Coolier - 新生・東方創想話

クレィドゥ・ニア・ザ・へヴン

2009/08/17 02:09:00
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 操っているのでなければ、操られているのだろう――。


 Cradle near the heaven.
 










 アリスが生まれて初めて作った人形は、もう残っていない。
 それは学校の夏休みの課題として作られたものだった。木で出来ていて、手足に関節がある。糸で吊るして、動かす事が出来る。そういう人形だった。
 その人形を、糸を使わずに動かそうと思ったのは、幼いアリスのほんの気紛れだった。
 最初は、単に魔力を注ぎ込み、外から無理矢理動かしていた。遠くにある物を引きよせたり、移動させたりするのと似たような感じで。
 しかし、魔力を使って動かしてはいるが、その動かし方と言ったら、実際に手に持って各関節を折り曲げていくのと大差は無かったのだ。スマートなやり方では無かったし、何より疲れる方法だった。人形の方も、魔力で負荷が掛かる所為か、程無くして壊れてしまった。
 そんな訳で、アリスが初めて作った人形はもう残っていない。
 だが、人形が壊れたからといって、人形の遠隔操作を諦めた訳では無かった。
 次に試したのが、魔力で眼に見えない糸を作り、それで操るという方法だった。これは中々のアイデアで、今のアリスの人形の操作法の原点になった。
 しかし、この方法では操作が非常に煩雑になるという欠点があった。
 例えば、人形に歩かせるという場合、右足を上げて、重心移動、左足を前に――と逐一操作をしなければならない。もっと巧いやり方がある筈だ、と思い始めたのが本格的に人形を作り出す動機になった。

 同じ頃、アリスは自分の持つ能力の特殊性に気付き始めていた。光にも似た性質を持ち、意識的に変化させられるスペクトルな魔力特性。七色の魔法。
 この自分の特殊な魔力を、人形を操作する為に使おうと考えたのは程無くしてからだった。
 人形のボディに回路を配置し、ワイヤードでロジックを組む。そこにアリスによって正確に制御された七色の魔法を送り込む事によって、飛躍的に複雑な処理をさせる事が出来るようになる。と、同時に、命令の為に流す魔力をそのまま人形の動力源とした。人間で言えば、血管と神経を一纏めにしたようなもので、これは中々スマートで良いわ、とアリスは気に入っていた。

 こうしてアリスの人形の基本となるシステムが完成した。
 あとは必要に応じてハードウェアを改良し、より人間に近い動作を可能とした。そして、経験を学習させる為に、記憶装置も付けた。名前も付け、実験的な意味でどんどんバリエーションを増やした。さらに、複数の人形を同時に動かす為に、人形同士を互いにリンキング。同期を取る事で、集団行動を可能とした。
 と、ここまで来ると、最初アリスの目指していた『遠隔操作可能な人形』というのはほぼ完成された。しかしそうなると、今度は操作する事自体が野暮ったくなって来た。初期に比べて、人形の操作も殆どがオートマチック化され、簡単になってはいたものの、ここまでやったのだから自分で勝手に動いてくれてもいいんじゃない、と思う様になった。
 完全に自律した人形の作成。
 これは考えていたより、遙かに難しかった。

 まずエネルギーの問題があった。今の人形には、自力でエネルギーを得る手段が無かった。体内に蓄積された魔力で、ある程度の単独行動は可能なものの、長期に渡る場合、アリスの魔力提供が絶対に必要だった。動物なら自分で餌を探す。しかし人形達には消化器官など無かった。技術的に難しかったし、そんなものを搭載するだけの余裕が人形のボディに無かった。
 それに比べて生体は巧く出来ている、とアリスは人形が自力でエネルギーを得る手段を研究する途中で感じた。自然の御業という奴には、本当に敵わない。しかし、それを知識と技術で乗り越えていくのが研究者の業だ。と、考え、もしかしたらこの状況自体が、自分を創った『あの神様』が用意した試練なのかもしれない、とも感じた。
 つまり、自律した人形を制作しようというアリスの意志は、実はプログラムされたもので、自分を創った神様は四苦八苦するアリスの姿を陰で見守りながらニヤニヤする為に、アリスにそういう資質を持たせた可能性はないとは言い切れない。
 だとすれば、自分もまた操り人形という事になる。自分の自由意思で動いているつもりが、実は裏で糸を引かれていただけなんて如何にも悲劇的だ。
 だが、アリスは単純に悲観したりせず、もしそうだとしても、それはそれで愉快だと感じていた。
 操り人形である自分が、人形を作り、操るだけでは物足りず、人形の糸を外してこの世に解き放とうとしている。そうする事で、自分を創った神様のシナリオを覆そうとしているのだ。
 しかし一方でアリスは、そういう想像は全て自分の空想にすぎないとも確信していた。
 アリスを創った『あの神様』に限って、そんな複雑な企み等ある筈もない。その点は信用している。
 むしろ、『あの神様』はアリスのそういう夢――むしろ、野望――を影ながら応援しているに違いないのだ。
 何故なら、アリスの企みは、まさに『あの神様』すら想像し得なかった領域だからだ。
 アリス自身に例えるなら、ある日、上海人形が「シャンハイ、オニンギョウツクルー」とか言い出して自動化されたオートマタを組み上げ始める様なものだ。
 クリエイターは、自身の創作物のスペックを知悉しているが故に、その限界も知っている。それをアリスは良い意味で裏切ろうとしているのだから、『あの神様』が応援しない筈はない。そういう意味では『あの神様』は幸せ者に違いない、とアリスは我が事ながらそう思っていた。実際、自分の創作物に裏切られるのは羨ましいくらいだった。
 アリスの生み出した精巧な人形は、本当に人間のように振る舞ってはいるが、結局それはプログラムされた事しかやらなかった。全ては創造者たるアリスの、手の内の出来事でしか無かった。アリスは未だに、自分の作った人形に良い意味で裏切られた事は無かった。

 数年前、故郷を出て、幻想郷へと引っ越し、研究は続けた。
 だが、成果は中々上がらない。完成はまだまだ遠い。アリスはそう思っていた。
 しかし――。
 未だ魂は宿らずとも、人形達に知性はあった。複雑に組まれたワイヤードロジック。そこに流れる魔力の波。その微かなパルスが人形達の意識だった。互いにリンクし、莫大な情報を処理する事によって生まれた意識。一見すれば、全体で一つの『群体』でありながら、名付けられる事により個性を獲得し、彼我を認識する事により各々がアイデンティティを得た『個体』でもある存在。
 アリスの人形知性体群。
 彼女達は、創造者も知らぬ場所で会話をしていたのだ。これまでずっと。
 しかし、アリスはそれを聞く事は出来なかった。
 何故なら、アリスは人形では無かった。
 人形の声を聞くには人形の耳が必要だったのだ。
 
 
 定期メンテナンス終了。
 アリスは、ガタが来ていた部品の交換と、ついでに新開発の飛翔装置を上海と蓬莱に組み込んだ。
「さぁ出来たわよ。二人とも起きなさい」
 アリスのオーダーで二体が目覚める。両の眼をぱちくりと開け、暫く周囲の様子を探っていたが、やがて飛び上がるとパタパタと背中の羽を羽ばたかせて浮遊した。
「どうかしら新しい羽は?前よりも軽くなったし、出力も上がってる。おまけに魔力を圧縮して放出できる機能を組み込んだわ。それを使えば、短距離なら魔理沙の速度にだって負けないって――って、貴方達、私の話聞いてないわね」
 アリスの眼の前を縦横無尽に飛び回る上海と蓬莱。
 自分の体の新しい部分を試しているようでもあるし、何も考えてなくてただ単に、はしゃいでいるだけかもしれない。
「シャンハーイ」
「ホウラーイ」
「ふん。とりあえず問題なさそうね。調子はどう?」
 上海と蓬莱はお互いに一瞥すると、同時に諸手を挙げて、歓喜を全身で表現した。
 
