Coolier - 新生・東方創想話

魔界神異変 前編

2009/08/04 17:15:53
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かっての幻想郷よりの来訪者により荒れた魔界。

 それも過去の事、今は再生も進み以前のように平和な日々が続いていた。
魔界を創り、そこに住む全てを創った神、アホ毛が目立つ神綺も平和を満喫しつつも退屈を感じていた。

 「ここも大分直ったし、幻想郷に行っちゃったアリスちゃんに会いに行きたいわね…」
神綺は何時ものように夢子にそんな事を言っていた。

 「神綺様、我侭を言わないで下さい、まだ再生しきれてないのですから」
夢子はこの魔界で最強と言われる存在であり、神綺のメイドである。
そんな夢子でも、神であり母である神綺には手を焼いていた。

 「もう十分直ってるに、夢子ちゃんの意地悪~」
神綺は神らしくも母らしくもなく両手をブンブン振り回して抗議したが夢子に「駄目です!」と一喝されるとアホ毛が力なく垂れ涙目になり静かになった。
 そんな日常を繰り返し、今日も魔界の修復作業に掛かっていた。

 「む~、何とか抜け出す方法を考えてやる~」
神綺はまだ諦めていなかった、そして、ついに思いついたのである。
 「私が居ればいいじゃない!そうよ、そうよ~」
なんと神綺は自分を模した人形を作り、数日自分の代わりに修復作業を任せようと考えていた。

・・・・早速、人形を用意すると、何やらブツブツと念じると人形が見る見る変化していく。

・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・・・・・

 「…完成~、起きなさい神綺ちゃん」
なんともおかしな状況だが、自分そっくりに作った人形に神綺は話しかけた。

 「おはようございます、マスター」
人形神綺はそう言って目を覚ます。
 「いいかしら、あなたは私になってしばらくこの魔界の修復をするの、魔界を守ってね♪」
神綺はこれでアリスに会えるとうきうきだった…が、少し考えると力とか雰囲気で夢子にばれるのが目に見えていた。
(む~どうしましょ…)
神綺はむーむー言いながら部屋をぐるぐる回りながら思案し続け、ついに作戦を思いついた。
 「そうよ、力を解るように与えて私に近づければいいのよ♪」
とんでもないことだが、自身の力のほとんどをこの人形に与えたのである。
 「…どうかしら?」(大丈夫よ、ちょっとだけ任せるだけだもの、うん)誰に言い訳するわけでもなく神綺はそう自分に納得させた。

・・・
 「マスター…いえ、神綺さま、お任せください」
人形神綺は神綺ですらびっくりするほど同じ雰囲気・力を持っていた。
 (これで任せていけるわ♪待ってなさいアリスちゃん)
なんとも言えない台詞を心の中で吐き計画は動き出した。

 翌日、神綺は早速夢子に会うとき、人形神綺に任せてみた。

 「神綺様、今日の修修復作業ですがー…?」
夢子は話途中でなにか感じたのか表情が一瞬変わる
神綺はあら?と思ったが見守ると思わぬ言葉が夢子より発せられる。
 「神綺様、今日は何時もより凛々しくなられましたがどういった心境変化ですか?」
 (な、なんて事!夢子ちゃん…何時も私をどんな目で見てるのよ…うぅ~)
神綺はがっくりとアホ毛を力なく垂れたが、反面、これはいける!と心でガッツポーズをしていた。
こうして、人形神綺を改め完全版神綺に任せると神綺は神殿を抜け出し幻想郷に向かった。

 「さぁ、アリスちゃん!今お母様が会いに行きますよ~」

・・・・・・・・

場所が変わってここ幻想郷の神社  博麗神社の巫女 博麗霊夢は以前の魔界の出来事をふと思い出していた。
 「もう結構経つけどどうなってるかしらね、まぁ、私には関係ないけれど」
異変を解決するまでが霊夢の仕事、それ以降は当事者に任せるが霊夢の信念である…が、なぜか今日は変な胸騒ぎとでも言うのであろうか、変な勘が働いたらしい。
 
