初夏の涼風が幻想郷を優しく撫で付ける。
日の光を厭う吸血鬼達にとって、これからの季節は相当に居心地が悪いものに違いない。
特に、紅霧を拡大させた異変の際に、それを解決する為に訪れた巫女の手により痛い目を見た事は、彼女達の記憶にも鮮明である。
そう言った事情がある為かは知らないが、この館に住まう吸血鬼達は……正確に言えば、吸血鬼姉妹はこのところ妙にそわそわとしている。
姉の方はこの時期が来ると必ず、過去の異変を肴に酒を飲もうと博麗神社を訪れるのが日課となっている。
巫女の方もただ酒が飲めるとあって悪い気はしていないようだ。 プライドの高い姉君の事だ、そうして過去の鬱憤を少しずつ晴らしているのだろう。
問題なのは妹君――フランドール・スカーレットの方だ。
彼女も姉と同じ様な思いを抱いているが、館の外に出る事が余り無い為、外の世界と言う物を知らないのだ。
そして、仮にその気になって外界に出ようとしても、七曜の魔女の手によりその歩みを止められる。
別に外に出なくても人生にはあんまり影響が無いとは思っていても、それでもたまには外の世界を見てみたいと思うものだ。
だから、ある日フランドールは姉に交渉をしてみる事にした。
外の世界を見て回りたい。 その代わり、なるべく物を壊さないようにするから、と上目遣いで懇願する妹の姿に、麗しき姉妹愛を胸に抱く姉も顔に苦笑いの表情を作り、やれやれしょうがないと言わんばかりに肩を竦めながらこう告げた。
「だめ」
姉の言葉を理解すると、彼女は直ぐさま不機嫌になり頬を膨らます。
その様子を暫し堪能した姉は、口元の笑みを手で隠しながら彼女に歩み寄ると、きょとんとする彼女の体を抱きしめながら耳元で囁いた。
「冗談よ。 ちょっとからかってみただけ。 でもちゃんと朝までには帰ってきなさいよ?
あと壊していいのは無機物だけ。 人とかは駄目よ。 妖怪はいいけど」
そう告げるとフランドールの姉――レミリア・スカーレットは彼女の体を解放し、仄かな血の香りを残してその場を去って行く。
姉の小さな後ろ姿が廊下の闇に消える頃、ようやく彼女は自分が言われた事を理解した。
許しが出たのだ。 あの宵闇広がる世界に踏み出す為の。
そうと分かったフランドールは嬉しくなり、辺り一面を飛び回る。
それが終焉を迎えたのは、言い忘れがあった事を思い出したレミリアが振り返り、地下から二階までを繋ぐ穴を作ったフランドールを双眼に捉えた刹那、やんちゃが過ぎる妹に細やかな制裁を加えた時の事だった。
ところどころ服が破れた妹を正座させ、彼女の前に立つ姉の姿は、姉より優れた妹など居ないと言わんばかりの存在感を放っている。
「全く何やってんのよ……あ、そうそう忘れてた。 はいこれ」
レミリアは思い出した様に呆けた顔で見上げるフランに手を差し出す様に告げる。
言われた通りに両手を差し出したレミリアの掌には、光り輝く三枚の硬貨が載せられていた。
「おやつは三銭まで」
にこりと笑ったレミリアの顔は、正しく姉の浮かべるそれであった。
――意気揚々と紅魔館から出立する妹を見上げ、レミリアは小さな溜め息を漏らした。
多少の不安も残るが、フランドールも幻想郷の決まり事とかも一応理解しているっぽいし、まあ良いかという結論に至る。
その頃には、既にフランドールは吸血鬼の視界にも入らない所に飛び立っていた。
館内に戻り、メイド長に紅茶でも淹れてもらうかと考えながら歩いていると、廊下の向こうから月光の輝きが目に入る。
それが彼女の百年来の友人の帽子に付いた飾りだと気付くには、そう時間はかからなかった。
「あら、妹様は?」
日頃から寝ぼけているのではないかと見紛うようなジト目でレミリアを見る七曜の魔女――パチュリー・ノーレッジは開口一番、親友の妹の所在を訪ねる。
「さっき遊びに行ったわ」
「何処に?」
「檻の中に」
「あら、入れられた本人が気付かなければそこは檻では無いわ。
何処までも広がる夢の世界よ」
「いつか覚めてしまうわね」
「永眠してて欲しかったんだけどね、妹様には」
「純粋培養も行き過ぎれば体に毒よ」
「貴方たち死なないじゃない」
「夢の世界の住人だもの」
肩を並べ、言葉を交わしながら階上へと向かう吸血鬼と魔女。
月明かりが雲の隙間から零れるテラスに辿り着き、椅子に腰を降ろすとすぐ、紅茶と茶菓子がテーブルに用意される。
後ろに控える瀟酒な従者に礼を告げると、主は友人との世間話に花を咲かせる。 そして話す事も尽きかけてきた頃、思い出した様にパチュリーは声を発した。
「あ、そう言えば」
「なに、パチェ?」
「どうして外に出そうと思ったの?」
「門番の事?」
「それは締め出す。 それに門の中に居たらただの妖怪メイドじゃない。
私が聞きたいのは妹様の事」
パチュリーの言葉に、レミリアは唇に人差し指を当て眉間に皺を寄せる。
数秒ほど思考すると、彼女は笑みを浮かべてこう言った。
「あいつが暇そうだったから」
彼女の返答に、今度はパチュリーが眉を顰める。
からからと楽しそうに笑う吸血鬼の姿に、パチュリーは窘める様な視線を送る。
魔女が送る詰責するかの様な視線を感じ、流石にこれ以上戯けている訳にもいかないと感じたレミリアは、居住いを正すと紅茶を一口含み、唇を濡らす。
雲間に隠れた月から僅かな光が零れる頃、何かを勘案する様にティーカップに視線を落としていたレミリアは、徐に口を開く。
「あいつは人間がどんな生き物なのか知ったわ。 襲い方も分かっただろうし、大丈夫よ。 多分」
じゃなきゃ館の中すらうろつかせてないって、と笑いを声にしながら告げるレミリアの姿に、パチュリーはやはり表情を動かさない。
そして溜め息を一つだけ吐くと、眉間を指で揉みながらも何処か楽観した表情で、彼女の行いに対する文句を付けた。
「全く、面倒事は御免よ。
どっかからクレーマーが来たらレミィが対応しなさいよ」
「それは大丈夫。 あれでも一応優秀な門番よ。 いらないけど」
「じゃあこっちに回してよ。 いらないけど」
その言葉を最後に茶会は終了を告げた。
後片付けを従者に任せ、二人はお互いの領域へと戻っていく。
「……」
大図書館への階段を下る際、パチュリーは静かに思案に耽っていた。
何故、自分が親友の妹を外に出さなかったのか。
勿論、純粋に彼女の存在自体が危険だった事もあるだろう。
妖怪達と結んだ条約の手前、もしもの事が起これば、それは紅魔館の滅亡に繋がる。
つまりそれは、自分の平穏な空間の終わりを意味する。
折角手に入れた静かなひと時を、そんな簡単に失いたくはない。
詰まる所、自分も結構勝手な所があるのだ。 それを今更変えようとも思わないし、それに何より自分のそんな所を結構気に入っている。
とりあえず妹様も昔よりは落ち着いてるみたいだし、無事に帰ってきてくれる様に祈っとこうと決意したパチュリーは、そう言えば悪魔の友達は誰に祈りを捧げれば良いのかしらと首を傾げながら、彼女が最も心安らぐ場所、大図書館の扉を開いた。
――――宵闇に生物達は息を沈める幻想郷。
フランドールは淡い月光に包まれる感触に胸を弾ませ、夜空を切り裂きながら飛回っていた。
弦月を背に、彼女は生い茂る木々を俯瞰する。
密やかながらもそこかしこから漂う”目”の気配に幼子特有の好奇心が働いたのか、月明かりすら差し込まない森の中へと躊躇う事無く飛び込んでいく。
柔らかな腐葉土に足を取られつつも、数多有る気配の一つの存在を確認するべく、足下の土を掘り起こす。
すると地面の中から鈍色をした多足の虫が出てきた途端、コロンと丸まりながら動かなくなってしまった。
動かないと言っても気配は確かに感じるのだから、死んでいるのとは違うのだろう。 不思議な生物との遭遇に、益々外の世界に興味を抱いた彼女は、その虫を片手に森の中を散策する。
絵本等で読んだ物とは違う、生き物達の息吹。
あいつ――いや、お姉様は此処に越してからずっとこんな世界を堪能していたのだろうか。
そう思うと少しだけ嫉妬心が首を擡げてくる。 しかし、今はもうそんな事どうでもいい。
折角貰った自由なのだから、思い切り堪能してやろう。 さて、これから何処へ行ってみようか。 巫女の神社? それとも泥棒の家?
