Coolier - 新生・東方創想話

家政婦は見た

2010/02/07 00:22:45
最終更新
サイズ
15.94KB
ページ数
1
閲覧数
2978
評価数
76/203
POINT
13490
Rate
13.25

分類タグ

「では幽々子様、行ってきますね」
「ええ、私の事は良いから存分に羽を伸ばしてきなさい」

 ここは冥界白玉楼の門前。今日は妖夢が永遠亭に泊りがけで遊びに行く日だった。
 数日前に宴会で仲の良くなった鈴仙から「永遠亭に遊びに来ない?」と誘われた
のを妖夢から聞き、幽々子が許可したのだった。

 妖夢は幽々子の従者であり、建前上はそうそう休日を与える訳にはいかない。
 しかし根が真面目で努力家の妖夢は適当に手を抜くという事を知らず、自分の内に
疲労を溜め込むきらいがあり、幽々子は本音としては妖夢を労ってやりたいと思っていた
矢先の事である。

 幽々子は妖夢の話を聞くと、一にも二にも無く永遠亭に遊びに行く事を許可したのだった。


「しかし本当に大丈夫ですか、幽々子様?」
「妖夢は心配性ね。白玉楼には沢山のまかない幽霊もいるんだし、心配する事など無いわ」
「そうなんですが……」
「今日は紫でも呼んでのんびりしようと思ってるから、貴女も偶にはゆっくりしてきなさいな」
「判りました、有難う御座います」
「ふふっ、楽しんでらっしゃい」
「あ、そうだ。念の為に私がいない間だけ、家政婦さんに来てもらう様にお願いしてあるんですよ」
「家政婦?」
「ええ、この前人里に家政婦組合が出来たって聞きまして」
「そうなの?まぁ良いわ。それなら貴女は何も心配する事が無いわね」
「そうですね。私も明日のお昼頃には帰ってまいりますので」
「ええ、じゃあそろそろ出かけなさい。鈴仙ちゃんも待ってるでしょうしね」
「はい!では行ってまいります」

 そう言って笑顔で飛び立ってゆく妖夢を見送ると、幽々子は自室へと戻って行った。

「家政婦ねぇ。人里の家政婦が白玉楼まで来れるのかしら?」

 自室に戻った幽々子はとりあえず昼寝(?)をする事に決めた。

 こんな午前中から寝るなど、妖夢がいては中々出来ない。
 幽々子は幽々子で、自由を満喫するつもりであった。


―――


「……様、……子様」

 自室の布団で眠っていた幽々子は誰かに呼ばれている声を聞いて目が覚めた。

 あれからどれくらい眠っていたのだろう。

 お腹の空き具合から考えて、まだお昼にはなっていない気がする。

「……々子様、……幽々子様」

 再び声が掛けられ、同時に体が揺すられる。

 まだ覚醒していない、ぼんやりとした頭で声の方を振り返る。

 そこに見えたのは、銀髪のショートカットに黒いリボン、グリーンのベストに
同色のミニスカート。

「あら、妖夢じゃないの。一体どうしたの?永遠亭に向かっ……」

 次第に覚醒していく頭が、目の前の人物の違和感を訴える。
 妖夢にしては体格が大きい。ブラウスやミニスカートから除く手足はがっしりとしている。
 そして顔は……

「お目覚めになられましたか?幽々子様」
「……妖忌?」

 魂魄妖忌であった。

「よ、妖忌!何なのその格好は!」
「何を言っておられるのです?私は妖忌などという名前ではありませんよ」

 そう言って妖夢と同じ服を着た妖忌が近づいてくる。サイズが合わないのか
上半身はボタンがはちきれそうになっており、スカートは股下2cm位の
超ミニスカートであった。

「ひ・ひぃぃ!近づかないで!」

 あまりの事に悲鳴を上げる幽々子。座った体勢のまま、ズリズリと後ろ手に
下がってゆく。

 まぁ、超ミニを穿いたジジイが近寄ってくるのだ。幽々子でなくても悲鳴の一つでも
上げたくなるだろう。

「私は人里の家政婦組合からやって来ました、臨時の家政婦です」
「か、家政婦?」
「ええ、家政婦の魂魄ヨーヨーマッと申します」
「ヨーヨーマッ?!」
「特技はなめした蛙の皮でスーパークールなミニスカートを作る事です」
「ひいっ!溶かされる!」
「溶かしませんよ」
「本当に?」
「目を離さなければね」
「ひぃぃぃぃぃぃぃ!!」