 「霊夢~」ふとそんなことを考えていると誰かに呼ばれた。
振り返るとそこには
7色の人形遣いの通り名を持つ魔法使い アリス・マーガトロイドが降り立った。
 「珍しいわね、今日はどうしたのアリス?」
 「たいした用はないけど、ちょっと外に出てみたくなってここに立ち寄った程度よ」

 二人の少女はかって魔界で二度戦っている、霊夢にとっては通過点、だがアリスにとっては初めての外界人との戦い、そして全力で戦った末に遅れを取った相手。
確かに自分は未熟だった、でも、姉達そして母が負けるとは露ほども思っていなかった。
結果は母が負け、異変は解決した。
その時、引き上げる霊夢を思わず追いかけ、そのまま幻想郷に居つく結果となった。

 「魔界には帰るつもりはないの?アリス?」
霊夢はそんなアリスが時々母の事を懐かしそうに語るのを聞いている、他人の家庭にどうこう意見するつもりはないが今日はなんとなくそんな話題が頭に浮かぶ。
 「私の勝手で出てきてるし、なんか帰りづらいのよね…でも、会いたくないといえば嘘になるけどね」
二人はそんなを話をしつつ縁側でくつろいでいると何かの気配を感じる。

 「あ~~り~~す~~ちゃ~~ん、お母さんですよ~~♪」
そこに現れたのは神の威厳を正面から破壊し、
   世の親バカを赤面させるに足る究極の親バカがそこに居た。

 「お、おか…い、いえ…神綺様?」
アリスは焦る心をぎりぎり押さえ冷静に対応してみる。一方霊夢は…
 「ふぅん、今日の胸騒ぎはこれか…一応、久しぶりね神綺」
いたって冷静である。
さて、神綺はというと久しぶりに見た我が娘、涙目になって飛び掛る…飛び掛る?
 「アリスちゃん~~~!!会いたかった!…元気?元気なの?!」
 「…さっきまで元気でした」
アリスは神綺の全力タックルを受け、押しつぶされる形になっている。
 「あぁ、ごめんなさい」ようやく落ち着いたようで起き上がると一呼吸終えて
 「霊夢、久しぶりね、その後はどうかしら?」 キリッ
と、今更ながら神らしい態度を取ってみせる…だが、すでに遅い。
 「はいはい、で、その神様がなんでここに?」
霊夢は今更いいわよ、といった態度で聞いてみる、まぁ解ってるけど…ね、と。
 「もちろん、アリスちゃんに会うためよ!」
と見事な笑顔を輝かせ答える…その後ろで複雑な表情を浮かべるアリスが居る所で。
 「神綺様…ごめんなさい…」
アリスは久しぶりに見る母を直視できずに居た。
 「何を言ってるの?母さん、元気なアリスちゃんに会えただけで嬉しいのに♪」
空気なんぞ最初から読むつもりもない神綺らしい発言である。
 「神綺、心配しなくてもアリス、あなたの事・・?!」
霊夢が助け舟を出そうとするとアリスが横から止める。
 「霊夢!いらない事言わないの、なんでもないのよ神綺様」
 「アリスちゃん、お母さん、悲しいわ…お母さんて呼んで♪」

そんなこんなでどたばたと神社で騒ぐ一向とは別の空間、魔界では…

入れ替わった神綺がテキパキと仕事をこなしていた。
 「神綺様?あまり無理をなされましてもいけませんわ、休憩なされては?」
夢子はここ数日、神綺の文字通り人が変わったようにまじめに働く姿に感動と心配を感じていた。
 「夢子ちゃん、魔界を守るためにはしっかりしないと駄目よ、解るかしら?」
夢子はむしろ、感動より心配が勝った。
 (おかしい、こんなのおかしいわ…どうしてしまったの神綺様、あぁ、帰ってきて何時もの神綺様)
自分でもおかしなことを言ってるのは解る、でも、この神綺様はなんというか母性本能にくるものがない
むしろ、憧れを感じるほどである…そんなの神綺様じゃない…
 
