少女が懇願する
少女の母はその願いを聞き入れない
それでも少女は願い続ける
少女の母はその理由を問う
理由を言うと少女はさらに強く懇願する
既に少女の目には涙が浮かんでいたが、それでも少女は願い続ける
少女の母は少女の願いをついに聞き入れた、条件を付けて。
少女の母が提示した条件とは
1、朝にあなたを眠りから覚まし、「あはようございます」と言えること
2、夜には「おやすみなさい」と言い、あなたが眠ってから人形が眠ること
3、人形の意思であなたのために物を作れること
4、あなたが「(主である)自分を殺せ」と命じた時、人形の意思で断れること
この条件を満たす「自分の意思で動く人形」を作ること、それが条件だった
この条件を満たさなければ、魔界に帰ることは許さないと、それでもいいかと聞いた
少女は条件を聞くと、魔界を飛び出し、幻想郷へと向かった
* * *
七色の人形遣いと呼ばれるようになった少女は頭を抱える
この幻想郷に来る前に母から課せられた条件、「自分の意思で動く人形」がどうしても作れなかった
「自分の意思で動く人形」を作るために試作としてたくさんの人形を作った
しかし、まだ条件を満たす人形を作ることは出来ていなかった
少女は考え続ける
少女の頭ほどもある人形が少女を気遣う言葉をかける
人形が自分に話しかける事はできるが、
私が魔力を込めることで一時的に動けるようになっているに過ぎない
自分で動かしているだけで、人形本人が動いているわけではない
これでは母が出した条件を一つも満たすことはできない
何が違うと言うのか、何が足りないというのか
布が違うのか
糸が違うのか
それとも込める魔法が違うのか
少女にはまだ分からなかった…
* * *
長い年月が過ぎ
楽園の素敵な巫女も
普通の魔法使いも
完璧で瀟洒な従者も
既にこの世にいなくなっていた頃
少女は気がついた
自分の意思で動く人形、それは既に人形ではなかった
人なのだ
母が自分に出した条件の本当の意味はは生命を作ることであったのだ…
* * *
少女が母の出した条件の本当の意味を知ってさらに長い年月が過ぎた
従者は主の名を呼ぶ
主は従者の声で眼を覚ます
従者は主に「おはようございます」と言った
主は従者に紅茶を淹れるように頼む
従者は主のために紅茶を淹れる
主は眠るために寝室へと向かう
従者は主に「おやすみなさい」と言った
主は昔を懐かしむような笑顔で従者に問いかける
「上海、私を殺しなさい」
従者も昔を懐かしむような笑顔で答える
魔界の神となった少女に
七色の人形遣いと呼ばれた少女に
自分の意思で
「お断りいたします、アリス様」
意味は生命を
主が人形に対して、主である自分を殺せといっているのか
それとも自害しろといっているのか戸惑いました
最後の文で意味はわかったけど
4、あなたが「(主である)自分を殺せ」と命じた時、人形の意思で断れること
のような表現がいいかと
長文失礼しました
誤植修正致しました、ありがとうございます
両方の意味で取れるのも面白そうかな…とも考えましたが、
やはり分かりやすい方がよさそうと思い、修正しました
提示して頂いた文そのままですが…
あと個人的に気になる所を書き加えました。