 もはや幽々子はパニック状態であった。

「配膳幽霊が昼食を用意したようです。さ、こちらへどうぞ」
「ひ!近寄らないで!!」
「何を言っているのですか、全く。昼食が冷めてしまいますよ」
「あぁぁぁぁ!!さ・「西行寺無余涅槃」!!」

 パニック状態に陥った幽々子はとうとうスペルカードを発動する。殺す気満々のラストワードだ。
 この部屋の様な閉鎖空間では回避する事など不可能と思われる程の弾幕と、触れただけで死へと
誘われる美しく危険な死蝶が生者を求めて咲き狂う。
 その圧倒的な「死」を目の当たりにして妖忌……もといヨーヨーマッは溜息を一つ。

「仕方がありませんな」

 そう呟くと弾幕に向かい歩き出した。しかし、一見無造作に歩いているだけにも見えるのだが、
正中線は一切ぶれる事無く最小限度の動きだけで次々と弾幕をかわして行く。
 それは傍で見ている者がいれば、まるで弾幕の方から勝手に逸れて行く様にも見えた。

 やがてヨーヨーマッは幽々子の目の前へと辿り着く。もはや幽々子は訳も判らず目の前の
ヨーヨーマッを見つめるだけだった。
 そして、おもむろにヨーヨーマッは自分のスカートの裾を持つと、一気に捲り上げた。

「魂魄奥義!「スカートめくられ」!!」
「ぴ!」

 その光景を見た幽々子は自らの意識を手放した。



―――


 昼食後、幽々子は調べ物をすると言うと自室に引きこもった。
 もちろん嘘である。

(紫!紫、助けて!)

 自室に戻った幽々子は心の中で友人の八雲紫の名を呼ぶ。
 今日は午後から遊びに来るように約束していた。

(紫……早く来て……)

 護衛と言う名目で魂魄ヨーヨーマッは部屋の前で座っている。
 障子に映る影が微動だにしないのが恐ろしい。

(……紫ぃ……)

 果たして幽々子の願いは通じたらしい。
 幽々子の眼前に突如として不気味な空間の亀裂が走る。

「はぁーい!幽々子。お元気かし……ら……?」

 幽々子は思わず紫に抱きつくと、子供のように泣いた。

「紫ぃ……」
「ちょっと、幽々子!どうしたの?!」

 紫の問いかけに幽々子はただ部屋の入り口の方を指差すばかりだ。
 見ると障子の向こうに何者かがまるで監視するかのように鎮座している。

 アイツが幽々子を泣かせたのか。

 紫の顔に凶悪な微笑が浮かぶ。

 親友である幽々子を泣かせる等、八つ裂きにしても飽き足らない。
 と同時に幽々子程の実力者を此処まで怯えさせるとは、いかなる者なのかにも興味がある。
 確かに幽々子は蓬莱人の様に決定的に相性の悪い相手も存在する。
 しかし、そんな一部を除けば幻想郷でも上位の実力者だ。

「幽々子、少し下がっていなさい。すぐに終わらせて来るから」

 そう言うと紫は全身に好奇心と殺気を纏いゆっくりと障子を開けた。

「こんにちは、私は八雲紫と申します。少し私と遊んではくれないか……し……」

 ぴしゃん

 そして、すぐさま障子を閉める。

「な、何よ!幽々子!あのクリーチャーは何なの!!」

 紫の叫び声に幽々子はブルブルと首を振るばかりだ。

「何で妖忌が妖夢の服を着て座ってるのよ!愛情なの?趣味なの?カミングアウトなの?!」

 その時幽々子が突然目を見開いた。その様子に紫がゆっくりと背後を振り返る。

「これは紫殿、本日はどの様なご用件で?」

 背後には音もなく妖忌が立っていた。

「ひっ!」

 紫は思わずその場に尻餅をつく。どうやら腰が抜けたらしい。

「どうなされたのですか?」
「よ、妖忌なの?」
「違います。申し遅れました家政婦の魂魄ヨーヨーマッです」
「ヨーヨーマッ?!」
「得意な料理は「フランス料理風カエルモモ肉の煮込み料理」です」
「ひぃぃぃ!こ、来ないで……」

