Coolier - 新生・東方創想話

生と死の境界

2009/12/15 19:47:51
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序章 生と死の境界


「ねえ霊夢、生と死の境界って分かるかしら?」
「まぁた藪から棒ねぇ」

博麗神社境内、昼間だからいつもの妖怪達は居ない。居るのは博麗の巫女、霊夢と幻想郷の妖怪、八雲紫。
ただ二人だけ。

「何?冥界入口のお粗末な結界って言えば満足?」
「ハズレー」
「はいはい、降参よ降参、教えて頂戴私には分からないわー」
紫が笑みを崩して霊夢を見た。何て言うか、「うわぁ……」と言うような顔で。
「霊夢……」
「―――って言えば満足?」
「貴女ねっ!」
からかわれた事に気付いて紫が声を上げた。

「……はぁ、真面目な質問なのよ?これでも」
「あら、あんたが真面目だと大概まともな事じゃないわ」
永夜異変然り地底異変然り、と数え上げる霊夢は少し楽しそうで。だからこそ紫は話を戻す。
「生と死の境界」
「はいはい……あんたのスペルカードにあったっけ?」
「せめてそれは前提であって欲しかったわ」
「じゃあそれ」
「あのねえ……」
前提と言ったばかりでしょう、と。
「そう言ったってねえ……分かんないもんは分かんないわよ。まともに考えてないし」
「考えてよね……」
紫は大抵の場合呆れられる側だが、今回に限っては逆だ。

まだしばらく境内での話は続きそうな、寒い冬の日。神社の境内は静かに賑わっていた。




第一章 世界の境界


「だああああああ!どういうつもりよ!迷惑って言葉を知らないのかしら!?今が何時
だと思ってるの!?この……阿呆蓮子!」

背の高いビルの立ち並ぶ街の一角、公園の前に20歳弱程度の女性が二人居た。
阿呆蓮子と呼ばれた黒い髪に黒い服、スカートも黒っぽい紺で、黒いソックスという正に闇に溶けると言える服装の少女。
その阿呆蓮子を怒鳴っているのは紫色の上品な服装に金の長髪の少女。
「メリー、静かに。近所迷惑だわ」
「誰のせいよ誰の!」
時は丑三つ時。
場所は人の居ない公園。
女性二人が怒鳴り合うシチュエーションではない。男女ならあるいは、痴話喧嘩。

メリーと呼ばれたのは本名マエリベリー・ハーン。発音しにくいという理由で略されているが。

「誰のせいかしら」
脳天気な問に、そのメリーは眉を吊り上げながら答える。
「宇佐見蓮子。貴女のせいよ。考えるまでもない」
「じゃあ言葉を変えましょう。私のおかげ。前向きに生きないと損するわよ?」
「もう損ならしたけど。どうして!丑三つ時に!突然!電話に!起こされなきゃいけないの!?」

「私が貴女に用があって電話したからね。まったくおかしい所はないわ」
「貴女の頭以外は正常だわ。いつだってね」
「静かに静かにー。そろそろ誰かが怒鳴りつけてくるかもよ?」
周りを見渡しながら言う蓮子。
顔に焦りの色は無い。
「望む所よ!蓮子を盾にして私は逃げるわ!」
「ちょっ」

彼女らにしてみればいつも通りのやりとりであったが、いかんせん環境が普通ではない。
案の定と言うべきだろう、声が響く。

「くぉらぁガキ共!!今何時だと思ってんだ!」

メリーは有言実行。
素直に「2時58分18秒」と答えた蓮子は本気でキレそうな怒鳴り声の主から顔色を変えて逃げ出した。



「でさぁ、私は寝てたのよ」
公園から裏山へ。
尚更似つかわしくないその空間に居ながらもそんな現実をものともせず、メリーは声を荒げる。
「あら、奇遇ね。私も電話する20分前には寝てたわ……勿論、用があったのよ」
最後の付け足しはおまけのように軽く。
目立っちゃいけないメインデイッシュ。
「はぁ……振り回されるのを何回許容してきたかしら」
「メリーは押しに弱いのね」
「いつか押してきた貴女から身をかわしてあげるわ」
「こけちゃう」
「頭からいったら許すわ」
場所が何処でも、彼女達はいつも通りだった。
「さぁて、始めるとしましょうか!」
蓮子の声に、
「はいはい、秘封倶楽部を、ね」
メリーが返す。

何か違うとすればそれは、彼女達の問題ではなく。
寧ろ世界が。

違っていたのかもしれない。





賑やかな社は、例によって例の如く。
「乾杯ー!」

はしゃぎにはしゃぐ面々。

紅魔館の吸血鬼、
白玉楼の亡霊嬢、
幻想郷の鬼、
永遠亭の不死姫、
彼岸の死神、
畑の花妖怪、
山の記者天狗、
守屋の巫女、そして神、
数多くの妖怪に加え、

霧雨魔理沙。

「よう霊夢!飲んでるかー!」
「見ての通りよ……紫見た?」

しかし、居ない。
八雲紫が。

「あー?見たかもしれんし見てないかもしれん。つまり分からん……どうかしたのか?」
途端に魔理沙がニヤリと口を曲げた。
「何かあったんだな?」
「楽しそうな所悪いけど。残念ね、何でもないわ」
「いんや、あったね。私にゃ分かる。馬鹿でも分かる」
「残念。馬鹿には自分が分かっているのかどうかも分からないわ」
「おお」
どうでも良いことに魔理沙は感嘆のような声を返し、なるほどな、などとまだ考えていた。
「よし、妖夢に絡んでくるか」
否、何も考えてなかった。ただの酔っ払いである。

「やれやれね」
霊夢は小さく溜息を吐くと、魔理沙に絡まれない為のお猪口を置いた。
霊夢はまだ一口も飲んでいない。
何故だろう、昼間紫に言われたことが頭に染み着いて離れない。
「……何で私が妖怪の戯言に頭抱えなきゃいけないのよ」
苛立たしげに呟くとお猪口を置き、わざわざ大きな杯にぎりぎりまで注いだ酒を飲み干す。

―――――生と死の境界、是即ち、


幻想郷、よ





「幻想郷の入口?」
メリーがオウム返しに聞いた。
「YES、そうよメリー。私達は境界を越える。これからね」
「NOよ蓮子。私の目には境界は映ってない……世界の境界はね」
「代わりに見えるのは?」
「蓮子を中心に、馬鹿と阿呆の境界。右が馬鹿」
「それは嫌だわ……左右で分かれると何か特があるのかしら」
「右脳は阿呆な事考えないんじゃない?」

全く以てどうでもいい会話をしながら、自然と足を進める2人。

「もう!蓮子!何にも分からないまま歩かされる身にもなってよ!」
15分程度歩いても歩き続ける蓮子に、とうとうメリーが愚痴り始めた。
「後少しよー」
「3回目。夜中に起こされて歩かされて……貴女ならどう思うのよ」
「嫌な事この上ない」
「分かってくれて嬉しいわ。寝てれば良かった」

更に15分程度歩いただろうか。
ようやく蓮子は足を止める。
因みに「後少しよ」は10回使われた。

「ああ……疲れた」
メリーは若干息が切れている。かれこれ30分以上歩いている。疲れてもしょうがないくらいの距離だ。
「ふぅ、着いたわよ!」
「言わんでいい……嫌でも分かる」
その返事に満足したのか、ニヤッと口の端を吊り上げる蓮子。

