何時如何なる時でも、女性には聞いてはならない事柄と言うものは存在する。
具体的な例では、体重だとか、スリーサイズだとか(しかしこの場合は例外があったりする)、歳などがこれに当たる。
しかし。
上に挙げた具体例の一つ――――“歳”について、ある女性に追及した者がいた。
その者の名前は霧雨魔理沙。
そして「ある女性」とは――――
――――――紅魔館の完全で瀟洒なメイド、十六夜咲夜。
なんだか聞いちゃいけない人のトップ5に入ってそうな彼女に、その魔女は悠然とした態度で聞いた。
そしてその直後。
魔女の視界は紅に染まったナイフで埋め尽くされ――――――。
紅魔館に、ふたたび静寂が訪れた。
「なわけないでしょ」
咲夜一蹴。
ここは紅魔館(の咲夜の部屋)。紅い悪魔と気が狂った妹、そして夜な夜な
「薬を・・・薬をくれぇぇぇぇえ!!」
と、まるで服用してはいけない物の中毒者じみた声が聞こえる館である。
ちなみにその声がしてから暫く廊下で待つと、えらくべっぴんさんな悪魔が自分を迎えにきてくれるらしい。
地獄的な意味で。
(※紅魔館は紅魔館でも咲夜の部屋である)
「えー・・・いいじゃないか」
なんか私が格好いいだろ?と付け足し、魔理沙は咲夜に見せていた手帳を閉じる。
タイトルは「天狗に売るネタ帳」。
「いや、それだと“私は弱いんです”を主張してヘタレ度を上げているだけのような・・・・・・」
「アリスとかパチュリーも言ってたけど、“ヘタレ度”ってなんなんだぜ?」
魔理沙が訪ねると、咲夜はきっぱりと告げた。
「貴女は知らない方がきっと幸せに暮らせるわ。なんならそれに“完全で瀟洒”の二つ名を賭けても良い」
「大袈裟だぜ」
魔理沙が正面のテーブルにあるカップを手に取る。
濃厚だったはずの香りが今では残り香レベルだ。
「まぁそのネタ帳は後で焼却して灰を埋めとくわ。
ついでに人型の烏を一羽捕ってきて今晩はおいしいおいしいローストチキンね」
悪びれもなく言う咲夜。
「おいおい、貴重な資源を無駄にする上に物騒だぜ。後で出来たら食卓に呼んでくれ」
友達の友達は友達とも言うが、割とシビアな幻想郷ではそんな常識通用しない。
「まぁ、一段落ついたし。話を戻そう」
魔理沙がテーブルに乗り出した。
「――――――正直に言え。お前は何歳だ?」
急に真剣な表情になる魔理沙。
自然に両手が顔の前で組まれる。分かりにくい人は某司令官を思い出すといい。
今までずっとローストチキンにするか日本風にまずは手羽先だけ甘辛く煮込むか考えていた咲夜も、この場の雰囲気に思わず思考を停止させた。
「―――何の事かしら」
咲夜の瞳が紫色に変化する。
紫の中でもかなり赤みがかかった、たとえるならばフェノールフタレイン溶液がアルカリ性を示すかのような色だ。
この色は臨時体制を意味する。
決して「ゆかりいろ」ではない。
「とぼけなくてもいいぜ。お前が阿求の本の自分の内容について―――歳について、腹を立てていた事は知ってる。
でもおかしい。いつものお前なら阿求にナイフの一本でもくれてやる所じゃないか」
「なんでそんなに私のイメージが酷いのかしら?流石に一般人には手を出さないわよ」
「私も紅魔館襲撃を除けば一般人だと思うんだがなぁ」
「いくらなんでもそれはないわ」
「あ、やっぱし?」
「ええ。絶対あり得ないわ」
「だよなぁ、新聞に載ったからなぁ――――じゃなくて」
「ちっ、気付いたか」
「舌打ちするのは従者として失格だと思うぜ。っていうわけで、ほら。
ちゃっちゃとカミングアウトするんだぜ」
「い、いや・・・ここまで引っ張った割にさらりと話題を振ったわねえ」
「いいからいいから。なんなら、私の知り合いみたいに軽ーく4,5桁突入してても白い目で見ないから」
「――――本当?」
咲夜の雰囲気ががらりと変わる。
「白い目で見ないから」。そう言った途端、咲夜が纏っていた怒りのオーラ?みたいな物が急激に収まって行った。
むしろ咲夜の顔には少しだけ安堵の色が混じっている。ように見える。
「・・・・・・ホントにホント?白い目でみたりしない?」
「ああ。しないぜ」
いいながら、魔理沙はまさか本当に4,5桁行ってるんじゃなかろうか、と思い始めた。
じゃなきゃ「白い(ry」に過剰反応しないだろうし。
「・・・まず、肉体年齢を言うわ。
――――17よ」
「まぁ、妥当な所だぜ。
して、実年齢は?」
「絶対、からかわないでよ――――10歳」
咲夜の口から空前絶後の言葉が出てきた。
「はい?ごめんなさい、ワンモア」
「うう、だから言いたくなかったのに・・・・・・10よ、10」
うん。確かに2回聞いた。咲夜が自分で10って言ったのも聞いた。
けど、おかしくないか?
「何よその顔。まるで「こいつは肉体的年齢と実年齢を間違えて言ったんじゃないのか。肉体はパ(ryでも十分誤魔化せるし、
背だって10でも大きい奴はいる、きっとそうだ」みたいな顔じゃない」
「よく分かったな・・・・・・・・・」
実際その通りなのだ。
肉体年齢が十代後半なのに、実年齢が二分の一成人式。
いくらなんでも某職歴>実年齢でもあるまいし。
「その顔。まだ疑ってるわね。いいわよ、じゃあ説明してあげるわよ」
そう言って、咲夜は話し始めた。
が、長いので大雑把に纏めると、
・咲夜の能力は自分以外の時を(厳密には)止める能力である。
・のため、いろいろ乞食やってみたり盗人やってたりバンパイアハンターやってみたりしていたら、
いつのまにか肉体年齢約10歳、実年齢は(たしか)7歳ほどになっていた。
・レミリアに仕えるようになって、さらに能力を使う場面は急増、そして今では肉体的年齢が実年齢の約2倍程になっていたらしい。
説明終わり。
「わかったかしら。つまり私は、貴女より本当はかなり年下なのよ」
大事なことなので2回言いました。
ただ、もう1ネタほしかった。
きちんとオチて無いので点数はちょっとあげられないなぁ
ですね・・・。自分でも、もう少し長く、綺麗に終わらせたかったです。
でも、軽い気持ちで読める物にしたかったので、こうなりました。
次に書くときはもう少し長く、綺麗に、もう一スパイス加えたいです。
特に3様、大好きなネタのようですが、こんな感じに終わらせてしまいすみませんでした。
17様
・・・あ。その発想はありませんでした。
でもその場合、もの悲しさをお話に含めてもよかったですね。
って含めちゃうとギャグじゃない?
18様
ありがとうございます!
批判・意見などのコメントを見ると、どんな風に仕上げればいいかなどがはっきり分かるので嬉しいです。
見てくれた皆さん、ありがとうございました!
レス数が増えてる!
皆さんありがとうございます!
自分でもここまでレス&ポイントつけて下さる方がいるとは思いませんでした。
今少しずつですが続編的な物を書いていますので
もしかしたらここにまた投稿するかもしれません。
その時はお願いし(ry
レミリアは余計一緒にいられる時間が……
誕生日の回数が……