Coolier - 新生・東方創想話

紅魔館のロミオとジュリエット異変 ~完~

2009/12/11 01:26:44
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 咲夜と美鈴が、互いに、曰く言い難い感情を覚えた朝。
 その日は、傍から見れば何時もと変わらないようにも見える。
 朝食後。
 食後の紅茶に、何時ものようにティースプーン山盛りの砂糖を溶かし込んでいたレミリアは、傍らに控えている咲夜へと、満を持して問い掛けた。
「咲夜。貴女と美鈴との事で、パチェから話を聞いたわ」
 無論、レミリアの言葉は、咲夜と美鈴が恋仲にあるらしいと言う、パチュリーから受けた報告を裏付ける為のもの。
 しかし、この時点で咲夜は、よもや昨晩、美鈴と二人きりで自室で会話していた事を小悪魔に聞かれ、また二人の関係を曲解されているなどとは思いもしない。
 レミリアの、パチュリーから話を聞いたと言う一文から、美鈴と自分が舞台で、それぞれロミオとジュリエットの役を務め上げる事を言われたのだと錯覚する。
「ああ。申し訳ありません、お嬢様。報告するタイミングを逃してしまいまして。近々、お伝えしなければと思ってはいたのですが」
 てっきり、咲夜が慌てふためくものと思っていたレミリアは、“ほう”と感心したような声を漏らす。
「なんだ。隠すかと思っていたのに。堂々としたものね。人間と妖怪。それと知ってなお共に歩む覚悟が、既にあると見える」
「そんな大袈裟な。別段、隠すような事でもないですし。それに妖怪と言っても、私と美鈴です。心配などございませんわ」
「そうか。そうだな。そのような事、二人が承知していない筈も無いか」
 レミリアは満足げに頷き、優雅に紅茶を啜った。
 どうやら、パチュリーの報告は真実であったらしい。
 そして、自分たちの心配が杞憂に過ぎないと言う事も理解できる。
 十六夜咲夜。
 そして、紅美鈴。
 種族の垣根を乗り越えて結ばれた二人ならば、この先、いかな困難が待ち受けていようと乗り越えていけるだろう。
 安心すると同時、ふと下世話な興味が首を擡げてきた。
 紅魔館の主が口にするには、少々、作法がなっていないかも知れないが、少しぐらいは構うまい。
 二人の主として、従者の事は何でも知っておく必要がある。
 それが、たとえ寝所での秘め事の様子であろうとも。
 聞けば、二人は昨晩が互いに初めてであったらしい。
 何か、人生の先達として助言できる事もあるかも知れない。
 レミリアも、かつてパチュリーと、今のような友人としてではなく恋人として付き合っていた頃は――これも今は、さして重要では無い話である為、割愛しよう。
 あまり明け透けにならないように注意を払い、咲夜へと問い掛けた。
「ふふ……咲夜。美鈴とはどうだった? もう、お互いの相性は確かめたのでしょう?」
 レミリアの言う相性を、咲夜は、演技における相性だと錯覚する。
 演技ならば今朝、即興ではあるが二人であわせてきたばかりだ。
 その時の事を僅かに思いだし、頬を朱に染めながら、咲夜は、務めて平然と答える。
 咲夜の態度が、レミリアには想い人との初夜を思いおこし、頬を染めながらも必死に平静を装っている、初心な少女にも見えた。
「相性はよかったですわ。互いに初めてでしたので、まだ恥じらいや緊張は残っていますけれど」
「うん。まあ、初めてならね。仕方ないよ、それは。何、これからゆっくりと馴れていけばいい。それで、美鈴は優しかったかい?」
「ええ。十分に優しいですわ。私としては、もう少し積極的になって貰いたいとも思いますが。何時までもジュリエットがリードする立場では困りますもの」
「なんだ、情けない。美鈴は、そっちでも咲夜に手綱を握られているのか」
 貞淑そうなイメージがあった咲夜だが、どうやら話を聞く限り、夜と昼では、また違った顔を見せる人物のようだ。
 裏表が無い性格の美鈴には、さぞや荷が重い相手だろう。
 寝所でも咲夜に翻弄され、慌てふためいている美鈴の様子が目に見えるようで、レミリアは“くすり”と微笑む。
「まあ、あまり虐めないでやって頂戴。美鈴も、まだこれからよ。それまで貴女がリードしてあげる事ね。頼りないロミオを」
「ええ。いきなり、こちらの望む事を全て満たしてくれるだなんて、思っていませんわ。しばらくは私がリードいたします」
「そうしてあげなさい。それで実際、美鈴は上手いの?」
「上手いかと聞かれましても……私自身、初めての事でしたので。ですが、まあ、人並み以上だとは思いますよ」
 何しろ昨日の今日で、いきなり振ったこちらの演技に対し、見事、台詞を返して見せたのだ。
 最後の最後で一歩引き下がったが、それも仕方の無い事だと思う。
「人並み以上か。これはまた予想外だね」
 少なくとも当人たちは満足しているらしい。
 レミリアは、二人の夜の生活に対して、何も心配する必要は無いように思った。
「なんだ。本当に二人の相性は、一つの歯車のように、しっかりと噛み合っているみたいだね。こちらからの下手な心配は無用と見える」
 ならば紅魔館の主として、二人の為に自分が出来る事はただ一つ。
 “ぐい”と、甘い紅茶を一息に飲み干し、レミリアは、咲夜に告げる。
「咲夜。今日は一日、美鈴と共に過ごし、お互いの絆を更に深いものとしなさい。館の雑務も後回しでいいわ。事実上の休暇ね」
 席より立ち上がるレミリア。
「それは構いませんが……お嬢様はどちらへ?」
「ん? ああ、ちょっと博麗神社の方にまで。他にも何箇所か、よる所がある。共はいいわ。一人で行くから。日傘を用意して頂戴」
「はい」
 咲夜は、レミリアが一人で出かけるなど珍しい事もあるものだと思いつつ、それだけ久しぶりの観劇を楽しみにしているのだろうと納得する。
 恭しく日傘を手渡した。
「では行って来るよ。美鈴と仲良くね。応援しているから」
「はい、ありがとうございます。行ってらっしゃいませ、お嬢様」
 含みを持たせて笑うレミリアを、咲夜は礼をして見送る。
 二人は最後まで、お互いの会話に致命的なすれ違いが発生していた事に気付かなかった。




