ヒトとは何故自身の事を客観的に見てしまう瞬間があるのか。例えば、友人多数と騒いでいる際にふと自身を冷静に見てしまい、急にテンションが落ちたりしないだろうか。更に例えば、仕事内容を振り返り、自信に溢れる者もいれば、逆に自分へ失望の念を募らせてしまう者もいる。プラスの内容に働く事は稀有であり、基本的にはマイナス方面へ自信の気持ちを引きずるケースが多いと言えよう。道を行き、主に買い物を頼まれた『彼女』もそんな一人であった。
落ち着き無く、周囲をきょろきょろと見渡している。まるで何かから逃げる事に必死のような風体であった。実際は何かに追われている訳ではなく、前述の自身を客観的に見た結果の行動である。
主に指定された本屋に着くと、買い物のリストを記載したメモ用紙をブレザーのポケットから取り出す。そこには月刊誌やら週刊誌、単行本などほとんどが漫画のご指名しかなかった。あいつは、とため息を漏らすも、何を思ったか急にピンと背筋を伸ばす。慌てて店内を見て周り、漫画のコーナーから指定されたものを見つけて手に取るとそのままの勢いでレジへと向かう。店員の恰幅のよさそうなご婦人が本の値段をそろばんで弾いていく。その間も『彼女』は周囲を見回し、決して店員とは視線を合わせようとはしない。
「全部で三千五百六十円ね」
言葉を受け、『彼女』は財布を取り出して四千円を支払いの受け皿に即座に置く。今の動きは一秒もかかっていなかったため、店員も支払われている事に気がつくのに五秒ほどかかった。その五秒間にも『彼女』は異常なまでの長さに感じ、苛立ちを隠せなかったようだし、隠そうともしなかった。睨むまではいかなかったが、完全なへの字口を見せていた。あいにく商売行が長いと見られる店員には「あらやだ、ごめんねぇ」と豪快に笑って済まされてしまう。おつりを貰うと、『彼女』は早々に店を後にしようと本を取ろうとしたが、
「あんた、最近買い物に来るようになった『兎』の姉さんかい?」
何故、おばちゃんという生物は無用な会話を好むのだろうか。『彼女』は店員の発した言葉より遅れて、動く自身の腕を呪わしく思った。音速を超えようという考えを抱いた事に、冷静さを失っている『彼女』には気づかなかった。取り繕った作り笑顔を店員に向けると、普段出さないような高めの声で『彼女』は答える。
「えぇ、まぁ……」
実に、そして非常に曖昧な返答であった。そして、今すぐにここから離れたい一心で簡素に答えたのだ。もちろん周囲への警戒を怠っていないため、店員とはいまだに視線を合わせていない。だが、店員は悪意を抱いているのではないかと思えるほど『彼女』の様子に気づいていない模様で、笑いながら会話を続行する。
「そうかい。色んな妖怪も見るけどさ、兎なんて見なかったから珍しくてね」
『彼女』の住まう永遠亭は以前までは竹林にその存在を隠蔽していたのだが、ある事件をきっかけにある程度の里との出入りは行うようになった。もちろん永遠亭自体はまだ知られてはいないのだが。そのため、妖怪の多く住まう幻想郷といえど、やはりミーハーな人種は多いもので珍しい種族には敏感になっているのであろう。特にこの手の『OBA-CHAN』なる人種はその手の話題が主食とも言える。捕まったからには以下のどちらかの行動に限られる。ひとつ、仕方が無いので相手の気が済むまで話に付き合う。ひとつ、会話を強制的に打ち切り逃げる。『彼女』の選んだのはもちろん後者であった。
「すいません、急いでいますので……」
「おっと、すまないねぇ。今後ともご贔屓に頼むよ」
「は、はい……」
多分、もう『この状態』では来ないだろう。『彼女』は紙袋に収められた本を手に取り、足早に店を後にしつつ胸中で独りごちた。主に頼まれた買い物はまだある。指定された次の店へと向かう際に、ガラス張りのショーウィンドウを見やる。幻想郷には珍しく、外の世界で言う『近代的』な造りであった。だが、『彼女』が見ているのはショーウィンドウ内に陳列されている服ではなく、自身の姿であった。兎の耳をぴょこんと立てて、胸元に三日月のブローチをあしらったブレザーにそれに合わせたプリーツスカート。白のハイソックスに黒い革靴。そして、ウェーブのかかった長い銀髪。自身の姿を改めて上から下まで目を通し、『彼女』はとてつもなく深い嘆息を漏らす。
「姫様め……まさかこんな事になろうなんて……」
そう愚痴をひとつこぼすと、『八意 永琳』は再度ガラスに映る自身と目を合わせる。端正な顔立ちが疲れとやつれで台無しであった。何故、月の賢者とまで呼ばれる彼女がわざわざ弟子の使用している衣装に加えて、兎を模した耳までを身にまとっているのか。それを語るには、まず話を数週間前までさかのぼる必要がある。