楽しそうに笑みを浮かべるフランドールは、不意に右の掌に訪れるむず痒さに気が付く。
どうやら、身を守る必要が無いと判断した虫が身の守りを解き、手中を散策しているようだ。
嗚呼、この子も今の私と同じ気分なのかしら。 そう感じたフランドールは掌をわたわたと歩むそれに笑いかけると、鼻歌を唄いながらどんどんと森の奥深くへと侵入していく。
それから数分だろうか。 気分が良くなったフランドールの鼻歌が歌声に変わる頃、彼女の歌に合わせる様な調べが彼女の耳に触れる。
声の聞こえる方向へと首を上向けると、月明かりに照らされた翼を持つ少女が、樹上で胸を張りながら歌を歌っていた。
心地良さげに歌い続ける少女の風貌は、独特の形状をした茶色の羽根付帽子に、それと同じ柄の服装。 茶色と白の混じった格好は、何処となく雀を連想させる物だった。
楽しそう。 フランドールはそう感じるとすぐに、少女の元へと飛んで行く。
「こんばんは」
「きゃあっ!?」
後ろから気配を消して近づき、挨拶をするフランドール。 驚いて奇声を発する少女の姿に、悪戯好きな吸血鬼は小さく笑いながら彼女の眼前に移動する。
黒い瞳を大きく見開いた少女は、肩で息をしながら空中を後ずさると言う奇妙な芸を披露した。
その珍妙な動きに、フランドールは笑う声を更に強める。 その姿が癪に障ったのか、呼吸を落ち着かせた少女はしかめ面でフランドールを睨むと、フランドールは未だ収まらぬ笑いを堪えながら彼女に謝罪した。
「ああ、ごめんなさい。 あんまり驚いてくれたもんで面白くって」
「人が折角気持ちよく歌ってたのに……あれ? あんた、どっかで会ったことない?」
未だ笑いこけるフランドールに文句を言ってやろうと少女は詰め寄っていった。 しかし目の前に立つフランドールの幼い顔立ちを眼に入れるなり、つい先頃まで抱いていた憤りは記憶の彼方へと追いやられる。 代わりに湧き出る一つの疑問を解消するべく、少女はフランドールの顔をまじまじと見詰め、質問を投げかけた。 その行動に、やはり彼女は鳥なんだ。 とフランドールは一人納得すると同時に、目の前の少女に向けられた言葉に僅かな取っ掛かりを覚える。
「お姉様を知っているの?」
「あ、やっぱりあの吸血鬼の」
「ええそうよ雀さん。 初めて見たわ」
「私もよ吸血鬼さん。 はじめまして。
私はミスティア=ローレライよ」
「あらご丁寧に。
申し遅れましたわ。 私はフランドール=スカーレット」
自己紹介を終えると、少女――ミスティアはうやうやしく頭を下げる。 彼女に倣い、フランドールもスカートの端を摘み上げ、礼をする。
瞑っていた眼を開き、視線を交わし合い、全ての儀式が終了した二人は、それすらもが遊戯の一幕だと言わんばかりに笑い合い、互いの意思を確認した。
「はじめまして」
「さようなら」
別れの挨拶を済ました少女達は針葉樹の天辺から飛び去り、距離を空ける。 これを合図に命名決闘へと移行するのかと思われた。
しかし、飛び退いた位置から微動だにしないフランドールは薄気味悪い笑顔を浮かべると、空いている右手を上向けたまま動きを停止した。
「ごめんなさい。 すぐ終わっちゃって」
「あら、ステージはまだこれからが最高潮よ」
ミスティアの台詞を聞き流したフランドールはこの遊戯に終止符を打つべく、彼女の”目”を見つけ出そうと試みたが、それは思いもよらぬ原因により失敗を迎える事になった。
視界が徐々に狭まっていく。いつもなら掌に収まる筈の”目”が見えなくなる。
初めての経験に、フランドールは微かな焦りを感じていた。
「あれ?」
「悪いけど先制攻撃。 ずっと聞いてたでしょ、私の歌。 どうだった?」
視界を失い狼狽するフランドールの姿に己の優位を悟ったミスティアは笑いながら彼女の後ろに移動し、静かに話しかける。
その声には僅かならぬ安堵が込められていた。
「その様子だと楽しんで貰えたようね。 アンコールいっとく?」
「う~ん、なんも見えない」
目を両手で擦りながら、彼方此方を見渡すフランドール。
彼女の持つ能力――”ありとあらゆるものを破壊する程度の能力”は、物質の最も緊張した部分――”目”を見付けだし、それを手中に収め、破壊するという物である。
ミスティアは、今からちょっかいを出そうとしていたフランドールがそこまで危険な能力の持ち主なのだと言う事は知らなかった。
しかし彼女が幸運だったのは、フランドールの能力との相性が良かった事だろう。
鳥目の影響のせいか、フランドールは”目”を見つける事が出来ず、更に初めての”鳥目”の経験に混乱してしまっている。
しかしミスティアが困ったのはこの後だ。
確かに、このままの状態ならば吸血鬼を倒す事が出来ないまでも、簡単に追い返す事が出来るだろう。
だけどそうなったら、あのプライドの高そうな姉の事だ。 きっと仕返しに来るに違いない。
かといってこのまま放っておけば鳥目が治った途端、自分に襲い掛かってこないとも限らない。
ミスティアは狼狽えるフランドールの姿を視界に捉えながら、さてこの子はどうしたもんかと首を捻り続ける。
暫しの逡巡の後、しょうがないから適当に辺りを連れ回して、朝が近くなったら帰って貰おうという結論に辿り着いた。
「しょうがないから、しばらく一緒に散歩でもしましょう。
あ、私が勝ったんだから、私に手出しはしちゃ駄目よ。 命名決闘の約束」
「でもスペルカードなんて使ってないし……」
「細かい事はいいから!」
そうと決まれば話は早い。 ミスティアは未だ視界の回復しないフランドールの手を握り、月明かりの静かに漏れる夜空へと飛び出した。
――昨日と今日の境界の時間。
なんだかんだで大人しく自分の手を握り締めながら着いてくるフランドールに、ミスティアはちょっと可愛いかなと思い始めていた。
しかし、警戒は怠らない。 二人で楽しそうに歌を歌いながら飛んでいるが、これもフランドールを鳥目で居続けさせる為に行っているのだ。
それでも楽しい物は楽しい。 外での出来事、紅魔館での出来事、様々な会話をする内、互いに親しみを抱いてきた二人は、さて何処に行こうかとお喋りをしながら、まだ肌寒い夜空をあても無く彷徨う。
その時ふと、ミスティアは良い当てがあったことに気が付いた。
「あ、そうだ。 迷いの竹林でも行ってみない?」
「なんかあんの?」
「ほっぺたが落ちそうな位美味しい筍と兎肉があるわよ」
「あ、行ってみたいかも」
「ところでさっきからそっちの手に持ってんの何?」
「ん? これ?」
「げ、ダンゴムシ」
笑いながら手を差し出してくるフランドールの掌上には、捕食者の気配を機敏に感じ取り再び丸まってしまった虫が静止していた。