 紅魔館、門前。
 紅い門柱に背を預け、美鈴は溜息をついている。
 今朝から、ずっとだ。
 何やら目の前に咲夜の顔がちらついて離れない。
「どうしたんでしょうね、私……」
 誰ともなしに呟いてみる。

――しないの?

 咲夜の言葉が、今朝の一幕が、何度も脳内で繰り返し再生された。

――別に練習中の事故で、少しぐらい唇が触れ合っても、私は気にしないから。今度は、もうちょっと頑張りなさい。

 咲夜に、からかわれたのだと言う事ぐらいは判っている。
 それでも咲夜の言葉を思い返すたび、もしかしたらと言う思いが、美鈴の胸の鼓動を高鳴らせた。

――さぁ? 自分で考えなさい。

「……だって、あれはあくまで、お芝居ですし。本当に咲夜さんにキスをするわけにも……」
 今朝、咲夜に腕を掴まれた時。
 互いの唇が近付いた、最後の最後で正気に返った。
 もし仮に、あの時、正気に返らなければ自分はどうしていただろうか。
 咲夜は、その行為を拒んだだろうか。
 そんな考えが、幾つも泡のように脳裏に浮かんでは、弾けては消えていく。
 思考の泡が弾ける度、美鈴の心は千々に乱れる。
「おかしいですね……私。百年生きてきて……こんな気持ち、初めてです。自分が判らない……」
 “はあ”と、憂いを秘めた、大きな溜息を一つつく。
「どうした、美鈴。こんなにも忌々しい晴れの日に、随分と沈んでいるじゃあないか」
 暗く沈んだ顔を見せる美鈴の耳に、聞き慣れた声が飛び込んできた。
「あ、お嬢様」
 そこには余所行きの服を着て、日傘を指したレミリアが佇んでいる。
 どうやら一人で出かける心算らしいが、珍しいこともあるものだと思いつつ、美鈴は礼をした。
「お出かけですか?」
「ああ。用事があってね。そうだ、ロミオ。少し、耳を貸しなさい」
「はい、何でしょうか?」
 美鈴は、レミリアの口元へと耳を近づける。
 レミリアは、今、確かに自分の事をロミオと呼んだ。
 つまり自分と咲夜が、それぞれロミオとジュリエットの役を演じることは、既に耳にしているのだろう。
「貴女と咲夜のことだけどね……」
 レミリアは親切心から、咲夜から聞き出した情報を、美鈴へと伝える。
「咲夜は……どうもロミオには、もっと積極的になって欲しいそうよ」
「えっ!?」
 瞬時に頬を真っ赤に染める美鈴を見て、レミリアは“くすり”と笑った。
「なるほど。初心だね。これではジュリエットがもどかしく思うのも、無理は無い。美鈴。咲夜は貴女を待っているわ。今度は、貴女から積極的にリードしてあげなさい。大丈夫。咲夜は、貴女の全てを受け入れてくれるよ」
「えっ……でもっ……!?」
「いいから。私が保障してあげるよ。今度は、咲夜に貴女が思うことをしてあげなさい」
 慌てふためく美鈴を背に、レミリアは、伝えるべき事は既に伝えたと、紅魔館を後にする。
 これで二人の仲は、更に深まるだろう。
 出来る主と言う者は、従者の見えない所で、さりげないフォローも欠かさないものだ。
 良い事をした後は気持ちがいいと、レミリアは、日傘を“くるくる”と回しながら、博麗神社へと向かい歩を進めた。