その日、永遠亭はこれといって事件も出来事も何も無く、平凡に時間は過ぎていっていた。
「ねぇ、永琳。暇だわ」
永遠亭の一応の主であり、元は月の姫君たる蓬莱山 輝夜がごろごろしながらこの一言を放つまでは。診療所を併設しており、そこでのカルテや処方箋の書類を横でまとめていた永琳は露骨にため息をしてみせる。効かないとはわかっていても、日に一度は必ず聞かされる言葉のため、彼女もほとほと迷惑をしていた。
「姫様、私は暇ではありませんので邪魔しないでください」
永琳は彼女の方を向かずに、ペンを走らせつつ背越しに邪険な返答をする。
「そんな事を言われてもねぇ?」
「えっ、私が悪いみたいな言い方!?」
思わず責任転嫁な輝夜の言葉に反応してしまう永琳だが、輝夜の方を向いてしまった時点で彼女の策にハマってしまった自分に気づく。要は永琳の注意を自身へ逸らせれば、彼女はそれで良かったのである。腹立たしいほどの笑顔を浮かべ、輝夜は永琳との距離を詰める。その手には永遠亭では見慣れない盤が持たれていた。
「ほら、こないだ紅魔館に遊びに行った時にね、このチェスってゲームを借りてきたの」
「はぁ」
「メイド長にルールもしっかり教わってきたから」
「えぇ」
「だから永琳、一緒にやりま――」
「では、私は仕事に戻りますので」
「永琳~、遊んでよ~」
と、妙にしなだれながら輝夜は永琳の腰にぐるりと手を回して、ぐねぐねと身体を波打たせる。永琳からしてみれば、至極邪魔としか形容ができず、つい零距離で何かスペルカードでもぶちかましてやろうかと思ってしまったくらいだ。
「それなら庭にスコップがあります」
「うん?」
ふいに話題を露骨に逸らされたものの、輝夜は素直に永琳の言葉に反応し、かつ続きを待つ。永琳によって実に良く調教――もとい、躾が成されていた。
「まずは深さ数メートルに達するまで掘り続けます」
「それで?」
「あとはその穴を埋めます」
「え?」
「そしてまた数メートルに達するまで穴を掘る、以下それの繰り返しです」
「私ゃ、どこの囚人だ!」
一応最後まで聞いて、輝夜は的確につっこんだ。永琳も彼女に気づかれるのは百も承知でどうでもいい話題を振っただけであった。既にカルテへ手と思考は戻っている。そんな彼女を見つめつつ、輝夜はへの字口になると虚勢を張って、カルテしか興味を示さない月の賢者の背中を睨みつける。ちなみに、実際は子供が拗ねたような目つきのため、全く畏怖できるものではない。
「そんな事を言って、永琳は私にこれで負けるのが怖いんでしょう?」
「えぇ、怖くてたまりませんので、逃げているという事でいいですよ」
「むぅ……かくなる上は……」
スッと襖が開く音がし、気になった永琳が振り向くと、そこには既に輝夜の姿は無かった。最後の言葉を察するとまだ諦めてはいないようだが、とりあえずは一旦退却してくれたようだと判断し、彼女はカルテの執筆に戻る。――その判断がいけなかった。
ザバアアアァァァァァァァァァァッ!!!!
突如、頭上からバケツを――いや、風呂桶をひっくり返したような水が永琳へ、というか部屋全体に降り注いだ。水が降っている、と頭では理解できていても、あまりに唐突でありえない事が起こると人は硬直するしかないようだ。天才永琳といえど、それは然り。最後の一滴まで見事にペンを持った姿勢のまま受け切ったのであった。カルテはインクが滲み、水圧でぐしゃぐしゃになっていた。天井を見ると、二つに割れて奥に貯水槽がある事がわかった。
「やったね、ドッキリ大成功!」
長靴を履いた輝夜が嬉々として、黄色いヘルメットもかぶって戻ってきた。手には『ドッキリ☆大成功』のプラ看を携えている。
「この日のために、あの小鬼に頼んで改築してもらった甲斐があったわ。これで日本酒五十升程度なら安いものね」
「……姫様」
輝夜は声の方、もちろん永琳を見やる。そして、いたずらが成功してそれまでの最高の笑顔が、笑顔のまま青ざめるという具合に血色を変えていく。前述の通り、人はあまりの唐突の出来事には硬直するしかない。彼女が見た永琳のそれは、極上の笑顔のまま髪や衣服から水を滴らせて額に青筋を浮かべ、ペンを握り潰して粉々に粉砕しているという阿修羅の権化の如き姿であった。
「おいたが……過ぎますわよ?」
「……申し訳ありませんでした」
頼まれた訳でもなく、輝夜は自らその場にひざまずき、土下座をしていた。リザレクションのため本当に死ぬ事は無いとはいえ、死ぬまでの苦痛を味わう恐怖は十分に想像に容易かった事を考慮すれば、彼女の行動は最善と言えるだろう。そんな輝夜を見て流石に毒気が抜かれてしまったのか、永琳ははぁと溜息をこぼす。
