「回れや回れや真っ赤な紅葉~♪、流した木の葉はお芋と熱愛~♪」
今日は涼しめ快適夜道。
提灯照らすはお客のコップ。
今日は早くもお客さん、嬉しい限り♪
でも暴れるのだけは勘弁ね?
「おいおい、誰が暴れるって?」
「あんたでしょう?暴走魔法使い」
「ちょっと霊夢、私のどこが暴走魔法使いなんだ?」
「主にうちの門を突破する時ね」
「そういえば紅魔館ってよく魔理沙さんに侵入されているんでしたっけ?」
「侵入しているなんて心外だな」
「そうね、そんな静かに入ってこないものね。毎回ガラスか壁が壊れるもの」
「・・・私の味方は無しか」
「自業自得よ」
「あはははは・・・」
今日のお客は紅白巫女に黒白魔法使い、銀色メイドと緑白巫女さん。
そういえば全員人間だね?でも、皆下手な妖怪よりも妖怪じみてる?
「そういえば、大丈夫なの?あんたが抜け出してあそこ」
「大丈夫。もともと私がいなくても動いていたんだから、少しぐらい抜けたところで平気よ。第一私が一時も離れられないんじゃあ買い物すら出来ないわ。買い物は時を止めてできないもの」
「ま、店主も止まっちまうからな」
「時を止めるかぁ、想像もできない世界ですね」
「正確には物凄く時間をゆっくりにしてるだけなんだけどね、でないと光も空気も止まっちゃって何にも見えないし息も出来なくなるもの」
「やったことあるの?」
「ええ昔ね。能力を使い始めたときは今みたいに自分の周囲だけ時の流れを戻すとかもしていなかったから、周りの空気や服とかも止まっちゃって正に鎧を着たまま暗い水の中にいるみたいだったわ」
「それは怖いな」
「ええ、半分トラウマみたいなものよ」
トラウマか~、私は風邪で声が枯れた時かな~?
あれは思い出しただけで嫌になっちゃう。
「へぇ~、咲夜さんみたいな人もトラウマとかあるんですね~?」
「じゃあもしかして水が怖いとか?」
「あ、カナヅチなんですか!?」
「まさか!そうだったら湖にある紅魔館で働けないわ。半分って言ったでしょう?もちろんちゃんと泳げるわよ。まぁ進んで水の中に入りたいとは思わないけどね」
「じゃあ、パチュリーのところの本に書いてあった海底とか言うところはどうだ?名前の通り海って大きな湖の底で、真っ暗で物凄い圧力がかかっているらしいぞ」
「そうね、それならちょっと嫌かもね。でもそんなレベルよ」
「ふ~ん」
「おまちど~♪」
私は焼けたウツボを差し出す。
そういえばこれも海から取ってきてもらったやつだね~。
「お、きたきた」
「魔理沙、良くあんなの食べる気になるわね」
「ん、意外と旨いぜ?」
「それはわかっていますけど見た目が・・・」
「なんだよ、血を飲むよりいいだろ?なぁ咲夜」
「私は調理はしても飲まないわ」
「ブラッドソーセージはどうなんだよ?」
「あれは食べているのであって飲んではいませんわ」
「違いがわからないわよ」
「ブラッドソーセージってなんですか?」
なんかお客さんだけで盛り上がってるな~。
仕方ない、私はBGMに徹しましょうか~♪
「あれ、結構人がいますね」
「ホントだ」
「いらっしゃ~い♪」
次のお客は半人庭師と銀色兎さん。結構珍しい組み合わせ?
「お、妖夢と鈴仙か。珍しいな二人が一緒だなんて」
「ちょっとそこで会ってね、妖夢も屋台に行くみたいだから一緒にって」
「なるほどな。そういえば幽々子はいいのか?」
「ええ、今日は紫様が来ていますから」
「八雲の大妖って冥界の主人と仲いいんですか?」
「まぁね、あの胡散臭い妖怪の親友だからね」
「へぇ~」
「あんた、宴会の時とかに見てないの?」
「あ~、宴会の時は自分のことで精一杯なので・・・」
「まぁ、しばらくしたら慣れますわ」
「そんなもんですか?」
「そんなものよ」
「店主、串揚げと天ぷらを」
「私は蒲焼にご飯を」
「はいは~い♪」
私は早速魚を捌き始める。
そういえばお酒はいいのかな?