「「ゼッコウチョウダゼ」」
 
 見事にハモった。
 ずっこけるアリス。
「だぜ、ですって?魔理沙の真似なの?」
「シャンハイダゼー」
「ホウライダゼー」
「やめて頂戴。だぜ、なんてお淑やかなレディの言葉じゃないわ。だぜ、は禁止よ。いいわね」
「「ハーイ」」
「分ったらよろしい。じゃあ寝ましょうか」
 と、アリスは壁の時計に眼をやる。もう夜明け近い。随分とメンテナンスに熱中していたようだ。こういう手先を使う仕事はやり始めると止まらなくなる。精神的には平気だったが、体の方が堪えている。まだ若いのに、と凝り固まった肩を解しながら思う。しかし、無理も無い。昼食を食べた記憶はあるが、夕食の記憶は無い。というか、たぶん、食べてない。神経が昂ぶっているから空腹感は無かったが、十時間以上ぶっ通しは流石にやり過ぎた。
 くしゅん、とアリスはくしゃみをし、ティッシュで鼻をかんだ。
 何だか鼻が水っぽい。体がだるい気もする。
「これは――風邪引いたかしら」
 ずっと空調を利かせた部屋で作業をしていた。座りっぱなしで運動はしていないし、空気も乾燥気味で、体に良い環境とは言えない場所だった。
「ああ、大人しく寝ましょう。上海も蓬莱もおやすみなさい」
「「アリス、オヤスミー」」
「はい、じゃあね」
 アリスはパジャマに着替えると、そのまま倒れ込むようにベッドに入った。
 風邪薬を飲もうかと思ったが、ふいに以前、母親に普段から薬を飲むと体の抵抗が無くなるとか言われたのを思い出したので、止めた。
 微熱がある。布団をかぶっているのに何だか寒い。
 これは思ったより重症かもしれない、とアリスは思った。
 ――明日、起きたら医者に診てもらおう。
 それを最後に、アリスの意識はふっつりと途絶えた。
 

 アリスの異常に、最初に気付いたのは蓬莱だった。
 白いシーツに包まれて、アリスは寝ていた。
 生まれたばかりの赤ん坊を思わせる無防備な寝姿。
 しかしその横顔は穏やかなものとはいかなかった。顔は上気し赤く、呼気も荒い。
 蓬莱がそばにより、アリスの頬を突いた。
 アリスは僅かに目を開き、苦悶の呻きを漏らすとすぐに目を閉じ、また寝始めた。
<アリスがおかしい>
 蓬莱はすぐに仲間へと伝達。それを聞いた人形達はぞろぞろアリスの寝室へと集まって、彼女のベッドを取り囲む。
<アリス、故障しちゃったんじゃないかな>
 と、アリスの顔を覗き込みながら仏蘭西――可憐な顔にぐりんぐりんの縦ロール。装飾過多気味なフリル満載のドレス。
<メンテナンスが必要だ>
 そう呟いたのは西蔵――瞑想中の修行者を思わせる抑制された声色。対照的に、派手な赤と青のビビットな色使いされたチュバ。
<修理か。私達の修理はアリスがやってくれるが、アリスの修理は誰がするんだ?>
 途方に暮れた、というよりもむしろこの状況を楽しんでいるかのような余裕のある言い草の倫敦――赤のジャケットに金モール。タータンチェックのスカート。
<アリスの場合、修理というよりも治療と呼ぶべきだろう。彼女は何らかの病気になっていると思われる>
 と、上海――煌くような金髪に赤いリボン。澄んだ空を思わせる青いサテンのドレス。
<病気か。なるほど>
 人形達は顔を見合せ声に出して確認する。
 
「アリスハビョーキ」
「アリスビョーキ!」
「アリスハヤンデル」
「ヤンデルアリス!」
 
<さて>と上海。
<人の体には自己治癒する機能がある。今のアリスは治癒に専念する為に体に負担が掛からないよう意識を低下させている状態にある、と推測できる>
<なら、放っておいても大丈夫ということだな>
 蓬莱――上海と瓜二つの格好。ただし、ドレスの色は燃えるような赤。
<それはどうかな>
 上海は同意せず、懐疑のゲシュタルトを示す。
<アリスの体力が衰えているのは間違いない。このまま放置すれば彼女の活動が完全に停止する恐れがある>
<そうなると困るな>
 人形達は同時にその感覚を共有した。
 人形達にとってアリスとは、生存していく為に必要かつ最も重要な環境要因だった。
 アリスがいなくなると、まず魔力が補給されなくなるから、数日と経たずに人形達は活動不能になる。無論、アリスがいないと体のメンテナンスをしてくれる存在がいなくなるとか、新しい服を作ってくれなくなるとか長期的には色々問題があったが、まず活動不能になる事態が最悪で、それだけは避けるべきだ、と人形達の知性は判断していた。
 別の言い方をすれば、人形達にとってアリスとは、人でいえば心臓のようなものだった。無くては生きていけない大切な器官だ。或いは、幼児に乳を与える母親だった。自力で餌が取れるようになるまで保護してくれる存在だった。居なくては困る。アリス無しでは生存できない。
 しかし、人形達がアリスに対して、子が親を愛するような気持ちがあると言えば、それもまた違った。
 あくまで、人形達にとってアリスはライフライン――心臓だった。人間でも、自分の心臓が大好きだと胸を張って主張する者は少ないだろう。逆に、自分の心臓は気に食わない、嫌いだ、という人もあまりいないだろう。心臓とは生命活動な必要な器官であり、それと好悪の問題は全く別次元の話だった。
 現在のアリスと人形達の関係とは、実はそんな感じだったのだ。
 そういう風に、自分が魔力供給源として必要とされてはいるが、必ずしも創造者や家族として必要としてはいないという人形達の意識を、アリスは知らない。
 知ればきっと驚くだろう。
 だが、アリスは人形達から愛されていないという事実を知った所で、傷つきはしない筈だった。
 人と人形の意識が異なっているのは当然だし、人形達がアリスを生存し続ける為に必要とするのは、構造上当然の事だ、と開発者らしい冷静な判断を下すだけだ。そして、愛情や創造主という形而上的な存在への思いがないのは、まだまだ未熟な所為で、高度な精神活動が不可能な事に原因があると考えるに違いなかった。
 
<アリスの治療をしよう>
 蓬莱が判断する。
<人の体のメンテナンスをするのは医者だ。医者に見せれば良い>
 それはアリスの命令無しでの、半自律的な行動の開始を意味していた。
 人形達には通常、勝手に暴走しないようにブロックが施されていたが、アリスの危機に対してはその限りではないという条件付けがなされていた。人形の知性は、今こそその時だと判断したのだ。
 アリスの人形が完全に自律していないのは、無論、技術的な問題もあったが、外部からコントロール出来なくなった場合の暴走を恐れて、あえて人形達に主導権を握らせないように設計してある所為でもあった。普段はがっちりとアリスが主導権を握っている。勝手に行動されて、好き勝手動かれては弾幕ごっこも出来ない。しかし、アリスが命令不可能な状態に陥った時は、自律行動を行いアリスを助けろ、とそういうプログラムを組んだ。
 しかしここには盲点があった。
 アリスの命令無しでは何をするか分からない人形達に、アリスが命令不可能な状態でのみ、主導権を譲渡するという矛盾が――。
 
