博麗神社は妖怪神社。そんな異名が罷り通る位に、博麗神社は妖怪が来る。もちろん妖怪が参拝などする筈も無い。ならばどうして妖怪達は神社に訪れるのか?
答えは簡単。彼女達は皆、そこにいる巫女――博麗霊夢を好いているからである。
「霊夢、遊びに来たわよ。たまには紅茶でもいかが?」
永遠に幼き紅い月、レミリア=スカーレット然り。
「やっほーお姉さん! いやぁ今日はいい死体運び日和だねぇ」
地獄の輪禍、火炎猫 燐然り。
「あらあら霊夢。今日も暢気にしてるのね」
神隠しの主犯、八雲 紫然り。
割愛するが他多数(鬼や天狗、エトセトラ……)の妖怪からも霊夢は好感を持たれていた。
そんな人気を持つ霊夢であったが、霊夢の抱く彼女達への感情は冷めた物である。どうでもいい、とまではいかなかったが、さしたる程の興味も無いと言って良かった。
それが余計に妖怪達から好かれる理由になっていると霊夢自身はあまり気づいていないのだが……。
◆
ある日の事である。レミリアに連れられ、霊夢は人里のカフェー(西洋の茶屋と聞いた)にやってきていた。
正直なところ、吸血鬼であるレミリアが人里のカフェーに入るのはどうなのかと霊夢は思った。しかし、「人間用の店にしちゃ中々美味しい珈琲を入れてくれるのよ、ここ」とレミリアが存外に楽しそうに語る姿を見て、まぁいいかと霊夢はレミリアの後に付いて店内へと入った。
いらっしゃいませ、と女性の店員(ウェイトレスと呼ぶらしい)からハキハキとした声がかかる。彼女はレミリアを見るとにこりと微笑を浮かべ、霊夢を見ると「あら」と言いたげな表情を浮かべた。
「いらっしゃいませ、レミリア様。今日は咲夜様とはご一緒で無いので?」
「ええ、お忍びってヤツよ。こちらは私の友人」
「あらまぁご友人様で」
ウェイトレスは本当に驚いたようで、少し声が裏返っていた。どうやら彼女は霊夢が「博麗の巫女」とは知らないらしい。確かに霊夢は異変を解決する時か、たまの食糧の買い込み時くらいにしか外を回らないため、人里の一介のウェイトレスが霊夢を知らないのは道理と言えた。
まだ朝寄りの昼であったためか、霊夢達以外には客は無く、レミリア曰く「座ってみたかった」というカウンター席に霊夢とレミリアは腰かけた。隣に座るレミリアが品表を広げて「これが美味しい」「これがオススメ」と珈琲の名前を指しながら霊夢に説明する。緑茶には多少こだわりのある霊夢だったが、珈琲などは飲んだ事自体が数える程度しかないので、レミリアのそれはありがたかった。
そうして決めている間に、コトリと霊夢の前に水が置かれる。「お決まりですか?」とウェイトレスは相変わらず人懐こそうな笑顔を浮かべて霊夢たちに問いかけてきた。
「ええ、私にはこれ。霊夢にはこっちをお願いするわ」
「畏まりました」
そう答えながらウェイトレスはレミリアの前にも水を一つ置き、
レミリアの隣の席にも水を一つ置いた。
え? と霊夢の心中に疑問符が浮かぶ。レミリアもウェイトレスのそれには意表をつかれたようで、子供らしいキョトンとした表情を浮かべていた。
それにウェイトレスは気付いていないのか、さらに言葉を連ねる。
「もう一人の方がいらっしゃらないようですが、オーダーは別で宜しいですか?」
……訳が分からない。霊夢は軽く眉をしかめた。少なくともこの店内で客と呼べるのは、霊夢とレミリアの二人だけである。
「……貴女、何を言ってるのかしら? 私達は二人で来たんだけど」
レミリアは少し苛立ったようにウェイトレスを睨み付けた。ウェイトレスはその視線に萎縮したようだったが、それ以上に怪訝さが彼女の中で勝っているようだった。
「い、いえ。先ほどもう一人お客様がご一緒に……」
「……は?」
ぞわ、とレミリアの苛立ちが圧力となって噴出す。ひ、とウェイトレスが一歩退いた。
レミリア、と霊夢が肩を掴みそれを窘める。確かにウェイトレスの行動は霊夢にとっても不可解だったが、それで吸血鬼が人間相手にいざこざを起こして良い筈もない。博麗の巫女としても、それを見逃すわけにも行かなかった。