落とさない様、器用にころころと転がして遊ぶフランドールの姿に、本当にあの吸血鬼と血が繋がっているのかと言う疑問がミスティアの頭に沸き上がる。
一瞬顔を顰めたミスティアだが、既に頭の中では新しい品書きを屋台に加える事でいっぱいになっていた。
筍の方はやや時期外れになってしまったかもしれないが、あそこなら兎は年がら年中居る。
たまには他の食材も増やしてみても良いだろうという、ミスティアのふとした商売っけから、二人は一路、迷いの竹林へと進路を変更した。
「で、ここ何処よ?」
「竹林じゃないの?」
「そうなんだけどそうじゃない」
日付を跨いでそれ程の時間が経たぬ頃。
生い茂る雑草の擦れる音と共に、竹林の暗闇から二人の少女のぼやき声が響き渡る。
迷いの竹林に辿り着いて早々に道が分からなくなったミスティアは、自分の居る場所さえ分からぬままに辺りを彷徨っていた。
原因は、彼女の後先を顧みぬ行動だろう。 そこらの土を掘り返せばすぐに見つかる筍に心を踊らせたミスティアは、どんどんと竹林の奥深くへと進入していった。 フランドールはそんな彼女に引っ張られるままに後を着いていくのみである。 結果、彼女達はこの広い竹林の迷い人……迷い妖になってしまった。
そもそも迷いの竹林と言えば、土地勘のある人間ですら不用意に足を踏み入れれば出る事は困難だと言われている場所である。
普段からこの地に住まう兎達ならば未だしも、いくら竹林に入り慣れているとはいえ余所者である妖怪と、一度も外の世界を歩いた事の無い妖怪とがこの竹林を散策しようと言うのは、些か無謀が過ぎたようだ。
空を見上げ困った様な顔を浮かべるミスティア。 その不穏な気配を察したフランドールは、もしやと思い彼女に問い掛ける。
「もしかして迷ったの?」
「い、いやいや大丈夫。 ほら、空を飛べば外に出られるわ」
「あーなるほど」
「それじゃ筍もちょっとだけど取れた事だし、今日はこの辺で終わりにしよっか」
どうやら迷っているのは否定しないらしいミスティアは誤摩化す様に大きめの声を発しながら、僅かに星の光が差し込む夜空を指差す。
彼女の返事にフランドールは呆れた様に納得し、空へと飛び上がる彼女に手を引かれ、宙へと舞い上がる。
しかし、どうやらこの竹林はそれを許してはくれないらしい。
上空に向かい、二人は羽を羽ばたかせる。 もう後少しで竹林を抜けると言う頃、異変は起こった。
「あれ?」
「どうしたの?」
「いや……」
不意に視界が揺れる。 目眩の様な錯覚に襲われ、ミスティアは気持ち悪そうに俯く。
いきなり動きの止まった彼女の様子を窺うフランドールに対し、歯切れの悪い返事を返した。
すぐに治まった症状に首を傾げながら上を向くと、先程大地から見上げた時と同じ高さの竹林が、彼女達を嘲笑うかの様に見下ろしていた。
「変だなあ、確かに私はこっから出た筈なんだけど……」
「んにゃ?」
「とりあえず、もう一回」
再びミスティアは飛び上がり、竹林からの脱出に挑む。 しかし、また後ちょっとという所で目眩に襲われ、次の瞬間には竹林の薮の中へと戻されていた。
不可思議な現象に首を傾げるが、このまま悩んでいても埒が明かない、とりあえず適当に歩き回って出口を探そうという結論に至る。
時刻は間もなく丑三つ時を迎えるだろう。 気の昂る妖怪達の声が方々より響く中、夜雀と吸血鬼は二人手を繋ぎ、暗然とした竹林の中を静々と進んでいった。
「う~ん、やっぱりあんたって凄い妖怪なのねえ」
「ええ、お姉様譲りよ。 ほれほれ私を讃えなさい」
「態度のでかさも姉譲りだ」
道なき道を進む最中、ミスティアが小さく言葉を漏らす。 彼女が感心したのは、辺りから感じる妖怪達の様子だ。
皆フランドールの力を本能で理解し恐れているのか、こちらを窺う様子はあれど一切手出しはしてこない。
これがミスティア一人だったら、恐らく万年竹の養分へと変わり果てていた事だろう。
ともあれ何者も恐れずに道を歩けると言うのは、存外悪い気分ではない。
身の安全を確信したミスティアはそれまで小声で口ずさんでいた歌声を大きくし、フランドールとの合唱を妖怪達の耳に刻んでいった。
「……あら、何かしらあれ?」
「え、どれどれ?」
「あんた見えないでしょうが」
歌が二番へと切り替わる頃、薮を払いながら歩いていたミスティアは遠方に僅かな灯火が揺られているのを確認する。
あれは一体なんだろうか。 フランドールと言う心強い味方を付けている為か幾分気が大きくなっているミスティアは、警戒心をそれ以上の好奇心で打ち消し、徐々に眩しくなる灯りの元へと近づいていった。
「へえ、こんな所にお屋敷なんてあったのねえ。 ちょっと寄ってみましょう」
「こんな所に屋敷なんて……って言いたいけど、うちも変な所に立ってるしなあ」
灯りに誘われ近づいていった二人が見た物は、閑寂な印象を受ける和風の屋敷だった。
外廓を見る限りかなりの年月を経ている様だが、屋敷から漂う雰囲気はそれを少しも感じさせることがない。
早速中に入ろうと二人が門を潜ると、屋敷の右手から歌声が聞こえてくることに気が付く。
静かに、何処となく郷愁を誘うその旋律に、ミスティアは思わず陶酔してしまう。 反対に、フランドールは大きな欠伸を浮かべて目に涙を溜めていた。
「あれ、なんだろうこの歌……童歌?」
「ん~、聞いてると眠くなる」
歌声に導かれるまま、ミスティアは声の聞こえる方へと進んでいく。
屋敷の角に差し掛かり、先程よりも鮮明に歌声が聞こえてきた。
恐らくこの先にこの声の持ち主が居るのだろうとあたりを付けたミスティアは壁に張り付くと、静かに奥の様子を窺う。
「かごめかごめ
籠の中の鳥は
いついつ出やる――」
そこに映る光景に、ミスティアは呼吸すらも忘れ、暫しの間魅入ってしまう。
広い中庭。 その縁側に一人佇み、声を奏でる少女。 まるで絵画を切り抜いたかの様な神々しさを保っていた。
僅かに差し込む月明かりに照らされる薄い輪郭に、もし月焼けがあるのならば、きっと彼女の様に白く焼けるのだろうと感じさせる。
艶のある絹の様な長い髪を手で弄ぶ淑やかな仕草。 小振りな顔は今までに見たどの人形すらも不格好だと思わせる程の均衡を保っていた。
彼女の姿を見た今となっては、おまけでしか無いのではないかと思わされる調べすらも、ミスティアに羨望を抱かせるには十分な魅力を放っている。
「綺麗……」
自然と、ミスティアは口を開いていた。
その声に気が付いた少女は歌を止め、声の聞こえる方向へと顔を向ける。
今まで見た事が無い闖入者の姿に、少女はやはり可愛らしく首を傾げた。
「あら、お客様?」
「やばっバレた!」
「ワンナウト~」
少女の声に、ミスティアは諦めた様に中庭の中央へと姿を現した。 フランドールはそれを囃しながらも、どこか落ち着かない様子で目の前に座る少女に視線を送っている。
