよくなってきたなぁなんて目で見てしまったのがあの子に伝わっちゃったのかな…」
「は?」
「別に変な意味じゃなかったのに。只でさえまだ子供で成長期でもあるっていうのに体型がスレンダー通り越してて心配で心配で。だから最近一緒にご飯食べるときは栄養に気を使ってしっかりと管理して…。やっと効果が出てきたかなーと思ってたら変な形で咲夜に伝わっちゃうなんて!」
何と言いますか。やっぱりアリスであった。
閑話休題。
「…成程。私が咲夜に言ったことがいけなかったと」
あれからくどくどと咲夜の栄養管理についての苦労を語り尽くしたアリス。結局、咲夜が飛び帰ってきたということを説明するのにあれから十分程要した。この子見かけによらずお喋りね。ああ、あれね。好きな子のことを自慢したがる気持ち。分からないことはないけど聴かされる側としては勘弁して欲しい。まぁ体の栄養バランス的にためになる話も多かったけど。
小悪魔がさっきから静かだなと目を向けてみると、どこから持ってきたのか椅子でも使える枕と眼球の描かれたアイマスクを装備してすやすやとお休みしていた。そのアホ面が激しく気に障ったのでアイマスクの中に摩り下ろしたわさびを転移させてやったところ、絶叫しながら扉をぶち破ってどこかに駆けて行った。元気が有り余っているようで結構結構。
改めてアリスに目を向けるとどこかばつが悪そうな顔をしている。
「そういえば今思い出したけど咲夜の名前ってレミリアが与えたものだっけ」
「そう。だからあいつ自身は本来日本人ではないし、日本人らしくなくて当たり前なんだ」
それまで険しかったレミィの表情がふと柔らかくなる。
「…もしかしたら咲夜はこの名前をとても気に入っていたのかもしれない。身分も国籍も分からずただ立ち往生していた子。そんな子が今ある記憶の中で初めて貰った名前。それが十六夜咲夜という日本人の名前。もしかしたらあの子は、心構え位は誰よりも日本人らしくいようと思っていたんじゃないかしら」
「日本人らしく…咲夜が」
「ええ。私たちは皆西洋風な暮らしに慣れているでしょう?だからいつもはそれに合わせてくれているけど、実際あの子お菓子の好みは和菓子だったりするのよ。知ってるでしょ?休み時間中に和の心って本読んでいるところも見かけたりするし。多分、必死に手に入れた名前が似合う女性になろうとしていたんだと思う。馬鹿だよあの子は。私はあの子に一番似合う名前をつけたつもりだって言うのに」
先程とは打って変わった優しく諭すような言葉。俯くアリスの頭をまるで聖母のように撫で摩る姿は幼き悪魔と言われた彼女に不釣合いなことこの上ない。
しかし、今はそれがどうしようもなく似合って見える。成程確かに彼女は母なのだろう。長い間親友をやってきた私たちだが、ここにきて知った新たな発見に心が温かくなる。レミィ…あなた凄いわ。
「…私が何気なく言ったあの言葉が…もしかしたら、ううん、きっと咲夜の存在意義に干渉するものだった…」
「詳しくは知らなかったんだろう?仕方ないよ。その代わり、それを知ったからには―」
「うん。もう絶対にそのことについて咲夜を悲しませるようなことはしないし、させないって誓う」
…いい話に水を差すようではあるのだけど…根本として色々と間違っている。咲夜は確かにその名前に誇りを持っているが、何も日本人として生きようとしている訳ではない。和菓子派なのも和の心を読んでいたのもきっと気まぐれ。あの子が騒いでいたのはそんな理由ではない。
と、そこまで考えて、私はそれ以上考えるのをやめた。今それを言うのは野暮と言うものだろうし、何よりも二人の結束を強めたであろうこの空間に茶々を入れたくはなかったから。こんなとき位素直に喜ぼうじゃない。
「それを聞ければ満足だよ。…では改めて、咲夜の魅力にメロメロになって頂こうか?」
「ちょっとレミィ!?」
いや喜べねぇよ。
え?今完全にいい話だなーって流れになっていたでしょう!?その後咲夜とアリスを二人きりにして甘い時間を過ごさせてやる流れだったでしょうが!?メロメロて、メロメロて…!ああそうか、そう言えばまだこれ『咲アリフェスティバル~流石のアリスもタッジタジ?咲夜のドキドキ大作戦!~』の途中だったか!
