Coolier - 新生・東方創想話

一生死なぬ人間と一生死ぬ人間が団子を食べる程度の話

2008/12/27 18:01:54
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熱いお茶と、串に刺された団子。
それが似合う女と、それが似合わない女が、峠の茶屋で同席していた。
外の長椅子に座って食べるには寒い季節で客は皆、屋内の座敷に案内されている。

二人は無言。
たまたま席がいっぱいで、たまたま相席しただけで、けれど一応顔見知り。
弾幕勝負をした程度の仲の、藤原妹紅と十六夜咲夜。
団子が似合う和装の女と、団子の似合わぬメイド服の女。
一生死なぬ人間と一生死ぬ人間が、のどかに湯飲みを傾ける。


     ◆


「ん……美味いな」
「そうね」
独り言のつもりで発した言葉に、瀟洒なメイドは同意した。
冬に降る雪のような冷たい容貌とは正反対の、春の陽射しのような微笑を浮かべて。
「あんた、普段はもっといいもん食ってそうだけど」
「館ではもっぱら洋食ですから。私もいつも紅茶ばかりで、緑茶なんて久々だわ」
「ああ、そうなんだ」
久々という表現が気にかかった。
そういえば紅魔館の住人とはいえ、すべての者が西洋人という訳ではないと思い出す。
名前は思い出せないが、門番が中華系の妖怪だったような気がしないでもない。
このメイドも外見の幼い吸血鬼から呼ばれていた名前は横文字ではなかったはずだ。
髪は銀髪、あるいは白髪だが、それは自分も同じだし幻想郷では髪色で人種判別するのは至難。
だとしたら元々は和食派なのかもしれない。
ところが紅魔館に就職したために洋食ばっかりになってしまい、
外出ついでに和の味を懐かしむくらいはしたくもなろう。味噌汁の味が恋しかろう。
「何よ、その同情に満ちた眼差しは」
「いや、何でもない」

「今度、うちに来るか? 味噌汁くらい食わせてやるぞ」
「え? ああ、どうも」
咲夜としては蓬莱人の意図が掴めない。
普段洋食というだけの話題で、なぜ家に招いて味噌汁にまで発展するのか。
この前、肝試しに行ったついでに弾幕をしこたま撃ち込んでしまったため、
どう会話したものかと思ったら、向こうから友好的に声をかけてきて、味噌汁とは。
「得意料理?」
「え、何が?」
「味噌汁」
「いや、得意という訳じゃ。普通だよ普通」
どうやら得意料理を自慢したいといった理由ではないらしく、咲夜は内心首を傾げる。
たいして親しくない相手をわざわざ家に呼んでご馳走したいとなれば、
良い意味でも悪い意味でも料理好きの性癖だ。
まあ、美味しい料理を他人から褒めてもらいたいという気持ちは解らないでもない。
咲夜とて料理を美味しいとレミリアが言ってくれれば嬉しいのだから。
けど得意料理という訳ではなく、普通とは。
他に思い当たる理由は……。
「いい味噌でも手に入ったの?」
料理の腕ではなく、何かいい食材を得たという事だろうか。
旬の物や高級食材なら人を誘うのもよく解るけど、味噌汁で誘うとは変な話。
とはいえ念のため探りを入れてみる咲夜だった。

「いや……普通の白味噌だけど?」
「そう」
呟いて、メイドは団子を一口頬張る。特に喜んでいる様子はない。
そこで妹紅は己の過ちに気づいた。
(しまった……こいつは赤味噌派か!?)
気づいたつもりでまったくの見当違い。
しかし妹紅の推測は加速する。
(くっ……味噌汁とはずばりもっとも愛郷心を感じさせる日本料理!
 私は白でも赤でも構わないけど、慧音が白味噌派で、つい白味噌がマイ・スタンダードに!
 ここで『じゃあ赤味噌にするか?』とか言ったらこいつに気を遣わせてしまう!)
物凄く、メイドにとっては物凄くどうでもいい事で妹紅の頭脳はフル回転。
とりあえず心身を落ち着けるため、お茶を一口ふくむ。ああ、喉にしみる。
「ええっと、タケノコと味噌汁って合うのかしら?」
「は?」