「ようこそ永遠亭へ。 私は蓬莱山 輝夜。そっちの貴方は吸血鬼の妹さんね」
「あら、お姉様の事を知ってるの?」
目の前に座る着物姿の少女――輝夜から唐突に向けられた言葉に、フランドールは目を丸くする。
その姿に、輝夜は口元を裾で抑え、鈴の様に笑いながら話を続ける。
「知ってるも何も、よく杯を交わす仲よ。 貴方の話もたまに聞いてるわ。 愚痴ばっかだったけど。 帰ったらよろしく言っておいてちょうだい」
「かしこまり~」
姉の知り合いだと知って気が緩んだのか、フランドールは戯けながら返事をする。
二人の姿を端から見ていたミスティアは、感心する様にフランドールへと言葉を向けた。
「あんたの姉さんって結構有名なのねえ」
「そりゃそうよ。 何てったって天下のスカーレット家当主ですもの」
えっへん、と誇らしげに胸を張るフランドールの姿に、苦笑いを浮かべるミスティア。
そのやり取りを見ていた輝夜は、そう言えば、とミスティアの方に首を向け、声を掛ける。
「で、そっちの鍋の具は?」
「ひどい……ミスティア=ローレライよ」
「あはは、ごめんなさい美味しそうだったからつい……ま、立ち話もなんだし、こっちおいでよ」
輝夜の言葉に、ミスティアはわざとらしく肩を落とす。 軽いやり取りですっかり緊張が解れたのか、二人は輝夜に促されるまま縁側に座り込んだ。
近くを通りがかった妖怪兎に茶を運ぶ様に伝えた輝夜は、真ん丸い瞳を右隣に座る二人に向け、何故此処に来たのかを訪ねる。
「何か用があったのかしら? それにしては、病人とか連れてないし……」
「ちょっと兎鍋……」
「わーっ! ちょ、ちょっと屋台の具を仕入れに筍でも持ってこうかなーなんちゃって。
そ、そうだ、さっきの歌、すっごい良かったわ。 私も歌が好きで良く歌ってるんだけど、上手かったなーほんと」
口を滑らせそうになるフランドールの言葉を遮り、声を荒げるミスティア。
早口で喋り、輝夜を讃える事で誤摩化そうとするが、輝夜は彼女のある言葉が耳に残る。
そう言えば、夜雀の歌声は人妖問わずに人気があると聞いた事がある。 音に聞く夜雀の歌声に興味を抱いた輝夜は、ここであったのも何かの縁だし、一曲聞かせて貰えないかと打診する。
「もしよかったら聞かせて貰えないかしら?」
「あ、いーよーまぁーかせてっ! じゃあ1番ミスティア、張り切って歌いまーす!」
自分が認めた人物からの催促に気を良くしたミスティアは、いつも以上に楽しげに歌を歌い始めた。
気分を高揚させるノリの良い曲調に、思わず体を動かすフランドールと輝夜。 輝夜が体に異変を感じたのは、彼女の曲が始まってすぐの事だった。
「あれ? なんか目の前が暗くなってきたような……」
「あ~、やっぱり。 こうなるんじゃないかと思ってた」
徐々に視界の狭まる間隔に、輝夜は先程のフランドールと同じ様に目を擦る。 その様を横目で見ていたフランドールは抑揚の無い声で一人呟く。
「どういう事?」
「彼女の能力みたいなのよね。 鳥目になっちゃうの。 あ~もう歌しか聞こえない」
「ちょっと待った」
明け透けと言い放つフランドールの言葉に、輝夜はミスティアの歌を止めさせようと声を掛ける。
しかし2番に差し掛かり絶好調、と言った具合のミスティアの耳には、輝夜の声は届かない。
こんな状態では動くに動けないし、下手にスペルを使って中庭を破壊するのも後々面倒だと考えた輝夜は、仕方なしに彼女の歌が終わるのを待ち続けた。
ようやくミスティアが歌い終わる頃には、二人は視界の殆どを奪われていた。 隣同士に座る互いの顔すらもが見えないのだ。
輝夜は、恐らくミスティアが居るであろう方向を睨みながら、彼女にこの症状を治す様に告げる。
「全くもう。 これじゃお月見も出来ないじゃないのよ。 とっとと治しなさいよ」
「お姫様、貴方が話し掛けているのはダンゴムシですわ」
「あんたまだ持ってたの」
輝夜の顔の辺りにまで手を掲げ、そこに居るそれに文句を言う彼女の姿を面白そうに眺めるフランドール。
その言葉で自分が行った痴態に気付き、恥じるかの様に顔を赤らめた輝夜はこほん、と咳払いを一つ浮かべると、改めてミスティアに向けて言葉を投げ放った。
「良いから早くなんとかしなさいよ。 このままだったら今晩の夕食におかずが一品増える事になるわよ」
「はいツーアウト満塁~」
「うるさい。 ごめんごめん、ちょっと調子に乗っちゃって……お詫びに八つ目鰻でもご馳走するから、それで許してよ」
「あら、良いわね鰻。 丁度今が旬じゃない」
「でしょでしょ~、じゃあちょっと取りに行きたいんだけど、この竹林どうも分かり辛くって出られないのよ」
「あら、それなら簡単よ。 うちのイナバを一匹付けるから、一緒に帰ってらっしゃい。 これなら逃げられないし」
「ひええ、全部お見通しなのね」
「早く帰ってらっしゃいね」
にこりと笑う輝夜に、完敗だとでも言う様に両手を掲げたミスティアは、くにゃりと曲がった耳を持つ月兎の案内を受け、竹林へと姿を消していく。
こうしてこの場に残されたのは、静かに上を見上げる輝夜と、手の平で歩き回る虫を楽しそうに愛でるフランドールの二人になった。
暫しの間、沈黙が続く。
視界が晴れぬ中、隣から聞こえる子供の笑い声に、こう言うのも悪くは無いかなと思っていた輝夜に、唐突に声が掛けられた。
「ねえ、暇ー。 何かしようよ」
「弾幕ごっこは無理よ?」
「うーん、じゃあ何か話そ。 このままだと気が狂っちゃいそう」
「貴方の姉の話では、もう狂ってるって聞いたけどねえ」
「失礼しちゃうわ。 495年も可愛い妹を監禁していたあいつの方が気が狂ってるわよ」
「あらま、監禁されてたの」
「ううん、別に。 元々あんま外に興味無かったし」
「やっぱり狂ってる……」
こうして夜雀達の帰りを待つ間、二人はだらだらと世間話も交えながらお互いの事情を話し合っていた。
家の事情、屋敷の住人達の事、愚痴、好きな食べ物と色々な話をする内、徐々に話題は輝夜の話へと移り変わっていった。
「……へえ、貴方も私と似た感じだったんだ」
「ええ、月の生活は退屈だったわよ。 こっちに来て正解。
でもここに辿り着くまでに色々あったんだけどね」
「どんな事? 聞かせて聞かせて」
目を輝かせて輝夜を見上げるフランドールの見た目通り幼い仕草に、輝夜は優しく微笑む。
服の裾を引きながら話をせがむ彼女の方に向き直ると、輝夜は母親が娘に御伽噺を聞かせる様にゆっくりと言葉を紡ぎ、今日まで続く永い物語の入り口へとフランドールを誘う。
辺りは静まり返り、既に万年竹すらも眠りに就いている。 夜明けに怯える妖達の声も聞こえなくなった今、永遠亭の中庭には輝夜の声だけが染み渡った。