<医者か。迷いの竹林。永遠亭だな>西蔵が呟く。
<永遠亭に使いを出そう>と蓬莱。
<でも、アリスをこのままにはしておけないでしょう?私達も何らかの手を打つべきよ>とこっちは仏蘭西。
<分かった。残った者でアリスをサポートする。ふむ、永遠亭には私が行こう。アリスのくれた新型飛行ユニット。試験に丁度いい。その他は残ってアリスの治療だ>
 人形達はすぐさまに散会。各々の行動を開始する。
 蓬莱は窓際に寄ると、軽く手をあげ、上海に<あとは頼む>と言った。
 
「シャンハイ、ワタシイッテクルヨー」
「ホウライ、キヲツケテネー」
 
 蓬莱、窓から飛び出し、永遠亭に向かって飛行開始。
 妖精の羽を模したそれは、羽ばたくことによって浮力を得る。小型軽量な人形のボディであれば、さらに鳥にも真似できないようなアクロバティックな動きも可能だった。
 この時の蓬莱に搭載されていたのは、新型の飛行機関。スーパー・フェアリィ・マークⅩⅠ(特許出願中)。
 蓬莱は、空中に出た所で、飛行モードを切替。四枚のフェーデルを固定。体内の魔力を圧縮し、羽根へと供給。
 ドンっ、と押し出されるように蓬莱が増速。赤いフレアを放出しながら、一気に最大速度へ。
<あばばばばばば>
 空に、白い飛行機雲が一筋流れた。
 
 そのかっ飛んで行く蓬莱を見送ってから、上海がアリスの寝室へと引き返してくると、西蔵が本棚から分厚い本を引っ張り出して来ていた。
<これは?>
 豪華な装丁が施された表紙には『図解・人体のふしぎ』と書かれていた。
<人の体について書かれた辞典だ。これを調べればアリスの治療法が分かるかもしれない>
 西蔵が表紙を捲ると、頁に折癖が付いていて、辞典は『さ行』の『せ』辺りでぴたりと止まった。
<何だこれは>と、カラフルな色で描かれた、裸の男女の姿を繁々と見つめながら上海が呟く。
<恐らくは――>と西蔵は重々しい声で言った。
<人が仲間を増やす為に必要な器官やその使用法に関する説明だろう。どうやらアリスはこの項目に大変な関心があるらしい>
<私達の研究に関わる事なのだろうか>
<かもしれない。ふむ。そう言えば、アリスがこの本を読んでいる姿を見たことがある。大変、興奮しているようだった>
<研究上、重要なことが書かれているんだ>
<恐らくは>
 二体の人形は、体の不調で寝込むアリスを無表情に見詰めた。
 そして二体は決意を新たなものにする。常に我々の事を気遣ってくれているこの存在に対し、私達も答えてやらねばならない、と。それは人間で言えば『義務感』という感情だった。その感覚はすぐさまネットワークを通じて全ての人形達に共有された。人形知性体群のアリスに対する忠誠心が勝手に向上する。
<とりあえずアリスの体を調べましょうよ>
 仏蘭西が体温計を持って来た。それを徐にアリスの口に突っ込む。
「あん」とアリスが甘い声で呻いた。
 口腔粘膜に触れた体温計の針がジリジリと上昇し、39の数字を示したところで止まった。
<熱があるようだ>と西蔵。
<熱は体に不調が起きた時、真っ先に現れる症状だ。原因は多岐に渡るが代表的なものは風邪だ、と本に書いてある>
<人は気温の変化に弱い。確かに、最近は暑かったり、寒かったりした。アリスが不調になっても不思議ではない>
<どうすればいいの?>と仏蘭西。
<熱自体は、体の治癒機能の一つだ。ただ、高温になり過ぎるとダメージになる。薬を処方する事で過剰な熱を抑える事も出来る、と本に書いてある>
<薬?アリスがいつも飲んでるので良いのかしら>
 仏蘭西が、アリスの仕事机の引き出しから、錠剤の入った瓶を持って来る。そしてそれを一粒取り出すと、アリスの口に突っ込もうとした。
<ダメよ。今のアリスには飲み込めない>
<水に溶かそう>と倫敦。
 実験室から水を入れたビーカーを取って来ると、そこに錠剤を一粒溶かしこんだ。
<もう少し入れてはどうか>と不安そうな上海。
 十粒ほど加えてガラス棒でかき混ぜると、青黒い溶液になった。
 人形達は、漏斗をアリスの口に突っ込むと、その青黒い液体を慎重に注ぎ始めた。
「んっ――うんっ――」
 アリスはそれを、とくとくと嚥下した。
 飲み干すと、はぁん、と溜息を吐き、体を僅かに震わせる。
<これで熱は下がりそうだ>と、アリスの口の周りを拭いてやりながら上海は言った。
 人形達は互いに目配せし、自分達のこの治療行為の満足感を共有する。
<さぁ蓬莱が戻ってくる前に、次の手を打っておこう>
 しかし、人形達が飲ませた薬は、当然、熱冷ましである筈も無く――。
 その正体は、ご存知の通り、アリスの常備薬『胡蝶夢丸』だった。
 
 
 蓬莱は魔法の森上空を出て、永遠亭へと向かう途中、見通しの良い平原で移動中の人物を発見。最大望遠でその姿を捉える。
 兎だ、と蓬莱は判断した。兎の特徴的な耳が確認できる。しかし二足歩行しているので、ただの兎ではない。妖怪兎だ。
 しかも、耳がへにょっているから鈴仙・優曇華院・イナバに違いない、と記憶と照らし合わせてそう認識した。
 鈴仙は永遠亭で、八意永琳の助手をしている筈だ。ならばアリスの体のメンテナンスも出来るだろう。
<こちら蓬莱、魔法の森のすぐ外で鈴仙・U・イナバを発見した。彼女に頼んだ方が、このまま永遠亭に向かうより早く済むと思う>
 仲間へと向かって長距離通信。若干の間の後、賛成の意思が返って来た。
<やるならさっさとやれ。私達がアリスを治療しちまう前にな>
 倫敦の皮肉なゲシュタルト。蓬莱は少しムッとして<そうさせて貰うさ>とぶっきら棒に返事をする。
 倫敦なんかに負けてたまるか、と蓬莱は速度を維持したまま、高推力を利用し、体がバラバラになる強度ギリギリの大Gの中で無理やり方向転換。
 下をのんびりと歩く鈴仙に向かって滑空突撃。
 