 博麗神社。
 境内の掃除をしていた紅白の巫女は、不意に訪れた来客に首をかしげる。
 何時もならば、瀟洒な従者と共にある筈の吸血鬼は、その日に限り一人で神社を訪れた。
 レミリアは、博麗霊夢の姿を見て取るなり、開口一番、想像だにしなかった事をのたまって見せる。
「ああ、霊夢。博麗の巫女の名で、妖怪と人間の結婚を認める法律を認可して欲しいのだけど」
 霊夢は、たっぷりと一分近く呆けたように口をあけた後、呟いた。
「……面白い冗談ね」
「悪いが、私は本気だよ」
 レミリアの言葉に、天を仰ぐようにして、霊夢は溜息をつく。
「一体、どういう事よ?」
「ああ。今度、うちの咲夜と美鈴が、互いに愛し合っていると言う事が明らかになった。本人たちにも確認はとったので、間違いは無い。知っての通り、妖怪と人間では生きる時間が違う。今は幸せでも、近い将来、逃れえぬ悲劇が二人を引き裂くだろう。私は紅魔館の主として、二人の愛に、せめて確かな証を与えてやりたいと思う」
 霊夢は、いきなり告げられた言葉に頭の中を真っ白にする。
「……そう」
 ようやくの事で、それだけを返す。
「いや、恋愛の形は本人たちの自由だとは思うけど。咲夜も美鈴も、女じゃないの」
 霊夢の指摘に、レミリアは、そう言われればそうだなと軽く頷いた。
「じゃあ、ついでに同性間の結婚を認める法律も認可して頂戴」
 さすがに呆れたように、霊夢が言う。
「無茶言うんじゃないわよ」
「貴女、博麗の巫女でしょう? 博麗大結界の管理者じゃないの?」
「そうだけど、限度ってもんがあるわ。第一、本当にその二つを認めるにしても、それがもたらすものは人間と妖怪の双方に影響を及ぼす、余りにも大きな変革じゃないの。少なくともスペルカード・ルールにも匹敵する影響が出るはずだわ。さすがに私の一存で決められる訳が無いでしょう。私は大結界の管理者だけど、幻想郷の独裁者という訳じゃ無いのよ」
「じゃあ、どうすれば認可して貰えるの?」
 レミリアの問いに、霊夢は“ふむ”と考え込む。
「そうね。幻想郷の各地で勢力をもっている奴等の代表が、それを認める事が絶対条件じゃない? あとは一応、幻想郷の管理者の立場にあると言う事で、紫の許可もいるわね。後はそれらを総合して、最終的に博麗の巫女である私が、認めるかどうかの判断を下すわ」
 レミリアは、“はぁ”と大きな溜息を一つつく。
「何だか面倒くさいわね。まるで、お役所仕事のそれじゃないの」
「当たり前よ。あのね? 今でこそ皆が護っている、スペルカード・ルールを決めた時だって、あちこちで大揉めに揉めたのよ? 決闘にルールをもうける有用性が判らないと言う理由でね。そうすんなりと、そんな大きな改革が通ってたまるもんですか。まぁ、あんたの気持ちは判らないでも無いけれど……」
「あら、いいんじゃないかしら? 私は、全面的に賛成するわよ。妖怪と人間の結婚にも、同性同士の結婚にもね」
 霊夢の言葉を遮り、虚空から声が響く。
 急に割り込んできた声に、霊夢も、レミリアも驚く事無く、それに応じた。
「おや、もう一人の管理者のお出ましか。探す手間が省けたな」
「全く、何時も急に現れて。第一、今は冬よ。冬眠はどうしたの?」