「なんだい、呑まないのか?」
「呑むわよ。ただその前にちょっと腹ごしらえ」
「お腹すいちゃって」
「ふむ」
「そういえば冥界って妖夢さんしか働いている人はいないんですか?見たことないですけど」
「そんなことはないよ。ちゃんと私以外にも働いている幽霊がいるわ。ただ私みたいに随時人型になっているのはいないから見てもわからないだけだと思う」
「あ、なるほど。そういえば妖夢さんも幽霊でしたね」
「半分だけよ」
「まぁでもいっつも人型になっているやつって、妖怪でもそんなに多くないからねぇ」
「あれ、そうなんですか?私が見たことのある妖怪って殆ど人型でしたよ?」
「山にいる天狗や河童は元が人型だからね。ほら、私のところには兎がいっぱいいるでしょう?でも常に人型なのはその内の数%だけよ。あとはなれないか、なれてもずっとはなっていられないかね」
そういえば私も最初は人型になるのに苦労したっけ~。
今はこっちの方が慣れちゃったけど~。
「でも、異変のときに会う妖怪も人型ばっかりですよ?」
「スペルカードルールを楽しむにはある程度の力が必要だから、異変に関わるような妖怪はみんな人型を保つ位の力はあるのよ。早苗は妖怪退治とか殆どしていなかったから知らないだろけど、そういうのしていると意外といるわよ人型じゃない奴」
「確かになぁ。魔法の森にも結構いるし」
「うちは妖精ばかりだからあまり見ないけど、外に出ると確かに見かけるわね」
「・・・なんで私だけ見ないんでしょう?」
「妖怪の山は閉鎖的だから天狗と河童以外の妖怪が殆どいないんでしょう」
あ~、確かにあそこは近寄り難いからねぇ~。
「む~、なんか仲間はずれな気分ですね」
「拗ねない拗ねない」
「拗ねてませんよ!」
あ、なんか緑白巫女さんが怒り出した?
あんまり暴れないで欲しいんだけどなぁ~。
「む~む~む~」
「早苗大丈夫?」
「だいじょ~ぶですよ~!」
真っ赤な緑白巫女さん、テーブルの上のコップをくわえて揺らしてる。
あんまり揺らすと倒れるよ~?
「お、今日は人がいるねぇ」
「ん~座れなかったらどうしよ~?」
「まぁ何とかなるだろう」
「あ、いらっしゃ~い♪」
次にきたのは赤い死神さんと真っ赤な黒猫さん、そして始めて見るネズミさん。
「なんか、妖夢と鈴仙以上に妙な取り合わせね」
「サボり魔の死神に地底の火車、それと最近出来たお寺にいる失せ物探しだったかしら?」
「ナズーリンよ」
「あれ、あなた達知り合いだっけ?」
「違うよ~、たまたまそこで会っただけ」
「というか、ネズミはよくここがわかったな」
「まぁ噂だけはいろいろ聞いていたから、ちょっと来てみようと思ってね」
「で、そこでばったりあたいらと会ったわけさ」
「ふむ、珍しいこともものね」
「あ~、なんかみたことのあるネズミがいる~」
「早苗は黙ってなさい」
「霊夢さんのいけず~」
「随分と酔ってるようだねぇ。あ、席はあるかい」
「ちょっとまっててね~」
私は裏から予備の椅子とテーブルを用意する。
流石に屋台のカウンターだけじゃあ九人も入らない。
「あ~ちょっと屋台から離れちゃうね~」
「ゴメンね~、うちの屋台はそこまで大きくないから」
「あ、それなら屋台のテーブルにつければいいんじゃない?ちょっと真ん中が遠くなるけど離れるよりいいでしょう」
「ん、それはいい考えだな。店主」
「はいは~い」
私はがたがたとテーブルを屋台の前につける。
ちょっと歪な凸型カウンターの完成~。これなら九人座れるかな?