「うん!寧ろ望むところ!」
「アリスまで!?」
これはまさかもしかしなくても駄目な方向で二人の結束が固まってしまったのではなかろうか。
いつの間にか二人は拳と拳を厚く握り合って何だかこちらが怖くなるくらいに同調していた。あれ?私鎖解いたかな。まぁいいやもう。
「よし!じゃあ気を取り直して…『咲アリカーニバル~アリスを彩る咲夜の愛~』はっじまっるよー!」
「おーぱちぱち!」
「ぱちぱちじゃないわよ全く!というかまた名前変わってるし…」
なんか色々と疲れてきた。もう図書館に帰ってもいいだろうか。ああ、そういえばここが図書館だったんだ。
もう勝手にやってくれ…。
「では、今作戦について説明する」
「うん。あ、後ホントお尻痛くなってきたから鎖解いてくれると嬉しいんだけど」
「それは駄目。このオペレーション・咲夜を彩るドキドキアリス~和風編~はアリスに咲夜の可愛さについて深く理解してもらうためのもの。今回は和風編。咲夜にだって和が似合うんだということを証明させてもらおう」
突っ込むのに疲れたわよもう。ああ、小悪魔に妹様呼んできて貰おうか。ああ、だめだ。妹様もどちらかと言うとボケ担当。この場にボケ担当が三人も居るなんて私にはとても耐えられない。というか小悪魔は今ここに居ないんだった。もういいや。なるようになれ。
「呼ばれて飛び出て何とやら。小悪魔ただいま参上です」
「あ、丁度いいところに―」
「申し訳ありませんパチュリー様。今の私は言うならば黒子。ただ天の声を届けるだけの存在なのです」
「は?」
「それでは!はじまりはじまり~…」
わさびの刺激が抜け切っていないのか、目をこれでもかと言うほど血走らせた彼女は何とも言えない迫力があった。
・・・
オペレーション・咲アリカーニバルフェスティバル~ドキタジメロメロ和風編~
さぁ、やって参りました!高貴なる愛と紅(くれない)の吸血鬼、レミリア・スカーレット様がプロデュースするこの企画。
恋に迷える仔羊咲夜さんが愛しの天使アリスさんにあれよこれよと玉砕アタックを仕掛けます!
今回は和風編と言うことで、アリスさんには咲夜さんが和風だって十分通用するかわいい子なのだということを骨の髄まで叩きこませていただきましょう!
それではまずはこちらから。
STEP1:まずは形から。和服を着てみよう!
和服と言っても色々あるけれど、ぱっと思いつくのは美しい着物や厳格な袴など。ただのコスプレと侮るなかれ!
果たして彼女は立派な大和撫子になれるのかぁ!?
…マイク片手に精一杯の声を響かせる。これ、外の世界ではナレーションって言うらしいですね。そして読み上げる人をナレーターと。お勉強になりました?えへへ。わたくし今だけ史書からランクアップです!…ダウンですか?まぁ細かいことはいいじゃないですか。
おっとっと。空気を読むことに定評のある私としたことが、ついつい話を逸らしてしまいました。きっと鼻の奥に微かに残る山葵の香りのせいでしょうか?
ええ。今の状況を掻い摘んで話すなら、咲夜さんと和のコラボレーションによってアリスさんをメロメロにしてしまおうというお話です。どうです?分かりやすいでしょう?タイトルだってお嬢様の意向をなるべく全て取り込んで編集したんですよ?凄いでしょう!えっへん。
「パチュリー、これ…何?」
「何と言われても…ステージとしか…」
「わぁ、派手な電飾。凄い設備…」
「所詮ガワだけよ。つーか図書館に何てモノ入れてくれんのよ…」
何時の間に用意したのか、私でも全く気が付かない内に図書館の一画にステージが設置されていました。恐らく咲夜さんが時間を止めて搬入したのでしょう。能力の無駄使いだなんて言わせませんよ。
「でも何だろ…魔界に居た頃に見たことのあるバラエティ番組にノリがそっくりなような…」
さすがはアリスさん。勘が鋭いですね。私とて悪魔の端くれ。魔界に住んでいたことだってあるんです。きっと私とアリスさんの見ていた番組は同じものですね。え?番組名?言っても分かりませんよ?「シチューにカツあり!チキチキ、魔界三週間クッキング!」です。面白そうなタイトルでしょう?B級としては中々ですよ。今度DVD貸しましょうか。…ええそうです。企画はお嬢様でも原案は私です。こういうB級なノリだって偶には悪くないでしょう。
「さて、これから咲夜をここに呼ぶが、腰を抜かすなよ?」
「う、うん。私としては早くふかふかのソファーに腰を落としたいところだけど…」
「まぁ見てもらったほうが早いな。出て来い咲夜ー!」
目の前のステージに吊るされた真っ赤な幕が音もなく上っていく。よく見ると後ろで美鈴さんが縄を一生懸命引っ張っているのが見えました。が、ここは見なかったことにしましょう。悪魔のマナーですよ?えっへん。
「あの…お嬢様…本当にこれでいいんでしょうか…」
まぁ実際の話、ステージの中央に佇む咲夜さんの姿があまりにも目を惹きすぎて、後ろが気にならなかったと言う方が正しいんですけどね。
「さぁ!どうだアリス!?和を纏った咲夜の可愛さはッ!!」
シミひとつない白地に散りばめられた赤や黄のコントラスト、所謂錦柄。それが美しく引き締まった体を優しく、されどしっかりと包み込んでいる。
いつも左右にぶら下がっている2つのもみあげ…もとい三つ編みは解かれ、さらさらと頬を撫で上げる。
長すぎず短すぎない後ろ髪はまとめて後頭部の一点に結われており、白いうなじが露出する様は何とも色めかしく悩ましい。
慣れない服装にか、それとも目の前の想い人にかに表情は紅く、普段することのない薄化粧を下から押し上げている。さっと惹かれた赤い紅が恥ずかしげに震えているのが手に取るように分かる。
それらの事象を一つに纏めて言い表すとしたら、綺麗だと言う以外に果たしてあるのだろうか…?