 
 鈴仙はその日、師のお使いで、人里から帰る途中だった。
 永琳の作った家庭用の薬の卸し、それと、薬の材料の買い出し。加えて、姫様の命令で細々した娯楽品の買い物。それプラス、てゐや他の仲間へのお土産。
 それだけ買うと、かなりの荷物になる。
 そんな訳で、鈴仙はバックパックに詰め込めるだけ荷物を詰め込んで、ひぃひぃ言いながら帰途に付いてる途中だったのだ。
 しかし、荷物は重いが、心の中は軽かった。
 定期的に里に行くというのは、よいストレスの解消になった。
 最初は人里に行く、という事に怯えもあったのだが、慣れるとどうという事は無かった。むしろ目新しいものを見つける喜びだとか、いつも行くお店の人の顔を憶えられたりだとか、永遠亭の中にいるだけでは得られない喜びを発見できた。
 もしかすると、師匠はそういう事を見込んで、自分を使いにやっているのかもしれない、と鈴仙は思う。
 社会勉強という奴だろう。
 そういうのを見越しての事だとしたら、やはり師匠は凄いなと鈴仙は感じる。
 例え、永琳の意図がそうでなくても、実際に鈴仙はお使いに行く事で、色々と新しい事を学んでいるのだから、師への感謝の気持ちは変わらない。
 そんな訳で、鈴仙はその日の買い物を終えて、その日あった事を噛みしめながら家に帰る途中だったのだ。
 心の平穏を破ったのは、一つの妙な音だった。
 キィィィィン、とその音は鈴仙の遥か上空を通過しようとしていた。
 鈴仙が長い耳でそれを捉え、その高周波を、まるでジェット機のようだと分析した。
 人工的な音だ。自然のものでは無い。少なくとも幻想郷的な音では無い。
 ふっと空を見上げた。
 白い雲が一筋流れていた。
 滅茶苦茶速い。
「――天狗?」
 にしては、小さい。
 ボケーッとして、そいつが上空を横切るのを眺めていると、突然、それは方向を転換した。
 こっちに突っ込んでくる。なんか赤い物体だ。
「うわッ、あ、あ、あ、あ、あぁぁぁぁ!?」
 止まらない。逃げ出そうとするが、脱兎の如く走り去る前に、そいつは既に鈴仙の前まで急接近していた。
 フェーデルの固定解除。エアブレーキを掛けつつ、逆噴射。急減速。
 鈴仙への顔面アタック十センチ手前で見事に停止。
 羽根への魔力供給カット。通常飛行モードへ。フェーデルに残った過剰魔力を排出。ぷしゅー。
 鈴仙の前髪がふわっと浮いた。
「あばばばばば」
 何が起こったか分からないが、九死に一生を得た気分。
 突っ込んできたそいつ=蓬莱人形は、そんな鈴仙の驚きなどお構いなしに、諸手を挙げると自己主張を開始。
 
「ホウラーイ!ホウラーイ!」
 
「に、人形!?アリスさんの!?」
 そうだ、間違いない。アリスの人形だ。
 しかし、きょろきょろと周囲を見回すも、肝心のアリスの姿は無い。
 人形が単独行動をしている、という可能性が考えられない鈴仙は、これはアリスの自分に対する嫌がらせ、或いは、敵意のある行動なのではないか、と思った。
 心当たりは――実はあった。
 数日前、永遠亭にアリスがやって来て、いつも通りに『胡蝶夢丸』を貰って行った。
 実はその時、鈴仙は渡す薬を間違えたのだ。胡蝶夢丸のナイトメアタイプを渡してしまった。
 しかし、それは言わば、事故だったのだ。誰かがいつの間にか、『胡蝶夢丸』のノーマルタイプとナイトメアタイプの丸薬の入っている入れ物の中身をすっかり取り替えていた。誰か、というのは十中八九、てゐの仕業に違いなかったが、だがそれは言い訳にはならないだろう、と鈴仙は思っていた。殆どの薬の管理は鈴仙に任されている。永琳がそうしているのだ。鈴仙に対する信用の証だった。
 例え、『胡蝶夢丸』のノーマルとナイトメアを間違えて飲んでも、死ぬわけでは無い。夢見心地は最悪だろうが。
 だから、取り違えのトラブルというのはそれほど大きな問題になる事はないだろう、と鈴仙は思っていた。しかし、管理者が鈴仙である以上、間違えたことに対する責任は負わなければならない。てゐの所為です、では通らないのだ。そして恐らく、てゐはそういう事態を見越して悪戯を仕掛けたのだ。本当に、性質が悪い。
 でも、自分のミスだと納得のいかない鈴仙は、結局、その事は永琳には黙っていた。アリスに薬を渡し間違えた事を知れば、永琳は間違いなく怒るだろう。八意永琳はそういう点では、きっちりとした良心的な医者だったのだ。患者に薬を渡し間違えるなんて助手失格だと言うに決まっている。
 だけど鈴仙はてゐの所為で怒られるのは厭だったし、師匠を怒らすのはもっと厭だった。黙っている、というのは非常に現実的解決法だと思ったのだ。
 それに、渡し間違えたのは幸いにもアリス一人だった。アリスならもしかすると、ナイトメアタイプを飲んでも普通とそんなに効果が変わらず、気付きもしないかもしれないと思った。もちろん全部、鈴仙の楽観的な考えだった。
 そして今、どうやら自分のその考えは余りに浅はかだったようだ、と鈴仙は感じていた。
 アリスはナイトメアタイプが処方されていた事に気付いたのだ。しかもそれに対し、何のエクスキューズもしない鈴仙に対し怒りを感じている。この人形を使った不意打ちは、そういう怒りを伝える為に行われたのだ、と鈴仙は解釈した。
 謝れば済むのだろうか。謝罪し、きちんとノーマルタイプを処方すれば許してくれるだろうか。
 たぶん許してくれる筈だ。
 なんかアリスさんてプライド高そうだし、謝罪を受け要らずにいつまでも愚痴ってると格好悪いから、表面上だけでも許してくれそうだ。なんて鈴仙は考え、自分のそういう思考に幻滅した。悪いのは、自分だ。こんなあくどい計算を働かせているようでは、てゐと同類だ。
「あの――アリスさん、私――」
 と鈴仙は、人形を何処からか操っているに違いないアリスに向かって謝罪をしようとした。
 しかし、それを蓬莱が遮った。
 
「アリス、アリス、アリスガタイヘン。タイヘンタイヘンタイヘンアリス!」
 
 鈴仙はそれを、ヘンタイヘンタイヘンタイアリスと聞き違え、最初は何を言っているのかと訝ったが、人形の言葉はやはりヘンタイと連呼しているようにしか聞こえず、その内にヘンタイと言っているに違いないと思い込むようになった。
 アリスヘンタイ。
 アリスは変態。
 そうかアリスは変態なのか、と思った。
 確かにアリスと来たら、いつも何を考えているのか鈴仙にはさっぱり分からないし、あんな暗くてじめじめした魔法の森に平気に住んでるし、それにこの人形に対する思い入れと言ったら一般人から見れば、人形愛だとか変態性欲的な香りがしないでも無い。というかあの噂は本当なのだろうか。紅魔館の魔女と、魔法の森の魔女二人で、月夜の晩になると、サバトと称してくんずほぐれつのパーティーを催しているというのは。
 
「タイヘンタイヘンタイヘンヘンタイヘンタイヘンタイアリスガタイヘン!!」
 
 蓬莱人形はまだ言っている。
 やはり白昼堂々、こんな屋外で、わざわざ人形を遠隔操作して自らが変態である事を喧伝するアリスは、本物に違いない、と鈴仙は思った。
 しかし、鈴仙を捕まえてそれを吹聴するのはどういう事なのだろうか。
 暫く考え、鈴仙は愕然とした。
 つまり、アリスは、自分にも変態パーティーに参加しろと言っているに違いない。
 胡蝶夢丸を処方し間違えたその罰として、お前も変態の輪に加われ、と言っているのだ。
 ――ふふっ、今夜は兎鍋ね。
 鈴仙の想像の中で、紅魔館の魔女が淫蕩にほほ笑んだ。
 ――真っ白で、美味しそうな体をしているぜ。
 だぜ魔女が鈴仙の体をじろじろと無遠慮に眺める。
 ――貴方を私のお人形さんにしてあげるわ。
 ボンテージに身を包んだアリスが鞭を揺らしながら近付いて来る。
「ああ、うわぁ、止めてください――そんな――」
 魔女三人にサバトの生贄になされる。冗談じゃない。
 鈴仙は脱兎の如く走り出した。
 助けて師匠、私キズ物になんてされたくないです。
 本気で逃げなきゃ食われる――食物的では無い意味の方で。
 