「……狂ってるわ」
メリーの口からはそんな言葉が漏れた。

狂ってる。

目の前にはメリーにしか映らない景色。
「異常よ……これ」
見たこともない世界の窓。或いは亀裂か。不気味な程大きく、全てを呑み込むと言うよりは巻き込むと言うのが合っている、そんな境界。


「何よこれ……」

何、としか言いようがないのだ。
寧ろ、こんなお化け境界がのうのうと存在し続けていられる事が「ありえない」としか言い様のない事象ですらある。
「幻想郷の入口、よ。安心してね、お金ならあらゆる時代のお金を用意してあるわ」
「何処で手に入れてくるんだか。でも問題はそんな事じゃないわ」
そう、問題はお金なんていうちっぽけなスケールのものではない。
この境界は、異常だ。
生まれつき境界を見る事の出来たメリーが、かつて見た事もないほど大きく、また酷く歪んでいる。

「蓮子……貴女どうしてこれを知ったの?」
まさか大きすぎて蓮子にまで視えてるんじゃないだろうか、とありえない事すら考えてしまえた。

「夢よ」

だから蓮子の答えはもっと不可思議で。

「夢が……教えてくれたの」

「夢?蓮子、貴女も夢で幻想郷を?」

だとしたら。
こんな事は今までに無かった事だ。
だとしたら何かがおかしくなっている?
世界が?それとも自分達が?

「ちょっと……違うかな」
「え?」
しかしそうではないらしい。もちろん理解は追いつかず、メリーは蓮子に続きを催促する。

「私は夢の中で……貴女によく似た人に教えて貰ったの」
「ここに……境界があるって?」
「そんな感じ……どうなの?どんな境界なの?」
まずほっとする。
まだおかしいのはこの境界だけだ。
自分達は狂ってはいない。

「大きすぎて……それに変に歪んでる。何より……直感で厭だわ」
「嫌?」
「ええ、厭。引きこもりの犯人に近付きたくないのと同じ」
「立て篭もりね」
「そうとも言うわ」

まあ引き篭もりも嫌だけど、と蓮子。
木の枝を一本拾い、メリーの視線の先へと放る。
放物線を描きながら、枝は――――消えた。

「!?」
「見えなくても……干渉はされるかもね」
人が偶然境界を歩いても簡単に消えないように、境界には普段から干渉されることはない。
こちらからの働きかけがあって初めて、境界を越えることが出来る。

なのに。

「最近の木の枝は進んでるわね……夢まで見るの?」
「夢見てたって私みたいな能力がないと……越えようがないわ」

思わず後退り、よろめくメリー。
「馬鹿!何か出て来たらどうすんの?」
「わざとじゃないわよ!」
境界から目を離さずに尻餅をついた体を起こす。
蓮子も、メリーも、じりじりと下がる。如何に冒険精神に溢れていようとも、これは逃げたカウントには入らない。
馬鹿はやっても自殺行為はしない。どう考えても逃げなくてはいけなかった。
恐怖心に好奇心が打ち勝ってしまったらそれは寿命を縮めるだろう。

「っ!蓮子!」
「は、はい!」


「2つだ!」
「何が――――!?」

叫んだ、その直後に世界は暗転。


そのまま、何も見えなくなった。





第二章 二つの世界


「ったく………」
霊夢の悪態が、誰も居ない境内に響いた。
食事の、というよりは祭りの後。果てしなく散らかっている。
しかし、悪態はそんな現状へのものではなかった。……1割くらいそうかもしれないが。
「ちょっと目を離した隙に……歪みがこんなに大きくなったなんて」
それは幻想郷の歪み。
世界を維持する大結界の異常。

「やれやれね」
札を取り出し、亀裂を殺す。刹那光が舞って、亀裂は影も残さずに散った。

「頭が……重い」

さっきからずっと。
ずきずきと痛むそれは二日酔いなようなそうでないような。

ぴし

「は?」
消えた筈の亀裂が再び存在していて。
「ふざけんじゃないわよ!」
それを再度消し去る。


ぴし

「――――っ!」

ぴし
ぴしっぴしっぴしっぴしっ
「ってちょっと!?何これ!」
亀裂は次々と生まれ、一瞬で霊夢を取り囲んだ。

生と死の境界

そんな言葉が頭をよぎる。
「ありえない……」
異変と捉えればあるいは楽だったかもしれない。しかし霊夢はその根幹をすぐに見破ってしまう。
「紫ね!?」
「大☆正☆解!」
八雲紫の仕業であると。
「何のつもりよ!」
「何のつもりでもないわ!ただね、」
巨大なスキマを幾つも生み出し、それを霊夢にぶつける。

「夢想封印っ!」
「無駄、よ!」
数多の光がスキマを凌駕し、一つ残らず消し飛ばす。
「無駄じゃないわ!」
「いいえ、チェックメイトよ」

霊夢の体が巨大な腕に掴まれた。
「―――は?」
地面から伸びた頑強な腕は霊夢の札すらものともせず、
「離してっ!」
スキマへと引きずり込んだ。
「ゆかりっ……」
最後のあがき、とも言うように紫に向かって札が飛んできたが、それは虚しく紫から外れ、ひらりと地面に落ちた。

後には何も残らず。
「ひとまず……今はさよならよ、霊夢」

虚空に消えた霊夢へと、残すは無情な別れの言葉。
それだけを言うと紫はその場を歩いて後にした。






「あいたたたた……」
「「た」は一回」
「あいた」
「やっぱいいや」
傍で聞いている者が居たら思うだろう。
この面倒臭い会話はあの2人だと。

「どうでも良いけど退いてよ蓮子。重いわよ」
「重くない」
秘封倶楽部の2人である。
「此処は何処かしら」
「……」
「蓮子?もう星も月も出てるけど?」
蓮子は答えない。
メリーの思考が回り、一つの仮定を導く。

まさか、
とても危険な所?

それで蓮子は答えないのかと思ったその矢先、歓声が弾けた。

「メリー!メリー!幻想郷だわ!此処は幻想郷!マエリベリー・ハーン!やっと来れたのよ!ねえ!どうして貴女は静かにしてられるのよ!?」
嬉しくて固まっているだけだった。
「あー……うん、貴女に置いてかれた感満載だわ。とりあえずどいてってば。上ではしゃがないで。重い」
「重くない!大体これがはしゃがずに居られる!?」
「どいてさえくれれば好きなだけはしゃいで頂戴」
「どく時間も勿体無い!」
「無茶するわね」

数分単位で喜びを表現し尽くした蓮子はやっとの事でメリーから降りた。
と思ったらもう走り出していた。宛もないのに。

「何処行くのよ……」
蓮子はあっさりと答えてみせる。
「どっか!適当に歩いてれば何かありそうじゃない?」
見知らぬ土地を何も考えずに歩くのは構わないが、ここは異世界。
「妖怪に食べられちゃうかもよ?」
人を食べる妖怪がたくさん跋扈しているような。
「本望……かも。でも嫌だわ」

そういえば、とメリーはぼんやりと思い出す。
昔のどこぞかの哲学者さんは火山の噴火の現場に居合わせて、好奇心から「近くで見たい」などと言って近づいて死んだ人が居たとか。
蓮子はそんな風に死ぬかもしれない。