「わかりました。これじゃあもう今日の仕事はできませんから、お付き合いします」
「えっ!? ほんと!?」
「次にやったら空の注射を打ちますからね」
「……アイマム」
土下座のまま、右手で敬礼をする輝夜に永琳は再度深い溜息を漏らす。この娘にはプライドというものは無いのだろうかと真剣に思考を巡らせてしまったからだ。永琳は水を含んで重くなってしまった白衣を脱ぐと、椅子に引っ掛けた。衣服もびしょ濡れのため、見事なまでに身体のラインが見て取れる。いまだに土下座しつつも、輝夜は脳内カメラのシャッターを切りまくっていた。
「とりあえず着替えてきますので、それまでは待っていてください」
「そんな、もったいない!」
「姫様、血管に直接純度の高いアルコールを注射されるのがお好みですか?」
「早くしないと風邪をひいてしまうわ。永琳、早く着替えてきなさい」
土下座から瞬時に復帰し、何事も無かったかのように雅な姫スタイルを決めると永琳を部屋から出るよう促した。抑えられない神経的な頭痛と共に、永琳は部屋を後にした。歩く度に廊下に水溜りを作ってしまっている。戻りの時にモップがけせねばと何度目ともしれない溜息交じりで、自室へと向かっていった。
「チェック」
着替えを済ませた永琳――何故かジャージであった――の持つルークの駒が、輝夜の陣地のキングを追い詰めた。永琳の他の駒も、彼女がどこにキングを逃がそうと追尾可能な状態に布陣させているため、文字通りのチェックであった。
「もっ、もう一回! 今度こそ勝つ!」
「……姫様、私、もう疲れてきたんですけど」
「勝ち逃げする気!?」
チェスを始めてから既に三時間ほどが経過していた。その間に何度も二人は対局を行い、その全てが永琳の圧勝で終わっていた。もちろん、わざと負けるて早々に切り上げるという選択肢もあったのだが、いかんせん輝夜の無根拠な自信を伴う負けず嫌いな性格を思案すると、ばれたらばれたでまた変ないたずらをされかなないので、できなかったのだ。そのせいか、まさに獅子が鼠を狩るかの如く永琳は輝夜のキング並びに他の駒も狩り続けていた。結果は見ての通り、火に油をドラム缶で注いでしまったかのようで、輝夜は涙目になりながらも続けていた。妙なところで根性がある娘だと、永琳はつくづく思わされていた。
「もう終わりましょう。次からは時間を見つけてお付き合いしてあげますから……」
色んな意味で疲労困憊の永琳は、普段ならもう少しオブラートに包んで伝えるところを、率直に伝えてしまった事に瞬時に気づく。視線を向けると輝夜はその率直な言葉をそのまま受け取ってしまったようで、わなわなと震えだし、眼に浮かべた涙の粒が大きくなり、眉が逆八の字になって唇を噛み締める。
「『してあげます』って、永琳はそこまで私を下に見ていたという事!?」
「いっ、いえ……今のは言葉のあやというもので……」
「そこまで私がチェスが弱いって思っていたのね!?」
そっちかい。永琳は心中で盛大にずっこける。だが、輝夜は本気のようで少ししゃくり上げながら続けた。
「ルールも初めから知ってたし、最初から手の内で遊ばされていたなんて……」
「い、いえ……決してそのような事では……」
確かに永琳は輝夜からルール説明の申し出を丁重に断っていた。彼女の言う通り、長い人生の中でチェスに凝っていた時もあったため、不要であったからだ。だが、いかんせんプライドを傷つけられたと思い込んでいる輝夜にとっては、熟練者へ得意げに勝負を申し出た初心者としか取れなかった。
「ちくしょう! 覚えてなさい! 練習して、絶対に永琳に勝ってやるんだから!」
涙をぽろぽろとこぼしながら、チェスの駒を専用の入れ物にざっと流し入れ、それとチェス盤を引っ掴むと輝夜はそのまま部屋をドスドスと出て行った。永琳でさえ見る事が稀有な彼女の面持ちだっただけに、相当追い詰めてしまっていた事に気づかされる。
「とはいっても、しばらくは私の言葉は聞いてはくれないだろうし。これは流石に参ったわね……」
誰に向かうでもなく、弱音を吐き出す。先述通り、輝夜は負けず嫌いの性格のため一度火を点けてしまうとなかなか納まってくれない事を永琳は重々承知している。だが、疲れのあまりか気が回せなくなっていたため、煽りに煽ってしまった結果がこれである。賢者と呼ばれ、幾星霜の年月を生きてきた彼女とはいえ人の心まで掌握している訳ではない。その難しさに改めて思い知らされたのであった。
「次からは微妙に接戦にするようにしておきましょう」
前言撤回。まるで思い知っていなかった。だからなのだろうか、永琳は油断していた事と輝夜の本気さを見誤っていた事が原因としか思えない事が、その数週間後。つまりは冒頭の出来事の数時間前に惨劇は起こる。
