慧音「発明とは失敗を繰り返して成功の糸口を掴むまでの一連の過程の事である」
ハイどうもー。楽園の素敵な司書(自称)、『こあ』こと小悪魔です。
変換するとコア熊と出てきます。舐められてますよねー。
まぁ、そんな事はどうでもいいのですよ。話の主な所は別にあります。
実は私、困っているのです。ええ、そりゃもう冗談抜きに。
原因ですか? それは、
――納得いかないわ……!
これですよ。
我らがマスター、永遠の紫萌やしことパチュリー様が、戻ってきてからずっと不機嫌なのです。
え? 主人が不機嫌なだけでそんなに困る事なのかって?
分かってませんねー。円周率を『3に決まってんだろうがァ!』と答えるくらい分かってません。
いいですか? 私はパチュリー様のことが好きなんですよ? 好きな相手が不機嫌だったら、そりゃ困りますよ。ええ。
――………
ほら見てください、あの苦虫をじっくり味わって噛み潰すような痛々しい顔…パチュリー様があんな顔をするのは本当に珍しい事なのです。
例え実験で失敗して部屋中を煤だらけにしたって、厚かましい顔で「片付けておいて」とか平気で言ってくるような方ですから。……まあ、そんなパチュリー様だからこそ惚れたんですけどねー。
――……何時までそこから覗いているつもり?
ぬあ、バレてました。
流石はパチュリー様。こあ望遠鏡の可視領域をもう少し伸ばさないと駄目みたいですねー。って…あ、あれ? そこは駄目……
ビキッ!!
ああああ! 今日筆下ろししたばっかりのこあ盗聴器が粉々に!
それ作るのに二ヶ月掛かったんだぞこん畜生! ……まぁ、そんなパチュリー様だからこそ惚れたんですけどねー。
『ちょっと来なさい。それと、次は無いわよ。』
おお!? 魔法を使ったテレパシーです!
くぅー、パチュリー様かっこいいですねー。次は無いわよ、とか……その台詞、痺れますねー。そう思いません?
……と、まあそれは置いておきましょう。
今のパチュリー様の機嫌を考えたら、早く行かないとまずいことになりそうですからねー。
移動中……
「お呼びですかー?」
めっちゃ睨まれてます。うーん……この眼光、たまりませんねー。
ちょっと気を抜いたらお小水を漏ら……失礼、ちょっと表現がまずかったです。はい。
「…こあ」
重い重い。めっちゃ重い声です。
虫くらいなら殺せますよこの重さは。
「………」
しかもこの間。きついですねー。
溜めて溜めて、お前何か勘違いしとりゃあせんか? とか言ってくるパターンですよこれ。
あー、嫌だなあ。このパターンは大概長ったらしく説教されて、最後に「分かったらダッシュ百本」とか言われるん――
「――私は頼りなく見える?」
「……はい?」
「私は頼りなく見えるか、と聞いているのよ」
予想外もいいとこです。鼻から牛乳です。
でもまあ、ダッシュ百本は免れたみたいだから良しとしましょうか。
「私はそうは思いませんけどねー。てか、何でそんな事聞くんですかー?」
「月が欠けた今回の異変……知っているでしょう?」
はい。知りません。
一っ言も教えて貰ってません。
「その異変をレミィが解決に向かう、と言ったのよ。そして、それに当たって誰か一人供を連れていく、と」
へぇー、珍しいですねー。あの出不精のレミリア様が。
「私は名乗りを上げたわ。喘息の症状も今は落ち着いているから私が一緒に行く、と」
おー、さらに珍しい。
そんなしんどそうな話に名乗りを上げるなんて、よっぽど調子が良いんでしょうねー。
「……問題はその後。名乗りを上げた私に、レミィは何て言ったと思う……?」
「えーとですねー……――!」
その時こあに電流走る!
