Coolier - 新生・東方創想話

砂漠に赤い花

2009/08/13 20:06:59
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 昨夜、霊夢は紅魔館からの依頼を受けて、妖怪退治を行っていた。妖精がいたずらをしていた、という程度の異変と呼ぶほどの物でもないが、時間だけはかかってしまい、徹夜となっていた。疲れ果てた霊夢は紅魔館の部屋を借り、遅い睡眠をとっていたのだが――

 「暑い暑い暑い!」
 
 気がつけば霊夢は一人、見たことも無い景色の中を歩いていた。

 「ビール~冷酒~せめてお水~」
 
 辺りに見えるのは一面の砂と砂と砂、それと燦々と照りつける太陽。

 「アイス~かき氷~水がないなら氷でいいから~」

 紅魔館でぐっすりと眠っていたはずなのに。

 「このままじゃ巫女の干物が出来るわよ~~~~」

 どうしてこんな砂の中にいるのだろう? 暑さの中でそれを考えることすら出来ず、霊夢は砂漠の中をさまよっていた。その中で霊夢は見た。生い茂る草木と、湖の姿を。

 「水……水……水……」

 大急ぎでその姿へと飛んでいく霊夢。だが、追えども追えどもその影は捕まらない。

 「もう駄目……そうか、これってどこかの妖怪のしわざかな……」

 近づく度に逃げる影。その影に翻弄されたまま、暑さの中、霊夢の意識は朦朧とし始めていた。

 「魔理沙……今回の異変はあなたに託したわ。大丈夫、あなたなら出来るわ。紫……幻想郷の結界はよろしくね。博麗の血はここで絶えるみたい」

 追いかけていた影はいつの間にかその歩みを止めていた。それを時を同じくして、霊夢もその歩みを止め、地面に縫い止められるかのような姿をさらしていた。

 「その時、幻想郷の中で、一つの星が瞬いて消えた。その時、一つの時代が終わりを告げた」

 霊夢は照りつける太陽の下で、暗い闇に意識を奪われようとしていた。その中で微かに残った意識がうわごとを呟いていた。
 
 「ごめん、魔理沙。ごめん、紫。ごめん、みんな……」

 その微かな意識も薄れ、霊夢の意識もまた闇に縫い止められようとしていた。

 「……幻想郷歴百二十一季 八月十日 十二時五十五分 博麗霊夢の時は××歳で停止した――」

 そう霊夢が呟いた瞬間に、霊夢の意識は途切れた。






 すると霊夢に一つの影が差した。その影の大きさは人の物。その影の元は短く何かを唱えた。その刹那に水が現れた。

 「何やってるの? 一人芝居の練習?」

 その水を霊夢にかけると、人の形をした影は霊夢にそう話しかけた。霊夢はその影を見ながら

 「ん……水? ああ、ここは三途の河かしら? 水……冷たくておいしいな……」

 と話した、影は呆れたような声で霊夢に返した。
 
 「いや、違うわよ。起きなさいよ」
 「ねえ、私は良いことばっかりしてきたから、一瞬で向こう岸まで着けるはずでしょうけど、ちょっと疲れたわ。一眠りしたいの。だからゆっくり川を渡ってね……」

 その影がまた何かを唱える。その影の先には火が見えた。その影は霊夢に火を投げつける。

 「熱い熱い熱い! え!? まさか眠っている間に地獄に落とされちゃったの?」
 「何を馬鹿なことを言ってるのよ」
 
 寝ぼけ眼の霊夢にパチュリーがそう話しかけると、霊夢は寝ぼけ眼のままで返した。

 「あらパチュリー、そうよね、私は紅魔館で寝てて……だからあなたが、ああよかった、夢だったのね」
 「夢?」
 「そうよ、夢。砂の中で一人彷徨ってるの。とっても暑い中を、嫌な夢だったな」
 「夢も何もどう見ても――」

 そのまま再び眠りにつこうとする霊夢。

 「でもここも暑いわね。もうちょっと空調利かせてよ、それじゃもう少し寝たいから寝させてね、起こさないでもいいわよ。……ああ、ついでに水置いといてくれる? 喉渇いたの」

 パチュリーは静かに"フロギスティックレイン"と呟き、燃える水を霊夢へと投げつけた。

 「熱い熱い! もう、なんなのよ! 私に恨みでもあるの!」
 「水が欲しかったんでしょ? それより少しは周りを見てみたら?」

 辺り一面には果てしなく砂が敷き詰められていた。遙か先には湖と草木の建物の影が。先ほどまでと何一つ変わらないまま。

 「え? 夢じゃないの?」
 「夢じゃないのですって? どう見ても現実でしょう」
 
 パチュリーは淡々と、残酷な言葉を口にする。そして霊夢はパチュリーに問いかけるが

 「どこなのよ? ここ!」
 「砂漠でしょ?」
 「パチュリーは何をしていたの?」
 「読書よ」
 「どうしてこんなとこに私たちはいるのよ?」
 「さあ?」

  再び淡々と返した。

 「もう! どうしてそんな落ち着いてるのよ! 家に帰りたくないの?」
 「まだ本が読みかけなのよ。そっちの方が気になるわ」

 パチュリーの手元には確かに一冊の本があった。さらに恐ろしいまでの厚さを誇っていた。

 「全く素晴らしい本の虫ね! だけどよくこんな眩しい中で本が読めるわね? これじゃ座ることも出来ないのに」
 
 そう霊夢が問いかけると、パチュリーは無言のまま指を指した。そこには一つの、小さな建物が見えた。

 「部屋作ったの。これならどこにいても関係ないわ」

 奇妙な形の草木で作られた建物がそこにはあった。小さいが、確かに一つの密室ともなれるものが。

 「関係あるでしょ! 喉は渇くしお腹はすくし! 水も何もないじゃない? 困らないの?」
 「私は魔法使いだからそんなの無くても平気よ」
 「私は人間よ!」
 「そうね、ご愁傷様」

 霊夢はおもむろにスペルカードを取り出し、業を煮やした顔でパチュリーに問いかける。
 
 「1 協力してくれ! 頼む! 
  2 殺してでも協力させる。
  3 そう、関係ないね。
 ねえ、あなたはどれを選んで欲しいの?」
 
 アイスソードを目の前にしたかのような表情の霊夢だった。それに対しパチュリーは相変わらず落ち着いた様子で答える。
 
 「そりゃ3よ、いいとこ1ね。私がいなかったらまた行き倒れそうだし。土下座するなら水くらいは――」
 「私は2よ。大丈夫、流石に殺すってのは言い過ぎたわ。生まれてきたことを後悔させるだけで許してあげるから」
 「もう、少しは落ち着きなさいよ」
 「この糞暑い中で落ち着けるか! とりあえず水はさっき貰ったけど、お腹も空いたわ。昨日から忙しくて何も食べてなかったのよ」
 「しょうがないわね」

 パチュリーは何事かを詠唱した。すると、水も無い砂漠の砂の下から植物が生えてきた。
 
 「これでも食べて落ち着きなさいよ。大丈夫、毒なんかはないわ、砂は付いてるけど、砂漠の砂は清潔だしサラサラしてるから平気よ」
 「とりあえず食べられればなんでもいいかな、確かに食べれば落ち着きそう。さっきは脅かしたりしてごめんね」
 「別にいいわよ、でも気をつけて――」
 「ありがとう。それじゃいただきま~す」
 「あ、ちょっと――」
 そうして霊夢はパチュリーの声を聞きとめる間もなく、砂の下にある植物を抜いた。

 


 ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアああああああああうわああああァァァァァァああああルイズルイズうわああああああああああああああああああああ!!モフモフ!!!!シャナアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!あwせdrftgyふじこplヴィルヘルミナアアアアアア!ウアアアアアアくぎゅううううう!!!!!!!!!!!!!!
 