どうです。私のナレーションテクニック。中々でしょう?…そうでしょう?
「…ぁ」
「へぇ。初めて見るけど中々似合ってるわね。レミィもたまにいい趣味してるじゃない。そうは思わない?アリス。………アリス?」
「…」
ずっと見られていることが恥ずかしくなったのか咲夜さんは少々内股になって縮こまってしまいました。もっと自信持ってアリスさんに見せ付ければいいのに。
アリスさんもだんまりとしちゃって。いつもと違う彼女に見惚れてるんですかね?
「えっと…おかしくない?」
「え?あ、ああ。その、全然そんなこと…すごく、綺麗で…」
ああ、只照れているだけですか。天然とか言ってもやっぱり女の子ですよね。え、私はどうなのかって?私はオトナのオンナノコですから大丈夫なのです。えっへん。
「その、もう少し近くで、見たい…いい?」
「ほら咲夜。アリスが御所望だ」
アリスさんのいつもとは違う態度にか、或いは別の何かでしょうか。そわそわして真っ赤になっている咲夜さん。あれですね。着物って、ちゃんと着ても首元が露出するんですね。いいですよね。
いつもは清潔、潔白感に溢れた西洋のメイド服ばかりを着ている彼女。それが今はどうか!後ろからちらりと見えるうなじ。あまりふくよかでない胸元だからこそ映える美しい胴のライン。全体的にスレンダーな彼女だからこそ神聖さすら感じるバランスを醸し出している。
鮮やかな錦柄と銀の髪の絶妙なコントラストが美しい。
口調作るのって疲れますね。楽しいから気にはなりませんが。
…なんだか咲夜さんに睨まれたような気がしますが気にはしません。権力には屈しないのです。えっへん。
「ん…これ、歩きにくいわね」
何でしょうか。アリスさん心なしか息が荒い。…もしかしたら鎖の用途は逃げないための拘束目的ではないのかもしれません。。ほら、アリスさんって普段落ち着き払ってるじゃないですか。もしかしたら内心では…なんて。邪推でしょうか。わかりませんよ?人は心に悪魔を飼っていると言うではありませんか。悪魔の私が言うんです、間違いありません!
「その…アリス。あんまり見ないで…」
「何言ってるんだ咲夜。見てもらわないとお前にメロメロになって貰えないじゃないか」
「うん。もっと見せて、私をメロメロにしてよ、咲夜」
ああ、これちょっと複雑でしょうね。二人きりで言われたら嬉しい言葉もこんな状態で言われたらこっ恥ずかしいばかりでしょう。ていうかアリスさんがメロメロって言うと何と言うか似合いませんね。
「でも、ほんと綺麗。いつものメイド服も綺麗だけど…ううんこっちは、美しい…かな」
「お、同じでしょ!あ、あんまり、煽てないで…」
これは効果大です。もう少しで落ちるかもしれませんねぇ。
うふふ。その辺りは抜かりありませんよ?ちゃあんと防音処理を施した空き部屋を用意していますから。この小悪魔に隙などないのです。えっへん。
…え?何に使うのって?そりゃ御食事とか、その後の御昼寝などでしょう?
「咲夜なら何を着ても似合うとは思ってたけど…これ程って…」
「ほ、褒めすぎだってっ」
「ううんそんな事ない。…今度色んな衣装作ってみよっかな」
「良かったな咲夜。着る服がまた増えるぞ」
「…激しく奇抜なのはイヤだからね」
さぁ、いい感じに図書館内の温度が上がってきた所で次のステップに行きましょうか。
STEP2:おいしいものは男女共通。女の子だって胃袋で捕まえよう!
古今東西、料理の上手い女の子は好印象を抱かれやすい。扱いの難しい和食を完膚なきまでに披露して胃袋をもキャッチだ!