 霊夢とレミリアとの間に横たわる空間を引き裂き、ゆっくりと姿を現したのは、紫の洋服を纏う、胡散臭い風貌の少女。
 幻想郷の管理者、八雲紫。
「ふふ、幻想郷の将来を左右する問題とあっては、暢気に寝てはいられませんからね」
 含みを持たせた笑みを浮かべ現れた紫へと向かい、レミリアが問い掛ける。
「大方の事情は、既に察しているとでも言いたげね?」
「ええ、勿論。話は全て聞かせて貰いました」
 “ころころ”と笑う紫を見据え、霊夢が呆れたように言う。
「あんたは、また話をややこしくするような真似を。どうするの? 今から、幻想郷中を歩いて、各勢力の頭に事情を説明して回るの? いくら私とあんたが認めても、それだけで、じゃあ今から妖怪と人間の結婚を認めます。どうか皆さん、これに従ってください。とは行かないわよ?」
「まあ、そうでしょうね」
 霊夢の言葉に、笑みを絶やさぬままに答える紫。
 どうにも飄々として、捉えどころが無い。
「言っとくけど私は、そんな面倒くさい真似は嫌よ。寒いし。自分の所の問題なら、レミリアが、あちこちを回って話を通してきてよね」
「ふん。言われるまでも無い。この私の速さを甘く見るなよ? 一刻もあれば容易く、幻想郷の各勢力の長に話を通して――」
 翼を広げようとするレミリアを、優雅に扇子を開いた紫が押しとどめた。
「まあまあ。要は、幻想郷の各勢力の長、あるいはそれに匹敵する力を持つ者の意見さえ聞ければ良いのです。なにもこちらから出向かなくても――」
 “つい”と、紫が虚空を払うように手を振るう。
 それだけで博麗神社の境内に、幾つもの空間の裂け目が生み出された。
「――必要な者にだけ、来てもらえばいいのです」
「ちょっ……あんた、何をっ……!?」
 霊夢の驚愕の声も何のその。
「大丈夫です。こんなこともあろうかと、事前に式を飛ばしておきましたから」
 事前に、何の相談も無く行われた紫の行動によって、神社の平穏はあっけなく破られる。
 紫の生み出した空間の裂け目から、次々に紫に招待された者たちの姿が現れた。
「もう、紫ったら。朝のおやつの途中だったのに」
 おやつの意味を吐き違えているとしか思えぬ言葉を吐きながら現れる亡霊の姫、西行寺幽々子。
「やぁ、嬉しいねえ。一応、勢力扱いか。鬼の権威も、まだまだ廃れていないもんだ」
 次いで、いい具合に出来上がっているようで、頬を染めて現れる鬼の少女、伊吹萃香。
「全く。新薬の実験の途中で、いきなり呼び出すんだから。地上の妖怪は礼節と言うものを知らないのかしら?」
「でも、なかなか面白そうな話じゃない? それに、今はもう私達も地上の民よ」
 その後に、迷いの竹林に住む医師と姫、八意永琳と蓬莱山輝夜が続く。
「別に賛成してもいいけどね。それなら植物と妖怪の結婚を認める法律も、認めるのが筋ではないの?」
 四季の花を求めて流離うフラワーマスター、風見幽香の姿があった。
「地上の出来事に、浄土の住人が過度の干渉を行うことは禁じられているのですが……まぁ、意見だけでいいと言うのならば、ぎりぎり白と言った所でしょう」
 澄ました顔で現れる、楽園の最高裁判長、四季映姫・ヤマザナドゥ。
「天狗の頭領から、皆さんの顔見知りと言う事で一応の全権をあずかって参りました。本当は記者として、第三者の立場から取材したいのですが……今回ばかりは関係者として参加いたします」