咲夜は思い出した、そういえば蓬莱人は竹林に住んでいる。
となれば自慢の食材と言えばタケノコだろう。
味噌汁にタケノコを入れた経験はないけれど、美味しいのだろうか?
それ以前に12月の今はタケノコの旬とは程遠かったはず。
「ああ〜、タケノコはまだそんな季節じゃないけど、結構美味いぞ?」
「そうなの」
蓬莱人の口調から、やはりタケノコで誘った訳でもなさそうだ。
(何で味噌汁なのかしら……?)
人間の身で寿命以上の長い年月を生きていると、常人には理解できぬ思考回路にでもなるのか。
吸血鬼や魔法使いになって長生きする場合も、やはりただの人間だった頃とは変わるのか。
変わる気のない咲夜には、変わってしまったらしい蓬莱人に物珍しい目線をやる。
(長生きも良し悪しね)
うっかり口に出して言わないよう、念入りに団子を噛む咲夜だった。

(あんなに団子を味わって食べている、やっぱ和食が恋しいんだなぁ)
勘違い続行中の妹紅。
となれば推測もやはり和食縛りのまま迷走する。
(もしやこいつのソウルフードは味噌汁じゃないのか!?
 そうだ、時代の移り変わりと共に人の食生活も変わる……。
 カレーライスか!? いや、日曜日はスパゲティがお約束!
 むううっ、麺類ならそばやうどんも……ハッ! ラーメンも日本人は大好きだ!
 いいや、団子を噛みしめるくらい大好きなら、そば……一杯のかけそばか……)
妹紅の想像の中でそば屋に入るメイド。一杯のかけそばを家族と分け合い――。
思わず涙ぐむ妹紅。目頭に指をやってうつむいた。

(どうして泣いているのかしら……)
蓬莱人が突然目頭を押さえてうつむいたため、咲夜は自分に不手際があったのかと思考をめぐらせる。
だが、ちょっと味噌汁について二言三言交わしただけだ。
会話には一分たりとも泣く要素は含まれていない。
(歳を取ると涙もろくなると聞くけれど……)
不老不死を老人扱いするのも何か違う気がする。
しかし肉体的には歳を重ねずとも、精神的には歳を重ねてしまうのか。
(思っている事を口に出したら、また弾幕合戦になりそうね。
 別に毒舌のつもりはないんだけど……こうも意味不明だと……)
対応に困った咲夜は湯飲みに手を伸ばした。
人間、会話に困ると飲み物をよく飲むというが、まさにその通りだと実感する。
おかげでお茶はすぐ空になり、咲夜は店員に声をかけておかわりをもらった。

(嗚呼、お茶のおかわりまでして……)
やはり和食だ、正統派の和食が好みなのだと妹紅は確信した。
しかし味噌汁ではないとすると何だろう。
白いご飯と、たくあん? 梅干? 海苔? ふりかけ?
あれこれと推測するより、自然に訊いてみる方がいいかもしれない。
「なあ……あんた、好きな食べ物って何だ?」
お茶のおかわりを飲んでいたメイドは、しばし黙考し、湯飲みを置く。
「そうね、好き嫌いってあまりないから……」
「あ、そうなんだ」
そうきたか、と妹紅は頭を掻いて愛想笑いを浮かべた。
このメイド、好物はいったい何なのか?
お茶をおかわりしているからお茶が好き、となると。
(お茶漬けかッ!!)
妹紅のバックで雷鳴が轟いたが、イメージ映像なので妹紅以外には認識できない。

