Coolier - 新生・東方創想話

屋台の会話? 十夜目 ~出張編~

2009/08/14 20:25:22
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※注意※
 このSSには自分の過去作『厄神と福神の幸福論』と『想い出』のオリキャラが出ます。
 そちらを読んでおられない方は、知らないキャラが出てきたらこんなキャラがいるんだと適当に読み飛ばしていただけるようお願いいたします。





 「真っ赤なお顔のお月様~♪、貧血おこして真っ白け~♪」

 今日も私の歌は絶好調、ただ一つ文句があるとすれば・・・。

 「ようこう我が紅魔館主宰のフルムーンパーティーに。今宵は月が最も輝く日、月の狂気に当てられて思い切り楽しみましょう!」
 『おおおおおおおぉぉぉ!!』
 「乾杯!!」
 『かんぱ~い!!!』

 だーれも私の歌を聞いてないことかなぁ。
 今日の屋台はここ紅魔館中庭に出張中~♪
 本当の満月のときのみ行われるフルムーンパーティーで料理してくれといわれたので、来てみました~。
 でも、洋風の紅魔館に屋台はちょっと場違いかな?
 とはいっても、あんまり皆気にしてないみたい。
 まぁ、テーブルには和風料理もあるしいいのかな?

 「それはともかく、そろそろ料理しないとね」

 私は持っていたグラスを飲み干して、脇に置いた。
 さてさて、さっさと第一陣を焼こうかな?
 下準備は終わっているから後は仕上げだけ簡単簡単~♪

 「お、珍しいものがあるね。今日はここで営業かい?」
 「あ、いらっしゃ~い♪」
 「小町、あまりはしゃぎすぎない!」

 最初のお客は真っ赤な死神さんと閻魔様♪
 楽しそうな死神さんと違って、閻魔様はちょっと呆れ気味?

 「いいじゃないですか、せっかくのパーティーなんだしはしゃがないのは損ですよ?」
 「はしゃぐなといいません。ただ度を越すのはいけません。どんな場においても節度というものが重要なのです」
 「はぁ~、こんな場なんですから四季様ももっと気を抜いたらいいのに」
 「それが閻魔というものです」
 「へいへい。あ、八目の串揚げもらえるかい?四季様もどうです?」
 「・・・そうですね、頂きましょう」
 「はいは~い♪丁度今から作るところだったからちょっと待っててね~♪」
 「あれ、確かミスティアさん?」
 「おや、こんなところで屋台をみるなんてな」
 「びっくりだね」

 次に来たのは山の巫女さん。
 その後ろから神様二柱が付き添い中。

 「どうも~♪何か食べてく~?」
 「どうします?」
 「そうね。前に食べたのも美味しかったし、頂こうかしら」
 「賛成~」
 「貴方達は・・・」
 「おや、そこにいるのは・・・」
 「八坂様、知り合いですか?」
 「知っているといえば知っているかな」
 「早苗、そこにいるのは幻想郷の閻魔様だよ」
 「えぇ~!!」

 ん~、山の巫女は知らなかったのかな?
 ちょこちょここっちに来て説教してくるから結構有名だと思うんだけど~?

 「そこにいるのは貴方方の風祝ですか。貴方は真面目で純粋ですが、それ故に上からの言葉を丸呑みし、周りに影響される。その結果・・・」

 あ~あ始まっちゃった。
 結構長いんだよねぇ、閻魔様の説教。
 っと、いい感じに揚がってきたわ~♪

 「はい、串揚げお待ちどう~♪」
 「お、出来上がったみたいだね。四季様、串揚げも出来たことですし行きません?せっかくのパーティなんですから、説教ばかりでは興醒めですよ?」
 「む、そうですね。最低限場の空気に合わせることは大切なことですし・・・仕方ない、東風谷早苗、貴方とは又後日話したいと思います」
 「はぁ・・・」
 「ではまた・・・行きますよ小町」
 「はいはい。あ、これ串揚げです」
 「・・・なかなか美味しいですね」
 「でしょう?ですから今度一緒に行きません?」
 「考えておきましょう・・・」

 閻魔様と死神さん、いろいろいいながら行っちゃった。
 そういえば閻魔様美味しいって言ってくれたけど、いつか屋台に来てくれるかな♪

 「あらら、行っちまったね」
 「大丈夫早苗?閻魔の説教というのは長いからね」
 「いえ、大丈夫です」

 山の巫女さんが苦笑を浮かべて神様二柱に振り向いた。
 おっと、こっちも揚がってきたね~♪

 「串揚げ揚がったよ~♪」
 「お、では早速頂くか」
 「そうですね」
 「熱っ!」
 「って大丈夫ですか、洩矢様!?」
 「もう食ってんのかい、この蛙・・・」
 「あれ~ミスティアがいる~?」

 火傷して暴れている神様横目に、こっちにふわふわと来たのはいつも通り薄っすら闇を纏ったルーミア。
 結構着飾っている人が多いのに、彼女はいつも通りの服装だ。
 まぁそういう私も別に着飾っていないけどね~♪

 「なんでこんなところで屋台をやってるの?」
 「みじゅ~!!」
 「お呼ばれしたから八目と共に出張中~、今回御代は紅魔館持ち~♪」
 「まったく、いきなりいっぺんに噛り付いたりするから・・・」
 「へぇじゃあタダなんだね~」
 「あ、雨水なら呼べますけど?」
 「そうだよ~♪」
 「ちょっと早苗!流石にここで雨雲よんだらまずいって!!」
 「じゃあ一本貰おうかな~?」
 「ひょにかくみじゅ~!」
 「は~い♪あ、そうそうはい水」
 「ひょ~~~!!」