 
<熱、下がらないな>
 意気消沈する人形達。
 体温計の針は40を示していた。
 アリスの顔はますます赤くなり、呼気は早くなっている。
 悪夢にうなされているように、時折、意味不明な事を口走っている。
 というか本当に悪夢に苦しめられているのだ。
 人形達が処方した大量の胡蝶夢丸の所為で。しかもそれは鈴仙のミスによりナイトメアタイプだった。風邪気味の時に飲めば、体調の悪さと相まって悪酔いするに決まっていた。
「う、産まれるぅ」
 ひっ、ひっ、ふーとラマーズ呼吸法をしながらのアリスのうわ言。
<次の手段を考えよう>と、冷静な上海。
<熱を下げるほかの手段は?>
<頭部の温度を直接、外部から冷やす>
 仏蘭西が井戸へと飛んで行って、バケツに水を一杯汲んでくると、アリスの顔にぶっ掛けた。
「ぶぅーッ!!」
 アリスが口から水を吹いた。しかし起きない。胡蝶夢丸がよく聞いている所為に違いなかった。
<足りないな。もっと水が必要だ>
<水、と言えば、飲ます事も必要だと書いてあるぞ。熱が出ると発汗で体内の水分が大量に失われる。脱水が進み過ぎると再起不能になる可能性もある>と西蔵。
<水を飲ませよう>
<失われたミネラル分の補給も必要だ。塩を入れるべきだろう>
<それと砂糖だ。エネルギー源は必要だろう>と倫敦。
<卵酒って知ってる?>と仏蘭西。
<風邪に効くの。アリスがお母様に飲ませて貰った事があるって前に言ってたわ>
<つまり>と上海。
<水と塩と砂糖と卵と酒か>
 ボールにそれらを加えて人形達はミキシング。
 酒は適当なものが見当たらなかったので、地下倉庫に転がっていた赤ワインにした。シャトー・コウマカンの当たり年。宴会の景品で貰ったもので、いつか大事な記念日に開けようと思っていたアリスの些細な楽しみは、それで永久に失われた。
 混ぜると、赤黒いドレッシングのようなものが完成した。酸っぱくて甘くて塩っ辛くて、水で薄められているので水臭い。
 人形達はアリスの口に再び漏斗を突っ込むと、それを飲ませた。
「ぐうっ――ううっ、げふ」
 体が本能的に水分を求めているのか、アリスは噎せながらも全部飲み干した。だが、空腹にワイン一本分のアルコールは堪えるのか、酔いが急激に回って来て、顔はすぐに真っ赤になった。発汗が酷くなり、体の血管が拡張する事により、より多量の体の熱が失われる。
 人形達は、アリスの酔いを、さらなる熱の上昇と捉えた。
<バケツリレーだ。水をもっと持ってこい>
 チームワークを発揮し、庭の井戸から水を大量に運んでくる。秒間一杯ペースでアリスの体に水が掛けられる。
 びっしょりと濡れるパジャマ。水浸しのベッド。体に付いた水分は、熱を奪い蒸発。さらに大量の熱をアリスから奪った。
「さ、さむぅ」
 ガクガクと眠ったまま震えるアリス。
 風邪の症状が悪化し、頭の熱だけは上昇し続け、体の熱は下がり続けるという悪循環に突入。
<服を濡らしたのは不味かったのではないか>
<脱がそうか>
 とアリスの服を脱がし始める人形達。アリスはたちまち全裸に。
 だが、体は順調に冷えているというのに、頭が冷えないのは何故なのだと人形達は訝しく思い、体温計の針が41に達したところで、どうやら自分達の手に負えないらしい、と気付いた。
<どうしよう?>
 そこに蓬莱より緊急入電。
<鈴仙・U・イナバにアリスを助けるように頼んだが、失敗した。コミュニケーションが取れなかった。目標は逃走中>
<捕まえろ>と上海。<アリスが危機的状況にある。これは私達の生存の危機でもある。全人形に伝達。鈴仙・U・イナバをどんな方法を使ってでも捕獲する>
 
 
 鈴仙は魔法の森へと逃げ込んだ。すぐ傍で身を隠せる場所はここしか無かったのだ。
 ブッシュの中に身を顰めながら、上空を伺うと、アリスの人形達が多数うろついていた。自分を探しているのだ、と思い鈴仙は恐怖を覚える。
 アリスは本気だ。本気を出さない魔女だと聞いていたが、どうやら今日は本気のようだ。本気で鈴仙を兎鍋にするつもりなのだ。彼女の中の変態性欲がそうさせるに違いない、とアリスの事は既に変質者としか看做していない鈴仙は思った。
 暗い森に身を隠し、逃げだすチャンスを伺い続ける。
 こういう状況を以前にも体験した事のあるのを鈴仙は、じわりと噴き出る汗と共に思い出していた。
 月にいた頃。前の飼い主によって放り込まれた訓練キャンプ。月を守る為に必要だから頑張ってねー、とあの姉妹は言っていたが、要するにあの二人はサドだった。
 軟弱な兎どもを鍛え直し、一人前の兵士として送り出す月の機関。そこで鈴仙は3ヶ月過ごした。
 蘇る訓練の記憶。
 ――お前達のようなボンクラ兎しかしないとなると、月はもう人類に負けたも当然だ。
 ――はい、軍曹殿!
 ――声が小さい!まるで右肩の上の妖精さんの囁きだ!
 ――はい、軍曹殿ッ!!
 後はお決まりのパターン。難癖付けられて、腕立て伏せ、ランニング。飛んでくる罵倒。訓練生の悲鳴。次々と離脱する仲間達。しかし鈴仙は生き残った。おめおめと帰ったら、あのサド姉妹に何をされるか分からないからだ。
 サバイバル訓練と称し、深い森に僅かな食料と共に置いて行かれた事もあった。しかも、訓練教官が森の中をうろついていて、見つかるととっ捕まり、サバイバル訓練は終わりとなるが、代わりに拷問訓練をさせられるのだ。あの時の状況に、今はよく似ている。
「熱帯夜――月のジャングル――拷問訓練はいやぁ。痛いのは厭なの――」
 鈴仙はぶつぶつと呟きながら、自分のトラウマと戦っていた。うずくまり、両耳を抑え、自分に降りかかるアクシデントの事を思い煩悶する。
「――どうして私ばかりこんな眼に遭わなきゃいけないの」
 ぶつぶつ。
「――私が悪いの?ねぇ?」
 世の中の歪みというのは、弱い者の方へとしわ寄せが来る。
 いつもそうだ。
 月に居た時も。地上に来てからも。
 どいつもこいつも上手く立ち回り、厄介事は全部鈴仙に押し付けて涼しい顔をしている。
 鈴仙はその度に、何度も徒労感を覚え、だけど負けないように自分を鼓舞して生き続けて来たのだ。
 弱肉強食が世の摂理。だが、それでいいのか。このまま私は誰かの踏み台にされるままでいいのか。
 いいや、駄目だ、許されない、と鈴仙は正しき怒りを胸に、この世の不条理にリベリオンする為に立ち上った。
 クワっ、と眼を見開き、心に誓う。
 必ず――生きて帰る。
 生きて帰って、いつかビッグな存在になって皆を見返してやるのだ。
 鈴仙は、最早、鈴仙・優曇華院・イナバでは無かった。
 月で地獄の訓練キャンプを生き延びた古兵。往年の月のエース。ただの『レイセン』に戻っていた。
 
 
<目標を探知。位置情報を共有する>
 シーカードールズ全部隊出動。鈴仙の居場所を探る為に、魔法の森に散会して、電子的手段によって探索。
 程無くして、目標を発見。位置情報を発信する。
<カミカゼアタックぅぅぅ!!>
 薙刀を構えた京が突撃。アサルトライフルを乱射して露西亜がフォロー。槍を構えたオルレアンが遊撃的にサポート。
 シーカーの情報を元に、鈴仙がいると思われる位置に向かって薙刀で躍りかかる。
 しかし、空振り。鈴仙の姿はそこには無かった。
 代わりに、薬の瓶が木の枝からぶら下がっていた。瓶の口から、木の弦らしいものが、隣のブッシュにまで伸びている。
<何これ?>と京。
<罠だ>とむっつりした声で露西亜。
 その瞬間、薬瓶が爆発四散した。
 人形達はその直撃をまともに食らい地面に転がされる。
 