好物を問われた咲夜は、ちょっと真面目に考えてみた。
好き嫌いがないのは事実。
純粋に味の良い物が好きで、悪い物が嫌い、となるのだろうか。
けれど、やはり食べ慣れた物の方が舌に馴染むだろう。
たまにこうして団子を食べるのもいいけれど、毎日食べるとしたら洋菓子だ。
(でも、お嬢様に和菓子をお出ししてみようかしら。たまには新鮮でいいかもしれない。
 霊夢の所で食べる安っぽい煎餅とかじゃなく、お嬢様のために材料から選んだ手製の物を……)
レミリアはきっと喜ぶだろう。当然だ、瀟洒なメイドが作るのなら和菓子だろうと絶品確定。
そこにちょっと血を混ぜて、お嬢様にお出しするのだ。
すると愛らしい笑顔で、瀟洒なメイドにねぎらいの言葉をかけてくれる。
そんな光景を想像した咲夜は、満面の笑顔になって団子を食べる。

(そうか! 私はなんて遠回りをしていたんだ……)
ようやく妹紅は自身の間違いに気づいた。
あれこれと見当違いの想像するよりも、目に見える真実の何と解りやすい事か。
この笑顔の何と解りやすい事か。
(こいつの好物は、団子だァッ!!)
茶屋に来て団子を食べてるんだから、団子が好きで当たり前。
だがしかしそうなると、妹紅は団子なんて作れない。
家に招待して団子を食べさせてやるなんてできるはずがない。
いや、普通に団子を買ってくればすむ話。
だが、この茶屋で団子のお持ち帰りを注文してそれをメイドに出すのも間抜けな話。
(でもまだこいつを正式に家に招いた訳じゃないし、あれは世間話のレベルだろう。
 こいつだって、まだ私の家に来ると決めた訳じゃ――)
「あなた、お団子は作れる?」
メイドが期待を込めた眼差しで訊いてきた。
再び妹紅のバックに雷鳴が轟く。
(な、習いに来る気かぁぁぁッ!?)

和菓子の作り方くらい、大図書館に行けば見つかりそうなものだ。
だが本からの知識より、実際に作り方を知っている人間から手ほどきを受けるのもいいだろう。
妙なリアクションをする目の前の人物は和菓子を作れそうには見えないが、
話の種にと咲夜は訊ねてみた。
(けど、どうしてこんなに驚いてるのかしら?)
外見からは考えられないほどの年月を生きているというのに団子の話でこうもうろたえるとは、
何か嫌な思い出でもあるのか、あるいは団子恐怖症なのか。
いや茶屋で団子を食べていて団子恐怖症はあるまい。
(一生死なぬ人間になるとこうなってしまうのかしら? 私は一生死ぬ人間のままでいいわ)
と、そこまで考えたところで、咲夜は気づいた。
そういえばさっきから自分は、思考の中でさえ彼女の名前を出していない。
(えっと……この人の名前、何だったかしら?)
今まで親しげに話しておいて、何と失礼な自分!
(いけない、こんな事がバレたら大恥よ。外で見せる私の恥はそのまま紅魔館の恥と直結するッ!)
咲夜のバックでも雷鳴が轟いた。それを知覚できるのはやはり雷鳴を轟かせてる本人だけだった。

急に険しい顔をするメイドを見て、妹紅はさらに焦りを加速させた。
(何だ? どうしていきなりこんな表情を? 私か? 私が何かしたのか?)
そういえば、さっきの質問に答えていないどころか、驚きを表情に出してしまったかもしれない。
(くっ、さっきから色々とトリッキーすぎるぞこいつ。
 こっちがあれこれ考えて発言しても、予想外の返答ばかりしやがる。
 そもそもこいつとは顔見知り程度なのに、何で私がこんなに気を回さなきゃならないんだ?
 私はこいつの名前さえ覚えてないってのに……うん?)
妹紅も気づいた。
(しまった……今まで親しげに話をしておいて、
 相手の名前を覚えてませんでしたとか……すっげえ恥ずかしいぃぃぃ!!)
所詮は肝試しついでに弾幕勝負を一回こっきりやっただけの関係。

先程までの表面上は友好的だった空気が急速に冷えていく。

(くっ……吸血鬼の小娘がこいつの名前を呼んでいたはずだ。それを、それを思い出せ!)
(そもそも私は彼女の名前を聞いた事があったかしら? ないのなら知らなくても恥ではない!)

