「パチュリー様、紅茶淹れましたよ。」
「ありがとう、咲夜。」
いつものように、本を読みながら過ごしていると時間の経過がわからない。咲夜が来てくれたということは、午後三時過ぎということだ。それを目安に彼女は時間を把握した。
紅茶を受け取ると、カップを手で包み、悴んだ指を暖める。その様子を見て咲夜が柔らかく笑っていて、パチュリーは軽く顔を赤らめた。
咲夜が部屋から出ていった後も、読書を続ける。ある程度ページを進めたところで彼女はふと立ち上がった。
「そうだ、忘れるところだったわ。」
本に栞を挟み、窓の近くに行き、背伸びをしてシックな色をした木の枠を持ち、窓を開けた。
「…寒い。」
体をブルっと震わせ、近くにあった上着を羽織り、再び彼女は本の活字に目を落とした。時折吹いてくる風が冷たく部屋の温度を下げる。
寒いのになんでわざわざこんなことをやっているんだろうと、彼女自身さえも疑問を持っているのだが、咲夜に迷惑をかけることを考えたらこうせざるを得ない。
「そろそろね。」
毎週同じ時間に彼女はやってくる。
―――シュタッ
「本を借りに来たぜ。」
音だけでは伝わらなかったかもしれないが、箒にまたがって結構な速度で『窓から』彼女はやってくる。窓を閉じていた頃は、お構いなしに窓ガラスを突き破って入ってくるため、咲夜に頼んで何度も窓ガラスの時間を戻して、直していた。
「また来たのね。そろそろ返しなさいよ。」
パチュリーはうんざりしたような表情で顔だけを魔理沙のほうへと向ける。
そんなパチュリーを知ってか知らずか、鼻歌交じりに本棚をあさり始める。
「この前持って行ったやつは、私まだ読んでなかったんだから…」
そう言って椅子から立ち上がり、魔理沙の元へと行こうとしたのだが、足がうまく動かずつまずき―――
「よっと。」
転びそうになったところを魔理沙が受け止めた。
「危なかったぜ。パチュリー、運動不足なんじゃないか?」
「別に、寒くて足が動かなかっただけだから大丈夫よ。」
そう言って顔を上げたのだが
(…顔が近い)
目の前にはすぐ近くに魔理沙の顔があり、少し顔を前にすれば触れてしまえそうなほどの距離にパチュリーは顔を赤らめた。
そんなパチュリーの様子を知ってか知らずか、一向に魔理沙はパチュリーの手を握ったままだ。
「ん、パチュリーの手冷たいな。ちゃんと鉄分取ってるか?」
「そうじゃなくて、寒くて…」
「いや、嘘だな。ちゃんとこっちの目を見てないし。」
近いのに照れてしまって顔を少し背けながらせいで、魔理沙にはそういう風に捉えられてしまったらしい。
「色々足りてるわ。というか体支えなくてももう大丈夫よ。」
魔理沙から離れると、ぽんぽんと裾を払った。熱くなった顔が冷めていくのに何故か残念さを覚えている自分がいてもどかしい。
「寒いだけよ、だから…」
早く本を選んで帰りなさい。と言おうとしたところで魔理沙の手がパチュリーの手を包んだ。
「寒いなら暖めれば大丈夫だな。」
驚いて、魔理沙の顔へと向けると、屈託のないその笑顔が手だけでなく、胸の中も暖かくさせるようなものだった。
それは、確信を持って―――
「気づいたわ」
「何が?」
「ううん、何でもない。」
―――もどかしさの訳が。
「ありがとう、咲夜。」
いつものように、本を読みながら過ごしていると時間の経過がわからない。咲夜が来てくれたということは、午後三時過ぎということだ。それを目安に彼女は時間を把握した。
紅茶を受け取ると、カップを手で包み、悴んだ指を暖める。その様子を見て咲夜が柔らかく笑っていて、パチュリーは軽く顔を赤らめた。
咲夜が部屋から出ていった後も、読書を続ける。ある程度ページを進めたところで彼女はふと立ち上がった。
「そうだ、忘れるところだったわ。」
本に栞を挟み、窓の近くに行き、背伸びをしてシックな色をした木の枠を持ち、窓を開けた。
「…寒い。」
体をブルっと震わせ、近くにあった上着を羽織り、再び彼女は本の活字に目を落とした。時折吹いてくる風が冷たく部屋の温度を下げる。
寒いのになんでわざわざこんなことをやっているんだろうと、彼女自身さえも疑問を持っているのだが、咲夜に迷惑をかけることを考えたらこうせざるを得ない。
「そろそろね。」
毎週同じ時間に彼女はやってくる。
―――シュタッ
「本を借りに来たぜ。」
音だけでは伝わらなかったかもしれないが、箒にまたがって結構な速度で『窓から』彼女はやってくる。窓を閉じていた頃は、お構いなしに窓ガラスを突き破って入ってくるため、咲夜に頼んで何度も窓ガラスの時間を戻して、直していた。
「また来たのね。そろそろ返しなさいよ。」
パチュリーはうんざりしたような表情で顔だけを魔理沙のほうへと向ける。
そんなパチュリーを知ってか知らずか、鼻歌交じりに本棚をあさり始める。
「この前持って行ったやつは、私まだ読んでなかったんだから…」
そう言って椅子から立ち上がり、魔理沙の元へと行こうとしたのだが、足がうまく動かずつまずき―――
「よっと。」
転びそうになったところを魔理沙が受け止めた。
「危なかったぜ。パチュリー、運動不足なんじゃないか?」
「別に、寒くて足が動かなかっただけだから大丈夫よ。」
そう言って顔を上げたのだが
(…顔が近い)
目の前にはすぐ近くに魔理沙の顔があり、少し顔を前にすれば触れてしまえそうなほどの距離にパチュリーは顔を赤らめた。
そんなパチュリーの様子を知ってか知らずか、一向に魔理沙はパチュリーの手を握ったままだ。
「ん、パチュリーの手冷たいな。ちゃんと鉄分取ってるか?」
「そうじゃなくて、寒くて…」
「いや、嘘だな。ちゃんとこっちの目を見てないし。」
近いのに照れてしまって顔を少し背けながらせいで、魔理沙にはそういう風に捉えられてしまったらしい。
「色々足りてるわ。というか体支えなくてももう大丈夫よ。」
魔理沙から離れると、ぽんぽんと裾を払った。熱くなった顔が冷めていくのに何故か残念さを覚えている自分がいてもどかしい。
「寒いだけよ、だから…」
早く本を選んで帰りなさい。と言おうとしたところで魔理沙の手がパチュリーの手を包んだ。
「寒いなら暖めれば大丈夫だな。」
驚いて、魔理沙の顔へと向けると、屈託のないその笑顔が手だけでなく、胸の中も暖かくさせるようなものだった。
それは、確信を持って―――
「気づいたわ」
「何が?」
「ううん、何でもない。」
―――もどかしさの訳が。
二人の今後がとても読みたいです。
この魔理沙になら惚れるわw
評価コメントありがとうございます。
確かにそうでしたね…どうみても自分の推敲不足でした;
>>3様
評価コメントありがとうございます。
そんな感じのSSを書くのが結構好きでしてw
個人的にはここで止めちゃうのが一番綺麗だと思ってるんで、最善かなぁと思っていますw