立ち上がりかけていたレミリアはじろりと不満げに霊夢を一瞥したが、軽く鼻を鳴らして再度席に腰を下ろした。彼女としても、せっかくの外出をこのような形で台無しにしたくは無かったのだろう。
大変失礼しましたとウェイトレスがペコペコと頭を下げることで、その場はひとまず収まった。
◆
霊夢の周辺で少しおかしなことが起きるようになったのは、それからである。
部屋の前の廊下を歩いていると、部屋の中に視界の隅を掠めるようにして小さな人影が入る。そちらへ視線を向けてみれば誰も居ない。ただがらんとした無人の部屋があるだけである。
最初のうちは紫が何か新しい悪ふざけでも思いついたのだろうと霊夢は放っておいたが、よく考えてみれば紫が「ただ居るだけ」等という退屈極まる悪戯をするはずが無いと霊夢は気付いた。あの神出鬼没な妖怪ならばもっと無駄に凝った悪戯をするだろう。
となると何か低級な妖怪か、浮遊霊にでも取り付かれたのかと霊夢の思考は逢着した。存在そのものを幽かにしか感じさせないから、相当に弱いのだろう。
それにただ居ると言うだけで、実害があるわけでも無い。寝首でもかくつもりならば即座に祓ってしまえば良い。結局霊夢はそれを放置することにした。
「やぁやぁお姉さん。あっそびに来たよー」
現象が起こる様になって一週間ほど経ったある日の事である。
旧地獄に住まう死体運びの火炎猫燐こと、火車のお燐が神社にやって来た。彼女愛用の猫車の車輪はガシャガシャと軋みを上げており、霊夢の目にも長い間それに油が差されていないことが見てとれる。霊夢がそれを言えば、お燐は「最近は運ぶ死体が少なくてね。みんな火葬しちゃうからさ」と憂いの表情で呟いた。
そこでふと、何かに気付いたようにお燐は霊夢から視線を外し、霊夢の左側の空間に目をやった。猫らしい縦長の瞳が丸く開かれ、お燐はそこを注視している。――そして、ニヤリ、と文字通り獲物を見つけた猫の狡猾な笑みを浮かべて、
ばっ
ばちんっ
にゃあっ
たった今起こったことを文字として表現するならば上記のようになる。もう少し詳しく記述するとするならば、霊夢の左の空間に向けてお燐が飛び掛り、それに向けて霊夢が札を投げつけ、お燐が悲鳴を上げて弾き飛ばされた、となる。
あてててて、とお燐は腰をさすりながら立ち上がった。いきなり何してんの、と霊夢がしかめ面でその姿へと問いかける。
「い、いやあ、あたいは死体専門なんだけど、なんかお姉さんに霊が憑いてるみたいだったから外してあげようかと」
お燐の言葉に、あぁやっぱり何か浮遊霊に取り付かれてたのか、と霊夢はどこか納得した。「除霊」と言わず「外す」などと言っている点からして、どうやら旧地獄に連れ去ることが目的だったようである。反射的に迎撃した霊夢であったが、そのような目的だとすれば流石に霊夢としても止めざるを得なかった。お前は死んでいればなんでもいいのかと霊夢が言及すると、「死体が無いんだよぅ」とお燐はうなだれた。……火車の生計は中々逼迫しているようである。
◆
その日の夜のこと。さっきからあれ見ないな、と思いながら霊夢が居間に入ると、なぜか八雲紫が茶を飲んでいた。
勝手に入るな、茶を飲むなと怒鳴りつけたが、紫はくすくすと笑うばかり。元より効果など期待していないが、その気味の悪い微笑みを浮かべられると、こいつはやっぱり妖怪なんだなと霊夢は再認識させられるのである。
「今日は手紙を預かっていてね。はい、貴女宛」
紫はそう言うと、封筒を霊夢へと差し出した。「あぁ安心なさい。読んでないから」と至極どうでもいい言葉を付け加えると、紫はスキマを開いて居間から消えた。
しばらくあっけに取られていた霊夢だったが、その手に持たされた封筒に視線を下ろす。表には拙い文字で「みこさまへ」と書かれていた。ひっくりかえして裏を見るが、差出人の名前は無い。