「――パチェ、もやしっ子の貴女がよくぞこの危険な任務に名乗りを上げてくれたわ……でも、駄目……! 貴女は私の大切な大切な親友、そんな貴女を危険に晒す訳には行かない……!」
「………」
「何言ってるのレミィ、親友だからこそじゃない! 危険な任務なのは分かってる。だからこそ、私は貴女の助けになりたいのよ!」
「………」
「パチェ……ありがとう! 本当に危険な任務だけど……一緒に、来てくれる?」
「………」
「勿論よレミィ! あの日誓ったじゃない……生まれた日は違えど死ぬ日は共に、とね! ――ですか?」
あははー。ノリって恐いですねー。
「……火符『アグニシャイン』」
「こあああああああああああああああああああああああああ!!!」
お仕置き中……
「レミィは私に言ったわ。喘息持ちの貴女じゃちょっと不安だから今回はいいわ――と」
「……ぞう゛でずが。」
「私は直ぐに反論した。高々一日程度、症状を止める事くらい魔法でどうにでもなる、と。……なのにレミィは、無理しないで良いよ、なんて適当な事を言って、咲夜を連れてさっさと行ってしまった」
そんな事よりパチュリー様、目の前のバーベキュー状態の私を見て何とも思わないんですかこん畜生。……まぁ、そんなパチュリー様だからこそ惚れたんですけどねー。
「……こあ、私はそんなに頼りない? 私は所詮お荷物にしかならないと言うの……?」
……!
ななななな、泣いている……!
あの鉄面皮のパチュリー様が……目にいっぱいの涙を貯めて、泣いている……!
こ、これはレアな……じゃなくて大変です! でも、今こそ私の真価の見せ所!
自分のマスターが、それ以上に惚れた相手が泣いているのを見て何もしなかったら『楽園の素敵な司書(自称)』の名が廃れますよ!
「そんな事ありませんッ!」
「……!」
「パチュリー様はお荷物なんかじゃありません! だってパチュリー様は私の自慢のマスターですから!」
き、決まった……!
見ましたか!? この完璧な台詞とポーズ!
……ああ、仮面ラ〇ダーの変身ポーズのパクリじゃないか、って声は聞こえませんよ。
「……ふふっ」
……ありゃ? そこは笑うところじゃありませんよパチュリー様。
もっとこう感動的に、こあ! 大好きよー! とか言って抱き付いてきたり……
「黒焦げの貴女に、自慢のマスターですから、なんて言われてもねえ……ふふ、それにその変なポーズは何なのよ」
あ、あんたが黒焦げにしたんでしょうがこん畜生! ……まぁ、そんなパチュリー様だからこそ惚れたんですけどねー。
「でも……ありがとう、こあ。少し元気が出たわ。」
「そ、そうですかー? 良かったです!」
うーむ……イメージした展開とは違うけど、一件落着みたいですねー。
やっぱりパチュリー様に暗い顔は似合……いますけど、まぁ、細かいことは気にしない方針で。要は笑顔が一番って事ですよ!
ではこれにて、めでたしめでた――
ガゴン!
わっ、びっくりした……!
全く、誰ですか!? 感動のフィナーレを邪魔する虫けら小僧……って、フラン様じゃないですか。
ああ、そうそう。あの方はレミリア様の妹君、フランドール様。
ちょっと前まで地下の部屋に495年程引き籠もっていらっしゃったんですが、最近になって出てきてからは館内を闊歩してメイドを見つけては悪戯を繰り返す悪ガ……ごほん、活発な方なんですねー。
でも今日はちょっと様子が変です。それに何であんな息を切らしてるんですかねー?
「フラン様、どうしまし「パチュリー……! お姉様に異変解決の同行を断られたって、本当?」
私はアウトオブ眼中ですかこん畜生。
「ええ、断られたわ。それがどうかしたの?」
「……やっぱり、そうなんだ。」
うーん、話が見えてきませんねー。
入ってきた時の様子を考えたら、ただその事を確認するだけの為に来た訳じゃなさそうですし。
「フラン様、何かあったんで「――わっ! びっくりした……! ちょっとこあちゃん、いたならいたって言ってよ!」
「あ、あー……すみま千円」
ずっとここにいましたよこん畜生!