「ギャー、ヤラレター」
 
 鈴仙は敵を戦闘不能にさせた事を確かめると、よく訓練された動きで、そっと次の茂みへと移動した。
 鈴仙が仕掛けたのは簡易な爆発装置だった。永琳に頼まれ、里で買い出しした幾つかの薬品と、そして、里の薬局から返品された永琳特性のグリセリン浣腸を混ぜ合わせ、土と一緒に空き瓶に詰め込み、急造の発火装置を付けたものだった。
 グリセリン浣腸は、余りに利きが良すぎると苦情が出ていた品だった。正直、こんなもの返品されても使い道も困ると思っていただけに、一石二鳥だった。浣腸から作る爆弾。浣腸爆弾。それが人形達を倒した。
 
 
<シーカー、位置を再確認しろ>
 蓬莱の怒号。
 敵はテロ戦術を取り始めた、と人形の知性は判断していた。
 数で押す戦いを常とする人形達にとって、森という環境もあり、不意打ちは非常に厄介な戦法だった。
 シーカーが目標位置を再び洗い出す。
 そちらへと向けて第二波の攻撃。だが、鈴仙の姿を捕える前に、人形達は死角より狙撃され打ち落とされる。
 完全に裏を掛かれている状態だった。
 シーカーは自分が欺瞞情報によって操作されているのだ、と判断した。ジャマーキャンセラーを発動。鈴仙からの電子的な攻撃を防御する。
 再索敵。すると、エネミーマーカーがあちこちに表示された。
<目標が増えてる。あり得ない>
<いや、これは>と西蔵。
<こちらの視覚が完全に乗っ取られている。あらゆる情報探索は無効だ>
 
 
 どうやら人形達は電波を使いこちらを探っているようだ、とそのへにょった耳でキャッチした鈴仙は、それを逆に利用する事を思いついた。『波』なら鈴仙の得意技だ。
 人形のレーダー波にジャミングを発信。向こうはそれを察知し、ジャミングをキャンセル。鈴仙は更に相手のジャマーキャンセラーに偽の情報を潜り込ませた。こちらの居場所を誤認させ、誘導。少しずつ誘き出し、各個撃破を試みる。
 人形達の探査法は、中々高度な機能だったが、波そのものを飛ばしてその跳ね返りで位置を特定しているのだから、結局は鈴仙のいいカモだった。少なくとも、他の人妖相手に幻覚を見せるよりずっと楽だ。この戦いはどうやら私の勝ちだ、と鈴仙は他人事のように思った。アリスには悪いが、今度のサバト鍋は兎無しになりそうだ。
 位置情報を操作された人形に背後から忍び寄り、鈴仙は一瞬で戦闘不能にする。たぶん、三十体目くらい。攻略法さえ見つければどうという事の無い相手だった。
 問題はアリスだった。
 アリスは一体どこにいるのだろう。先程からちっとも姿が見えないが――と初めて、アリスの不在に疑問を持った時、その音が聞こえて来た。
 
 
<焼き払おう>と蓬莱が提案した。
<森の樹があるから隠れられる>
<賛成>と上海。
<ホームで待機している大江戸とストロードールに伝令。全員出動>
 すぐ様にそれはアリス亭の、地下倉庫の人形棚に収まって待機状態にあったストロードール部隊に伝えられた。
 待機状態が解除され、活動開始。藁人形達は、ぞろぞろと列をなして、地下室から出てくると庭へ行き、既に底で待機していた大江戸達を抱き抱えると空へと飛び立った。
 
 
 キィィィィン、というあの人工的な音。
 空を見上げると、人形が編隊飛行していた。
「え、えぇぇぇぇッ!う、うそぉぉぉぉぉ!?」
 空を覆い尽くすばかりの人形の大軍。
 よく見れば、人形が人形を抱えている。
 それは、ストロードールが大江戸を抱えている光景だったのだ。
 これはもはや戦闘では無い。戦争だ。ドールズウォー。
 鈴仙がいると思しき地点の上空で、大江戸を切り離す。重力に引かれ自然落下する大江戸軍団。
 地面に着地し、暫く転がり、起き上がり、地面をとってってってと覚束ない足取りで走ったかと思うと、おもむろに爆発した。
 
「タマヤー!」
 
 派手な閃光と煌き。それは花火だった。あちこちに飛び散る火の粉。何処かに引火して、森の一角が燃え始める。
 鈴仙の方にも一体の大江戸が走って来た。
 やばい、と鈴仙は慌ててブッシュから飛び出すと移動を開始。
 鈴仙の居場所を探そうと、欺瞞情報の発信元を分析していたシーカーが鈴仙の動きに気付き、補足。
 続いて、他の人形もまた、森の中を移動する鈴仙の姿を次々と光学的に捉える。
 複数の情報を照会し、鈴仙の居場所を確定させる。
 データリンクを使い座標をストロードールに伝達。
 ストロードールはその情報を元に、アタック開始。
 鈴仙は猛ダッシュで逃げながら、背後に迫るストロードールを意識する。木と木の間を巧みに避け、追跡を交わそうとする。
 どっかーん、と背後で聞こえた。ストロードールが木にぶつかって爆発したのだろう。
 どっかーん、どっかーん、どっかーん。
 さらに一発、二発、三発とあちこちで聞こえる爆発の音。大木がみしみしと音を立てて倒れ、小動物の鳴き声が聞こえる。まさに阿鼻叫喚の光景。
 アリスは私を焼き兎にするつもりだ、と鈴仙は思った。
 そんなに許せないのか、胡蝶夢丸を処方し間違えたのが。許せないのだろう。この怒りはただ事では無い。
「ごめんなさーい!そんなつもりはなかったんですぅぅぅぅぅううう!!!!」
 ごめんなさいごめんなさいと鈴仙は謝りながら森の中を走り回る。
 悪い事をしたと思ったら、その時に真っ先に謝るべきだった。が、もう遅い。
 鈴仙は扱けて、頭から地面に突っ込んだ。突っ込んだ先は土のぬかるみで、怪我はしなかったが、泥水をしこたま口の中に飲み込んでしまった。
 それを吐き出しながら背後を振り返った時、生き残る事に関してだけは、誰よりも運に恵まれて来た鈴仙も思わず観念せずにいられなかった。
 全天覆うばかりの大量の藁人形。それが納豆の糸を引くみたいに白い航跡を引きながら、まっすぐこちらに突っ込んでくる。
 逃げ場所無し。隠れ場所無し。
 ひぃぃと情けない声を上げ、鈴仙は地面に伏せた。頭を押さえつけ、地面に溶け込みたい、という謎の衝動に駆られる。
 着弾。
 轟音と共に、熱風と衝撃が鈴仙を襲い続けた。
 その間、鈴仙は何事かを叫び続けていたかもしれない。てゐのばかー!だとか色々。
 暫くし、何も聞こえなくなった後、鈴仙はゆっくりと顔を上げた。
 ああ――生きている。
 でも、これは死んでしまっていた方が良かったかもしれない。
 鈴仙の四方八方、森があった場所は焼け野原になっていた。上空から見えば、森の中でここだけがミステリーサークルみたいにぽっかりと穴が空いているに違いない。
 鈴仙は無事だった。正確に言うならば、鈴仙の周囲半径一メートルの部分だけ無事だった。
 人形達は正確無比に、鈴仙だけを残して、周りを焼き払ったのだ。それは裏を返せば、その気になれば鈴仙に命中させる事も出来たという事だ。
 生き残った、というよりは、生き残らされた、という方が今の状態を示すには正確なのだと鈴仙は悟った。
「あばばばばばば」
 人事不祥に陥りかけている鈴仙の前に、赤と青の二体の人形が、ゆっくりと舞い降りて来た。
 やはりアリスはあくまでも、自分を生きたまま捕まえるつもりなのだ。これはいよいよ兎鍋にされてしまうらしい、と鈴仙は恐怖する。
 しかし、人形達は鈴仙を無理やり連れ去るような素振りは見せず、ポン、と鈴仙の肩を叩いた。
「な、何ですか。アリスさん、一体どういうつもりで私を――」
 と鈴仙の言葉を遮り、二体の人形が諸手を挙げた。
 