 場面は幻想郷に
 
 「はいはい、もう後は勝手にどうぞ…ね?アリス」
霊夢はいい加減、このやり取りに疲れてきたのか、早く家につれて帰れと目が言っている。
 「…はぁ、解ったわよ、…神綺様こちらです」
アリスはあくまで呼称を変えない…変えてしまえば耐えられなくなるかもと思っているのであろう。

 アリスは神綺を連れ立って家路に着く。
 この時、神綺は体に妙な感覚を覚えていた。

アリスの家に着くと、上海と蓬莱がちょこちょこと出迎える。
 「ただいま、上海、蓬莱、お客様よ」
アリスがそう言うと神綺が家に入る。
二つの人形は神綺を見ると表情には出せないがアリスにだけ解る感覚で泣きそうなほど喜んでいるのが解る。

 「初めまして、上海ちゃん、蓬莱ちゃん、私がお母さんです!」

この人形はアリスの意識をある意味忠実に表している、アリスは冷静を装っているがこの人形たちはとてもそうは行かない。
神綺の周りをくるくる回り続けアリスが指示を出すまで落ち着かない様子だった。
 「で、神綺様、魔界は大丈夫なのですか?」
アリスの心配はもっともである、まぁ、あまり言える対場ではないが…。
 「大丈夫、うまくやってくれるわよ♪」
神綺の台詞に、内心、誰が?と思ったが夢子姉さんに頼んだのだろうと思う。
姉さんなら問題ないだろうし、それ以上の適任者も解らないし。
 「夕食はなんでもいいですか?神綺様」
アリスは台所に向かうと準備を始める。
 「アリスちゃん、今日は私が作るわ♪」
そういうと、神綺は材料や道具を探し始める。
 「おか…神綺様、私がするから待ってて」
アリスは内心、久しぶりに神綺の手料理を食べたいと思うが、お客として来ている、まして神である神綺にそのような手間は掛けさせたくなかった。
 「アリスちゃん…そんなにお母さんの料理嫌い?」
神綺は涙目を通り越してこぼれそうな涙を抑えアリスを見る。
 「うっ…そ、そんなことは」
アリスは全力で否定したいと思ったが、恥ずかしくて軽く否定するに止まる。それでも神綺には十分らしくすぐに笑顔になって料理を始める。
それを見ていた上海 蓬莱は神綺にも解る様に両手を挙げ、万歳のポーズを延々と繰り返しているのをアリスは焦って止める、むしろのそれこそがアリスの隠れた本心であるが。
 「じゃ、ある物で作るからね♪」
こうして、神綺が来た日々が無事過ぎていくと思われた、しかし、異変はすぐそこまで来ている。



 再び魔界では。

 「神綺様、おやめ下さい…連日予定以上の進行、お体が持ちません!」
夢子の悲痛な叫びが神殿内に響く。
神綺はここ数日、予定の数倍、いや10倍以上かも知れない修復作業を終えている、これはいくらなんでも体が持たない。
夢子は確かに、神綺に娘達のことばかりを優先せず仕事を進めてほしいと思っていた、しかし、こんな無茶をしてなど望んではいない。
しかし、当の本人である神綺はいたって元気、疲れもまったく見えないのである…確かにこの神綺にはであるが…神とはいえ、限界はある…まして魔界再生という大仕事。
幻想郷に居る神綺は人形神綺に力が減れば、無意識にその力を自分から引き出すよう作り変えていた。
それがこのような意図しない事態を引き起こしている。

 夢子はこの事態が最悪の事態を引き起こす可能性を恐れていた…嫌、見えていたのかもしれない。
初投稿です。
東方暦も浅く新参ですが、作ってみたくなり投稿してみました。
設定がごちゃごちゃしているかもしれませんがよろしくお願いします。
風月灯篭
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コメント



0.340簡易評価
1.無評価名前が無い程度の能力削除
展開には期待。ただ前編がこの短さだと後編が同じくらいの量だったら盛り上がりきれずに終わりそうで怖い。
前編なのでフリーレスで。
2.80名前が無い程度の能力削除
これからどうなるか楽しみにしてます。
6.無評価風月灯篭削除
コメントありがとうございます。
完成したので
御覧頂ければ幸いです。