…私あんまりこういった考えは嫌いです。だって何か言外に女の子はお料理位できて当たり前だって言われている様な気分になりませんか?女の子なんだからってそんなことしなくても、別に男の子だってお料理ができても可笑しくなんか無いのに。…いいじゃないですか、お料理ができないくらい。だって、包丁とかとっても危ないですよ?切ったら痛いですよ?火だって下手をしたら大火傷ってこともありますよ?弾幕ごっことは訳が違うんです。
…紅茶は淹れるの上手いのにって?それはそれ、これはこれ、です。ま、お嬢様が決めたことですし私は何も言いませんけど。
「という訳で咲夜には定番の肉じゃがを作ってもらった」
「ど、どうかしらアリス。あ、時間は操作してないからあんまり味がしゅんでいないんだけど」
私は作りたての方が好きですけどね。時間を置くと確かに味はしゅみますがじゃがいもが煮崩れたり粉っぽくなったりするでしょう?私としては固めが好きなんです。だから私はメークイン派です。
「それはいいんだけど…」
「どうかしたか?」
「…ねぇレミリア…私、何でまた腕が縛られてるの?」
ああ、それはですね。私のアイデアですよ。勿論目的は「はい、あーん」ってしてもらうためです。日本の新婚さんは高確率でこれをするって本で読んだことがあります。
まぁ違うと言われればそれまでですけどね。…だから何です。私は見たいんですよ。お二人がいちゃついてるところを。私甘党ですから。ぶっちゃけすぎる?私は悪魔ですけど正直者なんです。えっへん。
「じゃ、じゃあアリス。えっと、その…」
「うん」
「ぁ…あーん」
「あーん…あむ」
「どう…かな。おいしい?」
「なぁ、パチェ」
「ええ。くすぐったいわね」
…かわいいです。あざといです。おいしいです。…こほん。
咲夜さんが心底恥ずかしそうに唸りながら、汚れないよう着物の袖を左手で抑えつつお箸を操ります。
あ、今思いましたけどここは割烹着にするべきだったでしょうか。今更言っても仕方ありませんが。
まだ十分に馴染んでいないじゃがいもを丁寧に一口大に切り分け、アリスさんの口元へ。
アリスさんは例え食べさせてもらう時だってお行儀がいいようですね。零さないように少し顎を傾けはするものの、不格好に顔を押し出す訳でもなく、下品に舌を突き出すでもなく、器用にじゃがいもを受け取っています。
「…んく、こく。…うん、やっぱり咲夜の作る料理っておいしいね」
「うん。ありがと」
うーん。咲夜さんの料理は日常的に食べ慣れているせいでしょうか。今更改まって和食を振舞っても効果は今ひとつのようですね。あてが外れましたか…。まぁおいしい光景は見れたのでよしとしましょうか。ん、仕事しろ?何言ってるんです。あなただって堪能したんでしょう?言いっこなしですよ。
では次のステップです。
STEP3:言葉巧みにアリスをドキドキさせよう!
日本では言葉にも力…つまり言霊があるという考えが存在する。何気ない日常の一言も時と場合と場所によっては理性を切り裂く凶器となる。果たして彼女はこの高等テクニックを駆使できるのか!?
所変わって紅魔館裏庭。いつもなら美鈴さんの育てている農作物以外何も無い空間ですが、今宵(図書館であーだこーだしてる内に本当に夜になってしまいました)は一味違います。何故なら、今私たちの目前にはまるっきり和の空間が広がっているからです!
「こ、これは…」
そう、すなわち縁側付き日本家屋です。しかもただの家屋ではありません。床の間や書院、違い棚まで全てが揃った構成の、所謂書院造というものです。凄いでしょうそうでしょう!ふふふ…こんなこともあろうかとぉ!!ってやつですよ。
…ええ。美鈴さんには本当に頑張ってもらいました。事件が起こってからこの作戦が発動されるまでの僅かな合間に、彼女には門番隊の方々を総動員してもらって作っていただいたんです。
と言っても色々と時間が押していたため見えない所は杜撰な作りになっていますが…まぁ外観と強度だけは申し分ありません。日本人は物事を見た目で判断するって聞きましたし。
一見したところ六畳一間の小さな屋敷ですが、上を見あげれば存在感のある瓦が並べられていますし、下を見ればヒノキの板が敷かれた縁側が佇んでいます。流石は美鈴さん。くれ縁なんて陳腐な構造はしていませんね。妥協しないって凄いことです。あ、それに加え襖と行灯だって完備してある。
おー、お布団まで敷いてますね。鮮やかな朝顔柄の。これは実に至れり尽くせりです。美鈴さんって実にハイスペックな方だったんですね…。
「すごーい!」
「気に入って貰えたかね?」
アリスさんもお尻を擦りつつ目を丸くして驚いています。別に日本家屋自体神社でも人里でもよく見ますし驚くことないと思うんですけどね…。まぁ真っ赤な洋館の隣に純和風な屋敷が立っている光景は十分驚くに値するとは思いますけど。
…というかやっと椅子から開放されたんですね。潰れてないかと少しばかり心配もしましたが…うん。相変わらずいいヒップラインしてますね。大きすぎず小さすぎず、まさに理想型です。触り心地すっごい良さそう…あ、別に変な意味じゃないですから。何ですかその訝しげな目。そんなに触ってほしいんでしたら熱心に触ってあげましょうか?まぁその場合二度と椅子に座れなくなると思ってください。一生ドーナツ型クッション生活です。
「すごいわね…魔理沙に壊された図書館の修理も彼女にやってもらおうかしら」
「そんなことしたら美鈴達が過労死してしまうだろう。まぁとにかくだ。咲夜、わかってるだろうな」
あ、お仕事忘れるところでした。寧ろ忘れてるところでした。
…こほんっ。
さて、果たして咲夜さんはこのステップで見事アリスさんをメロメロにすることができるのでしょうか!?