「「ツカマエター」」
 
「はぁッ!?」
 捕まった。確かに捕まったが――これは一体どういう事だ、と鈴仙は混乱する。
「アリスさん、怒っているんじゃないんですか?あの――胡蝶夢丸の事で」
 二体の人形は少し考えてから、よく分からないという風に首を傾げ、そして思い出したかのようにアリスガタイヘンーと言った。
 
「タイヘンタイヘン、アリスガタイヘンナノー」
「アリスヲタスケテアゲテー」
 
「助ける?アリスを?貴方――アリスさんじゃないんですか?」
 その問いに人形二体は、やはり少し考える風に首を傾げ、やがて、
 
「シャンハイダゼー」
「ホウライダゼー」
 
 と言った。
 自分達はアリスでは無い、とそういう意味らしい。
「はぁ?」
 全く理解不能な鈴仙だったが、二体に誘導され、アリスの家へと辿り着き、漸く事態を理解する事になる。
 
 
 だが最初は、アリス亭に踏み込んだ鈴仙には、そのベッドに横たわっているのが何なのか全く分からなかった。
 人形だと思ったのだ。等身大のアリスの人形。しかも全裸の。
 自分の人形を作るなんてやっぱり変態なんだ、と納得する鈴仙だったが、近づいてよく見てみると、それは人形などでは無く、アリス本人だったので仰天した。
 静脈が浮き出るほど肌は白く透き通っていて、生気は全く感じられず、それは確かに人形みたいに見えない事も無い。
 アリスは端的に言えば、死にかけていた。
 脈を取り、呼吸を確かめる。瞼を開け、瞳孔反射を確認。
 とりあえず生きてはいるが、死体の一歩――いや、二歩くらいか、手前だ。放っておけば本当に高熱で死ぬかもしれない。
 どういう経緯で、アリスがこんな眼に遭っているのか詳細は分からなかったが、世の中、自分以上に不幸な人も世の中いるものだな、と感心しつつ、医者の助手としての本能で体は勝手に動いた。
 びしょ濡れのベッドからアリスを引きずり出し、暖炉のあるリビングへ移動。鈴仙は暖炉に薪を盛大に放り込んで、火を付けた。
 季節外れの暖炉の火の傍にアリスを横たえ、台所に行ってお湯を沸かす。
 その間、タオルを探して来て、アリスの濡れた体を拭いてやり、これまた下着を探してくると着せた。
 毛布を被せてやり、手足の末端から丁寧にマッサージをしてやる。兎に角、体が冷え切っているのが不味い。
 恐らくはただの風邪だが、最悪のこじらせ方をしている。
 頭に氷枕を乗せ、しかし体には湯たんぽを抱かせた。
 何か薬を飲ませてやろうかと思ったが、手持ちのは全部、何処かでバックパックごと落として来た事に今更ながら気づいた。最悪の気分。後で、あの絨毯爆撃で灰になりかけた辺りを探しに行かなくてはならない。
 諦めきれずに上着をごそごそしてると、ポケットから薬が出て来た。
 座薬だった。
 神の思し召しだ、と鈴仙は思った。けど、どんな神様だろう。医療の神様ならいいけど、座薬の神様だったら厭だ。
 アリスをうつ伏せにし、下着をずらすと、慣れた手つきで『医療行為』を行った。
「ああん」とアリスが呻く。「ダメよ、魔理沙」
 やっぱりこの女は変態かもしれない。
 結局、夜明けまでの一晩、鈴仙は根気良くアリスの介抱をし続けた。
 その間、人形達は少し離れた所から、ジッと観察し続けていた。鈴仙は当然、その視線に気づいていたが無視を決め込んだ。
 夜明け頃、ようやくアリスの容態が落ち着いた。
 座薬のお陰に違いない。
 鈴仙は書置きだけ残し、永遠亭に戻る事にした。
 アリス亭を出る時、鈴仙は人形達の見送りを受けた。
 盛んに手を振り、感謝の意を示しているのだと思われたが、鈴仙は引き攣った笑みを浮かべるのに留めると、逃げ出すようにその場を去った。
 
 
<とりあえずミッションコンプリートだ>
<鈴仙・U・イナバ。彼女には世話になった。何らかの形で、恩返しをしないと>
<さっき誰かが荷物を拾ったと言っていただろう>
<彼女の忘れ物か>
<届けてやろう>
<そうしよう>
 
 
 魔法の森でバックパックを探し回り、結局、発見出来なかった鈴仙だったが、とぼとぼと家に帰ると、既に荷物だけが一足先に帰って来ていた。
「アリスが届けてくれたのよ。人形を使って」と師は説明した。
 それはたぶんアリスでは無く、アリスの人形達そのものだろう、と鈴仙は思ったが説明は差し控えた。
 あの人形達は――。
 アリスの意識が無い間も稼働し続けていた。おまけに、アリスの寝室には人体辞典やら漏斗やら、薬の破片などが落ちていて、恐らくはアリスを治療しようとした跡が見て取れた。
 それに失敗したから、鈴仙を拉致してアリスを治療させたのだ。
 アリスが死に掛けたのは何者の所為か――それは今やはっきりとしていたが、誰かに説明する気にもなれなかった。
 しても、誰も信じないだろう。アリス本人も信じないかもしれない。
 口外しない方がいいだろうな、と鈴仙は感じ、すぐに、もしかしたら、とある可能性を疑った。
 人形達がわざわざ永遠亭に荷物を届けに来たのは、確認する為かも知れない。
 すなわち鈴仙が、アリス抜きで稼働している自分達の存在を誰かに話していたりはしないかどうかを。
 或いは、荷物を置いて行ったのも警告の為なのかもしれない。
 我々は常にお前を見張っている。我々の事をアリスや他の誰かに話したらどうなるか分かっているな、と。
 鈴仙は眩暈を覚えた。本当に、厄介な事を知ってしまったものだ。
 兎角、この世は知らぬ方が良い事もある。
 鈴仙はその夜、高熱を出した。
 まるでアリスに風邪をうつされたかのようだった。
 