 その瞬間にガラスを引っ掻いたような音を百倍にもしたような恐ろしい悲鳴が聞こえた。再び霊夢は気を失った。パチュリーは霊夢に水をかける。やっとのことで霊夢は目を覚ます。

 「う……ん」

 巫女服を濡らしたままで霊夢は目を覚ます。
 
 「大丈夫? 霊夢」
 「え…今何が……」
 「もう、ちゃんと悲鳴が聞こえないようにして抜かないと駄目じゃない」
 
 パチュリーは手元に植物の根を持ったまま話しかける、まるで人のような形のその根を持ったまま。

 「はい、霊夢。もう大丈夫よ。召し上がりなさい」
 
 パチュリーはもう悲鳴こそ上げないままだが、相変わらず奇妙な言葉を呟くその根を霊夢に手渡した。

 「これを……食べろと?」 
 「ええ、栄養豊富よ?」
 「これってもしかして……」
 「ん? マンドラゴラよ? それがどうしたの?」

 事も無げな顔をするパチュリーの前で、濡れた髪を振り回しながら、霊夢は一枚のスペルカードを取り出した。マンドラゴラは相変わらず何事かを呟いている。霊夢は叫ぶ。

 「こんなの食えるかあああああああああああ! 『八方龍殺陣!』」

 その瞬間に陣に絡め取られたマンドラゴラは塵も残さずに消え去った。

 「何するのよ! もったいないわね。栄養豊富で万病に効くのよ? せっかく出してあげたのに」
 「そうね、その心使いには涙を流して感謝するわよ、でもね、人間の食べる植物は奇怪な悲鳴をあげたりしないの」
 「そうだったの?」
 「……やっぱり2を選んだ方が良いのかしら」

 ニア 殺してでも協力させる。を選ぼうか迷いつつも、霊夢は叫んだおかげで喉の渇きが増してることに気づいた。

 「ねえパチュリー」
 「何? もう少し待ってよ。読み終わったら聞いてあげるから」
 「どのくらいかかるのよ?」
 「あと1000ページくらいかしら?」
 「……辞書でも読んでるの……」
 「違うわよ、ミステリーよ、ほら、ちゃんと二段組みでしょ?」
 「どれだけ謎に満ちた大長編なのよ?」
 
 その本の厚さに呆れながらも、喉の渇きに負けて霊夢は続ける。
 
 「とりあえず水出してよ、叫んだせいで喉渇いたわ。」
 「しょうがないわね、今かけてあげたばっかりなのに」

 パチュリーは魔法を詠唱した。しかし、今回はほんの僅かの水滴しか現れなかった。

 「あら?もう駄目みたい」
 「駄目って……」
 「魔法だって万能じゃないのよ。ちゃんと準備が必要だけど、ここじゃろくに出来ないし、それに質量保存の法則とか――」
 
 霊夢は絶望的な表情を浮かべながらパチュリーに問いかける。

 「で、ご託はいいから結論を言ってほしいんだけど。水は出せるの?」 
 「ここじゃ難しいわね。もう近くに水の元がほとんどないわ」
 「じゃあ動けばいいのね?」
 「そうね、場所を移せば出るわ」
 「じゃあ動きましょうよ」
 「だから本を読むまで待ってよ」
 「いつまでかかるの?」

 パチュリーは最後のページをめくると、残りのページ数を確認した。

 「あと968ページね、だから――」

 霊夢はそれを聞いた瞬間に、日頃の暢気さからは想像も出来ないほどの俊敏な動作でパチュリーの手から本を奪い取った。

 「さあパチュリー。行きましょうか?」
 「もう、ちょっとくらい待ってよ」
 「その間に巫女の干物が出来るわよ!」
 「……しょうがないわね、あなたといる限り静かに本が読めそうに無いわ」
 「帰れば好きなだけ静かに読めるわよ」
 「まったく、人間ってのは自分勝手ね」
 「こっちはあなたたちほど体が丈夫じゃないんだからしかたないじゃない」

 パチュリーは憮然とした表情を浮かべつつも、本を人質に取られた以上しかたない、と言った様子で移動を始めた。

 「で、霊夢、どこへ行くつもりなのよ」
 「さあ? 勘のままによ。とにかく帰らないと行けないんだから、ここにいてもしょうがないでしょ?」
 「相変わらず勘のままね」
 「それで毎回上手くいってるんだからいいのよ、それに動かなきゃ水がないんだから」

 




 二人は当ても無いままふらふらと空を飛んでいた。相変わらず太陽が照りつける中、下には果てしなく広がる砂漠を見ながら。

 「ねえパチュリー、そんな分厚い本持って重くないの? どう見ても重さがキロ単位よね、それ」
 
 パチュリーは凄まじい厚さの本を片手で重そうに抱えてながら飛んでいた。誰の目にも重そうに見える本を抱えながら。
 
 「でも、放り出すわけにもいかないしね」
 「まあ本人の自由だけど。それよりどうやってここに来たか覚えてる? 私は寝てて、目を覚ましたらいきなりここにいたわ」
 「そうね……いつものように本を読んでたんだけど、ちょっとお茶でも欲しくなったから、久々に部屋から出たのよ」
 「それで?」
 「一瞬辺りが歪んで、そして暗くなった気がしたわ、そうしたらいきなりこの中にいたの」
 「それでも相変わらず本を読み続けてたと」
 「ええ」

 二人は飛び続けるが、何も変わらず、砂漠はただ広がっていた。

 「しかし果てしなく広いわね、どう考えてもこの砂漠幻想郷より広いわよ?」
 「そうね」
 「何かの妖怪の能力かしら?  異変は山ほど経験したけど、こんなの初めてよ。わけもわからないとこに飛ばされるなんて」
 「思いつく節もあるけど……情報が少なすぎるのよね」 
 「それよりまずは水よ!」

 飛べども飛べども何もなく、地平線の果ても見えず、砂漠は果てしなく広がっていた。

 「ここまで飛べばそろそろ水も出るんじゃない?」
 「試してみないとわからないけど、多分出るんじゃないかしら?」
 「ちょっと休みましょうよ、とにかく喉が渇いてしょうがないわ、汗もだらだら、これじゃ服が透けちゃいそうよ」
 「ここが人里じゃなくて良かったわね」
 「人里なら好きに汗も流せたのに」

 適当な所で降りようとしながら、二人は話し続ける。

 「でも、他にも誰かここにいないのかしらね?」
 「どうでしょうね、可能性は十分ありそうだけど」
 「考えてみればまだパチュリーがいて良かったわ、私一人じゃ干からびてたわよ」
 「そうでしょうね」
 「帰ったら本の一冊や二冊でも送るわよ」
 「楽しみにしたいわね。霊夢の所には古文書なんかもあれこれあるんでしょ?」