 なんか騒がしかった神様に水を与えて、串揚げを揚げ始める。
 そういえば、蒲焼も作らないと・・・。

 「沢蟹沢蟹、紅い蟹~♪食べたらがりがり硬い殻~♪」
 「うぅ~舌を思いいきり火傷したぁ~」
 「自業自得」





 「はい、串揚げお待ちどう~♪」
 「ありがとう!」

 青い服のおっきな妖精さんに串揚げを渡して、一休み。
 妖精達の団体さん、一人来たら十人は来ると思えってね♪
 あ、でも途中に桶に入った妖怪さんも混じってたっけ?
 ま、どうでもいいか♪

 「あら、今回は外部にも仕事を頼んでいるのね」
 「まぁ仕方ないさ。紅魔館は忙しい上に人手不足だしな」
 「あんたがそれを助長している自覚はある?」
 「さあ、何のことだぜ?」

 おっと次のお客さんのご到着~♪
 何かと一緒にいる赤白巫女に黒白魔法使い。

 「いらっしゃ~い、出張八目鰻の屋台にようこそ~♪」
 「あきらかに場違いな気もするんだが・・・」
 「いいんじゃない?妖精妖怪、悪魔に人間、果ては神様までいるようなむちゃくちゃなパーティに今更場違いも何も無いわよ」
 「まぁそれはそうかもしれんが・・・」
 「む~、場違いなのはなんとなく判ってるわよ~。でも呼ばれたんだから行かないわけにはいかないでしょう?」
 「あ~まぁそうだな、悪い」

 私が頬を膨らますと、黒白魔法使いは苦笑して謝った。

 「それで、食べてくの?」
 「そうね、一本貰おうかしら」
 「お、わたしも」
 「はいは~い」

 油に八目を投入していく。
 パチパチパチパチと細かい泡がはしゃぎ出す。

 「ん、おー巫女と泥棒だー」
 「ん~、めんどいのが来たわね」

 次に来たのは青い服の氷の妖精さん。
 なんだかちょっと気温が下がってる?

 「チルノも食べる~?」
 「ん~、熱いのは嫌いだからいいや」

 チルノは首を振って拒否した・・・ちょっと残念。

 「つうかさ、お前熱いの駄目でここで何食うんだよ?」
 「ん?サンドイッチとか、シャーベットとか、あとカキ氷!」
 「・・・なぁ今の季節って夏だっけ?」
 「秋の終わり位じゃな~い?」
 「立冬は過ぎてるから、どちらかというと冬の初めかもね」
 「なんでそこにカキ氷が・・・」
 「カキ氷を馬鹿にすんな~!!」

 羽を逆立てて怒鳴るチルノ。
 でも、やっぱりこの時期にカキ氷は無いと思うんだけどなぁ?
 あれ、だったらなんで置いてあるんだろう?う~ん・・・。

 「はいはいわかったから。さ、その素晴らしいカキ氷が溶ける前に食べてきちゃいなさい」
 「む、それもそうね!」

 あ、いっちゃった。
 というか何しに来たんだろうチルノは・・・?

 「お前、面倒になったから追っ払ったな?」
 「そうよ、悪い?」
 「いや、まぁ、実際に面倒だからいいけどさ」
 「あら、これまた珍しいものが見えるわね」
 「げ、ある意味さらに面倒なのが来た」

 次に現れたのはお花の妖怪さんと人間の女の人。
 なんかとっても仲良さげ?

 「面倒なんて失礼ね」
 「面倒なのは変らないでしょう?」
 「幽香、知り合い?」
 「知り合いといえば知り合いね。ほら、これが英雄として有名な冷酷無比な巫女と悪逆非道の魔法使いよ」
 「そして面倒極まりない妖怪ってとこかしら?」
 「あ、あはははは・・・」

 うわ~女の人が引きつった笑みを浮かべてる。
 まぁ私もわからなくもないけど・・・。

 「つーか珍しいな、お前が誰かと一緒に楽しんでいるなんて」
 「仕方ないじゃない、この子が一人じゃ寂しいって言うんだから」
 「ゆ、幽香!?」

 あ、女の人があたふたしてる。
 というか、あんなに手を振り回してたら誰かに当たらないかなぁ?
 ・・・あ、当たって謝ってる。

 「・・・気をつけなさいよ。貴方は動きが大きいんだから」
 「仕方ないじゃない。長年の習慣っていうのは直らないものよ?」
 「おお、幽香が世話を焼いている」
 「悪い?友人の世話を焼くことぐらい普通でしょう」
 「うわ~なんか違和感ないか霊夢?」
 「どうでもいいわ。それより串揚げまだ?」
 「そろそろできるよ~♪」

 そう言って油から串揚げを引き出す。
 うん、今回もいい狐色♪

 「はい、お待ちどう~♪」
 「ありがとう。さ、いくわよ魔理沙」
 「へいへい」

 そう言って、二人は別の場所に行っちゃった。
 仲いいよね、あの二人。

 「さて、私達に串揚げくれるかしら?」
 「はいは~い♪」
 「へぇ~、夜雀の屋台は知っていたけど食べるのは初めてね」
 「まぁそれなりに期待してていいんじゃないかしら?」
 「幽香はよく来てるの?」
 「ん~ちょこちょこね」

 ん~あんまり近づいた状態で手を振り回すと、跳ねた油があたりそう?