「失礼な事考えてない?」
「日本国憲法で思想信条の自由は認められてるもの」
「ここ日本?」
「……さあ。見た目的にっていうか日本だと色々楽だから日本にしましょ。外国の昔のお金なんて持ってないでしょ?」
「まあそりゃちょっとしか」
「あるんだ」
備えあれば憂いなし。でも備えすぎて重い荷物に憂うかもしれない。

「とりあえず……人里とやらに向かいましょうか」
蓮子は気を取り直して、ある方向を指差した。
「何でこっち?里があるかも確信はないのに」
「看板がそう言ってるわ」
看板とは便利なものである。






「あいたたたた……」
鳥居の下に、霊夢が頭をさすりながら座っていた。
「紫め……ただじゃおかないわ」
呪詛の言葉をつらつら連ねながら起き上がり、辺りを見渡す。
「博麗神社?」
見るに耐えないほど寂れたその姿は、しかし見覚えのあるもので。
「ちょっと……時間でも飛ばされた?」

呪詛に悪態を織り交ぜる絶妙なハーモニーと共に怒りの四つ角を額に浮かべる。
「博麗の巫女を怒らせるとどうなるか……思い知るといいわ」
袖から出すは札。
「時間越えるなら……これ位は必要かしら?」
結界を生み出す札を幾重にも合わせ、霊力を注ぐ。
「これで……十分!」
これで札が世界に新たな歪みを生み出す。
歪みは時間を越えて、自分を元の時間の世界へ返す。

筈だった。


しかし札は宙に留まることすらなく、ひらひらと舞って落ちた。
「は?」
まるでただの紙切れ。何の意味も無いと笑うようにひらひらと。
「そういや……そうよね」
霊力を練っても片っ端から消えていく感覚しかない。
麓を見渡せば見たことのない程整った街並み。
「まさか……、」
嫌な予感がよぎる。
「外の世界じゃ……ないわよね?」
博麗の巫女は勘が良いのである。






幻想郷の人里、甘味処。
「旨い!」
「凄いねこれ……全部天然物……流石は幻想郷ね」
「蓮子は細かく考え過ぎ。美味しければ正義!」

2人が頬張っているのは果物。山のような。
先ずは腹ごしらえと言ってメリーが選んだ。
「でも腹ごしらえじゃないよね」
「甘党な私に死角はなかった」
「ああそうかい」
「お、植物の名前か?」

そんな会話に声が割って入った。

「へ?」
「見ない顔だが今見たからいいや。此処は飯も旨いぜ。甘味処って事を店側が忘れてる」
白黒魔女ルックの少女、と言うのが2人にとっての彼女の第一印象だった。
「私は霧雨魔理沙だ。面白い事話してるから乗りに来たぜ」
舌を出して笑って、
「『流石は幻想郷』って……言ったよな?」
そう言った。



「へえ、それで幻想郷にねぇ」
一通りの話を聞いたところで魔理沙は楽しそうに言った。
「あの……」
メリーが蓮子も気になっていた事を聞いた。
「何でそんな格好なんですか?」
人里の人達はこんなではなかった。
「妖怪とかじゃ……ないですよね?」
「当たり前だぜ、私は人間だからな。何でこんな格好かって言ったらそりゃああれだ」
あれ、じゃ分からない。
「私は魔女だからな。魔女はこんな格好をするものだ。それに黒いと汚れが目立たない」
「なる程」
実に実用的で、分かりやすすぎた。


「しっかし私もそれなりに有名人だが知らないのか。本当に外の世界から来たんだなぁ」
「まあ……それは」

未だに彼女らは甘味処に居た。昼を食べながら話し込み、気付けばおやつの時間と洒落込んでいたのだが。
「ああ、だが霊夢には見つからない方が良いな」
「れいむ?」
「メリー、予知夢の事よ」
「人だぜ。意味が通らん……まあ字はそのままだが。あいつに見つかると外の世界に追い出されるかもしれん」
それは嫌ね、と苦笑しつつ、蓮子はふと外を覗いた。
「ねえ魔理沙」
「あー?お前のデザートは美味しく頂いてるぜ?」
「ちょっ……そうじゃないし食うな。あの人だかりは何かと思ってね」
「ごちそうさん。ありゃあ龍神像の場所だな……まさかっ!」
何に気付いたのか、弾けるように立ち上がり走り出す魔理沙。
「勘定払っといてくれ!後で払う!」
「ちょっと魔理沙!?」

魔理沙はまっすぐ人だかりに突っ込んで龍神像へと向かう。
「ほら通した通した!異変解決の代名詞霧雨魔理沙だぞっと!」
人を押しのけ押しのけ、やっとの事でたどり着く。魔理沙の視線はまっすぐ像の眼へ。
「やっぱりか……」
その眼は紅。
色の変化で天気を伝えるその眼が計測不可を告げる色。


大抵の場合、異変到来を告げる色。





第三章 八雲紫と境界異変


「おう秘封倶楽部。勘定しといてくれたか?」
「しといてくれてやったわよ!何なの?いきなり走り出して……」
「蓮子、日本語でお願い」
「伝わりゃ日本語よ!」

猛る二人に、魔理沙は現状を告げる。異変の事を。
「話せば長くなるんだが何かよからぬ現象が起こってるらしいんだ」
「短くまとめたわね」
「つまりだな、ここではそういう事件を『異変』って呼んでるんだが、そういう事だ」

面白いタイミングで来れたわね、とメリーを見る蓮子。
「で、どんな異変?」
「分かれば向かってるだろうな」


「ちょっと待って」

その会話を遮ったのはメリーの声だった。







「だからな、お嬢ちゃん。家の電話番号さえ言ってくれれば良いから。住所もあれば尚良いんだがね」
「電話番号って何よそれ知らない」

寂れた神社に落とされてから70分、霊夢が居たのは、



交番だった。


「だーかーらー、私は幻想郷から来たんだってば。何度言えば分かるの?帰れないのよ」
「はいはい、何度言えば分かるんだ。私達も遊んでるんじゃないんだ。正直に話してくれ」
幻想郷の住民にとって、「外の世界」は身近な存在である。
幻想郷縁起にも書かれているし、文化の流入もよくある。外から人がやってくる事だってあるのだ。

霊夢は外の世界にとっての幻想郷はそれと同じだと思っていたのだ。
だから、

「ああもう!話にならないわ!」

こうなる。


服装があまりにも目立ち通報されてから早一時間。話は全く進展していない。
「とりあえずね。その服装がおかしいのは分かるでしょ、君も」
「言われた事ないけど。そうなんでしょうよ」
霊夢は口を尖らせる。身なりにけちを付けられるのは良い気分ではない。
ここに閉じこめられてどれだけ経ったか。
そんな苛立ちも重なって、霊夢の思考は一つの結論を導き出した。



逃げよう。


霊夢にはそもそも警察に捕まっているという感覚がない。
今だって『訳の分からないケチをつけられて偉そうな奴に閉じ込められた』という認識だ。

「ねぇ、そろそろ出して欲しいんだけど」
「手続きっていうのがあるんだよ。君の親かそういった立場の人が……」

みなまでは言わせなかった。聞く必要が無いと判断したから。
おもいきり腹部に当て身を喰らわせ、金的を蹴り上げた。
「おごぉ……」
油断していたのだろう、正に悶絶。激痛に顔を歪める警官の後ろに回り、手刀一発。そのまま前のめりに倒れ、動かなくなった。
「さぁて、鍵、と。あったあった」
入ってきた見張りをなぎ倒し、楽々と霊夢はその場を後にした。
「ったく……妖怪と渡り合うには体術だって必要なのよ。スペルカードは後から創ったんだから」
置き土産の様に呟いて。聞こえていても理解はされない内容だったが。