仕方なしに霊夢は封を切り、その中から紙を取り出した。
『つきまとってしまってごめんなさい。
きょうはまもってくれてありがとうございました』
短い手紙である。
文章からして、この一週間霊夢に憑いていた者からの手紙らしい。全てひらがなであることから、どうやら子供の霊だったのだろう。
霊夢はしばらくそれを眺めた後、痛まないようにそっと手紙を封筒に戻し、その封筒を箪笥の一番上の段に大切に仕舞った。
◆
次の日、霊夢は機嫌が良かった。ふんふんと鼻歌を歌っている始末である。鬼は「宴会だー!」と、天狗は「スクープです!」と、縦横無尽に空駆け巡る。騒がしさここに極まれり。そんな朝寄りの昼であった。
霊夢は一週間前に訪れたあのカフェーにまたやってきていた。最初にあの霊が憑いていると分かったのがここであったし、何よりここの珈琲は確かに美味しかったからだ。
霊夢が店内に入ると、いらっしゃいませとハキハキとしたあの声が掛かる。応対に出たのはあのウェイトレスであった。
「あら、貴女はレミリア様のご友人の」
驚いたようにウェイトレスは言った。一週間前に一度来ただけの霊夢の顔を覚えているとは、伊達や酔狂で客商売をやっていないのだろう。香霖堂の店主にも見習って欲しいものである。
霊夢は軽く挨拶をすると、あのカウンター席に腰を下ろした。時間帯ゆえか、今日も客は霊夢一人である。静かな時間の中、霊夢は品表を広げてどれを飲んでみようかと視線をめぐらせていた。
そうして決めている間に、「お決まりですか?」とウェイトレスは相変わらず人懐こそうな笑顔を浮かべて霊夢に問いかけてきた。霊夢は悩んだ末、結局先週飲んだものと同じものを頼むことした。
「畏まりました」
そう答えながらウェイトレスは霊夢の前に水を一つ置き、
その横の席にも、その横にもその横にもその横にもその横にもその横にも、水を置いた。
答えは簡単。彼女達は皆、そこにいる巫女――博麗霊夢を好いているからである。
「霊夢、遊びに来たわよ。たまには紅茶でもいかが?」
永遠に幼き紅い月、レミリア=スカーレット然り。
「やっほーお姉さん! いやぁ今日はいい死体運び日和だねぇ」
地獄の輪禍、火炎猫 燐然り。
「あらあら霊夢。今日も暢気にしてるのね」
神隠しの主犯、八雲 紫然り。
割愛するが他多数(鬼や天狗、エトセトラ……)の妖怪からも霊夢は好感を持たれていた。
そんな人気を持つ霊夢であったが、霊夢の抱く彼女達への感情は冷めた物である。どうでもいい、とまではいかなかったが、さしたる程の興味も無いと言って良かった。
それが余計に妖怪達から好かれる理由になっていると霊夢自身はあまり気づいていないのだが……。
◆
ある日の事である。レミリアに連れられ、霊夢は人里のカフェー(西洋の茶屋と聞いた)にやってきていた。
正直なところ、吸血鬼であるレミリアが人里のカフェーに入るのはどうなのかと霊夢は思った。しかし、「人間用の店にしちゃ中々美味しい珈琲を入れてくれるのよ、ここ」とレミリアが存外に楽しそうに語る姿を見て、まぁいいかと霊夢はレミリアの後に付いて店内へと入った。
いらっしゃいませ、と女性の店員(ウェイトレスと呼ぶらしい)からハキハキとした声がかかる。彼女はレミリアを見るとにこりと微笑を浮かべ、霊夢を見ると「あら」と言いたげな表情を浮かべた。
「いらっしゃいませ、レミリア様。今日は咲夜様とはご一緒で無いので?」
「ええ、お忍びってヤツよ。こちらは私の友人」
「あらまぁご友人様で」
ウェイトレスは本当に驚いたようで、少し声が裏返っていた。どうやら彼女は霊夢が「博麗の巫女」とは知らないらしい。確かに霊夢は異変を解決する時か、たまの食糧の買い込み時くらいにしか外を回らないため、人里の一介のウェイトレスが霊夢を知らないのは道理と言えた。
