ゴミ置き場に一枚の紙が捨てられていた
古い紙で、和紙とも言い難いそれには
何やら日記のようなものが書かれている
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『博麗霊夢』
墓石には確かにそう刻まれている
空は割れ、大地は震えた
そのうち博麗大結界も壊れてしまうだろう
幻想郷を支えていた巫女が居なくなった今、幻想郷は形状を保てなくなってしまう
そう、幻想郷の崩壊が訪れたのだ
「もう私たちしか居ないのかしら?」
己の式、もとい八雲藍に問う
「おそらく」
「そう」
いつかは来てしまう思っていたのだ
全てには「始まり」があり「終わり」がある
「大結界があれだけ壊れてしまったせいで、此処の者は原型を留めておくことが出来なくなってしまったのかと思われます」
私は黙ったまま、遥か虚空を見上げる
「藍、式を解くわ」
「なっ、急に何をおっしゃるのですかっ!!!」
藍が声を張り上げて言う
表情こそ見えないが、考えるまでも無いだろう
「私はっ、私は生涯の終焉まで、貴方に―――」
「―――貴方は生きるのよ」
問答無用で私は藍を自由にした
「よくここまで頑張って来てくれたわね」
藍の姿はもう無い
彼女もまた、動物として外の世界で生きるのだろう
ふぅ、と一息付き、墓石に向き直った
「此所ももうそんなに保たないわ」
返答は無い、彼女は既にこの世界には居ないのだから
「ねぇ霊夢」
それでも私は続けることにした
どこかで何かが崩れる音がする
・・・あれは紅魔館のある辺りか
「貴方が居なくなったせいで、幻想郷は終わりを迎えてしまうわ」
―――ガシャンッ
遥か上空から割れる様な音と、見覚えのある破片が落ちてきた
・・・・桜花結界か
私は墓石の隣に腰掛ける
「もう此所には、貴方と私しか居ないわ」
墓石を撫でるように触れる
ふと目をやると、竹林から煙が上がっている
遠くからでもわかる竹林の緑は今はもう無い
いや、無くはない
ただ赤い炎が包んでいるだけなのだ
「私は―――そうね、終焉を共にするつもりよ」
私は延々と下らない話を続けた
隣にあるのは墓石なのに
無愛想な顔をして頷く霊夢がいる気がして
不意に冷たいものが頬を伝った
私はそれを無視して語り続けた
それでも溢れ出るそれは、墓石を濡らした
過去の出来事をたくさん思い出した
異変でぶつかり合ったこと、共に戦ったこと
「ねぇ、霊夢」
声も掠れてきた
気づけば辺りは完全に崩壊し、見渡す限り水平線になっている
「貴方に会えて、本当に嬉しかった」
どこかで返事が聞こえたきがする
「貴方は先に居なくなってしまったけど、もう直接言うことはできないけれど」
地面が揺れ始めた
この場ももうそう保たないだろう
「本当に―――」
私は最後の言葉に、全てを込めて
―――ありがとう
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「って言う夢を見たのよ」
「・・・・・・」
目の前の巫女は何とも言えない表情で
「わ、私も紫に会えて・・・・嬉しいよ」
「・・・・へ?」
予想外の返答に私は本当に幻想郷の崩壊の危機を感じた
この後「まさかの夢オチっ!?」と叫びながら狂乱する霊夢と弾幕ごっこをしたのは良い思い出だ
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続きは字が潰れてしまって読めない
私はその紙をあった場所に置いて、そのまま家に帰ることにした
これは、遠い過去のお話
そう
遠い遠い過去のお話
ただ、もう少し話を広げて欲しかった
今後に期待してこの点数
あとは展開が広がってくれれば・・・
設定次第では中・長編で展開できそうな感じがするので、期待してます。
霊夢の「わ、私も紫に会えて・・・・嬉しいよ」に萌えたのでこの点数(何