どうしようもない日常の幕開けである。
「なぁ、これ買わないか?」
なんの前触れもなく、いきなり家に押しかけて来たかと思うと、白黒は何やら妙な形をした棒をずいと押し付けてそう宣った。
「毎度毎度騒がしい人ですね」
私がそう言うと、彼女はそれほどでもないぜと答えた。
謙遜なんて必要ない。
あんたは騒々しい。
「そうゆうお前さんは、相変わらずちっこいな」
そう言って、私の頭をぽんぽんと叩く白黒。
ぽんぽんぽんぽん……って、えぇい欝陶しい!
「誰がちびですか、誰が」
髪の乱れを直しながら私がそう言うと、彼女は無言で私を指差した。
失礼な。
「まぁ、きっと需要はあるぜ。ちっさいのはいいことだって、どっかの誰かが言ってたしな」
「それを言ったら魔理沙さんだって――」
私より胸ちっさいじゃないですか。
そう言おうとしてぐっと堪える。
そんなことを言えば我が家が星降る夜のオープンテラスよろしく、消し炭に成り兼ねない。
春先だからといって、侮ることなかれ。
夜の冷え込みはまだまだ結構なものだし。
口は災いのもと。
見ざる、聞かざる、言わざる。
「魔理沙さんはー、なんだよ?」
「魔理沙さん、魔女じゃないですか」
「魔女だぜ」
だからどうしたといった表情で、彼女はそう言った。
確かに、今更だからどうした、私。
「そんなことより、何の用ですか?」
「暇なんだよ」
「私は今、私の貴重な時間を有意義に過ごすべく、縁側でお茶を呑みつつひなたぼっこをするとゆう重要任務を遂行している最中なのですが……」
「なんだよそれ」
私の言葉に、彼女は笑った。
なんだよとは失礼な……
私の唯一の楽しみを馬鹿にしますか、この女は。
私がじっとりと睨んでいると、彼女はまぁいいさと肩を竦めた。
諦めのいいと言うか、興味無いことにはてきとーですね。
「今日はこいつをお前さんに売りに来たんだよ」
再び棒を押し付ける白黒。
ずいって擬音が聞こえるような勢いのよさに、軽くのけ反ってみた。
……近い。
「押し売りに来たの間違いじゃないですか?」
「人聞きが悪いぜ」
とゆうか、近い。
特に顔が。
強引に彼女の顔を押しやり、はぁとため息をつく。
「うちは訪問販売お断りなんですが……」
「足掛けセールスだぜ」
「ってか、さっきから何ですかその棒は?」
さっきから気になってはいたんですよ、その黒光りする棒。
彼女が握る妙な形状の棒を指差し、私は尋ねる。
「なんでも、しゃあぷぺんしるとか言って、鉛筆みたいに墨を付けずにものを書く、外の世界の便利な道具なんだ」
えへんと何故か自慢げに話す彼女。
揚句、無い胸を反らしているが、いかんせん虚し……ゲフン、ゲフン。
しかし、何でこんなにも偉そうなんだろう?
「へぇ、確かに便利ですねぇ」
「……と、こーりんが言ってた」
「……」
いや、他人の入れ知識かよ。
となると、これは香霖堂からの盗品か……
知ってますか?
外の世界では盗品の売買は犯罪なんだそうですよ?
幻想郷でも変わりませんけど。
うん、まぁ、面白そうだし、買うのもいいかもしれない。
それに、彼女が今までに押し売りに来た物に比べると、大分まともな物だし。
少なくとも毒茸よりかわ。
「ほれほれ、どうする?」
「おいくらなんです?」
「おお、買ってくれるのか」
私がそう言うと、待ってましたと言わんばかりに、どこからともなく出したそろばんを私に突き付けた。
「……そのくらい値段なら。てか何でスカートの中にそろばんが入ってるんですか?」
「魔女だからな」
彼女はそう答えた。
霧雨魔理沙、貴方は何処を目指していらっしゃるので?
……嗚呼、成る程、彼女の想い描く魔女とは、スカートの中にそろばんを忍ばせているものなのか……
そーなのかー。
とりあえず、懐から蝦蟇口を出し、お金を払って『しゃあぷぺんしる』とやらを受け取る。
そして、半紙にそれを滑らせ……
「あの、魔理沙さん?」
「なんだ?」
「何も書けないんですけど」
「だろうな」
にやつく魔女にちょっとした殺意を覚える私。
いや、だってさ……
「不良品じゃないですか、これ。全く書けないんですが」
「返品不可だぜ?」
くつくつと笑う魔女。
くっ、ムカつく……っ!
「どこぞの詐欺兎ですか」
「ああ、安心しな」
そう言って彼女は再びスカートの中を漁り、小さなケースを取り出した。
もはやなにも突っ込むまい。
「そいつでものを書くには、この『しゃあぷぺんしるの芯』が必要なんだ」
「はぁ?」
意味もわからずほうける私を端に彼女はこう続けた。
「で、この芯の値段なんだが-」
あぁ、そうきたか。
成る程、私はしてやられたわけだ。
うまい商売を思い付いたな、この白黒は……
彼女は相も代わらずニヤニヤと笑っている。
そんな彼女に、私は負けじと満面の笑み(引き攣っているのは御愛嬌)を作る。
詐欺だと、私は言った。
「なぁ、これ買わないか?」
なんの前触れもなく、いきなり家に押しかけて来たかと思うと、白黒は何やら妙な形をした棒をずいと押し付けてそう宣った。
「毎度毎度騒がしい人ですね」
私がそう言うと、彼女はそれほどでもないぜと答えた。
謙遜なんて必要ない。
あんたは騒々しい。
「そうゆうお前さんは、相変わらずちっこいな」
そう言って、私の頭をぽんぽんと叩く白黒。
ぽんぽんぽんぽん……って、えぇい欝陶しい!