 二人は博麗神社の倉庫にに積み上げられた本の山の事を考えながら、何もない砂漠に降りた。

 「っと、よし、水が出たわ」
 「やったわね! パチュリー!」

 霊夢は水を飲みながら思わずこう呟く
 
 「ああ……やっと人心地が付いたわ」

 とても穏やかな表情でそう呟く。

 「人間は水が無いくらいで感情に起伏が生まれたりして大変ね」
 「しょうがないじゃない。パチュリーは水いらないの?」
 「そうね、せっかくだから私も飲みましょうか」
 
 生きるために必要では無いとはいえ、パチュリーにも水は美味しく感じられた。それを見ながら霊夢が話しかけた。

 「後は、にとりでもいればいいのに。そうすれば水も飲み放題よ。チルノでもいいな。あいつがいればここでも涼しいわ」
 「涼しいか……すぐにそうなるわよ」
 「?」
 
 霊夢がパチュリーの言葉に疑問を感じた時、二人は地平線の近くに青いものを見た。

 「ねえパチュリー、向こうを見てよ」

 霊夢が指さした先には、小さな、しかし砂漠の色とは明らかに異質な青いものが見えた。

 「何かいるわね?」
 「あら? あれチルノじゃない?」
 「どうかしら? とりあえず行ってみましょうか?」
 「勿論よ!」

 二人は地平線へ向かって飛び立った。

 「ああ……チルノがいればこの熱い砂漠でもひんやり涼しく……」
 「だから涼しいなんてのは――」

 パチュリーの言葉が全く耳に入っていない様子で霊夢は飛び続ける。青いものに近づく、青い服の背が見えた。羽が見えた。
  
 「あれ妖精よ! やっぱりチルノだわ! あの馬鹿に会えてこんなに嬉しいなんて」

 霊夢はスピードを上げ、その青へと近づく、その姿にオアシスのような安らぎと涼しさを見ながら。

 「ひっく、えっく――」

 子供のような声の泣き声が聞こえた。二人はその傍らに降り立った。
 
 「ここ……どこなの……みんなは? ひっく……」
 「あら? チルノじゃないわね」 

 パチュリーがそう言うと、霊夢は少し残念な思いもしたが、それ以上に泣き声が気になっていた。悲しそうな子供の泣き声が。妖精も二人に気づくとその顔を二人に向ける。

 「え!? 誰――」
 
 そして妖精は顔に半ばの涙を残したまま、不思議そうな顔で二人に問いかけた

 「ああ、あなただったの。ええと――」

 霊夢はその姿には確かに見覚えがあったが、名前までは知らないことに気づき、素直に問いかけることとした。

 「ええと、霧の湖に住んでる妖精よね」
 「……ひっく、はい、そうです、以前お会いしましたね」
 「そうだったわね、紅魔館の近くで、あの時は名前も聞かなかったけど」
 「博麗霊夢さんですよね、私は大妖精です」

 その妖精は大妖精と言うだけに、妖精としては大きな姿をしていた。人間の子供ほどの。礼儀も正しく、チルノに比べれば随分と頭が良いように見えた。人に会えた安心感からか涙も止まったようだった。
  
 「大妖精ね。それで名前は――」
 「いや、霊夢――」
 「え? あの、……大妖精って名前ですけど……やっぱり変な名前なんでしょうか?」

 霊夢は失敗したような表情を浮かべ、少し沈黙したが

 「え、ええと、そうね、変わってるかもしれないけれど良い名前だと思うわ」

 そう答えると話の矛先を変えるように大妖精へと問いかけた。

 「あなたはどうしてここに来たの?」
 「その、妖精のみんなで、湖の周りで鬼ごっこをしていたんですよ。夕暮れの時間ですかね。それでチルノちゃんが鬼になって、私は逃げてて」
 「それで?」
 「それでですね、逃げ回ってたら、紅魔館の方にですかね。そうしたら急に周りが変な風に見えて」

 パチュリーは自分と同じようだと思いながら問いかけた。

 「ねえ大妖精、私もそうだったのよ、辺りが暗くなって」
 「そうですね、言われたらそんな気もします。なんだろう? 周りが歪んで見えて、そうしたら暗くなって」
 「するとここにいたと」
 「はい」

 二人の話には共通点があったが、それでも答えは見えてこない。
 
 二人の話を聞いていた大妖精はまた泣き顔になり。

 「――ひっく……もしかして、私たちって一生ここで暮らすんでしょうか……」
 「……大丈夫よ、私たちで考えれば大丈夫。三人寄れば文殊の知恵、一本の矢は弱くても、三本束ねれば!」
 
 霊夢は大妖精になぐさめの言葉をかける。

 「でもどうすればいいのかしらね? ねえ大妖精。あなたはどんな能力を持ってるの?」
 「え?能力ですか? ええと……特には無いです……空を飛んだり、弾幕を張ったりは出来ますけど……」
 「……そうなの。まあ私も人の事はいえないけどね、でも大丈夫、三人で力を合わせればなんとかなるわよ、パチュリーは何か良い考えはないの?」
 「さっきの本の犯人と謎が気になってそれどころじゃないのよ、何も考えられないわ。」

 霊夢と大妖精はあきれ顔だったが、パチュリーの困り果てた顔には何も言えなかった。

 「もう、本当にパチュリーは本ばっかりね……あとでゆっくり読めばいいじゃない」
 「私……不器用だから」
 「それ全然格好良く聞こえないわよ」
 「でもね、これだけはそろそろ考えた方がいいわ。特に霊夢はね。これからとんでもなく寒くなるわよ」
 「何を言ってるのよ。これだけ熱いのよ。おまけに今は八月。それが寒くなるって」
 
 霊夢はそういうが、大妖精は特に疑問を感じていないように話す。

 「でも……最初にここに来たときよりも涼しくなってません?」
 「そうかしら? 相変わらず熱いけど……」
 
 疑問げな霊夢にパチュリーは話す。
  
 「それはあなたが喉を渇かせてたり、気持ちが熱くなってたりしているせいもあるんじゃない?」
 「そんな馬鹿なことはないでしょ」
 「まあ半分冗談よ、でもね、妖精は自然に敏感だから、微妙な温度の変化にも気づいてるはずよ」
 
 大妖精も続けて

 「はい、確かに温度が下がってるんですよ」
 
 と話した。

 「まあいいわ、霊夢。簡単に説明するとね。水ってのは熱くなりにくくて冷めやすいの」
 「それで?」
 「岩とか鉄、それにそれらが作る砂は熱くなりやすくて冷めやすいの、砂漠は砂だらけで水なんてほとんど無いでしょう?」 
 「ってことは?」
 「料理と同じよ。鍋と水、どっちが先に熱くなるかって言ったら鍋でしょ?ここは鍋と同じ。だから太陽が消えたら一気に冷めるわよ」
 「それでどうすればいいの?」
 「昼のうちに帰れればいいけど、無理なら少しでも水がある場所を探すしかないのかしらね」

 霊夢はしょうがないといった表情で

 「明日までここにいるなんてぞっとしないけど、万が一もあるからね」
 「そうですね、少しでも水を捜しましょう」
 「そうね、目に見えなくても、元になるものが多ければ私が水を作ってもいいわけだし」