 涙目になりながら紫は後ずさる。

「一体どうなされたんですか」

 小首をかしげるヨーヨーマッ。本人は可愛いつもりかもしれないが、ひたすらに怖い。

「藍、藍!らぁぁん!!」

 紫は必死に自分の式神に呼びかける。
 すると、この部屋に来た時に開いたままの隙間から、一枚の紙が落ちてきた。
 慌ててその紙を見る紫。

『無理』

「らぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!!」

「大声を出さないで頂けますか、はしたないですよ」
「ひっ!きょっ、境界「永夜四重結界」!!」

 なかばパニック状態の紫は渾身のスペルカードを放つ。
 しかしヨーヨーマッは溜息を一つ。

「やれやれ、紫殿……貴女もですか」

 そう言うと、自身のミニスカートを一気に捲り上げた。

「魂魄奥義!「スカートめくられ」!!」
「ひぎぃ!」

 霧散する紫のスペルカード。
 紫の意識は深い奈落の底に落ちていった。



―――



 あの後、目を覚ました紫は縁側で幽々子とお茶を飲んでいた。
 目の前の庭ではヨーヨーマッが木刀で素振りをしている。
 しかし二人はその光景を視界に入れないように俯いていた。

「ふんっ!」

 ヨーヨーマッが木刀を振るたびに翻るミニスカート。
 チラリと覗く絶対領域。

「……ねぇ、幽々子」
「何?」
「なんでローレグ縞パンなの?」
「思い出させないで」
「……ごめん」

「ふんっ!」

 ヨーヨーマッの声だけが静かに響いた。



―――


 その後幽々子は「疲れた」と言って昼寝をする事にした。
 紫は「用事を思い出した」と言ってさっさと帰ってしまった。
 ……友達がいの無いヤツめ。


「幽々子様。夕食の準備が整いました」

 あれからどのくらい眠ったのだろうか。部屋の外からヨーヨーマッの声がした。
 幽々子はぼんやりとする頭を軽く振る.


「僭越ながら夕食は私が用意いたしました」
「アナタが?」
「ええ、冷めない内にどうぞ」
「わかったわ。直ぐに行くわ」

 そう答えた幽々子は布団から起き上がると、何時もの服装に着替える。

「妖忌の手料理か……」

 幽々子は思い出す。

 長くは生きて(死んで?)きたが、妖忌の手料理など数えるほどしか食べた事がない。
 最後に食べたのは何時だったか。

 白玉楼には大勢の配膳幽霊がいる。その為、妖夢の様に律儀に料理をせずとも事足りた。
 その上、妖忌はあまり料理が得意ではなかった。

 だが、たまに妖忌が釣りに出かけた帰りなどに、その日の釣果を料理してくれた。

 何の変哲もない魚の塩焼き。あれは虹鱒だったか山女だったか。
 適当に塩を振ってあるせいか、所々塩辛かったり焦げていたり……

 それと白米と味噌汁、それに漬物が添えられていた。

 あの漬物は確か妖忌が自分で漬けたと言っていた。
 不器用にざく切りにされた漬物。
 刀を扱うのにあれほど長けた妖忌が、どうして包丁を持つとこんなにも不器用になるのか
幽々子にはとても不思議だった。

 だが、幽々子はそんな妖忌の料理が大好きだった。

 幽々子が料理を頬張ると

「美味しいですかな?」

 と、心なしか不安気な妖忌が問いかける。

「ええ、とても美味しいわ」

 幽々子がそう答えると、妖忌はいつも小さく笑うのだ。

 その笑顔が見たくて、幽々子は何度も何度もおかわりをした。


「妖忌の手料理か……」

 もう一度呟くと、幽々子は小さく笑った。
 自分は結構楽しみにしているのかもしれない。そんな事を考えながら。



―――



「前菜に『フレッシュトマトとモッツァレラチーズのサラダ』と『白身魚のフリカッセ』、
メインは『フランス料理風カエルモモ肉の煮込み料理』。デザートに『ザッハ・マッセ』を
用意致しました」
「うわーん!私の思い出を返してぇぇぇぇ!!!!」
「どうなさいました?もしかしてお口に合いませんでしたか?」
「美味しいけど!美味しいけどっ!!」