「チェック」
ナイトの駒がキングを死地へと追い詰めた。無論、周囲は他の駒が陣取っており、逃げ場など無い。その光景に永琳は己の目を疑った。そう、負けたのは永琳である。
「あーら、永琳さんったら何でそんな場所にキングを置いているのかしら?」
輝夜が勝ち誇り、前回の仕返しだろうか、やたらと高圧的な態度で見下してくる。その態度に怒りを覚えるより前に、永琳はまだ盤上から視線を外せないでいた。ありえない。何で私が負けているのか。夢だ、これは夢に違いない。それだけが脳内でリピート再生される。
実のところこの数週間、輝夜は持ち前のインドア精神を爆発させ、最低限の事以外の時間は自室でチェスの特訓に励んでいたのであった。再度、紅魔館のメイド長にコツを教わったり、地下の図書館の魔女からチェスの心得の教本を借り、その一千ページを超える本の内容を全て暗記していかなる状況への対処も数万通りの方法を自身へ叩き込んでいた。それだけの根性を普段から見せてもらいたい、と通常思考の永琳なら考えただろうが、あいにく今の彼女にはそのようなまともな思考を行える脳細胞が死滅したような状況であるためできないでいた。
「じゃあ、恒例の罰ゲームといきましょうか☆」
「なっ!?」
あまりに突飛で気持ち悪い声色の輝夜の発言に、流石に永琳も現実へと引き戻される。
「待ってください、姫! この前、私が勝ってもそんな事は要求しなかったでしょう!? というか恒例!?」
「敗者には罰ゲームが付き物だし、あの時は永琳が勝手に要求しなかっただけでしょう」
「なっ、なら今から――」
「だっ、だめよ! えーっと……そう! こういうものはその場限りで有効な権力というのが相場よ!」
永琳の仕返しを恐れてか、輝夜はとっさではあったがそれっぽい理由を述べる。確かにたかがゲームの勝ち負けを何週間も引っ張るものではないのだが。筋の通っていない正論とでも呼ぶべき彼女の言葉に、思わず永琳は言葉を飲み込んでしまう。好機と見てか、こほんと咳払いをひとつ見せると畳み掛けるように輝夜は続ける。
「ではでは、永琳にはこれを着て買い物に行って来て貰おうかしら」
どう見てもあらかじめ用意してきた物を背後から取り出す。それだけ勝つ事の自信があったという事だろう。そんな彼女の自信にも気づかず、永琳は嫌な汗を大量に溢れ出させながら彼女持つ衣服を凝視していた。
「姫様」
「何?」
「それはうどんげの服ではないですか?」
「えぇ、クリーニングから返ってきたところだったから、ちょっと失敬してきたの」
彼女の手にあるのはクリーニングのビニールに包装され、タグもまだ付いている状態の永琳の弟子である鈴仙・優曇華院・イナバのブレザーとスカートである。状況のまずさに永琳の発汗はさらに勢いを増す。彼女自身、自分がどのようなキャラかは十分に理解している。そのような通称『きゃわいぃ☆お洋服』が似合わないという事も。
「私ね、永琳と知り合って本当に長いけど、こういう服を着ているところを見た事が無いなぁって思って」
そりゃ、意識して避けてましたから。永琳は眩暈が暴走特急の如く襲い来る中でも、案外冷静に胸中で呟く。しかし、硬直が解けず言葉には出せないでいた。
「だから、たまにはこんなものを着て気分転換もいいんじゃないかなってね」
永琳にとっては気分転換はするだろうが、陰鬱な方面へと転化する事は間違いない。もちろん、輝夜は彼女との長い付き合いでそれを理解した上で告げている。要するに先回の敗北への仕返し以外の何物でもない。
満面の笑みを浮かべる輝夜に、永琳は自身の思慮の浅さを呪った。やっぱり大事なんだなぁ、接待プレイって。などと考えても後の祭り。どでかい嘆息を漏らすと、心底やれやれといった具合に輝夜へ向き直る。
「……わかりました。今回だけですよ」
「えっ!? マジで着るの!?」
「おいこら」
「ごめんごめん。そうそう、あとブラウスとネクタイと靴下、革靴もガメておいたから」
輝夜は更に背後に置いていた(いつの間にか)箱を取り出し、蓋を開けてみせる。彼女の申告通りの物がそこに収められていた。ちなみに、やはり全て鈴仙の物である。この姫君はジャイアニズムの持ち主らしい。箱の中身を改めつつ、永琳はひとつ異彩を盛大に放つものに気づく。
「あぁ、ちゃんとそれも着けてね」
うさ耳である。正確に形容を記載するのであれば、兎の耳を模したヘアバンドである。つまり、輝夜は永琳に弟子である鈴仙のコスチュームプレイを行えという命令を下したという事だ。永琳の眩暈が一層強く深いものになったのは言うまでも無い。
「それじゃあ、今の服は脱ぎ脱ぎしましょうか、はぁはぁ……」