 「熱っ!?」

 ほら、やっぱり。





 お花の妖怪さんと女の人が離れると、今度は兎の大群と人形さんが来た。

 「悪いけど、この子たち全員分にお願いできるかしら」

 そういわれて兎の数を数えると、かるく二十はいっている。

 「うわ~、ちょっと時間がかかるけどいいかな~?」
 「構わないわ、ねぇ永琳?」
 「仕方ないわよね。これだけの数じゃあ」
 「師匠、てゐに任せて数を半分にしません?」
 「いいけど、私だって完全に言う事を聞かせられるわけじゃないわよ?」
 「スーさんの毒で無理やり言う事を聞かせるとか?」
 「やめなさいメディスン」
 「やっぱり連れて来過ぎたかしら?」
 「これでも絞ったんですけどねぇ」
 「あ~あ、帰ったときのお土産合戦が目に浮かぶわ」
 「そのときはよろしくね!鈴仙」
 「何で私っ!?」
 「だって兎のリーダーでしょう?」
 「いや、実質のリーダーはてゐでしょうに」

 なんか偶に危険な言葉が混じっていたような気がするけど気にしない~♪

 「む、なんかすごいことになっているな」
 「本当ね」
 「これは、永遠亭の兎ですか?」

 人数分の串揚げを作っていると、新たにお客さんの声がした。
 新たに来たお客さんは里の守護者に人形遣い、あと前に見たことのある女の子。

 「ごめんね~、ちょっと待っててくれるかな~?」
 「ごめんなさいね」
 「なるほど、永遠亭の皆さんか」
 「一人違うのが混じっているみたいだけど?」
 「確か、メディスンさんでしたよね?」
 「ほら、挨拶」
 「えっと、始めましてメディスン・メランコリーといいます」
 「私は上白沢慧音だ」
 「アリス・マーガトロイドよ」
 「私の事は知っているわよね」
 「えっと・・・阿求だっけ」
 「そ、稗田阿求よ」
 「それにしても、あなた元人形よね?」
 「そうだよ?わかる」
 「まぁね・・・なるほど妖怪化した人形か、九十九神の一種かなにかかしら?見た感じ人形だけが核ではないようだけど・・・」
 「何?」
 「いえ、なんでもないわ」
 「アリス・・・」
 「大丈夫、何もしないわよ。この子は妖怪化した元人形、私の目指している物とは異なるわ」
 「ならいいのだけど・・・」
 「何々、何の話?」
 「なんでもないわ。それよりあなた達って一緒に動くほどそんなに仲良かったかしら?」
 「いや、これは今度行う人形劇の話をしていたんだ」
 「えぇ、それでいろいろなお話を知っている私や上白沢さんに意見を聞きにきたのよ」
 「毎回同じストーリーじゃ飽きてしまうでしょう?」
 「結構真剣にやっているのね」
 「まぁこれで研究費を稼いでいるわけだしね」
 「なるほどね」
 「はいお待ちど~」

 やっと出来た~!
 いや~、一度に何十本も揚げるのは大変だねぇ~。

 「さ、みんな順番にとっていきなさい」
 『わ~』
 「うわっ!」

 ひゃ~、一気に兎達が串揚げに群がってくるのは、なんというかすこいねぇ。
 って、もうなくなっちゃった。
 またすぐに作らないと。

 「なんというかすごいな」
 「前に永遠亭に行った時も思いましたが、あそこの兎は元気ですね」
 「これでも大人し目の子を選んだんだけどね」
 「まぁ、本当に大人しい子はこういうところに行きたがらないけどさ~」
 「おお、なんか混んでるねぇ」

 あれ、新しいお客さん?
 でも今ちょっと手が放せない~。

 「あなたは地下の妖怪の・・・」
 「土蜘蛛の黒谷ヤマメさ」
 「確か土蜘蛛といえば病気を操る妖怪だったと」
 「何!?」
 「おいおい、いくらなんでもこんなところで病を振りまいたりしないって」
 「む、それならいいのだが」
 「あなた、病気を操るのかしら?」
 「ん、そうだけど」
 「まさか師匠・・・?」
 「ねぇ、時間があったら永遠亭にこない?歓迎するわよ」
 「ほぉ~?撃退しようとするのは数多くいたけど、歓迎する人間なんて始めてみた」
 「永琳は薬師だからあなたの操る病の元に興味があるのよ」
 「なるほどね」
 「えぇ、病気を予防するためにわざと弱い病原菌を打って免疫を高める方法があるから、それの役に立たないかしらってね」
 「まぁ暇があったらいってみるよ」
 「助かるわ。道が迷いやすいから、地上に出たら里に行ってそこの人に聞くといいわ」
 「何故私に?それに病を操るものを里に入れるなんて・・・」
 「竹林を完全に道案内できるのは妹紅ぐらいだけど、彼女は妹紅のことを知らないでしょう?それであなたに妹紅の所まで案内して欲しいのよ。それにいくらなんでも里の中で能力を使ったりしないでしょうし、最終的には里の役に立つわよ?」
 「うむむむ」
 「というわけでお願いね」
 「・・・あぁわかった。永琳殿には世話になっているし、確かに里の役に立つだろう」
 「それじゃあその時はよろしくな」
 「承った」
 「串揚げ・・・」
 『わ~~!』

 ぎゃ~、揚げた先から無くなってく~!





 宵闇から星の瞬きを感じさせてくれる時間へと変っていく。
 皆のテンションも上がってきた♪
 でも夜通し行われるこのパーティー、これでもまだまだ序の口レベル。
 うん、体力のある妖怪達だからできるわけよね~♪

 「もらったぜ!」
 「それは私のものです!!」
 「なにおぅ!!」
 「ほいっと、いただきっ」
 「「ああぁ~~~!!!」」
 「何馬鹿なことやっているのかしら・・・」

 ・・・例外もいるけど気にしちゃいけない~♪

 「さてさて、次の準備もしなきゃ・・・って、あれ?」

 おかしいなぁ?さっきまで揚げといたものがあったのに??
 う~ん、どっかに落としたかな?

 「屋台なんてあるのね」
 「ホントだね~」
 「うにゅ、私と同じ鳥の妖怪だ!」
 「あ~、もしかして巫女が言っていた夜雀の屋台ってやつじゃない?」
 「なるほどねぇ、あら?困っているみたいね」
 「あ、いらっしゃ~い」

 あらららら、そうこうしているうちにお客さんが来ちゃった。
 う~ん、とりあえず探すのは後にして急いで作らないと。

 「いえいえ、そんなに急がなくてもいいですよ。探し物をしてからでも構いません」
 「ほぇ?」

 あれれ?なんで探し物があるってわかったんだろう?

