この作品は作品集81の『福神と厄神の幸福論』の話の続きとなります。
こちらの作品を未読の方は先にそちらのほうを読むことをお勧めいたします。
――フワリ――
庭の木から木の葉がひとひら穏やかに舞い落ちる。
舞い落ちた木の葉はやがて土となり親の木に吸収され、再び木の葉として生まれ変わる。
まさに輪廻転生。それが自然の正しい姿。そう考えるとこのように箒で落ち葉を掃くのは間違っていることではないのか?
(そうだ、そうに違いない!つまり境内の掃除はしないのが正しい!!)
私は手にした箒を再び元の場所に戻し、お茶を入れようと中に戻ろうとした。
「・・・ちょっと、これは流石に掃除した方がいいわよ」
「いいのよそれが自然の姿なんだから」
「どうみてもその理論って、ただ目の前の現実から逃れるための屁理屈にしか聞こえないわよ?」
「うるさいわね!というか、あなたって心読めたっけ?」
「全部口に出してたわよ」
「嘘!?」
「私は覚じゃないし、こんな嘘ついても意味ないわ」
「とにかく、神社は自然にいる神様を祭っているの。だから境内も自然なままがいいに決まっているのよ」
「その神からいっても『これ』はないと思うわよ」
「だって面倒じゃない!!」
「それが本音ね・・・」
私が振り向くと、珍しい奴が呆れた顔でこっちを見ていた。
「だってこれは大変でしょう!?」
私が指差した先には先日の台風の為、茶色の湿った落ち葉で敷き詰められた境内があった。
「こんだけの落ち葉を掃除するのは大変なのよ!しかも湿った落ち葉!!」
湿った落ち葉は地面に張り付いて箒で取るのが面倒なのだ。
「それが巫女の仕事でしょう?」
「私の仕事は妖怪退治」
「・・・これじゃあ風祝の方がよほど巫女らしいわね」
「で、あんたは私に説教しに来たのかしら?」
「そうね、それもいいかもしれないわね」
「茶化さないでくれる?」
私が睨むと相手=鍵山雛は軽く息をついてから組んでいた腕を解いた。
「それで、何の用?厄神が外れとはいえ人里近くに現れるなんて珍しいじゃない。普段は厄が人に寄らないように人里からは離れているって聞いているけど?」
「まぁね、確かに普段はこんな人の生活圏に入ったりはしないわよ。私だって自分の性質くらいはわかっているし」
雛は目を細め、少しだけ自嘲気味に軽く笑った。
「それなら何でまた?まさか、私を不幸にするために来たとか?」
「まさか、これでも人を守護する守り神よ?例えあなたみたいな奴でも人間である以上私が厄を押し付けることなんてしないわよ」
「この前はやってきてたじゃない」
守谷神社が来た時の事を思い出す。
あの時は普通に厄にまみれた弾幕――壊れた御守とかを普通に投げられていた記憶がある・・・あれは特に食らいたくない弾幕の一つだったわ。
「あれはスペルカードルールに則ってのことじゃない。それにあの時はより大きな不幸を回避させるためにやったのよ、少なくても人を不幸にするためだけに厄を与えたりはしないわ」
「じゃあスペルカードに則って厄をぶつけにきたの?それなら受けてたつわよ」
「・・・どうしてこうも好戦的なのかしら」
雛が顔に手をやってため息をつく。
「妖怪は私の敵なの。あったら叩きのめさないといけないのよ」
「私は神で妖怪じゃないわよ?」
「どっちだっていいわ。どちらにしろ戦うべき相手だもの」
「いやいや、むしろ崇めるものじゃないの?」
「だって、神だろうと妖怪だろうと皆弾幕勝負してくるんだから戦うしかないじゃない」
「・・・いや、まぁ、そうだけどね」
私の言葉に雛が頭痛をこらえるように眉間に手を当てた。
それよりもさっさと本題に入ってほしいわ。
「ま、いいわ。それより本題なんだけどこの子の・・・って、縁?」