「それ以上近づかれましたら、そのご尊顔にアポロ13をぶち込みますわよ」
「じゃあ私は部屋を出ているから、ちゃんと着替えてね☆」
わきわきと両の手の指をうねらせて真顔で荒い息を上げる輝夜に、永琳は極上笑顔でスペルカードを見せると彼女はすぐに退散するのであった。流石に永琳のスペルの強力さは理解しているようである。一人残された部屋で、永琳は再度箱の中身に視線を移す。弟子の服が所在無さ気に座していた。
「これも人生の勉強なのかしらね……」
愚痴を一つこぼすと、永琳はまとっていた衣服を脱ぎ捨てると、用意されたそれに袖を通す。とりあえず、彼女が一番心配していた服のサイズは胸の部分以外はそう大差が無かったため、安堵の息を漏らしたのだった。
ガラスから視線を外し、永琳は周囲を見やる。やはり兎の妖怪――ではないのだが、見た目の上では――が珍しいのか、道行く人々で彼女をちらりと一瞥する者もちらほらと見られた。その度に、彼女は羞恥に顔のみならず耳までを朱に染める。絶世の美女と称しても過言ではない永琳は昔から男性女性を問わずに視線に晒される事は少なくなかった。だが、今回は今までのそれとは違う好奇の視線である。感じ取れる気配が違うだけでここまで違うものかと、彼女は思い知らされた。
(冗談じゃないわ。早く買い物を済ませて帰らないと……)
メモを再度見る。まだいくらかの雑貨を購入する指令があり、その下に妙に大きく注意書きが添えられていた。
『飛行禁止!』
輝夜が永琳の行動を先読みし付け加えた物であろう。筆跡が購入物の一覧とは微妙に違っていた。高高度を飛んでいってしまえば、他者の視線に晒される事が無いため、それを封じるための一言である。チェスの特訓が思わぬ方向に働いたようであった。
(こんなところ、誰か知り合いにでも見られでもしたらっ)
胸中で焦りをこぼすと、永琳はまた違う事を思い知らされる。嫌な予感だけは当たると。
「お前、あいつのとこの兎か?」
ふいに背後から自身へかけられた見知った声に、永琳はギギギと首だけを向ける。そこに怪訝な面持ちで彼女を見つめていたのは、輝夜と頻繁に死合う相手で同じ蓬莱人である藤原 妹紅であった。永琳の頭の中で警戒警報が最大レベルで鳴り響く。ある意味で一番会ってはいけない人物に出会ってしまったのだから無理はない。
「ん? お前、私とどっかで会った事ないか?」
その問いに永琳はびくりとすくみ上がる。確かに輝夜と死合う際に何度か連れ添っていたため、妹紅と永琳は顔を合わせている。妹紅の傷がリザレクションで追いつかない際は、治療を行いつつ憎まれ口を貰った事もある。そのため、自身が八意 永琳であるとばれると、今まで築いてきた自身の像を爆砕するようなものに加え、『八意 永琳は弟子のコスプレで往来を歩く変態』というレッテルを貼られて、輝夜の弱みにする事は請け合いである。彼女はこの思考を一瞬で行うと、口を開く。
「い、いえ……初めてお会いしますけど?」
賢者らしからぬ、極めて普通の言い逃れであった。ついでにばれないようにするためか、声色もいつもより少し高めにしている。妹紅は更に怪訝に彼女の顔を覗き込む。なるべく視線を交わらせないように逸らすも、妹紅は「あぁ」と何かに納得したようで少し距離を取る。
「そうだ。お前は八意 永琳――」
「っ!?」
「――の弟子のうどんげとかいう兎に似ているんだ」
心臓が急停止して死ぬというのはこんな感覚なのか。自身の名前を呼ばれた際のあまりの衝撃に、永琳は安堵の息を心の中で吐きつつそんな事を考えていた。だが、暇でもしていたのだろか。妹紅は憎むべき相手の従者へ言葉を続ける。
「それで、お前はうどんげの親戚か何かか?」
「えーっと……」
永琳は思案を巡らせる。それっぽい嘘にしておかないと、事実がばれて輝夜も自身も笑いものになる事は明白。だが、あまりに長時間の沈黙を作る訳にもいかず、彼女はまた普通に言い逃れを口にする。
「鈴仙は私の妹です!」
慌ててしまっていたためか、妙に語気を強めてしまった事に、彼女は胸中で舌を打つ。ばれてしまう事を恐れたからだ。幸い、妹紅は気づかないようであり、別の事を思いつき口を開く。
「鈴仙? ……あぁ、うどんげの本名か。あいつも八意 永琳もうどんげやらイナバしか呼ばないからわからなかった」
そういえばそうだった、と永琳はいもしない弟子に心中で少し詫びをする。妹紅はうまく納得したようで、少々表情を和らげる。てっきり輝夜の従者というだけで敵意を向けられると、迎撃体制を内心取っていた永琳は拍子抜けにされてしまう。
「何だ、そりゃあいつの頼まれ物か?」
永琳の荷物――先ほどの雑誌や漫画の他にも先に購入していた物を収めて足元に置いていたショルダーバックを見つけると、妹紅は少し鼻で笑って見せた。永琳ではなく、自身で買い物もしない輝夜を嘲笑したのであろう。