 「それは、私がさとりだからです」
 「さとり?」
 「えぇ心の声を聞く力があるんですよ」
 「へぇ~すごいねぇ」

 っと、それよりもまずは料理を作らないと。

 「・・・嫌ではないのかしら?」
 「なんで?便利じゃない」

 あ、でも静かにしたいときにいろいろ聞こえたらうるさいかな?

 「・・・鳥の妖怪ってみんなこんな風に単純なのかしら?」
 「お空は単純ですよね」
 「私は馬鹿じゃない!!」
 「だれもそんなこと言ってないわよ」
 「まぁこの子の場合七割がたが歌で占められているから、お空とは違うわね」
 「じゃあさとり様、私は?」
 「・・・殆ど口に出しているからあんまり心の声って無いわね」
 「なるほど単純だね~」
 「こいし様まで~!」

 なんかいろいろ喚いているけど、取りあえずは串揚げを作らないとね~。
 それにしても、本当にどこにいったんだろう?揚げておいたやつ。

 「ふむ、それが探し物なのね・・・」
 「さとり様?」
 「お燐、あそこに妖精がいるから捕まえてきて」
 「え、でも何も見えませんよ?」
 「匂いで判らないかしら?」
 「・・・ま、やってみます」

 ん、猫の妖怪さんが変な動きをしてる?

 「ほいっ!」
 「わっ!?」
 「きゃ!?」

 あれ、なんかいつの間にか猫の妖怪さんが二人の妖精を捕まえてる?

 「さとり様、こいつらですか?」
 「何で見つかったのよ!?」
 「知らないわよ!」
 「サニー、あなた本当に私達を隠してたの!?」
 「当たり前よ!!ルナこそちゃんと音を消していたの!?」
 「決まっているじゃない!!」
 「そうそう、その子達よ。で、店主さん探し物はこれかしら?」

 さとりさんに言われて妖精達を良く見ると、確かになくなっていた料理を持っていた。

 「そうそう、これこれ!でもちょっと少ないかな?」
 「そうなの?」
 「ねぇお姉ちゃん、これ」
 「残念つかまっちゃった」
 「あ、スター!?あんたまた一人で逃げようとしたわね!!」
 「あ、それで全部だ」

 新しく出てきた子の持っていた分で無くなったのは全部かな?
 でもまぁ、別にとられたからって困るものでもないしなぁ。
 もともと勝手にもっていっていいようになっているわけだし・・・。

 「あら、別にとられたことはどうでもいいのね」
 「まぁ、一応探していただけだしね~♪でも、見つけてくれてありがと~♪」
 「いえいえ、じゃあお燐、もう放してあげなさい。こいしも」
 「は~い」
 「わかった~」

 ようやく放された妖精さん達、すぐに三人集まって向こうに駆け出していっちゃった。

 「おぼえてなさいよ~!!」

 うん、なんか雑魚っぽい台詞を言ってたけど、多分私は覚えてないな♪

 「まぁ、私達も覚えていないでしょうけど」
 「あ、そうそう。そろそろ揚がるけど食べる~?」
 「えぇ頂きましょう」
 「おや、こんなところで屋台など開いて大丈夫なのかい?」
 「あ、いらっしゃ~い♪呼ばれて来ているから平気だよ~♪」

 次に来たのは売れない(売らない?)道具屋の主人。

 「おや、初めてみる顔だね」
 「始めまして、古明地さとりといいます、森近霖之助さん」
 「・・・なるほど、名前の通りさとりというわけだ」
 「えぇ、こっちは妹のこいし」
 「よろしく~」
 「あぁよろしく」
 「こっちはペットの火炎猫燐と霊烏路空」
 「どうも~」
 「よろしくね~」
 「こちらこそ」
 「以後お見知りおきを。・・・そうですね、確かに私達は地下の妖怪ですし、普段は地上には出ませんが、今回はここの主レミリア・スカーレット殿に呼ばれましたのでこうして地上に出てきたのです。いえ、こっちのお燐とお空・・・あぁ空のことです。そらだからおくうなんです。まぁ彼女達はちょくちょく神社にお邪魔しているようで・・・あ、はい博麗の方の・・・あぁ妹もさとりですが今はちょっと第三の目を閉じていて・・・そうですね、そこの所はあまり聞かないでもらえると・・・」
 「さとり様さとり様・・・」
 「何?お燐・・・あぁそうですね。すみませんがちゃんと言葉に出して会話してもらえませんか?他の人がわからないみたいなので」
 「いやいやすまない、思わず便利だったもので」
 「心の声の方が喋るより早いから便利だって・・・ペットでもないのに心の声でわざわざ会話したがるような人、始めてみましたよ」
 「ふむ、それは光栄だな」
 「・・・今の地上の人達は変わっている人ばかりのようね」
 「あぁ~その人は特にだと思うよ~?」

 変人が多い知り合いの中でさえ、この人は変人って呼ばれているし~。

 「なるほど」
 「何を考えてるか知らないが、とりあえず串揚げをくれないか?」
 「あ、はいは~い♪」

 さてさて、さっさと料理しないとね~♪





 さとりさん一家?と霖之助は串揚げをもらったらそのままどこかにいちゃった。

 「ん~こっちにはいないみたいだし・・・」

 ん、こっちに来たのはお芋の香りの秋の神様?

 「あ、ねぇねぇ姉さんを見なかった?」
 「お姉さん?」
 「うん、赤い服を着て紅葉の髪飾りをしているんだけど・・・」

 う~ん、見たかもしれないけど覚えてないなぁ~。

 「ごめん、わからないや」
 「そう・・・」

 そう言って、顔を下げちゃった。
 あれ、なんか嫌な予感・・・。

 「うぅ・・・秋も終わりっているのになんで私ここにいるんだろう・・・お姉ちゃんもどっかいっちゃったし、きっと私はこのまま一人寂しく有象無象に埋もれていくんだわ」

 うわ、なんか空気が淀んできた!