「あんたにくっついていた子供ならあっちで狐と戯れてるわよ」
私が指差した方向では、幼い男の子(神性を感じるから多分あの子も神の一種ね)がここら辺にすんでいる狐(子狐のときと違ってもう人に近づかないのに、やっぱり神だからかな?)を撫で繰り回していた。
雛がその子に近づき声をかける。
「縁~、な~にしてるの」
「あ、ひー姉ちゃん!ほら、この子ふさふさしてとっても可愛いんだよ!!」
ひー姉ちゃん・・・。
「何?」
遠くから雛が睨んでくる。
「い~え、別に~。早くいってあげたら『ひー姉ちゃん』?」
「・・・祟ってやろうかしら」
おやおや、さっきはあんなこと言っていたのにこわいこわい。
男の子は雛に言われて狐から手を離し、一緒にこちらに戻ってきた。
「ほら、自己紹介」
「えっと、初めまして。僕福神の吉祥縁っていいます!」
「私は博霊霊夢、ここで巫女やってるわ」
「うん、よろしくお願いします!霊夢おねーちゃん」
「・・・」
おねーちゃんって・・・下手すると私の方が年下なんだけど・・・。
いや、それよりも・・・。
「・・・飴食べる?」
「わあ~、ありがとう!!」
私は思わず懐からおやつ用の飴を取り出してあげてしまった。
いや、だって、この子すっごく可愛いんだもの!
飴を口に含んで幸せそうにしているその子の頭に思わず手をのばそうとすると、横でじっとその様子を見ていた厄神と目があった。
「何、文句あるかしら?」
「いえ、別に」
「それにしても、ひー姉ちゃんだなんて前会った時と随分印象が異なること」
「いや、そうだとは私も思うけど・・・」
「けど?」
「笑顔でずっと縁の頭をなでているあなたも随分と印象変ってるわよ?」
「いいじゃない、可愛いものを愛でて何がいけないの?」
そう言って私は膝を折って目線を縁君に合わせてなで続ける。
「・・・これと同じ状態に自分もなってたかと思うと、なんとも言えないわね」
横で雛が何か言っているけど、気にせず私は縁君に話しかける。
「ねぇ、家の中に羊羹があるんだけど食べる?」
「ほんとっ!?食べる、食べる!!」
「そ、じゃあこっちにおいで」
私は縁君の手を繋いで神社の中へと導いた。
一緒に二人分のお茶の準備もしないとね。
「あ、ちょ、ちょっと待ちなさい!」
・・・そういえば、もう一柱いたっけ。
「で、結局本題って何よ?」
家の中で正面に座った雛に問いかける。
「あ~、実は縁のことなんだけど・・・」
「まぁ、そうよね。出なけりゃ一緒にここに来たりしないものね」
「そう、それで・・・」
雛がちょっと言いよどむ。
なんか言いづらいことなのかしら?
「それで?」
「あ~・・・」
「何、さっさと言いなさい」
「・・・まずはその腕に抱いている縁をこっちに返しなさい」
「嫌」
私は腕の中にいる縁君を抱きしめて即答した。
「嫌って・・・流石にこの状態で話すのは変でしょう!?」
「別にいいじゃない。縁君は嫌?」
「ううん、全然」
「ほら、縁君だってこのままでいいって」
「いやいや、縁だってこの状態で霊夢にお願いするのは変でしょう?」
「あら、私にお願い?何かしら」
「うんとね、おねーさんを幸せにしたいんだ~」
「あらっ、嬉しいこといってくれるわね」
私は縁君の頭を自分の額でぐりぐりする。
「・・・あぁもういいわよ、このまま進めるわ」
雛が諦めたように息をつく。
で、雛から詳しく話を聞くとこの子は福神として非常に未熟であり、能力の制御、禍福の原理(大きな福の後は大きな禍がくるって奴ね)の理解といった基本的なことがまだちゃんとしていないんだそうだ。
それ故に福神なのにむしろ人々を不幸にしかねないため雛が教育しているんだけど、その練習相手になってほしいってのが今回の本題みたい。
「でも、何で私?」