所詮中ボスだけど私だって大玉くらいなら出せるんだぞこん畜生!
くたばり際に苦無弾ばら撒くんだぞこん畜生!
……失礼。テンションが上がりすぎました。
話を戻しましょうそうしましょう。
「改めてフラン様、大分落ち着かないみたいですけど何かあったんですかー?」
「……? こあちゃん、何で黒焦げなの?」
ふっ……愛の鞭、ってやつですよフラン様。
「まあ、細かいことは気にしない方針で。それで、何かあったんですかー?」
「うん、実はね……私もお姉様に言ったの。一緒に行く、って」
おお、デジャヴです。
てことは流れ的に……
「……そしたら、お姉様は何て言ったと思う?」
「えーとですねー……――!」
………。
「……ちょっと想像出来ませんねー。何て言われたんですかー?」
はい。止めて置きましょう。
フラン様相手だと火傷どころか骨も残らない可能性がありますからねー。
命あっての物種、ってやつですよ。
「………」
ひゃー、パチュリー様のこの視線、恐いですねー。
テメー何チキってんだよ? あ? みたいなオーラをビシバシ放ってますよ。
取り敢えず目は合わせないようにしときましょう。
「これは遊びじゃないのよ、って言われた。……ひどいと思わない?私は真剣にお姉様の手助けをしたいと思って言ったのに……!」
ふむ、つまりはフラン様もパチュリー様と同じようにレミリア様からショッキングな事を言われた、と。
こんなに可愛いお二方を振るなんて、レミリア様も随分罪作りですねー。
「ねぇ、パチュリー、こあちゃん。私って、そんなに面倒な奴……? 私は所詮、お姉様のお荷物にしかならないのかな……?」
「「……!」」
し……シンクロニシティですかこれは!?
フラン様が、あの天真爛漫で天衣無縫で九連宝燈のフラン様が険しい表情のまま泣いている……!
……ううむ、しかしこれは困りましたね……
そんな事ありません! とキメたい所ですが、フラン様との付き合いがそんなに長くない私が言っても効果がない気がします。
こういう時はもっとフラン様をよく知る――
「――フラン、そんな事はないわ」
そうそう、パチュリー様なんて正に適任っておお! 凄い! まさかの種無しテレパシーです!
成程、これが俗に言う以心伝心ってやつですか。いいですねいいですねー。
「貴女はお荷物なんかじゃない。レミィが貴女の事をどれだけ大事に思っているか、私は良く知っているわ」
「パチュリー……でも、あの言い方は……」
「あの子は意地っ張りな上に不器用なだけ。何があっても貴女だけは危険な目に合わせたくない、って素直に言えないのよ」
どこかで聞いた気もしますが、この台詞、すんごい説得力ありますねー。
それよりパチュリー様、あなたかっこよすぎです。
どこまで惚れさす気ですかこん畜生。
「そう……なのかな」
「そうよ。百年来の付き合いの私がそう言うんだから、信頼してくれていいわ」
かぁー! この、フフン、とか聞こえてきそうなニヒルな笑い方!
パチュリー様! あんた私に止めを刺す気ですか!? そうなんですね!? ぬあああ! JACKPOT!!
……危ない危ない。もう少しでトぶ所でした。
おっ、いつの間にかフラン様が笑顔になってるじゃありませんか。
うんうん。いいですねーこの笑顔。『ろりこん』の一人や二人殺せそうな可愛さですよ。
「うん、ありがとうパチュリー……! 私、なんだか楽になったよ」
「そう、良かったわ。」
「フラン様、良かったですねー!」
「うん! こあちゃんもありがとう!」
うーむ素晴らしい。これぞ正に大団円です。
何てフィナーレに相応しい空気なんでしょう。いいですねいいですねー。
では今度こそ、めでたしめでた――
「――でもフラン、レミィは少し私達の力を軽視し過ぎだと思わない?」
あれ?