 「どうせ私なんか・・・」
 「・・・そんな空気を纏っていると厄を呼び込むわよ?」
 「大丈夫なのこの人?」
 「毎年のことだから縁は気にしないでいいのよ」

 なんか淀んだ空気を纏いはじめた秋の神様に、別の意味で淀んだものを纏った緑色の人と、黄色の子供が近づいてきた。

 「あ、雛・・・」
 「静葉を捜しているの?」
 「うん」
 「それなら向こうで白玉楼の庭師と会話していたわよ」
 「そうなのね・・・お姉ちゃんはこの時期でも必要とされているのね、それに比べて私は・・・」
 「・・・」
 「えぇっと、ひー姉ちゃん?」

 なんか緑の人が額に手を当てて悩み始めちゃった。
 というか、この状態だとお客さんがこれないから、早くどうにかして欲しいんだけど・・・。

 「はぁ、面倒ね」
 「え~と、僕の福でどうにかできるかな?」
 「ごめん、無理だと思う」
 「あれ、そういえばこの子は?」
 「今頃気付いたの?まぁいいわ、この子は吉祥縁、新しく来た福神よ」
 「えっと、始めまして!吉祥縁っていいます。今はひー姉ちゃんの下で福神の勉強をしています」
 「そう、私は秋穣子。豊穣の神をしているわ」

 お、なんか少しだけ空気が戻った?
 もしかして、その子のおかげ??

 「それにしてもひー姉ちゃんって・・・」
 「あんまり突っ込まないでくれる?」
 「まぁいいわ。それにしても秘神である雛がこんな人が多いところにいるなんて、どういう風の吹き回し?」
 「あぁ、この子がいるからね」

 そう言って緑の人が隣で手を繋いでいる男の子?を指した。

 「なるほどね、福と厄が惹かれ合うのを利用しているわけね」
 「そういうこと。というか、穣子いい加減そこからどいたら?屋台のまん前に陣取られたら流石に店主に迷惑でしょう」
 「あ、ごめんなさい」
 「あ、えと・・・」
 「全く、ほら静葉が呼んでるわよ?」

 緑の人が指した方向を見ると、妹神より赤い神様が手を振っていた。

 「あ、本当だ。じゃあ雛、又今度」
 「ええ、今度はまともな状態で会いたいわ」
 「じゃあね~」

 秋の神様は手を振りながらお姉さんのほうにいっちゃった。
 ふぅ、これでやっとまともにお客さんがくるかな。

 「あんなのに居座られて大変だったでしょう?」
 「あ、あはははは・・・」
 「ねぇねぇ、これ何?」

 男の子が興味深そうに私の手元を覗き込んだ。

 「ん、これは八目鰻の串揚げだよ~♪食べてみる~?」
 「うん!」
 「はいどうぞ~♪熱いから気をつけてね~♪」

 手渡した串揚げをふぅふぅ息を吹きかけながら食べてる姿が、とっても可愛い♪

 「調子はどうだ?」
 「あ、どうも~♪」

 男の子が串揚げを可愛く食べている横から、本日の主催者がお出まし~。

 「なかなか売れているようね」
 「お蔭様で~♪」
 「ん、そこにいるのは」
 「・・・本日はお招きいただきありがとうございます。厄神の鍵山雛です」
 「そう、あなたが・・・初めまして紅魔館当主レミリア・スカーレットよ」

 うわ~、二人とも随分と優雅に会釈するな~。
 私には到底ムリ~。

 「それにしても、神というのはもっと傲慢かと思っていたわ」
 「神とて礼儀ぐらいは心得ていますわ」
 「それは失礼。神といえば大きな柱を担いだのとか、目玉の帽子を被っているやつとかしか面識が無かったものでね。今宵はゆっくりと楽しむと良いわ」
 「えぇ、お言葉に甘えさせていただきます」
 「お嬢様」

 うお!?いきなりメイドが現れた!

 「どうした?」
 「妹様が・・・」
 「フランが?」
 「お姉様」

 わ、今度は虹色の羽を持った子が現れた。
 確か、妹さんだっけ?

 「どうしたのかしらフラン?」
 「どうしたもこうしたもないわ。これだけいろいろなやつがいて、大人しく会食だなんて退屈だわ」
 「フラン、パーティーに出るなら大人しくするという話でしょう?」
 「だって、戦ってみたら楽しそうだもの」

 ・・・なんか嫌~な感じがするんだけど?

 「フラン」
 「何かしら、お姉様?」
 「私はパチェと咲夜に頼んであなたを今すぐ地下室に閉じ込めてもいのよ?」
 「ふん、その前に散々暴れてあげるわ」
 「いいけど、霊夢を中心とした幻想郷の実力者達多数にあなたは無事でいられるかしら?」
 「・・・」
 「さ、わかったら『パーティー』を楽しんできなさい」
 「はいはい」

 妹さんはつまらなそうな顔をしてあっちにいっちゃった。
 にしても、心臓に悪い~~!!

 「見苦しいものを見せたわね」
 「なかなか大変そうね」
 「でも、それでもたった一人の妹だからね」

 そういった吸血鬼さんの顔は少しだけ優しそう?

 「ねぇねぇひー姉ちゃん、今度はあっちにいこう?」
 「ん、わかったわ。それではここで失礼させてもらいますわ」
 「えぇ、楽しんで頂戴」
 「では・・・さ、いくわよ縁」
 「うん!」

 緑の人は男の子と手を繋いでいっちゃった。

 「そういえば、まだ貴方の料理を食べて無かったわね。美鈴が褒めて、咲夜が許可したのならそれなりなんでしょうけど・・・まず、一つもらえるかしら?」
 「あ、はいどうぞ~♪」

 吸血鬼さんに串揚げを一つ渡す。
 吸血鬼さんはそれをかじってちょっとだけ目を見開く。

 「なかなか美味しいじゃない。どう、貴方紅魔館で働いてみない?それなりの待遇にするわよ」
 「あ~、気持ちは嬉しいけど私は屋台の雰囲気が好きだから~」
 「そう、残念ね」

 そうは言ってもあんまり残念そうに見えないな~。
 なんかその答えは判ってたって感じかな?