「あなたは禍福の波がすごく小さいのよ。だから必要以上に大きな福を貰っても、あまり大きな禍がこないだろうと思ってね」
「つまり、いいことも悪いこともあんまり起きない体質だから、失敗しても反動が少なそうだからってこと?」
「そういうこと」
「ふ~ん」
「で、だめかしら?」
「う~ん」
ぶっちゃけ自分が実験台になるっていうのには抵抗がある。
それに基本いいことが起こるとはいえ、その後に良くないことが起こるかもしれないのだ。
普段の私だったら断っていただろうけど・・・。
「・・・」
「?」
腕の中にいる縁君に視線をずらすと、無垢な瞳とかち合った。
(どうもこの子は何かしてあげたくなっちゃうのよね~)
「・・・いいわ、引き受けてあげる」
「本当?ありがとう」
「ありがとうおねーさん!僕がんばるよ!!」
「うんうん、がんばってね」
私は縁君の頭をなでてあげる。
「それで、私は何をすればいいのかしら?」
「う~ん、特には何もしなくていいんだけど・・・そうねぇ、今何か望みってある?」
「望み?」
「ええ、本来はその人が何を望んでいるか推測して福を与えるんだけど、それには慣れが必要だし、まずはそれがわかっている状態でやってみようと思ってね」
「望みねぇ・・・」
雛の言葉に私は少し考える。
最上級のお茶とか欲しいものはいくつか思い浮かんだけど、とりあえずはあれかな?
「そうねぇ、お賽銭がほしいかしら」
私がそう言うと雛は怪訝そうな顔をした。
「お賽銭って、あなた別に暮らしに困っているわけじゃないでしょう?むしろ結構いい暮らしをしていると思ってたけど」
雛の言葉に私は苦笑する。
「まぁ、確かにお金に困っているわけじゃないわよ。ただね、神社として年中お賽銭がないのはちょっと寂しいものなのよ」
「いや、だったらもっとちゃんと巫女らしくすればいいじゃない」
「十分してるわよ」
「どこが?」
「妖怪退治しているじゃない」
「いや、それは・・・あ、でも、それは一応信仰も集められるのかな・・・?」
「でもねぇ、この神社妖怪とかのたまり場になっているもんだから全然人が来なくてね。来る人間はお賽銭を入れるような性格じゃないし。だからって妖怪たちが入れるわけないし」
「まぁねぇ」
「というか、あなたは入れてくれないの?」
「いや、神への賽銭を神が入れてどうするの?」
「うちの神社は種族問わずどなたからも受け付けます」
「・・・なんだかねぇ」
雛がため息をつく。
「まぁいいわ。じゃあお賽銭が欲しいのね」
「そうね、一番はそれかな」
私が頷くと、雛は縁に向かって、
「じゃあ縁、やってみさない。今回は商売繁盛よ」
「うん!」
そう言って縁君は私の腕から抜け、自分の福を集めはじめた。
「加減を間違えないようにね。相手の禍福をみて丁度いい量にするのよ?」
「わかってるよ~!」
縁君が私に指を向ける。
「いっくよ~」
――招福『福神の現世利益 ―繁盛―』――
その瞬間、何か暖かいものが自分を覆ったのがわかった。
「どう、ひー姉ちゃん?」
「うん、いい感じよ。よくやったわ縁」
「ほんと!?やった~!!」
向こうで縁君が雛に褒められているのを見ると上手くいったらしい。でも・・・、
「全然何にも起こらないんだけど?」
「もうすぐ起こるわよ」
私が不審がると雛がそういって軽く微笑んだ。
「ふ~ん」
「とりあえず、賽銭箱の方に行ってみたら?」
雛がそういうので私は半信半疑で表の方へ歩いていった。
そして後少しで賽銭箱が見えるところまで来たその時、
――チャリーン――
「!?」
賽銭箱の方から明らかな金属音が聞こえた。
すこし早足で行ってみると、そこには一組の男女が祈っていた。
「あの・・・」
「あ、博霊の巫女さんですね」
「え、あ、うん」