(思えば互いに自己紹介なんてしてないよな、でももうとてもそんな雰囲気じゃない!)
(でも互いに自己紹介をしていないからといって、今さら知らないではやはり恥になる!)

(というか吸血鬼の名前すら思い出せない! 紅魔館って名前は思い出せるのに!)
(というかワーハクタクの名前すら思い出せない! 永遠亭の面子は思い出せるのに!)

(確か霊夢と仲がよかったよな、霊夢の名前は思い出せるのにチクショー!)
(確か輝夜と殺し合いをする仲だったはず、竹取物語にこの人って登場してたかしら?)

(こうなったら明日の天気でも聞くついでに名前も聞く? そんなの不自然すぎる!)
(こうなったら今日の夕食でも聞くついでに名前も聞く? それは不自然すぎるわ!)

(いや、そもそも)
(いや、そもそも)

(こいつは私の名前を知っているのかッ!?)
(彼女は私の名前を知っているのッ!?)

二人の間で沈黙が流れる。
それは永遠のように長く、一瞬のように短い沈黙であった。
なぜ名前もろくに覚えていないような奴と一緒にこうして団子を食べているのかすら解らない。
なぜこんなにも悩まなければならないのか解らない。

もし、もし向こうがこちらの名前を呼んできたらどうすればいいのか。
いいや、相手を二人称で呼び続ければ何とかなるはずだ。お前とかあなたとか。
そうして自らの名前を自然と名乗るよう誘導させれば――勝ちだッ!!

ゴクリッ。二人は同時に息を呑み、名前を探るため口を開いた。

「あれ、あんた達が一緒に団子を食べてるなんて珍しいわね」

その瞬間、突如として聞き覚えのある声がした。
ハッと振り向けば、冬でも腋出しっぱなしの素敵な紅白、博麗霊夢その人。
(助かった、霊夢にこいつの名前を呼ばせれば)
(万事解決するッ!)

「何だ、霊夢も団子を食いにきたのか?」
「よかったら一緒にどう?」
気持ち悪いくらい爽やかな笑顔で誘う蓬莱人とメイド。だが。

「いや、悪いけど団子買ったら帰るから」

希望、儚く――。

「まあそう言わず、最近お嬢様がお世話になってるし団子くらいおごって上げるわ」
「ゴチになります」

希望、安っぽく――。


     ◆


一生死ぬ人間2号はすぐ異変に気づいた。
(何なのこの空気)
顔見知りと相席のため気安く団子を食べられると思ったのだが、二人の態度が奇妙だ。
なぜか、霊夢に対してのみ馴れ馴れしい。
「こうして霊夢と一緒に何か食べるのって初めてだな、ははは」
「いつもは博麗神社だものね。霊夢の入れたお茶もいいけれど、たまにはこういうのも」
「そうそう、この前竹林で霊夢の友達を見たぞ、ほらあの日傘の奴」
「そういえば昨日お嬢様が霊夢の事を話していてね、また宴会をしたいそうよ」
一度口を開くたびに必ず霊夢の名前を入れてくる。
「あんた達、今日はどこか変じゃない?」
「いやいや、そんな事ないって霊夢」
「霊夢こそ今日はちょっとよそよそしいんじゃない?」
よそよそしくもなるだろう、妙な態度を取られたら。

「うーん……咲夜が不気味に馴れ馴れしいだけじゃない?」

『ッ――!!』
突然、メイドこと十六夜咲夜の笑顔が引きつった。同時に蓬莱人の笑顔が不気味に歪んだ。
ヤバい地雷を踏んだのかと霊夢は眉根を寄せる。
「はっはっはっ! 咲夜におごってもらってるのにそんな事を言うもんじゃないぞ」
蓬莱人の態度の変貌っぷり咲夜は気づく。
(こいつ、さては私の名前を覚えていなかったわねッ……!!
 くっ、団子をおごるのは私の方なのに、霊夢の裏切り者!!)