 と話し、そして三人は飛び立つ。しかし水の影も見えない。飛んでいるうちに太陽は沈みかけていた。明らかな寒さを三人が襲う。

 「確かに寒くなってきたわね。でも水の影も見えないんだけど」
 「そうね」」
 「せめて水気のある場所を探さないと……」
 
 せめてもの水気がある場所を探そうとするが、三人にはその痕跡も見つからない

 「実際水の元がある場所ってどんなのなのよ」
 「そうねえ、草木が生えてたり、物影で湿気があったり」
 「そんなものの影も見えませんね」

 次第に夜がその顔を現そうとしていた。三人は一つの岩を見つけた。
 
 「何もなければ、あそこでもしょうがないのかしら」
 「ただの岩しかないわよ」
 「少しは影だし、寒さもそうなんだけど、風も怖いのよ」
 「どうして?」 
 「砂漠には風を遮るものが何もないもの、とんでもない突風が来るかも知れないわ、特に温度差があると起きやすいの、夜になる時間とかね」
 
 三人はそれに同意した。既に寒さに襲われてきている。さらに闇が周りを包み始めている。
  
 「しょうがないわね、ここにする?」
 「そうしましょう、一応魔法で建物は作ってみるけど、大したものは作れないわ。岩でもいいから風よけになるものが有った方が安心よ」
 「そうですね、作っていただけるだけでもありがたいです」

 パチュリーが魔法を唱えると、小屋どころか倉庫とすらも言い難いものだが、一応建物と呼べるものが出来上がった。

 「これでやっと本が読める」
 
 と口の中で呟きながら。





 そのまま日が落ち、三人は建物の中に入った。しかし外は奇妙な夜であった。太陽と入れ替わり、月が代わりに昇ったのだが、空には星の一つも無かった。だが、それを考える余裕すらない寒さに襲われていた。

 「寒い寒い寒い!」

 微かな月の明かりと、パチュリーが持参していた――いつ何があろうとも本が読めるように常に持ち歩いているという――小さなブックライトとだけが照らす部屋で、霊夢は寒さに震えていた。パチュリーは寒さを感じながらもさほどでは無い様子であり、大妖精は

 「チルノちゃんのおかげで慣れてますから」
  
 と平然とした様子を見せていた。

 「昼は暑い、夜は寒いって騒いで。全く慌ただしいわね」

 と霊夢から取り返した本を読みながらパチュリーは淡々と呟いた。

 「寒い……意識が……」

 霊夢は震えながらそう呟く。

 「ねえパチュリー……そのライトって暖かくならないの?」
 
 霊夢はパチュリーが持参していたブックライトを見て、歯を鳴らしながら呟く。
 
 「基本的には無理ね、これは微弱な電気で動いてるの、この程度の灯りを灯すのが精一杯よ」
 「魔法の道具ってやつなの? そんな便利な道具の代わりに蝋燭でも持ってればいいのに……暖かくなる魔法はないの……火を付けたり、そうね、さっきの燃える水とか……」
 「火を付けることは出来るけど」
 「じゃあ付けてよ……」

 霊夢は白い顔で呟く。

 「でもね、すぐ消えちゃうわよ? だって燃料がほとんどないもの」
 「魔法でなんとかしてよ……」
 「魔法って言ってもそこまで便利じゃないわよ。無から何かを生み出したりは出来ないわ」
 「……どういうことよ……ライトは?……寒い」
 「これだけじゃすぐ消えるわよ」

 霊夢は虚ろな目で呟く。

 「霊夢さんの格好は寒そうですからね。特に脇とか」
 「八月なんだから当たり前でしょ……」

 大妖精の問いに消え入りそうな言葉で呟く。

 「ねえパチュリー、すぐ消えるってどのくらいよ……」
 「燃やすものが無いんだから、火を付けた瞬間に消えるわよ、燃える水だって、その辺のものを集めて作ったのよ、空気から水素と酸素、ライトから燃素って集めて」
 「燃素? 燃素って何だかよくわからないけど――」
 「それにこの辺には妖精は……まあいるけど、聖霊が殆どいないわ」
 「燃えるものならそこにあるじゃない」

 霊夢はパチュリーの言葉を聞き流しながら、その先に一冊の本を見ていた。その瞬間に奇妙な活気が霊夢の目に宿った。

 「その本よ! 厚いしよく燃えそうだわ」
 「何言ってるのよ。命の次くらいに大事よ」
 「ああ……じゃあその服もよく燃えそうね、ふかふかしてるその服」

 霊夢は壊れた目でパチュリーにすり寄ろうとした。パチュリーは、ついに霊夢が壊れた……といった目をしながら、小さな室内で一歩踏み下がる。大妖精は健気にも止めようとする。

 「ああ、大妖精、あなた暖かいわね……、そうか、生き物って暖かいんだ、そうよ、みんなで抱き合って暖まりましょう……」

 しかし、健気な努力も空しく、止めるどころか、大妖精は霊夢に絡め取られようとしていた。

 「ついでに服も燃やせば――」
 
 霊夢は急に言葉を途切れさせた。パチュリーが"レイジィトリリトン"と唱えた瞬間に落ちてきた石で霊夢は気絶していた。

 「これでゆっくり読書が出来るわ。大丈夫、この程度の寒さなら寝ても死なないわよ。たぶんね」

 しばらくの間、静かな時間が流れていた。パチュリーは黙々と本を読み、大妖精は、うとうとと眠り、霊夢は静かに気絶していた。
 はたと霊夢が目を覚ました、相変わらず、寒い……とは呟いていたが、その顔はいつもに戻っていた。いや。いつも通りではない。それ以上に緊張感のある、真剣な顔だった。

 「あら、どうしたの霊夢?」

 とパチュリーは話しかける。

 「なんだか頭が痛いな……私さっきまで何をしてたのかしら。気づいたら寝てたわよ」
 「寒いからね、人間が寝るのはほどほどにした方がいいかもね」

 とパチュリーは平然とした様子で霊夢に話していた。

 「ああ……寒い」
 「もう少しすれば日が昇るわよ、私も朝には本を読み終わってるわ、今探偵がみんなを部屋に集めたとこなの」
 「それじゃトリックと犯人を解明しておしまいってわけね、明日はちゃんと頭使ってよ?」
 「ええ、次の本が読みたいからね、でも霊夢、どうしたの? そんな緊張した顔で」
 「なんだか気になって目が覚めたのよ」

 大妖精は相変わらず、すやすやと寝ていたが霊夢はどうにも目の覚めた様子だった。パチュリーは一人本の世界に没頭していた。そのまま時間は流れていた。夜が白み始めていた。

 「もう少し寝ておけば? 日が昇りきる前に。寝ておかないと明日大変よ?」
 「明日日が暮れるまでは平気よ、それ以上いるなんて考えたくないわ。明日は家でぐっすり寝るの、パチュリーこそ寝なくて良いの?」
 「魔法使いは寝なくても平気なのよ」
 「全く魔法使いって便利ねえ。私も勉強しようかしら?」
 「果てしないお勉強と努力が必要だけどね」
 「それは面倒だなあ……」

 そう話していると、霊夢は何かに気づいた様子で外を見た。
 
 「ねえパチュリー。何か感じない?」
 「え? 別に……あれ? なんか次第に大きくなる音が聞こえるような?」
 「音? ああ、そうね、なんとなく勘が働いた気がしただけだけど、音だわ」