 漆黒の翼を拡げた烏天狗、射命丸文が降り立つ。
「うわー、錚々たる面子ですね。こうやって幻想郷の法律は作られていくんですか。何だか宴会みたいですね」
 妖怪の山の神社の巫女、東風谷早苗が、好奇心を瞳一杯に宿して現れる。
「人間の郷の代表が、本当に私でいいのだろうか?」
 歴史喰いの半人半獣、上白沢慧音の姿もあった。
「ええ、貴女は人間と妖獣の狭間にある者。人と人ならざる者たちの行く末を決める今回の議題に、これ程に相応しい者もいないでしょう」
 慧音の言葉に答え、紫が、自らの招待に応じ集まった者たちを見渡す。
「この面子に私と、紅魔館の主、レミリア・スカーレット。そして博麗の巫女である霊夢を加え、これで地底の者たちを除いた、幻想郷の各勢力の代表、或いはその代理、そして実力者たちが、一同に会したわけですね。なかなかに壮観な眺めです」
 紫の言葉に、霊夢は疲れきったように肩を落す。
「ああ、もう。また勝手な真似を。そして、どいつもこいつも本当に暇人ね。こうなったら自棄だわ。さっさと、ここにいる全員の話を纏めるわよ。これでいいんでしょう、レミリア?」
 全てを諦めたように語る霊夢の隣で、レミリアは不敵に微笑んでいる。
「ふっ。やはり運命は、私の思うとおりに頭を垂れるな。勿論。まぁ、この話し合いの結果も、既に判り切っているけどね」
 相も変わらず尊大な態度のレミリア。
 紫は艶然と笑んで、集まった者たちの眼前に、小さな空間の裂け目を創造して見せる。
「さて。皆に今日、この場に集まってもらったのは言うまでもなく、話し合いの為です。この幻想郷に、人間と妖怪の両種族に関係する、スペルカード・ルール以来の大きな法案を導入して欲しいとの希望がある。それを認めるか否か。皆の意見が、幻想郷の明日を形作るのです。長々と話し合うよりもまず、実例を見た方が良いでしょう。皆の選択が幻想郷に、より良い未来をもたらさん事を――」
 紫の宣言と同時、博麗神社に集った者たちが一斉に、紫の創造した空間の裂け目を覗き込んだ。
 こうして幻想郷始まって以来の、壮大な勘違いとすれ違いから始まった、紅魔館の従者と門番の恋物語は、幻想郷の実力者たちに遍く知れ渡る事となる。
 幻想郷の実力者たちが一同に介するのは、各地での宴会を除いては、これが初めての事。
 今、長き幻想郷の歴史に、新しい変革の風が吹き込もうとしていた。
 その発端となった原因を考えると、どうにも泣けてくる。
どうも、早苗月翡翠です。
さて、当初は二回、ないし三回ほどで完結する筈だった『紅魔館のロミオとジュリエット異変』。
第四回目にして、ようやく終りが見えてきました。本当に、自分の見通しの甘さを反省するばかりです。
次回、ようやく、この物語に決着がつきます。
『完』というタイトルから、物語の終幕を期待された方、裏切るような形になってしまい、本当に申し訳ございません。
次回のタイトルが冠する文字は、『結』。
今回と合わせて『完結』となり――そして奇しくも、結婚などを初めとした、結びつき示す文字となります。
幻想郷に、果たしていかな改革が訪れ、そして、その時、咲夜と美鈴はいかな選択をするのでしょうか。