咲夜は感じていた。勝利者と負け犬の天秤が大きく傾くのを。
霊夢を引き入れたのは自分なのに、蓬莱人の方が先にこちらの名前を知ってしまった。
例えこの先、霊夢から蓬莱人の名前を聞き出せても、
それは傾けた天秤を水平に近づけるだけにすぎない。
よくて、引き分けに持ち込むのがやっと。勝利はない。

「咲夜? 苦虫を噛み潰したような顔してどうしたの?」
「な、何でもないわ。ところで霊夢、彼女とはよく会ってるの? 同じ人間同士だし」
「彼女って誰」
咲夜は首を霊夢に向け、しかし目線を蓬莱人にやる。
だがその合図に気づいたのは霊夢ではなく蓬莱人だった。
(ああっ!? さ、さてはこいつ……こいつも! 私の名前を覚えてなかったなッ!?)
蓬莱人の湯飲みを握る手に力がこもり、炎の力でお茶がグツグツと煮える。
(いや、落ち着け……私はすでに咲夜の名前を知っている。知らなかった事を悟られるな!)
すでに悟られてるとは露知らず、蓬莱人は平静を保つためお茶を飲んだ。
沸騰していた。
「あっちゃぁぁぁっ!?」
「ちょ、汚いぶちまけるな!」
怒鳴りながら霊夢は素早く自分の分の団子だけを退避させる。
咲夜は時間を止めてゆったりとした動作で団子もお茶も自分自身も回避する。
「まったく、そんなだからいくつになっても慧音に心配されるのよ」
「うぐっ、ゲホッ、わ、悪い……」
「あ、そういえばさ」
霊夢は団子の刺さった串を蓬莱人に向けて、すごく自然に言った。


「あんたの名前、何だっけ?」


両の目を見開いて硬直する二人。
まるで時間が止まったかのような錯覚さえ覚えるリアクションを見て、霊夢は首をかしげた。
咲夜が時間をどうこうした、という訳ではないようだし、これはいったい何事か。
一秒か二秒、その程度のの停滞を経て二人の時間は動き出した。

「妹紅だよッ! 覚えてないのかよッ!?」
「ブフッ……!」

ショックのあまり机をドンと叩く妹紅。
爆笑しかけるも口元を手で隠してこらえる咲夜。
どうやらお互い名前を覚えていなかったようだが、霊夢にさえ覚えてもらっていないとは。

勝利者と負け犬の天秤が大逆転。
妹紅の名前を覚えていなかった咲夜と、
咲夜からも霊夢からも名前を覚えてもらってなかった妹紅。
妹紅が咲夜の名前を覚えていなかった理由のひとつとして、
肝試しのついでに自分を襲ってきた初対面の八人全員の名前を、
いちいち覚えていられるかというものがあった。
霊夢も永夜異変で知り合った者は妹紅含め八人いるが、
妹紅は異変のあとに知り合ったオマケみたいなもので、宴会にも参加する機会はなかった。
そのため霊夢にとってはリグルやミスティアよりも印象の薄い相手、だったのかもしれない。
そんな事情もあるものの、この場この時、妹紅と咲夜、どちらが惨めかは一目瞭然。

「あら、妹紅さん。団子を食べる手が止まっていますわよ?
 霊夢も遠慮せずいっぱい食べなさいよ、霊夢の分は私のおごりなんだし。フフフ」
「ん、咲夜? 今日はいい意味で気色悪いわね」
腹を抱えている咲夜と、机に突っ伏して涙目になっている妹紅。
なぜこんな状況に陥っているのか解らない霊夢は、とりあえず団子のおかわりを注文した。
上機嫌でおごってくれる咲夜の不審さに何か裏があるのではと警戒するも、
今度神社に来た時は出涸らしじゃないお茶でも出して上げようかなと思う霊夢だったとさ。