「うし、それじゃああたい達にも酒をおくれ」
「はいは~いどうぞ~。あ、ネズミさんは初めてだからこれはサービスね~♪」
「あ、すまない」
「よしそれじゃあ、新しい奴も来たことで」
「「「「「「「「「かんぱ~い」」」」」」」」」
ついでに私もかんぱ~い♪いや、飲まないけどね~。
「しかし、よくここのこと知っていたわね?」
「そうだよねぇ~。あたいだって紅魔館のパーティーで初めてここの存在を知ったのに」
「私は探し物が得意だからね。それにここの屋台は結構噂になっている。探し出すのは簡単さ」
「そういえばネズミを使うんだっけ」
「そう」
「ネズミかぁ。冥界はネズミはいないからよくわかなないけど、地上だといろいろなところに潜んでいるらしいじゃない」
「まぁあたいのところでもそうだけど、あの世は基本動物いないからねぇ」
「いいわねぇ、うちの館も結構いるのよ。まぁ一番大きくてたちが悪いのはこいつですけど」
「さぁ~そいつはどこにいるんだ?」
「あなたのことでしょう。幸いにもうちの屋敷には出てこないけど」
「お前のところは医学書ばかりだからな」
「むぅ~ん♪むふむふ♪♪」
「早苗、もうその辺でやめときなさい」
緑白巫女さん、楽しそうにおかしくなってる?
「あの世か、確かに今のままではそっちにある探し物は出来ないな」
「そういえばお燐が前に妖精をゾンビにして操っていなかったっけ?あれと同じように死んだネズミを操るとか」
「いやいや、あれはあたいが妖精に頼んでそれっぽく演技してもらっているだけだって」
「あれ、そうなの?」
「気付かなかったのか霊夢?お前って時々変に鈍いときがあるよな」
「必要か興味ないことには働かないんじゃないかしら?」
「ん~そうなのかなぁ」
「だが、死ななくてもそういったところにいける特殊なネズミを扱うというのは悪くないかもしれない。ちょっと考えてみるよ」
ネズミさんはそう言って笑ってる。そういえば私ももうちょっと知り合いの鳥たちを使って宣伝してみようかな~?
「真っ白水玉雲の色~♪、雪が降ったら雨あられ~♪」
夜も更けちょっと肌寒くなってきた。
でもお客はお酒、私は炭火で温かい~。
「だからさぁ、この茸はこういった使い方が出来ると思うんだが」
「ん~、でも確かこれメインは幻覚作用でしょう?弾幕には使いづらいんじゃあ」
「狂気の瞳を使っているお前が言うな」
「・・・ごもっとも」
「最近そっちはどうだい?」
「ん~なんか変な感じの霊魂達が結構来るんですよね、ここ最近」
「わかるわかる、あたいのところにもちょっと違った奴が来るんだ。なんかどうも幻想郷以外の霊魂が迷い込んできてるみたいなんだよね」
「ん~こちらの世界に入り込んでいる人が増えたって事ですかね?」
「わかんないねぇ」
「おね~さん、いいのこっちのおね~さんほっといて?」
「いいのいいの。早苗は酔うと大体こんなになるから」
「むにゅん~♪」
「・・・」
「あなたネズミを操ることが出来るのよね?私の館からネズミをいなくさせることとか出来ないかしら?」
「あ~それは無理だな。私は頼んでいるだけであって別に支配しているわけではないからな。流石に彼らの生活を脅かすようなことは出来ない」
「そう」
「ただ、ちゃんと餌場を作ってくれるならそこだけで食べるように言うことはできるが?」
「ん~それは・・・」
みんな思い思いに話してる~。
とりあえず緑白巫女さん以外はしっかりしてるね~。
「れいせんさ~ん。なんでわたしにきょ~きのひとみ、つかってるんですか~?」
「いや、使っていないし」
「え~!?だって~、わたしには~れいせんさんがよにんぐらいみえますよ~?」
「いや、あなたが酔っているだけだよ?」
「あ~!そんなこといって~、じつはげんかくみせて~わたしをおそうつもりなんでしょう~?いやん♪むふ~、うのんっ!!」
あ、緑白巫女さんが紅白巫女さんに叩かれた。
「早苗、ちょっと飲みすぎよ」
「あら~ん、れいむさんしっとですか~?っのうん!!」
「馬鹿なこと言っているんじゃないの」
「れいむさんの~い・け・ず~♪」
「・・・」
「うわ~」
あ~あ、紅白巫女さん頭押さえてる。
大丈夫かな~?