 幽々子は泣きながら料理を食べた。

 美味しい。凄く美味しいのだが、期待していた物ではない。

 もっと何か……こう……

 言い様のないもどかしさが幽々子を支配する。

「えぐっ……ひぐっ……」

 料理を食べ終わっても幽々子は泣いていた。
 そこにヨーヨーマッがお茶を持って現れる。

「食後のお茶をお持ちしました。それから、お茶請けもいかがですかな?」

 幽々子は目を見張る。

 差し出されたのは幽々子の湯飲みに淹れられたお茶と、不器用にざく切りにされた漬物。

 恐る恐る漬物を口に運ぶ。

 ポリ……ポリ……ポリ……

 それは、どこか懐かしい味がした。

「如何ですかな?」
「ええ、とても美味しいわ」

 ヨーヨーマッの問いかけに幽々子は笑顔で答える。

 ただ、先程まで泣いていた所為だろうか、視界がぼやけてしまってヨーヨーマッの顔が
ハッキリと見えなかったのが、少し残念だった。



―――



 風呂に入り終えた幽々子は、縁側に座り一人酒を飲んでいた。

 空に浮かぶのは満月。月を肴にというのも中々の趣ではないか。

 どこぞの吸血鬼も、さぞや猛っていることだろう。

 その時、音もなくヨーヨーマッが現れた。

「あら?あなたも一杯どうかしら?」

 もはや慣れてきたのであろう、幽々子は驚く事も無くヨーヨーマッに話しかける。

「では、お言葉に甘えまして一杯だけ」

 そう言うとヨーヨーマッは幽々子の側に座り、杯に酒を注いだ。

 流れていく静かな時間。聞こえるのは僅かな風の音だけだった。

「何か用でもあったのかしら?」

 不意に幽々子が話しかける。

「……明日の早朝にはお暇させていただきます。そのご報告を」
「そう……」

 再び流れる静寂。

 しかし、その心地よい時間も終わりを迎える。

 杯の酒を飲み干したヨーヨーマッが立ち上がる。

「では幽々子様、お休みなさいませ」
「そう言えば……」

 挨拶を済ませ立ち去ろうとするヨーヨーマッに幽々子は話しかける。

「少しお願いがあるの、良いかしら?」
「私めに出来る事であるならば」
「あなた、家政婦だからいろんな所に行ったりするのよね?」
「ええ」
「妖忌という人に出会ったら、伝言をお願いしたいの」
「……」
「『貴方が自分で選んだ生き方だから、私は何も言わない。帰って来いとも言わないわ。
でも、一度位は白玉楼に顔を出しなさい。妖夢も貴方に会いたがってるわ。決して口には
出さないけどね』と。お願いね」