私が声をかけると、男のほうが私に気付き軽く頭を下げた。
「えっと、お参りですか?」
「ええそうよ」
女性がそう言うと、私は思わず目を見開いた。
「なんです?」
「いえ、ここにお参りなんて珍しいから」
思わずあまり体裁の良くない事実を言ってしまい、二人は苦笑した。
「まぁ、そうですけど。この願いはここで祈るのが一番かと思って」
「願い?」
男の言葉に私は首をかしげた。
「ええ、まぁ、見ての通り俺達付き合っているんですが・・・」
「ほら、彼は人間で私は妖怪でしょう」
そういえば、女性のほうからは妖気を感じる。
「で、まぁ親に紹介する前にここで上手くいくように願掛けをね」
確かにいないわけではないが、幻想郷でも異種恋愛はいろいろ大変である。願掛けもわかるのだが・・・。
「どうしてうちの神社で?」
博霊神社はむしろ妖怪にとって天敵の住処のようなものだとおもっている。
だから私がそう聞き返すと今度は女性が、
「ほら、ここっていろいろな人妖が集まってくるじゃない」
「・・・まぁね」
私はちょっとだけ顔をしかめたが、相手はそれに気付かず話を続けた。
「だから、人と妖怪の仲を取り持ってくれるような利益があるかなって」
それを聞いて少し納得した。
確かに今現在の博霊神社は人妖が集まる異種間の集会場だ。
(これが福なのかしら・・・?)
その後少しだけ話してからその男女は帰っていった。
そして、確かに賽銭箱に小銭が入っている事を確認すると雛達の方へと戻ることにした。
「あら、縁君は寝ちゃったの?」
表から帰ってきて家の縁側に行くと、そこには雛とその膝の上でまどろんでいる縁君がいた。
「えぇ、ここは暖かいから眠くなったみたい」
そういいながら雛は縁君の髪を優しくなでる。
「で、どうだった?」
「来てたわよ参拝客が」
私がそう言うと雛は微笑んでそう、とだけいった。
「お茶入れてくるわ、飲む?」
「ええ、頂くわ」
私はお茶を入れるため奥へと入っていった。
雛はその間も静かに縁君の髪をなでていた。
お茶を入れて縁側に戻ってくると、聞きなれない歌が聞こえてきた。
「お眠りなさい我が愛し子よ、あなたの痛みは私が受ける。お休みなさい我が愛し子よ、あなたの苦しみは私が背負う。幸せに、健やかに、温かに、あなたが受ける全ての災いを私が受け持とう。静かに、安らかに、穏やかに、あなたが受けるあらゆる悲しみを私が受け持とう」
その歌は縁君の髪をなでる雛の口から流れていた。
子守唄みたいだけど、ちょっとだけ悲しい旋律の歌。
「聞いたことのない歌ね」
私が声をかけると雛は歌うのを止め、私の方を向く。
「そうでしょうね、私しか知らない唄だから」
「何、自作?」
お茶を雛の横に置き、そのまま縁側に座ってそう尋ねると雛は静かに首を横に振った。
「ちょっと違うわね。これは流し雛達の唄」
「流し雛達の歌?」
「そう、彼等は人から厄をもらい受けその身を川に流して厄を人から遠ざける。それはとても悲しいこと」
「悲しい・・・?」
私の問いに雛は頷く。
「ええ、大好きな人を守るためとはいえ大好きな人から離れなくてはいけない。特に身代わりのヒトガタとして作られた子はその半身を引き裂かれるのに等しいわ」
「・・・」
私は雛の話を黙って聞く。
「流し雛達はそれを生まれたときからわかっているけど、人間の幼子にはわかっていない子もいる。だからその子達が流されるとき悲しむ子もいるわ。そんな時流し雛がその子に向けて唄うものなのよ」
だからなのか、その歌はまるで遠くから語りかけているような雰囲気を纏っていた。
普通子守唄というのは近くで守ってあげるからゆっくり眠りなさいという感じが多いのに、この歌は真逆の感じを受けた。
「そして私はこの唄を流された雛達に歌う。もう終えていいとね。そして私は彼等から厄を引き受けるのよ」