「どら、持ってやるよ」
「えっ!?」
「なんだよ。人の好意ってのは素直に受け取れよ」
恐らく妹紅自身も柄ではない事をしているという自覚があるのだろう。少し頬を赤く染めると視線を永琳から外す。激しい気性の彼女しか知らない永琳にとって、まさに青天の霹靂とも呼べるほどの出来事であった。だが、普段からいきなり殺し合いを演じる人間などいないだろうと考慮すれば、こちらが彼女本来の性格なのだろうと推測する。永琳はそれまでの緊張を解き、妹紅に向き直る。死なば最果てまで、鈴仙の姉という設定で押し通す覚悟を決めたのであった。
「それでは……お願いできますか?」
「あぁ……って、結構重いな」
「見ての通りですから」
パンパンとまではいかないが、輝夜からの要求の品々が入れられたバッグは妹紅の言う通り、結構な重さであった。苦笑に近いそれではあったが、普段見ない妹紅の意外な一面につい笑みが漏れてしまう事を自制する事はできなかった。妹紅にそれが気づかれ、永琳は瞬時に自身の愚かさを認識させられたのだが、妹紅自身は怒りもせずに同じように笑みを浮かべる。
「まぁ、なんだ。主があんなのだとあんたも苦労してんだな」
「……えぇ、少しですけどね」
これくらいの仕返しなら問題ないだろうと思い、輝夜への日頃の鬱憤を少々吐き出す。本当は山のような苦労であるのだが、それは永琳が望んで選んだ道のため苦労であると認識はしていない。苦労とは普段の遊びの強要や、今のような無理難題である。今度こそ苦笑ではない柔らかな笑顔を見せると、妹紅は耳まで顔を真っ赤に染めてぷいと顔を背ける。
「まだ買い物があるのなら、付き合うよ。どうせ私も暇だし」
「そうですか。ならばお言葉に甘えてもいいですか?」
意地悪してやるつもりで、外した視線の先に永琳は回り込んで、意図的に彼女と眼を合わせる。妹紅は更に慌てた様子で、今度は視線だけを下に向けて、永琳の顔は見ようとしない。流石に妙な動きに、永琳の胸中にも疑問符が浮かぶ。
「どうかしました?」
「なっ、なんでもない! 気にしないでくれっ!」
露骨に怪しい態度だったが、これ以上の追求もかわいそうかと思うと、永琳は視線をこれから向かう店のある方に向ける。少し翻るような動きに、彼女の長い髪とスカートがふわりと舞った。
「では、行きましょうか」
「……う、うん」
やはりいつもの彼女と比べるとおかしな言動の妹紅を不審に思いつつも、自信の姿も滑稽なものと思い出し、永琳は足早に店へ向かう。そんな彼女の後姿に視線を奪われつつ、妹紅も追従する。そしてこう思った。
一目惚れってあるんだな、と。
それから買い物を進める最中も、永琳と同じ物を取ろうとして手が触れてしまった際には異常に驚いたり、歩幅を三歩ほど合わせない妹紅に、永琳は更に怪訝に思いつつも使える者は使っておけという考えで過ごしていた。
「そういえば」
「はい?」
妹紅のふいの言葉に、永琳は彼女へ向き直る。
「あんたの名前、聞いてなかったなって……思ってさ」
例によって頬を朱に染めて、視線を合わせようとしない妹紅の問いに、既に冷静さを取り戻した永琳は瞬時に考えて答える。
「えっと、永仙(えいせん)です。永仙・優曇華院・イナバ」
非常に安直な名前だが、あまりにかけ離れた名前で反応できないで失態するよりはいいだろうという判断による偽名であった。ファーストネーム以下は面倒だった事と、鈴仙の姉を名乗ったため彼女のものをそのまま拝借していたが。
「永仙か。そ、その……いい名前だな」
「そうですか?」
「あぁ、なんというか……澄んでいるような綺麗な名前だよ」
「ふふっ、ありがとうございます」
偽名を褒められるというのも妙な気分であったが、永琳は素直に彼女の言葉を受け取る事にした。何だ、結構かわいい奴じゃないかと妹紅の評価を改めざるを得なかった。
その後の妹紅は少し状況に慣れてきたようで、時折頬を染める事はあっても永琳と普通に話して接するようになっていった。そんな彼女のおかげか、コスプレさせられている羞恥からある程度開放されていたような気分になれたため、永琳はその点を妹紅に感謝していた。
買い物が終わり、永遠亭への帰路。二人は歩きながらも少々言い合いを行っていた。
「あのっ……だから、これ以上は大丈夫ですから」
「気にするなって、これだけの量をあんたの細腕に持たせるには酷だろう」
妹紅は大量の購入物を自身が永遠亭まで持ち運ぶと言って聞かないのだ。永遠亭まで着いてしまっては、確実に永琳自身を知る者と会ってしまい、今までの演技が破綻してしまう。彼女はそれを恐れていた。