 ヨーヨーマッは少し微笑むと

「かしこまりました」

 とだけ言って、立ち去っていった。



―――



 その夜、幽々子は夢を見た。


 妖忌と幽々子、そしてまだ幼かった頃の妖夢と3人で川へ魚釣りに行く夢だった。

 何時ものようにムスっとした表情のまま水面の浮きを眺めている妖忌。

 妖夢もまた真剣な表情で魚を釣っている。

 やがて、妖夢の竿に魚が掛かったらしい。慌てて竿を引く妖夢。

 中々の大物なのか、妖夢は顔を真っ赤にしている。幽々子は妖夢の肩に手をやり支えてやる。

 やがて妖夢は見事な山女を釣り上げた。

「ゆゆこさま、ありがとうございます!こんなに大きな魚が釣れました!」

 満面の笑みで幽々子に釣果を見せる妖夢。幽々子は微笑みながら

「すごいわ妖夢。ほら、妖忌にも見せてらっしゃい」

 そう言って妖夢の背中を押す。

 妖夢は笑顔で頷くと、山女を籐のびくに入れ妖忌の元へと走ってゆく。

「お師匠さま!こんなに大きな魚が釣れました!」

 妖忌は妖夢の釣った魚を一瞥すると

「ふむ、良い型だ。しかし妖夢、これに慢心してはいかんぞ」

 と、表情を変えずに言う。妖夢は真剣な表情で頷いた。

 だが、妖忌は不意に妖夢の頭に手をやると

「頑張ったな」

 と言って、小さく微笑んだ。

 一瞬ポカンとした表情を浮かべた妖夢だったが、やがて満面の笑みで

「はい!お師匠さま!」

 と大きく頷いた。


 それは楽しくて。

 とても幸せで。

 少し寂しい夢だった。



―――



 翌朝、幽々子が目覚めた時には魂魄ヨーヨーマッは居なくなっていた。

 幽々子は朝食を済ませると、縁側でお茶を飲んでいた。

 もうすぐ妖夢も帰ってくるだろう。

 これからはまた何時も通りの生活。

 思い返せば、昨日の様なドタバタも楽しかったのかもしれない。

 何時も通りの生活に不満がある訳ではない。

 ただ、昔みたいに三人で……

 取り留めなくそんな事を考えていると、入り口の方に妖夢が帰ってくるのが見えた。

 ここからでも妖夢が楽しそうに見えるのは、幽々子の錯覚ではあるまい。

「幽々子様、ただいま戻りました」

 まっすぐこちらに向かってきた妖夢は、幽々子に声を掛ける。

「お帰りなさい。永遠亭は楽しかったかしら?」

 そんな事は聞かなくても妖夢の顔を見れば判る。

「ええ、とても良くしていただきました」

 今日は妖夢の土産話を沢山聞かされそうだ。それも偶には楽しいだろう。

「幽々子様のほうは如何でしたか?」

 でもね

「ええ、大事無かったわ」

 昨日の事は妖夢には教えてあげない。

 幽々子は小さく微笑った。









後日談:白玉楼にて



「妖夢、そこに座りなさい」

 突然幽々子に呼び出された妖夢は、神妙な面持ちで幽々子の前に座る。

 何か幽々子様のお気に召さない事でもあったのだろうか?

 自分の行動を思い返すが、思い当たる節は無い。

「妖夢、よく聞きなさい……」

 妖夢は内心、首をかしげながら幽々子の言葉を待つ。

「今から妖忌に教わった「魂魄奥義」を貴女に授けるわ」
「!!」

 妖忌という言葉に思わず反応する妖夢。

 師が残した魂魄奥義とは如何な物か。

 妖夢は小さく頷くと、真剣な表情で幽々子を見つめた。

 やがて幽々子は懐から小さな布切れを取り出す。

 それは、淡いグリーンの「縞ぱん」だった。

「妖夢、まずはそれを穿きなさい」
「……はい?」





後日談:永遠亭にて



「鈴仙。鈴仙~!……居ないのかしら?」

 永遠亭の主である輝夜は鈴仙を探し、廊下を歩いていた。

「姫、ウドンゲに何か御用ですか?」

 そこに通りかかった永琳が輝夜に声を掛ける。

「あら、永琳。鈴仙を知らないかしら?人里までお使いを頼もうと思っているのだけど」
「ウドンゲはてゐと一緒に白玉楼へ行きましたわ」
「ああ、今日だったわね」

 以前、妖夢がお世話になったお礼にと、幽々子の招待で2人は白玉楼に遊びに行ったのだ。
 永琳もまた鈴仙には滅法甘かった。

「でも困ったわね。他のイナバでは心許ないし」
「ああ、それならウドンゲが今日一日臨時の家政婦を雇ったと言ってましたわ。
その者に頼んでは如何ですか?」
「臨時の家政婦?」
「ええ、なんでも人里に新しく家政婦組合が出来たとか」
「へぇ」

