Coolier - 新生・東方創想話

スカーレット_フランドール

2009/07/23 03:08:17
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咲夜がぜんまい仕掛けの玩具をくれた。
人里で旅人から譲ってもらったんだそうだ。
それを一週間くらいでバラバラに壊してしまった。
ぜんまいを巻くのが面倒になったから。

咲夜はいつもの顔で片付けてくれた。


お姉様から緑色の透き通った石を貰った。
森の古道具屋で見つけたのだそうだ。
それはとても綺麗で冷たくて固くて、だけど意外と脆かった。
謝りに行った時、お姉様の表情は少しも変わらなかった。

砕けた石は咲夜に片付けてもらった。


パチュリーに筆を借りた。
色んな絵の具であちこちに色を塗った。
そうして部屋は色で埋まり、足元には折れた筆が転がった。
パチュリーは何も言わなかった。

部屋は咲夜が片付けた。


門番が猫と遊んでいた。
三日くらい前にここに来たらしい。
見ているととても楽しそうで、私はそれが欲しくなった。
門番はだめだと言った。

咲夜は少し笑ってた。


三日頼み続けて、ようやく門番は首を縦に振った。
受け取り際に何か言っていた気がするけど聞かなかった。
その三日後、猫に引っかかれて手から血が出た。
痛かったからその手で猫を壊した。

皆にそうしたように門番に謝りに行った。
謝ったのに思いっきり叩かれた。
腹立たしくて、吹き飛ばしてやろうと思ったけど
門番の顔を見たら何もできなくなった。

咲夜は片付けてくれなかった。


私の手にはスコップと白い布が渡された。
お姉様が花壇の隣が適当じゃないかと言っていた。
パチュリーは何も言わなかった。

場所なんてどこでもいいのに。
そう思いながら自分で穴を掘る。
布に包んだ猫をそこに寝かせた時、水が落ちてきた。
見上げると空は一面厚い雲に覆われていた。

雨は猫の上にだけ振り続けた。



少し盛り上がった地面に、何本か花を折って添えてやった。
明日もう一度門番に謝りに行こう。
後からそこに石が置かれた。
その石には名前が刻まれていた。
Hal.N
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コメント



0.1020簡易評価
18.60名前が無い程度の能力削除
じんと来ました。
なんかそれ以外に言いようが無いなぁ。
20.80名前が無い程度の能力削除
淡々と、ただ淡々としていて、なのに少し悲しくなる。というより哀れになる、フランとネコに対して。
久々に狂っているフランを見た気がする
22.70名前が無い程度の能力削除
子供の頃虫の脚千切って遊んでたのを思い出した。
’死’って直接触れないと分からないもんなんでしょうね
28.90名前が無い程度の能力削除
いかにもフランだなぁ
31.100名前が無い程度の能力削除
ひたすら淡白なのに想像力をかきたてられるというか、こう、心に残るものが大きいです

作者名見て驚きました
個人的にプチの方の一作は相当気に入っていたので
33.100名前が無い程度の能力削除
いいなぁ・・・。
なんというか、文章って本当に力があるものなんですね・・・。
37.90母止津和太良世削除
文章力ってのはこういうことを言うんだな……