以上。早く進みましょう。え?もう面倒になってないかって?今更ですね。よく鈍いって言われませんか?
「私が教えた言葉をしっかりと言うんだぞ?」
「は、はい」
「アリスはこっちに来てくれ」
「私はここに座ればいいの?…うぅ、まだちょっとお尻痛い」
縁側に二人が座りました。私たちギャラリーは館の中に退散です。勿論パチュリー様の水晶玉によって二人の様子は随時確認可能ですが。いいじゃないですか。私にはナレーションという大事なお仕事があるんですから。
…さて、本番です。楽しみます。もとい、お楽しみください。
「えっと…アリス?」
「うん」
「そのね?えーっと…」
「ん、落ち着いて、どうしたの?」
…やっぱりと言うか何と言うか、全然ダメですねぇ。さっきから真っ赤になるばっかりで全く何がやりたいのかわかりませんよ。
咲夜さん、いつもは完全で瀟洒という肩書が似合う大人の女性って感じなのに、色恋沙汰になるとこの様です。まるで田舎の生娘同然。見るからに弱々しくてちょっと突けば泣き出してしまいそうな女の子。いじめたくなります。
…さておき、
昔の私でもあれ程酷くはありませんでしたよ。精々変なトコロ触られて変な声上げたくらいです。…失礼、要らないカミングアウトでしたね。え、変なトコロってどこか?…そりゃぁ、悪魔と言えば勿論尻尾とか頭の羽ですよ。あなただって尾てい骨辺り触られたらゾワゾワって変な感覚になるでしょう?ちなみに頭の羽は耳じゃありませんからね。
「それにしても、一体今日はどうしたの?」
「どうって?」
「家で一緒に過ごしてたかと思ったら急に飛び出して…気が付いたらオペレーション…なんだっけ、とりあえずそんなよくわからないものが始まって」
アリスさんの純真無垢を思わせる一対の瞳が咲夜さんの揺れる瞳を落ちつけようと優しく捉える。それが逆に彼女の余裕を削る行為になっているなんて、何と言う皮肉でしょう。目が離せない展開ってこういうことを言うんでしょうかね。
「め、迷惑だった?」
「ううん全然。むしろ楽しいし、いつもと違う咲夜を見れて嬉しいけど、でも何で?」
「……アリスが悪いんだもん…」
やはりどうにもこうにも、咲夜さんの状態が思わしくありませんね。アリスさんの一挙一動にあたふたと慌てるばかりで、メロメロにさせるどころか自分ばっかりドキドキしちゃって。これじゃその内完全にアリスさんのペースに巻き込まれて終わっちゃいそうな予感さえする。…もうすでにアリスさんのペースになってるなんて野暮なこと思ってなんかいません。ほら、アリスさんってああ見えてド天然だから会話においてつい受け身になっちゃうんですよ。今の咲夜さんなら尚更です。
「…ねぇ、アリス」
「うん?」
「私のこれ、本当におかしくない?」
「うん。本当に似合ってる」
何でしょうか。何時にも増して咲夜さんのヘタレ…もとい萎れ具合が酷いような気がします。何とも弱々しい。お二人で居るとき、いつもならヘタレた態度であってもどこか幸せそうな、何とも言えない柔らかい表情があったと思うんですが。今はそうですね、やはりどこか堅く…いや、暗く感じる。そんな気がします。
「………」
「…咲夜?」
咲夜さんのほんのり色付く細い指がアリスさんの頬に触れます。遂に言う決心が付いたようですね。恐らく内心ヤケクソでしょうね。
「つ…月、が」
「うん」
「月が、きぇいね…!」
おーーっとぉぉ!!?ここぞと言うところで盛大に噛んだぁーー!!!
「え?」
これはキツイ!アリスさんもそこで空気を読まずに(読めずにと言った方が正しいでしょうけど)「え?」とか真面目に聞き返すなんて…!いつもはごく天然に対応してみせるその都会派頭脳も今は働かなかった!!
「…………………………ふぇぇ…」
「え、ちょ、ちょっと咲夜!?」
この大いなる失態に我慢できなくなったようですね。
声を詰まらせ喉を震わせ瞳を潤わせているその様子に流石のアリスさんも困惑しています。しかしながら、しっかりと肩を抱き背中を摩るあたり面倒見がいいですね。それとも咲夜さんだけにでしょうか?