 その時、玄関の方で声がする。

「御免下さい、家政婦組合の者ですが……」

「あら、「噂をすれば」ですわ」
「どんな人間なのかしら?」

 輝夜と永琳は連れ立って玄関に向かう。

「いらっしゃい、アナタが臨時の家政婦……」
「早速で悪いのだけど、人里までお使い……」

 玄関に佇む人物を見て二人は声を失う。

「初めまして」

 その人物は、紺色のブレザーを着て

「この度は、ご依頼有難う御座います」

 白いワイシャツに、薄いピンクのミニスカートを穿き

「私、人里の家政婦組合からやって来ました」
 
 大きくへにょったウサミミを付けた

「鈴仙・優曇華院・妖忌です」









「神宝「蓬莱の玉の枝 -夢色の郷-」!!」
「禁薬「蓬莱の薬」!!」
「なんの!魂魄奥義「スカートめくられ」!!」


 その日、永遠亭に怒号と、爆音と、悲鳴が響き渡った。
 タイトルに誤字がありました。申し訳ありません。
 正確なタイトルは

「家政婦は見せた」

 でした。


 少しでも楽しんで頂ければ嬉しいです。
ぐれ
簡易評価

点数のボタンをクリックしコメントなしで評価します。

コメント



0.6180簡易評価
2.100名前が無い程度の能力削除
言葉にならない
4.50名前が無い程度の能力削除
これはひどいwww
5.100名前が無い程度の能力削除
妖忌自重ww
6.80名前が無い程度の能力削除
壊れギャグなのにシリアスを混ぜるなww
7.90名前が無い程度の能力削除
奥義がひどすぎるww
9.90名前が無い程度の能力削除
良い夢見れないなこれは
11.100名前が無い程度の能力削除
これはひどい
12.100名前が無い程度の能力削除
ヨーヨーマッwww
13.100名前が無い程度の能力削除
幽々子が可愛過ぎる
14.100名前が無い程度の能力削除
紫がとばっちりwwww
16.100名前が無い程度の能力削除
俺の好きなチェリストに何の怨みがあるんだ!せめて剣つながりでヨーダにしてくれwww
17.100名前が無い程度の能力削除
コ・レ・ハ・ヒ・ド・イ・www
18.90名前が無い程度の能力削除
どんな顔して読めばいいの……。
19.90名前が無い程度の能力削除
想像以上に酷いww
29.100夕凪削除
ヨーヨーマッwwwwwwwww
負けた、負けたよ。
藍の『無理』と、魂魄奥義「スカートめくられ」に対する、幽々子や紫達の反応で、腹筋崩壊しっぱなしだった。
しかもギャグなのに、不意にシリアス混ぜてくるし、もうわけ分からんw
ほんと、これはひどかったwww
30.100名前が無い程度の能力削除
⑥部ww
またひどいキャラもってきたなww
31.100名前が無い程度の能力削除
これは酷い。
あまりの酷さに腹筋が崩壊したどうしてくれるwww

魂魄ヨーヨーマッさんよりも鈴仙・優曇華院・妖忌さんの方が外見的な意味で好きです。
32.80名前が無い程度の能力削除
その奥義は妖夢が受け継いだら駄目だ
34.100Ninja削除
テンパった幽々子様が異常にかわいいw
それにしても『無理』はひどいなwww
36.100名前が無い程度の能力削除
なにしてれてんの爺さんwwww
37.100名前が無い程度の能力削除
魂魄奥義やめて。
39.100煉獄削除
妖夢の服を着た妖忌ですか……そして「スカートめくられ」が紫さまや幽々子すらも打ち負かす
威力をもっていたりすることにニヤっとしました。
ギャグだけではなくシリアスな場面もあって面白かったです。
40.100名前が無い程度の能力削除
ヨーヨーマってバイオリニストでしたっけ?チェリスト?
それはともかくひどすぎるwwwww
41.100名前が無い程度の能力削除
ヨーヨーマはチェリスト。
うん、全敗余裕でしたw
43.100名前が無い程度の能力削除
ヨーヨーマに謝罪と賠償をするべき
48.無評価名前が無い程度の能力削除
これはヒドイ…が魂魄奥義で笑ってしまったので負け…
49.100名前が無い程度の能力削除
↑点数入れ忘れた
50.100名前が無い程度の能力削除
もう幻想郷はおしまいだ。
52.80Taku削除
らら ららら 言葉に できない
53.90名前が無い程度の能力削除
シリアスが混じってるせいで余計にひどくて笑いました
57.100名前が無い程度の能力削除
だめ、もう、だめwwww
58.100名前が無い程度の能力削除
ヨーヨー・マwwwww