 「お嬢様、そろそろ」
 「そうね、じゃあ頑張って頂戴ね」
 「はいは~い♪」

 吸血鬼さんは少しだけ手を上げて去って行っちゃった。
 というか、いつの間にかメイドさんもいない?
 あの人本当に神出鬼没だね~。

 「おや、八目鰻屋じゃないか」
 「あ、いらっしゃ~い♪」

 吸血鬼さんと入れ替わりで来たのは、竹林の焼き鳥屋さん。

 「こんなところでも商売かい?」
 「今回は屋台ごとお呼ばれして出張編~♪」
 「なるほどね、まぁいいや、とりあえず一本もらえるかい?」
 「はい、ど~ぞ~♪」
 「ありがと・・・うん、いつもながら美味いね」
 「それはどうも~♪」
 「人ごみの暑さから逃げてきたけど、こっちはこっちで熱いわね」

 ちょっとだけげんなりした雰囲気で近づいてきたのは、冬に良く見る妖怪さん。

 「ん、まぁ火の鳥に熱した油だからね。冬の妖怪にはきついんじゃない」
 「あれ、知っているの?」
 「そりゃあ何度も冬を越えれば、一回ぐらい見たことあるさ」
 「どうでもいいけど、涼しい場所は知らないかしら?」
 「う~ん、カキ氷とかシャーベットとかが置いてある場所は~?」
 「氷の妖精が陣取っているわ」
 「ありゃりゃ」

 あの妖精をどかすのは大変そうだしね~。

 「それじゃあ入り口あたりとか?」
 「篝火が焚いてあって熱い」
 「隅っことか?」
 「来てみたら屋台があった」
 「あはははは・・・」
 「はぁ~、ここにきたのが間違いだったかしら?」

 う~ん、他に涼しい場所ね~?

 「噴水の近くとかどうだい?」
 「人が沢山いたわ」
 「いや、隅のほうに小さな噴水があったからそっちはどうだい?何なら案内しようか?」
 「・・・火の鳥に案内されるのもなんだけど、お願いするわ」
 「了解、それじゃあね店主さん」
 「ばいば~い♪」

 焼き鳥屋さんと冬の妖怪さんが人ごみの中に消えていったのを見届ける。
 大丈夫かな~?
 おっと、そうだ炭の様子も見ないとね~♪

 「炭炭、竈の隅に炭~♪隅に置けないお墨付きの炭~♪」
 「あれ、ミスティア?」
 「あ、リグル~♪」

 顔を上げると目の前にリグルが立っていた。

 「パーティーで屋台をやっているって聞いていたけど、ここでやっていたんだ?」
 「そうだよ~♪」
 「どう売れ行きは?」
 「順調順調♪とはいっても、売れても売れなくてもお金はもらえるけどね~♪」
 「でも売れたほうが嬉しいでしょう?」
 「まぁね~♪」
 「と言う訳で私も売り上げに貢献するから、一本頂戴」
 「はいは~い♪」
 「私達にも下さいな」
 「わっ!?」

 おぉ、リグルの横からいきなり現れた隙間さん。
 後ろには狐さんと橙も一緒にいるみたい。

 「びっくりしたぁ~」
 「ふふふ、ごめんなさいね」
 「やっほ~ミスティア、リグル」
 「紫様、あまりおふざけにならないように」
 「分かっているわよ」
 「どうだか・・・」
 「何かしら?」
 「いえいえ」

 いつもながら、訳のわからない人だよね~。
 食材を仕入れてくれるから、もちろん感謝はしてるけど~。

 「あ、はいリグル。串揚げお待ちどう~♪」
 「あ、ありがとう。それじゃ私は行くね」

 串揚げを手に入れたらすぐ行っちゃった。
 隙間さんの近くにいるのが嫌なのかな?
 まぁ胡散臭い妖怪だしね~。

 「あらあら行っちゃったわね」
 「紫様が脅かすから」
 「そんなつもりは無いのだけど」
 「はぁ~」
 「えぇと、藍様頑張ってくださいね」

 狐さんも大変だねぇ。
 おっと、串揚げ串揚げ。

 「はい、三人前串揚げお待ちどう~」
 「あら、ありがとう」
 「あら、紫も来てたのね」

 串揚げを隙間さん達に渡したところで、横から亡霊さんと半霊さんが現れた。

 「私達にももらえるかしら?」
 「どうぞ~♪」
 「ありがとう」
 「幽々子、このパーティーはありとあらゆるところに招待状を送っているのだから、来るに決まっているじゃない」
 「だって紫のところまで招待状が届くかわからないし、なによりあなたそろそろ眠る時期じゃない」
 「招待状は橙経由で届くし、冬眠は・・・まぁまだちょっとだけ早いわ」
 「じゃあ今日が今年最後の紫になるのかしら?」
 「そうかもしれないわね」
 「幽々子様、でしたらこれから二人で楽しまれてはどうですか?」
 「あら、妖夢にしては気の利いた案を言うじゃない。どうかしら、紫?」
 「そうね、悪くないかもね。と言う訳で藍、橙、あなた達はこのパーティーが終わるまで好きにしていいわ」
 「ですが紫様・・・」
 「大丈夫、こんなところで厄介ごとを起こす気は無いから。さぁ行きましょう幽々子」
 「そうね」

 あららら、隙間さんと亡霊さん、従者を置いて二人で行っちゃった。

 「・・・いいのかい妖夢?」
 「えぇ、冬になると幽々子様は寂しそうにしていましたから、これぐららいは」
 「そうか・・・うむ、妖夢も成長しているんだね」
 「そんな!」