最初に降り立った山の林で、自分の服を仕立てる。持ち合わせは無いから、自分の服を縫い直しているわけだが。
「アリスほど巧くはないけど……まあ少し保ってくれれば良いんだし」
その服を着直し、再び街を歩く。少しは周囲になじむ形にはなった。
手がかりが欲しかったが、問題な事に何が手がかりになるのかが分からない。
「切羽詰まったわね……」
流石に表情も苦いものになる。


幻想郷は生と死の境界


知っていることだ。
外では「死んだ」文化やらが死ぬ前に幻想郷で「生きる」。
生と死の境界とも言えるだろう。
幻想郷の住民なら当たり前、常識の知識だ。
ならば何故紫はわざわざそんな事を言った?
勿論、常識とは異なる意味があるからだ。
「紫からの挑戦状ってやつ?正解を導き出して帰る方法を探せって……ん?」
歩く霊夢の視界に赤い文字の大きなPOP。

[大安売り!最新電化製品最大30%値引き!]

「金なんて無いわよって……あれ?」
一瞬、霊夢は目を疑った。
そのピカピカの製品を、見た事がある気がしたから。でもそれはおかしい。
外で幻想になった物が幻想郷に流れるのだから。中古ならまだしも、最新製品を自分が知っているはずがないと。

「ここに……確か青い文字が」

ある。

「こっちには……凹みと金色が」

ある。
紛れもなく、知っている。

「どういう事よっ……」
声が震えた。
今までの常識は一体何だったと言うのか。






「ちょっと待って」


「ちょっと待ったぜ」
「後ちょっと」


その場から右へ左へとうろうろ歩き回るメリー。
「私達をこっちに送ったのがその紫って奴だとして、そいつにメリットはあるの?」
「楽しめるだろうな」
「なら」
蓮子が言葉を引き取った。
「どうして私達?見慣れぬ土地に放り込んで楽しむなら……私達よりも怖がってくれそうな人を選ばない?」
「お前らデザート食ってた位だしなぁ」
そりゃあそうだ、と魔理沙も考え直す。
「ならお前が紫に似てるから、かな」
「は?」
魔理沙が何の気なしに呟いて、


食らいついた。

「蓮子……あんたを夢で境界に誘ったのって」
「メリーに似てる奴」
紫だ。
紫という妖怪は、紛れもなく自分達を狙っていた。
「おいおい……紫が境界を自分の手で歪めたっていうのか?霊夢が退治……腹いせにボコってなきゃ良いが」
魔理沙はくるりと二人に向き直って、

「紫に会いに行くか」

あっさりそう言った。二人は当然頷いた。
「そうと決まれば即行動だぜ。さぁて、異変だ異変だ!」
考えてみれば異変の気配も久し振りである。
最後に弾幕を思い切り広げたのはいつだったか。確か……忘れた。最近は早苗が来たりしてそこそこ忙しかったかもしれない。
「相手が紫だったら良いな。楽しめる」


しばらく歩いただろう。箒は三人乗っていい代物ではない。
「着いたぜ。此処が博麗神社だ」
「霊夢って人の?」
鳥居をくぐり、境内へ向かう。
「異変解決に関しちゃ私の次位に強いかな。霊夢ー!居るかー?」




黙。



<し――――ん>という効果音が似合いそうな程、寂しさを醸し出す神社。

「居ないみたい」
「まさかもう異変解決に向かったんじゃ?」
「珍しく尻が軽いじゃないか霊夢め!あいつは勘で動くから読めないんだよな……」
舌打ちと共に魔理沙は向いている方向を180度変えて駆け出した。
「お前らはちょっと待っててくれ!すぐ戻るぜ!」
「ちょっと魔理沙!?」

閃光の様に瞬いたと思ったら既に魔理沙の姿はそこになかった。
「行っちゃった……どうしよう?」
「待ってるしかないわね。飛べないし闘えないし」




飛びながら魔理沙は焦っていた。霊夢に異変解決を先取りされたからではない。

この現状にだ。

異変の対象が紫だと分かっているなら、マヨヒガに真っ直ぐ向かっているのだろうが、こうして今飛んでいるマヨヒガまでの道に、霊夢の独特の霊力を欠片も感じない。
異変の理由を知らずにいたら、霊夢はあの第六感で神社に留まっただろう。現に異変の被害者二人を自分が連れてきたのだから。

そしてそれだけならまだ問題ではない。
長年使っていた神社には残っていたから気付かなかったが、その霊力が問題なのだ。
霊力というものは大抵すぐに消えてしまうもので、マヨヒガに向かったはずなのが霊夢ではなかったら問題ですらなかった。
しかし、博麗霊夢という存在は違う。
幻想郷最大の機軸とも言える博麗の霊力は、異常な程に[残る]。
それは危険な状態に陥ってしまった時の彼女を探し出す事が出来る為か、はたまた別の理由かは分からないが。
随分前に通ったマヨヒガへの道でも、横切るだけで感じたものだ。あの独特の気配は。
それが、欠片もない。
まるで、初めから無かったように気配を感じない。
「着いたぜっマヨヒガだ」
だから、焦っていた。
異変とはまさか、こっちなのかと。
博麗の巫女の失踪など、考え付くのは馬鹿か天才だ。そして馬鹿には実行出来ない。
「だから、一番怪しい天才はお前だぜ。八雲紫」
「……いらっしゃい」
隠れることもなく、紫はマヨヒガに入った正にその場に居た。スキマに座って扇を携え、優雅に微笑みながら。
「霊夢が何処に居るのか、知ってるよな?」
「知ってるわね、そりゃあもう」

対峙する二人の間には緊張が走る。
「教えろ」
「ふふふ」
紫は笑みを崩さない。
「教えないなら……いつも通りに決めようか?」
「あっははははは!私と闘う?良いわよ。暇潰しにはなってくれるんでしょ!」

言葉と共に魔理沙の眼前に巨大なスキマ。
無数の弾がそこから現れる。

「おっと、無駄だぜ。そんなのに当たるのはお前んとこの猫くらいだっ」
魔理沙はそのスピードで紫を牽制しつつ星をばらまく。
紫は急上昇でそれらを一度に振り切って、傘からの光で魔理沙を攻撃。
「ちっこいスパークだぜ」
その光を刹那で打消す強い光。霧雨魔理沙の得意分野。

「スターライトタイフーン!」
「動と静の均衡!」

片や渦。
片や閃光。

「まだまだよ、魔理沙」
「どうかな」

ふわりと感じる一瞬の浮遊感。紫はそれを感じて、唇がやばい、と動いた。
「スペル一枚使っての誘導は緊張したぜ?」
絡めとった!
魔理沙の顔が確信を告げる。
「イベントホライズン!」

直前までのスターライトタイフーンが消えて、代わりに出てきたのは星の渦。
「その場所に逃げ込んだお前の負けだぜ。それともそこから避けられるか?」
「……無理ね。油断したわ……もう少し削るつもりだったのに」
「やけに素直だな!なら諦めて霊夢の場所を……」
言葉が、詰まる。
紫は笑っていた。予定通りに事が運んでいるかのように。