「・・・あなたも寂しいの?」
ふと、そんな言葉が口に出た。
「え?」
「だって、あなただって好きな人間の近くにいけないわけでしょう?」
「・・・そうね」
雛は微笑みながら肯定した。
「でも私は厄神、そんなの私として存在した時からわかっていたし覚悟もしていた。それに・・・一人は慣れてる」
「・・・慣れてると好きとは違うわよ」
「・・・」
その言葉に雛は黙る。
――ヒラリ――
落ち葉がひとひら二人の間を舞い落ち、縁君の頭に静かに舞い降りた。
雛は優しくそれを払いのけるとポツリと一言口にした。
「・・・寂しいわよ」
雛はそのまま縁君の頭を撫でながら続きを口にする。
「一人でいるしかない・・・わかっているけどねやっぱり寂しいものは寂しいわ。私だって人と触れ合いたい。でも・・・近づくことは出来ない、それが定めだから。私は・・・誰かに近づいて厄を振りまくような疫病神にはなりたくない。それは私が厄神としているための矜持なのよ」
「・・・」
それはきっと誰にも理解できない孤独な神の本音なのだろう。
人の厄を請け負うなんて優しくなくては出来ない。そんな優しい流し雛たちの長なのだから、優しくないわけがない。
とても優しい・・・だからこそ孤独にならざるを得ない。
それはきっととても悲しいこと。
「だから・・・」
雛の視線が膝の上に向けられる。
「こんな風に触れ合える日が来るなんて思えなかった」
その目は縁君を撫でる自分の手に向いていた。
「私が初めて触れた温もりだから・・・きっとこの温もりのために、私は縁に何かしてあげようとしているのかもね」
その目は穏やかに細められていた。
私は冷め始めたお茶を一口すする。
「・・・じゃあ、やっぱりあなたもお賽銭を入れていきなさい」
「・・・お賽銭が私の話とどう繋がるわけ?」
雛が怪訝な顔を向ける。
私はさっき会った男女を思い出して言葉を紡ぐ。
「さっき来ていた参拝客ね、人間と妖怪の男女だったのよ。で、彼らが言うにはここは人妖問わず集まる神社だから異種間同士の縁結びの利益があるんじゃないかって。だから・・・」
私は視線を雛と合わせる。
「きっとあなたの縁も繋げてくれるわよ」
雛はちょっと目を見開いた後、穏やかに笑った。
「そうね・・・きっと」
「それに」
さらに私は雛に目線を合わせたまま言葉を続ける。
「いつもじゃ困るけど、たまになら一人でここに来たってかまわないし」
「え、でも私が・・・」
「あなたが言ったでしょう?」
雛の言葉を私は遮る。
「私は禍福の波が少ないって。だからあなたの厄がちょっと流れて来た位じゃあどうってことないって。神を呼び込むのも巫女の役割でしょう?それに厄除けの方法も知っているしね。」
私がそういうと、雛は今度こそ驚きの表情を浮かべた。
その顔を見て、私はすこし気恥ずかしくなって頬をかく。
「・・・お茶が冷めたわね。新しいのを淹れて来るわ」
私が湯飲みを持って、その場を立ち去ると背後から小さな雛の声がした。
「ありがとう・・・」
「・・・」
その言葉に苦笑しながら肩すくめて台所に向かっていた。
(・・・そういえばあの福神の名前も縁だったわね。きっとあの福神が彼女の『縁』を繋げてくれるのでしょう)
あの二柱の神の行く末が明るいものであるように、珍しく私は少し祈った。
・・・まぁたまには巫女らしく神のために動いてもいいでしょう。
このシリーズはやっぱり雰囲気がいいな~。
ほのぼのは現代の日本人にとって、とても大事ですから
でも……いや今言うのは野暮ですね
続きを期待してます
雰囲気を気に入ってくれたようで何よりです。
よろしければ、このまま二柱の神様達の行く末を見守ってくださると大変嬉しいです。