まだ朝寄りの昼であったためか、霊夢達以外には客は無く、レミリア曰く「座ってみたかった」というカウンター席に霊夢とレミリアは腰かけた。隣に座るレミリアが品表を広げて「これが美味しい」「これがオススメ」と珈琲の名前を指しながら霊夢に説明する。緑茶には多少こだわりのある霊夢だったが、珈琲などは飲んだ事自体が数える程度しかないので、レミリアのそれはありがたかった。
そうして決めている間に、コトリと霊夢の前に水が置かれる。「お決まりですか?」とウェイトレスは相変わらず人懐こそうな笑顔を浮かべて霊夢たちに問いかけてきた。
「ええ、私にはこれ。霊夢にはこっちをお願いするわ」
「畏まりました」
そう答えながらウェイトレスはレミリアの前にも水を一つ置き、
レミリアの隣の席にも水を一つ置いた。
え? と霊夢の心中に疑問符が浮かぶ。レミリアもウェイトレスのそれには意表をつかれたようで、子供らしいキョトンとした表情を浮かべていた。
それにウェイトレスは気付いていないのか、さらに言葉を連ねる。
「もう一人の方がいらっしゃらないようですが、オーダーは別で宜しいですか?」
……訳が分からない。霊夢は軽く眉をしかめた。少なくともこの店内で客と呼べるのは、霊夢とレミリアの二人だけである。
「……貴女、何を言ってるのかしら? 私達は二人で来たんだけど」
レミリアは少し苛立ったようにウェイトレスを睨み付けた。ウェイトレスはその視線に萎縮したようだったが、それ以上に怪訝さが彼女の中で勝っているようだった。
「い、いえ。先ほどもう一人お客様がご一緒に……」
「……は?」
ぞわ、とレミリアの苛立ちが圧力となって噴出す。ひ、とウェイトレスが一歩退いた。
レミリア、と霊夢が肩を掴みそれを窘める。確かにウェイトレスの行動は霊夢にとっても不可解だったが、それで吸血鬼が人間相手にいざこざを起こして良い筈もない。博麗の巫女としても、それを見逃すわけにも行かなかった。
立ち上がりかけていたレミリアはじろりと不満げに霊夢を一瞥したが、軽く鼻を鳴らして再度席に腰を下ろした。彼女としても、せっかくの外出をこのような形で台無しにしたくは無かったのだろう。
大変失礼しましたとウェイトレスがペコペコと頭を下げることで、その場はひとまず収まった。
◆
霊夢の周辺で少しおかしなことが起きるようになったのは、それからである。
部屋の前の廊下を歩いていると、部屋の中に視界の隅を掠めるようにして小さな人影が入る。そちらへ視線を向けてみれば誰も居ない。ただがらんとした無人の部屋があるだけである。
最初のうちは紫が何か新しい悪ふざけでも思いついたのだろうと霊夢は放っておいたが、よく考えてみれば紫が「ただ居るだけ」等という退屈極まる悪戯をするはずが無いと霊夢は気付いた。あの神出鬼没な妖怪ならばもっと無駄に凝った悪戯をするだろう。
となると何か低級な妖怪か、浮遊霊にでも取り付かれたのかと霊夢の思考は逢着した。存在そのものを幽かにしか感じさせないから、相当に弱いのだろう。
それにただ居ると言うだけで、実害があるわけでも無い。寝首でもかくつもりならば即座に祓ってしまえば良い。結局霊夢はそれを放置することにした。
「やぁやぁお姉さん。あっそびに来たよー」
現象が起こる様になって一週間ほど経ったある日の事である。
旧地獄に住まう死体運びの火炎猫燐こと、火車のお燐が神社にやって来た。彼女愛用の猫車の車輪はガシャガシャと軋みを上げており、霊夢の目にも長い間それに油が差されていないことが見てとれる。霊夢がそれを言えば、お燐は「最近は運ぶ死体が少なくてね。みんな火葬しちゃうからさ」と憂いの表情で呟いた。
そこでふと、何かに気付いたようにお燐は霊夢から視線を外し、霊夢の左側の空間に目をやった。猫らしい縦長の瞳が丸く開かれ、お燐はそこを注視している。――そして、ニヤリ、と文字通り獲物を見つけた猫の狡猾な笑みを浮かべて、
ばっ
ばちんっ
にゃあっ
たった今起こったことを文字として表現するならば上記のようになる。もう少し詳しく記述するとするならば、霊夢の左の空間に向けてお燐が飛び掛り、それに向けて霊夢が札を投げつけ、お燐が悲鳴を上げて弾き飛ばされた、となる。