「ばいばい魔理沙」
「お前っ……反則だぞそれは!」
魔理沙の言葉を意にも介さず、紫はあっさり逃げ出した。自らが生み出したスキマの中へ。
「禁じ手だろおい……どこから出て来るんだ?」
魔理沙は神経を張り詰めたままの状態で少しずつ動く。
何しろあの能力は今すぐ後ろから出て来ることなど容易い化け物だ。だが異空間に逃げ込むのは弾幕ごっこではないではないか。
「来ない……負けたから逃げたって事か?」
ただし霊夢については話さずに。
「とりあえず決まりだな。犯人はヤ……じゃなくて紫だ。もしも違ったら紫を倒した後で考えればいいや」
箒に跨り地を蹴る。
「ひとまず神社に戻るか……紫との戦いは神経がすり減る。流石に疲れたぜ」







「こんにちは」
紫が現れたのは…………博麗神社。

メリーと蓮子が、魔理沙を待つ地。



「待って蓮子。だとしたらあの定理は間違いで……」
「そうよ!あの学者胡散臭かったけど結果偽装してたわねありゃあ……とすると?」
「あ!私達の定理はまだ例外が無いわ!」
「そう!あの馬鹿学者め」
「ばけがくしゃ?」
「ばかがくしゃ」
「ちょっとちょっと!凄いわ!だったらあの第三境界定理は成立するかも?」
「するわよ!後二カ所確かめるだけなんだから!」
「その二カ所が問題だけどね!」



「ちょっと!?」
紫が叫ぶ。ここまで居ないように扱われては切ない。
「はいはい、何よもう……って魔理沙じゃないわ」
「見りゃ分かるわね……私の夢に出てきた奴よ」

紫は眉をひそめた。もっと慌てると想像していたのだ。別に驚かす目的ではなかったが、それでもこの反応は……

「ほら、メリーに似てるでしょ?」
「え……私こんなにケバいかしら」
「そこ以外で」

この反応は……許せない。色々と。

「貴女達ねぇ……少しは立場を考えて頂戴。私は妖怪で貴女達は人間。分かるわよね?妖怪と人間の関係」
食物連鎖。強い者が弱い者を、食べる。
紫はそう言った。そう言ったつもりだったのに。

「分かってるわよ。ねぇ蓮子?」
「勿論。

妖怪は人間に倒される。そうでしょう?八雲紫?」

言うやいなや、駆け出す二人。二手に別れて、神社の方へ。
「逃げられるとでも……」
脚に力を込める。
人間にはなし得ぬ、爆発的なエネルギーの、一足飛び。その勢いが、

「蓮子!」
「計算通り!」

何か、に阻まれて紫は倒れた。
「っ!?」
否、倒れかけた体を腕一本で地を跳ねて転倒を免れる。
「何をしたの……?」
「人間は弱いからね、境界を張っておいたのよ。魔理沙の話じゃとんでもなさそうな相手だしね」
「蓮子と一緒に色々準備してたって事よ」
準備……境界。
考える。紫は現状から推測して。
結論へ。
「祀ったわね」
「流石」
蓮子の笑みが険しくなる。
二人が行った事は単純なものである。神を祀り、御利益としての保護の境界を巡らせた。
「やれやれ」
紫の口から漏れたのはそんな言葉だった。
「よく考えたものね。大したものよ」
「降参する?」
険しい表情のまま蓮子が返す。相手は得体の知れない妖怪だ。何が出来るのかを把握した相手ではない。
「蓮子……もう一つ、仕掛け終わったわよ」
「OK。境界の勉強って役に立つ……メリー!後ろ!」
「まだ降参はしませんわ」
声と共に迫る扇の一振り。そこから溢れる蝶の羽。
「やばいって!」
「見りゃ分かる!」
「なら大人しく捕まえられて頂戴!」
再び紫の体が弾ける。
「だからそれじゃ境界に阻まれて……」
紫は何でもないことの様に境界を切り裂き超えた。
「嘘……っ」
「長い鬼ごっこだったわねお二人さん!」

勝ち誇った紫の視界に、細い直線が映り。そして転倒した。
「はっ!?」
意味が分からない、といった風な声と、上がる土煙。

「メリー!」
「そぉれ!」

すぐさま紫は振り返る。視界に映った細い直線を確かめて、そして愕然とした。
「注連縄……」

「そういう事!」
「境界の勉強って役に立つわねー」

紫の周りには注連縄で円が描かれ、紫を囲んでいて、注連縄にはごちゃごちゃと色々な文字が書かれていた。
「対妖に意味がありそうなのをありったけね」
メリーが笑って言った。
「あらあら、私はまんまとしてやられたって訳?」
「まあそうかな。闘えない人間なりの無理矢理臭いやり方だけどね」
神社から運んできたお札の箱から一枚一枚を円に沿って並べていく。
「慎重ねぇ」
「死にたくないしー」
「もう何もしないわよ」
「魔理沙があんたは信用しちゃ駄目だって」
「あらま」

最後の一枚をそっと置くと、蓮子はそこに座り込んだ。
「ああ疲れた!」
「同感ー」
いつの間にか座っていたメリーも溜息を吐く。妖怪と闘うような生活なんて知らなかったわ、と呟きながら。
「さぁて、聞きたい事沢山だわ!」
「あらそう?私に答えられるかしら」
「蓮子の夢に出てきたのはどうして?それと……博麗って重要人物が居ないのは?貴女が絡んでるんじゃないかって思うんだけど」
「ふふ。鋭いのね。でも博麗の巫女はここには居ない」
「見りゃ分かるけど」
「あっはっは!間違えないで」
紫は自分が捕らえられている事を忘れているかのように楽しそうで。
だから二人は次の言葉に驚愕したのだろう。

「あの子は幻想郷に居ないのよ。外……つまり、貴女達の世界に飛ばしたのよ。……私がね」

それがどれくらい重要な事なのかは分からなかったけれど。






「私はこれをどう考えれば良いのかしら?」
公園でベンチに座りながら若干悪い顔色で呟く。
幻想になってしまったが故に幻想郷に入ってきた筈のものが外で最新のものとして扱われていた。
「何言ってるか分からないと思うけど私にも分からん、ってやつだわ」
この世界では弾幕も霊力も何もない。それはここが[そういったものを信じない]世界だからだろう。存在しない力は発現出来ない。
「ここが幻想郷で、時間だけ飛ばされたんなら戻れるのに」
時間を飛べば良いだけだから。飛べない自分はあまりにも弱かった。
「まるで時間と世界とを飛ばされた気分。幻想が最新になるって事はかなり昔までかしら……」
ぶつぶつと呟きながら……固まった。
「本当にそういう事なの?でもあの時の紫の境界は二重になってなかったわ。越えられるのは世界か時間かの片方だけ」
溜息を吐く。見知らぬ土地でいつも通りに動けない時間は10分だって疲れてしまう。

だから、一瞬幻覚を見たのかとも思った。
霊夢は思った。
一日でこんなに驚きに苛まれる日は二度と来ないだろうと。
目の前を歩く集団……三人の少女の中の一人を、霊夢は知っていた。
「早苗……っ?」
東風谷早苗が、そこにいた。
「本当……何が何だか分からないばかりね。でも……」
門を曲がる早苗を見ながら。
「追えば良いかしら」
誰に言うでもなくそう言って、霊夢は自分の気配を殺す。