 二人は注意深く異音に耳を澄ませていた。

 「――パチュリー、これ風の音じゃない?」
 「…………そうだわ! 砂嵐が来るかも! しかもこっちに真っ直ぐ向かってるようよ」
 「相変わらず頼りになる私の勘だわ……ろくでもないことにはすぐ気づいてくれるのね」
 「それより早く逃げないと! 大妖精! 起きて!」
 
 二人は大急ぎで大妖精をたたき起こした。

 「ぐう……ぐう……いや、もうおやつは食べられないよ……むにゃ……」
 「起きてよ大妖精!」
 「うん、チルノちゃんどうぞ……すやすや」 
 「起きなさいって!」

 二人で大妖精を揺らすと、半ば寝ぼけたまま大妖精は目を覚ます。
 
 「あれ……おやつは? うん……ああ、お二人ですか、どうしたんですか――」
 
 と力なく返す大妖精に霊夢は大声で叫んだ。

 「砂嵐だか竜巻だかよく分からないけど、とんでもないのが来てるの! 逃げるわよ」
 「眠いなあ、ふわあああ――って嵐ですか!」

 一瞬で目を覚ました大妖精と共に、霊夢は大急ぎでまだ薄暗い空へ飛び上がる。パチュリーも本を畳むと片手に持ち、慌てて飛び上がると霊夢に問いかける。風の音が一直線に近づいてきていた。

 「でも霊夢! どっちに逃げるのよ!」
 「そんなの勘よ! こっちね! 少なくともここよりは安全でしょ!?」

 適当に選んだ方角へと三人は飛ぶ。砂嵐が迫ってくる、恐ろしい量の砂が舞い上がるのが見える。それでもこの方角に逃げれば中心から離れていくのはわかった。三人は全力で飛んだ。

 嵐からどうにか離れられた、と霊夢とパチュリーが思った瞬間、小柄な大妖精が遅れているのが見えた。砂嵐がすぐそこまで迫っているのが見えた。

 「大妖精!」
 
 霊夢がそう叫ぶ、それすらも風に飲まれて届かない。パチュリーは砂を吸ったせいか、急に動いたせいか、喘息の発作で苦しそうにしていて、声すらまともに出ていなかった。

 「助けに行かなきゃ!」
 「ゲホッ 無理……で…しょ。ゲホン あなたも…巻き込まれるわよ」
 「何言ってるのよ!? 助けなきゃ大妖精がどうなると思ってるのよ!?」
 「別に……このくらい…で死に…はしないゲホッ……わよ、……妖精は…」
 「死なないとかじゃないでしょ!? 最初にあった時大妖精が泣いてたのが見えたでしょ? このまま飛ばされたら間違いなくはぐれるわよ? こんな広いんじゃもう会えないかも! それじゃ大妖精がまた泣いちゃうじゃない!」
 「でも……」
 「でも、も何も無いわよ! 見捨てられるわけ無いでしょ! パチュリーは苦しそうだから待っててもいいわ。私が行ってくるから!」

 霊夢は話してる間すらもどかしいように、大妖精の、砂嵐の元へと飛んでいく。

 「何よこれ……天狗の風すら可愛く思えるわ」

 霊夢は砂嵐へと向かうが、その竜巻の勢いと、砂塵の凄まじさに圧倒されていた。それでも大妖精の元へと急ぐ、急がなければ砂に飲まれ、すぐに見失ってしまいそうだった。

 「大妖精!」
 「霊夢さん!」
 「いいから早く掴まって!」

 そう言うと、霊夢は返事を聞く間も無く大妖精の手を掴んだ。だが、その瞬間に勢いの竜巻に掴まり、凄まじい勢いの上昇気流に舞い上げられる。あまりの勢いに、まともに飛ぶ事も出来ず、半ばブラックアウトするほどの勢いで持ち上げられ、朦朧とした意識で風に流された。

 「これは冗談抜きでまずいわね……」

 朦朧とした中、生まれて初めてと言ってもいいほどの深刻な事態の中でも、霊夢は既に意識を失った大妖精を掴んだまま、賢明に体勢を整えようとしていた。しかし、朦朧とした意識ではそれも難しく、二人は持ち上げられた後、木の葉のように舞いながら落ちていった。

 その時、二人には、凄まじい風の音の中で、微かな大きさの叫び声と、ヒュー、ヒューという苦しそうな息の音を聞いた。砂一面の視界の中で、白紫の姿を見た。

 霊夢の後を追って、苦しそうな息をしながら、恐ろしいほどのスピードでパチュリーが砂嵐に飛び込んできていた。パチュリーはその勢いのまま霊夢の手を掴む。だが、その勢いのせいで、霊夢がもう一つの手で掴んでいた大妖精の手を離してしまう。

 それを見たパチュリーは凄まじい勢いで急旋回する。そのGに負けて霊夢すら気を失ってしまう。それでもパチュリーはその気を失うほどの血圧の変化の中でも意識を保ち続け

 「ああ……ま…だ……犯人…わから…ない……のに」

 と息苦しく呟きながらもその片手の本を放り投げ、風が本の重量を物ともせず吹き上げるのを横目で見る中、自由になった片手で大妖精を掴み、砂嵐を抜け、彼方へと飛び去った。
 






 霊夢と大妖精が意識を取り戻したときには、砂嵐は彼方へと消え、パチュリーもどうにか息を整えていた。三人は岩陰に座りながら、ようやく落ち着いた様子となり、話していた。

 「「「死ぬかと思った……」」」

 三人は疲れ果てた表情でそう呟く。

 「しかしパチュリーって意外とやるのね」
 「おかげで疲れたわ、おまけに死ぬほど辛かった……」
 「でもパチュリーさんのおかげで助かりました、ありがとうございます」
 「一回見捨てようとしたけどね」
 「もう、私のおかげで助かったんだから言わないでよ」

 パチュリーは恥ずかしそうな顔で、話題を変えようとした。

 「でもここまで魔法使いなことを感謝したことはないわね……」
 「ずいぶんあれこれ魔法を唱えてたみたいだけど」
 「訳に立ちそうなのを片っ端からね、一応魔法使いだから、喘息でも息が出来なくても、死にはしないし……」
 「便利ですねえ」
 「死ぬほど辛くて苦しかったけどね……」

 どうにか砂嵐から抜けた三人だが、それでも、次はこの砂漠から抜ける、という仕事が残っていた。

 「でもここに居たままじゃ、またこんなことが起きてもおかしくないわね」
 「そうですねえ……」
 「何かわからない?パチュリー、本も無くなったんだし、考えるのに協力してよね」
 「勿論よ。本を粗末にさせた報いを受けさせてやるわ」

 そう話したのに続け、激昂した、という言葉が相応しい様子でパチュリーは話し続ける。


 「私も考えるわよ、そりゃね! 犯人も! トリックも! もうわからないのよ! 必死に考えながら読んでたのに! あの本は外の世界のだから一冊しかなかったのに!」
 
  そう激しい口調で話したパチュリーの目は、誰もが見たことがないほどの凍り付くような寒さと鋭さを持っていた。
 
 「まあ落ち着いて考えてみましょう」

 そう言うと、パチュリーの口調こそ穏やかになったが、それでもその目は相変わらずの冷たさを持っていた、その冷たい目のまま話し続ける。

 「ここは紅魔館の中だと思うのよ」
 「そうなんですか!?」
 「ああ、そうね、私も賛成よ、みんな紅魔館の中にいたのよね? よく考えれば空間を操る馬鹿があそこにはいるのよね」
 「咲夜ね」