 あ、妖夢が赤くなってる。

 「橙も見習うようにな」
 「はいっ!」
 「いえ、あの・・・」

 あ、さらに赤くなってった。
 というか、半霊部分も赤くなるんだねぇ~。

 「さて、われわれも行くが妖夢も一緒に行くかい?」
 「あ、はい!」
 「そうか、じゃあ一緒に行こうか。橙もおいで」
 「はい」
 「まったね~♪」

 遠ざかっていく従者三人。
 さて、私も炭を変えないと~♪





 中天に差し掛かった月、真夜中のパーティーは最高潮~♪

 「さぁ~行くぞ、勇儀!!」
 「おぅこいや、萃香!!」
 「ちょっと、助けてください~!!」

 因みに屋台の前でも最高潮になっている鬼が二人~♪
 間に挟まれた生贄烏が一羽~♪

 「ミスティアさ~ん、同じ鳥のよしみで助けてくださいよ~!!」
 「君子危うきに近寄らず~♪藪をつついて蛇は出したくないのよ~♪」
 「鬼~!!」
 「「なんだい?」」
 「うぎゃ~!!」

 うん、だれだって酔った鬼には絡まれたくない♪

 「さぁ次はこの度数85の酒だね」
 「お、いいのを持っているじゃないか」
 「ふふふ、紫から手に入れた外のお酒さ」
 「よし、じゃあ一気勝負だ!」
 「おお!」
 「何で私まで渡されてんですか~!!」
 「天狗は酒に強いんだろう?」
 「鬼と比べられても困ります!!」
 「「まぁまぁいいからいいから」」
 「ひぃっ~~~!!」

 あらら、ご愁傷様♪

 「いろいろうるさくなってきたわね」
 「あ、いらしゃ~い♪」

 今度来たのは紫色の魔女さんと白っぽい服を着たメイドさん?

 「だからって母さんもはしゃがないでよね。丈夫じゃないんだから」

 お母さん?もしかして親子なのかな?

 「いちおう強化もしてあるから大丈夫よ」
 「強化が切れた後の反動に苦しむのはわかっているでしょ!」
 「でも・・・」
 「でもじゃありません。倒れたときに面倒をみる私や小悪魔姉さんのことも考えてください」
 「むきゅ~」

 なんか、娘のほうが強いみたい。

 「そうそう、こっちは私の養子の・・・」
 「娘のメリッサ・ノーレッジです。一応紅魔館の医療部門長をしているので、何かあったら声を掛けてください」
 「わかった~♪」
 「メリッサ、一応今のあなたは仕事中ではないはずよ」
 「まぁそれはそうですけど」
 「だから私に構わず・・・」
 「それは駄目です」
 「うっ」
 「離れたときに母さんが倒れるかもしれないとか考えたら、そんなこと出来ません。体が弱いって自覚してます?」
 「してるわよ」
 「してませんっ!してたらあんなにしょっちゅう無茶をして倒れたりしません!!」
 「いや、あれはわかってても止められなくて・・・」
 「なおさら悪いっ!!!」
 「相変わらず娘に弱いですね」

 あ、門番さんも来た。
 なんか両手にいろいろ食べ物を持ってる?

 「む、美鈴」
 「あ、門番長。門番長からもいってやってくださいよ!」
 「ムリムリ、お嬢様にだって止められないのに私が言ったところで効果は無いですよ」
 「だからって」
 「でも、メリッサが来てから随分と無茶は減ったのよ?やっぱり娘の言うことは聞くのかしらね」
 「黙りなさい、門番」
 「はいはい」
 「というか、あなた受付はどうしたのよ?」
 「あぁ、ここまでくれば新しい来客もいないだろうということで、休憩を貰ったんですよ。まぁそれでもしばらくしたら戻りますけどね」
 「じゃあせいぜい短い時間を楽しむことね」
 「そうさせていただきます。あ。串揚げもらえるかしら?」
 「あ、ど~ぞ~♪」
 「ありがとう。それではパチュリー様、メリッサ、また後で」

 串揚げもらった門番さん、それをかじりながらまた別の料理のところに行っちゃった。
 そういえば、鬼と烏の飲み比べ、いつの間にか烏が狼に変化してる?
 と思ったら、烏は離れたところから写真を撮ってた。
 身代わり狼、人身御供。
 逃げた烏は野次馬写真家。
 あれ?なんかさらに河童が一人?

 「無理です無理です!私はそんなに呑めません!!というか、将棋仲間を売るな~!!」
 「こうなればにとりもろとも!!」
 「ぎゃ~!!なにその無理心中!?河童は天狗ほど強くないって言っているでしょう!?ましてや相手は鬼だよ!!?」
 「さぁ~次は95%いってみよ~か~」
 「おぉ流石萃香、地獄にもこんな酒はなかなか無いぞ!!」
 「無くていいです!!というか一升瓶ごと渡さないで~!!」
 「さぁにとりも一緒に死のう」
 「ヘーループーミ~~~~~~~~!!!!!」
 「良かった、逃げ出せて本当によかった・・・」

 うわっ、さらに酷くなってるみたい~。

 「流石にあんな馬鹿騒ぎには加われないわね」
 「加わらなくていいです」

 あれ、いつの間にか魔女さんとメイドさんが、桃の人とひらひらの人に変ってた?

 「いらしゃ~い、串揚げ食べてく~?」
 「そうね、一本貰おうかしら」
 「では、私も」
 「はいは~い♪」

 二人に串揚げを渡す。
 そういえばそろそろ材料が切れそう?
 結構持ってきたのになぁ。

 「あの子鬼、地上でも相変わらずねぇ」
 「というか、きっとどこでも変らないのでしょう」
 「違いないわね」
 「そう、鬼達はどこでもあの明るい姿、陰気な妖怪からしてみれば彼等の陽気さは妬ましい限りだわ」

 うおっ、また新しい人が来た。
 なんか急に現れる人が多くないかな?