     ◆


三日後、茶屋にて。

熱いお茶と、串に刺された団子。
それが似合う女と、それが似合わない女が、峠の茶屋で同席していた。
外の長椅子に座って食べるには寒い季節で客は皆、屋内の座敷に案内されている。

二人は無言。
たまたま席がいっぱいで、たまたま相席しただけで、けれど一応顔見知り。
弾幕勝負をした程度の仲の、藤原妹紅と霧雨魔理沙。
一生死なぬ人間と一生死ぬ人間が。
団子が似合う和装の女と、団子の似合わぬ魔女服の女が、のどかに湯飲みを傾ける。

互いに思う事はひとつ。

(こいつの名前)
(何だったっけ)


   FIN
もこー(くっ、メイドの次はこの白黒と名前の探り合いか……!)
まりさ「あのさぁ」
もこー「ん? 何だ?」(先手を取られた! どう攻めてくる気だ!?)
まりさ「お前、名前なんつったっけ?」
もこー「直球ストレートど真ん中ー! 私はそんなに影が薄いのかー!?」
まりさ「直球ストレートど真ん中……か。変な名前だな、じゅげむじゅげむ系か?」
もこー「しかもどんな変化球な勘違いしてんだよ!!」
イムス
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コメント



0.10770簡易評価
1.60名前が無い程度の能力削除
吹いた。
7.90名前が無い程度の能力削除
やばい……すごく良く分かる……、自分も実家付近の本屋で、中学の同級生にエンカウントした時にこの状態に陥ったし……気まずいんだよね。
9.100名前が無い程度の能力削除
昨日その状況に陥ったんだがwwwwww
とても面白かった。
21.90名前が無い程度の能力削除
あるあるw
あとがきの方も吹いた
23.90名前が無い程度の能力削除
うん、こういう話大好きwww
24.100名前が無い程度の能力削除
ありすぎてこわい
26.100煉獄削除
ははは、なんだか和やかな感じでいて面白いです。
いや、本当にありそうな感じがして良かったですよ。
あれこれ解釈しだしたりとか面白かったですし。
とても楽しめました。 お見事。
27.100名前が無い程度の能力削除
接点無さそうな二人が遭遇するとこうなるのかなww
28.90名前が無い程度の能力削除
前半のすれ違いコントから後半の熱い戦い、一話で2度おいしかったです
31.90名前が無い程度の能力削除
久しぶりにコメントしようと思ったくらいおもしろかったです。
妹紅は藍様をおぼえているんだろうか・・・。
36.100名前が無い程度の能力削除
非常にどうでもいい緊迫感の演出が秀逸。マジでマジで。
50.80名前が無い程度の能力削除
素敵すぎるww 二人の顔が目に見えるようです
55.80名前が無い程度の能力削除
笑った。
56.100名前が無い程度の能力削除
桃紅いい子やなぁ。
ほんとこれはいい心理戦だw
57.100名前が無い程度の能力削除
これはわらったw
60.90名前が無い程度の能力削除
魔理沙が瀟洒過ぎて笑った
69.100灰華削除
で、また3日後、今度はみょんともこたんが同席するんですね、分かります。
さらに3日後には紫と藍さまと・・・ってこれじゃ茶屋に行きすぎだなw