「いいわ、貴方に聞かせてあげる。 この話の主人公が自ら語る、本当の『竹取物語』を――」
――――
場面は移り変わり、ここは妖怪獣道。
無事に屋台へと辿り着いたミスティアと月兎――鈴仙・優曇華院・イナバは、永遠亭に戻るべく屋台を押しながら進んでいた。
時刻はそろそろ明けの明星が輝き始める頃だろうか。 早く戻らねば輝夜は大層怒る事だろう。
彼女の恐ろしさを良く知る鈴仙はのんびり歌いながら屋台を引くミスティアを急かしながら、一路永遠亭へと歩を進める。
「慌てない慌てない。 一休み一休み」
「ほら、永遠の休息を鍋の中で取りたくなかったらもっと急ぎなさいよ」
「数奇 数奇 数奇 数奇 数奇 数奇~」
「まぁ、間違ってないけど……」
相も変わらず歌を歌い続けるミスティアに、鈴仙はやや呆れ返りながらも屋台を引くのを手伝っている。
ちょうど迷いの竹林の入り口に差し掛かった頃だろうか。 一人で盛り上がるミスティアの顔を見た鈴仙は、ふと一つの疑問が頭に浮かび上がった。
「そういやどうしてうちの屋敷まで来たの?」
「ああ、いや、その……ちょっと具材を」
「具材?」
「そうそう、筍を」
鈴仙の問い掛けにぎくりと肩を震わせるミスティア。 額には汗を浮かばせ、目は彼方此方を彷徨わせている。
どうもおかしい。 波長が乱れに乱れている。 彼女の様子を不審に思った鈴仙は、ミスティアの目を見詰める様に顔を寄せて彼女を問い詰めた。
「……ああもう白状します! うちの屋台に兎鍋を仕入れようとしてました!
これでいいでしょ全くもう。 で、どう? 一匹二匹譲ってくれない?」
「よし、素直でよろしい。 そして却下」
「ですよねー」
これ以上誤摩化す事は無意味だろうと感じたミスティアは、嘆を切った様に自分の思惑を洗いざらい吐き出した。 勿論、この件に関する鈴仙からの返答は”否”である。 それはそうだろう。 好き好んで仲間を売るような奴は居ない。
分かりきっていた返答に落胆し、とぼとぼと竹林の内部へと進んでいく彼女の姿に、鈴仙はそうだ、と何かを思い付く。 俯くミスティアの目の前へと飛び出すと、鈴仙はある”賭け”を彼女に持ち掛けた。
「やっぱり条件次第では融通してもいいわ」
「え、本当!?」
ただし、と鈴仙は付け加える。
「私に弾幕ごっこで勝ったら、の話よ。 そして、もし私が勝ったら今後一切兎達を狙わないこと」
「なんで?」
「う~ん、なんとなく? 一応兎角同盟っていうののリーダーだし」
「へえ、そんなのあるんだ」
「そうそう、これが中々大変なのよ……って、そんな事はどうでもいい。 やる? やらない?」
「勿論やるわよ。 八目鰻ばっかりでお客さんも飽き飽きしてるっぽいし。 で、私が勝ったら?」
「私が鶏肉を食べない」
「あんた一人が食べなくなった所で……」
賭けにもならない鈴仙の話に呆れるミスティア。
だが悪くは無い話だ。 負けた所で今まで通りの商売は続けられる訳だし、勝ったら勝ったで同胞の命を少ない迄も救う事が出来る。
この勝負を受けない道理は無いと判断したミスティアは彼女の提案を飲み、流れ弾が当たらない様にと屋台を竹薮の中へと避難させた。
まだ明星は顔を出さない。 しかし、永遠亭を出立してからそれなりの時間が経っている事だろう。
鈴仙は手っ取り早く片を付ける為、使用する符の枚数を指定しようと指を立てる。 本数は一本。
「よし、じゃあ姫様も待ってる事だし手っ取り早くスペルカードはお互い1枚。 先に当たった方が負けよ」
「OK、私の歌を聴けー!」
「私の目を見て歌いなさい」
会話を終えた二人はその場に言葉を残し、空へと飛び上がる。
先に仕掛けたのはミスティアだ。
夜雀「真夜中のコーラスマスター」
彼女が自分の持つ符を宣言すると同時に、多数の弾幕が形成される。
視界を奪われた相手が狼狽する内に勝負を決めると言う、彼女得意の戦法。 これはその中でも最も強力な力が込められた符である。
いかに商売が関係しているとはいえ、ミスティアは流石にラストワードまでは使う気にならない。 これはあくまで遊びなのである。 それに本気で戦おうとすれば、恐らく鍋の具になるのは自分の方だろう。
それを分かっているからこその選択だった。
「さあ、さっきから私の歌を聴いていたでしょう。
大人しく鳥目に……」
「残念無念、また来週~」
「え?」
フランドールの時と同じく、予め鳥目になる様に仕込んでいたミスティアは勝利を確信したのか、目の前に浮かぶ鈴仙に対し得意気に話し掛ける。
しかし予想に違い、余裕を含む鈴仙の口調に、ミスティアの動きが止まった。
良く見ると、彼女は自分の弾幕を全て躱している。 それも、本来視界が遮られ、見える筈の無い遠方の弾幕すらも、その紅い双眸に捉えているかの様に、だ。
「え? ちょっと待って、そんなの反則……」
「あら、時間経過。 じゃあ今度はこっちの番」
未だ混乱から戻らないミスティアに対し、鈴仙は容赦無く自らの符を宣言する。
「本当だったらここまでしなくていいんだけど」
月眼「月兎遠隔催眠術(テレメスメリズム)」
鈴仙の宣言が終わると同時に、ミスティアの左右を遮る様に魔法陣が飛び交う。
その魔法陣の中心からは鈴仙が放つ物と同じ形状をした弾丸が嵐の様に放たれ、ミスティアの居る中心部に向け続々と叩き込まれる。
「まあ、折角だし」
「わ、ちょ、ちょっと」
「兎の結束力、思い知ると良いわ」
「わー! たんまたんまへぶっ!?」
右方から速射される弾丸を避けたと思えば、左方から低速で迫りくる弾丸が頬を掠める。
ならば上方へと避けようとするが、そこは既に弾丸の壁で覆われている。 慌てて振り返るも、そこにも壁が形成されていた。
左右を見渡せば、僅かに空いたこの隙間すらも埋め尽くそうとする怒濤の如き弾丸の群れが、哀れな夜雀を食い荒らそうと迫り来る。
結果、淡々と話し掛ける鈴仙に返事をする事すら叶わず、ミスティアはものの数秒で撃墜されてしまう。
服の所々が破け、目尻に涙を浮かべる夜雀に、月兎は薄く笑みを浮かべながら声を差し向けた。
「はい、私の勝ち。 約束通り、兎達に手を出しちゃ駄目よ」
「わかりました~」
「あ、あと私の分の八つ目鰻はあんたの奢りね」
「そんなご無体な」
無情な鈴仙の言葉に、溜め息を吐きながらぼやいたミスティアは、何かが自分の中で突っ掛かっている事に気付く。
その正体に気が付くのには、あまり時間を要さなかった。
「そういえば聞きたかったんだけど、どうしてあんた鳥目になんなかったの?」
「あら、良く気が付いたわね。 鳥頭なのに」
ミスティアの言葉に、鈴仙は瞳を満月の様に丸くしながら感心する。