全編笑い通しだったのに、自分が最近ちょうど幽々子と同じような夢を見たもので、シリアス部分にはグッと来てしまったじゃないですか…
59.100名前が無い程度の能力削除
ゆゆ様wwそれ奥義じゃねえから!www
早く勘違いを正さないと魂魄の名が威信が地に落ちるぞw
カオスなだけなら60点だけどちょっと感動した自分が悔しいw
60.100名前が無い程度の能力削除
ちょっと妖夢の奥義くらってくる
64.100名前が無い程度の能力削除
良いSSだった
ただ壊れギャグするだけじゃないし、ただシリアスするだけじゃないって言うのが良い
100点を奢る
69.100みずあめ。削除
不覚にも涙ぐみました。二つの意味で。
これはひどい
72.100名前が無い程度の能力削除
あとがきで誤字の報告とは卑劣にも程がありますぞ!!
74.100名前が無い程度の能力削除
これはひどい
81.100名前が無い程度の能力削除
ヨーヨーマッ!!
82.100名前が無い程度の能力削除
シリアスとギャグが絶妙に絡まりあって面白かった!
妖忌さん…何があったんだ…
いや、返答しなくていい
83.100名前が無い程度の能力削除
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
84.100名前が無い程度の能力削除
なにこの疾走感
86.90名前が無い程度の能力削除
おい妖夢!
奥義やれ奥義!!
91.100名前が無い程度の能力削除
あ、新手のッ・・・スタンド使いかッッ!!?
95.100名前が無い程度の能力削除
クラシックファンがコレ読んだら
即モニター粉砕モノですよ?wwwww
97.100名前が無い程度の能力削除
これはひどいwww
101.100名前が無い程度の能力削除
途中の感動を返せ!
104.100名前が無い程度の能力削除
ひどいとしか言えんwww
105.100名前が無い程度の能力削除
状況を浮かべながら読む俺には致死毒過ぎた
もう妖忌をまともに見れないwww
箸休めのシリアス部分のせいで余計に笑っちまったwww
106.90名前が無い程度の能力削除
冗談抜きで軽く吐きそうになったのでー10
107.80名前が無い程度の能力削除
この話しの続きを紅魔館や命蓮寺を舞台にして書いてみよう、などという邪念に作者様が囚われない事を切に願っております
109.100名前が無い程度の能力削除
ギャグとシリアスとついでに花粉症で三重に泣いた
111.100名前が無い程度の能力削除
てか,家政婦を見たwww
113.100名前が無い程度の能力削除
『魂魄ヨーヨーマッ』…。意外と語呂が良いな………。

あと、他人にやられてる訳じゃないから、結局ただの『めくり』だと思う。
115.100名前が無い程度の能力削除
ゆゆさまがかわいいw
あと奥義wwww
117.100名前が無い程度の能力削除
第6部wwwwww
120.100名前が無い程度の能力削除
これを読んで吹かずにいられるか!俺には無理だ!wwww
125.100高機動型ユボン3号削除
 ぎゃ~~~! ヨーヨーマッの想像図が頭で勝手に構築される~~!!

 やだww何これww終始笑いっぱなしでしたww
 特に『無理』がヤバイww
126.100たぁ削除
腹筋崩壊www
131.80名前が無い程度の能力削除
シリアスの部分はすごく良かったw
なんで妖忌ってSSで出てくると女装してんのw
139.100名前が無い程度の能力削除
ねえ、おかしいよね、これ。
タイトル家政婦じゃないよね、どう見ても「婦」じゃないよね。
140.80ずわいがに削除
妖忌・雲山は創想話でろくなポジションじゃねぇなww
142.100名前が無い程度の能力削除
おっかねえ……
143.100名前が無い程度の能力削除
見せるなw
145.100デン削除
魂魄ヨーヨーマッの名前を見た瞬間に100点入れるのが確定してしまいました。インパクトが凄すぎるw

しかし、一巡後の世界では妖忌は魂魄ヨーヨーマッになってしまうのか……プッチ神父頑張ってくれ
147.90名前が無い程度の能力削除
怯える幽々子と紫可愛すぎるw

もう何て言えばいいか分からないから、妖夢から奥義くらってくるわww
149.100名前が無い程度の能力削除
腹痛ぇwwwwwwww
157.100名前が無い程度の能力削除
祓いてぇwwwwwwww
171.80名前が無い程度の能力削除
なぜその秘技ww
174.100名前が無い程度の能力削除
やめてくださいww
177.80名前が無い程度の能力削除
ワラタwwww
しかしヨーヨーマは個人的にいかんかったので-20
179.100名前が無い程度の能力削除
「ぴ!」
180.100名前が無い程度の能力削除
ヨーヨーマッ! 蛙の気持ちになりたい。
186.100名前が無い程度の能力削除
>ヨーヨーマッ
吹き散らした
189.100名前が無い程度の能力削除
股下2cmのスカートなんですよね?
それが木刀の素振りをする度にスカートが翻って絶対領域が見えるってことは……
190.100名前が無い程度の能力削除
映像浮かべながら読むたちなのでもう登場時から吹きっぱなしだったwww
大好きwww
202.100名前が無い程度の能力削除
ギャグもシリアスもすげぇわ