「で、でもっ……そう! 姫様と会ったらどうするんですか? 流石に買って来た物をだめにされたら私も怒りますよ」
その時は全力でスペルカード大放出してやる気は満々だが。そんな彼女の警告を、恋する漢気溢れる乙女の妹紅はキリッと凛々しい面持ちを永琳に向ける。
「安心しろ。私もそこまで馬鹿じゃないさ。永仙がわざわざした苦労を無駄にはしない。
今日はあの馬鹿に何を言われても、何もせずに引き下がるって誓うよ」
こんな状況ではなかったら危うく心を射抜かれそうな一言であったが、生憎 永琳は自身のこの阿呆な状況がばれる事への危機感だけしか思慮する事ができなかった。それからしばらく、何とか引き帰らせようとするもことごとく失敗してしまい、
「そんなに心配してくれなくたって、私は大丈夫だよ。ありがとな」
と妹紅の非常に柔らかで安心感の覚える笑顔まで引き出す始末であった。永琳は気づいていなかったが、妹紅は自身をここまで気遣ってくれる永琳――妹紅としては永仙――へますます想いを募らせていたのだ。一方の永琳といえば、彼女の真意に気づきはしない妹紅への好感度がみるみる下がっていた。
そんな言い合いを続ける内に、不幸にも永遠亭へと辿り着いてしまう。唯一の幸いは、出入り口付近に今は誰もいなかった事か。とりあえず今度、見回りの兎どもの減給は確定しようと永琳は思った。兎にも角にも、すぐに逃げるためにも妹紅から荷物を奪い取る。
「本当にありがとうございました。では私はこれで――」
ガラッ
「まったく、何で私が出なければいけないのかしら。どなた……って、何だお前か」
見回り兎がさぼっていたせいだろう。姫であるはずの輝夜が何故か戸を開けて迎え入れに来た。そして真正面に立っていた妹紅と瞬時に目が合って、殺気を立ち上らせる。
「お前とはご挨拶だな」
「あら、そうだったかしら。じゃあ妹紅ちゃんとでもお呼びした方が?」
額に青筋を浮かべつつも、先ほどの永琳との約束もあってか。妹紅は深呼吸を行うと、努めて冷静に徹する。
「まぁ、何とでも言え。今日は別にお前と殺し合いに来た訳じゃない」
「あらあら、今日は随分とお利口さんなのね。腐ったものでも拾い食いでもしたの?」
「はいはい、安い挑発だな。悪いが今日はもう帰るから、何を言っても無駄だ」
流石に乗りが悪過ぎる妹紅に、輝夜はふんと息を漏らすと、開けた戸の死角に立っていた永琳に気づく。永琳は彼女と視線が合うと、ここでばらすなというような意思表示を行うが――
「あら、永琳も一緒だったのね。おかえりなさい、どうだった?」
どこかの竜宮の使いに弟子入りしろとでも叫びたくなるほど空気を読まない発言をかましていた。永琳はどんよりといた気持ちで妹紅を見やる。すると、大笑いされる事を予想していたのだが、彼女は眼を見開いた状態でわなわなと震えていた。嫌な予感を感じてしまい、永琳はしまったと思うも、それはやはり現実のものとなる。
「え……永仙? それが永琳? ど、どういう事だ?」
永琳が彼女の面持ちを見て、第一に気づいた事。やべぇ、瞳孔が開いている。
「いやっ、これには深い訳があって……なんというか、ひとつの社会勉強の一環で――」
「あー、これは私がうどんげのコスプレするように命令しただけよ」
「このバ輝夜ぁっ! 少しは空気を読みなさいよ!!」
「えっ!? 永琳、何をそんなに怒ってるの!?」
まるで状況を理解しない輝夜に、永琳は真剣に怒りをあらわにした。一方の輝夜は頭の上に?を浮かばせ続ける。チェスで養ったのは先を予見する能力であり、それまでの流れを察する事へ応用できないようである。
「……違う。天使のような永仙があの狡猾でクソ生意気な永琳な訳がない」
妹紅のぽつりと呟いた言葉に、実に醜い言い争い――諸事情により割愛させて頂きました――を繰り広げていた二人は彼女へと向き直る。妹紅はやや俯きながら目の焦点が合っておらず、陰鬱な雰囲気のオーラを発していた。実に嫌な予感が二人を襲う。
「だって永仙はあんなに優しく私に笑ってくれたんだ。
あんなに優しく私の事を心配してくれたんだ。
だから、私は永仙が好きになったんだ。永仙もきっと私が好きなんだ。だから永仙は私の物なんだ。
輝夜の言った事は永仙を私に取られないようにするためのでまかせに違いない。
そうだ。きっとそうだ。永仙も主に従わないと後で酷い目に合わせられるから今は辻褄を合わせているだけだ。
そうじゃなければ私を邪険にする訳ないもんな。はははっ、そうだ。きっとそうに違いない。
永仙は私だけ見てくれればいいんだ。輝夜なんかのそばにいちゃいけない存在なんだよ。
……永仙を助けなきゃ。輝夜から助けなきゃ。そうすればきっとまた永仙は私に笑ってくれる。