 「何、あなたは?」
 「パルスィ、あの世とこの世、地上と地下を結ぶ妬みの橋よ」
 「橋姫ですか」
 「あら、天と地上を結ぶ紅い雲が知っているとは驚きね」
 「橋姫?」
 「総領娘様、あまり関わりにならない方が良いかと・・・」
 「嫉妬狂いの女妖よ。地下の妖怪も呼ばれたから来てみたけど、あまりのもの華やかさに嫉妬してしまうわ」
 「嫉妬ねぇ・・・私にはあまり関係ないかしら」
 「いえ、あなたにも妬みの心はあるわ・・・そうねぇ、退屈な天界ではなく、変化の激しい地上の者達に抱くものとか・・・」
 「・・・それ以上言うと、どうなっても知らないわよ?」
 「総領娘様!?」
 「怖い怖い。ねぇわかる?嫉妬と願いは似ているわ。押し込められた願いはかなわぬ夢となり、願いを成就したものを妬む様になる。プライドが高いのもいいけど、願いを押し込めすぎて私のようにならないでね・・・」

 金髪橋姫さん、そんな事を言って去ってちゃった。
 あ、ついでに串揚げが一つ持ってかれてる。
 いつの間にとったんだろう?

 「・・・なんなの、あいつ」
 「・・・珍しいことに総領娘様にアドバイスをくれたみたいですね。彼らは他人の嫉妬心に敏感ですし」
 「どういうこと?」
 「御自分で考えてみて下さい」
 「あ、丁度いいところに!姉さん、リリカ、こっちこっち!!」

 ん、あっちから来るのはメルランかな?
 後から、ルナサやリリカも一緒に来てる。

 「ねぇねぇ一緒にライブしようよ!?」
 「へっ?」

 いきなりの言葉にわたしは目をぱちくりさせた。

 「はいはい、メルラン姉さんはちょっとこっちに行っててね」
 「あぁん、リリカのいけず~」
 「うっさい。ルナサ姉さん説明よろしく」
 「あ~つまりだな、私達はここで演奏、つまりライブをしようと思っているのだが、そのライブにヴォーカルとして出ないかということなんだ」
 「え、いいの!?」

 やり~、この騒ぎじゃあ誰も私の歌なんて聞いてないみたいだから、ちょっと寂しかったんだよね~♪

 「あ、でも歌詞とかどうするの?私はそっちの演奏する曲の歌詞なんて知らないよ?」
 「いや、それは好きに歌っていい。もともと私達の演奏も似たようなところがあるしな」

 そういえば、騒音の演奏だっけ?

 「で、どうかな?」
 「うん、わかった。ちょっと待ってて、すぐ準備するから~♪」
 「早くしてね~」
 「メルラン姉さん、急かさない!」

 さてさて、火の始末をして、油を処理して・・・ああ、そのまえにあちょっとだけまった食材どうしよう?ま、いいか、後でまた調理すれば~♪

 「よし、準備おっけ~♪」
 「よし、じゃあいこうか」
 「さぁ、幽霊楽団with夜雀のライブの始まりよ~!」
 「騒がしく行ってみよ~!」
 「「「お~!」」」

 紅魔館に響く怒声と歓声、楽器の調べに乗る夜雀の歌声。
 夜明けまでにはまだ少し・・・。
お待たせしました、とうとう今回で無印・プチを合わせて20作目となる楸(ひさぎ)です。
屋台シリーズもとうとう十作目、『屋台の会話? 十夜目 ~出張編~』をお送りいたします。
作中に自分の過去作品、想い出シリーズと厄神と福神の幸福論からオリキャラが出てきてますが、多分恐らくこれらを呼んでいなくても平気だったと思います。
今回は季節的、距離的に不可能っぽいキャラ以外は全部(本当にちょっとだけのキャラもいますが)出ていると思います。
おかげで各会話が短めですが、パーティーなんてそんな一箇所に留まるものではないですよね?
まぁそれはともかく、これからもよろしくお願いいたします。

では、拙い文章ですが楽しんでいただけたら幸いです。

誤字修正と注意書きを足しました。

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コメント



0.1170簡易評価
5.80名前が無い程度の能力削除
お疲れ様です
会話の雰囲気が良くて楽しめました
ただ、過去作品のキャラを出すのなら一応冒頭に書いてほしかったなーと思ったり
オリキャラが出てきたとき「アレ?誰だ?」って考えてしまったもので

あと誤字っぽいもの
>「いえいえ、じゃあお燐、もう話してあげなさい。こいしも」
話して→放して?
>「そう、あなたが・・・始めまして紅魔館当主レミリア・スカーレットよ」
始めまして→初めまして?
14.50名前が無い程度の能力削除
作品を楽しむ前提条件が完全に「作者の今までの作品を全て内容まで把握していること」になっちゃってますね。
おかげで疑問に思うたびに過去作品を思い出したり読み返したりする必要があるので凄く読みにくいです。
16.20名前が無い程度の能力削除
なんというか、「♪」が文のリズムを乱しすぎて、途中で読む気も失せました。
18.90名前が無い程度の能力削除
原作もオリキャラもオンパレード
総じて面白いけどちと読みにくい部分もあるかも

今日はいつもより賑やかな夜雀の屋台
人間や妖怪、妖精は言うに及ばず、妖獣や吸血鬼や魔法使い、山の天狗に河童に鬼に神様まで
まるでここが小さな幻想郷のよう
20.100名前が無い程度の能力削除
幽香の友達のあの子はなかなか素敵に成長したようで何よりです
きっと引く手あまたの素敵な方になったことでしょう
22.無評価削除
皆様、感想&評価ありがとうございます。

>5
誤字の報告ありがとうございます。

注意書き無しのオリキャラの登場は、かなり読みにくいようですね。反省します。
また、過去作を読まなきゃいけないのも大変なようですが、自分の作品の世界観が全て繋がっているためオールキャストとなると彼らも出てしまうため、削るのは難しかったんですよね。
特に縁君、彼がいないと雛が出れませんし。
ですが読みやすさとかを考えると読んでいない人とかは面倒ですし…難しいです。
『♪』に関しては、リズムを崩さないように次から頑張るしかないですね。
これを外すと、文章がかなり変っちゃいますし。