「誰がちびですか、誰が」
髪の乱れを直しながら私がそう言うと、彼女は無言で私を指差した。
失礼な。
「まぁ、きっと需要はあるぜ。ちっさいのはいいことだって、どっかの誰かが言ってたしな」
「それを言ったら魔理沙さんだって――」
私より胸ちっさいじゃないですか。
そう言おうとしてぐっと堪える。
そんなことを言えば我が家が星降る夜のオープンテラスよろしく、消し炭に成り兼ねない。
春先だからといって、侮ることなかれ。
夜の冷え込みはまだまだ結構なものだし。
口は災いのもと。
見ざる、聞かざる、言わざる。
「魔理沙さんはー、なんだよ?」
「魔理沙さん、魔女じゃないですか」
「魔女だぜ」
だからどうしたといった表情で、彼女はそう言った。
確かに、今更だからどうした、私。
「そんなことより、何の用ですか?」
「暇なんだよ」
「私は今、私の貴重な時間を有意義に過ごすべく、縁側でお茶を呑みつつひなたぼっこをするとゆう重要任務を遂行している最中なのですが……」
「なんだよそれ」
私の言葉に、彼女は笑った。
なんだよとは失礼な……
私の唯一の楽しみを馬鹿にしますか、この女は。
私がじっとりと睨んでいると、彼女はまぁいいさと肩を竦めた。
諦めのいいと言うか、興味無いことにはてきとーですね。
「今日はこいつをお前さんに売りに来たんだよ」
再び棒を押し付ける白黒。
ずいって擬音が聞こえるような勢いのよさに、軽くのけ反ってみた。
……近い。
「押し売りに来たの間違いじゃないですか?」
「人聞きが悪いぜ」
とゆうか、近い。
特に顔が。
強引に彼女の顔を押しやり、はぁとため息をつく。
「うちは訪問販売お断りなんですが……」
「足掛けセールスだぜ」
「ってか、さっきから何ですかその棒は?」
さっきから気になってはいたんですよ、その黒光りする棒。
彼女が握る妙な形状の棒を指差し、私は尋ねる。
「なんでも、しゃあぷぺんしるとか言って、鉛筆みたいに墨を付けずにものを書く、外の世界の便利な道具なんだ」
えへんと何故か自慢げに話す彼女。
揚句、無い胸を反らしているが、いかんせん虚し……ゲフン、ゲフン。
しかし、何でこんなにも偉そうなんだろう?
「へぇ、確かに便利ですねぇ」
「……と、こーりんが言ってた」
「……」
いや、他人の入れ知識かよ。
となると、これは香霖堂からの盗品か……
知ってますか?
外の世界では盗品の売買は犯罪なんだそうですよ?
幻想郷でも変わりませんけど。
うん、まぁ、面白そうだし、買うのもいいかもしれない。
それに、彼女が今までに押し売りに来た物に比べると、大分まともな物だし。
少なくとも毒茸よりかわ。
「ほれほれ、どうする?」
「おいくらなんです?」
「おお、買ってくれるのか」
私がそう言うと、待ってましたと言わんばかりに、どこからともなく出したそろばんを私に突き付けた。
「……そのくらい値段なら。てか何でスカートの中にそろばんが入ってるんですか?」
「魔女だからな」
彼女はそう答えた。
霧雨魔理沙、貴方は何処を目指していらっしゃるので?
……嗚呼、成る程、彼女の想い描く魔女とは、スカートの中にそろばんを忍ばせているものなのか……
そーなのかー。
とりあえず、懐から蝦蟇口を出し、お金を払って『しゃあぷぺんしる』とやらを受け取る。
そして、半紙にそれを滑らせ……
「あの、魔理沙さん?」
「なんだ?」
「何も書けないんですけど」
「だろうな」
にやつく魔女にちょっとした殺意を覚える私。
いや、だってさ……
「不良品じゃないですか、これ。全く書けないんですが」
「返品不可だぜ?」
くつくつと笑う魔女。
くっ、ムカつく……っ!
「どこぞの詐欺兎ですか」
「ああ、安心しな」
そう言って彼女は再びスカートの中を漁り、小さなケースを取り出した。
もはやなにも突っ込むまい。
「そいつでものを書くには、この『しゃあぷぺんしるの芯』が必要なんだ」
「はぁ?」
意味もわからずほうける私を端に彼女はこう続けた。
「で、この芯の値段なんだが-」
あぁ、そうきたか。
成る程、私はしてやられたわけだ。
うまい商売を思い付いたな、この白黒は……
彼女は相も代わらずニヤニヤと笑っている。
そんな彼女に、私は負けじと満面の笑み(引き攣っているのは御愛嬌)を作る。
詐欺だと、私は言った。
思わず張り倒したくなるくらいが丁度いい魔理沙だ。
アキュー+魔理沙のネタは好き。
魔理沙らしい魔理沙。ごちでした。
商売人の娘は商売人ってかww
お見事。
↑あきゅマリは私の正義
8〉落ちとしては少し弱いかな、と思いましたが
↑貴重なご意見ありがとうです^^
9〉まりさぎし、こーりんなみだめ、あきゅー乙
↑七五調吹いたWW
11〉お見事
↑ベ、別に嬉しくなんか(ry
17〉魔理沙な魔理沙だ。
↑だって魔理沙やもん
28〉ありがとう
↑どういたしまして?