ふふっ、ふふふふふふっ………ふひゃははははははははははははははははははははははははははははっ!!!!」
恋する心を粉砕されてしまい、しかしその心を守ろうとしてか。妹紅は見事に『あちら』へと精神を旅立たせてしまっていた。常軌を逸した彼女に、二人とも純粋な恐怖を覚える。いや、むしろ怖くない奴がいるなら是非拝ませてくれとも思っていた。ぎらりと、狂人の眼を輝夜に、そして次いで永琳ヘ向ける。
「待っててね、永仙。今すぐニそいつをぶっコロしてあげルから」
「待って、妹紅! あんた何かどえらい思い違いをしているわよ!」
「うルさいな。永仙を束縛する奴なンて、何度だってコロし続けテやる」
「え、永琳! 貴女からも何か言いなさい!」
「私ですか!? えーっと、妹紅。落ち着いて話しましょう。ね?」
気味が悪いくらいに妹紅の殺気が一気に収まり、笑顔を永琳に向ける。この変化はかえって不気味過ぎるものである。
「大丈夫だよ、永仙。私が君に無理強いをさせ続ける下衆な輝夜を殺して、自由にしてあげるから」
「蓬莱人だから、姫様は死なないでしょう!」
「他につっこむところあるでしょう!?」
色んな意味で必死な永琳は、輝夜の抗議は一切無視した。永琳――永仙の言葉に、引き続き気持ち悪いにこにこ顔で妹紅は続ける。
「それならリザレクションが追いつかないくらいに殺し続ける。
細胞の一片も残さなければ、セ○だって復活できなかったんだ。何とかなるさ」
「いや、それでもリザレクションはできると思うけど……」
「そんなに私の心配をしてくれるんだな、永仙。ありがとう、君のためにも――」
そしてぐるりと視線を妙に遠回りして首ごと回して、輝夜へ向き直す。
「こいツは必ず始末してあゲるからネ」
「ひぃっ!?」
鈴仙のような他者で狂気を発症させる視線ではなく、狂気そのものを宿した瞳に輝夜は初めて妹紅へ恐怖を抱いた。同じように永琳でさえも恐怖感を拭う事はできなかった。そんな中、妹紅は炎の翼をいきなり最大出力――いや、今まで以上の規模で展開させた。
「永琳」
「はい」
「これ本気でヤバくない?」
「私もそう思います」
恐怖を一周してかえって冷静になった二人はそう語り合い、ともに最高レベルのスペルカードを取り出す。
「姫様」
「何?」
「もう罰ゲームはやめましょう」
「そうします」
意を決すると、二人は狂人の不死鳥へ向かい跳躍し、スペルを放った。そしてそれからの激闘は、幻想郷の歴史に刻まれるほどのものであったと後に稗田家当主は記している。数日間続いた闘いは、戦いながら永琳が製薬した長時間昏睡させた上に記憶を抹消させる劇薬を妹紅に打つまで続いたという。
そして月日は流れ、幻想郷に存在する植物の花々が、己を主張すべき季節を無視して一斉に咲き溢れた。異変として乗り出した博麗 霊夢はその道中で、同じくこの異変の調査を永琳に命じられていた鈴仙と出会う。そして、以前に出会った際の彼女と違う点に気づく。
「あら、あんた衣替えしたの?」
「えぇ……うん、まぁそんなところよ」
鈴仙の現在着用している衣服は霊夢と初めて出会った時のブレザーではなく、裾の長めのブラウスだけにスカートの姿であった。彼女はどんよりと、己の師匠から返却されたぼろぼろに焼け焦げた自身の衣服を思い出していた。何に使用したかまでは、全壊した永遠亭の前で輝夜ともども土下座して弟子に詫びる永琳を前に聞き出せなかった、とか。
くっ、どんなに想像力を働かせてもまったく想像できない!
絶対に面白可愛いはずなのに!
でも、ちゃんとうどんげに謝ったんだね。
妹紅の殺気が一気に収まり
或いは
一気に妹紅の殺気が収まり
どちらにせよ、もとのままだと変
他にもおかしな所がちらほら
銀髪ロングウェーブでうどんげの格好した永琳・・・これは妹紅は惚れざるをえないw
しかし永仙可愛い・・・。
って妹紅が言ってた
ウェーブ→せいかい
両方→だいせいかい
やはり永琳は誘い受けですよね
永琳のかわいらしさを皆様にも伝えられれば何よりです。
これを機に久々に永夜抄をやってみたら、慧音で見事やられました。たすけてえーりん。
>『エイセンヘノオモイニミヲコガスツキニクルイシモコウ』
キョオオオォォォォォォォゥッ!!
>どちらにせよ、もとのままだと変
ご指摘ありがとうございます。修正させて頂きました。
若輩ゆえの稚拙な部分が多いようですので、精進させて頂きます。
>イラスト化
驚きで鼻から焼きそばを噴射しそうです。
一応、永琳の髪はどうしていたかは決めていましたが、
ボクもどちらのバージョンも見てみたいので公表しないのが正義でs(ピチューン
>やはり永琳は誘い受けですよね
自分の中の永琳は総受けです。異論は認めます。