「うぅ…ぐすっ」
「よしよし。落ち着いて、咲夜。泣かなくてもいいよ」
「だ…だってぇ…うー」
分からないでもないですけどね。状況はともかく、ここぞと決めようとしたときに噛んでしまうなんて、瀟洒の欠片もない凡ミス。私ならきっと………いや、私が噛むことなんてありえないですからそんなこと考える必要もありませんか。…何ですかその目は。
そんなこんなで、
その後もアリスさんによって咲夜さんのなだめ作業は続きました。ぐずり自体は酷くなく直ぐに収まったのですが、肝心な場面で噛んだのが余りにも悔しかったのか沈みきった彼女を励ますのに非常に時間を要したようです。ええ、それはもう「鬱だ、死のう…」だなんて呟く程に沈んでいましたから。見ているこちらとしても心苦しいものがありました。うん?悪魔にとって人の苦しみは蜜の味なんじゃないのかと?確かにそういう悪魔もいますが私は草食。ベジタリアンですよ。えっへん。
「…ごめんなさいね。取り乱しちゃって」
「ううん、いいよ。私達の仲でしょ?」
「ありがと」
「にしても…」
今度はアリスさんの白魚のような指が咲夜さんに触れます。
頤を撫で頬を擦り、目元に残る涙の残滓を優しく拭き取る。咲夜さんはじっとアリスさんを見つめて固まっているようですが…いい加減慣れないと不便でしょうに。
ふと、アリスさんの表情が変化したような気がします。うーん…行灯の光が弱いのか、はたまた水晶を感度が悪いのか、映像が不鮮明でどのような表情をしているのか読み取ることができませんね。心なしかアリスさんの瞳の色がさっきと違うように見えるのも気になりますが…いかんせん見辛いです。
「おかしいわね、何故水晶の感度が…。レミィ、あなたの妖力が干渉してるかもしれないわ」
「ん?私は特に何もしていないぞ?」
「…あれ?」
「どうした小悪魔」
今、水晶のノイズ越しにアリスさんと目が合ったような気が…。
まさか、ね。
「きぇいね…なんて、やっぱり咲夜はかわいいなぁ」
「そ、そのことにはもう触れないで…」
うん?何といいますか、雰囲気までもが変わったような気が…。ううん、ダメですね。さっきよりも確実に映像にノイズが強くなって…あ、ついには途切れました。
「おーい、いいところなのに。パチェ早く繋げてくれ」
「…」
ふと、パチュリー様と目が合いました。…成る程、そういう訳ですか。
案外パチュリー様もお人よしですね。ん、どうしたかって?ええ、ナレーションはもうできないってことです。放送事故ですよ。えっへん。
「レミィ。今夜は満月手前で魔力が不安定になってるみたい」
「あー?そんなの生粋の魔女のパチェには影響薄いだろ。というか今日半月ですらないし」
「すいませんお嬢様。使い魔である私の状態があまり優れないので、主であるパチュリー様にまで影響が出てしまったようです。ここは私の顔に免じてどうか」
「あなたの顔じゃ心配ね」
「酷い!?」
「ふーん……」
流石に誤魔化し切れませんか。しかし。
「成る程ねぇ。…じゃあ仕方がないか。どうせ他にすることもないし、フランと美鈴呼んでトランプ勝負でもしようか」
「じゃあお昼寝中の妹様起こしてきますね?…あ、ちなみに私は大富豪がいいでーす!」
「ふむ…パチェ、ルールは?」
「勿論、ローカルルール全乗せ」
・・・
「ふわぁ…」
お昼寝から目覚めて、寝起きの頭を覚ますべく館の庭を散策中。顎が外れるんじゃないかって位大きなあくびを一つ零した。あくびっていろんな人に伝染っちゃう病気だから人前ではするなってお姉さまに言われてるんだけど、今は誰も見てないから平気だよね。
真上を見上げると綺麗な三日月がぽっかりを浮かんでいい眺め。
「きぇいね…なんて、やっぱり咲夜ってかわいいなぁ」
「そ、そのことにはもう触れないで…」
ん、誰か居るのかな?
館の裏庭に気配を感じて、外壁の角から覗きこんだら凄いものが目に入った。
「え、ええ?なにこれ…」
瓦屋根、障子、提灯、縁側。
凄い。これ、日本家屋だ。
あ、別に日本家屋そのものは珍しい訳じゃないよ?ここ幻想郷だし。何が凄いかって洋風な紅魔館の裏庭に純和風のお屋敷があるってこと。
外に掲げられた提灯…行灯?ま、いいや。とにかくそれらがぼやけた光を放っているのがとっても綺麗。角から飛び出て手を伸ばそうとしたけど、家屋の丁度反対側に誰かが居るようで慌てて草むら隠れた。どうせ相手は気付いてないだろうけどこういうのって気分というか、雰囲気だよね。
反対側の様子が気になったので手のひらサイズの分身を作って(フォーオブアカインドの応用。結構便利だよ)反対側の縁側を覗かせる。するとそこには…。
「ふふ、ごめんごめん。でも咲夜がその言葉を知ってるって言うのはちょっと意外だったかな」
「わ、私だって夏目漱石くらい嗜んでるわよ」
アリスと………咲夜?