あてててて、とお燐は腰をさすりながら立ち上がった。いきなり何してんの、と霊夢がしかめ面でその姿へと問いかける。
「い、いやあ、あたいは死体専門なんだけど、なんかお姉さんに霊が憑いてるみたいだったから外してあげようかと」
お燐の言葉に、あぁやっぱり何か浮遊霊に取り付かれてたのか、と霊夢はどこか納得した。「除霊」と言わず「外す」などと言っている点からして、どうやら旧地獄に連れ去ることが目的だったようである。反射的に迎撃した霊夢であったが、そのような目的だとすれば流石に霊夢としても止めざるを得なかった。お前は死んでいればなんでもいいのかと霊夢が言及すると、「死体が無いんだよぅ」とお燐はうなだれた。……火車の生計は中々逼迫しているようである。
◆
その日の夜のこと。さっきからあれ見ないな、と思いながら霊夢が居間に入ると、なぜか八雲紫が茶を飲んでいた。
勝手に入るな、茶を飲むなと怒鳴りつけたが、紫はくすくすと笑うばかり。元より効果など期待していないが、その気味の悪い微笑みを浮かべられると、こいつはやっぱり妖怪なんだなと霊夢は再認識させられるのである。
「今日は手紙を預かっていてね。はい、貴女宛」
紫はそう言うと、封筒を霊夢へと差し出した。「あぁ安心なさい。読んでないから」と至極どうでもいい言葉を付け加えると、紫はスキマを開いて居間から消えた。
しばらくあっけに取られていた霊夢だったが、その手に持たされた封筒に視線を下ろす。表には拙い文字で「みこさまへ」と書かれていた。ひっくりかえして裏を見るが、差出人の名前は無い。
仕方なしに霊夢は封を切り、その中から紙を取り出した。
『つきまとってしまってごめんなさい。
きょうはまもってくれてありがとうございました』
短い手紙である。
文章からして、この一週間霊夢に憑いていた者からの手紙らしい。全てひらがなであることから、どうやら子供の霊だったのだろう。
霊夢はしばらくそれを眺めた後、痛まないようにそっと手紙を封筒に戻し、その封筒を箪笥の一番上の段に大切に仕舞った。
◆
次の日、霊夢は機嫌が良かった。ふんふんと鼻歌を歌っている始末である。鬼は「宴会だー!」と、天狗は「スクープです!」と、縦横無尽に空駆け巡る。騒がしさここに極まれり。そんな朝寄りの昼であった。
霊夢は一週間前に訪れたあのカフェーにまたやってきていた。最初にあの霊が憑いていると分かったのがここであったし、何よりここの珈琲は確かに美味しかったからだ。
霊夢が店内に入ると、いらっしゃいませとハキハキとしたあの声が掛かる。応対に出たのはあのウェイトレスであった。
「あら、貴女はレミリア様のご友人の」
驚いたようにウェイトレスは言った。一週間前に一度来ただけの霊夢の顔を覚えているとは、伊達や酔狂で客商売をやっていないのだろう。香霖堂の店主にも見習って欲しいものである。
霊夢は軽く挨拶をすると、あのカウンター席に腰を下ろした。時間帯ゆえか、今日も客は霊夢一人である。静かな時間の中、霊夢は品表を広げてどれを飲んでみようかと視線をめぐらせていた。
そうして決めている間に、「お決まりですか?」とウェイトレスは相変わらず人懐こそうな笑顔を浮かべて霊夢に問いかけてきた。霊夢は悩んだ末、結局先週飲んだものと同じものを頼むことした。
「畏まりました」
そう答えながらウェイトレスは霊夢の前に水を一つ置き、
その横の席にも、その横にもその横にもその横にもその横にもその横にも、水を置いた。
いや 祓おうよ巫女として…w
私も幽霊になって霊夢の傍でまったりとしたいものです。
良いお話をありがとうございました。
「妖怪"だけ"じゃなくて幽霊に"も"好かれてね?」
‥これでよし♪(完全に術中に嵌っている)
幽霊にまで好かれる霊夢も凄いが、霊夢やレミリアでさえ目視出来ない
幽霊を見ることのできるウェイトレスもかなり凄い!