「これはね、私の能力。 可視光の波長を少しだけ弄ったのよ。 だから鳥目も怖くない」
「あら~、相性悪かった訳ね」
「そう言う事、それに……」
そう言って鈴仙は一拍を置くと西の方角へと体を向けた。 彼女の視線の先には、もうじき明け方を迎えるというのに、未だ燦々と輝きを放つ月が微笑む様な形で浮かんでいた。
少しの間その月を眺めた鈴仙は目を瞑り、ミスティアの方へと向き直る。 次に瞳を開いた彼女の顔には、楽し気とも寂し気とも取れる、微妙な笑顔が形作られている。
「それに、もし私が鳥目になっても、このスペルさえあれば大丈夫よ。
月さえ出ていれば、あっちの仲間が私を助けてくれる」
「? どういうこと?」
「兎は寂しいと死んじゃうってことよ」
ミスティアの疑問に対し、鈴仙は茶を濁す。
彼女は知らないだろう。 鈴仙が使用した符は、月に居る仲間の力を借りた物だと言う事を。
月に居た頃の仲間達の顔を思い出し、鈴仙は少しだけ寂しさを覚えていた。
「あ、そうそう」
「ん?」
「兎も一羽二羽って数えるのよね」
二人は決着のあと地上に降り立つと再び屋台を引き、永遠亭への道程を辿り始めていた。
暫し無言のまま竹林を歩み続けていたが、静寂を破ったのは意外にも鈴仙からだった。
唐突に口を開く鈴仙に、ミスティアはそれがどうしたと言いたげに視線を送る。
それを意に介さず、鈴仙は軽い口調で喋り続ける。
「だから、鳥と兎は仲間みたいなものね。 良かったら兎角同盟に入らない? 兎鍋撲滅の為に」
「良いけど、そしたらあんたら何食べんの?」
「もちろん鳥鍋」
「敵対勢力じゃない」
ミスティアの突っ込みを機に視線を交わした二人は、言葉遊びの応酬にとうとう堪えきれなくなったのか声を揃えて笑い出した。
屋台を引く手を止め、腹を抱えて涙を浮かべている様子は、端から見れば気でも違えたのかと思われても不思議ではないだろう。
「あー笑った笑った。 じゃあいい加減戻りましょうか」
「そうしましょうそうしましょう~」
ようやく笑いが治まった二人は、最後に顔を合わせて口元を緩ませると、再び屋台を引き始めた。
もうここまで来たら今更急いだ所でどうにもならないだろう。 それならばこの一時を楽しく過ごして、それで後で怒られよう。
開き直った鈴仙は随分と清々した面持ちを浮かべ、ミスティアと共に歌を歌いながら永遠亭へと向かっていった。
――――
上弦の月も西の山に消えかけ、太陽が目覚めの支度を始める頃。
フランドールは輝夜の語る昔話にすっかり魅了されていた。
輝夜の語り口が巧妙だというのもあるが、何と言っても当事者の語る物語である。
多少の脚色もあるだろうが、場面場面に乗せられる輝夜の感情が、未だに色褪せる事の無い鮮烈な印象を彼女に与えていた事は容易に想像出来た。
輝夜が拾われて大きくなるまでの過程は、老人夫婦との思い出を回顧する様にゆっくりと、しかし楽しげに綴られる。
求婚を迫る五人の公達に対し五つの難題を与える事で上手くはぐらかした辺りは、身振り手振りを交え大袈裟に、そして面白可笑しく語られた。
帝に姿を見られた時には、つい自分の持つ能力を使ってしまった事を苦笑いを浮かべながら恥ずかしそうに告げる。
月からの遣いがやってくる迄の地上での出来事を話す時は、緊迫感のある、息の詰まる様な表現で以て不安感を煽ってきた。
しかし、そこから先はフランドールも聞いた事が無い、もう一つの竹取物語が語られる事になる。
「――それでね、月の使者達は帝の軍勢をも動けなくさせて、もうこれは駄目かなーって思ってたのよ。
その時だったわ。 私の知り合い……八意永琳って言うんだけど、その人が私の目の前に現れてね、次の瞬間には月の使者達をみーんな追い返してくれたのよ」
輝夜は眼を輝かせながら興奮気味に語る。 しかし、何となくフランドールは先程の話に違和感を感じていた。 多分、追い返したと言うのは嘘だろう。
もしも自分だったらそんな面倒くさそうな奴等なんか――
フランドールの送る視線の意味に気が付いたのか、輝夜は何もかもお見通しね、と肩を竦める。
「……やれやれ、本当に、子供は敏感と言うか。 そうよ、皆やっつけちゃったのよ。 貴方で言う所のきゅっとしてどかーん。
勿論、そんな事しちゃったら立派な犯罪者よ。 すぐにそこから逃げたわ。 あ、でも勘違いしないで。
ちゃんとお礼は置いていったわ。 恩を仇で返す様になっちゃあ人間おしまいよ。 殆ど止めてるけどね」
あっけらかんとした表情で言い放つ輝夜の姿にも、フランドールはやはり自分の中に残る蟠りを拭う事が出来なかった。
その正体が掴めぬままに話を聞き続けたフランドールは、蓬莱の薬をお爺さんに渡した、と輝夜が語った辺りで、ようやくその正体に気付く事が出来た。
「……ねえ、なんで泣いてるの?」
「え? 泣く? 私が?」
「だってほら、眼の辺りに私の大嫌いな流水が」
「……あらま」
フランドールの言葉に、輝夜は目尻へと指先を付ける。 そこには、最近では欠伸をした時くらいにしか流れる事の無かった塩水が、確かに付着していた。
まじまじと指先を見詰めた輝夜は感嘆の声を漏らしながら、独り言の様に呟きを放った。
「へえ、まだこんな感情残ってたのねえ、感慨深いわ」
「あら、悲しくないのに泣いてたの? 何処の屋敷も当主って言うのは変わってるのね」
「そんな物よ、偉い奴なんて」
実際の所、フランドールは輝夜の涙で彼女の感情の機微を感じ取った訳ではない。
ただ暇つぶしに読みあさっていた本の中に書かれていた『竹取物語』と、輝夜から聞いた話が噛み合なかった事が、彼女の違和感の原因であった。
先程、輝夜は確かにこう言った。 『お爺さんに薬を渡した』と。
しかし、彼女は恐らく本で読んだ『竹取物語』の話をここに混ぜ入れたのであろう。 もしかしたら、無意識の内に。
もしも彼女の話が真実ならば、薬の壷……蓬莱の薬を送ったのはお爺さんであり、帝の方ではない。
仮に双方に薬の壷を送っていたとしても、やはり先程の話し振りからすると竹取の夫妻の方へと情が寄せられていたのだろう。
恐らく、彼女も生きていて欲しかったのだ。 自分を拾い、温かく見守ってくれた二人の恩人達に。 その思いが、先程の老人夫妻との語り口にも表れていたのだろう。
自分を見詰め続けるフランドールに、輝夜は居心地が悪くなったのか二三度辺りを見渡すと、話の続きを始めようとする。
「まあ、そんな話はどうでも良いでしょう。 さあ、物語の続きよ――」
輝夜がそこまで話した時、不意に車輪の回転する音が耳に届く。
やっと来たのか。 遅いわよ。 そう毒づきながらも、輝夜は内心では安堵の溜め息を浮かべていた。
このまま話を続けていたら、いつか余計な事まで口を突いて出てしまいそうだったからだ。