一瞬、誰かわからなかった。あ、いや服装が違っていたから、とかじゃないよ?服装がいつものメイド服から着物に変わったくらいで誰か分からなくなる程白状じゃないもん。なんて言うのかな。雰囲気が、いつもとは違ってるから。
いつもの雰囲気?えっとね。いつもの咲夜は洋なイメージなんだ。勿論メイド服だからって言うのもあるけど。いつもの言動とか、行動の一つ一つがそれっぽいって言うのかな。和菓子作りに勤しんでいるときだって、和の心なんて本を読んでいた時にだってそのイメージは剥がれない。そんな感じ。
でも、今の咲夜は…逆かな。服装だけじゃないんだけど、いつもの瀟洒っぽい感じが消えて小さな女の子って風に見えるのかな。まぁ、それだけじゃ逆とは言えないんだけど。
…慎ましい?大人しい?そんなオーラがそう感じさせるんだと思う。別に和の女の子は大和撫子だって言う訳じゃないよ?
「…知ってた?咲夜。夏目漱石ってね。明治初期に作られた文学書で、色々な言葉が載ってるんだって」
「そ、そうそう。といっても私も全部に目を通している訳じゃないんだけどね…」
何だろう。今私の分身はアリスの背後にある壁に隠れているから、アリスのことは背中しか見えないんだけど、今のアリスは図書館に遊びに来ているときのアリスとは違う感じがする。
分かるのかって?吸血鬼だもん。それぐらい分かるよ。多分ね。
いつものアリスは何だかこう…ついつい膝の上に乗って甘えたくなるような、そんな雰囲気なのに、今は全然違う。寧ろ乗りたくない雰囲気。乗ったら何か悪戯でもされそう。
…それにしてもバカだなぁ二人とも。夏目漱石は本なんかじゃないのに。
「…ねぇ、咲夜。やっぱり、和風っぽくないって言ったこと気にしてるの?」
「そっそんなこと…ないわよ?」
「じゃあ何で急にこんなことを?」
「…だから、…アリスが悪いんだから…」
「咲夜が嫌なことがあるんなら遠慮しないで言って?直ぐに何とかして見せるから」
「…」
とりあえず、今一体何が起きてるのかな。
目が覚めたら裏庭に小さな屋敷が立ってて、咲夜は着物姿で、アリスは何だか分からないオーラで。
もしかして私何か凄い事件に出くわしてる?
「……ねぇ、私って、霊夢よりも魅力ない?」
「えっ?」
「やっぱり、こんな派手な頭したメイドなんかよりも人形みたいにかわいい霊夢の方がいい?」
あー、えっと。もしかして単なる痴話喧嘩ってやつ?
でも咲夜の方は本気で聞いてるみたい。あんな不安そうな顔、出会ってから初めて見た。アリスを見つめるのが辛くなったのか肩と一緒に首も項垂れ、白いうなじがちらりと見えた。本来ならドキってするところなんだろうけど、咲夜の悲しそうな表情と一緒だと全然そんな風になれない。
…ふと、アリスの雰囲気が柔らかくなったような気がした。
「…ばか」
「ば…ばかって何よ!私はこれでも真剣に…わっ」
「ばかばか。咲夜のばーか」
突然、咲夜に向かって勢い良く飛びつくアリス。いきなりのことに対応できなかった咲夜はそのまま後ろに倒れる。アリスはそんなこと気にした様子もなく咲夜のことをぎゅっと抱きしめた。目を白黒させて固まる咲夜。…あ、見える肌全てが赤くなってる。…ちょっと、美味しそう。
…いやいや冗談だって。
「私が、人を好きになるのに和だ洋だかわいいかわいくないなんて気にしてると思う?」
「お、思わないけど…でも」
「傷つくなぁ」
「思わないって言ってるじゃない!」
咲夜が抗議の声を上げジタバタと暴れている。といっても可動範囲の狭い着物を着込んだ上に、相手にのしかかられた状態では思うような行動に出れず、ただ手足が空を切るだけ。なんだかアリスがいけないことしてるみたいに見えてくる。あれだね。昔どこかで聞いた「おだいかんさま、おたわむれをー」とか「ええじゃないかー」とかそんなの。趣味が偏ってる?仕方ないよ、お姉さまから聞いたんだもん。
「…私はね?」
しばらくして咲夜が大人しくなってから、やっとアリスは体を起こし咲夜を見下ろした。さっきの抵抗のせいか、着物ははだけ、覗く肌はほんのり赤く、息が上がっている。そして、それら全てを行灯の淡いオレンジ色が照らしだす。
これアリスが咲夜に狼藉を働いてるみたいだね。
「私は何だっていいの」
「な、何だって…?」
「うん。咲夜なら、何だって」
…何だか、これ以上は見てちゃいけないような気がしてきた。でも気になるなぁ。
「確かに霊夢だってかわいいと思う。普段の立ち振る舞いにはちょっと顔しかめるけど、本当に日本人形みたいにかわいらしいし」
「…」
「でも、だからって咲夜がかわいくないってことにはならないでしょ?」
ごもっともだね。