「うん、思う。私達がその気になったらそりゃもう凄いのにね」
何でしょうねー、この駄目な感じは。
「なら、行く?」
「うん、行く!」
あー……これは流れ的にあれですねー。全然めでたくなさそうですねー。
ま、一応聞いてみましょうそうしましょう。
「えーと、何処へですか?」
「「異変を解決するのよ!」」
あははー。駄目だこりゃ。
ハイどうもー。楽園の素敵な司書(自称)、『こあ』こと小悪魔です。
変換すると虎ア苦MAと出てきます。嘘です。
まぁ、そんな事はどうでもいいのですよ。話の主な所は別にあります。
実は私、困っているのです。ええ、そりゃもう冗談抜きに。
原因ですか?それは、
「さあ、いくわよ! もう少しで私達の合体スペル、名付けて『賢者テイン』が完成するわ! フラン、準備はいい?」
これですよ。
我らがマスター、永遠の紫萌やしことパチュリー様が、あの日からフラン様と一緒になって何故か合体スペルの発明に夢中なのです。
「いつでもいいよパチュリー! あの異変はお姉様達が先に解決しちゃったけど、このスペルが完成さえすれば次の異変は私達の独壇場ね!」
え? 発明に夢中なだけでそんなに困る事なのかって?
分かってませんねー。円周率を『3・14? 四捨五入で3だろうがァ!』と答えるくらい分かってません。
「「5、4、3……」」
いいですか? 発明とは失敗を繰り返して成功の糸口を掴むまでの一連の過程の事である、ってあの慧音さんが言ってるんですよ?
ですから、ちょっとやそっとで成功する訳が無いんですよ。成功の素は失敗なんですよ。
「「2、1……」」
え? 例え失敗したとしても努力する事は良い事じゃないかって?
分かってませんねー。円周率を『π? 何それ、おっぱい?』と答えるくらい分かってません。
いいですか? 賢者テインですよ? 七曜の大魔女と破壊の吸血鬼のヴァリアブルコンビネーションですよ?
成功したらそりゃ無理ゲーの完成ですよ。でも……
「「……0! 賢者テインッ!!」」
ドゴオォォォォン!!!
失敗したらそりゃもう凄い事になるんですよ。
部屋中煤だらけで済んだ頃が懐かしいくらいに。
パラパラ……
「……また失敗しちゃったね」
「……ええ、また失敗ね」
「………」
「……ぐずぐずしてられないわ、失敗した原因を探すわよ」
「うん、そうだね!」
「………」
「じゃ、こあ。いつも通り片付けておいて」
「よろしくね、こあちゃん!」
「あははー。やってられるかこん畜生」
めでたしめでたし
それより和坊さんの携帯と未完の長編に合掌!
次回作も期待して待ってるので、今回の事にめげずにがんばってください!
小悪魔がノリノリすぎるwww
あとがき……お悔やみ申し上げます。
長編も気長にお待ちしております。
これは、こ、こあぃ!
辞書登録はしてあげてw
まあそれは置いといて、携帯の件、誠にお悔やみ申し上げます……だが、俺には見える!あんたが長編を前以上の姿で再構築する情景が!
こあちゃん可愛いな。
携帯に深い追悼の意を表しつつ、長編も待とうと思います。
こあwww
続きをお願いします!!!
凄いどうでもいいことですが、後書きの『continyued』は『y』はいらないかと。
前作の冒頭のうぐいすネタといい、和坊さんのギャグ物は変なところで意表を突いてくるなあ。
>携帯
誠にお悔やみ申し上げます。
イマイチ楽しめなかったのは残念無念。
フラン、小悪魔の事こあちゃんと呼んでるのなら霊夢や魔理沙も
ちゃん付けで呼んでるんかなーとか思ったある春の一日。
主に年齢的な意味で。
まあ「不夜城○○」とか「スカーレット○○」みたいな感じなんだろうけどw
それより、賢者テイン…イメージしてみたけど明らかに無理ゲーすぐる…!