「じゃあね」
「早苗ぇ!」
見覚えのある神社まで辿り着くと、三人組が涙を流している事に気付く。
「転校だなんて……いきなりすぎるよ!」
「ごめんね……うちでも急な話で」
霊夢には「転校」が意味する内容は分からなかったが、彼女らが別れを惜しんでいるのは分かった。
早苗が嘘を吐いている事も。

「……よし」
早苗は「転校」でいなくなるのではない。
だから手紙を出す、だのと嘘を吐けるのだ。

「大体理解してきたわよ……紫。幻想郷の仕組み。あんたが言ったことも、」
そして、
「帰り方もね」





第四章 世界の種明かし


「どういう事だよ紫!!」
怒号が境内を震わせる。
「ちょっと!魔理沙落ち着いてよ!」
「これが餅ついてられる状況かよ!」
「結構楽しんでるよね?」
メリーの一言で魔理沙はふぅ、と一息。
「バレたか」
「そりゃまあ」
「でもなぁ紫。霊夢を外に連れて行った事、私は結構マジで怒ってるんだぜ?」
「貴女らしくないのね」
紫は若干目を逸らす。魔理沙の顔は……意外にも真面目なもので。だから次の言葉を、全員がしっかりと聞いた。
「私も外に行ってみたかったぜ」
「帰れ」
しっかりと聞いて損をした。


「……で、何でこんな面倒な事をしたんだよ」
「あらあら?魔理沙はまだ気付かないのかしら?」
実に嬉しそうに楽しそうに笑う紫。対する魔理沙は分からないのが悔しいのだろう、面白くないぜと顔が語っている。

「まず一つ目の理由から種明かしね。霊夢を外に出した理由。結論から言えば――――」


小さく一区切り置いて、

「特に無い、かしら」






「どうせ理由なんてないんでしょうよ」
腹立たしげな霊夢は鳥居の外から様子を見張る。
「私の考えが正しければ……正しいだろうけど、ここは外の世界ね。それも、私の居た幻想郷とは別の時代」
だから、幻想となった筈の物が存在していたり、早苗がここに居たりした。それらは時間を遡るだけで解決する事象だ。
「強いて言うなら紫は……私に教える必要があった、かしら。私が分かってなかったから。幻想郷という存在がどういう存在なのか。生と死の境界って意味を」




「幻想郷は生と死の境界なのです」
「どういう意味だ?」
紫は淡々と話す。
「外で死んだ幻想が、幻想郷で生きる」
「私達の考えていた事通りね」
「幻想郷じゃ常識じゃないか。それが何になるんだよ?」

その霊夢も考えた問いに、

「でもその常識には……」



「続きがあった」
守矢神社が異質な空気に包まれる。湖を丸ごと、世界から消し去ってしまう壮大な転移。
「やっと帰れるわね」
くすりと霊夢は笑い、そして続けた。

答えを。

「幻想郷に流れた幻想も、いずれは幻想郷でも死んでしまう。だから、幻想郷で死んだものは再び外の世界で生きる。時間を遡って、未来にいずれ死ぬ運命を背負って」
一種のパラレル・ワールド。同じ時間を延々と巡り続けるそれは、おそらくルネサンスでも興らないと別の時間へとは進めない。
さっきの三割引きの商品は、近い内に幻想になるのだろう。それは幻想郷で生きて、そして死ぬ。死んだそれは、正に今、自分が居る時代へと流れて、それが再び幻想になるまで生きる。
「直線上には書き表せない定理ね。紫でもないとそんな境界は作れないか。幻想郷の今、と直接繋がってるのは外の世界ではしばらく昔のこの世界だったから、世界を越えるだけで時間まで越えてしまえるのね」
ある時代を基準にすれば、外の未来は幻想郷の過去、幻想郷の未来は外の過去へと繋がっている事になる。
「つまり早苗がこれから幻想郷に行くと辿り着くのは私が居た時間より少し昔の幻想郷に着くって訳ね。今回は人と神とが自ら幻想になる道を選んだから……どれくらい時間にズレがあるかも分かんないけど」
もしかしたら早苗の時間軸上の年齢は数百歳かもしれない。
「すごくどうでも良いわ……ふふ、始めるみたいね。引っ越し」
徐々に広がりをみせる異質な境界に、霊夢は笑いながら向かっていった。







「意味がないって……無茶苦茶だぞ紫」
「あら。強いて言うなら恒例行事って感じかしら」
紫は相変わらず三人の顔から疑問符を消そうとしない。寧ろそれを楽しんでいる。一応境界に捕らえられた身の筈なのだが、全然そんな態度には見えない。

「降参だ降参。頭から煙が出そうだ」
魔理沙は既に両手を振ってリタイアしている。

「博麗ってのは……もしかして代替わりしてくの?」
「ピンポーン!大☆正☆解!」
蓮子の小さな呟きとも取れる言葉に、
「だとしたらその人、境界管理か修復かをやってる?」
メリーが答えを紡ぎ出す。
「え……と、やってるがそれはどういう事になるんだ?」
「つまり八雲紫がやったのは、」
「あんっ呼び捨てなんてっ!紫って呼んで良いわよぉ?」
「呼び捨てじゃん。話戻すわ。紫がやったのは、境界の認識」
「どういう意味の境界かを正しく理解させる為の、博麗各代の[恒例行事]って事ね」
そうしてメリーが締めた。
「上手く締めた所申し訳ないが、じゃあ何で[意味がない]なんだ?意味あるじゃないか」
「ちょっとメリー、あんたさっき締めたんだから私に言わせなさいって。博麗って人が何歳か知らないけど、今までも境界関係で仕事してたんじゃない?」
その言葉で魔理沙も理解する。
「つまり知らなくても出来る事だから……特別意味は無かった訳だな」
「私に締めさせてよ」
世の中上手くいくことばかりではない。
「分かってくれたなら良いんだけど。霊夢が戻って来れなかったらどうしましょ?」
言葉の内容とは裏腹に楽しそうである。
だから胡散臭いとか言われるんだろうなぁ、と蓮子は笑った。
「蓮子、私こんなに胡散臭い性格してないわ」
「似てるって言ったのまだ根に持ってた?」
笑い合う日常の会話。平和な時。








そして、不意に訪れた平和を破壊する最後の一手。




背後から紫の肩にぽん、と手が置かれる。

紫の顔色が変わる。相手を見るまでもない、明確な殺意を感じ取る。そもそも抜けられない訳でこそないが、この強力な境界を難なく抜けて紫に触れた、圧倒的な力。


「やばっ……」

その力を感じて、そして紫は消し飛んだ。

正に一瞬。

蓮子にも、
メリーにも、

理解が全く追い付かず、

ただ一人現状を理解できた魔理沙は、たった一言だけ呟いた。










「…………霊夢」








紫が霊夢の一撃の前に為す術もなく消し飛んでからおよそ十分程度が過ぎた。
魔理沙から大体の話を聞いた霊夢は自分が戻る為に作った時間を越える境界を塞ぎ、今こうしてお茶を飲んでいる。

「あんた達が外から来たって人?」
「あ……はい」
「霊夢ー、この茶菓子頂くぜー」
「駄目。まあすぐに帰してあげられるけど、どうしたい?」
「霊夢ー、茶菓子旨そうだぜー」
「駄目。それとも、まだ何かしたい?」
「霊夢ー、茶菓子旨かったぜー」
「帰れ」