下手に口を滑らせてそれが彼女の姉の耳に入ったら、飲み会の度に酒の肴にされてしまうだろう。
遅過ぎる救世主の登場に、輝夜はいつも通りの悪態を持って出迎える。
「全く、遅過ぎるわよ。 罰として今日は全部貴方の奢りね」
「ええ、こっちもー!?」
「ははは、ドンマイ」
道中何があったのだろうか。 気落ちするミスティアの肩を笑いながら叩く鈴仙の姿に、輝夜達は妙に仲良くなった様な印象を受ける。
しかし、今はそんな事はどうでも良いだろうと言わんばかりに一斉に声をあげた腹の虫に、その場に居た四人は仲良く笑いの四重奏を奏でた。
「ほら、食べてくんでしょう。 今日はもう奢りよ奢り。
そんなこと二度と無いからありがたく召し上がりなさい」
「わーい、頂きまーす」
「ありがとうミスティア」
「当然よ、当然」
やや自棄気味に叫ぶミスティアが屋台の赤提灯に火を灯すと、フランドールは我先にと席に座る。
その後に続いて鈴仙が屋台の暖簾を潜り、輝夜の椅子を引いてから自分も、と座り込んだ。
竹炭に火を点けると静かに燃え盛り、時折空気の爆ぜる音が中庭に響き渡る。
心地の良いその音に、三人は自然とそわそわしだす。
その様子を笑いながら見ていたミスティアは、竹炭独特の熱気が屋台の隅々まで行き渡った事を確認すると、三人それぞれの顔を見渡してから姿勢を正す。
胸を張り、元気よく。 商売人の顔で、口を開いた。
「いらっしゃい、何をご注文で!」
「八つ目鰻!」
「八つ目鰻で」
「どうでも良いから早く焼きなさいよ」
「はい八つ目鰻三丁ー!」
各人妖獣さまざまな返答を返すが、その中身は同じである。
ミスティアはいつも以上に楽しげに歌いながら、八つ目鰻へと串を打っていった。
月は完全に顔を隠し、明星の姿を滅するべく太陽が顔を覗かせ始める。
屋台に居る四人はその戦いを見届けること無く、八つ目鰻と話を肴に燗を空けていく。
滅多な事では揃わないだろうこの出会いに、互いを知り合おうと自然と気分は高調し、話の花が咲き乱れる。
空に輝く明星が太陽との戦いに負ける頃には、この密やかな宴も自然と解散の時を迎えていた。
「御馳走様。 なかなか美味しかったわよ」
「またいらっしゃい。 病気になったりしたら師匠と一緒に治してあげる」
永遠亭の入り口にて輝夜と鈴仙は手を振りながら二人を送り出す。
見送りを受けたミスティアも手を振り返しながら永遠亭から離れようとするが、ちょっと待って、というフランドールの声に足を止められた。
「どうしたの?」
「ちょっと待ってて……」
そう言い、輝夜の元へとフランドールは走っていく。
目の前で自分を見上げる少女の姿に、輝夜は首を傾げながら問い掛ける。
「何か忘れ物?」
「ううん、一つ聞きたい事があって」
「あら、何かしら」
輝夜はしゃがみ込み、彼女と目線を合わせる様にして言葉を交わす。
フランドールはそんな彼女に笑いかけると、耳元へと口を近づけて囁いた。
「さっき話してくれた物語、まだ続いてるんでしょ?」
その言葉に輝夜は眼を丸めるが、自分の目の前へと顔を戻して眼を細めているフランドールの姿に、自分も負けじと眼を細めて彼女に言い返す。
「ええ、またそのうちいらっしゃいな。 新しい物語を話してあげるわ。
これからも永遠に続いていく、ずっとずっと終わらない物語よ」
堂々と胸を張る輝夜に、フランドールはまるで呆れ返る大人の様に両手を上に掲げると、小さく一言呟いた。
「それを聞けて安心したよ」
「このませガキ」
額を小突かれ、えへへと笑うフランドール。 全く、こんな悪魔は閉じ込めておいて正解だと思いながら、輝夜はフランドールの頭を撫でてやる。
気持ち良さそうに眼を細めるその姿に、彼女の正体が吸血鬼だと知っていても思わず和んでしまう。
その時間が終わりを迎えたのは、待ちくたびれたミスティアの叫び声が竹林の奥から響いた時だった。
「じゃ、またいらっしゃいよ。
もし来れない様だったらあんたの姉君に話付けといてあげるからさ」
「ええ、その時はよろしくお願いしますわ」
「あ、そうだちょっと待って。
イナバ、あれを」
「ああーそうですね。 忘れてた」
輝夜の言葉に耳を立てた鈴仙は、手に持っている棒状の物体をフランドールに手渡した。
黒い布が螺旋状に巻かれ、片方の端からは黒い棒状の物が伸びている。
「……これ、もしかして傘?」
「開けてご覧なさい。 そう、そこを持って」
輝夜に言われるまま綺麗に纏められた黒い布を広げると、布の裏地には彼女の大好きな深紅が広がっていた。
所々に黒い蝙蝠が刺繍されている上、中からは一切の光が差し込まない辺り、どうやら予め吸血鬼用に用意されていたのだろう。
その事を不思議に思ったフランドールは、輝夜に疑問を投げかける。
「ああ、それね。 本当はそれ、あんたの姉との賭け事用に作っておいたのよ。 酒の席でたまにやるんだけどね。負けた時の為に用意しておいたんだけど……
いいわ、貴方にあげる。 後生大事に使いなさい」
果たして吸血鬼の後生にこの傘は耐えられるのだろうか。 新たな疑問が突いて出たが、そう言う事なら遠慮は要らないだろう。
フランドールは日傘を畳んで腋に挟むと、丁寧にお辞儀を返した後、ようやく別れの言葉を紡ぐ為に口を開いた。
「ありがとう。 っていうか、吸血鬼の死活問題を忘れてたで済まそうとするなんて……そっちの兎さんも中々アレね」
「そ、アレなのよ。 月の住人は皆こんなもんよ」
「うちだってそうよ 」
「ふふっ、じゃあ”また”ね」
「ええ、”また”」
最後に握手を交わし、フランドールはミスティアと共に竹林を離れていった。
もしかしたら、次に出られるのは数年も、数十年も、数百年も後かも知れない。
だけどきっと、彼女達は変わらずにそこに居る事だろう。 そう思うと、寧ろ次の土産話の量が多くなって良いかも知れない。
その時まで今日の出来事を忘れずにいたならば、きっと再び此処に来よう。
外の世界の素晴らしさを知ったフランドールはミスティアに追いつく束の間の間、そんな事を考えていた。
――――
「そういやさあ、フラン」
永遠亭からの帰り道、丁度ミスティアの居る地点は獣道と紅魔館の中間。
その分かれ道に辿り着いたミスティアは屋台を引く足を止めると、後から着いてくるフランドールの方へと向き直る。
黒と紅に周囲を囲まれたフランドールは、自分を見詰めるミスティアに眼を向けると、小さく首を傾げた。
「何? ミスティア」
「見えてたんでしょ、それ」
そう言い、ミスティアは自分の目元を指先で二度突つく。
彼女の言葉に、フランドールは両手をひらひらと振りながら溜め息混じりに声を吐いた。
「あちゃー、バレてたか」
「いつから?」
「うん? 最初に鳥目にされて、ちょっとしてからだよ」