名前を覚えるのが苦手な自分にはありすぎてありすぎて、たははは。
しかし、キャラ名とかなら忘れないんだよね、不思議だね。
72.100名前が無い程度の能力削除
コメ69さんのキャラ名は忘れないのに本名とか覚えるのすごく共感できるwww
それにしても盛大に笑わせてもらいましたwwアンジャッシュみたいな感じですねw
91.90名前が無い程度の能力削除
これは面白かったw
92.100名前が無い程度の能力削除
これは吹かせてもらいましたww
94.100名前が無い程度の能力削除
実に面白かった!
96.100名前が無い程度の能力削除
あんま仲良くない人と同席せざるをえなかったとき
こういう風になるんですよねえw思考の駆け引きというかww
面白かったです。
101.100PNS削除
おーもーしーろーい!
こういうネタ大好きです。いや、リアルに経験があるんですがw
テンポよくまとまっていて、キャラのそれぞれの性格もツボでした。
ほのぼのとした時間をありがとうございます。
102.90名前が無い程度の能力削除
あるあるwww
リグルやミスティアより影が薄い言われた妹紅が不憫で不憫で。
友人の名前は覚えられないのに、東方キャラの名前を軽く50は覚えているのは何故。
111.90名前が無い程度の能力削除
これはいいネタw。ありそうな感じがいい。
112.100名前が無い程度の能力削除
よくあるよくある
114.100名前が無い程度の能力削除
すげー笑ったw
119.100マイマイ削除
あるあるwww
120.100名前が無い程度の能力削除
ああだめだ、最高すぎました
123.100名前が無い程度の能力削除
すれ違いって素敵だ
128.100名前が無い程度の能力削除
すげーよくわかるw
129.90名前が無い程度の能力削除
こんな素晴らしい作品を二週間も見逃していたとは不覚・・・
とても面白かったですw
130.100名前が無い程度の能力削除
これはツボでしたwww
面白かったです。次も期待しています。
132.100名前が無い程度の能力削除
咲夜さん笑いこらえきれてないよw
言いにくいことをどストレートに聞く主人公組が勇者すぎる
つーか、みんなけっこう仲良しだなwww
136.100名前が無い程度の能力削除
あれ?>>69とか>>102とか、私がたくさんいるぞ??
…腹筋痛いけど、リアルだったらとたんに笑えなくなるんだよねぇ…orz
143.70名前が無い程度の能力削除
この構成は秀逸w
二人の思考のすれ違いが面白かったです
146.100名前が無い程度の能力削除
天秤の辺りで、カイジみたいな大袈裟な心理描写が脳をよぎりましたw
149.100名前が無い程度の能力削除
もこマジでキャラいいw                                          二人の思考回路半端ねぇな 
150.100名前が無い程度の能力削除
まりさワロス
154.90名前が無い程度の能力削除
もこたーん!
笑わせていただきました
155.100名前が無い程度の能力削除
なんかアンジャッシュのコント思い出した
161.90名前が無い程度の能力削除
面白かった!こうゆう恐ろしいことがないように
今度から名前ちゃんと覚えとくわ
163.100名前が無い程度の能力削除
負け犬と超負け犬www
164.100名前が無い程度の能力削除
めっちゃ共感したわwwww名前って覚えらんねぇよなwwwww
168.100名前が無い程度の能力削除
ワロタ
170.100名前が無い程度の能力削除
なんていいコンビww
177.100名前が無い程度の能力削除
勝利者と負け犬の天秤が大逆転してからの下りを読んで、
「この事件、実際にあったんじゃね?」
とか思いました。説得力アリアリ(ry。

楽しませて頂きました。
186.100名前が無い程度の能力削除
恐ろしい…他人事じゃないんだよな。オレの場合。
人の名前覚えるのスゴい苦手…妹紅たちの気持ちが良く分かるお話しでした。
193.100名前が無い程度の能力削除
実話だwww
195.80名前が無い程度の能力削除
妹紅頑張れ、超頑張れ
196.90名前が無い程度の能力削除
おもしれぇ
201.100名前が無い程度の能力削除
おもろい
204.100名前が無い程度の能力削除
俺が大勢いる件について

それはそうといろいろと親近感がわく作品でした
210.100名前が無い程度の能力削除
あるあるに吹いたw
というか霊夢も魔理沙もそんなイキナリ弾幕ごっこした相手を覚えていなさそう。
225.100名前が無い程度の能力削除
友だちの結婚式で全く同じ経験したわー、結局名前分らないまま帰宅したけどw
236.90名前が無い程度の能力削除
お嬢様に和菓子をお出しするところを考えてる咲夜さんのくだりを見てたら、保坂を思い出しました
249.80名前が無い程度の能力削除
これは巧い!
283.100まさかり削除
2人のやりとりがシンプルに面白い。声を出して笑いました。