 三人は咲夜の事を思い返しながら話し続けた。そして霊夢が話す。

 「あんまり滅茶苦茶な場所だからそうは思えなかったけど、でも私たちが未知の能力で飛ばされたよりは、周りが咲夜のせいでおかしくなったって考えたほうがありそうじゃない?」
 
 大妖精も少し考え、同意した。

 「そうかも知れませんね……確かに私も紅魔館の敷地に入ってましたし」

 パチュリーはまた、霊夢の説明にもう一つの仮説を付け加えた。
 
 「昨日の夜空を見た? 月はあっても星は一つも無いの。不自然でしょ? いくらなんでも」
 「あ、そうですね」
 
 大妖精も同意し、霊夢も納得した表情でそれに続けて話す。

 「星がないってことは幻想郷の外か、室内かじゃないかしら? どこに言っても幻想郷なら星は変わらないわよ。ついでに思うんだけど、月や太陽も人工だと思うわ、あれは」
 
 大妖精は関心した様子で霊夢を眺め、そのまま霊夢は話し続ける。

 「幻想郷の外に行ったら紫達が黙ってないでしょうね。中のもの外に飛ぶってのは結界に異常が出てるってことなんだから」
 
 パチュリーも、それにうなずきながら返した。
 
 「そうね、それに月とか太陽なんて幻想郷じゃ普通にあるんだし、ここが紅魔館の中って方が理にかなってるわよ……たぶんどこかの部屋の中だわ。……家の中で本をボロボロにするなんてあの馬鹿どもは……」

 霊夢はパチュリーの呪詛すらはらんだ声に気圧されながらも、気を取り直し、パチュリーに問いかける。

 「ねえパチュリー、空間を操るなんてのは、あなたが経験も知識も一番あるはずだけど、どうすればいいと思う?」
 「そうですね……紅魔館の中でもなんでも、出られなきゃしかたないんですよね」
 「一番シンプルなのは、単純に果てにたどり着くことよね」
 「だけど、飛んでも飛んでも果てが見えないのよね」

 実際、昨日飛んでいるときには、幾ら飛べども、果てしなく変わらない地平線の姿しか見えていなかった。

 「そうね、それに、もしかすると永遠に果てには着けないかもね」

 パチュリーは恐ろしい想像を口にしていた。霊夢と大妖精はあまり理解できなかった様な表情を浮かべていた。

 「??? どういうこと? 飛べばいつかは果てに着くでしょ。その前に私は干からびてるかもしれないけど」
 「果てが決まってればね」
 「? どういうことですか? 果てはあるでしょう。 だって部屋の中なんですから」

 二人は思わずパチュリーに問いかける、パチュリーは静かにその問いに答えた。

 「この空間は今でも広がり続けてるかも知れないわ、そして、そのスピードが私たちの飛ぶ速さより速ければ、幾ら飛んでも果てには近づけないわね」
 「でも、咲夜だって永遠に広げてるわけじゃないでしょう?」
 「でもね、無限にここが広がるのなら、時間も無限に加速していくのよ」
 「いくらなんでも無限ってのはないと思いますよ」

 流石の妖精でもパチュリーの極論には疑問を持ったようだった。

 「……そうね、無限や永遠ってのは流石に極端ね」

 パチュリーもそれは認めたのだが、同時に恐ろしく、残酷な想像も口にしていた。

 「でもね、果てに着くまで何十年、何百年かかるのはあり得るわよ?霊夢が干からびたり、私が本に飢えるには十分な時間ね。おまけに外じゃその百年が一分だったりするかもね」

 

 人間が無事に戻るのは困難だと霊夢も感じたようで、いくつかのことを考える。だが、霊夢の頭の中には、冴えたやり方はとうとう現れなかった。

 「じゃあどうすればいいのよ?」
 「そうね……ここもそうかはわからないけど、咲夜って横には広げても、縦にはあまり広げないのよね、広げてもいびつだったりするわ。慣れてないのかしらね」
 「どうして?」
 「そりゃそうでしょう、天井が果てしなく上にあって見えない家なんて落ち着かないわよ、普段は広げないわ」
 「では上に行けば出られるんでしょうか?」

 三人で上を見上げる、太陽は遙か上空で燦々と照っていた。

 「そうね、それもいいけど、上が広がっていないって保証も無いし、下手するとあの太陽に焼かれそうだわ」
 「太陽の吸引力はトラウマだわ……あの鳥頭を思い出すと目まいが……他に無いの?」
 「なら抜け道よ。咲夜は広げた空間にはあちこちにワープできる抜け口を作ってるの、あれだけ広い家を忙しく移動してるんだからね、確かに必要だわ」 
 「なるほどね、しかしこれに昨日気づいてくれてればね……」
 
 霊夢は疲れと呆れが入り交じった顔でそうパチュリーに答えていた。

 「本に夢中でそれどころじゃなかったしねえ、すっかり忘れてたわ」
 「でもその抜け道はどこにあるんですか?」
 「さあ?」

 気の抜けたような声で返すパチュリーだった。
 
 「さあ? ってねえ……それじゃどうしようもないじゃない」
 「いや、抜け道なんだから他人に知られたら困るでしょ、防犯とか考えても」
 「悪魔の家に盗みにくる命知らずなんているわけ――ごめん、いたわ」

 魔理沙の顔を思い浮かべながら、三人は恨めしそうな顔を浮かべていた。

 「やっぱり私たちはここで暮らし続けなければいけないんでしょうか……」
 「もっと自然豊かな島なら三少女漂流記でもいいけど、こんな砂漠にいつまでも居られないわよ」
 「そうね、図書館だったらいつまで閉じ込められてもいいけど、こんなとこはごめんだわ」

 三人は考えを巡らせていた。まずは霊夢が口火を切って話す。

 「抜け道にも目印が必要よね」

 パチュリーもそれには同意する。
 
 「そうね、それと、考えてみたけど、昨日の蜃気楼覚えてる?」
 「ええ、少なくとも蜃気楼が見えるなら、砂漠のどこかにはあのオアシスがあるのよね」
  

 確かに砂漠の中のオアシスは目印には打って付けのわかりやすい場所に思えた。

 「ええ。それで霊夢、あのオアシスって怪しくないかしら?」
 「そうね、捜す価値はありそうね。それに少なくともオアシスなら水は一杯あるんだし」
 「他にも怪しそうな物を見つけたら捜してみましょう」

 二人がそう話すのを聞いていた大妖精は、ふと後ろの岩を見る。

 「この岩もおかしくないですかね?」

 そう言われれば、この砂漠では他に見たことが無いほどの大きな岩で、怪しくも見えた。形もどこか奇妙で、いびつな造形の岩に見えた、それを見ながら大妖精が冗談めかして言った。