 
 太陽が完全に昇ってから、アリスは清々しい気分と共に眼を覚ました。
 気分は良かったが、体には色々と違和感があった。ベッドのシーツもパジャマも新しいものに替えられていて、はてな、と不思議に思ったが、リビングに行くと鈴仙の書置きがあった。
 風邪が悪化して一時的に重体になった事、でも容態が安定さえすれば所詮は失調症なので大丈夫だという事、そして少し前に渡した胡蝶夢丸はナイトメアタイプで渡し間違えていたので、永遠亭に来ればちゃんとしたものを処方するという事、そしてその手違いに対する謝罪が実に長々と書かれていた。
「こんなに丁寧に謝らなくてもいいのに。にしても――ナイトメアタイプだったなんてちっとも気付かなかったわ」
 台所には、鈴仙が看病の途中で作って、アリスに飲ませたらしいキャロットスープが残っていた。
 それを温め直し、朝食にしながら、アリスはふと疑問を抱く。
 どうして鈴仙は私の看病なんて出来たのだろうか。
 他の誰かが彼女を呼びに行った?例えば、魔理沙とか――。
 それはまぁありそうな事だ。
 それとも、鈴仙は胡蝶夢丸を間違えた事に気付いて、わざわざうちに届けに来てくれたのかもしれない。そして偶然、重体になっている自分を見つけた、とか。
 でも、それだとまた永遠亭に取りに来いという書置きの内容と矛盾する。
 そもそも風邪で重体なんてあるのだろうか。普通に寝ていれば治る程度のものなのに。
 疑問は尽きない。
 確かなのは、自分の記憶が丸一日分抜けている事と、鈴仙が看病してくれたことだけ。
 いや、それにしても状況からそう判断しているだけで、本当の所はどうなのか分からない。
 それにしても、妙な夢を見ていた気がする。
 そう。確か大きな河があって、アリスはそこを渡らなきゃ、って思っていたら、何か見覚えのある船頭がやって来た。
 そんでそいつは、あっちゃー知り合いが来ちゃったか―、なんて大袈裟に驚きながら、でも知人だから安くしとくよ、なんて言うのだ。
 何の事だとアリスが思っていたら、母親がやって来て、オホホホこの子ったら道間違えちゃって。何やってんのよアリスちゃん。こんな所ウロウロしてたらダメじゃないのって怒られて、気付けば自分のベッドの中にいた。
 所詮は夢だ。
 意味なんて無い。
 でも、今朝からずっとお尻の辺りがムズムズするのは、どうやら現実のようだ。
 もしかして、医者に行った方が良いのだろうか。
 そんな悶々とした気分でスープを啜るアリスの下に、上海と蓬莱がやって来た。
 
「「アリスダイジョウブー?」」
 
 そういやこの子達は私が倒れている間、何をしていたのかしら、とアリスは思った。
 部屋の中が片付いているので、いつも通りのルーチンワークでもやってたのだろうか。それとも、ただオロオロとしていただけか。
 今度、時間があれば看病の方法を学習させた方がいいかもしれない。
 下手な治療をしようとして、殺されかける、なんて莫迦みたいなのは御免だから。
「うーん――体の方は平気よ。長い間、寝てたみたいだし」
 アリスは少し考えた後、満面の笑みを浮かべ、二体の人形にサムズアップした。

「絶好調だぜ」
 
 
 
 
森博嗣先生臭のするタイトル。
しかし中身は神林先生っぽいぞと自分でも思います。
ドタバタしたハードSFっぽいノリが。
レトロSFって最近、軒並み幻想入りしてそうなんで、アリだとは思いますが、お口にあいましたでしょうか。

折しも新作情報の興奮で、昼頃から鼻血を吹いてしまいました。
単に部屋が暑かっただけ、とも言いますが。

それにしても、あー、まさか、魅魔様がラスボスだとは思いもしませんでしたウサ。
桐生
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コメント



0.4830簡易評価
3.100名前が無い程度の能力削除
ん。これはおもしろい。
4.90名前が無い程度の能力削除
なんという自殺トラップww
6.100名前が無い程度の能力削除
鈴仙とんだとばっちりをwww
11.100名前が無い程度の能力削除
面白いです!
SFはいいものなのに…

コミケで星蓮船買ったのに、思わず騙されたウサ

5ステージに突入した時はまさかっ魅魔(ry
13.100名前が無い程度の能力削除
アリスも鈴仙もとんだことに w
しかし、

>アリスが命令不可能な状態でのみ、主導権を譲渡するという矛盾が――。

このあたりのくだりから、よもやBAD EDフラグ? と慄いたのは私だけでしょうか;
17.100名前が無い程度の能力削除
めっちゃおもしろかったです。
こいつらもう自律してるだろw
19.100名前が無い程度の能力削除
頭が良くなったら「ワレワレハ ナゼ イキテイルノダロウ」
とか考えて自己崩壊し出しそうで怖いです。知性体はみんな通る道なのか?

この小説の知能レベルなら3~5体くらいが1つの思考をすれば、人間並みのことが考えられそうですね。
分散化なり何なりで、自立した人形たちとアリスも見てみたいなぁ。面白そうです。

何か間違えて某SFのボーグみたいになったら嫌ですね。幻想郷が… 同化される。
「テイコウハ ムイミダ」
23.100名前が無い程度の能力削除
どんな夢見たんだアリス。
26.100名前が無い程度の能力削除
どこと無く、タチコマの匂いがした
28.100名前が無い程度の能力削除
アリスよく生きてたな……。
33.100名前が無い程度の能力削除
>アリスが命令不可能な状態でのみ、主導権を譲渡する
こいつらもしアリスが死んでいたら、誰かを拉致換金して魔力供給源にしそうだなぁ。

大丈夫。レトロSSが全滅の一途を辿っているのは日本内だけだから。
40.100名前が無い程度の能力削除
初めの方でなんかそれっぽいと思ったら、やっぱり雪風だったwww
蓬莱の飛行シーンがリアルに想像できました。

ひとまず、アリスは人形知性体群とのコミニケーションのために早くMAcProⅡを導入すべきw
44.100名前が無い程度の能力削除
ギャグのセンスがあるね
50.100名前が無い程度の能力削除
電子戦だの爆撃だの、土臭い戦闘だなぁw
アリスは何を思ってこんな兵器を…
51.100名前が無い程度の能力削除
なるほど神林っぽいw
55.100名前が無い程度の能力削除
鈴仙の医療行為を見ていたってまさか学習したんじゃあるまいな
だとしたら今後病を患った人間には座薬をアッー
57.100名前が無い程度の能力削除
>それにしても、あー、まさか、魅魔様がラスボスだとは思いもしませんでしたウサ。
新作が来るたびに私も似たような事を言ってます。あたしゃここにいるよ。ウサウサ。
しかしアリス本当に運がいいのか悪いのか。
いつか色々報われる日がきますようにw
62.100名前が無い程度の能力削除
人形たちの台詞と心情のギャップがツボにきました
とても面白かったです
65.100名前が無い程度の能力削除
これはいいw
75.90名前が無い程度の能力削除
最後のサムズアップ想像してワロタwwww
79.100名前が無い程度の能力削除
アリスが不憫でならない
81.100名前が無い程度の能力削除
>>でも知人だから安くしとくよ
おい小町ww
85.無評価桐生削除
読んでニヤニヤして頂けたら作者冥利に尽きます。
ありがたしありがたし。

作者的には『フロムザクレイドル』の続編という位置づけです。
「創る―創られる」ってぇのは一体全体どういう事なんでぇ!?というのがテーマなんですが、全く反映されてないのが笑えます。
一応、このシリーズはもう一作やって終了という予定。

次回作では上海がパワーアップし、ネイキッド上海となって全裸で戦うウサ。
87.60名前が無い程度の能力削除
>「ああん」とアリスが呻く。「ダメよ、魔理沙」
100点入れるつもりで読んでたらここで激しく萎えた
88.無評価名前が無い程度の能力削除
森というより
スカイクロラシリーズみたいなタイトル
90.90名前が無い程度の能力削除
鈴仙なみだめwwwwww
101.100名前が無い程度の能力削除
確かに読んでいて神林作品を思い出していました。
何となく都市制御体。
SFは良いですわ。
114.100名前が無い程度の能力削除
すっごいわらった
116.100名前が無い程度の能力削除
これはいいwww
117.100名前が無い程度の能力削除
ツッコミ役がいないと大惨事を招くといういい見本。
楽しかったです。