もしやその正体はウェイトレスに扮した咲(ピチューン
霊夢が見ることすらできなかった幽霊を何故認識できる・・・?
こいつはまさか・・・
あれ?こんな時間に誰だろう
なるほど!と膝をうちました。いいオチです
妖怪に…というか人外に好かれてるわけだしねぇ
どんだけでかいテーブルなんだよ…
つーか、この霊夢妖怪じゃなくて幽霊に好かれtハッ!?
この霊夢は妖怪じゃなくて幽霊に好かれてね?
突っ込みを2つ
一、店のテーブルどのくらい長いの?
二、そんなに水よくもってこれるなww
子供の幽霊だったから・・・子供にも好かれるのか?
霊夢たちの会話や文章など、スッキリと読みやすく
またちょっとした日常のような雰囲気や子供の幽霊の手紙で
感じた静かな空気など、面白いお話でした。
その子からの手紙とそれを大切にしまった霊夢も良いものでした。
面白かったですよ。
いい話でいいんですよね、うん
正直にうまいと思うwww
でもこの霊夢妖怪じゃなくて幽霊に…ハッ!?
読みやすかったです
ところでウェイトレスさん水多いんですけど…
うん? なんかおかしいぞ?
とまぁ何はともあれオチに吹きましたw
良い話・・・なんだよな?
巫女なんだしwww
ウェイトレスさん…貴女多分ウェイトレスの仕事より霊媒師の方が向いてるからwww
間違いなくお金儲かる。
あと、後書きww
するのなら擬音ではなく文章にして表現して下さい。というかその次文できちんと描写されてます。さして効果のない描写をいれるのはテンポを崩すだけ、という初歩的な突っ込みはアリでしょうか?
お話はそれなりに楽しめただけに、いたるところで書き物の基本が成っていなかったのが非常に惜しいです。
次回に期待。
霊夢もとうとう幻影陣を習得したかと思ったが別にそんな事は無かった。
ラストシーンでピクミンを思い出したのは俺だけじゃないはず!
どうでもいいけど最初こいしかとおもった
ウェイトレスも疑問に思えwwww
律儀に注文まで聞くんだろうか?
小町仕事しろよ!!
実はカフェーが霊の溜まり場で、そこで働いている内にウェイトレスさんに霊能力の様なものが身に付いたとか?
普通の人間より、人外と付き合っている時間の方が長かったりして。
不覚にもゾッとした。
しかしこの霊夢、妖怪じゃなくて幽れ、ハッ!
幽霊「強力な幽霊と出会うと精神を破壊される事もある」
やばくね?
単に「人間が妖怪を退治する」という異変解決の性質上人間が出にくいだけで。
ウェイトレスさんはなかなかの幻視力をお持ちのようで…。
あまりにも綺麗に落とすもんだから、頭で理解して吹き出すまでに結構な時間がかかってしまいました。
一つツッコミを入れるとするならば、妖怪じゃなくて幽霊に好かれてね?ってことくら………はりゃ?
いやあ、すっきりした。
さすが幻想郷、人里の人間も只者じゃない
ひっかかってないぞ!?
発想がおもしろいなあ
でも、霊夢の交友関係を考えると、全然マシなんだろうなぁ。『普通の幽霊』くらいwww
なんか霊夢に和んだ。なんというか博麗じゃなくて霊夢というかなんというか…
俺も何を言ってるのかわかr(ry
(幽霊の)行列が出来る博麗神社の巫女。
と言うよりも、彼女自身が磁石みたいに幽霊引き寄せているだけでは?
花映塚では『吸霊』なんてシステムもありましたしwww
でもやっぱりこれって妖怪じゃなくて幽霊に好かれているのでは・・・ハッ!!
おそらく、ついた幽霊を外してもまた別の幽霊がつくと思う。
そうなら燐の仕事は増えるから、燐には好都合かも。
そして、幽霊が勝手につく要因を作った人物。
その名は……おっと、こんな時間に来客か?
ただ素人に見えるのに巫女に見えないというのは疑問に思います。
ウェイトレスさん人間と幽霊の区別をつけてww
いや、空気読めなくてすまん。
本当に霊夢は妖怪じゃなくて幽霊に好かれてるよ……にゃれ?
次の霊夢の反応がうすた京介風に再現されました
ぞろぞろ憑いて回ってんの想像したら鳥肌が立った