 「昔話なんかだと、こんな岩に『開けゴマ!』なんていうと開くんですよね」

  霊夢は笑いながら答えようとした。
 
 「そんな都合いい話があるといいんだけ――」

 だが、霊夢が言い終わらないうちに、巨大な音を立てながら岩が動き始めた。下にはどこかへ続くような穴が見えた。
 
 …………

 それを見た三人は一瞬無言となり、沈黙が広がったが、三人はすぐに気を取り直すと目を合わせ、そのまま穴に飛び込んだ。中にはトンネルの様な空間が広がっていた。冷たく、薄暗い、無機質な空間だった。そこを歩くと、程なくして立て札が見えた "←図書室 ↑食堂 →客間"と書かれていた。三人は脱力した様子で、誰とも無く図書室の方へ歩くと、そのまま三人で歩き続けた。

 気がつけば、三人はいつの間にか穴を抜けていた。図書室の机の引き出しの中に三人の姿があった、三人が抜け出すと、穴の影は既に無く、目の前には見慣れた図書室が見えた。窓の外には夕暮れ空が見えた。

 「ああ」 
 「やっと」
 「帰ってきたんですね……」

 三人が安堵の表情を浮かべていると、レミリアを探しに廊下へと出た。そしてレミリアの私室にたどり着くと、そこには紅茶を片手に上機嫌な表情のレミリアがいた。

 「あら、おはよう、霊夢にパチュリー、ええと、それに湖の妖精さん。珍しい組み合わせね」
 
 霊夢はレミリアに問いかけた。
 
 「……今日は何月何日?」
 「え? 八月十日よ? なんで?」

 案の定、外では砂漠ほどの時間は経過していないようだった。

 「そんなことよりみんな聞いて! 紅魔館リゾート計画を始めたのよ! よく考えれば、咲夜がいる限り土地は無限にあるのよね。だから一室を使って果てしない土地を作ったの」
 
 霊夢がレミリアに問いかける。

 「ねえレミリア……それどこでやったの?」
 「え? 二階の西側よ? 咲夜もここまで大きいのは初めてだからちょっと周りも巻き込んじゃったけどね。それに大きくなり過ぎちゃったかしら」

 霊夢はレミリアに次いで、パチュリーと大妖精に問いかける。
 
 「ねえ、二人はどこにいたの? ちなみに私は二階の西の部屋よ」
 「私も二階の西側にいたわね」
 「ええと、西側で、二階の高さくらいでしたね」
 「そう、ありがとう、要するに私たちは」

 三人の表情も目に入らないまま、レミリアは紅茶を飲みながら、上機嫌な様子で話し続けていた。

 「まあ大きさなんかは後で調整すればいいわね、それに、地霊殿から太陽と、永遠亭から月をもらってきたのよ、どっちも人工だけどね。でもおかげで外みたいよ。あとは中に緑を植えたり、建物作ったり、妖精を使えば人件費もただだからね。どんどん開発するわよ!」
 「「「やっぱりお前の/レミィの/あなたの/せいであんな目にあったのか!」」」
 
 三人はレミリアを睨み付けながらそう話す。
 
 「??? どうしたのよ、そんな怖い顔をして?」
 「「「「かくかくしかじかで私たちはね!」」」
 
 三人から事情を聞いたレミリアは少しだけ謝罪をするかの表情となったが

 「あら、ごめんなさいね、そういえばみんなに伝えるの忘れてたわ、計画で頭が一杯だったのよ。でも無事に戻ってこれたからいいじゃない?」
 
 と答え、それほど悪いことをしたとも思っていない様子だった。あるいは、他で考えが一杯にも見えた。
 
 「無事にってねえ……」
 「あれが無事と言えるんですか……」 
 「ねえレミィ、私の本があの中で無くなっちゃったのよ」
 「大丈夫、咲夜に持ってこさせるわよ」

 するとすぐに、咲夜が本のような物を持ってきて、それをレミリアに手渡す。

 「どうぞ、お嬢様」
 「ありがとう、咲夜? あら、そのメイド達は? なんでそんなに汚れた格好してるのよ。だらしないわね」

 咲夜の傍らにはボロボロの服に身を包み、声を出す気力も無いような数匹のメイドが見えた。
 
 「その……広げた空間に紛れていたようでして、ですので本のついでに助け出してきました」
 「そう? あなたたちもごめんなさいね。後で飴でもあげるわ。 ええと、それでパチェが捜してたのはこれね」

 砂嵐のせいで、ページのあちこちは破れ、文字が読めないほどに痛んでいた。それを手渡されたパチュリーは鬼のような顔となり、霊夢と大妖精に問いを投げかけた。

 「……これを本とよんでいいと思う?」
 
 霊夢と大妖精はその本のような物を見て、心底同情するような表情で答えた。
 
 「ゴミね」
 「紙クズですね」

 と。

 パチュリーはそのゴミを片手に二人に問いかける。

 「ねえ、物を大事にしない子には教育が必要だと思うんだけど」

 レミリアはパチュリーにも、パチュリーが持った紙クズにも目を配らず、相変わらず上機嫌に、晴れ晴れとした笑顔で話し続ける
 
 「まあ迷惑もかけたみたいだしね、出来上がったら招待するわよ、素敵なリゾートになるわ。そうそう! 海も作りたいのよ。あなたたち海って知ってる? 凄いわよ! それにしてもプライベートにするか……商売にするか……迷うわね」

 三人は上機嫌に早口で話すレミリアを見て、心を一つにしていた。
 
 霊夢は少女とは思えないほどの低い声で
 
 「見敵必殺……」
 
 と呟き、パチュリーは焼けるような感情を秘めた声で

 「サーチアンドデストロイ……」
 
 と呟き、大妖精は健気で可愛らしい声で
 
 「私も及ばずながら助太刀します!」

 と呟く。早口でしゃべり続けていたレミリアもようやく事に気づいた様で、たじろぐような顔を見せた

 「え? 何よ? 決闘? それはいいけど三対一なんて卑怯じゃない!」
 
 それを見ながらパチュリーは無表情に、諭すように、レミリアに話しかけた。
 
 「あのね、レミィ、これは決闘じゃないの、教育的指導よ、お子様には教育が必要よ」
 
 先ほどからメイド達をあやしながら部屋にいた咲夜も、流石に主人の危機を見て、助太刀に入ろうとした。
 
 「大丈夫ですかお嬢様! どうなされたんですかパチュリー様! ご乱心ですか!? それに巫女も妖精――ひでぶ!」
 
 だが、咲夜には時を操る時間すら与えられなかった。咲夜が助けに入ろうとした瞬間、その後ろから弾幕が飛んできた。メイドたちの弾幕が。咲夜は一瞬で気を失い、そこに倒れ込んだ。メイドたちも最後の力を振り絞ったかのように倒れ込む。
 
 「何? あなたたちも主人を裏切る気!?」

 最後に力を振り絞り、意識を保っていた一匹のメイドにレミリアは問いかける。

 メイドは大声で叫ぶ
 
 「……あの地獄を飴なんかで済まされちゃたまりませんよ……ってか連絡くらいしっかりしろおおおお!」

 と叫ぶ。そして叫びと共に弾幕を放った。流石に主人の貫禄を見せ、紅茶をこぼしながらも間一髪でレミリアはかわし。力を使い果たしたメイドもまた倒れ込む。だが、その弾幕によってレミリアは壁際へと追い詰められていた。