蓮子とメリーは顔を見合わせた。とりあえずやる事はやった。いや、甘味処と神社位しか見てないけど。もっと見たいと思うかと言われれば、見たい。
だが、それは[いけない事]のように思えた。
この幻想郷という世界で、幻想ではない自分達が歩き回るのには言葉にはしにくい抵抗がある。
言葉を知らない外国に居るかのような、何と言うことのない違和感。
だから二人は見合わせて、少し勿体なさげに笑った。
「私達は……戻ります。ただ、後いくつか、知りたい事を知ったら」
知りたい事。
それはもう一つの理由。
「何故外から人間を連れてきたのか。それにどうして此処に来たのが私達だったのか、がまだ分からなくてね」
それなら、と霊夢。傍らの妖怪の残骸をぐいと持ち上げ、二人に放る。
「痛い」
「目が覚めたクセに寝たフリ続けて、魔理沙の茶菓子を食ってた奴だもんね。仕方ないよね」
「気付いてたの?」
むくりと起き上がって紫はするりとスキマを抜ける。
「貴女達を選んだ理由だったかしら?」
「その前から」
ふぅん、と一声。再びスキマを抜けると紫は魔理沙の真後ろに。
「ん?もう菓子は無いぜ?」
「全部食いやがった……」

「まず、外の人間を呼んだのは魔理沙に気付かせるため」
「気付かせた理由が分からないんだけど」
黙ってればバレないのに、と。
「そりゃ、人間が異変と気付く様にしなくてはいけませんから」
「大変なのね」
分からない、といった顔の二人だが、納得せざるを得ない。幻想郷の言う「外の世界」の住民である以上、人間と妖怪の関係までは分からないから。
「偶に気付きませんからね。満月がおかしくなっても人間は知った事じゃありませんもの。だから私が気付くきっかけをあげたのよ」

納得した、と見えるように頷く。頷いて、次の疑問に答えろと視線を向ける。
「せっかちね」
「ずっと考えてたのよ。頭から煙が出そうなの」
「大丈夫よ、そう言って実際に頭から煙が出た頭は見た事がないわ」
「なら私が史上初ね」
境内に少し強い風が吹いて、その場に沈黙を誘う。静かにしているのが礼儀とでも言うように。

「理由は二つ」

「二つ?」
「一つ目は簡単。恒例行事で外の人間を殺しちゃあまずいでしょう?」
「お金なかったら危なかったわよ。……主に餓死の方向で」
紫は口元を扇で隠しながら、隠す意味がないくらいくすくす笑う。
「そんなのは人間はどうとでもしますわ。前に連れてきた人間は里を襲おうとしたくらいですもの」
「そんな恒例行事を続けるのかお前は」
魔理沙の横槍をかわそうともせず紫は続ける。

「私が危惧したのは妖怪に襲われること。ですから毎回妖怪に関する知識の深い者を選んでいるのです」
「そりゃあ光栄だけどね。それなら研究者さんの方が賢いんじゃない?話した事ないけど」
蓮子の言葉に棘が目立つ。
「まだあの馬鹿学者恨んでるの?」
「メリー五月蝿い」

「それが研究者を選ばない理由よ。妖怪を単なる民俗学としてしか見ずにいるような人間に現実的な対応は出来ませんわ」
「なるほどね、で?」
「もう一つ?」
「そうよ。もう一つは……メリーを連れてきた理由ね」
いきなり名を出されて慌てるメリー。
「ちょっと……何で私なの?」
「決まってるじゃない。貴女が来た理由だけ出てないじゃない」
溜め息と共に蓮子が言うとメリーも納得し、

直後の光景に目を疑った。
「……っ!?」
「メリー?」


「コレ……何?」

「コレってどれ?」
蓮子には分からない。メリーにしか見えないから。メリーにしか見えないものだったから。
「もしかしなくても境界?」

「もう一つの理由。それは見ておきたかったから、かしら」
紫は静かに話を続けた。
「幻想にならぬ世界で唯一、世界の真理を見る事の叶う貴女を見ておきたかった」
「見物料取ろうかしら」
「取っちゃえメリー。月旅行できるくらい」
「あげません。全く人が話をしているというのに無視どころか揚げ足取りだなんて」
「「お前が言うな」」
霊夢と魔理沙が全く同時に呟いた。






「何だよ、もっとゆっくりしてけば良いのに」
魔理沙は不満そうで、そう思ってくれている事は嬉しい事だったが、それでも二人は帰ると決めた。
「何かね、どうにも合わないっていうか……」
「旅行は良いけど住めないかなって」
そう言って顔を見合わせる。
「まあ誰かさんが連れてきた幻想じゃない人だもんねぇ」
「霊夢……まだ怒ってる?」
「別にー」

「仕方ないか。まぁ、なかなか楽しかったぜ」
「魔理沙が居なかったら単なる旅行に終わってたわ。こっちこそ世話になったわ」
「わぁ蓮子がまともな事言ってる」
「どういう意味よ」

紫が扇を空間に滑らせると、そこには細い線が残る。扇を開いて線にかざすと線が開き、スキマが生まれた。
「メリー……私あれ作りたい」
「無理」
「無理じゃないかもよ?」
「どういう意味?まさかもう実現可能な式が分かったとか?」
「うんにゃ、さっぱり」
「殴って良いかしら」
「already……痛い痛い」
「あのさ、そろそろ漫才終わってもらえる?」
業を煮やした、というよりは寧ろ呆れかえって霊夢が割り込む。手には陰陽玉が投げ込むフォームで握られている。
「メリーのせいで怒られた」
「蓮子のせい……」
「はいはい、もういいから」

霊夢の袖からどうしまってあったのかも分からない札が幾重にも合わさって現れる。
「じゃあ送り返すけど、未練とかないわね?」
「未練たらたらだけど良いわ。また来るから。今度は自力で」
「私の立場的にそれは困るわ」
「良いじゃないか別に。減るもんじゃないしな」
「私の神経がすり減る」
「なら平気だ。霊夢の神経はすり減る位じゃ無意味なくらい図太いだろ?」

「塵も積もれば」
「粉塵爆発」
蓮子はそう言ってメリーの前振りに応える。息は合っているがやってる事は片っ端からおかしい。
「阿呆なの?」
ちなみにこのコント、霊夢が突っ込まないとツッコミ不在となる。
外の連中はこんなのの相手してるのか、と魔理沙は楽しそうに「外な奴らは気の毒だな」と言って笑った。

「ねぇ?そろそろ準備出来てから何分になるか忘れた頃なんだけど」
見かねて紫が。
「そりゃああれだ、ボケてきたな。年齢的に」
「何を言ってるのかしら?私は永遠の15歳」
「子供かよ」
言いながらも紫はスキマを広げ、蓮子とメリーに来いと手振りで告げる。
「うわ……」
スキマの奥に広がるのは紫と黒と紅の世界。そこに広がる幾多もの目に、二人は思わず後ずさる。
「怖くないわよ?」
楽しんでいるのだろう、紫はにこにこしながらスキマを二人へと近づける。
「怖いといえば」
「?」
メリーが何かを思い出してくるりと紫の方を向いた。
「私達を連れてくる時の境界、異常に歪で禍々しかったんだけど、どうして?」
「あら、それは別に大した理由じゃありませんわ。禍々しく作っておけば貴女達は警戒するでしょう?警戒していて知識のある人間なら妖怪への対処も出来る確率が上がると踏んだのですよ。それだけの事ですわ。ほぉら、怖くない怖くない」