「そうだ、ナズーリン。お前さ探し物を見つけられるんだよな?ちょっと見つからなくて困っているものがあるんだが」
「また無くしたの?いい加減ちゃんと片付けたら?」
「いや無くしていない。ただちょっと私の目では見つからないだけだぜ」
「それを一般的には無くしたって言うのよ。いい機会だから部屋を綺麗にしたら?」
「そんなに酷いのか?」
「ごみ山よ」
「足の踏み場もないほどでしたわね」
「ん、あれは酷かったと私でも思う」
「みんな酷いぜ」
「あ~、流石にそれは・・・見つかったとしても取り出せるかわからなそうだしな」
「あっはっはっ!確かにな」
「そういえばこの中で一人で暮らしているのって霊夢と魔理沙だけ?」
「いや、あたいもそうだよ」
「あ、小町さんもか」
「私も紅魔館に来る前はあるんですけどね」
「咲夜も・・・私は月では宿舎が多かったからなぁ、ちょっと気になるのよね」
「一人暮らしか~、野良時代を考えればあるっていうのかな?」
「私は常に他のネズミといたから一人暮らしとは言えないな」
「自分のことだけすればいいと考えると楽そうですよね。あんまり想像付きませんが」
「そっか、妖夢は生まれたときから白玉楼にいるものね」
「別に楽ってわけじゃないけどね」
「いや、霊夢は楽そうだろう。ただ縁側でお茶飲んでいればいいだけだしな」
「いえ、れいむさんにはわがもりやじんじゃのぶんしゃをもりあげるという・・・」
「あんたはもう黙ってろ」
「うやんっ!」
「あんまり叩くと揺れで酔いがまわらないかい?」
「静かになればどうでもいいわよ、もう」
「そういえや意外と今一人暮らしっていうのは少ないな。あとは・・・アリス位か?」
「私達のまわりは組織に属しているのが多いからそう感じるだけじゃない?うちの永遠亭とか、紅魔館とか、妖怪の山とか」
「そうそう私達みたいにどこにも関わっていない妖怪は結構一人暮らしだよ~?」
まぁたまに他の鳥と一緒に寝たりはするけどね~。
「あ、そっか」
「四季様もそうだしなぁ」
「む、実は結構いる?」
「まぁ妖怪は基本あんまり群れるのを好まないしね。私達兎だってけっこう縄張り意識は強いのよ?」
「あら、寂しいと死んでしまうと思ってましたわ」
「それは俗説」
「そういえばここって兎料理はないの?」
「霊夢~!」
「ごめんね~、ここメインは魚と山菜だから~」
「もぅ~!!みなさんわたしをのけものにして~~!!こ~なったら、あらびとがみのちからをおもいしらせてあげるわ~!!!」
「ちょっ!?早苗っ!!」
「うわっ、暴れるな!!」
「あ~!屋台であばれないで~~!!」
「ねぇ鈴仙、あなたの瞳で眠らせられないかしら!?」
「もともとおかしい人には無理!!」
「こうなったら私が!!」
「おい、お嬢ちゃんを切る気かい!?」
「いや峰打ち」
「それでもまずいって!」
「ぬわ~!!」
「緑のおね~さん!ストップ~!!」
「私のダウジングロッドが~!!」
「屋台が~!!」
穏やかな風に混じる怒声と悲鳴と叫び声。
夜明けまでにはまだ少し・・・。
けど雰囲気はいつもみたいなんで好きです
ところで、あとがきに十一夜目と書いてありますが十二夜目では?
ゆるーく読んでいても大体の台詞は誰だか把握出来た感じ。
こんな雰囲気の良い屋台で飲み明かしたいなぁ。
ちょっと鳥人になって来る
千葉県某所、○ィズニーランドのミッ○ーマウスですね、わかります。
書き分けは全然わからないほどではなかったようなので、ひとまず安心しました。
今回特に鈴仙と妖夢辺りが難しく、次点で霊夢と咲夜が大変でした。
>>19さん、誤字の報告ありがとうございます。どうも、自分の中ではこれは十一夜目になっているようで、書き間違えてしまったようです。
たくさんのキャラが一同にかいしてわいわいダベるのって良いもんですよねぇ。