 「皆さん……後は頼みます……」
 「メイドA!」

 霊夢は面識もないメイドの行動になんとなく流されつつも打たれ、目に熱いものを浮かべた。レミリアも、隙を見いだしながら、しかし逃げたらカリスマに差し支えるといった表情で静かに見守っていた。

 「気にしないでください……ああ、パチュリーさんその本……いいですか?」

 その本の表紙はボロボロだったが、微かに"Luck"と言う文字が見えた。
 
 「皆さんに"Luck(幸運)を"……」
 
 そして、メイドはこぼれた紅茶で、赤い一文字を、"P"という一文字を書き加えた。
 
 「そして皆さんの未来へ! これを持って行ってください! "Pluck(勇気)"を!」

 メイドはそのまま倒れ落ちた。三人は血涙を流しながらメイドを見守っていた。

 「メイドA、あなたの仇は討つわ……この博麗霊夢が!」
 「紅魔館は私に任せて……あなたの犠牲は無駄にしないわ」
 「妖精の仇は同じ妖精の手で……」 
 
 その三人を見たレミリアはもはや恐怖に捕らわれたような表情だった

 「ちょっとちょっと、何あんたたち盛り上がってるのよ、どう見ても気失ってるだけしょ!? 何勝手に盛り上がってるのよ!」

 三人は返事も返さずに、静かに壁へ、レミリアに歩み寄る。

 「ちょっと……待ってよ……しかもさっきの名言っぽいけど、あれあのメイドがこないだ読んでた奇妙な絵本のパク――」

 霊夢はそれを耳に入れずにレミリアの言葉を遮って話す。
 
 「メイドA……天国で待っててね。かならず朗報を届けるから」
 「だから死んでないって。むしろ意識も戻って――ほら、なんかしてやったりの顔したわよ! 今! ちょっと……待ってよ……話せばわかるって」
 
 レミリアは壁を背に、三人に囲まれ、逃げ道も無く震える声でそう言ったが、それに対して霊夢は薄ら笑いを浮かべていた。そのまま残酷に話した。

  「何? 少しの間素敵なリゾートでレミリアお嬢様にバカンスを送ってもらいたいだけよ? 大丈夫、直射日光が当たらないように棺桶に詰めてあげるから、熱がたっぷりこもる棺桶にね! ついでに大好きな紅茶も付けてあげるわ! 感謝しなさい!」
 「ちょっとちょっと……私が何をしたって言うのよ? リゾートを作ろうとしただけじゃない!? ねえフラン! 小悪魔! 誰かあああああ!」
 
 そして三人は、怯えるレミリアに異口同音に投げかけた。

「「「自分でリゾートにいって考えてこい!」」」

 
 



 悪魔に天誅を下した霊夢とパチュリーは、涼しげな紅魔館で、優雅にお茶を嗜んでいた。

 そしてその頃、紅魔館自慢のリゾートでは、花のように華奢で、鮮やかな紅色をした棺桶が、優雅に穏やかな時間を過ごしていた。それは砂漠に咲く薔薇のように、場違いな美しさを称えていた。日頃薄暗い部屋の中で佇む棺桶にとっては本当に久しぶりの、太陽の下でのバカンスだった。
 
 「暑い暑い暑い……」

 同じ時、並々と紅茶の注がれた巨大な鍋に蓋をされた棺桶の中で、砂漠に放り出されたレミリアは叫んでいた。

 「私が何をしたっていうのよ~~~~リゾートを作ろうとしただけなのに~~~~」




 大妖精も、主人が消えて仕事が無くなったメイドたちと、妖精同士のカードゲームを楽しんでいた。食べるものが居なくなった優雅で美味なお菓子を傍らに置きながら。

 その頃、厳重に施錠された紅魔館の一室の中で、咲夜が悲痛な声をあげていた

 「私が何をしたって言うんですか~~~~お嬢様の言いつけに従っただけですよ~~~~」

 と叫んでいた。
 前回投稿した作品が"わかりにくい"との意見をいただいたのでシンプルに。実力不足を痛感しました……とはいえ自分の筆力のなさを恨み続けるわけにもいかないので、身の丈に合わせて書いてみました。きっとネタ混じりの普通のギャグのはずです。多分。おそらく。もしかすると。
Pumpkin
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コメント



0.1160簡易評価
4.90名前が無い程度の能力削除
これはどう考えてもレミリアが悪いなw
霊夢とパチュリー、大妖精が憐れ……でも最後でなんだかんだですっきり
妖精メイドたちノリ良過ぎw

誤字報告を
> 「岩とか鉄、それにそれらが作る砂もね。は熱くなりやすくて冷めやすいの、砂漠は砂だらけで水なんてほとんど無いでしょう?」
砂は熱くなりやすくて

> 霊夢が目を覚ました、相変わらず、寒い……とは呟いていたが、その顔はいつもに戻り、いや、いつも以上
その顔はいつも通り

> 霊夢ががレミリアに問いかける。
霊夢が

>霊夢はレミリアに次いで、パチュリーとレミリアに問いかける。
パチュリーと大妖精に

>レミリアに話しかかけた。
話しかけた

ちょっと誤字脱字が多かったですが、非常に面白かったです、
5.80名前が無い程度の能力削除
このマンドマラゴラ釘宮病に罹ってるwww
そしてこのメイドA黒騎士ブラフォードを真似したなwww
7.無評価Pumpkin削除
ご指摘の誤字を修正しました。指摘していただいてありがとうございます。
誤字はしっかり見直す作業をするだけでなくせるので、多数あったことは反省しきりです。

> 霊夢が目を覚ました、相変わらず、寒い……とは呟いていたが、その顔はいつもに戻り、いや、いつも以上

ここに関しては言い回しの修正をしました。

ついでに他の誤字とおかしな言い回しも修正……
8.70名前が無い程度の能力削除
最後の展開と所々のギャグが少し唐突に感じました。
ただ話は面白かったです。
9.70名前が無い程度の能力削除
文章の見直しは足りていないようですが、話自体は面白かったです
16.90名前が無い程度の能力削除
霊夢とパチュリーはともかく完全に巻き込まれただけの大妖精がかわいそうだ。
さて、レミリアはどうなったんだろうか。
17.20名前が無い程度の能力削除
なにこれ?
19.90名前が無い程度の能力削除
あまり見ない組み合わせの話。面白かったです。
ただちょっと気になる部分が。
霊夢の台詞から、時期が121季の8月という事になってますが、121季だと地霊殿どころか風神録の話より前になってしまうので、
時期を地霊殿より後の夏という事にするなら、124季以降にしたほうがいいのではないでしょうか。
21.90名前が無い程度の能力削除
前回より更に文章がよく、解りやすく感じました。
これからも頑張って。
22.90名前が無い程度の能力削除
まさか創想話で銀英ネタを見るとはw

テンポのよい良作でした。
25.80名前が無い程度の能力削除
あんまりどころか全然見ない組み合わせですね
楽しませていただきました
26.無評価Pumpkin削除
>121季だと地霊殿どころか風神録の話より前になってしまうので

これは完全に知りませんでした……求聞史記で~季という紀年法なことは知ってましたが……
直そうとも思いましたが、推測混じりで正確な年表がよくわからないので、とりあえずこのままにしておきます。