「怖くない……まああんたの冗句よりはね。言うなら永遠の……50歳位にしてもらわなきゃ」
蓮子は強気を全面に押し出して笑い飛ばす。
「結構……言う事言うのね」
そこそこ以上にはショックを受けたようで、言葉が繋がらない紫。50歳は生々しすぎたか。

しかし蓮子の肩には確かな怒りがこもっている誰かの右手が乗せられていた。
「蓮子、貴女確か紫が私に似てるとか言ってたわよね」
「へ?」
「ちょっとその辺で話さない?誰が50歳だって?」
1000って言えば良かったわと苦笑して、
「ねえメリー、あれ何かしら」
「ん?」
蓮子の指が向けられた方向にメリーの顔が向いた瞬間、蓮子は脱兎の如く走り出し紫の隣のスキマに向かう。

「それじゃあ皆さん、ご機嫌よう!」

「楽しかったぜ。主に別れる直前に色々とな」
「博麗的にはもう来るな。霊夢としてはまた会いましょう、かしら?まあ出涸らしで良ければお茶くらい出してあげる」
「来るなっつってもまた来るわ。ライフワークだからね」
「ライフワークって……天の邪鬼が?」
「違う違う」
メリーは笑って、笑いながら蓮子を見て、


「秘封倶楽部が、よ!」

それが霊夢、魔理沙、そして紫の秘封倶楽部との余韻もない別れ。
秘封倶楽部と幻想郷の、余韻のない別れ。




終章 また会いましょう


「帰ってきたぞー!」
「そうね……疲れたわ」
スキマを抜けた二人は夜中に集まった公園に現れていた。
「スタートに戻る、かしら」
「リスタートよりはネクストスタートって感じね」
「ポエマー?」
「別に」
日は高く、あれから大して時間が経っていないことを告げる。
「って、まさかとは思うけど昔に飛んだりしてないよね?」
「平気よ。携帯電話は今年の電波を受信してるわ」

メリーの携帯には紛れもなくレポートの〆切の日付が書いてあり、蓮子はほっと溜め息を吐く。
「……」
「何か言ったら負けよ」

一応、気にはしていた。


結局その日の講義をサボり、二人は公園のベンチでくつろいだ。くつろいだと言っても会話の中には色々な式が飛び出してくるあたりが近くに人の寄らない理由だろうか。

「あ」
不意にメリーが会話を途切れさせた。
「蓮子……私達一つどうでも良い事忘れてたわ」
「そりゃまたどうでも良さそうな話ね、と言いたい所だけど」
「だけど?」
蓮子は笑いながらひらひらと掌を振る。
「忘れてないんだなー、これが」
満足そうに。






「ったく、きっちり話を締めて行きやがったぜ」
二人が行ってからすぐ、魔理沙は足元の小包を拾った。中には紙が二枚。一枚には大きく文字が。



『次会う時に返しなさい』

魔理沙はそれを読み上げて、口元に手を当てて笑った。
もう一枚は、

「やれやれ、油断ならない奴らだぜ」


甘味処の領収書。
なかなかな金額と店のサイン。

「待ってるぜ」

くしゃっと丸めてポケットに詰め込むと箒に乗って飛び上がり、晴れた空に相応しい龍の白い眼を見に行った。
お久しぶりです、楼閣です。
長い時間かけて電車の中で作ってきたお話です。楽しんで頂けたら。

今回、勝手な妄想で理論もどきを幻想郷の境界という設定でやらせてもらったのですが、これがすごい怖い。『理解して頂けましたか?』と。
文章にし辛くて解釈し辛くて、一回匙を投げたものの捨てきれなかったといういわくつき。

ともあれ、私の好きな形で作られてくれた作品なので、小難しい事言わずに楽しんで頂けたらと思います。そこそこに長かったと思いますが、読んで頂いてありがとうございました。
楼閣
http://gensouroukaku.web.fc2.com/
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コメント



0.1360簡易評価
18.70名前が無い程度の能力削除
>昼間だからいつもの妖怪達は居ない

宴会をしていないからと云いたいのかもしれないけど、昼間だから妖怪が居ないというのは(夜だけ神社に来るわけじゃ無い)

>洩矢の巫女
これは誤字なのか意図的なのかの判断が

>妖怪と渡り合うには体術だって必要なのよ。スペルカードは後から創ったんだから
確かに体術は大切だろうけど、なぜスペルカード?(スペルカード以前から霊気操ってただろうし、スペルカード使用後も体術は必要だろうし。使用後の方が割合減ったとか、そいう事か?

>こんにちわ
 こんにちは

他にも気になるところはありましたが・・・まあ、あまりいうのも何ですし
話自体は面白かったです
20.100名前が無い程度の能力削除
二人の掛け合いが素敵でした愉快愉快
秘封倶楽部の幻想郷再侵入を願いつつ
捨て去らなかったことへの感謝も捧げ
またいつか逢いましょう
22.100名前が無い程度の能力削除
やり取りが彼女たちらしいと言うか、クール。
面白かったです。
23.100名前が無い程度の能力削除
いいね。凄くいい。面白い。
27.無評価楼閣削除
レスしますー。

18>
まず真っ青になりながら誤字修正しました。ありがとうございます。
そういえば吸血鬼も昼間っから来るくらいだからなぁ……。お考えの通り宴会をしていないから、というつもりでした。まぎらわしくて、というか変な表現で申し訳ありませんでした。
話は楽しんで頂けた、という事で凄くほっとしてる私が居ます……。

20>
あなたは詩人かっ!?たった4行なのになぁ……すげぇ。
秘封で『逢いましょう』という羅列を見るとすぐに『夢で逢いましょう』というあのフレーズを思い出してしまいます。あの話は私が秘封を好きになるにあたってかかせないもので……と脱線もいい所だなこれじゃ。
ありがとうございます!

22>
上の方と合わせてやり取り、掛け合いを気に入って頂けたのならもう舞い上がって喜びます。
東方projectという作品の大きな魅力の一つはあの掛け合いだと(勝手に)思っている私は掛け合いは大事にしたいと常々……。なかなか難しいんですが(汗
今回は成功……かな?ありがとうございます!

23>
ぎゃーっ!
そんな風に褒められるとまた書きたくなりますよっ!?
ありがとうございます!

秘封か紅魔館でしか話を書いてない私ですが秘封倶楽部はやっぱり人間の考え方で話を作れるのが心強いです。そういう中に紫を入れたりすると何とも言えない独特の雰囲気になりますね。私的に。
これからもちょくちょく書いていこうとおもうのでまたよろしくお願いします!
ちなみに今は初めてのゆゆさまで書いてます……うーん難しい。
28.90名前が無い程度の能力削除
面白かったです
30.100なかきよ削除
わふー、な気分
32.無評価楼閣削除
返事に多大なる時間がかかってしまっていますが、頂いたコメントは全て読ませて頂いております(挨拶

28>
ありがとうございます!
もっと面白いものを書いていきたいです。

なかきよ 様>
わふー。
ぐるぐるしながら作った苦労品。楽しんで頂いてありがとうございます。
36.100名無し程度の能力削除
面白かったです。秘封二人の会話とか地の文が気に入った。
37.100名前が無い程度の能力削除
こんな幻想郷と外の繋がりもありですね
39.100非現実世界に棲む者削除
秘封倶楽部と幻想郷の住民との絡みが上手いですね。
とても良かったです。