それでは――読んでくださって、どうも有難うございました。
心から、感謝いたします。
早苗月翡翠
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コメント



0.2110簡易評価
5.100名前が無い程度の能力削除
すっかりタイトルに騙された!

でも次回の文字が気になります。結婚かぁ……。
12.100名前が無い程度の能力削除
ニヤニヤして、ホッと出来る結末を望みます。ん~待ち遠しい。
15.90名前が無い程度の能力削除
ちょっと読点が多く感じました。次回も期待しております。
22.90煉獄削除
美鈴の感情や咲夜とレミリアの会話のずれとか良かったです。
次回が楽しみですね。
23.100名前が無い程度の能力削除
すれ違いも、ここまでくると見事ですねw
24.100名前が無い程度の能力削除
完、と申したか、それもまた良し
いややっぱまだ足りないよ!もっとめーさく欲しいよ!
26.90名前が無い程度の能力削除
タイトルに騙されたw
「結」編が待ち遠しい
28.100名前が無い程度の能力削除
次回を楽しみにしています。にやにやさせてください(笑)
29.90あか。削除
素晴らしい。
久々にこんな続きを期待して待てる作品に出会えた。
次回も頑張ってください。
31.100名前が無い程度の能力削除
なろほど、
「完」で準備が「完了」し、
「結」で「結○」ですね。
32.100名前が無い程度の能力削除
会話のすれ違いがうまいwww
33.無評価名前が無い程度の能力削除
慧音さんは人間と妖獣とのハーフでなく、後天的要素でワーハクタクになったと思ったけど。
森近霖之助は人間と妖怪のハーフだったはずで
34.100名前が無い程度の能力削除
「結」楽しみにしてますよ~
35.100名前が無い程度の能力削除
タイトル騙されたw
会話のすれ違い面白いw
結楽しみにしています。
39.100名前が無い程度の能力削除
おい、いい加減にしろよ作者
終わってねーじゃねーか

俺の2828とwktkが止まらないじゃんかよ!
どうしてくれよう(いいぞ、もっとやれ)! 
41.100名前が無い程度の能力削除
>かつてパチュリーと、今のような友人としてではなく恋人として付き合っていた頃は――これも今は、さして重要では無い話である

とても重要です本当にありがとうございました
42.90名前が無い程度の能力削除
清々しいまでのすれ違いようw

2828出来るようなラストに期待!
46.100名前が無い程度の能力削除
スレ違い面白かった。

是非ともレミィの過去話もですね…。
48.100名前が無い程度の能力削除
ボタンの掛け違いとでもいうのだろうか
凄いシンクロ率で、歯車がかみ合ったw
ただ歯の互い違いは、ズレたままだけどww
64.100名前が無い程度の能力削除
もうどうあがいても結婚するしか道が無いw
一体どうやってここから誤解を解くのか楽しみですw