…咲夜は気付いてるのかな。アリス、私や霊夢と話すときと、あなたと話すときで全然違うんだよ?ううん、雰囲気や態度そのものには大した変化はないの。ただ瞳の奥が、ね。それにね。アリスが咲夜の話するときって全然違うんだよ。まるで、瞳の奥にあなたを直接投影してるみたいに輝いてる。それこそ私達家族に負けない位にね。
「咲夜なら例えどんな格好してても、それが例え似合わない格好であっても、私には全て似合って、綺麗に見える。袴でも、マサイの民族服でも、それこそいつものメイド服でも」
…マサイの民族服を着た咲夜…。
私的には…ちょっとアウトかなぁ。まぁアリスにとっては実際どれもかわいく映るんだろうけど。
「それに、咲夜が作った料理なら何でも美味しく、魅力的に感じる。お味噌汁でも、パニでも、いつもの紅茶でも」
パニって…。私はあんなもの例えお姉さまが作ってくれても食べれないよ。これはあれね。愛の力、もといただの惚け気だね。
それにしてもさっきから妙に静かだなと思って咲夜に目を向けると…完全に茹だってた。顔を真っ赤にして縮こまって、口元をパクパクさせて。
アリスそれ、オーバーキルってやつだよ。
「だから、咲夜なら例えどんなことを言っても信じられる。『月が綺麗ですね』でも、『死んでもいいです』でも」
「お…お願い、少し、待って…もうっ」
あー、咲夜の頭の上にダメージカウンターが見えるよ。毎回毎回9999のカンストダメージでヒットポイントはもうカラッポって所かな。贅沢なことこの上ないよね全く。
「ううん待たない。だからね、咲夜。私はそんな取り繕った言葉よりも、直接、直に欲しい」
「でも」
「だめ?」
…ふと、後ろから視線を感じる。振り向くまでもなくその相手が誰なのか分かった。
「どうしたの?小悪魔」
「こんな所においででしたか。今から皆でトランプするんです。妹様も一緒にどうです?」
「続きが気になるけど…」
「おや、答えがわかりきった問題程つまらないものはないって言ってませんでしたっけ?」
「…それもそっか。で、何?ポーカー?」
「大富豪です」
大富豪かぁ。パチュリーのことだからどうぜ全ローカルルール対応でするんだろうなぁ。私五飛ばしとか七渡しとか苦手なのに。
「さ、行きましょうか。それとも、まだ聴いてますか?多分このままだと口の中砂糖だらけになると思いますが…」
「まさか。それにしても何で今日は執事服なの?似合ってるけど」
未だに壁の影に隠れていった分身を握って潰す。さぁ、長い夜の始まりだね。お互いに。
私は小悪魔と手を繋いで館に帰るのだった。
障子の閉まる音は聞かないふりをした。
呼んで?
タイトルでシリアスかなと思いましたが、かなり良かったです
是非!!!!!!!!!!
甘アリ咲おいしゅうございました。
ヘタレ咲夜さん、いいですね。
肉食アリス、いいですね。
ほう…
ボケしかいない空間っていいですねw
>常に左側
すいません、この表現がイマイチ意味が解らない。誰か教えて。
恐らく咲夜さんはお嬢様の右側にいつも立ってる
アリスは咲夜さんの左側立ち
もはや語るまい…
この咲夜さんかわいすぎてやばい
ブログが停止してたんでどうしたのかと思ってましたが、お元気そうで何よりです
アリス二位おめでとう!まぁ例の動画のおかげでしょうが、これで霊アリ咲が増える!かなぁ。曲の方でもサンドされてるのはあまり知られてないのかも? ともあれ、ご馳走様でした
>>奇声を発する程度の能力さま
ご指摘ありがとうございます。
タイトルがどうしても浮かばなかったので(えー
>>5さま
おお、確かにそうですね。
ここら辺は他愛の無い会話として入れたので意味がなくとも問題ありませんよ!(いやあるか…
>>6さま
ガシッ
>>7さま
お粗末さまです。
記念…書けたら…いいなぁ…
>>9さま
ありがとうございます!
>>11さま
とっても早くて確実な増やし方…
つまりあなたも書けばいいんです!(ちょっと待て
>>12さま
ほんと…書けたら…いいなぁ…
>>14さま
唯一の突っ込み役だったパチュリーさんも最後にはボケ担当になってしまいましたね…。
常に左側…咲アリ…アリ咲…つまりは…。
>>16さま
所々変更したり追加したりした結果二倍以上のボリュームになってしまいました…。
楽しんでいただけたなら幸いです。
>>19さま
そ、そのような意味にも取れましたか…!
一応この作品におけるスタンドはそのままの意味にしております。まぁつまり「タチ」状態ですね。
>>23さま
申し訳ありません…忙しさ故ブログにはあまり手が回せませんので…。
ほう、曲の方でもサンドされているとな。これは調べてみる必要がありますね。
>>24さま
紅魔館はアットホームな雰囲気なのが好きなのですよ。
アリスは天然な位が可愛いと思います。