「あら、竹林からだと思ってたけど違ったんだ……なんで黙ってたの?」
「んー。 なんかついてったら面白そうだったから」
「全く人を食った妖怪だよあんたは」
「あら、貴方は妖怪だし、私は人なんか食べませんわ。 血なら飲むけど」
「本当に口が減らないねあんたは」
相変わらず楽しそうな口調で憎まれ口を叩くフランドールに、ミスティアは苦笑いを浮かべながら返事を返す。
もはやお互いの間に蟠りは無いのだろう。 力の強弱の関係無く、自然な口調で皮肉の応酬を躱し合う。
「ま、なんだかんだで今日一日、すっごく楽しかったよ。
又一緒に遊ぼう。 あんたは特別、今度も八つ目鰻奢ってあげる」
「あら、ミスティア様ってば太っ腹ー」
「えっへんもっと言え」
「丸々太って美味しそー」
「あんたにゃ二度と食わせねぇ」
その言葉を発端に、二人は真顔で睨み合う。
しかし、既にそこには緊迫感と言う物は全く持って存在していなかった。
「……ぷっ」
「……あはっ」
既に目を醒ました人間達が辺りに居てもおかしくない時間だと言うのに、夜の妖怪である筈の二人は日の光に支配された草原に二人、大笑いを浮かべていた。
その笑いが治まる頃、二人は別れの時間を悟った。
道の真中だと言うのに屋台から椅子を引きずり出したミスティアはそれに腰掛け、フランドールに隣に座る様に告げる。
突然何事だろうとも思いながらも隣に座り込んだフランドールの姿に、ミスティアは笑いながら屋台の端に手を伸ばす。
「えっと……あったあった。 はい、グラス」
「あら二次会?」
「ま、そんな様なもんだよ……ま、一杯だけね。 付き合ってよ」
「勿論」
悪いね、と小さく声を漏らしたミスティアが二つのグラスに酒を注ぐと、フランドールを真正面に見据える様に体を直した。
何故かそうしなければならない様な気がして、フランドールもそれに倣う。 ミスティアの顔は変わらず笑顔のままだ。
何となくこれから行われる事を察し、自然とフランドールの顔にも笑みが零れる。
「私達の出会いに」
「ええ、素晴らしき友人との出会いに」
「乾杯」
「乾杯」
互いの顔の横にグラスを掲げ、一度に飲み干す。
今日は素晴らしい日だった。 そう思った二人が締めくくりとして行った儀式。
それを見詰めていたのは、森の中から彼女達を見続けた傍観者に他ならない。
「あれ、フランったらまだ持ってたのそれ……いい加減逃がしてやりなよ」
「食べる?」
「食べない」
「じゃ、ここでさよならね。 ばいばい」
最後の別れを終えたフランドールは椅子から立ち上がると、ずっと手の中に締まっていたその虫を地面へと逃がしてやる。
屋台の二人の会話は尽きる事無く続くだろう。 だが、ここから先の話は窺い知る事は出来ない。
暖簾の内側で談笑を続ける二人が忌み嫌う太陽の光。
それを全身に受け、鈍色に光り輝く虫は暫しのあいだ笑い声の漏れる屋台へと頭を向けていたが、やがて彼女達から顔を逸らすとその鈍重な足を動かし、のそのそと森の中へと帰っていった――――
(了)
終わり際がさらっと決まってて素敵ですね。
レミリアが言う「檻の中」っていうのは幻想郷のことでいいんでしょうかね?
4.名前が無い程度の能力さん
あ、お読み下さりありがとうございます。
引き方があっさりし過ぎてないか心配だったので……
5. 名前が無い程度の能力さん
あ、訂正ありがとうございます。 修正しておきました。
はい、その通りです。 外界と隔離されている幻想郷は良く言えば妖怪達が自由に羽を伸ばせる桃源郷、しかし見方を変えれば外の世界から追いやられた者達が集まって作った檻(スラム?)の様な物だと思いましたので、レミリアはそう表現しました。
久しぶりに「フランちゃん」ではなくて「フランドール」の話が読めたような気がします。
あとダンゴムシはBB弾のようにして遊ぶのが基本でしたねwww
とはいえ、分類にまでダンゴムシを入れるのもどうかと(ry
ミスチーは波長で歌をシャットダウンされればアウト。
鈴仙は問答無用でキュッとしてドカ~ンでアウト。
うむ、おもしろいです。
お見事。
あとダンゴムシ×ワリバシは俺のジャスティス。
ギャグ以外のフランちゃんの話は読んでて怖いですw
フランちゃんに友達できる話はいいですよね。
あと後書き長いwww
14.GUNモドキさん
あ、お読み下さりありがとうございます。
『「フランドール」してる話が読みたいなー → 無ければ自分で作れば良い』 的な発想で書いてみました。
ダンゴムシって何で弾かれる運命にあるんでしょうね。 彼が丸いからか。 丸いからなのか。
>>とはいえ、分類にまでダンゴムシを入れるのもどうかと(ry
ですよねーw 修正しておきました。
17.名前が無い程度の能力さん
『あーこの二人絡ませたら面白いだろうなぁ……』 という発想からこの物語は始まりました。
まあ、鈴仙VSミスティアは想定外だったんですけど、気付いたらあの尺を使ってて自分でも吃驚しました。
御感想ありがとうございます。
19.名前が無い程度の能力さん
そう思って下さると感謝の極みです。 ありがとうございます。
後そのカップリングについて詳しく(ry
21.名前が無い程度の能力さん
Σb
23.名前が無い程度の能力さん
結局こんな感じでのんびりしてると思うんですよ彼女も。
外に出たらこんな感じだったら良いなー、と妄想しながらつらつらと……
>>フランちゃんに友達できる話はいいですよね。
ええ、良いものです……
28.名前が無い程度の能力さん
ええ、こういう必然性の無い面子の方が想像力を掻き立てられます。
後書きですが、今回色々詰め込んだ結果こんなに長くなってしまい……だけど後悔はしていない。 書いてて楽しかった!
40.名前が無い程度の能力さん
よね。
発想を基にした珍しい組み合わせと文章が面白かったです
原作重視で行くと、どうしても人が死ぬ展開が想像できませんでした。
47.名前が無い程度の能力さん
あ、ありがとうございます。
殆ど思いつきで書いたので物語が破綻しないかとヒヤヒヤしてました……
50.名前が無い程度の能力さん
雰囲気を維持するのをずっと意識していたので、そう言って下さると嬉しいです。
53.名前が無い程度の能力さん
嗚呼、それは嬉しい……ありがとうございます。
56.名前が無い程度の能力さん
そう言って下さると本当に嬉しいです。
ちょっと原作を意識し過ぎたかもしれませんが……
八つ目鰻捌いてみたいです。
57.名前が無い程度の能力さん
ええ、私も食べたいです。
って言うか自分で焼きたいです。
面白かったです。読んでて楽しかった。
それにしてもフランドールかわいい
とても良かったです^^